(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コンベアを挟んで前記豆腐製造装置の反対側の、前記豆腐製造装置と略一直線となるような位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のパック設置装置。
前記パック移送手段は、製造する豆腐の種類にかかわりなく、同一の前記コンベアにパックを設置するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のパック設置装置。
前記豆腐移動手段は、n行m列の豆腐を同時に移動し、前記豆腐落下手段は、n行m列の豆腐を同時に前記パックに落下させるものであることを特徴とする請求項6に記載の豆腐のパック詰め装置。
【背景技術】
【0002】
従来、豆腐のパック詰めは、所定の形状に切断された豆腐を水中に浮遊させ、下方からパックですくい取ることにより行われていたが、衛生状態に問題が生じやすいこと、大量の汚水が発生すること、効率が悪く大量生産に不向きであること等の理由により、例えば下記特許文献1に記載されたように、大気中(陸上)でパック詰めを行うこと(いわゆる陸詰め)が行われるようになってきている。
【0003】
そのような大気中(陸上)でパック詰めを行うパック詰め装置の一例を
図7及び8に示す。
図7は、従来のパック詰め装置の側面図であり、
図8は、従来のパック詰め装置を含む豆腐製造ラインを示す上面図である。
図8において、1は豆乳に凝固剤を加えて凝固を行う凝固部、2は凝固した豆腐を崩しならして圧搾成型する成型部、3は成型した豆腐を最終製品の形状に切断するとともに、パック詰めに備えて各豆腐を所定の間隔で整列する切断・整列部であり、1〜3により豆腐(連続)製造装置6が構成されている。4は、豆腐製造装置6により製造された豆腐に対してパック詰めを行う従来のパック詰め装置である。なお、図面の都合上、凝固部1、成型部2を実際よりも短く記載している。
【0004】
図7を参照して、図面左側から、太い帯状に切断された豆腐10がコンベア12に載置され、第1の切断・整列手段13により進行方向と略直角に(行方向に)切断及び整列される。次いで、細い帯状に切断及び整列された豆腐14が、第2の切断・整列手段15により進行方向と略平行に(列方向に)切断されて最終製品となる所定の形状にされるとともに、複数の切断刃が行方向に所定の間隔に広がることによって、最終製品の形状にされた各豆腐16が、
図8に示すように、各々所定の間隔で配列するように整列される。そして、整列された各豆腐16は、後述するパック詰め装置4によりパック詰めされる。
【0005】
本明細書においては、豆腐製造装置6における豆腐の進行方向と略平行な方向を列方向、進行方向と略直交する方向を行方向と呼ぶこととすると、
図7及び8の例では、各豆腐16は、2行×5列に整列されているが、行数及び列数は、必要に応じて1以上の整数に適宜選択される。
【0006】
最終製品の形状とされ、2行×5列に配列された各豆腐16は、4で示されたパック詰め装置によりパック詰めが行われるが、それについて以下に詳述する。
図8を参照して、初めに、パック詰め装置4に備えられたパック供給手段5により、空のパック51がパック搬送コンベア55に載置される。
すなわち、
図8に示すように、パック供給手段5において、パック搬送コンベア55の上方に設置され、パックが多数縦に積層されたパック貯蔵部53から、図示しないパック取り出し手段により最下のパックが取り出され、取り出されたパック51がパック搬送コンベア55上に載置される。この例では、豆腐の行数に合わせた2台のコンベアと、豆腐の列数の各々に合わせた計10個のパックが同時に載置される。
【0007】
パック搬送コンベア55は、両側に設けられたチェーンにより駆動され、上面に所定間隔でパックに合わせた形状の穴57が形成されており、パック取り出し手段により取り出されたパックが、パック搬送コンベア55に設けられた穴57にはまるように載置される。それにより、各パック間の間隔を所定の値に保つようにしている。
パック搬送コンベア55に載置されたパック51は、切断・整列された豆腐16が載置されるシャッター板71の下方に運ばれる。
ここにおいて、各パック51は、パック搬送コンベア55に設けられた穴57にはまるように載置されているので、搬送中にパックがずれたりすることなく、各パックを所望の位置に正確に位置決めすることができる。
従来のパック詰め装置においては、このように、シャッター板から離間した場所で載置されたパックをパック搬送コンベアによりシャッター板下まで搬送することによりパックの供給が行われていた。
【0008】
一方、最終製品となる所定の大きさに切断され、所定の間隔で2行×5列に配置された豆腐16は、豆腐移動手段17により、閉位置のシャッター板71上の、パック51と対応する位置まで移動される。
ここにおいて、シャッター板71上の豆腐16と、シャッター板71下のパックとが、対応する位置となるように、パック搬送コンベア55並びに第1及び第2の切断・整列手段13、15により各豆腐16の間隔が調整されている。
【0009】
そして、豆腐16及びパック51が所定位置となった後に、シャッター板71を図面右方向に高速に移動させて開位置とし、シャッター板71上の豆腐16を、だるま落としの要領で下に位置するパック51に落とすことにより、豆腐のパック詰めが行われる。ここで図示はしないが、パック51が所定位置となった後に、パック搬送コンベア55が上昇してシャッター板71の下に近づいて待機するようにしたり、豆腐16がパック51に収納されたと同時ないしは直後に下降するようして落下する豆腐16の衝撃を和らげるようにしたり、またパック51にあらかじめ水を適量注いでおき、落下する豆腐16の衝撃を和らげるようにしたりすることもある。
【0010】
豆腐16のパック詰めが完了すると、豆腐16が充填されたパック74は、パック搬送コンベア55から通常のコンベアであるコンベア76に移送され、パックに水が注入された後、封止部80で豆腐16が充填されたパック74の上部が封止され、製品(いわゆるカット豆腐)が完成する。
なお、
図7及び8に記載された例は、1種類の製品に対応したものであるが、大きさの異なる複数種類の製品に対応することもよく行われおり、その場合には、製品の種類に応じた数だけ(例えば、
図7及び8のように2行同時にパック詰めを行う場合には、製品の種類の2倍の数だけ)パック搬送コンベアが設けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記のような従来のパック詰め装置は、次のような問題点を有し、豆腐の生産効率の低下と生産コストの上昇を招いていた。
まず、従来のパック詰め装置は、大きな設置スペースが必要となっていた。
すなわち、豆腐の製造ラインは、
図8に示すように、略直線状の配置とすることが普通であるが、従来のパック詰め装置においては、シャッター板の下にパックを搬送するために、パック搬送コンベア55を豆腐の製造ラインと略直角方向に(行方向に)延在させ、当該パック搬送コンベア55にパックを供給するパック供給手段5を設ける必要があった。
そのため、従来のパック詰め装置は、製造ラインから直角方向に突出したスペースが必要となるため、製造ラインの幅がその分だけ増え、大きな設置スペースが必要となっていた。
【0013】
また、複数の豆腐製造装置6を併設する場合に、隣接するラインとの間隔を広く取らざるを得ず、デッドスペースが増えてスペース効率が悪くなり、結果として製品のコストを押し上げる原因となっていた。
【0014】
また、従来のパック詰め装置は、パック供給手段5のパック取り出し手段がパック貯蔵部53からパックを取り損ねた場合には、パックが載置されないままパック搬送コンベアが進むこととなり、その都度ラインを止めてパックを人手で補充しなければならず、生産効率低下の原因となっていた。さらに、パックを取り損ねたことに気づかずにラインを稼動し続けた場合には、豆腐が直にパック搬送コンベア上に落下してコンベアが汚染されるため、ラインを長時間止めて清掃等を行うことが必要となり、大幅な生産効率の低下と製品数の歩留り低下を招いていた。
【0015】
また、従来のパック詰め装置は、多品種に対応すればするほど、スペースを必要とし、パック詰めに時間がかかり、スループットが低下するとともに、高コストとなっていた。
すなわち、上に述べたとおり、多品種に対応する場合には、製品の種類に応じた数だけパック搬送コンベアを設ける必要があり、例えば、
図8のようなラインにおいて、2品種に対応しようとすれば、パック搬送コンベア55の右隣にさらに2つのパック搬送コンベアを増設する必要がある。
すると、当該増設されたパック搬送コンベア上のパックに対応する種類の豆腐16をパック詰めする際には、豆腐移動手段17により遠い位置まで豆腐16を運ばなければならず、豆腐の移動に時間がかかってしまっていた。
【0016】
また、多品種に対応しようとしてパック搬送コンベアを増設した場合には、シャッター板71も、多くのパック搬送コンベアを覆えるように幅広のものとする必要があるため、大型の駆動機構とその強度を増すことになり装置コストを押し上げるとともに、シャッター板の開閉時間も長くなってしまっていた。
これら事象は、製品の種類が増えるにしたがって、顕著になるので、従来のパック詰め装置は、多品種に対応しようとすればするほどパック詰めに時間がかかり、ライン全体のスループットが低下し、短時間で大量の製品を製造することができなくなるという問題点を有していた。
【0017】
また、従来の豆腐パック詰め装置は、洗浄に手間がかかるという問題点も有していた。
すなわち、豆腐の製造においては、清潔に保つために装置をこまめに洗浄する必要があるが、従来のパック詰め装置は、上面に穴が設けられたチェーンで駆動されるパック搬送コンベアを用いていたため、洗浄に手間がかかることに加え、多品種に対応しようとしてパック搬送コンベアの台数を増やせば増やすほど、洗浄箇所が増加するとともに、パック搬送コンベアの数だけ装置の幅が増して作業者の手が届き難く、洗浄の作業性が悪くなるという問題点を有していた。
この問題点も、多品種に対応しようとすればするほど顕在化し、多品種の豆腐を効率よく製造することを困難にしていた。
【0018】
さらに、従来のパック詰め装置は、多品種に対応しようとすればするほど、上面に穴が設けられたチェーンで駆動されるパック搬送コンベアのライン数を増やす必要があり、また、シャッター板71も、より幅広なものが必要となり、設備のコストが大きく増加してしまうという問題点があった。また、設備の構造が複雑化するため、保守・点検にもコストがかかる結果となっていた。
さらに、多数のパック搬送コンベアのラインのうち、実際に稼動するのは生産の対象となる品種に対応するラインのみであり、他のラインは遊休状態となるため、設備全体としての稼働率が悪く、コストアップの原因となっていた。
【0019】
そこで、本発明は、従来のパック詰め装置が有していた上記問題点に鑑みてなされたものであり、設置面積が少なくて済むとともに、信頼性が高く、多品種に対応しても短時間にパック詰めを行うことができ、洗浄に手間がかからず、製造や保守・点検にコストがかからないパック設置装置及び、当該パック設置装置を備えたパック詰め装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に係る上記の課題は、下記の構成により解決される。
(1)豆腐製造装置により製造された豆腐をパック詰めするためのパックを設置するパック設置装置において、
前記豆腐製造装置に直交するような位置に配置されてパック入り豆腐を次工程に送るコンベアと、
パック貯蔵部と、
複数のパックを貯留可能なパックバッファ部と、
前記パック貯蔵部からパックを取り出して、取り出したパックを、前記パックバッファ部に移動するパック取り出し手段と、
前記パックバッファ部から出力される前記パックを、前記コンベア上の前記豆腐が落下する位置まで移送するパック移送手段と、
を備えることを特徴とするパック設置装置。
(2)前記コンベアを挟んで前記豆腐製造装置の反対側の、前記豆腐製造装置と略一直線となるような位置に配置されていることを特徴とする前記(1)に記載のパック設置装置。
(3)n行m列(ただし、n、mは1以上の整数)の前記パックを同時にn台の前記コンベアに設置するものであることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のパック設置装置。
(4)前記パック移送手段は、
前記パックを一時的に載置するパック載置部と、
前記パックバッファ部から出力される前記パックを前記パック載置部に搬送するパック搬送手段と、
前記パック載置部に載置された前記パックを前記コンベア上に移動するパック移動手段と、
を備えることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1に記載のパック設置装置。
(5)前記パック移送手段は、製造する豆腐の種類にかかわりなく、同一の前記コンベアにパックを設置するものであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1に記載のパック設置装置。
(6)前記(1)〜(5)のいずれか1に記載のパック設置装置を備えた豆腐のパック詰め装置において、
前記パック設置装置により設置されたパックの上方に豆腐を移動する豆腐移動手段と、
前記豆腐移動手段により移動された豆腐を前記パックに落下させる豆腐落下手段と、
を備えることを特徴とする豆腐のパック詰め装置。
(7)前記豆腐移動手段は、n行m列の豆腐を同時に移動し、前記豆腐落下手段は、n行m列の豆腐を同時に前記パックに落下させるものであることを特徴とする前記(6)に記載の豆腐のパック詰め装置。
【発明の効果】
【0021】
上記(1)の構成のパック設置装置によれば、豆腐の落下位置に対応するコンベア上に直接パックを豆腐製造ラインの進行方向の逆方向から設置するため、パック搬送コンベアを豆腐製造ラインと略直角方向に設ける必要がないから、製造ラインから直角方向に突出したスペースを確保する必要がなく、省スペース化が可能となる。
また、上記(1)の構成のパック設置装置によれば、複数の製造ラインを併設する場合であっても、隣接するラインとの間隔が狭くてすみ、デッドスペースが減ることによりスペースの利用効率が高まり、結果として製品の低コスト化が可能となる。
【0022】
また、上記(1)の構成のパック設置装置によれば、豆腐の落下位置に対応するコンベア上に直接パックを設置するので、従来のように、位置ずれを防止するためにチェーンで駆動される上面に穴が設けられた特殊なコンベアを用いる必要がなく、通常のコンベアを使用することができるので、低コスト化が可能となる。
【0023】
また、上記(1)に記載のパック設置装置によれば、パック取り出し手段とパック移送手段との間に、複数のパックを一時的に貯留しておくパックバッファ部が設けられているため、パック在籍センサを用いてパック取り出し手段によりうまくパックが取り出されなかった場合であっても、該当する列についてパック取り出し手段を再度動作させて不足の列のパックを補うことはでき、欠損なくコンベアにパックを設置することができ、パックの取り出しに失敗するたびにラインを止める必要がなくなるとともに、取り出し失敗の見逃しによるコンベアの汚染も発生せず、生産効率を向上することができる。パック在籍センサは静電容量形近接センサ、画像・視覚センサ(カメラ)、光電センサ、変位センサ、測長センサなど樹脂製パックの在籍を検知できる非接触式手段(誘導形、静電容量形、超音波形、光電形、磁気形など)が好ましいが、接触式センサであってもよく、特に限定しない。
【0024】
また、上記(2)の構成のパック設置装置によれば、豆腐製造ライン全体を略一直線にすることができるから、設置面積を少なくすることができる。また切断・整列部の下流方向からパックを供給するので、パックの供給が行われる場所が、切断・整列部での散水や豆腐屑などによる飛沫が空パックに入りにくいドライな区域となり、衛生的なパック詰めが可能となる。
また、上記(3)に記載のパック設置装置によれば、複数行複数列の豆腐を受け入れるパックを同時に供給できるので、スループットが向上でき、大量生産を効率的に行うことができる。
【0025】
また、上記(4)の構成のパック設置装置によれば、パックバッファ部の出口からのパックを、簡単かつ確実にコンベアに設置することができる。
また、上記(5)の構成のパック設置装置によれば、パックの種類に応じた数のコンベアを設ける必要がないから、従来の装置で問題となっていた多品種生産時におけるコンベアの設置コスト及び設置スペースを節減できるとともに、洗浄時の作業性やメンテナンス性、更には設備の稼働率も改善することができ、生産効率の向上と低コスト化を実現することができる。
【0026】
また、上記(6)に記載の豆腐のパック詰め装置によれば、上記(1)〜(5)に記載のパック設置装置を用いて豆腐のパック詰めを行うため、設置面積が少なくて済むとともに、信頼性が高く、多品種に対応しても短時間にパック詰めを行うことができ、洗浄に手間がかからず、製造や保守・点検にコストがかからないパック詰め装置を実現することができる。
さらに、上記(7)に記載の豆腐のパック詰め装置によれば、n行m列の豆腐を同時に前記パックに落下させるため、スループットが向上し、効率よく大量の豆腐を生産することができる。
【0027】
以上、本発明について簡潔に説明した。さらに、本発明の詳細を明確にするため、発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)について、図面を用いて以下に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を、
図1〜3を参照して説明する。
図1及び2は、各々本実施形態に係るパック設置装置及びパック詰め装置を示す側面図及び上面図であり、
図3は、本実施形態に係るパック設置装置及びパック詰め装置を含む豆腐製造ラインを示す上面図である。
これらの図面において、従来のものと同じ部分には同じ符号を付している。
【0030】
図3において、1は豆乳に凝固剤を加えて凝固を行う凝固部、2は凝固した豆腐を崩しならして圧搾成型する成型部、3は成型した豆腐を最終製品の形状に切断するとともに、パック詰めに備えて各豆腐を所定の位置になるように整列する切断・整列部であり、1〜3により豆腐製造装置6が構成されている。これらについては従来の装置と同様である。なお、木綿豆腐等では凝固部1と成型部2の間に崩し装置やならし装置を備える形態や、又は凝固部1から成型部2に凝固物を送るポンプとならし装置を備える形態などがある。
そして、
図1〜3において101で示された部分が、本実施形態に係るパック設置装置であり、100で示された部分が、当該パック設置装置を備えたパック詰め装置、すなわち、本実施形態に係るパック詰め装置である。
なお、豆腐製造装置6は型箱(型枠)を使わない連続コンベアを備える連続ラインが好ましいが、成型部に型箱を用いるバッチ連続式の連続ラインであってもよい。また豆腐は木綿豆腐、ソフト木綿豆腐、絹ごし豆腐のほか、前記製造ラインに適宜加工装置(焼き装置、フライ装置、冷却・冷凍装置など)が介在して得られた、焼き豆腐、油揚げ(生揚げ、厚揚げ、薄揚げなど)、冷凍豆腐であってもよい。
【0031】
図1において、図面左側から、太い帯状に切断された豆腐10がコンベア12に載置され、第1の切断・整列手段13により進行方向と略垂直に(行方向に)切断及び整列される。次いで、細い帯状に切断及び整列された豆腐14が、第2の切断・整列手段15により進行方向と略平行に(列方向に)切断されて最終製品となる所定の形状にされるとともに、最終製品の形状にされた各豆腐16が、
図2に示すように、各々所定の間隔で配列するように整列される。そして、整列された各豆腐16は、後述する本実施形態に係るパック詰め装置100によりパック陸詰めがなされる。
【0032】
ここにおいて、最終製品となる各豆腐16は2行×5列に整列されているが、行数及び列数は、必要に応じて1以上の整数に適宜選択される。
なお、
図1の18は、コンベア12に付着した豆腐や水等を除去するスクレイパー、19は、スクレイパーにより除去された豆腐や切断除去された不要な端部の豆腐(いわゆる豆腐生地の耳)や散水等を受ける樋やパイプ等であり、水流方式やコンベア方式等で、端部の廃棄豆腐を回収・再利用又は廃棄する移送手段19であるか、又は貯蔵する貯蔵手段19である。なお樋19は豆腐製造装置6の周囲や下方に適宜、延長または分岐された流路を形成して、適宜傾斜を有して適当な位置に集合させて、固液分離機を介して豆腐を回収する形態が好ましい。またろ過した水は廃棄するか、またはその流路の上流端に戻して循環させるように循環ポンプを備えてもよい。
これらの構成は、スクレイパー18及び移送手段又は貯蔵手段19を備える点を除き、従来の装置と同様である。
【0033】
最終製品の形状とされ、2行×5列に配列された各豆腐16は、本実施形態に係るパック詰め装置100によりパック詰めが行われるが、それについて以下に詳述する。
従来のパック詰め装置においては、上面に穴が設けられたパック搬送コンベア55が設けられていたのに対して、本実施形態に係るパック詰め装置100においては、上面に穴のない通常のコンベア155が設けられている。
また、従来のパック詰め装置においては、パック搬送コンベア55にパックを供給するためのパック供給手段5が、パック搬送コンベア55における上流の位置、すなわち、豆腐製造ラインから直角に(行方向に)突出した位置に設置されていたが、本実施形態に係るパック詰め装置においては、このようなパック供給手段5はなく、替わりに、コンベア155を挟んで、豆腐製造装置6と反対側の、豆腐製造装置6と列方向に略一直線となるような位置に、コンベア155上の所定位置にパックを設置するパック設置装置101、すなわち本実施形態に係るパック設置装置が設けられている。
【0034】
図1を参照して、パック設置装置101は、パック貯蔵部111からパック185を取り出して、取り出したパック185をパックバッファ部120に移動するパック取り出し手段110と、パックを列方向に案内するガイド手段(側方ガイド手段120Xや上方ガイド手段120Y)を備えている。
ここにおいて、
図2に示すように、パック貯蔵部111、パック取り出し手段110及びパックバッファ部120とガイド手段(120X、120Y)は、豆腐の列数に等しい数である5台又は5組が設けられ、5個のパックを同時並行してパック貯蔵部111からパックバッファ部120に移動可能となっている。パック取り出し手段は積載されたパックの最下部のパックを吸盤で吸い付けて取り出す形態や、そのパック両側面を高摩擦性ゴム装着のパドルで掻き落とす形態や、パックフランジ部の隙間に螺旋爪を指し込み切り離す形態など、積載されたパックの最下部のパック1個を取り出す機構であれば、特に限定しない。
【0035】
また、
図1に示すように、パック貯蔵部111は、パック取り出し手段110及びパックバッファ部120とともに、複数備えて容易に付け替え可能なように設けられており、製品の種類に応じて使い分けることができる。ここでは、パック貯蔵部111のほかに、より小さな豆腐に対応するパック貯蔵部112が例示されている。その切替えには、パック取り出し手段110(パック貯蔵部113、114の交換)と、パックバッファ部120からパック移送手段130にわたって付属する列方向のガイド手段(120X、120Y、130X、130Y)と、パック移動手段160のアーム266又は276の先端部を交換する。共用する部分はパックバッファ部120のパック貯留部122、パック移送手段130の搬送部、パック移動手段160の駆動部である。前記ガイド手段のうちの上方ガイド手段120Yや130Yはパック高さがほぼ同じであれば共用することも可能である。パックの違いによる、前記パック移動手段160による移動位置の設定は、その駆動源である電動シリンダーやリニアスケール付リニアアクチュエータ等の数値変更や近接センサの位置変更による切り替えをするが、これらに限定されない。
【0036】
パックバッファ部120には、スロープ状のパック貯留部122が形成され、その中に複数のパック185を貯留することができるようになっており、所定時間ごとに最下部からパックを1つ出力するパック出力手段121が設けられている。また図示しないが、パックバッファ部120には、各列のパックの存在を検知するパック在籍センサが適宜設けられている。パック在籍センサは静電容量形近接センサ、画像・視覚センサ(カメラ)、光電センサ、変位センサ、測長センサなど樹脂製パックの在籍を検知できる非接触式手段(誘導形、静電容量形、超音波形、光電形、磁気形など)が好ましい。
このパックバッファ部120を設けることにより、仮に、何らかの理由でパック取り出し手段110がパック185の取り出しに失敗した場合(パック不足やパック供給ミス、例えば、リム付パックでも間隔が均等に積載されずに部分的に密着していると、パックを2個重ねで取りだすことがある。)であっても、パック在籍センサのエラー信号を受けて該当する列の、パック貯蔵部111、112へのパック補給の警報を鳴らしたり、パック取り出し手段110を独立して追加動作して、不足分を補充することによって、パックバッファ部120からパックが途切れることなく正常に出力されるので、パックの設置は正常に行われることとなり、パック取り出しの失敗のたびに、ラインを止めてパックを人手で補充する必要がない。
【0037】
パック取り出し手段110は、パック詰めのタイミングと同期して一定時間ごとにパックバッファ部120にパックを供給するようにしてもよく、また、パック詰めのタイミングと関係なく、パック貯留部122がパックで満たされるまでパックを供給する構成としてもよい。後者の構成を採用した場合には、パックの取り出し失敗が発生してパック貯留部122に貯留されるパックが減少しても、人手でパックを補充する必要がない。
【0038】
本実施形態に係るパック供給装置においては、パックバッファ部120から出力されたパック185は、パック移送手段130により、コンベア155上の豆腐16が落下する位置まで移送される。
パック移送手段130は、第1のパック搬送コンベア141及び第2のパック搬送コンベア142からなるパック搬送手段140を備えている。パック搬送コンベア141、142は、表面に突起部143が一定間隔で設けられ、パックバッファ部120から出力されたパック185は、後端を突起部143に押されるようにしてこれらのパック搬送コンベアに載せられ、一定間隔で搬送されるよう構成されている。
【0039】
パック搬送コンベア142に載せられたパック185は、スロープを昇り、突起部143に押されるようにしてパック載置部145に載置される。なお、パック移送手段130に上り勾配のスロープを設ける意味は、パック移動手段160がパック185に干渉しないようするとともに、パック貯蔵部111、112の高さを下げてパックの補給作業を容易にするためである。
そして、パック載置部145に、豆腐製造装置6により製造される豆腐の行列数に等しい2行分のパック185が載置(2行×5列で合計10個のパック185が載置)されると、パック移送手段130に備えられているパック移動手段160により、載置された全てのパック185がまとめてコンベア155上の豆腐16が落下する位置まで移動される。その際、コンベア155は静止状態にある。
【0040】
パック移動手段160は、2行×5列のパックを、コンベア155上の所定の位置まで移動する手段であり、例えば、パックを押し出す押し出し板を備え、当該押し出し板でパックを押す構成としてもよく、また、パックを把持する押し出し部材や、パックの三方を囲むようなコの字型の押し出し部材を設けて、1行分のパックを挟むようにして押し出す動作を繰り返すか、又は2行ないしはそれ以上の行のパックを列方向に所定間隔に一度に保持するように、例えば突起部を適宜備えたコの字型の押し出し部材を備えて、押し出す動作を繰り返すようにしてもよい。
【0041】
そのような構成を備えたパック移動手段の一例を、
図9〜11を用いて説明する。
図9を参照して、パック移動手段160は、パック185を移動するためのリニアアクチュエータ265を備えている。なお、
図9においては、シャッター板171は記載を省略している。
【0042】
リニアアクチュエータ265は、油圧、ソレノイド、モータ等の適宜の手段により駆動され、アーム266を伸縮させる構成となっている。アーム266の先端部は、
図10(a)に示すような略コの字型となっており、底部263、及び当該底部263の両端から先端に向かって延在する2つの延在部262を備え、各延在部262の途中に突起部264が上向き又は内向きに設けられている。突起部264はパック上面のフランジ部の後端に掛かるか、又はパック上面のフランジ部の下方のテーパ状側壁部の後端に掛かるように配設されている。
また、リニアアクチュエータ265及びコンベア155は、図示しない昇降手段により昇降するように構成されている。なお、
図9に示したように、リニアアクチュエータ265及びアーム266の先端部は各列毎に設けた形態に限定せず、リニアアクチュエータ1台で複数のアーム動作する形態、アーム自体を一体で構成した形態など、適宜採用可能である。
【0043】
このように構成された装置を用い、どのようにしてパック185をコンベア155上の所定の位置まで移動するのかについて、
図11を用いて説明する。ここにおいて、
図11は、
図9におけるアーム266の先端部分、パック載置部145及びコンベア155を側方から見た図である。
まず、
図11(a)のように、パック搬送手段140により、パック185がパック載置部145上に載置される。2個のパック185がパック載置部145上に載置されると、リニアアクチュエータ265によりアーム266が伸張され、左側に移動する。なお、このとき、リニアアクチュエータ265は、アーム266がパック185の側面下部に対応する位置となるように降下されている。
【0044】
次に、
図11(b)のように、アーム266におけるコの字型部分の内側に突出した突起部264が2個のパック185の間となる位置まで、アーム266を伸張する。パック185は、
図11の各図に示すように、上に行くにしたがって、側面が外方に広がる形状となっており(なお、
図11の各図は、動作を分かりやすく説明するために、パック側面の外方への広がり方を、実際よりも誇張して描いている。)、アーム266における突起部264間の距離は、パック185における相対する側面下部間の距離よりも大きく設定されているので、アーム266が
図11(b)の位置まで移動する際に、突起部264がパック185の側面に当たってパック185が移動してしまうことはない。
次に、
図11(c)のように、アーム266を上昇させる。その際、アーム266における突起部264間の距離よりもパック185における相対する側面間の距離が大きくなる位置までアーム266を上昇させるようにする。
【0045】
次に、
図11(d)〜(f)のように、アーム266を伸張してゆく。すると、まず、左側のパック185が突起部264に押されて左に移動し(
図11(d))、次いで、右側のパック185が、底部263に押されて左に移動する(同図(e))。その後、各パック185はさらに左に移動してパック載置部145を離れるが、アーム266における延在部262間の距離は、パック185における相対する側面上端間の距離よりも小さく設定されていて、上面部にフランジ面を備えているので、パック185は落下することなく、アーム266に保持されている。各パック185が、各々対応するコンベア155の上方に位置するまでアーム266を伸張してパック185を左に移動する(同図(f))。ここにおいて、突起部264と底部263との間隔は、各パック185が各コンベア155の上方となるように、コンベア155の間隔に合わせて設定されている。また、コンベア155は、パック載置部145よりもやや下方に位置している。
【0046】
次に、
図11(g)に示すように、コンベア155を上昇させ、パック185を持ち上げてアーム266がパック185の側面下部の位置になるようにする。このようにコンベア155が上昇状態であれば、アーム266がパック185から完全に離れるので、アーム266を、パック定位置を乱さずに退避させることができる。ここで別法として、コンベア155を上昇させず、アーム266の高さを下げるように、リニアアクチュエータ265を下降ないしは下向きに回動させることにより、アーム266をパック185から離す方法も採用可能である。
最後に、
図11(h)に示すように、アーム266を収縮させることにより、コンベア155へのパック185の設置が終了する。
【0047】
このようにして、パック移動手段160により、2行×5列のパックを、コンベア155上の所定の位置まで移動することができる。なお、アーム266が退避する際にあらかじめパック185に適量注水して重みを付与することで位置を狂いにくくすることができる。また摩擦性やグリップ性の高いコンベア表面素材を採用することも効果的である。
以上述べた本実施形態においては、パック移動手段160が、パック載置部145に載置された2行×5列のパック185を同時にコンベア155上に移動する構成となっているが、コンベア155が1台の場合には、1行×5列のパックを同時に移動する構成とすればよく、その場合には、アームの先端部は、
図10(a)に代えて、同図(b)に示すような突起部のないコの字型のものを使用することができる。また、コンベアが3台以上の場合には、3行以上のパック185を同時にコンベア155上に移動する構成とすればよい。
また、コンベア155が2台以上の場合であっても、
図10(b)に示すようなコの字型の先端部を有するアーム276を用い、パック載置部145に1行分のパック185が載置されるたびにリニアアクチュエータ275を動作させてコンベア155上にパックを移動する構成としてもよい。このような構成については、後記する第2の実施形態の説明において詳しく述べる。
【0048】
また、本実施形態においては、コンベア155を上昇させることによりパック185をコンベア155へ設置しているが(
図11(g))、上に述べたようにコンベア155を上昇させずに、アーム266を降下させることによりパック185をコンベア155に設置してもよい。さらに、コンベア155の上昇とアーム266の降下を併用してもよい。その際、コンベア155を、シャッター板171下の部分、曲線部分及びその後の直線部分に分割して構成し、シャッター板171下の部分のみを昇降するようにしてもよい。
なお、本実施形態においては、コの字型の先端部を有するアーム266を用いたが、先端部においてパック185を自在に把持・開放することができるようなアームを用いてもよい。
このようにして、豆腐の行数×列数に等しい数のパックが、コンベア155上の豆腐16が落下する位置まで移動される。
【0049】
一方、豆腐製造装置6により製造された2行×5列の豆腐16は、
図1に示すように、豆腐移動手段17により、一斉に閉位置のシャッター板171の上に移動される。
その際、シャッター板171上の豆腐16が、その下のコンベア155上に設置されるパック185の真上となるように、第1及び第2の切断・整列手段13、15、豆腐移動手段17並びにパック設置装置101等があらかじめ調整されている。
【0050】
以上のような位置にパック185及び豆腐16を移動した後、シャッター板171を図面右方向に高速に移動させて開位置とする。すると、シャッター板171の上の各豆腐16が、だるま落としの要領でコンベア155上に設置された各パック185の中に落下し、それにより、豆腐のパック詰めが行われる。
次いで、シャッター板171を閉位置に戻すとともに、コンベア155を運転状態として、シャッター板171下の豆腐16が充填されたパック186を、
図2の下方向、すなわち、豆腐製造装置6が配置される方向と直角方向に(行方向に)搬送する。なお、豆腐サイズが小さいか、硬い豆腐の場合では、シャッター板171を用いず、豆腐移動手段17によって豆腐16を把持して、パック185に直接落とし込むパック陸詰め方法であってもよい。本発明ではパック陸詰め工程から上流工程の豆腐製造装置6の構成や機構に関しては特に制限しない。
【0051】
また、パック185が所定位置となった後に、コンベア155が上昇してシャッター板171の下に近づいて待機するようにしてもよく、豆腐16がパック185に収納されたと同時ないしは直後に下降するようして落下する豆腐16の衝撃を和らげるようにしたり、またパック185にあらかじめ水を適量注いでおき、落下する豆腐16の衝撃を和らげるようにしたりしてもよい。
またコンベアに、複数行、複数列のパック詰めの際の仕切りガイド手段等、上方や側方の種々のガイド手段やカバー類を適宜設けてもよい。その場合、コンベア単独の上昇状態でガイド手段がコンベア表面より下方に位置するようにして、パック移動手段のパック移動の妨げにならないようにすることも可能である。
【0052】
最後に、スペース効率が向上するように、コンベア155の搬送方向を豆腐製造装置6が配置される方向と平行となるように変更し、パックに水が注入された後、封止部80でパックの上部が封止され、製品が完成される。
【0053】
以上のような本実施形態に係るパック設置装置及びパック詰め装置は、従来の装置と比較して、以下のような作用効果を奏するものである。
まず、本実施形態に係るパック設置装置及びパック詰め装置は、コンベアを挟んで豆腐製造装置の反対側の、豆腐製造装置と略一直線となるような位置に配置されているため、従来の装置のように製造ラインから直角方向に突出する部分がなく、ライン全体の幅を少なくすることができ、従来の装置と比較して、設置スペースを大幅に削減することが可能である。
また、複数の豆腐製造装置ラインを併設する場合であっても、隣接するラインとの間隔は、従来の装置と比較して短くて済み、デッドスペースが少なくスペース効率を上げることができるため、結果として、製品の低コスト化を実現することができる。
【0054】
また、本実施形態に係るパック設置装置及びパック詰め装置は、パックを設置するためのコンベアが、製造する製品の品種の数にかかわりなく、製造される豆腐の行数に等しい数(この例では2台)だけで済み、シャッター板も豆腐の行数に等しい台数のコンベアを覆うために必要な幅を有する幅狭のものでよい。またシャッター板を駆動する駆動装置も短いストロークのリニアアクチュエータでよく、機長を短くでき、装置コストを軽減できる。
【0055】
すなわち、本実施形態に係るパック設置装置及びパック詰め装置においては、豆腐製造装置からシャッター板の所定位置に豆腐を移動する際の移動距離が、品種の数にかかわりなく短いため、常に短時間で豆腐の移動が完了する。また、シャッター板も小型で済むため、シャッターの動作も短時間で終了する。
したがって、本実施形態に係るパック設置装置及びパック詰め装置は、従来のものと比較して、品種の数にかかわりなく、豆腐を短時間でパック詰めすることができるので、本実施形態に係るパック設置装置及びパック詰め装置を用いることにより、短時間に大量の製品を製造することが可能となる。
【0056】
また、本実施形態に係るパック設置装置及びパック詰め装置は、パック詰めに用いるコンベアが、製造する品種の数にかかわりなく、製造される豆腐の行数に等しい台数で済み、シャッター板もコンベアを覆うために必要な幅を有する幅狭のものでよいため、多数のコンベアが並び、大きなシャッター板を備える従来の装置と比較して、洗浄箇所が少なく、かつ洗浄の作業性に優れたものとなっている。
したがって、本実施形態に係るパック設置装置及びパック詰め装置は、多品種の豆腐を製造する場合であっても、豆腐を効率よく製造することが可能である。
【0057】
また、本実施形態に係るパック詰め装置は、パック詰めに用いるコンベアが、製造する品種の数にかかわりなく、製造する豆腐の行数に等しい台数で済むとともに、表面に大きな穴や突起物(桟や爪など)のない平坦な通常のコンベア、例えば、一般的な食品用ベルトコンベア(樹脂製、ステンレス製など)、スラット(バンド)チェーンコンベア、(テーブル)トップチェーンコンベア、プラスチックベルトコンべア、ネット(メッシュ)コンベア等を使用することが可能である。
したがって、本実施形態に係るパック詰め装置は、上面に穴が設けられ、チェーンにより両端を駆動する特殊なコンベアを豆腐の行数×品種の数だけ設置する必要がある従来の装置と比較して、多品種に対応しやすく、はるかに低コストであり、また、シャッター板も小さくて済む等、設備全体を小型化・簡素化することがすることができ、保守・点検が容易となる。
【0058】
また、本実施形態に係るパック詰め装置においては、稼動していないのは、交換用に用意されたパック貯蔵部(
図1における112)と、パック取り出し手段110と、パックバッファ部120からパック移送手段130にわたるガイド手段(120X、120Y、130X、130Y)と、パック移動手段160のアーム266又は276の先端部等であり、他に遊休設備は存在しないから、従来の装置と比較して、設備全体としての稼働率が向上し、生産効率の向上と低コスト化が可能である。
【0059】
さらに、本実施形態に係るパック設置装置及びパック詰め装置においては、パック貯蔵部からパックを取り出すパック取り出し手段と、コンベア上にパックを移送するパック移送手段との間に、複数のパックが貯留されるパックバッファ部を設けているから、パック取り出し部がパックの取り出しに失敗した場合であっても、1回のパック移動手段の動作時間(概ね5〜15秒間)の間に、パックの取り出し動作(1〜2秒間ほどの極短時間)を数回を行ってパック不足分を補うことができ、コンベアへのパックの設置は正常に行われる。
したがって、本実施形態に係るパック設置装置及びパック詰め装置においては、従来のように、パックの取り出し失敗が発生するごとにラインを止めてパックを補充する必要がなくなるとともに、取り出し失敗を見逃してコンベアを豆腐で汚染する心配もなくなるため、信頼性が高く、少なくとも時間当たり5,000丁以上、さらに10,000〜30,000丁やそれ以上の生産効率の高い豆腐の製造が可能となる。
【0060】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を、
図4を用いて説明する。
図4は、本実施形態に係るパック設置装置及びパック詰め装置を示す側面図であり、第1の実施形態と同様の部分には、同様の符号を付している。なお、図示しないが、第1の実施形態と同じように、パックバッファ部120からパック移送手段130にわたって列方向のガイド手段(120X、120Y、130X、130Y)が付属している。
本実施形態に係るパック設置装置103及びパック詰め装置102が第1の実施形態と異なるのは、パックバッファ部120から出力されるパック185をコンベア155上まで移送するパック移送手段132が、スロープ状ではなく、平坦に形成されている点である。
【0061】
すなわち、パックバッファ部120から出力されるパック185は、パック移送手段132に備えられたパック搬送手段である突起部147が設けられた略水平なパック搬送コンベア146により一定間隔で搬送され、突起部147に押されるようにしてパック載置部145に載置される。
そして、パック載置部145に、パック185が載置されると、パック移動手段163により、載置されたパック185がコンベア155上の豆腐16が落下する位置まで移動される。その際、コンベア155は静止状態にある。
【0062】
パック移動手段163は、押し出し板により、豆腐製造装置6により製造される豆腐の行列数(ここでは2行×5列)に等しいパック185をコンベア155まで一斉に押し出してもよいし、第1の実施形態と同様に、
図10(a)に示すような突起部264を備えたコの字型のアーム266を用いて2行×5列分のパック185をコンベア155上に移動するようにしてもよいが、本実施形態においては、
図10(b)に示すような突起部のない延在部272を有するコの字型アーム276を伸縮するリニアアクチュエータ275を用いている。そして、パック載置部145に1行×5列分のパック185が載置されるたびにリニアアクチュエータ275を動作させて1行×5列分のパック185をコンベア155上に順次移動することにより、2台のコンベア155上に2行×5列分のパック185を移動する構成としている。ここにおいて、リニアアクチュエータ275により伸縮されるアーム276は、パック搬送コンベア146によるパック185の搬送の邪魔にならないように、
図4に示すように途中で折れ曲がる形状となっていて、図示しない昇降手段により昇降するように構成されている。なお、1行毎に押し送る往復動作は、パック取り出し手段110の動作周期(概ね5〜15秒間)とほぼ同じ周期であるので、動作時間に特に無理はない。
【0063】
本実施形態において、どのようにしてパック185をコンベア155上の所定の位置まで移動するのかについて、
図4及び12を用いて説明する。なお、
図12においては、シャッター板は記載を省略している。
図4を参照して、まず、パック搬送コンベア146により1行分のパック185がパック載置部145に載置される。その際、アーム276がパック185の搬送の邪魔にならないように、リニアアクチュエータ275は図示しない昇降手段により上方に退避されている。
【0064】
次に、
図12(a)を参照して、1行分のパック185がパック載置部145に載置されると、リニアアクチュエータ275は、下降し、アーム276を伸張させて図面左方向に移動させる(なお、
図12(a)、(b)は上面図であるため、アーム276が直線状に描かれているが、実際には、
図4のように、アームは途中で下方に曲がっている。)。アーム276が左に移動するにつれて、アーム276の先端のコの字型の部分がパック185の載置位置に到達し、パック185は、コの字型の部分で三方から包まれるようにして左に移動する。やがて、パック185はパック載置部145よりも左に移動するが、アーム276における延在部272間の距離は、パック185における相対する側面上端間の距離よりも小さく設定されているので、パック185は落下することなく、アーム276に保持されている。なお、このとき、コンベア155は、図示しない昇降手段によりパック載置部145よりもやや下方に位置している。
【0065】
そして、パック185が左側のコンベア155の上方まで達すると、リニアアクチュエータ275はアーム276の伸張を停止させ、次いで、第1の実施形態と同様に、コンベア155が上昇してコンベア155上にパック185が設置され、最後に、リニアアクチュエータ275は、アーム276をパック載置部145よりも右側の位置まで収縮するとともに、上方に退避する。
このようにして、左側のコンベア155への1行分のパック185の設置が完了する。
【0066】
次に、再び、パック搬送コンベア146により1行分のパック185がパック載置部145に載置されると、上に述べたのと同様の要領で、1行分のパック185をコンベア155に設置する。ただし、今回は、
図12(b)に示すように、アーム276によりパック185を右側のコンベア155に設置するために、前回よりもアームの伸縮距離を短くする。その伸縮距離は例えばリニアスケールを備えたリニアアクチュエータによって数値設定で決めることができ、簡易的には近接センサ等の信号で所定の位置決めをするように構成してもよく、特に限定しない。このようにして、豆腐の行数×列数(ここでは2行×5列)に等しい数のパックが、コンベア155上の豆腐16が落下する位置まで移動される。
その他の点は、第1の実施形態と共通であるので、説明は省略する。
なお、本実施形態においては、コの字型の先端部を有するアーム276を用いたが、先端部においてパック185を自在に把持・開放することができるようなアーム(例えば食品工場向けの多関節・多軸型のロボット等)を用いてもよい。
【0067】
本実施形態に係るパック設置装置及びパック詰め装置は、第1の実施形態のものが奏する作用効果に加え、第1の実施形態のものと比較して、上下方向に必要な空間が少なくなるため、設置やメンテナンスが簡単になるという作用効果を奏する。
【0068】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を
図5及び6を用いて説明する。
図5及び6は、本実施形態に係るパック設置装置及びパック詰め装置を示す側面図であり、第1及び第2の実施形態と同様の部分には、同様の符号を付している。なお、図示しないが、第1の実施形態と同じように、パックバッファ部120からパック移送手段130にわたって列方向のガイド手段(120X、120Y、130X、130Y)が付属している。
第1及び第2の実施形態においては、コンベアの台数を減らすために、豆腐の種類にかかわりなく、同一のコンベアでパック詰めを行う構成としていたが、豆腐製造ラインによっては、コンベアの台数が増えても、製品の種類ごとにラインを分離したい場合がある。
本実施形態は、そのような要求に応えるものであり、1台のパック設置装置及びパック詰め装置により、製品の種類ごとに異なるコンベアを用いてパック詰めが行えるようにしたものである。
【0069】
図5及び6に示すように、コンベアは、大小2種類の豆腐に合わせて、2セット設けられており、第1のコンベア156が大きな豆腐用、第2のコンベア157が小さな豆腐用である。
図5が大きな豆腐のパック詰め示す図であり、
図6が小さな豆腐のパック詰めを示す図である。
【0070】
まず、大きな豆腐のパック詰めについて説明する。
図5を参照して、図面左側から、太い帯状に切断された豆腐20がコンベア12に載置され、第1の切断・整列手段13により進行方向と略垂直に(行方向に)切断及び整列される。次いで、細い帯状に切断及び整列された豆腐24が、第2の切断・整列手段15により進行方向と略平行に(列方向に)切断されて最終製品となる大きな豆腐の形状にされるとともに、最終製品の形状にされた各豆腐26が、
図2に示す第1の実施形態の場合と同様に、各々所定の間隔で配列するように整列される。ここにおいて、最終製品となる各豆腐26は2行×5列に整列されているが、行数及び列数は、必要に応じて1以上の整数に適宜選択される。
これらの構成は、第1の実施形態と同様である。
最終製品の形状とされ、2行×5列に配列された各豆腐26は、本実施形態に係るパック詰め装置104によりパック詰めが行われる。
【0071】
本実施形態に係るパック設置装置105及びパック詰め装置104において、パック取り出し手段110、パックバッファ部120及びパック移送手段130は、第1の実施形態と同様である。
まず、パック取り出し手段110が、大きなパックが貯蔵されたパック貯蔵部113から大きなパック195を取り出し、パックバッファ部120に移動する。
そして、パックバッファ部120から出力された大きなパック195は、パック移送手段130により、第1のコンベア156上の大きな豆腐26が落下する位置まで移送される。
【0072】
パック移送手段130は、第1の実施形態と同様に、第1のパック搬送コンベア141及び第2のパック搬送コンベア142を備えている。これらのパック搬送コンベアには、表面に突起部143が一定間隔で設けられ、パックバッファ部120から出力された大きなパック195は、後端を突起部143に押されるようにしてこれらのパック搬送コンベアに載せられ、一定間隔で搬送されるよう構成されている。
そして、パック搬送コンベア142に載せられた大きなパック195は、スロープを昇り、突起部143に押されるようにして第2のパック載置部149に載置される。このとき小さな豆腐に対応する第2のコンベア157は、
図5に示すように下に退避される。
【0073】
そして、第2のパック載置部149に、豆腐製造装置6により製造される豆腐の行列数に等しい2×5列行分の大きなパック195が載置(2行×5列で合計10個のパック195が載置)されると、パック移送手段130に備えられているパック移動手段165により、載置された全ての大きなパック195が、第1のパック載置部148を介して第1のコンベア156上の大きな豆腐26が落下する位置まで移動される。その際、第1のコンベア156は静止状態にある。
このようにして、豆腐の行数×列数に等しい大きなパック195が、第1のコンベア156上の豆腐26が落下する位置まで移動される。
【0074】
一方、豆腐製造装置6により製造された2行×5列の大きな豆腐26は、豆腐移動手段17により、一斉に閉位置のシャッター板173の上に移動される。
その際、シャッター板173上の豆腐26が、その下の第1のコンベア156上に設置される大きなパック195の真上となるように、第1及び第2の切断・整列手段13、15、豆腐移動手段17並びにパック設置装置105等があらかじめ調整されている。
【0075】
以上のような位置に大きなパック195及び豆腐26を移動した後、シャッター板173を図面右方向に高速に移動させて開位置とする。すると、シャッター板173の上の各豆腐26が、だるま落としの要領で第1のコンベア156上に設置された各大きなパック195の中に落下し、それにより、豆腐のパック詰めが行われる。
次いで、シャッター板173を閉位置に戻すとともに、第1のコンベア156を運転状態として、シャッター板173下の豆腐26が充填されたパックを、第1の実施形態と同様に、豆腐製造装置6が配置される方向と直角方向に(行方向に)搬送する。以後は、第1の実施形態と同様である。
なお、大きくても硬い豆腐の場合では、シャッター板173を用いず、豆腐移動手段17によって豆腐26を把持して、大きなパック195に直接落とし込むパック詰め方法であってもよい。
以上のようにして、本実施形態に係るパック設置装置及びパック詰め装置により、大きな豆腐のパック詰めが行われる。
【0076】
次に、小さな豆腐のパック詰めについて説明する。
図6を参照して、図面左側から太い帯状に切断された豆腐30が、大きな豆腐の場合と同様に2行×5列の小さな豆腐36に切断・整列され、切断された小さな豆腐36に対して、以下に述べるように、本実施形態に係るパック詰め装置によりパック詰めが行われる。なお、大きな豆腐のパック詰め用から小さな豆腐のパック詰め用に切り替える場合は、パック取り出し手段110、パック貯蔵部113(114に変更)、パックバッファ部120からパック移送手段130にわたって付属する列方向のガイド手段(120Xや130X等)及び、パック移動手段165のアーム266又は276の先端部を交換する。共用する部分はパックバッファ部120のスロープ、パック移送手段130の搬送部、パック移動手段の駆動部(移動位置の設定は切り替える)である。
【0077】
まず、パック取り出し手段110が、小さなパックが貯蔵されたパック貯蔵部114から小さなパック196を取り出し、パックバッファ部120に移動する。
そして、パックバッファ部120から出力された小さなパック196は、パック移送手段130により、第2のコンベア157上の小さな豆腐36が落下する位置まで移送される。
【0078】
パック移送手段130は、前述のように、第1のパック搬送コンベア141及び第2のパック搬送コンベア142を備えている。これらのパック搬送コンベアには、表面に突起部143が一定間隔で設けられ、パックバッファ部120から出力された小さなパック196を一定間隔で搬送するよう構成されている。
そして、パック搬送コンベア142により運ばれた小さなパック196は、スロープを昇り、突起部143に押されるようにして第2のコンベア157上に載置される。このとき第2のパック載置部149は、第2のコンベア157上から右側に退避される。
【0079】
パック搬送コンベア142と第2のコンベア157との位置関係をうまく調整することにより、小さなパック196が第2のコンベア157上に載置された時点で、小さなパック196を第2のコンベア157上の豆腐36が落下する位置に載置できる場合には必ずしも必要ではないが、本実施形態では、小さなパック196が第2のコンベア157上に載置された後、パック移動手段165により第2のコンベア157上の小さなパック196を若干移動して、小さなパック196が第2のコンベア157上の豆腐36が落下する位置になるようにしている。
このようにして、豆腐の行数×列数に等しい数のパックが、第2のコンベア157上の豆腐36が落下する位置まで移動される。
【0080】
一方、豆腐製造装置6により製造された2行×5列の小さな豆腐36は、豆腐移動手段17により、一斉に閉位置のシャッター板173の上に移動される。
その際、シャッター板173上の豆腐36が、その下の第2のコンベア157上に設置される小さなパック196の真上となるように、第1及び第2の切断・整列手段13、15、豆腐移動手段17並びにパック設置装置105等があらかじめ調整されている。
【0081】
以上のような位置に小さなパック196及び豆腐36を移動した後、シャッター板173を図面右方向に高速に移動させて開位置とする。すると、シャッター板173の上の各豆腐36が、だるま落としの要領で第2のコンベア157上に設置された各小さなパック196の中に落下し、それにより、豆腐のパック詰めが行われる。
以後は、大きな豆腐の場合と同様である。
以上のようにして、小さな豆腐36を第2のコンベア157上のパックにパック詰めすることができる。
【0082】
本実施形態に係るパック設置装置及びパック詰め装置は、製造ラインの都合により製品の種類に応じて異なるコンベアから製品を取り出したい場合にも、製造品種ごとにパック設置装置及びパック詰め装置を変更することなく柔軟に対応できるから、多品種の生産を効率よくかつ低コストに行えるという作用効果を奏する。
【0083】
以上、本発明の実施形態について図面を用いて詳述してきたが、これら実施形態は単なる例示にすぎないものであり、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0084】
例えば、上に述べた各実施形態においては、一度に2行×5列の豆腐をパック詰めしているが、行数及び列数は1を含めた任意の数に設定することができる。
また、各実施形態においては、1台のコンベアに一行の製品が載置される構成となっているが、コンベアの幅を広げ、1台のコンベアに複数行の製品を載置するようにしてもよい。
また、各実施形態におけるコンベアは、通常のコンベアを使用しているが、従来のように、チェーンで駆動される上面に穴が設けられたコンベアを使用してもよい。その場合には、コンベア自体はコスト高になるが、従来技術と比較してスペースが節減できる点は変わらず、また、パック移動手段の位置決め精度が低くても構わないという利点がある。
【0085】
また、パック取り出し手段は、各実施形態のものに限らず、複数のパックが貯蔵されたパック貯蔵部からパックを取り出してパックバッファ部に移動できる機能を備えていれば、どのような構造のものであってもよいが、信頼性が高いものを採用するのが好ましい。しかしパック成型時や、作業者のパック取扱い時に積載状態にムラができる場合があり、取り出しミスをゼロにすることは不可能に近い。
また、パックバッファ部も、複数のパックが貯留でき、出口側からパックを取り出せるものであればどのようなものであってもよい。
また、各実施形態においては、シャッター板が一枚の板から構成されているが、そのようなものに限らず、豆腐を載置でき、かつ、当該豆腐をだるま落としの要領で下に落とすことができるものであれば、どのような形状・構造のものであってもよい。
【0086】
さらに、各実施形態において用いられる各要素を駆動する駆動手段は、電気モータ(インバータ制御、サーボモータ制御、電圧制御、正転逆転制御)や、機械的加減速手段(ギヤボックス式変速機、無段変速機、ベルト掛けプーリー)、ソレノイド、空気圧機器(エアシリンダー等)や油圧機器等の任意の手段を用いることができるとともに、それらにリニアスケールや近接センサ等の動作距離や位置を計測するセンサを適宜組み合わせてもよく、これら駆動手段の連動、同調、同期をはじめとする種々の動作の制御も、シーケンサやリレー回路、制御ソフトウェア等の任意のプログラム設計手段を用いて実現することができることは当業者にとって自明である。