(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記冷却器の温度を検出する冷却器温度検出手段を備え、前記第一の冷却運転中に前記冷却器温度検出手段の検出温度が所定の温度を超えた場合、前記第二の冷却運転を開始する条件を満たすことを特徴とする、請求項1記載の冷蔵庫。
時間をカウントする計時手段を備え、前記計時手段で前記第一の冷却運転が所定の時間を経過したことをカウントした場合、前記第二の冷却運転を開始する条件を満たすことを特徴とする、請求項1記載の冷蔵庫。
外気温度を検出する外気温度検出手段を備え、前記外気温度検出手段で検出する外気温度が所定の温度よりも低い場合、前記第一の冷却運転と前記第二の冷却運転を行う条件を満たすことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の冷蔵庫
時間をカウントする計時手段を備え、前記計時手段で前記圧縮機が停止してから所定の時間を経過したことをカウントした場合、前記第一の冷却運転を開始する条件を満たすことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の冷蔵庫。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、野菜室を冷却する場合に、冷却器で低温に冷却された冷気が直接野菜室に流入するため、短時間で野菜室が冷却されて冷気の送風時間が短くなりやすい。特に冬季など外気温度が低い場合は、外気から庫内への熱の流入が少なく貯蔵室内の温度が上昇しづらくなるため、特に温度帯の高い野菜室への冷気の送風はほとんどなくなることがある。
【0007】
そして冷気の送風がなくなると、貯蔵してある野菜から蒸発した水分が野菜室内に停滞し、冷凍室に隣接して温度の低くなっている野菜室の上面に結露が発生しやすくなる。
【0008】
また、ここで野菜室への冷気の送風を多くすると、野菜室内の温度が低下しすぎて、貯蔵してある野菜の低温障害や鮮度の低下を招く可能性がある。
【0009】
このため、冷凍室と野菜室を区画する断熱仕切部や野菜室の壁面に配設した電熱ヒーターに通電して、野菜室の上面温度と野菜室の空気温度を上昇させる方法があるが、省エネルギー性の観点から好ましくない。
【0010】
次に、特許文献2では、野菜室の冷却には、温度の高い冷蔵室の戻り冷気(0℃程度)を野菜室に送風するため、野菜室が過冷却になることは少ないが、外気温度が高い場合や野菜室に温度の高い食品を入れたときなど、野菜室の冷却に非常に時間がかかってしまう。また、野菜室を冷却するためには冷蔵室に冷気を送風しなくてはならず、野菜室冷却のために冷蔵室が冷えすぎる状態になってしまう。
【0011】
そこで本発明は、貯蔵室を適切に冷却すると共に、省エネルギー性能を向上した冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、冷蔵室、冷凍室及び野菜室と、冷却器と、前記冷却器で生成した冷気を前記冷蔵室、前記冷凍室及び前記野菜室に送風する送風機と、前記冷蔵室への冷気の送風量を制御する冷蔵室ダンパーと、前記冷凍室への冷気の送風量を制御する冷凍室ダンパーと、前記野菜室への冷気の送風量を制御する野菜室ダンパーと、
圧縮機と、を備え、前記圧縮機を停止、前記冷蔵室ダンパーを開状態、前記冷凍室ダンパーを閉状態、前記野菜室ダンパーを閉状態で前記送風機を駆動する第一の冷却運転と、前記圧縮機を停止、前記冷蔵室ダンパーを閉状態又は開状態、前記冷凍室ダンパーを閉状態、前記野菜室ダンパーを開状態で前記送風機を駆動する第二の冷却運転と、を有し、前記第一の冷却運転の後に前記第二の冷却運転を行う。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、貯蔵室を適切に冷却すると共に、省エネルギー性能を向上した冷蔵庫を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
まず、循環式冷蔵庫(以下、単に冷蔵庫という)の構成を
図1乃至
図3に基づいて説明する。
【0017】
図1は冷蔵庫の正面外観図であり、
図2は
図1の縦断面を示す断面図である。尚、
図2においては製氷室3の断面は示されていない。
【0018】
図1、
図2において、冷蔵庫1は、上方から冷蔵室2、製氷室3及び上部冷凍室4、下部冷凍室5、野菜室6を有する。ここで、製氷室3と上部冷凍室4は、冷蔵室2と下部冷凍室5との間に左右に並べて設けている。一例として、冷蔵室2はおよそ+3℃、野菜室6はおよそ+3℃〜+7℃の冷蔵温度帯の貯蔵室である。また、製氷室3、上部冷凍室4及び下部冷凍室5は、およそ−18℃の冷凍温度帯の貯蔵室である。なお、以下では、製氷室3と上段冷凍室4と下段冷凍室5の総称として冷凍室7と呼ぶことがある。
【0019】
冷蔵室2は前方側に、左右に分割された観音開き(いわゆるフレンチ型)の冷蔵室扉2a、2bを備えている。製氷室3、上部冷凍室4、下部冷凍室5、野菜室6は夫々引き出し式の製氷室扉3a、上部冷凍室扉4a、下部冷凍室扉5a、野菜室扉6aを備えている。
【0020】
また、各扉の貯蔵室側の面には、各扉の外縁に沿うように磁石が内蔵されたパッキン(図示せず)を設けており、各扉の閉鎖時、鉄板で形成された冷蔵庫外箱のフランジや後述の各仕切り鉄板に密着し貯蔵室内への外気の侵入、及び貯蔵室からの冷気の漏れを抑制する構成とされている。
【0021】
ここで、
図2に示すように冷蔵庫本体10の背面下部には機械室14が形成され、この中に圧縮機15が内蔵されている。冷却器収納室18と機械室14には水抜き通路16によって連通され、凝縮水が排出できるようになっている。
【0022】
図2に示すように、冷蔵庫本体10の庫外と庫内は、内箱と外箱との間に発泡断熱材(発泡ポリウレタン)を充填することにより形成される断熱箱体17により隔てられている。また、冷蔵庫本体10の断熱箱体17は、複数の真空断熱材13を実装している。冷蔵庫本体10は、上側断熱仕切部11により冷蔵室2と上部冷凍室4及び製氷室3(
図1参照、
図2中で製氷室3は図示されていない)とが区画され、下側断熱仕切部12により下部冷凍室5と野菜室6とが区画されている。
【0023】
また、下部冷凍室5の上部には横仕切部を設けている。横仕切部は、製氷室3及び上部冷凍室4と下部冷凍室5とを上下方向に仕切っている。また、横仕切部の上部には、製氷室3と上部冷凍室4との間を左右方向に仕切る縦仕切部を設けている。
【0024】
横仕切部は、下側断熱仕切部12の前面及び左右側壁前面と共に、下部冷凍室扉5aの貯蔵室側の面に設けたパッキン(図示せず)と接触する。製氷室扉3aと上部冷凍室扉4aの貯蔵室側の面に設けたパッキン(図示せず)は、横仕切部、縦仕切部、上側断熱仕切部11及び冷蔵庫本体1の左右側壁前面と接することで、各貯蔵室と各扉との間での冷気の移動をそれぞれ抑制している。
【0025】
図2に示すように、上部冷凍室4、下部冷凍室5及び野菜室6は、それぞれの貯蔵室の前方に備えられた扉4a、5a、6aが取り付けられている。また、上部冷凍室4には上部冷凍貯蔵容器4bが収納、配置され、下部冷凍室5には上段冷凍貯蔵容器5b、下段冷凍貯蔵容器5cが収納、配置されている。更に、野菜室6には上段野菜貯蔵容器6b、下段野菜貯蔵容器6cが収納、配置されている。
【0026】
そして、製氷室扉3a、上部冷凍室扉4a、下部冷凍室扉5a及び野菜室扉6aは、それぞれ図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより、製氷貯蔵容器3b(図示せず)、上部冷凍貯蔵容器4b、下段冷凍貯蔵容器5c、下段野菜貯蔵容器6cが引き出せるようになっている。
【0027】
詳しくは、下段冷凍貯蔵容器5cは冷凍室扉内箱に取り付けられた支持アーム(図示しない)に下段冷凍貯蔵容器6cの側面上部のフランジ部が懸架されており、冷凍室扉5aを引き出すと同時に下段冷凍貯蔵容器5cのみが引き出される。上段冷凍貯蔵容器5bは下部冷凍室5の側面壁に形成された凹凸部(図示しない)に載置されており前後方向にスライド可能になっている。
【0028】
下段野菜貯蔵容器6cも同様に、フランジ部が野菜室扉6aの内箱に取り付けられた支持アーム(図示しない)に懸架され、上段野菜貯蔵容器6bは野菜室側面壁の凹凸部に載置されている。
【0029】
また、
図2に示すように下側断熱仕切部12内の下部、つまり野菜室6の上部には、固定された電熱ヒーター51が設けられている。冬季など外気温度が低い時には、この電熱ヒーター51によって野菜室6の温度が下がり過ぎず、野菜の貯蔵に適した温度になるようにしている。また、貯蔵した野菜により野菜室6の空気が高湿となった場合に、野菜室6上部の温度を上げることにより、野菜室6上面に露が発生することを防止している。尚、この電熱ヒーター51は必要に応じて設けられれば良いものであるが、本実施例では野菜に適した雰囲気での貯蔵が行えるように、電熱ヒーター51を設けるようにしている。
【0030】
次に、本実施形態の冷蔵庫1の冷却方法について説明する。冷蔵庫本体10には、冷却器収納室18が形成され、この中に冷却手段として冷却器19を備えている。冷却器19(一例として、フィンチューブ熱交換器)は、下部冷凍室5の背部に備えられた冷却器収納室18内に設けられている。また、冷却器収納室18内であって冷却器19の上方には送風手段として送風機20(一例として、プロペラファン)が設けられている。なお、本実施形態の冷蔵庫においては冷凍サイクルの冷媒はイソブタンを用いている。
【0031】
冷却器19で熱交換して冷やされた空気(以下、冷却器19で熱交換した低温の空気を「冷気」と称する)は、送風機20によって冷蔵室送風ダクト21、上部冷凍室送風ダクト22、製氷室送風ダクト(図示しない)、下部冷凍室送風ダクト23、及び野菜室送風ダクト24、を介して、冷蔵室2、製氷室3、上部冷凍室4、下部冷凍室5、野菜室6の各貯蔵室へそれぞれ送られる。
【0032】
各貯蔵室への送風は、冷蔵温度帯の冷蔵室2への送風量を制御する冷蔵室ダンパー25と、冷凍温度帯の冷凍室7への送風量を制御する冷凍室ダンパー26と、野菜温度帯の野菜室6への送風量を制御する野菜室ダンパー27により制御される。
【0033】
冷蔵室2冷却時には、送風機20を駆動させた状態で冷蔵室ダンパー25を開状態にすると、冷却器19で冷却された冷気は送風機20から送風され冷蔵室ダンパー25の開口を通過し、
図3の破線で示すように冷蔵室2背面に形成された冷蔵室送風ダクト21を介して冷蔵室冷気吹き出し口31から冷蔵室2内に吹き出される。冷蔵室2内の貯蔵物を冷却して温度の高くなった冷気は、冷蔵室2の右奥下部に設けられた冷蔵室戻りダクト入口36に入り、冷凍室7背面右部に形成された冷蔵室冷気戻りダクト37を通り、この冷蔵室冷気戻りダクト37下部左側に形成された戻り開口38から冷却器収納室18に戻る。
【0034】
冷凍室7冷却時は、送風機20を駆動させた状態で冷凍室ダンパー26を開状態とする。
図2、
図3に示すように、冷却器収納室18の前方には、冷凍室7、と冷却器収納室18との間を仕切る仕切部材30が設けられており、仕切部材30には、
図3にあるように製氷室冷気吹き出し口32、上部冷凍室冷気吹き出し口33、下部冷凍室吹き冷気出し口34が形成されている。冷凍室ダンパー26が開状態のとき、冷却器19で熱交換された冷気が送風機20により製氷室送風ダクト(図示せず)や上部冷凍室送風ダクト22を経て吹き出し口32、33からそれぞれ製氷室3、上部冷凍室4へ送風される。また、下段冷凍室送風ダクト23を経て吹き出し口34から下部冷凍室5へ送風される。冷凍室7に送風された冷気は各冷凍室容器3b、4b、5b、6cに流入して容器内の貯蔵物を冷却し、冷凍室容器に形成されたスリット開口(図示せず)より流出し、仕切り部材30下部に設けられた冷凍室戻り開口39より冷却器収納室18に戻る。
【0035】
野菜室6冷却時は、送風機20を駆動させた状態で野菜室ダンパー27を開状態にすると、冷気は送風機20から野菜室送風ダクト24に流れ、野菜室ダンパー27の開口を通過し野菜室吹き出し口35から野菜室6へ送風される。この野菜室ダクトは冷蔵室戻りダクト37の前方投位置に断熱材などで区画されて形成されている。
【0036】
野菜室6からの戻り冷気は、下側断熱仕切部12の下部前方に設けられた野菜室戻りダクト入口40から野菜室戻りダクト41を経て冷却器収納室18の下部から流入して冷却器19に戻る。
【0037】
冷蔵庫1の天井壁上面側にはタイマー機能や時間経過を計時する計時手段を備えたCPU,温度設定値等を記録するための半導体メモリ、インターフェース回路等を搭載した制御基板45が配置されており、制御基板31は、冷蔵室温度センサー46、冷凍室温度センサー47、野菜室温度センサー48、冷却器温度センサー49、外気温度センサー50、扉2a,2b,3a,4a,5a,6aの各扉の開閉状態をそれぞれ検知する前記した扉センサー、冷蔵室扉2aに設けられた温度設定器と接続し、前記ROMに予め搭載されたプログラムにより、圧縮機15のON、OFF等の制御、冷蔵室ダンパー25、冷凍室ダンパー26及び野菜室ダンパー27を個別に駆動する図示省略のそれぞれのアクチュエータの制御、庫内送風機20のON/OFF制御や回転速度制御を行う。
【0038】
次に、本実施形態の冷蔵庫の冷却運転制御について説明する。まず、外気温度が高い場合についての冷却運転制御を、
図4のフローチャートと
図5のタイムチャートを用いて説明する。
【0039】
冷蔵室2と野菜室6は冷却の必要のない温度まで冷えており、冷蔵室ダンパー25と野菜室ダンパー27は閉状態、冷凍室7は目標温度まで冷えておらず冷凍室ダンパー26を開状態、圧縮機15運転、送風機20運転状態にして冷凍室を単独で冷却している冷凍室冷却運転の状態から説明を開始する。
【0040】
ステップS101において、冷凍室7が十分に冷却され冷却を停止するかを判定する。判定は冷凍室温度センサー47の温度が低下し所定の温度TFoff以下に到達していれば成立となりステップ102に移行する。冷凍室温度センサー47が所定の温度TFoffまで低下していない場合は冷凍室7の冷却運転を継続する。ここで、温度TFoffや後述する各所定の温度は、予め設定してある値であり、制御基板45のROM等に記憶させてある。
【0041】
ステップ102において、冷凍室7の冷却が終了すると冷凍室ダンパー26を閉状態にして圧縮機を停止し、ステップ103において、外気温度センサー50の判定を行う。もし外気温度が予め設定してある所定の温度Ta以上であり、外気温度が高いと判定した場合は、ステップS104にて冷蔵室2と野菜室6の冷却を開始する。
【0042】
ところで、本実施例で用いられているような循環式冷蔵庫では、貯蔵室の冷却を行っているうちに、貯蔵した食品から出る水分や扉を開閉したときの外部からの湿った空気の流入により徐々に冷却器19には霜が付着していく。霜は冷凍室冷却運転時には冷却器19と同等の温度(例えば−25℃程度)まで温度が低下するため、この霜の冷熱を利用すれば圧縮機15を運転しなくても温度帯の高い冷蔵室温度帯、野菜室温度帯の貯蔵室をある程度冷却することが可能である。この冷却方法は霜冷却と称される。
【0043】
ステップS104においてはこの霜冷却を用いて冷蔵室2と野菜室6の冷却を行っている。冷凍室ダンパー26を閉、冷蔵室ダンパー25と野菜室ダンパー27を開状態にして冷気を送風することにより、霜冷却中は冷却器19の温度が上昇していくが、冷凍室7の空気は循環しないため冷凍室7の温度は冷却器19の温度よりも低い状態に維持できる。
【0044】
ステップS105において、霜冷却運転中に冷凍室7の温度が徐々に上昇し冷凍室温度センサー47の温度が所定の温度TFonに到達すると、ステップS106にて圧縮機15を駆動し、冷蔵室ダンパー25、野菜室ダンパー27を開状態、送風機20は運転状態にして冷蔵室2と野菜室6の冷却を続ける。このとき、冷却器19の温度は低下するが、ステップS104での冷蔵室霜冷却と野菜室霜冷却と同様に冷凍室ダンパー26は閉状態となっており、温度の低い冷凍室7の空気は循環せず冷蔵室2と野菜室6の温度の高い空気のみが冷却器19に循環する。そのため冷却器19の温度は高くなり比較的温度の高い冷気を冷蔵室2と野菜室6に送風することができる。これにより、冷蔵室2と野菜室6の貯蔵物が凍結しづらい冷却が行うことができる。
【0045】
ステップS107〜ステップS110において冷蔵室温度センサー46、野菜室温度センサー48のそれぞれの温度が、冷却が十分と判断できる所定の温度TRclose、TVcloseまで低下すると、各ダンパーを閉状態にする。
【0046】
先に冷蔵室ダンパー25が閉状態になった場合は、ステップ111において、送風機20を一時停止することにより冷却器19の温度を冷凍室7の温度よりも低下させ、その後ステップ112において冷凍室ダンパー26を開状態にして冷凍室7へ冷気を送風し冷却を開始する。
【0047】
本実施例の冷蔵庫1では、野菜室6よりも冷蔵室2の貯蔵容量が大きく、冷蔵室2の目標温度のほうが低い。そのため、野菜室6の方が先に目標温度に到達し、野菜室ダンパー27が閉状態になることが多い。一方、野菜室6に貯蔵物を投入したときや扉の開閉が多いときなど、野菜室6の温度低下が遅く、冷蔵室2の温度が先に目標温度まで低下して冷蔵室ダンパー25が閉状態となった場合は、野菜室ダンパー27は開状態のまま冷凍室ダンパー26を開状態にして冷凍室7の冷却を開始する。このときは、冷凍室7の空気が循環し冷却器19の温度を低下させるので、野菜室6に送風される冷気の温度も低下し野菜室6の温度が大きく上昇していても素早く冷却することができる。野菜室温度センサー48が所定の温度TVcloseまで低下した時点で、野菜室ダンパー27を閉状態にして野菜室の冷却を終了する。
【0048】
ステップS112において、冷凍室ダンパー26のみが開状態となり冷凍室単独の冷凍室冷却運転に戻り、以下この運転パターンを繰り返す。
【0049】
また、
図4のフローチャートには図示しないが、もし冷凍室冷却中に冷蔵室温度センサー46又は野菜室温度センサー48が上昇して、冷却が必要と判定される温度TRopen、TVopenまで上昇した場合は、それぞれのダンパーを開状態にしてステップS106に戻る。また、もしステップ105の圧縮機15の運転開始時に冷蔵室温度センサー46又は野菜室温度センサー48の温度がそれぞれの目標温度まで到達していれば、ステップS107〜ステップS110は行わずにステップS111の冷凍室冷却運転まで移行する。
【0050】
次に、外気温度が低い場合について
図6のフローチャートと
図7のタイムチャートを用いて説明する。
【0051】
前述の外気温度が高い場合の制御と同じく、冷凍室ダンパー26を開状態、圧縮機15運転、送風機20運転状態にして冷凍室7を単独で冷却している状態から説明を開始する。
【0052】
ステップS201、S202において、冷凍室7の冷却が終了して圧縮機15を停止すると、ステップS203において外気温度センサーにより外気温度が所定の温度Taよりも低いかを判定する。外気温度が低いと判定された場合は、ステップS204に移行し、送風機20を停止、冷凍室ダンパー26を閉状態にしてタイマー(計時手段)が所定の時間tRon経過するまで冷却を停止した状態を続ける。これは、次ステップにて行われる霜冷却運転を行うと冷却器の温度が上昇して冷却器からの熱伝導で冷凍室の温度もわずかに上昇しやすくなるために、圧縮機停止直後はすぐに霜冷却を行わずに冷凍室の温度を低い状態を長く維持するためである。
【0053】
ステップS205にて冷却停止時間をカウントするタイマーが所定の時間tRon経過すると、ステップS206にて冷蔵室ダンパー25を開状態、送風機20を駆動して初めに冷蔵室2の霜冷却運転を行う。このとき冷却器の温度は、冷却器に冷媒を循環しない状態で温度の高い冷蔵室2の戻り冷気が冷却器収納室18に流入してくるために、数分で−25℃程度から−10℃程度まで上昇する。これにより冷蔵室2に送風される冷気の温度も上昇していく。
【0054】
ステップS207にて冷却器温度センサー49が所定の温度TEvon以上に到達すると、ステップS208で野菜室ダンパー27を開状態にして野菜室6に冷気の送風を行う。ステップS206の冷蔵室霜冷却運転により、冷却器19の温度は上昇しているため、野菜室6には比較的温度の高い冷気が送風されることになる。これにより、野菜室6の温度低下は、圧縮機15停止直後に霜冷却を行った場合よりも遅くなるが、冷気の送風時間を長くできる分、野菜室6の多くの空気を循環させて冷却器19に戻すことにより野菜室6内の空気を除湿することができる。
【0055】
ステップS209〜212において霜冷却により冷蔵室2と野菜室6が冷却されて、冷蔵室温度センサー46、野菜室温度センサー48が低下していき所定の目標温度TRclose、Tvcloseまで到達すると、各ダンパーを閉状態として冷却を終了する。冷蔵室2と野菜室6両方の冷却が終了すると、送風機20の運転を停止する。
【0056】
ステップS213にて、冷凍室温度センサー47が徐々に上昇していきTFonまで到達したら、ステップS214において圧縮機15と送風機20を駆動し冷凍室ダンパー26を開状態にして冷凍室7の冷却運転に戻る。
【0057】
以下、この運転パターンを繰り返すが、もし冷蔵室2や野菜室6に温度の高い多量の貯蔵物を投入して貯蔵室内の温度が高くなった場合は、外気温度が高い場合の制御に移行してもよい。
【0058】
また本実施例の制御では、ステップS207において野菜室6に冷気を送風するタイミングは冷却器温度センサー49の温度により判定したが、予め圧縮機15が停止してから冷却器19の温度が上昇する時間などを実験的に求めて、タイマーを利用して判定してもよい。
【0059】
以上のように本発明の実施形態に係る冷蔵庫では、冷蔵室、冷凍室及び野菜室と、冷却器と、前記冷却器で生成した冷気を前記冷蔵室、前記冷凍室及び前記野菜室に送風する送風機と、前記冷蔵室への冷気の送風量を制御する冷蔵室ダンパーと、前記冷凍室への冷気の送風量を制御する冷凍室ダンパーと、前記野菜室への冷気の送風量を制御する野菜室ダンパーと、を備え、前記圧縮機を停止、前記冷蔵室ダンパーを開状態、前記冷凍室ダンパーを閉状態、前記野菜室ダンパーを閉状態で前記送風機を駆動する第一の冷却運転と、前記圧縮機を停止、前記冷蔵室ダンパーを閉状態又は開状態、前記冷凍室ダンパーを閉状態、前記野菜室ダンパーを開状態で前記送風機を駆動する第二の冷却運転と、を行う。すなわち、各貯蔵室への送風を制御する冷蔵室ダンパー、冷凍室ダンパー、野菜室ダンパーを備えており独立して制御することにより、外気温度や庫内の温度状態に適した冷却運転を行うことができる。
【0060】
特に外気温度が低い場合は、冷却器の霜の冷熱を利用し、圧縮機停止時には先に冷蔵室に冷気を送風することで冷却器の温度を上昇させて、その後野菜室に冷気を送風することにより、野菜室には温度の高い冷気を長時間にわたり循環させることができる。これにより、野菜室の空気は除湿されて、冷凍室に隣接し温度の下がりやすい野菜室上部の露付を防止することができる。尚、電熱ヒーターによって野菜室の温度を調整している場合では、電熱ヒーターの消費電力を低く抑えることができるため、省エネルギー性能を向上できる。
【0061】
また、外気温度が高い場合は、野菜室を独立して冷却することができるため、特に野菜室に多くの貯蔵物を入れた場合にも、他の貯蔵室の冷却に影響することなく野菜室を目標温度まで素早く冷却することができる。また、冷凍室ダンパーを閉状態にして冷気の送風を行うことにより、比較的温度の高い冷気を冷蔵室と野菜室に送風でき貯蔵物が凍結しづらい冷却を行うことができる。
【0062】
また、野菜室の送風量を制御できる野菜室ダンパーを備え、野菜室を独立して冷却することができるため、外気温が高い場合や野菜室に多くの貯蔵物を入れた場合にも、他の貯蔵室に影響することなく、野菜室を目標温度まで素早く冷却することができる。
【0063】
また、前記冷却器の温度を検出する冷却器温度検出手段を備え、前記第一の冷却運転中に前記冷却器温度検出手段の検出温度が所定の温度を超えた場合、前記第二の冷却運転を開始する条件を満たす。これにより、冷気の送風時間を長くできる分、野菜室の多くの空気を循環させて冷却器に戻すことにより野菜室内の空気を除湿することができる。
【0064】
また、時間をカウントする計時手段を備え、前記計時手段で前記第一の冷却運転が所定の時間を経過したことをカウントした場合、前記第二の冷却運転を開始する条件を満たす。これにより、冷蔵室と野菜室の温度を適切に制御することができる。
【0065】
外気温度を検出する外気温度検出手段を備え、前記外気温度検出手段で検出する外気温度が所定の温度よりも低い場合、前記第一の冷却運転と前記第二の冷却運転を行う条件を満たす。これにより、冷凍室の温度上昇を抑えつつ、第一の冷却運転と第二の冷却運転を実施することができる。
【0066】
時間をカウントする計時手段を備え、前記計時手段で前記圧縮機が停止してから所定の時間を経過したことをカウントした場合、前記第一の冷却運転を開始する条件を満たす。これにより、第一の冷却運転を行う場合に冷却器の温度が上昇して冷却器からの熱伝導で冷凍室の温度もわずかに上昇しやすくなるが、圧縮機停止直後はすぐに第一の冷却運転を行わずに冷凍室の温度を低い状態を長く維持することができる。
【0067】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。