(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
肌対向面側に配された表面シートと、非肌対向面側に配された裏面シートと、これら両シート間に配された縦長の吸収体とを備え、該裏面シートと該吸収体との間に、色の変化により排尿を知らせるインジケーターが縦方向に連続的に配された使い捨ておむつであって、
前記表面シートは、2層を有するシートであり、
前記吸収体は、吸収ポリマーを含む吸収性コアを有し、該吸収性コアには、縦方向に延びる非積繊部が形成されており、
横方向に沿って断面視して、前記インジケーターは、厚さ方向にて、前記非積繊部と重なっており、
前記使い捨ておむつを前記表面シート側から色差計で測定した際、該使い捨ておむつのDRY時においては、前記インジケーター及び前記非積繊部を除く前記吸収性コアの位置での前記表面シートの色と、前記インジケーター及び前記非積繊部と重なる位置での前記表面シートの色とは、L*a*b*表色系における色差(ΔE*値)が8以下であり、該使い捨ておむつのWET時における前記インジケーター及び前記非積繊部と重なる位置での前記表面シートの色と、該使い捨ておむつのDRY時における該インジケーター及び該非積繊部と重なる位置での該表面シートの色とは、前記色差(ΔE*値)が32以下である使い捨ておむつ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の使い捨ておむつをその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本発明の第1実施形態である使い捨ておむつ1A(以下、「おむつ1A」ともいう。)は、
図1〜
図3に示すように、肌対向面側に配された表面シート2と、非肌対向面側に配された裏面シート3と、これら両シート2,3間に配された縦長の吸収体4とを備え、裏面シート3と吸収体4との間に、色の変化により排尿を知らせるインジケーター9が縦方向に連続的に配されている。
【0011】
ここで、「肌対向面」とは、おむつ1A又はその構成部材(例えば吸収性本体6)における、着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、「非肌対向面」とは、おむつ1A又はその構成部材における、着用時に着用者の肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。おむつ1Aにおいて、縦方向(X方向)は、おむつ1A又はその構成部材である縦長な吸収性本体6の長辺に沿う方向に一致し、横方向(Y方向)は、おむつ1A又はその構成部材である吸収性本体6の幅方向に一致する。
また、おむつ1Aは、縦方向(X方向)に延びる中心線CLに対して左右対称に形成されている。以下、具体的に、おむつ1Aについて説明する。
【0012】
おむつ1Aは、いわゆるパンツ型の使い捨ておむつであり、
図1〜
図3に示すように、表面シート2、裏面シート3及びこれら両シート2,3間に配された吸収体4を具備する吸収性本体6と、吸収性本体6の非肌対向面側に位置して吸収性本体6を固定する外装体7とを備えている。吸収性本体6の縦方向(X方向)に沿う両側部には、縦方向(X方向)に伸長状態で配された弾性部材51を有する側方カフス5,5が設けられている。おむつの着用時には、弾性部材51の収縮により側方カフス5の自由端部側が起立し、所謂立体ギャザーとなり、横方向(Y方向)への体液の流出が阻止される。
おむつ1Aは、
図1,
図2に示すように、その縦方向(X方向)に、腹側領域A、股下領域C及び背側領域Bに区分されている。おむつ1Aの腹側領域Aは、着用時に、着用者の腹側に配される部位であり、背側領域Bは、着用者の背側に配される部位であり、股下領域Cは、着用者の股間に配される部位である。
おむつ1Aには、
図1に示すように、外装体7の腹側領域A側の両側縁部と背側領域B側の両側縁部とが合掌状に接合されることによって、一対のサイドシール部S,S、ウエスト開口部WO及び一対のレッグ開口部LO,LOが形成されている。
【0013】
表面シート2は、2層を有するシートである。即ち、表面シート2は、2層以上の複数層の積層シートであり、積層シートとしては、例えば、不織布となる前の複数の繊維ウエブを重ね合わせ互いの繊維どうしを熱融着してなるエアースルー不織布、或いは複数枚の不織布を重ね合わせ互いに多数の接合部にて部分的に接合してなる積層シート等が挙げられる。おむつ1Aの表面シート2は、2つの繊維ウエブを重ね合わせ互いの繊維どうしを熱融着してなるエアースルー不織布である。また、おむつ1Aの表面シート2は、フラットな構造の積層不織布である。
【0014】
おむつ1Aの表面シート2は、肌対向面側の繊維密度(D1)が、非肌対向面側の繊維密度(D2)に比べて高くなっている。非肌対向面側の繊維密度(D2)に対する肌対向面側の繊維密度(D1)の比(D1/D2)は、液吸収性の観点から、好ましくは1.1以上10以下であり、更に好ましくは1.2以上5以下である。上述したように、おむつ1Aの表面シート2は、2つの繊維ウエブから形成されたエアースルー不織布であるので、肌対向面側の繊維密度(D1)とは2層の内の上層21の繊維密度を意味し、非肌対向面側の繊維密度(D2)とは2層の内の下層22の繊維密度を意味する。尚、3つ以上の繊維ウエブから形成されたエアースルー不織布の場合には、肌対向面側の繊維密度(D1)とは3層以上の層の内の最も肌対向面側の層の繊維密度を意味し、非肌対向面側の繊維密度(D2)とは該最も肌対向面側の層を除く他の層の繊維密度を意味する。後述する坪量に関しても繊維密度と同様である。
【0015】
具体的に、肌対向面側の繊維密度(D1)は、好ましくは0.01g/cm
3以上、更に好ましくは0.02g/cm
3以上であり、好ましくは0.1g/cm
3以下、更に好ましくは0.05g/cm
3以下であり、例えば、0.01g/cm
3以上0.1g/cm
3以下であることが好ましく、0.02g/cm
3以上0.05g/cm
3以下であることが更に好ましい。
また、肌対向面側の層の坪量は、好ましくは5g/m
2以上、更に好ましくは10g/m
2以上であり、好ましくは30g/m
2以下、更に好ましくは25g/m
2以下であり、例えば、5g/m
2以上30g/m
2以下であることが好ましく、10g/m
2以上25g/m
2以下であることが更に好ましい。
【0016】
非肌対向面側の繊維密度(D2)は、好ましくは0.005g/cm
3以上、更に好ましくは0.01g/cm
3以上であり、好ましくは0.05g/cm
3以下、更に好ましくは0.04g/cm
3以下であり、例えば、0.005g/cm
3以上0.05g/cm
3以下であることが好ましく、0.01g/cm
3以上0.04g/cm
3以下であることが更に好ましい。
また、非肌対向面側の層の坪量は、好ましくは5g/m
2以上、更に好ましくは8g/m
2以上であり、好ましくは15g/m
2以下、更に好ましくは13g/m
2以下であり、例えば、5g/m
2以上15g/m
2以下であることが好ましく、8g/m
2以上13g/m
2以下であることが更に好ましい。
肌対向面側の繊維密度(D1)及び非肌対向面側の繊維密度(D2)並びに肌対向面側の層の坪量及び非肌対向面側の層の坪量は以下のようにして測定する。
【0017】
<繊維密度及び坪量の測定方法>
荷重がかかっていない状態のおむつ1Aから、表面シート2を50mm×100mm(面積5000mm
2)の長方形状に切り出して測定用サンプルを作製する。画像解析装置を用いて、荷重がかかっていない状態で測定用サンプルの断面を観察し、各層の厚みを測定する。次いで、測定用サンプルを構成する各層を分離し、各層の重量を求める。そして、各層の重量を、各層の体積(厚み×測定用サンプルの面積)で除して、各層の繊維密度を算出する。また、各層の重量を、測定用サンプルの面積で除して、各層の坪量を算出する。画像解析装置としては、例えば、日本電子株式会社製の査型電子顕微鏡(型番JCM−5100)を用いることができる。
【0018】
また、おむつ1Aの表面シート2は、肌対向面側の繊維の繊度が、非肌対向面側の繊維の繊度に比べて低くなっている。肌対向面側の繊維の繊度は、好ましくは1.0dtex以上、更に好ましくは1.5dtex以上であり、好ましくは5.0dtex以下、更に好ましくは4.0dtex以下であり、例えば、1.0dtex以上5.0dtex以下であることが好ましく、1.5dtex以上4.0dtex以下であることが更に好ましい。また、非肌対向面側の繊維の繊度は、好ましくは2.0dtex以上、更に好ましくは3.0dtex以上であり、好ましくは10dtex以下、更に好ましくは8.0dtex以下であり、例えば、2.0dtex以上10dtex以下であることが好ましく、3.0dtex以上8.0dtex以下であることが更に好ましい。肌対向面側の繊維の繊度及び非肌対向面側の繊維の繊度は以下のようにして測定する。
【0019】
<繊維の繊度の測定方法>
荷重がかかっていない状態のおむつ1Aから、表面シート2を50mm×100mm(面積5000mm
2)の長方形状に切り出して測定用サンプルを作製する。次いで、肌対向面側の繊維の繊度に関しては、測定用サンプルを断面視して、測定用サンプルの肌対向面から10mm間隔を空けた位置での標準的な繊維10本を対象として繊維太さを、電子顕微鏡を用いて実測し、繊維太さ平均値Dn(μm)を算出する。次いで、示差走査熱量測定器(DSC)を用いて、前記肌対向面から10mm間隔を空けた位置での標準的な繊維の構成樹脂を特定し、理論繊維密度Pn(g/cm
3)を求める。得られた繊維太さ平均値Dn(μm)及び理論繊維密度Pn(g/cm
3)から、繊維長さ10,000m当たりの重さ(g)を算出して、この算出された値を肌対向面側の繊維の繊度(dtex)とする。非肌対向面側の繊維の繊度に関しては、測定用サンプルを断面視して、測定用サンプルの非肌対向面から10mm間隔を空けた位置での標準的な繊維10本を対象として、肌対向面側の繊維の繊度と同様にして測定する。
【0020】
また、おむつ1Aの表面シート2は、肌対向面側に酸化チタンを含有している。そして、おむつ1Aの表面シート2においては、この肌対向面側の酸化チタンの含有量が、非肌対向面側の酸化チタンの含有量に比べて多くなっている。おむつ1Aの表面シート2は、2つの繊維ウエブから形成されたエアースルー不織布であるので、肌対向面側の酸化チタンの含有量とは2層の内の上層21の酸化チタンの含有量を意味し、非肌対向面側の酸化チタンの含有量とは2層の内の下層22の酸化チタンの含有量を意味する。尚、3つ以上の繊維ウエブから形成されたエアースルー不織布の場合には、肌対向面側の酸化チタンの含有量とは3層以上の層の内の最も肌対向面側の層の酸化チタンの含有量を意味し、非肌対向面側の酸化チタンの含有量とは該最も肌対向面側の層を除く他の層の酸化チタンの含有量を意味する。具体的に、おむつ1Aの表面シート2における肌対向面側の上層21の酸化チタンの含有量は、上層21の全量に対して、好ましくは0.5質量%以上15質量%以下であり、更に好ましくは1.0質量%以上10質量%以下である。また、おむつ1Aの表面シート2における非肌対向面側の下層22の酸化チタンの含有量は、下層22の全量に対して、好ましくは0.05質量%以上1.0質量%以下であり、更に好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下である。
【0021】
おむつ1Aにおいては、
図3に示すように、表面シート2は、吸収体4の肌対向面側を被覆するとともに、その両側端部が、吸収体4の非肌対向面側に折り返されており、該非肌対向面側において、裏面シート3及び側方カフス5に接着剤或いはシール等の公知の接合手段により接合固定されている。
【0022】
吸収体4は、
図2,
図3に示すように、吸収ポリマーを含む吸収性コア40を有している。具体的には、おむつ1においては、吸収体4は、縦方向(X方向)に長い吸収性コア40及び吸収性コア40を被覆するコアラップシート41を有している。コアラップシート41は、吸収性コア40の肌対向面及び非肌対向面を被覆している。
【0023】
また、吸収性コア40には、
図2,
図3に示すように、縦方向(X方向)に延びる非積繊部42が形成されている。具体的には、非積繊部42が、吸収性コア40の股下領域Cにおける横方向(Y方向)中央部(中心線CLを含む部分)に形成されており、中心線CLに沿って縦方向(X方向)に長い矩形状に形成されている。ここで、非積繊部42とは、吸収性コア40を形成する材料(コア形成材料)が全く存在しない貫通口であることが好ましいが、他の領域よりも少ない量のコア形成材料が20g/m
2程度に若干存在している場合も、同様な効果を奏しうるため、非積繊部に含めることとする。非積繊部42の幅は、3.0mm以上30mm以下程度であることが好ましい。
【0024】
また、おむつ1Aにおいては、
図2及び
図3に示すように、吸収体4の縦方向(X方向)に延びる両側縁部に沿って、吸収性コア40の側部部分を立ち上げるための弾性部材43が配されている。おむつ1Aの弾性部材43は、吸収性コア40を被覆するコアラップシート41の内面側又は外面側に配され、吸収性コア40の縦方向(X方向)に沿う両側縁に沿って伸長状態で配されており、腹側領域A及び背側領域Bに両端部が固定されている。
【0025】
また、おむつ1Aにおいては、コアラップシート41は、吸収性コア40の肌対向面と吸収性コア40の非肌対向面とで、接着剤により固定されているが、非積繊部42においては、接着剤が塗工されておらず、固定されていない。具体的には、非積繊部42を除く吸収性コア40の肌対向面と非積繊部42を除く吸収性コア40の非肌対向面とに、接着剤が塗工されており、それらの塗工部分でコアラップシート41と固定されている。しかし、非積繊部42の部分には接着剤が塗工されておらず、非積繊部42においては、吸収性コア40の肌対向面側のコアラップシート41と、吸収性コア40の非肌対向面側のコアラップシート41とが固定されておらず、非積繊部42に空間が形成され易くなっている。
【0026】
また、おむつ1Aにおいては、
図3に示すように、表面シート2と吸収体4とは接着剤8で固定されており、横方向に沿って断面視して、接着剤8は、厚さ方向にて、非積繊部42の縦方向(X方向)に沿う両側縁よりも横方向(Y方向)外方に配されている。具体的には、非積繊部42を除く吸収性コア40の肌対向面に対応する吸収体4の肌対向面に接着剤8が塗工されており、非積繊部42に対応する吸収体4の肌対向面の部分には接着剤が塗工されていない。従って、非積繊部42を除く吸収性コア40の肌対向面に対応する吸収体4の肌対向面と、表面シート2の非肌対向面とが接着剤8を介して固定されており、非積繊部42に対応する吸収体4の肌対向面の部分と、表面シート2の非肌対向面とは接着剤8を介して固定されておらず、非積繊部42に空間が形成され易くなっている。
【0027】
おむつ1は、
図3に示すように、横方向(Y方向)に沿って断面視して、インジケーター9が、厚さ方向にて、非積繊部42と重なっている。具体的には、インジケーター9は、
図3に示すように、横方向(Y方向)において、横方向(Y方向)中央に配され、非積繊部42の幅の範囲内に配されており、非積繊部42と重なっている。インジケーター9は、
図2に示すように、縦方向(X方向)において、非積繊部42に沿って形成されており、非積繊部42の腹側領域A側の端部及び背側領域B側の端部それぞれを越えて延在している。おむつ1Aにおけるインジケーター9は、吸収体4のコアラップシート41と裏面シート3との間に配されており、裏面シート3の肌対向面上に配されている。インジケーター9の色の変化は、裏面シート3及び外装体7越しに外部から視認可能になっている。
【0028】
更に詳述すると、おむつ1Aのインジケーター9は、中心線CLに対称に並列して配された2本の細長い線状のものであり、これら2本の細長い線状のインジケーター9それぞれが、縦方向(X方向)において、股下領域Cを越えて腹側領域A及び背側領域Bに至るまで直線状に配されている。尚、おむつ1Aのインジケーター9は、縦方向(X方向)においては、股下領域Cを越えて腹側領域A及び背側領域Bに至るまで直線状に配されているが、非積繊部42の縦方向(X方向)の範囲に亘ってのみ配されていてもよく、吸収性コア40の縦方向(X方向)の全長に亘って配されていてもよい。
【0029】
また、おむつ1Aにおいては、
図2及び
図3に示すように、吸収性本体6の縦方向(X方向)に沿う側部に設けられた側方カフス5に、自由端近傍に伸長状態で固定された弾性部材51以外に、側方カフス5の固定端と自由端との間に、縦方向(X方向)に伸長状態で固定されたカフス中間弾性部材52が配されている。おむつ1Aにおいては、
図3に示すように、側方カフス5として、所定幅の帯状のシートの1枚を、その縦方向(X方向)に沿って二つ折りして、相対向する層間をホットメルト型接着剤又は部分的な熱シール若しくは超音波シール等で接合した2層構造のシートを用いており、前述した弾性部材51及びカフス中間弾性部材52は、この2層構造のシート間に伸長状態で固定されている。
【0030】
以上のように構成された吸収性本体6は、その縦方向(X方向)を、展開かつ伸長状態におけるおむつ1Aの縦方向(X方向)に一致させて、外装体5の中央部に、接着剤によって接合されている。このように、外装体5は、おむつ1Aの厚さ方向における、吸収性本体6を構成する裏面シート3の非肌対向面側に配されて接着固定されている。
【0031】
外装体7は、おむつ1Aにおいては、
図2,
図3に示すように、2枚の外装体形成用シート71,72と、これら2枚のシート71,72間に伸長状態で固定された各部の弾性部材とからなる。即ち、2枚の外装体形成用シート71,72間には、ウエスト開口部WOの周縁部にウエストギャザーを形成するウエスト部弾性部材73,レッグ開口部LOの周縁部にレッグギャザーを形成するレッグ部弾性部材74,及び胴回り部D(ウエスト開口部WOの周縁端から下方に20mm離間した位置からレッグ開口部LOの上端までの領域)に左右に分割された状態の胴回りギャザーを形成する胴回り弾性部材75が、それぞれ伸長状態で、ホットメルト型接着剤等の任意の接合手段により接合固定されている。
外装体形成用シート71,72は、その縦方向(X方向)に関し、これら2枚のシートのうちの一方又は双方が、ウエスト開口部WOの周縁部において折り返され、その折り返された部分が、吸収性本体6の前後端における吸収性本体6の肌対向面側に固定されている。
【0032】
以上のように構成されたおむつ1Aは、表面シート2側から色差計で測定した際、使い捨ておむつのDRY時においては、インジケーター9及び非積繊部42を除く吸収性コア40の位置での表面シート2の色と、インジケーター9及び非積繊部42と重なる位置での表面シート2の色とは、L
*a
*b
*表色系における色差(ΔE
*値)が、8以下である。即ち、使い捨ておむつのDRY時における前記色差(ΔE
*値)とは、使い捨ておむつのDRY時において、インジケーター9及び非積繊部42を除く吸収性コア40の位置での表面シート2のL
*a
*b
*表色系で表した色と、インジケーター9及び非積繊部42と重なる位置での表面シート2のL
*a
*b
*表色系で表した色との差を意味する。
【0033】
そして、表面シート2側から色差計で測定した際、使い捨ておむつのWET時におけるインジケーター9及び非積繊部42と重なる位置での表面シート2の色と、使い捨ておむつのDRY時におけるインジケーター9及び非積繊部42と重なる位置での表面シート2の色とは、色差(ΔE
*値)が、32以下である。即ち、使い捨ておむつのDRY時における前記色差(ΔE
*値)とは、使い捨ておむつのWET時におけるインジケーター9及び非積繊部42と重なる位置での表面シート2のL
*a
*b
*表色系で表した色と、使い捨ておむつのDRY時におけるインジケーター9及び非積繊部42と重なる位置での表面シート2のL
*a
*b
*表色系で表した色との差を意味する。
【0034】
色差計としては、日本電色工業株式会社製の簡易型分光色差計NF333(商品名)等を用いることができる。JIS−Z−8729に規定する「L
*a
*b
*表色系」では、L
*は明るさを、a
*、b
*は色の方向を示しており、a
*は略赤方向、−a
*は略緑方向、b
*は略黄色方向、−b
*は略青方向を示している。そして、ΔE
*は、下記式(1)で求められる値である。
ΔE
*=[(ΔL
*)
2+(Δa
*)
2+(Δb
*)
2]
1/2・・・(1)
ここで、ΔL
*、Δa
*、Δb
*は、それぞれ、2色間のL
*値、a
*値、b
*値の差である。例えばΔL
*は、ΔL
*=L
*2−L
*1により計算される。
上記簡易型分光色差計NF333による計測方法においては、ステープラータイプにてφ4mmのND110センサーを取り付けておき、該センサーの先端部にはOリング(小)を用い、光源C/2、視野角2°で計測する。測定時のサンプルは使い捨ておむつを展開して引き伸ばした状態で、表面シート2側から、表面シート2にセンサーの先端部を接触させ、表面シート2とセンサー先端部の間に隙間が生じないように押し当てて計測する。尚、測定は5回行い、その平均を測定値とする。
【0035】
上述した「使い捨ておむつのDRY時」とは、使用前のおむつ1Aを意味する。また、上述した「使い捨ておむつのWETY時」とは、展開して引き伸ばした状態のおむつ1Aに対して、200mlの生理食塩水を表面シート2側から注入し、注入後5分経過後の状態のおむつ1Aを意味する。
【0036】
おむつ1Aの各部の形成材料について説明する。
吸収性本体6を構成する裏面シート3、吸収体4及び側方カフス5等としては、パンツ型使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられている各種のもの等を特に制限なく用いることができる。例えば、裏面シート3としては、透湿性の樹脂フィルム等を用いることができる。吸収体4の吸収性コア40としては、吸収性ポリマーの粒子及び繊維材料から構成されたものを用いることができ、コアラップシート41としては、ティッシュペーパー等を用いることができる。尚、吸収性コア40の坪量は、200g/m
2以上700g/m
2以下程度である。また吸収性コア40の厚みは、荷重がかかっていない状態で。1mm以上30mm以下程度である。また、側方カフス5としては、撥水性の単層又は多層構造の不織布等を用いることができる。
【0037】
外装体7を構成する2枚の外装体形成用シート71,72としては、スパンボンド不織布、エアースルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、メルトブローン不織布等からなる単層の不織布又は2層以上の積層不織布等を用いることができる。尚、2枚の外装体形成用シート71,72とで、異なるシート材を用いてもよい。
【0038】
弾性部材(弾性部材43、弾性部材51、カフス中間弾性部材52、ウエスト部弾性部材73、レッグ部弾性部材74、胴回り弾性部材75等)としては、例えば、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等を挙げることができる。弾性部材の形態としては、断面が矩形、正方形、円形、楕円形又は多角形状等の糸状(糸ゴム等)、若しくは紐状(平ゴム等)のもの、又はマルチフィラメントタイプの糸状のもの等を好ましく用いることができる。
【0039】
接着剤8、各部材を固定する接着剤、及び外装体7及び吸収性本体6等を固定する接着剤としては、パンツ型使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられている各種のホットメルト接着剤等を特に制限なく用いることができる。
【0040】
サイドシール部Sは、外装体7の腹側領域A側の両端部と外装体7の背側領域B側の両端部とを重ねて、その部分に熱エンボス加工を施すことにより形成されている。また、サイドシール部Sを形成する加工として、熱エンボス加工に代えて、超音波シール、レーザー等を採用することもできる。
【0041】
インジケーター9は、例えばホットメルト組成物から構成されており、ホットメルト組成物としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。インジケーター9の坪量は、5g/m
2以上50g/m
2以下程度である。
【0042】
上述したおむつ1Aを使用した際の作用効果について説明する。
おむつ1Aは、
図2,
図3に示すように、吸収性コア40に縦方向(X方向)に延びる非積繊部42が形成されているので、おむつ着用中の排尿に対する吸収性が向上し、おむつ着用時のフィット性が向上する。特に、おむつ1Aには、弾性部材43が吸収性コア40の縦方向(X方向)に沿う両側縁に沿って伸長状態で配されているので、おむつ着用中に吸収性コア40の側部部分が立ち上げり易く、着用時のフィット性が更に向上する。
【0043】
また、おむつ1Aは、
図2,
図3に示すように、表面シート2が2層有するシートであり、インジケーター9が、吸収体4のコアラップシート41と裏面シート3との間に配されており、横方向(Y方向)に沿って断面視して、厚さ方向にて非積繊部42と重なっている。そして、表面シート2側から色差計で測定した際、使い捨ておむつのDRY時においては、インジケーター9及び非積繊部42を除く吸収性コア40の位置と、インジケーター9及び非積繊部42と重なる位置での表面シート2の色の色差(ΔE
*値)が8以下である。従って、排尿前にインジケーター9が表面シート2を透過して視認され難く、排尿したと勘違いされ難くなっている。更に、インジケーター9が、吸収体4のコアラップシート41と裏面シート3との間に配されており、表面シート2側から色差計で測定した際、使い捨ておむつのWET時においては、インジケーター9及び非積繊部42と重なる位置での使用前後での表面シート2の色の色差(ΔE
*値)が32以下である。従って、インジケーター9の色の変化は、裏面シート3及び外装体7越しに外部から視認し易くなっているが、排尿後に変色したインジケーター9が表面シート2を透過して視認され難くなっており、排尿後の表面シート側からの使い捨ておむつの印象を改善することができる。
【0044】
また、おむつ1Aは、肌対向面側の繊維密度(D1)が、非肌対向面側の繊維密度(D2)に比べて高くなっている。その為、非積繊部42が形成された吸収性コア40への排尿の吸収性を向上させると共に、排尿後に変色したインジケーター9が表面シート2を透過して更に視認され難くなっており、排尿後の表面シート側からの使い捨ておむつの印象を更に改善することができる。特に、おむつ1Aは、肌対向面側の繊維の繊度が、非肌対向面側の繊維の繊度に比べて低くなっている。その為、排尿後に変色したインジケーター9が表面シート2を透過して更に視認され難くなっており、排尿後の表面シート側からの使い捨ておむつの印象を更に改善することができる。
【0045】
また、おむつ1Aは、肌対向面側に酸化チタンを含有しており、肌対向面側の酸化チタンの含有量が、非肌対向面側の酸化チタンの含有量に比べて多くなっている。その為、排尿後に変色したインジケーター9が表面シート2を透過して更に視認され難くなっており、排尿後の表面シート側からの使い捨ておむつの印象を更に改善することができる。
【0046】
また、おむつ1Aは、
図3に示すように、表面シート2と吸収体4とを固定する接着剤8が、非積繊部42の縦方向(X方向)に沿う両側縁よりも横方向(Y方向)外方に配されており、非積繊部42を除く吸収性コア40の肌対向面に対応する吸収体4の肌対向面と、表面シート2の非肌対向面とが接着剤8を介して固定されており、非積繊部42に対応する吸収体4の肌対向面の部分と、表面シート2の非肌対向面とは接着剤8を介して固定されていない。その為、着用時に表面シート2を引っ張る力が生じると、非積繊部42に空間が形成され易く、おむつ着用中の排尿に対する吸収性が更に向上すると共に、排尿後に変色したインジケーター9が表面シート2を透過して更に視認され難くなっており、排尿後の表面シート側からの使い捨ておむつの印象を更に改善することができる。特に、おむつ1Aにおいては、コアラップシート41と吸収性コア40とを固定する接着剤が、非積繊部42の部分においては塗工されておらず、非積繊部42においては、吸収性コア40の肌対向面側のコアラップシート41と、吸収性コア40の非肌対向面側のコアラップシート41とが固定されておらず、非積繊部42に空間が形成され易くなっている。その為、上記効果が更に奏されるようになる。また、おむつ1Aにおいては、一対の側方カフス5,5に、縦方向(X方向)に伸長状態で固定された弾性部材51及びカフス中間弾性部材52が配され、また、吸収体4の両側縁部に縦方向(X方向)に伸長状態で固定された弾性部材43が配されているので、吸収性コア40の側部部分が持ち上がり易く、非積繊部42に空間が形成され易くなっており、上記効果が更に奏されるようになる。
【0047】
次に、本発明の第2実施形態の使い捨ておむつ1B(以下、「おむつ1B」ともいう。)、本発明の第3実施形態の使い捨ておむつ1C(以下、「おむつ1C」ともいう。)について説明する。おむつ1B,1Cについては、第1実施形態のおむつ1Aと異なる点について主として説明し、同様の点については同一の符号を付して説明を省略する。特に言及しない点については、おむつ1Aに関する説明が適宜適用される。また、おむつ1B,1Cの効果については、おむつ1Aの効果と異なる点について説明し、特に説明しない点は、おむつ1Aの効果と同様であり、おむつ1Aの効果の説明が適宜適用される。
【0048】
第2実施形態のおむつ1Bにおいては、
図4,
図5に示すように、表面シート2と吸収体4との間に、非積繊部42よりも幅の広い液透過性のサブレイヤー10を備えている。おむつ1Bを、
図5に示すように、横方向(Y方向)に沿って断面視して、サブレイヤー10は、厚さ方向にて、非積繊部42及びインジケーター9と重なっている。具体的には、表面シート2とは別体の液透過性のサブレイヤー10が、表面シート2と吸収体4との間に配されている。サブレイヤー10は、縦方向(X方向)に長い矩形状のシートであり、縦方向(X方向)においては、吸収性コア40の非積繊部42の長さよりも長く、吸収性コア40の長さよりも短いシートである。また、サブレイヤー10は、横方向(Y方向)においては、非積繊部42よりも幅が広く、吸収性コア40の幅よりも狭いシートである。
【0049】
サブレイヤー10は、おむつ1Bにおいては、その繊維密度(D3)が、表面シート2の肌対向面側の繊維密度(D1)及び非肌対向面側の繊維密度(D2)に比べて低くなっている。言い換えれば、おむつ1Bにおいては、表面シート2の肌対向面側の繊維密度(D1)、表面シート2の非肌対向面側の繊維密度(D2)、及びサブレイヤー10の繊維密度(D3)の中で、肌対向面側の繊維密度(D1)が最も高くなっており、サブレイヤー10の繊維密度(D3)が最も低くなっている。サブレイヤー10の繊維密度(D3)に対する肌対向面側の繊維密度(D1)の比(D1/D3)は、液拡散性が良くなる観点から、好ましくは1.05以上10以下であり、更に好ましくは1.1以上5.0以下である。具体的に、サブレイヤー10の繊維密度(D3)は、好ましくは0.01g/cm
3以上、更に好ましくは0.02g/cm
3以上であり、好ましくは0.1g/cm
3以下、更に好ましくは0.05g/cm
3以下であり、例えば、0.01g/cm
3以上0.1g/cm
3以下であることが好ましく、0.02g/cm
3以上0.05g/cm
3以下であることが更に好ましい。また、サブレイヤー10の坪量は、好ましくは20g/m
2以上、更に好ましくは30g/m
2以上であり、好ましくは100g/m
2以下、更に好ましくは80g/m
2以下であり、例えば、20g/m
2以上100g/m
2以下であることが好ましく、30g/m
2以上80g/m
2以下であることが更に好ましい。サブレイヤー10の繊維密度(D3)及び坪量は以下のようにして測定する。
【0050】
<サブレイヤーの繊維密度及び坪量の測定方法>
荷重がかかっていない状態のおむつ1Aから、サブレイヤー10を50mm×100mm(面積5000mm
2)の長方形状に切り出して測定用サンプルを作製する。画像解析装置を用いて、荷重がかかっていない状態で測定用サンプルの断面を観察し、各層の厚みを測定する。次いで、測定用サンプルの重量を求める。そして、測定用サンプルの重量を、測定用サンプルの体積(厚み×測定用サンプルの面積)で除して、測定用サンプルの繊維密度を算出する。また、測定用サンプルの重量を、測定用サンプルの面積で除して、各層の坪量を算出する。
【0051】
また、サブレイヤー10は、おむつ1Bにおいては、その繊度が、表面シート2の肌対向面側の繊維の繊度及び非肌対向面側の繊維の繊度に比べて高くなっている。言い換えれば、おむつ1Bにおいては、表面シート2の肌対向面側の繊維の繊度)、表面シート2の非肌対向面側の繊維の繊度、及びサブレイヤー10の繊維の繊度の中で、肌対向面側の繊維の繊度が最も低くなっており、サブレイヤー10の繊維の繊度が最も高くなっている。サブレイヤー10の繊維の繊度は、不織布厚みと剛性を高くする観点から、好ましくは3dtex以上、更に好ましくは5dtex以上であり、好ましくは12dtex以下、更に好ましくは10dtex以下であり、例えば、3dtex以上12dtex以下であることが好ましく、5dtex以上10dtex以下であることが更に好ましい。サブレイヤー10の繊維の繊度は以下のようにして測定する。
【0052】
<サブレイヤーの繊維の繊度の測定方法>
荷重がかかっていない状態のおむつ1Aから、サブレイヤー10を50mm×100mm(面積5000mm
2)の長方形状に切り出して測定用サンプルを作製する。次いで、測定用サンプルを断面視して、測定用サンプルの10か所の位置での標準的な繊維を対象として繊維太さを、電子顕微鏡を用いて実測し、繊維太さ平均値Dn(μm)を算出する。次いで、示差走査熱量測定器(DSC)を用いて、前記10か所の位置での標準的な繊維の構成樹脂を特定し、理論繊維密度Pn(g/cm
3)を求める。得られた繊維太さ平均値Dn(μm)及び理論繊維密度Pn(g/cm
3)から、繊維長さ10,000m当たりの重さ(g)を算出して、この算出された値をサブレイヤーの繊維の繊度(dtex)とする。
【0053】
また、おむつ1Bにおいては、表面シート2の肌対向面側の酸化チタンの含有量が、非肌対向面側の酸化チタンの含有量及びサブレイヤー10の酸化チタンの含有量に比べて多くなっている。サブレイヤー10の酸化チタンの含有量は、多量に含有させると繊維の剛性が低くなる観点から、サブレイヤー10の全量に対して、好ましくは0.05質量%以上1.0質量%以下であり、更に好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下である。
【0054】
以上のように構成されたおむつ1Bは、表面シート2側から色差計で測定した際、使い捨ておむつのDRY時においては、インジケーター9及び非積繊部42を除く吸収性コア40の位置での表面シート2の色と、インジケーター9及び非積繊部42と重なる位置での表面シート2の色とは、L
*a
*b
*表色系における色差(ΔE
*値)が、8以下であり、5以下であることが好ましい。そして、表面シート2側から色差計で測定した際、使い捨ておむつのWET時におけるインジケーター9及び非積繊部42と重なる位置での表面シート2の色と、使い捨ておむつのDRY時におけるインジケーター9及び非積繊部42と重なる位置での表面シート2の色とは、色差(ΔE
*値)が、32以下であり、27以下であることが好ましい。
【0055】
第2実施形態のおむつ1Bにおいては、
図5に示すように、上述したサブレイヤー10が配されているので、おむつ着用中の排尿に対する吸収性が更に向上する。また、排尿前にインジケーター9が表面シート2及びサブレイヤー10を透過して視認され難く、排尿したと勘違いされ難くなっている。そして、排尿後に変色したインジケーター9が表面シート2及びサブレイヤー10を透過して視認され難くなっており、排尿後の表面シート側からの使い捨ておむつの印象を改善することができる。
【0056】
次に、第3実施形態のおむつ1Cにおいては、
図6,
図7に示すように、表面シート2が、上層不織布23及び下層不織布24の2枚の不織布を重ね合わせ互いに多数の接合部25にて部分的に接合してなる積層シートであり、凹凸構造の積層不織布である。上層不織布23は、
図7に示すように、接合部25以外の部分において着用者の肌側に向けて突出しており、内部が空洞となっている多数の凸部231を形成している。凸部231及び接合部25は、交互に、且つ縦方向(X方向)及び横方向(Y方向)に多列をなすように配置されている。上層不織布23及び下層不織布24は、実質的に伸縮しない不織布からなる。凸部231は、全体として稜線が丸みを帯びた扁平な直方体又は截頭四角錐体となっており、一方、接合部25は矩形となっている。凹凸構造の積層不織布の凸部231は、縦方向(X方向)の長さが2mm以上5mm以下程度であり、横方向(Y方向)の長さが2mm以上5mm以下程度であり、高さが0.5mm以上3.0mm以下程度であることが好ましい。おむつ1Cの表面シート2においては、上層不織布23が、吸収体4の肌対向面を被覆する領域にのみ配されている。そして、下層不織布24が、吸収体4の肌対向面側を被覆するとともに、その両側端部が、吸収体4の非肌対向面側に折り返されており、吸収体4の非肌対向面側も被覆している。このような凹凸構造の積層不織布は、例えば、上層不織布23を、互いに噛み合う凹凸ロール間に挿通する等の方法により、凹凸形状に賦形した後、下層不織布24上に重ね、上層不織布23の凹部において両不織布を、熱融着等により部分的に接合して製造することができる。
【0057】
おむつ1Cの表面シート2は、上層不織布23の繊維密度(D4)が、下層不織布24の繊維密度(D5)に比べて低くなっている。下層不織布24の繊維密度(D5)に対する上層不織布23の繊維密度(D4)の比(D4/D5)は、クッション性と柔らかさ向上の観点から、好ましくは1.1以上10以下であり、更に好ましくは1.2以上5以下である。尚、おむつ1Cにおいては、上層不織布23の繊維密度(D4)が下層不織布24の繊維密度(D5)に比べて低くなっているが、上層不織布23の繊維密度(D4)が下層不織布の繊維密度(D5)よりも高くなっていてもよい。
【0058】
具体的に、上層不織布23の繊維密度(D4)は、好ましくは0.005g/cm
3以上、更に好ましくは0.01g/cm
3以上であり、好ましくは0.05g/cm
3以下、更に好ましくは0.04g/cm
3以下であり、例えば、0.005g/cm
3以上0.05g/cm
3以下であることが好ましく、0.01g/cm
3以上0.04g/cm
3以下であることが更に好ましい。
また、上層不織布23の坪量は、好ましくは10g/m
2以上、更に好ましくは15g/m
2以上であり、好ましくは50g/m
2以下、更に好ましくは30g/m
2以下であり、例えば、10g/m
2以上50g/m
2以下であることが好ましく、15g/m
2以上30g/m
2以下であることが更に好ましい。
【0059】
下層不織布24の繊維密度(D5)は、好ましくは0.01g/cm
3以上、更に好ましくは0.02g/cm
3以上であり、好ましくは0.1g/cm
3以下、更に好ましくは0.05g/cm
3以下であり、例えば、0.01g/cm
3以上0.1g/cm
3以下であることが好ましく、0.02g/cm
3以上
0.05g/cm
3以下であることが更に好ましい。
また、下層不織布24の坪量は、好ましくは10g/m
2以上、更に好ましくは15g/m
2以上であり、好ましくは50g/m
2以下、更に好ましくは30g/m
2以下であり、例えば、10g/m
2以上50g/m
2以下であることが好ましく、15g/m
2以上30g/m
2以下であることが更に好ましい。上層不織布23の繊維密度(D4)及び坪量、並びに下層不織布24の繊維密度(D5)及び坪量は、上述した繊維密度及び坪量の測定方法により測定する。
【0060】
また、おむつ1Cの表面シート2は、上層不織布23の繊維の繊度が、下層不織布24の繊維の繊度に比べて低くなっている。上層不織布23の繊維の繊度は、好ましくは1.0dtex以上、更に好ましくは1.5dtex以上であり、好ましくは6.0dtex以下、更に好ましくは5.0dtex以下であり、例えば、1.0dtex以上6.0dtex以下であることが好ましく、1.5dtex以上5.0dtex以下であることが更に好ましい。また、下層不織布24の繊維の繊度は、好ましくは1.5dtex以上、更に好ましくは2.0dtex以上であり、好ましくは5.0dtex以下、更に好ましくは3.0dtex以下であり、例えば、1.5dtex以上5.0dtex以下であることが好ましく、2.0dtex以上3.0dtex以下であることが更に好ましい。上層不織布23の繊維の繊度及び下層不織布24の繊維の繊度は、以下のようにして測定する。
【0061】
<おむつ1Cの表面シート2における繊維の繊度の測定方法>
荷重がかかっていない状態のおむつ1Aから、表面シート2を50mm×100mm(面積5000mm
2)の長方形状に切り出して測定用サンプルを作製する。次いで、上層不織布23の繊維の繊度に関しては、測定用サンプルにおける上層不織布23を断面視して、標準的な繊維10本を対象として繊維太さを、電子顕微鏡を用いて実測し、繊維太さ平均値Dn(μm)を算出する。次いで、示差走査熱量測定器(DSC)を用いて、上層不織布23の標準的な繊維の構成樹脂を特定し、理論繊維密度Pn(g/cm
3)を求める。得られた繊維太さ平均値Dn(μm)及び理論繊維密度Pn(g/cm
3)から、繊維長さ10,000m当たりの重さ(g)を算出して、この算出された値を上層不織布23の繊維の繊度(dtex)とする。下層不織布24の繊維の繊度に関しては、測定用サンプルにおける下層不織布24を断面視して、標準的な繊維10本を対象として、肌対向面側の繊維の繊度と同様にして測定する。
【0062】
また、おむつ1Cの表面シート2は、上層不織布23、下層不織布24には酸化チタンが含有されており、含有量は各々の不織布23,24の全量に対して、好ましくは0.5質量%以上15質量%以下であり、更に好ましくは1.0質量%以上10質量%以下である。
【0063】
以上のように構成されたおむつ1Cは、表面シート2側から色差計で測定した際、使い捨ておむつのDRY時においては、インジケーター9及び非積繊部42を除く吸収性コア40の位置での表面シート2の色と、インジケーター9及び非積繊部42と重なる位置での表面シート2の色とは、L
*a
*b
*表色系における色差(ΔE
*値)が、8以下であり、6以下であることが好ましく、4以下であることが更に好ましく、3.3以下であることが殊更好ましい。そして、表面シート2側から色差計で測定した際、使い捨ておむつのWET時におけるインジケーター9及び非積繊部42と重なる位置での表面シート2の色と、使い捨ておむつのDRY時におけるインジケーター9及び非積繊部42と重なる位置での表面シート2の色とは、色差(ΔE
*値)が、32以下であり、26以下であることが好ましく、25以下であることが更に好ましい。
【0064】
第3実施形態のおむつ1Cは、
図7に示すように、上述した内部が空洞の多数の凸部231を備える凹凸構造の表面シート2を備えているので、おむつ着用中の排尿に対する吸収性が更に向上する。また、排尿前にインジケーター9が凹凸構造の表面シート2を透過して視認され難く、排尿したと勘違いされ難くなっている。そして、排尿後に変色したインジケーター9が凹凸構造の表面シート2を透過して視認され難くなっており、排尿後の表面シート側からの使い捨ておむつの印象を改善することができる。
【0065】
本発明の使い捨ておむつは、上述の第1〜第3実施形態の使い捨ておむつ1A〜1Cに何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。また、上述の第1〜第3実施形態の使い捨ておむつ1A〜1Cにおける各構成要件は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、適宜組み合わせて実施できる。
【0066】
例えば、上述のおむつ1A,1Bにおいては、肌対向面側の繊維密度(D1)が、非肌対向面側の繊維密度(D2)に比べて高くなっているが、非肌対向面側の繊維密度(D2)と同じでもよく、低くてもよい。同様に、おむつ1Cにおいては、上層不織布23の繊維密度(D4)が、下層不織布24の繊維密度(D5)に比べて高くなっているが、下層不織布24の繊維密度(D5)と同じでもよく、低くてもよい。
【0067】
また、上述のおむつ1Aにおいては、肌対向面側の酸化チタンの含有量が、非肌対向面側の酸化チタンの含有量に比べて多くなっているが、非肌対向面側の酸化チタンの含有量と同じでもよく、低くてもよい。また、上述のおむつ1Bにおいては、表面シート2の肌対向面側の酸化チタンの含有量、非肌対向面側の酸化チタンの含有量及びサブレイヤー10の酸化チタンの含有量の中で、最も肌対向面側の酸化チタンの含有量が多くなっているが、非肌対向面側の酸化チタンの含有量が最も多くなっていてもよく、サブレイヤー10の酸化チタンの含有量が最も多くなっていてもよい。また、上述のおむつ1Cにおいては、上層不織布23の酸化チタンの含有量が、下層不織布24の酸化チタンの含有量と同じでもよく、低くてもよい。また、下層不織布24の酸化チタンの含有量が上層不織布23の酸化チタンの含有量と同じでもよく、低くてもよい。
【0068】
また、上述のおむつ1A〜1Cにおいては、
図3,
図5,
図7に示すように、表面シート2と吸収体4とを固定する接着剤8が、非積繊部42の縦方向(X方向)に沿う両側縁よりも横方向(Y方向)外方に配されているが、吸収体4の肌対向面の全面に配されていてもよい。また、コアラップシート41と吸収性コア40とを固定する接着剤が、非積繊部42の部分に塗工されていないが、非積繊部42の部分にも塗工されていてもよい。
【0069】
また、上述のおむつ1Cにおいては、
図6,
図7に示すように、表面シート2が、上層不織布23及び下層不織布24の2枚の不織布から形成された凹凸構造の積層不織布であるが、熱収縮性繊維を含む上層の繊維層と、熱収縮しない繊維又は前記熱収縮性繊維の収縮開始温度では熱収縮しない繊維を含む下層の繊維層との積層体が、多数の接合部にて部分的に接合されており、各接合部の間において上層の繊維層が収縮して突出し多数の凸部を形成している凹凸構造の積層不織布であってもよい。多数の凸部は、前記積層体を部分的に接合した後、上層の繊維層を熱風処理して収縮させることにより形成できるので、凸部が中実な形状となっている。
【0070】
また、上述したおむつ1A〜1Cにおいては、外装体5が、
図1に示すように、腹側領域A、股下領域C及び背側領域Bにわたる砂時計状等の連続した形状のパンツ型使い捨ておむつであるが、外装体5が、腹側外装体、背側外装体及び股下外装体に別部材として区分された分割型のパンツ型使い捨ておむつであってもよい。また、本発明の使い捨ておむつは、パンツ型使い捨ておむつ以外にも、例えば、展開型の使い捨ておむつ等に好適に用いることができる。また、使い捨ておむつは、幼児又は成人用の使い捨ておむつであってもよい。
【0071】
上述した実施形態に関し、さらに以下の使い捨ておむつを開示する。
【0072】
<1>
肌対向面側に配された表面シートと、非肌対向面側に配された裏面シートと、これら両シート間に配された縦長の吸収体とを備え、該裏面シートと該吸収体との間に、色の変化により排尿を知らせるインジケーターが縦方向に連続的に配された使い捨ておむつであって、
前記表面シートは、2層を有するシートであり、
前記吸収体は、吸収ポリマーを含む吸収性コアを有し、該吸収性コアには、縦方向に延びる非積繊部が形成されており、
横方向に沿って断面視して、前記インジケーターは、厚さ方向にて、前記非積繊部と厚さ方向に重なっており、
前記使い捨ておむつを前記表面シート側から色差計で測定した際、該使い捨ておむつのDRY時においては、前記インジケーター及び前記非積繊部を除く前記吸収性コアの位置での前記表面シートの色と、前記インジケーター及び前記非積繊部と重なる位置での前記表面シートの色とは、L
*a
*b
*表色系における色差(ΔE
*値)が8以下であり、該使い捨ておむつのWET時における前記インジケーター及び前記非積繊部と重なる位置での前記表面シートの色と、該使い捨ておむつのDRY時における該インジケーター及び該非積繊部と重なる位置での該表面シートの色とは、前記色差(ΔE
*値)が32以下である使い捨ておむつ。
【0073】
<2>
前記表面シートは、凹凸構造の積層不織布又はフラットな構造の積層不織布である前記<1>に記載の使い捨ておむつ。
<3>
前記表面シートは、肌対向面側の繊維密度が、非肌対向面側の繊維密度に比べて高い前記<1>又は<2>に記載の使い捨ておむつ。
<4>
前記表面シートは、非肌対向面側の繊維密度(D2)に対する肌対向面側の繊維密度(D1)の比(D1/D2)が、1.1以上10以下、好ましくは1.2以上5以下である前記<3>に記載の使い捨ておむつ。
<5>
前記表面シートの肌対向面側の繊維密度(D1)は、0.01g/cm
3以上、好ましくは0.02g/cm
3以上であり、0.1g/cm
3以下、好ましくは0.05g/cm
3以下である前記<1>〜<4>に記載の使い捨ておむつ。
<6>
前記表面シートの非肌対向面側の繊維密度(D2)は、0.005g/cm
3以上、好ましくは0.01g/cm
3以上であり、0.05g/cm
3以下、好ましくは0.04g/cm
3以下である前記<1>〜<5>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<7>
前記表面シートと前記吸収体とは接着剤で固定されており、
横方向に沿って断面視して、前記接着剤は、厚さ方向にて、前記非積繊部の縦方向に沿う両側縁よりも横方向外方に配されている前記<1>〜<3>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<8>
前記吸収体は、前記吸収性コア及び該吸収性コアを被覆するコアラップシートを有し、
前記吸収性コアの非積繊部の部分には接着剤が塗工されておらず、該非積繊部においては、該吸収性コアの肌対向面側のコアラップシートと、該吸収性コアの非肌対向面側のコアラップシートとが固定されていない前記<1>〜<7>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<9>
前記表面シートは、肌対向面側に酸化チタンを含有している前記<1>〜<8>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<10>
前記表面シートの肌対向面側の酸化チタンの含有量は、該表面シートの肌対向面側の全量に対して、0.5質量%以上15質量%以下、好ましくは1.0質量%以上10質量%以下である前記<9>に記載の使い捨ておむつ。
<11>
前記表面シートは、肌対向面側の酸化チタンの含有量が、非肌対向面側の酸化チタンの含有量に比べて多い前記<9>又は<10>に記載の使い捨ておむつ。
【0074】
<12>
前記表面シートはフラットな構造の積層不織布であり、
前記表面シートの非肌対向面側の酸化チタンの含有量は、該表面シートの非肌対向面側の全量に対して、0.05質量%以上1.0質量%以下、好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下である前記<8>〜<11>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<13>
前記表面シートと前記吸収体との間に、前記非積繊部よりも幅の広い液透過性のサブレイヤーを備え、
横方向に沿って断面視して、前記サブレイヤーは、厚さ方向にて、前記非積繊部及び前記インジケーターと重なっている前記<1>〜<12>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<14>
前記サブレイヤーは、その繊維密度(D3)が、前記表面シートの肌対向面側の繊維密度(D1)及び非肌対向面側の繊維密度(D2)に比べて低くなっている前記<13>に記載の使い捨ておむつ。
<15>
前記表面シートの肌対向面側の繊維密度(D1)、該表面シートの非肌対向面側の繊維密度(D2)、及び前記サブレイヤーの繊維密度(D3)の中で、肌対向面側の繊維密度(D1)が最も高くなっており、サブレイヤーの繊維密度(D3)が最も低くなっている前記<13>又は<14>に記載の使い捨ておむつ。
<16>
前記サブレイヤーの繊維密度(D3)に対する前記表面シートの肌対向面側の繊維密度(D1)の比(D1/D3)は、1.05以上10以下であり、好ましくは1.1以上5.0以下である前記<13>〜<15>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<17>
前記サブレイヤーの繊維密度(D3)は、0.01g/cm
3以上、好ましくは0.02g/cm
3以上であり、0.1g/cm
3以下、好ましくは0.05g/cm
3以下である前記<13>〜<16>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<18>
前記サブレイヤーの坪量は、20g/m
2以上、好ましくは30g/m
2以上であり、100g/m
2以下、好ましくは80g/m
2以下である前記<13>〜<17>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<19>
前記サブレイヤーの繊維の繊度は、3dtex以上、更に好ましくは5dtex以上であり、好ましくは12dtex以下、更に好ましくは10dtex以下である前記<13>〜<18>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
【0075】
<20>
前記サブレイヤーは酸化チタンを含有し、
前記表面シートの肌対向面側の酸化チタンの含有量が、該表面シートの非肌対向面側の酸化チタンの含有量及び前記サブレイヤーの酸化チタンの含有量に比べて多くなっている前記<8>〜<19>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<21>
前記サブレイヤーは酸化チタンを含有し、
前記サブレイヤーの酸化チタンの含有量は、サブレイヤーの全量に対して、0.05質量%以上1.0質量%以下、好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下である前記<13>〜<20>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<22>
前記インジケーター及び前記非積繊部を除く前記吸収性コアの位置での前記表面シート色と、該インジケーター及び該非積繊部と重なる位置での前記表面シートの色とは、L
*a
*b
*表色系における色差(ΔE
*値)が、8以下、好ましくは5以下である前記<1>〜<21>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<23>
前記使い捨ておむつのWET時においては、前記インジケーター及び前記非積繊部と重なる位置での前記表面シートの色と、前記使い捨ておむつのDRY時における前記インジケーター及び前記非積繊部と重なる位置での前記表面シートの色とは、色差(ΔE
*値)が、32以下、好ましくは27以下である前記<1>〜<22>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<24>
前記表面シートの肌対向面側の坪量は、5g/m
2以上、好ましくは10g/m
2以上であり、30g/m
2以下、好ましくは25g/m
2以下である前記<1>〜<23>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<25>
前記表面シートの非肌対向面側の坪量は、5g/m
2以上、好ましくは8g/m
2以上であり、15g/m
2以下、好ましくは13g/m
2以下である前記<1>〜<24>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<26>
前記表面シートの肌対向面側の繊維の繊度が、該表面シートの非肌対向面側の繊維の繊度に比べて低くなっている前記<1>〜<25>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<27>
前記表面シートの肌対向面側の繊維の繊度は、1.0dtex以上、好ましくは1.5dtex以上であり、5.0dtex以下、好ましくは4.0dtex以下である前記<1>〜<26>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<28>
前記表面シートは、フラットな構造の積層不織布であり、
前記表面シートの非肌対向面側の繊維の繊度は、2.0dtex以上、好ましくは3.0dtex以上であり、10dtex以下、好ましくは8.0dtex以下である前記<2>〜<27>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
【0076】
<29>
前記インジケーターは、横方向において、前記使い捨ておむつの横方向中央に配され、前記非積繊部の幅の範囲内に配されており、該非積繊部と重なっている前記<1>〜<28>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<30>
前記インジケーターは、縦方向において、前記非積繊部に沿って形成されており、該非積繊部の腹側領域側の端部及び背側領域側の端部それぞれを越えて延在している前記<1>〜<29>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<31>
前記吸収体は、前記吸収性コア及び該吸収性コアを被覆するコアラップシートを有し、
前記インジケーターは、前記吸収体のコアラップシートと前記裏面シートとの間に配されており、該裏面シートの肌対向面上に配されている前記<1>〜<30>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<32>
前記インジケーターは、前記使い捨ておむつの縦方向に延びる中心線CLに対称に並列して配された2本の細長い線状のものであり、2本の細長い線状の前記インジケーターそれぞれが、縦方向において、前記使い捨ておむつの股下領域を越えて腹側領域及び背側領域に至るまで直線状に配されている前記<1>〜<31>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<33>
前記表面シートは上層不織布及び下層不織布を有し、
前記上層不織布の繊維密度(D4)は、0.005g/cm
3以上、好ましくは0.01g/cm
3以上であり、0.05g/cm
3以下、好ましくは0.04g/cm
3以下である前記<2>又は<3>に記載の使い捨ておむつ。
<34>
前記上層不織布の坪量は、10g/m
2以上、好ましくは15g/m
2以上であり、50g/m
2以下、好ましくは30g/m
2以下である前記<33>に記載の使い捨ておむつ。
<35>
前記下層不織布の繊維密度(D5)は、0.01g/cm
3以上、好ましくは0.02g/cm
3以上であり、0.1g/cm
3以下、好ましくは0.05g/cm
3以下である前記<33>又は<34>に記載の使い捨ておむつ。
<36>
前記下層不織布の坪量は、10g/m
2以上、好ましくは15g/m
2以上であり、50g/m
2以下、好ましくは30g/m
2以下である前記<33>〜<35>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<37>
前記表面シートは、凹凸構造の積層不織布であり、
前記上層不織布の繊維の繊度は、1.0dtex以上、好ましくは1.5dtex以上であり、6.0dtex以下、好ましくは5.0dtex以下である前記<33>〜<36>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<38>
前記表面シートは、凹凸構造の積層不織布であり、
前記下層不織布の繊維の繊度は、1.5dtex以上、好ましくは2.0dtex以上であり、5.0dtex以下、好ましくは3.0dtex以下である前記<33>〜<37>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<39>
前記表面シートは、凹凸構造の積層不織布であり、
前記インジケーター及び前記非積繊部を除く前記吸収性コアの位置での前記表面シートの色と、前記インジケーター及び前記非積繊部と重なる位置での前記表面シートの色とは、L
*a
*b
*表色系における色差(ΔE
*値)が、6以下、好ましくは4以下、更に好ましくは3.3以下である前記<1>〜<38>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<40>
前記使い捨ておむつのWET時においては、前記インジケーター及び前記非積繊部と重なる位置での前記表面シートの色と、前記使い捨ておむつのDRY時におけるインジケーター及び前記非積繊部と重なる位置での前記表面シートの色とは、色差(ΔE
*値)が、26以下、好ましくは25以下である前記<1>〜<39>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
【実施例】
【0077】
以下、本発明の使い捨ておむつを実施例により更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例によって何ら制限されるものではない。
【0078】
<実施例1>
図1〜
図3示すおむつ1Aと同様の基本構成を有するパンツ型使い捨ておむつを作製し、これを実施例1のサンプルとした。表面シートにとしては、肌対向面側の上層の繊維ウエブと非肌対向面の下層の繊維ウエブを重ね合わせて形成された2層のエアースルー不織布を用いた。上層の繊維密度は0.038g/cm
3であり、下層の繊維密度は0.020g/cm
3であった。また、上層の坪量は15g/m
2であり、下層の坪量は10g/m
2であった。また、上層の繊維の繊度は2.0dtexであり、下層の繊維の繊度は5.6dtexであった。さらに、上層の酸化チタンの含有量は3.0質量%であり、下層の酸化チタンの含有量は0.3質量%以下であった。また、吸収性コアは、その坪量が550g/m
2であり、その厚みが10mmであった。吸収性コアに形成される非積繊部の幅は、20mmであった。そして、インジケーターの坪量は、25g/m
2であった。
【0079】
<実施例2>
図4〜
図5示すおむつ1Bと同様の基本構成を有するパンツ型使い捨ておむつを作製し、これを実施例2のサンプルとした。具体的には、実施例1のサンプルにおいて、表面シートと吸収体との間に、サブレイヤーを配置して実施例2のサンプルを作製した。サブレイヤーは、その繊維密度が0.035g/cm
3であり、その坪量が40g/m
2であり、その繊維の繊度が7.8dtexであり、その酸化チタンの含有量が0.3質量%以下であった。
【0080】
<実施例3>
図6〜
図7示すおむつ1Cと同様の基本構成を有するパンツ型使い捨ておむつを作製し、これを実施例3のサンプルとした。具体的には、実施例1のサンプルにおいて、表面シートを、上層不織布及び下層不織布の2枚の不織布を重ね合わせて形成された凹凸構造の積層不織布に換え、それ以外は実施例1と同様にして、実施例3のサンプルを作製した。上層不織布の繊維密度は0.022g/cm
3であり、下層不織布の繊維密度は0.026g/cm
3であった。また、上層不織布の坪量は18g/m
2であり、下層不織布の坪量は18g/m
2であった。また、上層不織布の繊維の繊度は2.2dtexであり、下層不織布の繊維の繊度は4.4dtexであった。さらに、上層不織布の酸化チタンの含有量は3.0質量%であり、下層不織布の酸化チタンの含有量は3.0質量%であった。また、凹凸構造の積層不織布の凸部は、縦方向(X方向)の長さが4mmであり、横方向(Y方向)の長さが3mmであり、高さが2mmであった。
【0081】
<実施例4>
実施例3のサンプルにおいて、表面シートと吸収体との間に、サブレイヤーを配置して実施例4のサンプルを作製した。サブレイヤーは、その繊維密度が0.035g/cm
3であり、その坪量が40g/m
2であり、その繊維の繊度が7.8dtexであり、その酸化チタンの含有量が0.3質量%以下であった。
【0082】
<実施例5>
実施例3のサンプルにおいて、上層不織布の繊維密度を0.033g/cm
3に変更し、更に上層不織布の坪量を20g/m
2に変更すると共に、表面シートと吸収体との間に、サブレイヤーを配置して実施例5のサンプルを作製した。サブレイヤーは、その繊維密度が0.035g/cm
3であり、その坪量が40g/m
2であり、その繊維の繊度が7.8dtexであり、その酸化チタンの含有量が0.3質量%以下であった。
【0083】
<比較例1>
実施例1のサンプルにおいて、表面シートを、単層のエアースルー不織布に換え、それ以外は実施例1と同様にして、比較例1のサンプルを作製した。単層のエアースルー不織布は、その繊維密度が0.028g/cm
3であり、その坪量が25g/m
2であり、その繊維の繊度が3.0dtexであり、その酸化チタンの含有量が0.3質量%以下であった。
【0084】
<評価>
実施例1〜5及び比較例1のパンツ型使い捨ておむつに関し、各おむつを展開して引き伸ばした状態にして、上述した方法により、DRY時の色差(ΔE
*値)及びWET時の色差(ΔE
*値)を求めた。それらの結果を下記表1に示す。
【0085】
また、実施例1〜5及び比較例1のパンツ型使い捨ておむつに関し、各おむつを展開して引き伸ばした状態にして、水平な台の上に表面シートが上になるように置いた。そして、前記DRY時の見栄え及び前記WET時の見栄えを専門パネラー10名により評価した。評価基準は、インジケーターが表面シートを透過して視認し難い場合を3点、やや視認し難い場合を2点、視認し易い場合を1点として採点し、平均値を算出した。評価は以下の基準で採点した。
A:平均値が2.5以上3以下
B:平均値が2.0以上2.5未満
C:平均値が1.0以上2.0未満
【0086】
【表1】
【0087】
表1の結果によれば、実施例1〜実施例5の使い捨ておむつは、比較例1の使い捨ておむつに比べて、DRY時において、測定値及び官能評価の何れも、インジケーターが表面シートを透過して視認し難くなっており、使用前に排尿したと勘違いされ難くなることが期待できる。また、表1の結果によれば、実施例1〜実施例5の使い捨ておむつは、比較例1の使い捨ておむつに比べて、WET時において、測定値及び官能評価の何れも、インジケーターが表面シートを透過して視認し難くなっており、使用後の表面シート側から視た際のおむつの印象の改善が期待できる。