特許第6307368号(P6307368)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6307368DC/DCコンバータの制御装置及びその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6307368
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】DC/DCコンバータの制御装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20180326BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
   H02M3/28 P
   H02M3/28 Q
   H02J1/00 306B
【請求項の数】13
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-132946(P2014-132946)
(22)【出願日】2014年6月27日
(65)【公開番号】特開2016-12970(P2016-12970A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2017年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】305027401
【氏名又は名称】公立大学法人首都大学東京
(74)【代理人】
【識別番号】100086807
【弁理士】
【氏名又は名称】柿本 恭成
(74)【代理人】
【識別番号】100076222
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】周藤 龍
(72)【発明者】
【氏名】中原 康希
(72)【発明者】
【氏名】根本 健一
(72)【発明者】
【氏名】清水 敏久
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−202000(JP,A)
【文献】 特開2013−251998(JP,A)
【文献】 特開2014−230369(JP,A)
【文献】 特開2011−234459(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/056503(WO,A1)
【文献】 特開2005−224012(JP,A)
【文献】 特開2015−177559(JP,A)
【文献】 周藤龍、清水敏久,Y−Δ結線による三相絶縁型双方向DC/DCコンバータの軽負荷時の効率改善,電気学会論文誌D,日本,一般社団法人電気学会,2013年 6月 1日,Vol.133 No.6 2013,595頁−608頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00 − 3/44
H02J 1/00 − 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次巻線及び2次巻線を有する変圧器と、
前記変圧器に対して直列に接続されたインダクタと、
1次側駆動信号によってオン/オフ動作する1次側スイッチを複数有し、前記1次側スイッチのオン/オフ動作により、入力される1次側直流電力を交流電力に変換して前記1次巻線側へ供給する1次側ブリッジ回路と、
2次側駆動信号によってオン/オフ動作する2次側スイッチを複数有し、前記2次側スイッチのオン/オフ動作により、前記2次巻線側から供給される交流電力を整流して2次側直流電力を出力する2次側ブリッジ回路と、
を備えるDC/DCコンバータの主回路に対して、前記1次側駆動信号及び前記2次側駆動信号を供給するDC/DCコンバータの制御装置であって、
前記1次側直流電力及び前記2次側直流電力を検出し、検出された1次側検出電力及び2次側検出電力と目標値とに基づき、
前記1次側駆動信号と前記2次側駆動信号との間の位相差を制御すると共に、
前記1次側検出電力と前記2次側検出電力との電力差が最小になるように前記1次側スイッチの1次側デューティと前記2次側スイッチの2次側デューティとを増減させるように構成されていることを特徴とするDC/DCコンバータの制御装置。
【請求項2】
前記目標値は、目標電圧値であり、
前記1次側ブリッジ回路に入力される1次側直流電圧及び1次側直流電流から前記1次側検出電力を検出すると共に、前記2次側ブリッジ回路から出力される2次側直流電圧及び2次側直流電流から前記2次側検出電力を検出し、検出された前記1次側検出電力及び前記2次側検出電力に基づき、前記主回路における電力変換損失を算出する損失算出部と、
算出された前記電力変換損失に基づき、前記1次側デューティの制御指令と前記2次側デューティの制御指令と、を生成して出力するデューティ制御部と、
前記1次側直流電圧を検出した1次側検出電圧又は前記2次側直流電圧を検出した2次側検出電圧と、前記目標電圧値と、に基づき、前記1次側直流電圧又は前記2次側直流電圧を目標電圧に追従させるための、前記1次側スイッチと前記2次側スイッチとの位相差指令を生成して出力する位相制御部と、
前記1次側デューティの制御指令と前記位相差指令とに基づいて、前記1次側スイッチの前記1次側デューティ及び位相を変調し、前記1次側スイッチへ供給するための前記1次側駆動信号を生成する1次側パルス変調器と、
前記2次側デューティの制御指令と前記位相差指令とに基づいて、前記2次側スイッチの前記2次側デューティ及び位相を変調し、前記2次側スイッチへ供給するための前記2次側駆動信号を生成する2次側パルス変調器と、
を有することを特徴とする請求項1記載のDC/DCコンバータの制御装置。
【請求項3】
前記デューティ制御部は、
前記1次側デューティと前記2次側デューティとをステップ状に増減させ、前記損失算出部により算出されるデューティ増減後の前記電力変換損失をデューティ増減前の前記電力変換損失と比較し、前記デューティ増減前の電力変換損失より小さい場合は、次回の前記1次側デューティ及び前記2次側デューティの制御指令として前回のデューティ制御と同じ増減方向にもう1ステップ増減させ、
前記デューティ増減後の電力変換損失が前記デューティ増減前の電力変換損失より大きい場合は、次回の前記1次側デューティ及び前記2次側デューティの制御指令として前回のデューティ制御と逆増減方向に1ステップ増減させ、
前記1次側デューティと前記2次側デューティとの増減制御を繰り返すことを特徴とする請求項2記載のDC/DCコンバータの制御装置。
【請求項4】
前記デューティ制御部は、
前記1次側デューティと前記2次側デューティとの和を1とし、前記1次側デューティをステップ状に増減し、前記損失算出部により算出される前記1次側デューティの増減後の前記電力変換損失を、前記1次側デューティの増減前の前記電力変換損失と比較し、前記1次側デューティの増減前の前記電力変換損失より小さい場合は、次回の前記1次側デューティ及び前記2次側デューティの制御指令として前記前回のデューティ制御と同じ増減方向にもう1ステップ増減させ、
前記1次側デューティの増減後の前記電力変換損失が、前記1次側デューティの増減前の前記電力変換損失より大きい場合は、次回の前記1次側デューティ及び前記2次側デューティの制御指令として前記前回のデューティ制御と逆増減方向に1ステップ増減させ、
前記1次側デューティの増減制御を繰り返すことを特徴とする請求項3記載のDC/DCコンバータの制御装置。
【請求項5】
前記変圧器、前記インダクタ、前記1次側ブリッジ回路、及び前記2次側ブリッジ回路は、
それぞれ三相の変圧器、三相のインダクタ、三相の1次側ブリッジ回路、及び三相の2次側ブリッジ回路であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のDC/DCコンバータの制御装置。
【請求項6】
前記変圧器は、Y−Y結線の変圧器であることを特徴とする請求項5記載のDC/DCコンバータの制御装置。
【請求項7】
前記変圧器は、Δ−Δ結線の変圧器であることを特徴とする請求項5記載のDC/DCコンバータの制御装置。
【請求項8】
前記インダクタは、外付けのインダクタ、又は前記変圧器の漏れインダクタであることを特徴とする請求項6記載のDC/DCコンバータの制御装置。
【請求項9】
前記インダクタは、外付けのインダクタであることを特徴とする請求項7記載のDC/DCコンバータの制御装置。
【請求項10】
前記三相変圧器は、
1つのコアに三相の巻線が巻かれた一体化構造をしていることを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項記載のDC/DCコンバータの制御装置。
【請求項11】
前記変圧器における各相の1次側と2次側とには、直流遮断用のコンデンサがそれぞれ直列に接続されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載のDC/DCコンバータの制御装置。
【請求項12】
前記1次側スイッチ及び前記2次側スイッチは、
半導体スイッチング素子と、
前記半導体スイッチング素子に対して逆並列に接続された外付けダイオード又は寄生ダイオードと、
前記半導体スイッチング素子に対して並列に接続された外付けコンデンサ又は寄生容量と、
をそれぞれ有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項記載のDC/DCコンバータの制御装置。
【請求項13】
1次巻線及び2次巻線を有する変圧器と、
前記変圧器に対して直列に接続されたインダクタと、
1次側駆動信号によってオン/オフ動作する1次側スイッチを複数有し、前記1次側スイッチのオン/オフ動作により、入力される1次側直流電力を交流電力に変換して前記1次巻線側へ供給する1次側ブリッジ回路と、
2次側駆動信号によってオン/オフ動作する2次側スイッチを複数有し、前記2次側スイッチのオン/オフ動作により、前記2次巻線側から供給される交流電力を整流して2次側直流電力を出力する2次側ブリッジ回路と、
を備えるDC/DCコンバータの主回路に対して、前記1次側駆動信号及び前記2次側駆動信号を供給するDC/DCコンバータの制御方法であって、
前記1次側直流電力及び前記2次側直流電力を検出し、検出された1次側検出電力及び2次側検出電力と目標値とに基づき、
前記1次側駆動信号と前記2次側駆動信号との間の位相差を制御すると共に、
前記1次側検出電力と前記2次側検出電力との電力差が最小になるように前記1次側スイッチの1次側デューティと前記2次側スイッチの2次側デューティとを増減させることを特徴とするDC/DCコンバータの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1次側直流電圧を2次側直流電圧に変換する直流/直流コンバータであるDC/DCコンバータ、例えば、三相DAB(Dual Active Bridge)絶縁型双方向のDC/DCコンバータの制御装置及びその制御方法に係り、特に、DC/DCコンバータの1次側直流電圧と2次側直流電圧との差が大きい場合、全ての負荷条件において最大変換効率を追従する、MLPT(Minimum Loss Power Tracking)制御による双方向DC/DCコンバータの最適制御技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、三相DAB絶縁型双方向のDC/DCコンバータとして、特許文献1及び非特許文献1の技術が知られている。
【0003】
図2は、従来のDC/DCコンバータにおける主回路を示す構成図である。
このDC/DCコンバータの主回路1は、変圧器の漏れインダクタ(リーケージインダクタ)を利用したY−Y結線方式の三相DAB絶縁型双方向のDC/DCコンバータの主回路である。DC/DCコンバータの主回路1は、1次側直流電圧E1が印加される一対の1次側端子2,3と、2次側直流電圧E2が印加される一対の2次側端子4,5と、を有している。1次側端子2,3には、電流リップル吸収用のコンデンサ6と1次側フルブリッジ部10とが、並列に接続されている。1次側フルブリッジ部10の3つの交流端子N1〜N3には、Y−Y結線の三相変圧器20を介して、2次側フルブリッジ部30の3つの交流端子N11〜N13が接続されている。2次側フルブリッジ部30には、電流リップル吸収用のコンデンサ37が並列に接続されている。コンデンサ37の両電極には、2次側端子4,5が接続されている。
【0004】
1次側フルブリッジ部10と2次側フルブリッジ部30とは、変圧器20を介して、左右対称になっている。1次側フルブリッジ部10は、直列に接続された1次側スイッチ11、交流端子N1及び1次側スイッチ12からなる直列回路としての第1のスイッチングレグ(これは「スイッチングアーム」とも言う。)と、直列に接続された1次側スイッチ13、交流端子N2及び1次側スイッチ14からなる第2のスイッチングレグと、直列に接続された1次側スイッチ15、交流端子N3及び1次側スイッチ16からなる第3のスイッチングレグと、が並列に接続された三相フルブリッジ回路で構成されている。1次側フルブリッジ部10の交流端子N1〜N3に接続された変圧器20は、三相のu,v,w相の1次巻線21a〜21cと2次巻線22a〜22cとを有し、これらがY−Y結線されている。1次巻線21a〜21cと2次巻線22a〜22cとの巻数比は、1:nである。
【0005】
2次巻線22a〜22cには、2次側フルブリッジ部30の交流端子N11〜N13が接続されている。2次側フルブリッジ部30は、直列に接続された2次側スイッチ31、交流端子N11及び2次側スイッチ32からなる第4のスイッチングレグと、直列に接続された2次側スイッチ33、交流端子N12及び2次側スイッチ34からなる第5のスイッチングレグと、直列に接続された2次側スイッチ35、交流端子N13及び2次側スイッチ36からなる第6のスイッチングレグと、が並列に接続された三相フルブリッジ回路で構成されている。
【0006】
各スイッチ11〜16,31〜36は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor、以下「IGBT」という。)や、MOS形電界効果トランジスタ(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor、以下「MOSFET」という。)により構成されている。6つの1次側スイッチ11〜16は、図示しない制御装置から供給される6つの1次側駆動信号S1p〜S6pによってオン/オフ動作する。6つの2次側スイッチ31〜36は、図示しない制御装置から供給される6つの2次側駆動信号S1s〜S6sによってオン/オフ動作する。
【0007】
このような構成のDC/DCコンバータでは、各スイッチ11〜16,31〜36がソフトスイッチングを行うことで、高い効率が得られている。しかし、1次側直流電圧E1と、2次側直流電圧E2を変圧器20の巻数比1/nで1次側に換算した電圧と、が等しくない場合、軽負荷の条件において、直流電圧の低い側のスイッチ(例えば、31〜36)は、ソフトスイッチングの条件が成立せず、損失が増加してしまう問題がある。しかも、1次側直流電圧E1と、2次側直流電圧E2を変圧器20の巻数比1/nで1次側に換算した電圧と、の電圧差が大きい程、ソフトスイッチング動作しない負荷領域が拡大される。
【0008】
非特許文献1の技術では、1次側スイッチ11〜16のソフトスイッチング動作条件を次の(1)式で表し、2次側スイッチ31〜36のソフトスイッチング動作条件を次の(2)式で表している。
【0009】
【数1】
【0010】
図3は、図2のソフトスイッチング動作範囲の特性を示すグラフである。
図3の横軸は、1次側スイッチ11〜16と2次側スイッチ31〜36の位相差φ[deg]である。縦軸は、1次側直流電圧E1と、2次側直流電圧E2を変圧器20の巻数比1/nで1次側に換算した電圧E2/nと、の比(これを「1次側と2次側の電圧比」という。)E2/nE1である。
【0011】
(1)式と(2)式に表した1次側スイッチ11〜16と2次側スイッチ31〜36の位相差φと、1次側と2次側の電圧比E2/nE1と、によるソフトスイッチング動作範囲の関係が、図3に示されている。
【0012】
図3において、1次側スイッチ11〜16の境界線41,42により区画された領域(I)は、1次側スイッチ11〜16のソフトスイッチング不可領域である。2次側スイッチ31〜36の境界線43,44により区画された領域(II)は、2次側スイッチ31〜36のソフトスイッチング不可領域である。1次側スイッチ11〜16の境界線41と2次側スイッチ31〜36の境界線43とにより区画された領域(III)と、1次側スイッチ11〜16の境界線42と2次側スイッチ31〜36の境界線44とにより区画された領域(IV)とは、1次側スイッチ11〜16と2次側スイッチ31〜36とのソフトスイッチング可能領域である。
【0013】
この図3に示されるように、1次と2次の電圧比E2/nE1が1から離れる程、ソフトスイッチング動作がし難くなる。又、位相差φが小さい程(即ち、軽負荷で伝送電力が小さい程)、ソフトスイッチング条件が成立し難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第5,027,264号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】電気学会論文誌D、133巻6号(2013年)周藤龍、清水敏久「Y−Δ結線による三相絶縁型双方向DC/DCコンバータの軽負荷時の効率改善」p.595―608
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、従来のDC/DCコンバータでは、次のような課題があった。
特許文献1では、図2に示されたDC/DCコンバータの主回路1及び位相シフトによる制御方法を提案している。しかし、非特許文献1にも記載されているように、1次側と2次側の電圧比E2/nE1が1から離れる程、ソフトスイッチング動作しない条件がある。
【0017】
その改善策として、非特許文献1では、変圧器20の結線方式をY−Y結線からY−Δ結線に変更する方法を提案している。この非特許文献1の技術では、従来の制御方式を変えず、1次側と2次側の電圧比E2/nE1が0.86〜1.14の範囲において、全ての負荷領域でソフトスイッチング動作条件を満足するように改善されている。
【0018】
しかし、前記Y−Δ結線の変圧器20の結線方式による改善は、特許文献1の従来の制御方式であるため、制御パラメータが、1次側スイッチ11〜16と2次側スイッチ31〜36の位相差φのみであり、ソフトスイッチング動作範囲の制御ができず、前記0.86〜1.14のソフトスイッチング動作範囲は限界である。
【0019】
1次側直流電源E1又は2次側直流電源E2は、蓄電池やキャパシタ等の蓄電デバイスを用いることが多い。これらの蓄電デバイスに要求される充放電の電圧範囲は広く、±14%を越えるものが多い。そのため、DC/DCコンバータの1次側と2次側の電圧比E2/nE1において、前記の0.86〜1.14のソフトスイッチング動作範囲に対し、蓄電デバイスの電圧変動範囲を全てカバーするのは難しい。効率改善のため、広い直流電圧範囲に対してソフトスイッチング動作の改善及び最適な制御が課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明のDC/DCコンバータの制御装置及びその制御方法は、1次巻線及び2次巻線を有する変圧器と、前記変圧器に対して直列に接続されたインダクタと、1次側駆動信号によってオン/オフ動作する1次側スイッチを複数有し、前記1次側スイッチのオン/オフ動作により、入力される1次側直流電力を交流電力に変換して前記1次巻線側へ供給する1次側ブリッジ回路と、2次側駆動信号によってオン/オフ動作する2次側スイッチを複数有し、前記2次側スイッチのオン/オフ動作により、前記2次巻線側から供給される交流電力を整流して2次側直流電力を出力する2次側ブリッジ回路と、を備えるDC/DCコンバータの主回路に対して、前記1次側駆動信号及び前記2次側駆動信号を供給する装置及びその方法である。
【0021】
そして、本発明の制御装置及びその制御方法は、前記1次側直流電力及び前記2次側直流電力を検出し、検出された1次側検出電力及び2次側検出電力と目標値とに基づき、前記1次側駆動信号と前記2次側駆動信号との間の位相差を制御すると共に、前記1次側検出電力と前記2次側検出電力との電力差が最小になるように前記1次側スイッチの1次側デューティと前記2次側スイッチの2次側デューティとを増減させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明のDC/DCコンバータの制御装置及びその制御方法によれば、電力変換の最小損失を追従するためのデューティにより、ソフトスイッチング動作条件を満足しつつ、無効電力増加による損失の増加を抑制することを可能にしている。そのため、1次側直流電圧と2次側直流電圧との電圧差が大きい場合や、軽負荷時にも、ソフトスイッチング動作範囲が広がり、更に、ソフトスイッチング動作の臨界点を追従し、最大変換効率を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は本発明の実施例1におけるDC/DCコンバータを示す構成図である。
図2図2は従来のDC/DCコンバータにおける主回路を示す構成図である。
図3図3図2のソフトスイッチング動作範囲の特性を示すグラフである。
図4図4図1のDC/DCコンバータにおけるソフトスイッチング動作を説明するための図である。
図5図5図4におけるローサイドのスイッチのターンオフから、ハイサイドのスイッチのターンオンの間の動作波形を示す図である。
図6図6図1のDC/DCコンバータの動作例を示す波形図である。
図7図7図1のソフトスイッチングの条件を満足するソフトスイッチング動作範囲を示す図である。
図8図8図1のソフトスイッチング動作範囲の例を示す図である。
図9図9図1中の1次側スイッチにおける損失分析の例を示す図である。
図10図10図1中の制御装置による最小損失追従制御を示すフローチャートである。
図11図11は1次側デューティがδ>0.5の領域において電力変換の最小損失点の追従制御の概念を示す図である。
図12図12は本発明の実施例2におけるDC/DCコンバータを示す構成図である。
図13図13は本発明の実施例3におけるDC/DCコンバータを示す構成図である。
図14図14は本発明の実施例4におけるDC/DCコンバータの主回路を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0025】
(実施例1の構成)
図1(a)〜(c)は、本発明の実施例1におけるDC/DCコンバータを示す構成図であり、同図(a)はDC/DCコンバータの全体の構成図、及び、同図(b)、(c)は同図(a)中のスイッチの構成図である。
【0026】
本実施例1のDC/DCコンバータは、例えば、Y−Y結線の変圧器と外付けのインダクタを用いた三相絶縁型双方向のDC/DCコンバータである。このDC/DCコンバータは、双方向変換回路である主回路50と、この主回路50の1次側の電圧及び電流を検出する1次側検出部55と、主回路50の2次側の電圧及び電流を検出する2次側検出部98と、主回路50の2次側直流電力(例えば、2次側直流電圧E2)を目標電力(例えば、2次側目標電圧)に追従制御するための制御装置100と、を備えている。
【0027】
主回路50は、1次側と2次側の間の電気的絶縁を確保しつつ、双方向に電力を転送するものであり、1次側直流電圧E1及び1次側直流電流I1が供給される一対の1次側端子51,52と、2次側直流電圧E2及び2次側直流電流I2が供給される一対の2次側端子53,54と、を有している。1次側端子51,52と2次側端子53,54との間には、1次側検出部55と、電流リップル吸収用の1次側電源フィルタ(例えば、コンデンサ)56と、1次側ブリッジ回路としての1次側フルブリッジ部60と、外付けのインダクタ部80と、Y−Y結線された三相変圧器70と、2次側ブリッジ回路としての2次側フルブリッジ部90と、電流リップル吸収用の2次側電源フィルタ(例えば、コンデンサ)97と、2次側検出部98と、が縦続接続されている。1次側フルブリッジ部60と2次側フルブリッジ部90とは、変圧器70及びインダクタ部80を中心にして左右対称構成になっている。
【0028】
1次側端子51,52には、1次側検出部55を介して、コンデンサ56と1次側フルブリッジ部60とが並列に接続されている。1次側検出部55は、1次側端子51,52間の1次側直流電圧E1を検出して1次側検出電圧e1を出力するための分圧抵抗等の電圧検出部55aと、1次側端子52に流れる1次側直流電流I1を検出して1次側検出電流i1を出力するためのシャント抵抗等の電流検出部55bと、を有している。
【0029】
1次側フルブリッジ部60は、直列に接続された1次側スイッチ61、交流端子N21及び1次側スイッチ62からなる第1のスイッチングレグと、直列に接続された1次側スイッチ63、交流端子N22及び1次側スイッチ64からなる第2のスイッチングレグと、直列に接続された1次側スイッチ65、交流端子N23及び1次側スイッチ66からなる第3のスイッチングレグと、が並列接続された三相フルブリッジ回路で構成されている。第1〜第3のスイッチングレグの3つの交流端子N21〜N23には、インダクタ部80を介して、変圧器70が接続されている。インダクタ部80は、一端が交流端子N21に接続されたインダクタ81と、一端が交流端子N22に接続されたインダクタ82と、一端が交流端子N23に接続されたインダクタ83と、により構成されている。3つのインダクタ81〜83の他端には、変圧器70が接続されている。
【0030】
変圧器70は、u相の1次巻線71a、v相の1次巻線71b、w相の1次巻線71c、u相の2次巻線72a、v相の2次巻線72b、及びw相の2次巻線72cを有し、これらの巻線がY−Y結線されている。本実施例1では、変圧器70の構造は限定されないが、例えば、小容量のDC/DCコンバータでは、1つのコアに三相の巻線が巻かれた一体化構造の変圧器を使用できる。又、大容量のDC/DCコンバータでは、変圧器のコアサイズが大型化するので、3つの変圧器を使用することが望ましい。3つの2次巻線72a,72b,72cには、2次側フルブリッジ部90の3つの交流端子N31〜N33が接続されている。
【0031】
2次側フルブリッジ部90は、直列に接続された2次側スイッチ91、交流端子N31及び2次側スイッチ92からなる第4のスイッチングレグと、直列に接続された2次側スイッチ93、交流端子N32及び2次側端子94からなる第5のスイッチングレグと、直列に接続された2次側スイッチ95、交流端子N33及び2次側端子96からなる第6のスイッチングレグと、が並列接続された三相フルブリッジ回路で構成されている。この2次側フルブリッジ部90には、並列に接続されたコンデンサ97と2次側検出部98とを介して、2次側端子53,54が接続されている。2次側検出部98は、2次側端子53,54間の2次側直流電圧E2を検出して2次側検出電圧e2を出力するための分圧抵抗等の電圧検出部98aと、2次側端子54に流れる2次側直流電流I2を検出して2次側検出電流i2を出力するためのシャント抵抗等の電流検出部98bと、を有している。
【0032】
1次側フルブリッジ部60内の6つの1次側スイッチ61〜66は、制御装置100から供給される6つの1次側駆動信号S1p〜S6pによってそれぞれオン/オフ動作する。2次側フルブリッジ部90内の6つの2次側スイッチ91〜96は、制御装置100から供給される6つの2次側駆動信号S1s〜S6sによってそれぞれオン/オフ動作する。
【0033】
各スイッチ61〜66,91〜96は、例えば、図1(b)に示すように、半導体スイッチング素子としてのMOSFET61aと、このMOSFET61aのドレイン及びソースに対して逆並列に接続されたダイオード61bと、MOSFET61aのドレイン及びソースに対して並列に接続された外付けのコンデンサ61cと、により構成されている。ダイオード61bは、外付けの還流ダイオード(フリーホイールダイオード)又はMOSFET61aの寄生ダイオードにより構成されている。コンデンサ61cは、MOSFET61aの寄生容量で構成しても良い。
【0034】
又、各スイッチ61〜66,91〜96は、例えば、図1(c)に示すように、半導体スイッチング素子としてのIGBT61dと、このIGBT61dのコレクタ及びエミッタに対して逆並列に接続されたダイオード61eと、IGBT61dのコレクタ及びエミッタに対して並列に接続された外付けのコンデンサ61fと、により構成されている。ダイオード61eは、外付けのフリーホイールダイオードにより構成されている。コンデンサ61fは、IGBT61dの寄生容量で構成しても良い。
【0035】
なお、インダクタ部80内の各インダクタ81〜83は、Y−Y結線された変圧器70と直列に接続されている。そのため、各インダクタ81〜83は、変圧器70の2次側に接続しても良い。又は、各インダクタ81〜83を2分割し、それぞれ変圧器70の1次側と2次側に直列に接続しても良い。変圧器70の各u相、v相、w相の巻数比は同じであり、1次巻線71a〜71cと2次巻線72a〜72cとの巻数比は、例えば、1:nである。
【0036】
制御装置100は、中央処理装置(CPU)等で構成され、損失算出部101と、この損失算出部101の出力側に接続されたデューティ制御部102と、位相制御部103と、を有している。ディーティ制御部102と位相制御部103との出力側には、1次側パルス変調器104と2次側パルス変調器105とが接続されている。
【0037】
損失算出部101は、1次側検出部55内の電圧検出部55aにより検出された1次側検出電圧e1と、電流検出部55bにより検出された1次側検出電流i1と、2次側検出部98内の電圧検出部98aにより検出された2次側検出電圧e2と、電流検出部98bにより検出された2次側検出電流i2と、を入力し、主回路50における電力変換損失Plossを算出する機能を有している。この損失算出部101は、入力された1次側検出電圧e1と1次側検出電流i1とを乗算して1次側検出電力w1を求める乗算器101aと、入力された2次側検出電圧e2と2次側検出電流i2とを乗算して2次側検出電力w2を求める乗算器101bと、を有し、これらの2つの乗算器101a,101bの出力側に、演算器101cが接続されている。演算器101cは、求められた1次側検出電力w1と2次側検出電力w2とを演算し、主回路50の1次側と2次側間の電力変換損失Plossを算出し、この電力変換損失Plossをデューティ制御部102へ出力する機能を有している。
【0038】
デューティ制御部102は、入力された電力変換損失Plossに基づき、1次側スイッチ61〜66における1次側デューティδpの制御指令と、2次側スイッチ91〜96における2次側デューティδs(例えば、1−δp)の制御指令と、を生成して1次側パルス変調器104及び2次側パルス変調器105へ出力する機能を有している。
【0039】
位相制御部103は、検出された2次側検出電圧e2と、電力転送する目標電力(例えば、2次側目標電圧)に対応する2次側目標電圧値e2refと、を入力し、2次側直流電圧E2を2次側目標電圧に追従させるための、1次側スイッチ61〜66と2次側スイッチ91〜96との位相差φの指令を生成して、1次側パルス変調器104及び2次側パルス変調器105へ出力する機能を有している。
【0040】
1次側パルス変調器104は、入力された1次側デューティδpの制御指令と位相差φの指令とに基づいて、1次側スイッチ61〜66の1次側デューティδp及び位相を変調し、1次側スイッチ61〜66へ供給するための1次側駆動信号S1p〜S6pを生成する機能を有している。例えば、第1〜第3のスイッチングレグのハイサイドのスイッチ61,63,65とローサイドのスイッチ62,64,66との信号を反転させ、それぞれのスイッチングレグの駆動信号S1p〜S6pは、2π/3の位相差を設け、1次側デューティを同じδpとしている。
【0041】
2次側パルス変調器105は、入力された2次側デューティ1−δpの制御指令と位相差φの指令とに基づいて、2次側スイッチ91〜96の2次側デューティδs(=1−δp)及び位相を変調し、2次側スイッチ91〜96へ供給するための2次側駆動信号S1s〜S6sを生成する機能を有している。例えば、第4〜第6のスイッチングレグのハイサイドのスイッチ91,93,95とローサイドのスイッチ92,94,96との信号を反転させ、それぞれのスイッチングレグの駆動信号S1s〜S1sは、2π/3の位相差を設け、2次側デューティを同じ1−δpとしている。
【0042】
(実施例1のソフトスイッチング動作)
図1のDC/DCコンバータにおけるソフトスイッチング動作のメカニズムを説明する。
【0043】
1次側検出部55内の電圧検出部55aにより検出された1次側検出電圧e1と、電流検出部55bにより検出された1次側検出電流i1と、2次側検出部98内の電圧検出部98aにより検出された2次側検出電圧e2と、電流検出部98bにより検出された2次側検出電流i2と、2次側目標電圧値e2refと、が制御装置100に入力される。
【0044】
制御装置100内の損失算出部101において、乗算器101aは、入力された1次側検出電圧e1と1次側検出電流i1とを乗算して1次側検出電力w1を算出し、演算器101cに与える。乗算器101bは、入力された2次側検出電圧e2と2次側検出電流i2とを乗算して2次側検出電力w2を算出し、演算器101cに与える。演算器101cは、与えられた1次側検出電力w1と2次側検出電力w2とを演算し、主回路50における1次側と2次側間の電力変換損失Plossを算出し、この電力変換損失Plossをデューティ制御部102へ出力する。
【0045】
デューティ制御部102は、入力された電力変換損失Plossに基づき、1次側と2次側の電圧比E2/nE1の大小に応じて、1次側スイッチ61〜66の1次側デューティδp及び2次側スイッチ91〜96の2次側デューティδsの指令を生成し、その1次側デューティδpの指令を1次側パルス変調器103へ与えると共に、2次側デューティδsの指令を2次側パルス変調器105へ与える。位相制御部103は、入力された2次側検出電圧e2及び2次側目標電圧値e2refに基づき、1次側スイッチ61〜66と2次側スイッチ91〜96との位相差φの指令を生成し、この指令を1次側パルス変調器104及び2次側パルス変調器105へ与える。
【0046】
1次側パルス変調器104は、入力された1次側デューティδpの指令と位相差φの指令とに基づき、1次側デューティδpを有する1次側駆動信号S1p〜S6pを生成し、この1次側駆動信号S1p〜S6pによって1次側スイッチ61〜66をオン/オフ動作させる。更に、2次側パルス変調器105は、入力された位相差φの指令と2次側デューティδsの指令とに基づき、それぞれ2π/3の位相差を有する2次側駆動信号S1s〜S6sを生成し、この2次側駆動信号S1s〜S6sによって2次側スイッチ91〜96をオン/オフ動作させる。
【0047】
反転したパルスの駆動信号S1p〜S6p,S1s〜S6sにより、第1〜第6のスイッチングレグを構成するハイサイドのスイッチ61,63,65,91,93,95と、ローサイドのスイッチ62,64,66,92,94,96と、が駆動されると、スイッチングレグの交流端子N21〜N23,N31〜N33に、その駆動信号S1p〜S6p,S1s〜S6sに同期した矩形波が出力される。
【0048】
主回路50において、インダクタ81〜83の遅れ電流により、例えば、スイッチ61〜66がターンオンする前のデッドタイム中に、スイッチ61〜66内の半導体スイッチング素子に逆方向の電流が流れ、このスイッチ61〜66内の半導体スイッチング素子に対して並列に接続されたコンデンサ又は寄生容量を放電させる。この放電により、スイッチ61〜66内の半導体スイッチング素子の電圧がゼロになってから、スイッチ61〜66内の半導体スイッチング素子に対して逆並列に接続されたダイオードが導通する。その後のスイッチ61〜66内の半導体スイッチング素子のターンオン時にスイッチ電圧がゼロであるため、ゼロ・ボルト・スイッチング(以下「ZVS」という。)動作になる。又、例えば、フルブリッジ部60の出力電流のゼロクロスは、ZVS後に発生するため、スイッチングレグの交流端子N21〜N23における電流と電圧の波形は、正弦波状でなくても電流が電圧よりも遅れる。
【0049】
図4は、図1のDC/DCコンバータにおけるソフトスイッチング動作を説明するための図である。この図4には、1スイッチングレグ分のハイサイドのスイッチ61のターンオン時と、ローサイドのスイッチ62のターンオフ時の動作が示されている。更に、図5は、図4におけるローサイドのスイッチ62のターンオフから、ハイサイドのスイッチ61のターンオンの間の動作波形を示す図である。
【0050】
1次側と2次側の各相のスイッチ61〜66,91〜96の動作は同じであるため、1スイッチングレグ分のハイサイドのスイッチ61のターンオン時と、ローサイドのスイッチ62のターンオフ時の動作が、代表例として図4に示されている。スイッチ61,62は、図1(b)に示すMOSFET61a,62aを使用している。図4中の符号61b,62bはMOSFET61a,62aのボディーダイオード、及び、符号61c,62cはドレイン・ソース間の寄生容量である。
【0051】
図5の動作波形図において、横軸は期間T1〜T4の経過時間(t)、縦軸は電圧及び電流である。図5の縦軸において、S1p,S2pはMOSFET61a,62aのゲートに印加される駆動信号の電圧、I81はインダクタ81を流れるインダクタ電流、I61aはMOSFET61aのドレイン・ソース間電流、I61bはダイオード61bに流れる電流、I62aはMOSFET62aのドレイン・ソース間電流、I62bはダイオード62bに流れる電流、I61cは寄生容量61cに流れる電流、I62cは寄生容量62cに流れる電流、V61cは寄生容量61cの両電極間の電圧、及び、V62cは寄生容量62cの両電極間の電圧である。図5の横軸のtdは、MOSFET61aとMOSFET62aのデッドタイムである。
【0052】
図4及び図5において、期間T1にMOSFET61aがオフし、MOSFET62aがオンしているため、インダクタ電流I81は、短波線で示すように、MOSFET62aに流れる。期間T2にMOSFET61a,62aがオフし、長波線で示すように、MOSFET62aに流れていたインダクタ電流I81は、継続してスイッチングレグの交流端子N21に向かって流れ、それぞれインダクタ電流I81の1/2の電流で寄生容量62cを充電し、寄生容量61cを放電させる。寄生容量61cの電圧V61cがゼロまで放電完了と同時に、寄生容量62cの電圧V62cは、1次側直流電圧E1まで充電され、一点鎖線で示すように、期間T3にボディーダイオード61bが導通する。実線で示すように、期間T4にMOSFET61aがターンオンし、インダクタ電流I81がMOSFET61a又はボディーダイオード61bに流れる。
【0053】
MOSFET61aは、ターンオン時にドレイン・ソース間の電圧V61cがゼロになっていたため、MOSFET61aのターンオン時はZVS動作をする。一方で、MOSFET62aがターンオフの瞬間に電圧がゼロであり、長波線で示すように、MOSFET62aに流れていたインダクタ電流I81が寄生容量62cを充電する。MOSFET62aのドレイン・ソース間電圧V62cが緩やかに上昇し、寄生容量62cに電荷を蓄積するため、スイッチング損失は殆ど発生しない。寄生容量62cに蓄積された電荷は、MOSFET62aの次のターンオンする前のデッドタイムtd中に、MOSFET61aのターンオン時と同じ動作で、実線で示すインダクタ電流I81と逆方向で放出し、無駄な損失にはならない。
【0054】
インダクタ電流I81が上下対称であるため、MOSFET61aのターンオフ直前の電流の向きは、ターンオン直前の向きと逆であり、電流値が等しい。MOSFET61aのターンオフからMOSFET62aのターンオンまでの動作は、前記のソフトスイッチング動作と同じメカニズムであり、ハイサイドのスイッチ61とローサイドのスイッチ62のターンオン時のソフトスイッチング動作条件は同時に満足する。
【0055】
(実施例1の最適制御動作)
図6は、図1のDC/DCコンバータの動作例を示す波形図である。
【0056】
この図6には、図1中の制御装置100で生成した1次側駆動信号S1p〜S6p及び2次側駆動信号S1s〜S6sにより、1次側スイッチ61〜66と2次側スイッチ91〜96を駆動した時の1次側フルブリッジ部60内の交流端子N21〜N23上の三相矩形波電圧Vup,Vvp,Vwpと、2次側フルブリッジ部90内の交流端子N31〜N33上の三相矩形波電圧Vus/n,Vvs/n,Vws/nと、インダクタ81に印加された両電極間の電圧V81と、インダクタ81に流れるインダクタ電流I81と、の動作波形の例が示されている。三相矩形波電圧Vus/n,Vvs/n,Vws/nは、2次側の第4〜第6のスイッチングレグの交流端子N31〜N33から出力された矩形波を変圧器70の巻数比1/nで1次側に換算した矩形波である。
【0057】
なお、三相対称であるため、図面を見やすくするために、図6には、第1のスイッチングレグの交流端子N21に接続されたインダクタ81の両端電圧V81と電流I81のみが示されている。
【0058】
ハイサイドの1次側スイッチ61のターンオン時の電流はi81a、ターンオフ時の電流はi81cであり、ハイサイドの2次側スイッチ91のターンオン時の電流はi81b、ターンオフ時の電流はi81dである。1次側スイッチ61のターンオン時におけるソフトスイッチングの条件はi81a≦0、1次側スイッチ61のターンオフ時におけるソフトスイッチングの条件はi81c≧0、2次側スイッチ91のターンオン時におけるソフトスイッチングの条件はi81b≧0、1次側スイッチ61のターンオフ時におけるソフトスイッチングの条件はi81d≦0である。
【0059】
図7は、図1のソフトスイッチングの条件を満足するハイサイドの1次側スイッチ61,63,65とハイサイドの2次側スイッチ91,93,95とのソフトスイッチング動作範囲を示す図である。
【0060】
図7において、符号aは、ハイサイドの1次側スイッチ61,63,65におけるソフトスイッチングのターンオン時の境界、符号bは、ハイサイドの1次側スイッチ61,63,65におけるソフトスイッチングのターンオフ時の境界である。符号cは、ハイサイドの2次側スイッチ91,93,95におけるソフトスイッチングのターンオン時の境界、符号dは、ハイサイドの2次側スイッチ91,93,95におけるソフトスイッチングのターンオフ時の境界である。
【0061】
領域(1)は、ハイサイドの1次側スイッチ61,63,65のターンオン、ハイサイドの1次側スイッチ61,63,65のターンオフ、ハイサイドの2次側スイッチ91,93,95のターンオン、及び、ハイサイドの2次側スイッチ91,93,95のターンオフについて、全てソフトスイッチング可能(図7の表中の○印)な領域である。領域(2)〜(7)は、ハイサイドの1次側スイッチ61,63,65及びハイサイドの2次側スイッチ91,93,95におけるターンオン及びターンオフのいずれかが、ハードスイッチング(ソフトスイッチング不可、図7の表中の×印)の領域である。
【0062】
1次側と2次側の電圧比E2/nE1が1から離れる場合、1次側スイッチ61〜66のデューティδpを制御することで、軽負荷時のスイッチング動作範囲が拡大される。
【0063】
図8は、図1の1次側スイッチ61〜66におけるデューティδpがδp=2/3の時のハイサイドの1次側スイッチ61,63,65とハイサイドの2次側スイッチ91,93,95のソフトスイッチング動作範囲の例を示す図であり、図7中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0064】
本実施例1におけるDC/DCコンバータの制御装置100は、1次側スイッチ61〜66のディーティδpと2次側スイッチ91〜96のデューティδs(=1−δp)との和を1としている。そのため、主回路50のインダクタ81〜83の両電極間に印加される電圧の偶数次高調波電圧は、位相が反転され、インダクタ81〜83に、電圧より位相が遅れる高調波電流が流れる。この高調波電流は、基本波電圧に対して遅れているため、スイッチ61〜66,91〜96のスイッチング時における電流が正方向に流れる前に、電圧がゼロとなり、ZVS動作をする。
【0065】
但し、1次側スイッチ61〜66のデューティδpと2次側スイッチ91〜96のデューティδsとは、0.5から離れる程、変圧器70とインダクタ81〜83とスイッチ61〜66,91〜96とに流れる無効電流が増加し、変圧器70とインダクタ81〜83の銅損やスイッチ61〜66,91〜96の導通損失が増加し、ソフトスイッチング動作による効率改善の妨げになる。
【0066】
図9は、図1中の1次側スイッチ61〜66のデューティの変化による損失分析(即ち、スイッチング損失、導通損失、及びトータル損失の分析)の例を示す波形図である。図9の横軸は1次側デューティδp、及び縦軸は電力変換損失Plossである。
【0067】
この図9には、1次側と2次側の電圧比E2/nE1と転送電力を一定とした場合の1次側スイッチ61〜66における1次側デューティδpの変化による1次側スイッチ61〜66の導通損失111と、スイッチング損失112と、導通損失111及びスイッチング損失112を合計したトータル損失113と、の関係が示されている。横軸のδpcは、ZVS動作の臨界点における0.5からのデューティの偏差量である。A1点とA2点は、1次側スイッチ61〜66又は2次側スイッチ91〜96のZVS動作の臨界点であり、1次側デューティδp>0.5の領域又はδp<0.5の領域において、電力変換損失Plossが最小になる。
【0068】
本実施例1のDC/DCコンバータは、1次側と2次側の回路が対称的で、1次側スイッチ61〜66のデューティδpと2次側スイッチ91〜96のデューティδs(=1−δp)との和は1であり、デューティはδp>0.5の領域の時とδp<0.5の領域の時の動作も対称的であり、どちらかの領域で動作させても同じ効果が得られる。
【0069】
図9のA1点又はA2点に追従するための制御は、図1の制御装置100内の損失算出部101とデューティ制御部102とによって実行される。損失算出部101において、1次側検出部55及び2次側検出部98により検出された1次側検出電圧e1、1次側検出電流i1、2次側検出電圧e2、及び2次側検出電流i2を用いて、電力変換損失Plossを算出する。デューティ制御部102において、1次側スイッチ61〜66のデューティδpを0.5から0.5より大きい方向、又は、0.5より小さい方向に増減させ、損失算出部101にて計算された電力変換損失Plossが最小になるように、1次側デューティδpの増減制御を繰り返す。
【0070】
図10は、図1中の制御装置100による最小損失追従制御を示すフローチャートである。更に、図11は、1次側デューティがδp>0.5の領域において電力変換の最小損失点の追従制御の概念を示す図である。
【0071】
図11において、横軸は1次側デューティδp、縦軸は電力変換損失Plossである。トータル損失113は、図9に示すように、1次側デューティがδp>0.5の領域の曲線であり、1次側スイッチ61〜66におけるZVS動作の臨界点A1に向かって、左側が右斜め下方向B1に傾斜し、右側が左斜め下方向B2に傾斜している。図11中のΔδpは、デューティ制御の1ステップの制御量である。
【0072】
図10のフローチャートに従い、1次側デューティδpの増減制御処理を説明する。
図10のステップST1において、デューティ制御量で1ステップの制御量Δδpを図1中の損失算出部101にセットし、ステップST2へ進む。ステップST2において、損失算出部101は、1次側検出電圧e1、1次側検出電流i1、2次側検出電圧e2、及び2次側検出電流i2に基づき、初期値の1次側と2次側間の電力変換損失Ploss,0(=|e1*i1−e2*i2|)を計算し、ステップST3へ進む。ステップST3において、デューティ制御部102は、MLPT制御を開始し、デューティ0.5に対して1ステップの制御量Δδpを加算し、初期値のデューティδp,0(=0.5+Δδp)を求め、ステップST4へ進む。
【0073】
ステップST4において、損失算出部101は、1次側検出電圧e1、1次側検出電流i1、2次側検出電圧e2、及び2次側検出電流i2に基づき、今回の1次側と2次側間の電力変換損失Ploss,n(=|e1*i1−e2*i2|)を計算し、ステップST5へ進む。ステップST5において、デューティ制御部102は、今回の電力変換損失Ploss,nが、前回の1次側と2次側間の電力変換損失Ploss,n−1よりも小さいか否か(Ploss,n<Ploss,n−1)を判定し、小さいときには(Yes)、ステップST6へ進み、大きいときには(No)、ステップST8へ進む。
【0074】
ステップST6において、デューティ制御部102は、前回、1ステップの制御量Δδpを増加したか否かを判定し、増加しているときには(Yes)、ステップST7へ進み、増加していないときには(No)、ステップST9へ進む。ステップST7において、デューティ制御部102は、今回のデューティδp,nに対して1ステップの制御量Δδpを加算し、次回のデューティδp,n+1(=δp,n+Δδp)を求め、ステップST4へ戻る。
【0075】
ステップST8において、デューティ制御部102は、前回、1ステップの制御量Δδpを増加したか否かを判定し、増加しているときには(Yes)、ステップST9へ進み、増加していないときには(No)、ステップST7へ進む。ステップST9において、デューティ制御部102は、今回のデューティδp,nから1ステップの制御量Δδpを減算し、次回のデューティδp,n+1(=δp,n−Δδp)を求め、ステップST4へ戻る。
【0076】
このように、図10の最小損失追従制御処理では、1ステップの制御量Δδp毎にデューティδpを増減させ、増減前後の電力変換損失Plossを比較し、電力変換損失Plossが減少した場合は、デューティδpを前回の増減方向と同じ方向に1制御ステップ増減させ、電力変換損失Plossが増加した場合は、デューティδpを前回の増減方向と逆の方向に1制御ステップ増減させる。
【0077】
(実施例1の効果)
本実施例1のDC/DCコンバータの制御装置100及びその制御方法によれば、図7及び図8に示したように、1次側スイッチ61〜66のデューティδpと2次側スイッチ91〜96のデューティδs(=1−δp)とを制御することで、1次側と2次側の電圧比E2/nE1が1から離れていても、ZVS動作を成立させ、高効率に電力を伝送させることができる。更に、図10に示した最小電力変換損失点の追従制御により、全ての動作条件において高効率化が可能になる。
【実施例2】
【0078】
(実施例2の構成)
図12は、本発明の実施例2におけるDC/DCコンバータを示す構成図であり、実施例1を示す図1(a)中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0079】
本実施例2のDC/DCコンバータは、実施例1の主回路50とは構成の異なる主回路50Aと、実施例1と同様の制御装置100と、を備えている。本実施例2の主回路50Aには、実施例1のY−Y結線の三相変圧器70に代えて、Δ−Δ結線の三相変圧器70Aが設けられている。即ち、実施例1の変圧器70では、1次巻線71a〜71cと2次巻線72a〜72cとがY−Y結線になっている。これに対して、本実施例2の変圧器70Aでは、1次巻線71a〜71cと2次巻線72a〜72cとがΔ−Δ結線になっている。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0080】
(実施例2の動作)
本実施例2のDC/DCコンバータにおいて、2次側フルブリッジ部90で生成した三相矩形波が変圧器70Aを通してインダクタ部80に印加される電圧は、実施例1と同様である。そのため、実施例1と同等なZVS動作範囲が得られる。
【0081】
(実施例2の効果)
本実施例2のDC/DCコンバータによれば、実施例1に比べて、変圧器70Aの定格電力kVAは同じであるが、変圧器70Aに印加される電圧が大きく、電流が小さい。そのため、低電圧大電流の用途に対して本実施例2のDC/DCコンバータを使用すれば、最適な設計ができる。
【実施例3】
【0082】
(実施例3の構成)
図13は、本発明の実施例3におけるDC/DCコンバータを示す構成図であり、実施例1を示す図1(a)中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0083】
本実施例3のDC/DCコンバータは、実施例1の主回路50とは構成の異なる主回路50Bと、実施例1と同様の制御装置100と、を備えている。実施例1の主回路50において、外付けのインダクタ81〜83は、Y−Y結線の三相変圧器70から独立してこの変圧器70と直列に接続されている。これに対して、本実施例3の主回路50Bでは、実施例1と同様のY−Y結線の三相変圧器70の外部に、インダクタを使用せず、変圧器70の漏れインダクタを利用している。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0084】
(実施例3の動作)
本実施例3において、Y−Y結線の変圧器70の漏れインダクタは、等価的に変圧器70に直列に接続されるため、原理的に、実施例1の動作と全く同じである。そのため、実施例1と同等なZVS動作範囲が得られる。
【0085】
(実施例3の効果)
本実施例3のDC/DCコンバータによれば、実施例1に比べて、変圧器70の外部にインダクタを必要としないため、小型化、及び効率化が可能になる。
【実施例4】
【0086】
(実施例4の構成)
図14は、本発明の実施例4におけるDC/DCコンバータの主回路を示す構成図であり、実施例1を示す図1(a)中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0087】
本実施例4におけるDC/DCコンバータの主回路50Cでは、実施例1の主回路50に対して、Y−Y結線の三相変圧器70における1次側と2次側とに、直流遮断用のコンデンサ121〜123,131〜133がそれぞれ直列に接続されている。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0088】
(実施例4の動作・効果)
1次側スイッチ61〜66又は2次側スイッチ91〜96で発生した矩形波パルスは、変圧器70とインダクタ81〜83に印加される。各相の矩形波パルスのデューティが同じであれば、インダクタ81〜83の両電極側に印加される電圧の直流成分はゼロになる。ところで、各スイッチングレグにおけるスイッチ61〜66,91〜96の制御誤差や、スイッチ61〜66,91〜96のスイッチング遅れのばらつきにより、各スイッチングレグの交流端子N21〜N23,N31〜N33から出力される矩形波パルスのデューティはからなずしも同じではなく、それぞれの直流成分が同じではない。そのため、インダクタ81〜83の両電極側に印加される電圧に直流成分が残り、インダクタ81〜83や変圧器70は偏励磁され、飽和してしまう。
【0089】
そこで、本実施例4では、変圧器70の1次側と2次側に直列にコンデンサ121〜123,131〜133を挿入し、直流電圧を遮断している。これにより、インダクタ81〜83や変圧器70の偏励磁を防止でき、前記の問題を解決できる。
【0090】
(実施例1〜4の変形例)
本発明において、記載された実施例に対してのみ詳細に説明したが、本発明は、技術的思想の範囲で多彩な変形及び修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形及び修正が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
【0091】
本発明の変形及び修正例としては、例えば、次の(i)、(ii)のようなものがある。
【0092】
(i) 実施例4を示す図14中の直流遮断用のコンデンサ121〜123,131〜133は、実施例2を示す図12の主回路50Aや、実施例3を示す図13の主回路50Bに設けて良い。これにより、実施例4と同様の作用効果を奏することができる。
【0093】
(ii) 実施例1〜4では、双方向のDC/DCコンバータについて説明したが、本発明は、一方向のDC/DCコンバータにも適用できる。又、実施例1〜4では、三相用のDC/DCコンバータについて説明したが、本発明は、変換効率に影響する複数の制御パラメータを有する二相等の他の相のDC/DCコンバータの全てに適用が可能である。
【符号の説明】
【0094】
50,50A,50B,50C 主回路
55 1次側検出部
56,97 コンデンサ
60 1次側フルブリッジ部
61〜66 1次側スイッチ
70,70A 三相変圧器
80 インダクタ部
81〜83 インダクタ
90 2次側フルブリッジ部
91〜96 2次側スイッチ
98 2次側検出部
100 制御装置
101 損失算出部
102 デューティ制御部
103 位相制御部
104 1次側パルス変調器
105 2次側パルス変調器
121〜123,131〜133 コンデンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14