(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記送光側送光部材及び前記受光側送光部材の少なくとも一方の内壁に、前記送光側送光部材内及び前記受光側送光部材内を流れる気体を前記透光板の表面に向けて導く整流部材が設けられた、請求項1又は請求項2に記載のガス成分測定装置。
前記紫外光照射部による前記透光板への紫外光の照射と、前記レーザ発光部からの前記レーザ光の前記透光板への照射とを切替える制御部を備えた、請求項9に記載のガス成分測定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のレーザ式ガス分析においては、レンズ表面の清浄化のためにレーザ光の発光部側及び受光部側のそれぞれから常時一定の流速(例えば、1m/s)でパージガスとしての計装空気を流す必要があり、計装空気のユーティリティー確保がコスト的及び設備的な制約から困難な場合がある。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、パージガスを削減でき、計装空気のユーティリティー確保を容易にすることが可能なガス成分測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のガス成分測定装置は、被測定ガスを分析するレーザ光を発光するレーザ発光部と、前記レーザ光の光強度を検出するレーザ受光部と、前記被測定ガスの流路内に配置され、前記レーザ発光部で発光したレーザ光を前記流路内に設けられた測定領域に向けて送光する送光側送光部材と、前記被測定ガスの流路内に配置され、前記送光側送光部材から前記測定領域を介して送光された前記レーザ光を前記レーザ受光部に向けて送光する受光側送光部材と、前記送光側送光部材及び前記受光側送光部材の少なくとも一方に設けられ、前記送光側送光部材内及び前記受光側送光部材内への被測定ガスの侵入を防ぐ透光板とを具備することを特徴とする。
【0007】
このガス成分測定装置によれば、送光側送光部材及び受光側送光部材に設けた透光板により送光側送光部材内及び受光側送光部材内への燃焼排ガス中の煤塵の侵入を防ぐことができる。これにより、ガス成分測定装置は、送光側送光部材内及び受光側送光部材内から測定領域に向けたパージガスの供給量を削減することができるので、計装空気のユーティリティー確保を容易にすることが可能なガス成分測定装置を実現することが可能となる。
【0008】
本発明のガス成分測定装置においては、前記透光板が、サファイアガラス又は石英であることが好ましい。この構成により、透光板へ燃焼ガス中の煤塵が付着しにくくなるので、より一層パージガスの送光側送光部材内及び受光側送光部材内から測定領域に向けたパージガスの供給量を削減することが可能となる。
【0009】
本発明のガス成分測定装置においては、前記透光板と前記送光側送光部材及び前記受光側送光部材との間に通気孔が設けられたことが好ましい。この構成により、通気孔を介して送光側送光部材内及び受光側送光部材内から測定領域に向けてパージガスが供給されるので、パージガスの供給量を削減することが可能となる。
【0010】
本発明のガス成分測定装置においては、前記送光側送光部材及び前記受光側送光部材の少なくとも一方の内壁に、前記送光側送光部材内及び前記受光側送光部材内を流れる気体を前記透光板の表面に向けて導く整流部材が設けられたことが好ましい。この構成により、透光板の表面に沿って送光側送光部材内及び受光側送光部材内から供給されるパージガスを流すことができるので、効率良く透光板の表面に対する燃焼排ガス中の煤塵の付着を防ぐことが可能となる。
【0011】
本発明のガス成分測定装置においては、前記透光板は、表面が帯電防止加工されてなることが好ましい。この構成により、燃焼排ガス中の煤塵の帯電による透光板の表面への付着を防ぐことができるので、より一層効率良く透光板の表面への煤塵の付着を防ぐことが可能となる。
【0012】
本発明のガス成分測定装置においては、前記透光板は、表面が疎水加工されてなることが好ましい。この構成により、燃焼排ガス中の水分を介した透光板の表面への煤塵の付着を防ぐことができるので、より一層効率良く透光板の表面への煤塵の付着を防ぐことが可能となる。
【0013】
本発明のガス成分測定装置においては、さらに、前記透光板の表面にコロナ放電する集塵極を備えたことが好ましい。この構成により、集塵極から放出された電子によってイオンを発生させて透光板の表面の静電気を中和させることができるので、より一層効率良く透光板の表面への煤塵の付着を防ぐことが可能となる。
【0014】
本発明のガス成分測定装置においては、前記集塵極は、前記送光側送光部材及び前記受光側送光部材内における前記測定領域側に設けられたことが好ましい。この構成により、透光板に付着した煤塵を自重により剥離落下させることが可能となる。
【0015】
本発明のガス成分測定装置においては、前記透光板の表面に紫外光を照射する紫外光照射部を備え、前記透光板の表面に光触媒層が設けられたことが好ましい。この構成により、透光板の表面に付着した燃焼排ガス中に含まれる煤塵を光触媒を介した酸化還元反応によって分解して除去することが可能となる。
【0016】
本発明のガス成分測定装置においては、前記紫外光照射部による前記透光板への紫外光の照射と、前記レーザ発光部からの前記レーザ光の前記透光板への照射とを切替える制御部を備えたことが好ましい。この構成により、レーザ光と紫外光との干渉を防ぐことができるので、ガス成分の分析と透光板に付着した煤塵の除去とを効率よく両立できる。
【0017】
本発明のガス成分測定装置においては、前記測定領域内の前記被測定ガスを排気して前記測定領域内を負圧にする排気部と、前記送光側送光部材内及び前記受光側送光部材内に外気を供給する外気供給ラインが設けられたことが好ましい。この構成により、送光側送光部材内及び受光側送光部材内に外気を供給して送光側送光部材内及び前記受光側送光部材内への燃焼排ガスの侵入を防ぐことができるので、パージガスの供給量を削減することが可能となる。
【0018】
本発明のガス成分測定装置においては、前記外気に含まれる水分及び煤塵を除去するフィルタを備えたことが好ましい。この構成により、外気中に含まれる粉塵、ミスト及び塩などを除去することができるので、送光側送光部材内及び受光側送光部材内を清浄に保つことが可能となる。
【0019】
本発明のガス成分測定装置は、被測定ガスを分析するレーザ光を発光するレーザ発光部と、前記レーザ光の光強度を検出するレーザ受光部と、前記被測定ガスの流路内に配置され、前記レーザ発光部で発光したレーザ光を前記流路内に設けられた測定領域に向けて送光する送光側送光部材と、前記被測定ガスの流路内に配置され、前記送光側送光部材から前記測定領域を介して送光された前記レーザ光を前記レーザ受光部に向けて送光する受光側送光部材と、前記測定領域内の前記被測定ガスを排気して前記測定領域内を負圧にする排気部と、前記送光側送光部材内及び前記受光側送光部材内に外気を供給する外気供給ラインとを具備することを特徴とする。
【0020】
このガス成分測定装置によれば、送光側送光部材内及び受光側送光部材内に外気を供給して送光側送光部材内及び前記受光側送光部材内への燃焼排ガスの侵入を防ぐことができる。これにより、ガス成分測定装置は、送光側送光部材内及び受光側送光部材内から測定領域に向けたパージガスの供給量を削減することができるので、計装空気のユーティリティー確保を容易にすることが可能なガス成分測定装置を実現することが可能となる。
【0021】
本発明のガス成分測定装置においては、前記外気に含まれる水分及び煤塵を除去するフィルタを備えたことが好ましい。この構成により、外気中に含まれる粉塵、ミスト及び塩などを除去することができるので、送光側送光部材内及び受光側送光部材内を清浄に保つことが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、パージガスを削減でき、計装空気のユーティリティー確保を容易にすることが可能なガス成分測定装置を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の各実施の形態に限定されるものではなく、適宜変更して実施可能である。また、以下の各実施の形態は適宜組み合わせて実施可能である。また、各実施の形態において共通する構成要素には同一の符号を付し、説明の重複を避ける。
【0025】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るボイラ装置1の概略図である。
図1に示すように、本実施の形態に係るボイラ装置1は、ボイラ11からの燃焼排ガスG
1に還元剤としてのアンモニア(NH
3)を供給して窒素酸化物(NOx)を脱硫して煙突12から排出する装置である。このボイラ装置1は、ボイラ11からの燃焼排ガスG
1が流れる煙道13のガス流れ方向におけるボイラ11の後段に設けられたアンモニア注入装置14と、このアンモニア注入装置14の後段に設けられた脱硝装置15と、この脱硝装置15の後段に設けられたガス成分測定装置2と、このガス成分測定装置2の後段に設けられた空気予熱器16とを備える。空気予熱器16は、出口部分に図示しない吸込通風機(IDF:Induced Draft Fan:排気部)が設けられている。これにより、空気予熱器16は、後段に設けられた煙突12に向けて煙道13内の燃焼排ガスG
1を排気するので、煙道13内は負圧となっている。
【0026】
アンモニア注入装置14は、燃焼排ガスG
1中にアンモニア(NH
3)などの還元剤を供給する。脱硝装置15は、煙道13内に設置された区画された脱硝触媒151を備える。この脱硝触媒151を介して燃焼排ガスG
1に供給された還元剤によって燃焼排ガスG
1中の窒素酸化物(NOx)が還元されて燃焼排ガスG
1が脱硝される。
【0027】
ガス成分測定装置2は、脱硝触媒151の後段に配置された複数の送光筒(送光部材)21を備える。ガス成分測定装置2は、送光筒21を介して燃焼排ガスG
1にレーザ光を照射することにより燃焼排ガスG
1中のガス成分(NH
3、NOx)濃度分布を計測する。ガス成分測定装置2によるガス成分濃度分布の測定結果は、制御装置20に伝達される。制御装置20は、例えば、コンピュータであり、CPU、CPUが実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)、各プログラム実行時のワーク領域として機能するRAM(Random Access Memory)、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)、通信ネットワークに接続するための通信インターフェース、及び外部記憶装置が装着されるアクセス部などを備えている。これら各部は、バスを介して接続されている。更に、制御装置20は、キーボードやマウス等からなる入力部及びデータを表示する液晶表示装置等からなる表示部などと接続されていてもよい。制御装置20は、ガス成分濃度分布の測定結果に基づいてアンモニア注入装置14からのアンモニア注入量を制御する。
【0028】
図2は、ガス成分測定装置2の概略図である。なお、
図2においては、煙道13内の燃焼排ガスG
1の流れ方向に対する垂直断面を示している。
図2に示すように、ガス成分測定装置2は、煙道13の外部に設けられ、送光筒21内にレーザ光Lを送光するレーザ発光部22と、煙道13の外部に設けられ、レーザ発光部22から送光筒21に送光されたレーザ光Lを受光するレーザ受光部23とを備える。レーザ発光部22は、燃焼排ガスG
1中のアンモニア(NH
3)濃度を計測する場合には、半導体レーザ(半導体素子:InGaAs、波長:1.5μm、出力:1mW程度)をレーザ光Lとして照射する。レーザ発光部22から照射されたレーザ光Lは、送光筒21内にレーザ光Lを送光する送光ユニット24内に設けられた送光反射部241によって順次反射されて9本の送光筒21内に送光される。送光筒21内に送光されたレーザ光Lは、送光筒21から送光されたレーザ光Lを受光する受光ユニット25内の受光反射部251によって順次反射されてレーザ受光部23に向けて送光される。送光ユニット24内及び受光ユニット25内にはそれぞれパージガスG
2が供給される。このパージガスG
2を供給することにより、送光筒21内への燃焼排ガスG
1の侵入を防ぐことが可能となる。
【0029】
また、ガス成分測定装置2は、9つの区画P
1〜P
9に分割された煙道13内に平行に配置された3つのプローブ21A〜21Cを備える。3つのプローブ21A〜21Cは、それぞれ3つの送光筒21を備える。本実施の形態では、プローブ21Aは、区画P
1〜P
3に配置され、プローブ21Bは、区画P
4〜P
6に配置され、プローブ21Cは、区画P
7〜P
9に配置される。送光筒21は、煙道13内でそれぞれ送光側送光筒(送光側送光部材)211と受光側送光筒(受光側送光部材)212とに区切られ、この区切られた区間が測定領域Zとなる。プローブ21Aの3つの送光筒21は、区画P
1〜P
3内の測定領域Zの燃焼排ガスG
1のガス成分をそれぞれ分析し、プローブ21Bの3つの送光筒21は、区画P
4〜P
6の測定領域Zの燃焼排ガスG
1のガス成分をそれぞれ分析し、プローブ21Cの3つの送光筒21は、区画P
7〜P
9の測定領域Zの燃焼排ガスG
1のガス成分をそれぞれ分析する。なお、
図2においては,9区画であるが,これに捉われるものではなく、測定領域Zは、例えば、ダクトの大きさ、形状、及び煤塵濃度など排ガス性状によりフレキシブルに設定される。
【0030】
図3は、ガス成分測定装置のプローブ21Aの模式的な斜視図である。なお、
図3においては、送光ユニット24及び受光ユニット25を省略して示している。なお、プローブ21B及びプローブ21Cも同様の構成を有する。
【0031】
図3に示すように、プローブ21Aは、レーザ光Lが通過する中空の送光筒21を備える。この送光筒21は、煙道13内で送光側送光筒211と受光側送光筒212とに測定領域Zを介して区切られている。送光筒21に送光されたレーザ光Lは、測定領域Zを介して送光側送光筒211から受光側送光筒212に送光される。このとき、レーザ光Lは、燃焼排ガスG
1が流れる測定領域Zを介して送光されるので、燃焼排ガスG
1中のアンモニアなどの成分をレーザ光Lによって測定することができる。この測定領域Zは、例えば、レーザ光路長を1mとした場合に1mの区間である。
【0032】
次に、本実施の形態に係る濃度分布測定の原理について説明する。
図4は、本実施の形態に係るガス成分測定装置における測定原理の概念図である。本実施の形態に係るガス成分測定装置においては、レーザ光の光強度と測定対象物質の濃度との関係を示す関係式であるランベルト・ベール(Lambert−Beer)の法則を用いた吸光分光分析により、燃焼排ガスG
1中の測定対象物質であるアンモニアなどの濃度を測定する。
図5に、本実施の形態に係るガス成分測定装置における吸収分光計測の透過光強度と透過光の波長との関係の一例を示す。
【0033】
ランベルト・ベールの法則では、
図4に示すように、送光ユニット24側の送光点P1と受光ユニット25側の受光点P2との間のレーザ光Lの経路の測定領域Zと、レーザ光の照射強度I
0と、レーザ光の受光強度I(L)と、距離X中に存在する測定対象(アンモニア)濃度C
0との間に下記式(1)の関係が成立する。
I(L)=I
0exp(−kC
0X) ……(1)
(式(1)中、kは、測定対象物質の吸光度に応じて設定される比例係数である。)
【0034】
また、測定対象物質の濃度を測定する測定領域Zにおける濃度平均値C
1と、測定領域Zにおけるレーザ経路の距離X
1とすると、上記式(1)は、下記式(2)のように表すことができる。ここで、予め設定されたレーザ経路ごとにレーザ光を照射する際、測定領域Zにおけるレーザ経路の距離X
1、レーザ光の照射強度I
0及びレーザ光の受光強度I(L)は既知であるので、上記式(2)を用いることにより、測定領域における測定対象物質の濃度平均値C
1を算出できる。
I(L)=I
0exp(−kC
1X
1) ……(2)
【0035】
次に、本実施の形態に係るガス成分測定装置2の送光筒21の構成について詳細に説明する。
図6は、本実施の形態に係るガス成分測定装置2の送光筒21の断面模式図である。
図6に示すように、送光側送光筒211は、概して一端部が竹槍状に尖った円筒形状を有しており、竹槍状に尖った一端側が測定領域Zとなる煙道13内に向けて配置される。また、送光側送光筒211は、燃焼排ガスG
1のガス流れ方向における上流側である上端側211aが下端側を覆うように配置される。このように配置することにより、燃焼排ガスG
1に含まれる煤塵の送光側送光筒211内への侵入を防ぐことができる。
【0036】
送光側送光筒211は、他端側がフランジ31を介して煙道13の壁面に固定されている。このフランジ31には、概略円筒形状のレーザビーム窓32が接続されている。このレーザビーム窓32の内部には、レーザビーム窓32の内部と外部との間のガスの出入りを遮断するシール用光学ガラス33が配置されている。シール用光学ガラス33の受光面は、レーザ光の反射を防止するため、レーザ光の光路に対して垂直ではなく斜めに形成されてもよい。
【0037】
レーザビーム窓32には、シール用光学ガラス33を挟んで一対の通気孔34が設けられている。この一対の通気孔34からパージガスG
2が送光側送光筒211内に吹き出すことによって、シール用光学ガラス33への燃焼排ガスG
1中の煤塵などの物質の付着を防止できる。また、送光側送光筒211内にパージガスG
2が充満することで、測定領域Z内から送光側送光筒211内への燃焼排ガスG
1の流入を防止できる。なお、通気孔34は、必ずしもシール用光学ガラス33を挟んで設ける必要はなく、シール用光学ガラス33に対して測定領域Z側に設ければよい。
【0038】
送光側送光筒211の一端部には、測定領域Z内からの送光側送光筒211内部への燃焼排ガスG
1の侵入を防ぐ透光板26が配置される。透光板26は、レーザ光Lを透過する透光性を有すると共に、燃焼排ガスG
1に対する耐久性を有する部材であれば特に制限はなく、各種ガラス部材などを用いることができる。これらのガラス部材の中でも、表面への傷及び燃焼排ガスG
1中の煤塵の付着を防ぐ観点から、サファイアガラス又は石英を用いることが好ましく、サファイアガラスを用いることがより好ましい。
【0039】
透光板26は、支持部材27を介して送光側送光筒211内に固定される。この支持部材27の測定領域Z側の一端部には、送光側送光筒211内から測定領域Z側に向けて流れるパージガスG
2を透光板26の表面に向けて導いて流す整流部材28が設けられている。
【0040】
受光側受光筒212は、概して一端部が竹槍状に尖った円筒形状を有しており、竹槍状に尖った一端側が測定領域Zとなる煙道13内に向けて配置される。また、受光側送光筒212は、燃焼排ガスG
1のガス流れ方向における上流側である上端212b側が下端側を覆うように配置される。このように配置することにより、燃焼排ガスG
1に含まれる煤塵の受光側送光筒212内への侵入を防ぐことができる。
【0041】
受光側送光筒212は、他端側がフランジ31を介して煙道13の壁面に固定されている。このフランジ31には、概略円筒形状のレーザビーム窓32が接続されている。このレーザビーム窓32の内部には、レーザビーム窓32の内部と外部との間のガスの出入りを遮断するシール用光学ガラス33が配置されている。シール用光学ガラス33の受光面は、レーザ光の反射を防止するため、レーザ光の光路に対して垂直ではなく斜めに形成されてもよい。
【0042】
レーザビーム窓32には、シール用光学ガラス33を挟んで一対の通気孔34が設けられている。この一対の通気孔34からパージガスG
2が受光側送光筒212内に吹き出すことによって、シール用光学ガラス33への燃焼排ガスG
1中の煤塵などの物質の付着を防止できる。また、受光側送光筒212内にパージガスG
2が充満することで、測定領域Z内から受光側送光筒212内への燃焼排ガスG
1の流入を防止できる。なお、通気孔34は、必ずしもシール用光学ガラス33を挟んで設ける必要はなく、シール用光学ガラス33に対して測定領域Z側に設ければよい。
【0043】
受光側送光筒212の一端部には、測定領域Z内からの受光側送光筒212内部への燃焼排ガスG
1の侵入を防ぐ透光板26が配置される。透光板26は、レーザ光Lを透過する透光性を有すると共に、燃焼排ガスG
1に対する耐久性を有する部材であれば特に制限はなく、各種ガラス部材などを用いることができる。これらのガラス部材の中でも、表面への傷及び燃焼排ガスG
1中の煤塵の付着を防ぐ観点から、サファイアガラスを用いることが好ましい。
【0044】
透光板26は、支持部材27を介して受光側送光筒212内に固定される。この支持部材27の測定領域Z側の一端部には、受光側送光筒212内から測定領域Z側に向けて流れるパージガスG
2を透光板26の表面に向けて流す整流部材28が設けられている。
【0045】
図7Aは、
図6のA−A線矢視断面図であり、
図7Bは、
図6のB−B線矢視断面図である。
図7A及び
図7Bに示すように、送光側送光筒211及び受光側送光筒212内に配置される透光板26は、平面視にて略円形形状を有しており、直径が送光側送光筒211及び受光側送光筒212の内径に対して小さい。また、透光板26は、支持部材27によって互いに中心を通過する直交する直線上の外縁部で2箇所ずつ、合計4箇所で送光側送光筒211及び受光側送光筒212内に固定されている。これにより、透光板26の外縁部と送光側送光筒211及び受光側送光筒212の内壁との間には所定の空間(スリット)Sが設けられる。この空間Sが送光側送光筒211及び受光側送光筒212内からのパージガスG
2の通気孔となる。
【0046】
図8Aは、送光側送光筒211の先端部の部分拡大図であり、
図8Bは、受光側送光筒212の先端部の部分拡大図である。
図8A及び
図8Bに示すように、送光側送光筒211及び受光側送光筒212の先端部では、透光板26の測定領域Z側の表面との間で所定の間隔Dをとって整流部材28が配置されている。このように整流部材28を配置することにより、送光側送光筒211及び受光側送光筒212内から供給されたパージガスG
2が、透光板26と送光側送光筒211及び受光側送光筒212との間の空間Sを介して透光板26を通過し、整流部材28によって透光板26の表面に沿って流れる。これにより、透光板26の測定領域Z側の表面に燃焼排ガスG
1中の煤塵が付着した場合であっても、透光板26の表面に沿って流れるパージガスG
2により、透光板26の表面を清浄に保つことができる。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態に係るガス成分測定装置2によれば、送光側送光筒211及び受光側送光筒212に設けた透光板26により送光側送光筒211内及び受光側送光筒212内への燃焼排ガスG
1中の煤塵の侵入を防ぐことができる。これにより、ガス成分測定装置2は、送光側送光筒211内及び受光側送光筒212内から測定領域Zに向けたパージガスG
2の供給量を削減することができるので、計装空気のユーティリティー確保を容易にすることが可能なガス成分測定装置2を実現することが可能となる。
【0048】
なお、上述した実施の形態においては、送光筒21の送光側送光筒211と受光側送光筒212とが離間して設けられた例について説明したが、送光筒21の構成は、この構成に限定されない。送光筒21は、
図9に示すように、送光側送光筒211の一端側の上端211aと受光側送光筒212の上端212bとが接触して配置してもよい。このように配置することにより、送光側送光筒211の上端211aと受光側送光筒212の上端212bによって燃焼排ガスG
1のガス流れ方向の下流側を覆うことができるので、より一層送光側送光筒211内及び受光側送光筒212内への燃焼排ガスG
1中の煤塵の侵入を防ぐことができる。さらに、送光筒21の構成は、送光側送光筒211と受光側送光筒212とを一体として設けて所望の部分の送光筒21のガス流れ方向における下方側を切り欠いて測定領域Zを設けた構成としてもよい。
【0049】
また、上述した実施の形態においては、送光筒21、送光側送光筒211及び受光側送光筒212が筒状部材である例について説明したが、送光筒21、送光側送光筒211及び受光側送光筒212は筒状部材に限定されず、レーザ光Lを送光できるものであれば形状は適宜変更可能である。
【0050】
さらに、上述した実施の形態においては、透光板26の表面に帯電防止加工を施してもよい。これにより、透光板26の表面に付着する煤塵の電荷を除去することができるので、より一層透光板26の表面への煤塵の付着を防止できる。また、透光板26は、表面が疎水加工を施してもよい。これにより、透光板26への水分を介した煤塵の付着を防止することができる。
【0051】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、以下においては、上述した第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、説明の重複を避ける。
【0052】
図10は、本発明の第2の実施の形態に係るガス成分測定装置2の送光筒21の断面模式図である。本実施の形態に係るガス成分測定装置2は、上述した第1の実施の形態に係るガス成分測定装置2の構成に加えて、送光側送光筒211及び受光側送光筒212に設けられた集塵極29を備える。集塵極29は、透光板26の表面にコロナ放電を発生させて透光板26の表面に付着した煤塵を剥離落下させる。その他の構成については、
図6に示した送光筒21と同一のため説明を省略する。
【0053】
本実施の形態においては、集塵極29は、送光側送光筒211及び受光側送光筒212の先端部における上端211a,212b部の内壁側に設けられる。このように配置することにより、透光板26に対するガス流れ方向の上流側からコロナ放電させて帯電した煤塵を効率良く捕集することができるので、透光板26の表面に付着した煤塵を効率良く剥離落下させることが可能となる。その他の構成については、上述した第1の実施の形態に係るガス成分測定装置1と同様であるため説明を省略する。
【0054】
なお、集塵極29は、送光側送光筒211及び受光側送光筒212の先端部における上端211a,212b部の内壁に設ける必要はなく、例えば、透光板26よりレーザビーム窓32側の送光側送光筒211及び受光側送光筒212内に配置してもよい。
【0055】
このように、本実施の形態によれば、集塵極29から放出された電子によってイオンを発生させて透光板26の表面の静電気を中和させることができるので、より一層効率良く透光板26の表面への煤塵の付着を防ぐことが可能となる。
【0056】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、以下においては、上述した第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、説明の重複を避ける。
【0057】
図11Aは、本発明の第3の実施の形態に係る送光側送光筒211の先端部の部分拡大図であり、
図11Bは、本発明の第3の実施の形態に係る受光側送光筒212の先端部の部分拡大図である。
図11A及び
図11Bに示すように、本実施の形態に係るガス成分測定装置2は、上述した第1の実施の形態に係る送光筒21の構成に加えて、透光板26の測定領域Z側の表面に設けられた光触媒層30と、送光側送光筒211及び受光側送光筒212の先端部における上端211a,212b部に配置された紫外光照射部41とを備える。その他の構成については、
図8A及び
図8Bに示した送光側送光筒211及び受光側送光筒212と同一のため説明を省略する。
【0058】
光触媒層30は、酸化チタン(TiO
2)などの光触媒を含有する。紫外光照射部41は、透光板26に向けて紫外線を照射する。また、紫外光照射部41は、発光部24がガス成分分析用のレーザ光Lを発光していないときに透光板26に向けて紫外線の照射を開始し、発光ユニット24がガス成分分析用のレーザ光Lを発光するときには、透光板26に向けた紫外線の照射を停止する。これにより、光触媒層30に含まれる光触媒による酸化還元反応により透光板26に対する煤塵の付着を防ぐことができると共に、透光板26に煤塵が付着した場合であっても、透光板26に付着した炭化水素成分などの煤塵を効率良く除去することができる。
【0059】
このように、本実施の形態によれば、透光板26の表面に付着した燃焼排ガスG
1中に含まれる煤塵を、光触媒を介した酸化還元反応によって分解して除去することが可能となる。
【0060】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、以下においては、上述した第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、説明の重複を避ける。
【0061】
図12は、本発明の第4の実施の形態に係るガス成分測定装置2の送光筒21の断面模式図である。
図12に示すように、本実施の形態に係るガス成分測定装置2は、送光側送光筒211及び受光側送光筒212のそれぞれの通気孔34に外気G
3を供給する外気供給ラインL
1を備える。この外気供給ラインL
1には、外気供給ラインL
1を流れる外気G
3に含まれる水分、ミスト、塩、粉塵、煤塵を除塵するフィルタ42と、外気供給ラインL
1を流れる外気G
3の流量を調整する流量調整弁Vとが設けられている。フィルタ42としては、外気G
3中の粉塵を除去できるものであれば特に制限はなく、例えば、HEPAフィルタなどを用いることができる。その他の構成については、
図6に示した送光筒21と同一のため説明を省略する。
【0062】
ボイラ装置1においては、脱硝装置15は、後段に設けられた空気予熱器16の出口に設けられた吸込通風機(IDF:Induced Draft Fan)により煙道13の内部が負圧(例えば、0.1kPa〜0.2kPa)となる。そこで、本実施の形態においては、通気孔34に外気供給ラインL
1を接続して外部から空気を供給することにより、パージガスG
2を用いることなく通気孔34から導入される外気G
3によって透光板26への粉塵の付着を防ぐことが可能となる。なお、本実施の形態においては、外気に加えてオゾンを供給してもよい。また、透光板26は、必ずしも設ける必要はない。
【0063】
このように、本実施の形態によれば、送光側送光筒211内及び受光側送光筒212内に外気G
3を供給して送光側送光筒211内及び受光側送光筒212内への燃焼排ガスG
1の侵入を防ぐことができるので、パージガスG
2の供給量を削減することが可能となり、計装空気そのものの確保が困難な場合であってもガス成分を分析することが可能となる。