(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6307466
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】予定患者情報を表示可能なナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
A61G 12/00 20060101AFI20180326BHJP
【FI】
A61G12/00 E
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-64458(P2015-64458)
(22)【出願日】2015年3月26日
(65)【公開番号】特開2016-182261(P2016-182261A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2017年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(72)【発明者】
【氏名】楠 浩和
(72)【発明者】
【氏名】尾関 誠
(72)【発明者】
【氏名】神谷 進吾
【審査官】
中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−103661(JP,A)
【文献】
特開2004−304552(JP,A)
【文献】
特開2004−126644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
H04M 9/00− 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の病床区域に設けられたナースコール子機と、該ナースコール子機からの呼出を報知するナースコール親機とを備え、
前記ナースコール親機が、前記病床区域に関連付けて入院患者の情報を登録する患者情報登録部と、前記入院患者の情報を前記病床区域ごとに表示するディスプレイと、前記ナースコール子機からの呼出に応答して呼出元の入院患者の情報を前記ディスプレイに強調表示させる親機CPUとを含み、
前記患者情報登録部に、前記入院患者の次に同じ病床区域を使用する予定の患者が登録されたときに、前記親機CPUが、前記入院患者と前記予定患者の両方の情報を含む複合表示部を前記ディスプレイに表示させることを特徴とするナースコールシステム。
【請求項2】
前記複合表示部が、前記入院患者の情報を示す入院患者ラベルと、前記予定患者の情報を示す予定患者ラベルとを含み、前記親機CPUが、入院患者ラベルおよび予定患者ラベルを共通の前記病床区域に関連付けて前記ディスプレイに表示させる請求項1記載のナースコールシステム。
【請求項3】
前記複合表示部が、前記予定患者ラベルの表示を、該予定患者ラベルの少なくとも一部分が前記入院患者ラベルの背後に隠れた状態と、前記予定患者ラベルのほぼ全体が前記入院患者ラベルから現れ出た状態とに切替可能に構成されている請求項2記載のナースコールシステム。
【請求項4】
前記複合表示部が、前記隠れた状態の前記予定患者ラベルの存在を明示するための標識部を含む請求項3記載のナースコールシステム。
【請求項5】
前記親機CPUは、前記ディスプレイに前記複合表示部が表示された状態で、前記入院患者から呼出を受けたときに、呼出元の前記入院患者の情報を強調表示させ、前記予定患者の情報を強調表示させない制御を行う請求項1〜4の何れか一項に記載のナースコールシステム。
【請求項6】
前記ナースコール親機は、前記ディスプレイの画面を、前記入院患者の情報が一覧表示される一覧表示画面と、前記入院患者の情報が病床レイアウトに合せて表示されるレイアウト表示画面とに切り替えるための画面切替手段を備え、前記親機CPUは、前記複合表示部を前記一覧表示画面と前記レイアウト表示画面の両方に表示させるための制御を行う請求項1〜5の何れか一項に記載のナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナースコール親機のディスプレイに、現在入院中の患者の情報に加え、同じ病床区域を次に使用する予定がある患者の情報を表示可能なナースコールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベッドが設置される複数の病床区域にナースコール子機を設置し、ナースコール子機からの呼出を報知するナースコール親機をナースステーションに設置し、ナースコール親機のディスプレイに入院患者の情報を病床区域ごとに区別して表示し、ナースコール子機からの呼出に応答して、呼出元の入院患者の情報をディスプレイに強調表示させるナースコールシステムが知られている。
【0003】
この種のナースコールシステムに関して、特許文献1には、ベッド数の増減や病室レイアウトの変更に容易に対処できるように、ナースコール子機とナースコール親機の間における通信線の配線を不要にする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−10771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来のナースコールシステムによると、現在入院中の患者が退院または別の病室に移動した後に、その入院患者と同じ病床区域に、次の患者が入院する予定のある場合、あるいは、ベッド移動に伴って次の患者が移動してくる予定のある場合に、入院患者の情報に加えて、予定患者の情報をナースコール親機のディスプレイに表示することができないという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、親機ディスプレイに予定患者の情報を入院患者の情報と併せて表示することができるナースコールシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、複数の病床区域に設けられたナースコール子機と、ナースコール子機からの呼出を報知するナースコール親機とを備えたナースコールシステムにおいて、次のような手段を提供する。
【0008】
(1) ナースコール親機に、病床区域に関連付けて入院患者の情報を登録する患者情報登録部と、入院患者の情報を病床区域ごとに表示するディスプレイと、ナースコール子機からの呼出に応答して呼出元の入院患者の情報をディスプレイに強調表示させる親機CPUとを設け、患者情報登録部に、入院患者の次に同じ病床区域を使用する予定の患者が登録されたときに、親機CPUが、入院患者と予定患者の両方の情報を含む複合表示部をディスプレイに表示させることを特徴とするナースコールシステム。
【0009】
(2) 複合表示部が、入院患者の情報を示す入院患者ラベルと、予定患者の情報を示す予定患者ラベルとを含み、親機CPUが、入院患者ラベルおよび予定患者ラベルを共通の病床区域に関連付けてディスプレイに表示させることを特徴とする上記1に記載のナースコールシステム。
【0010】
(3) 複合表示部が、予定患者ラベルの表示を、このラベルの少なくとも一部分が入院患者ラベルの背後に隠れた状態と、予定患者ラベルのほぼ全体が入院患者ラベルから現れ出た状態とに切替可能に構成されていることを特徴とする上記2に記載のナースコールシステム。
【0011】
(4) 複合表示部が、入院患者ラベルの背後に隠れた状態の予定患者ラベルの存在を明示するための標識部を含むことを特徴とする上記3に記載のナースコールシステム。
【0012】
(5) 親機CPUは、ディスプレイに複合表示部が表示された状態で、入院患者から呼出を受けたときに、呼出元の入院患者の情報を強調表示させ、予定患者の情報を強調表示させない制御を行うことを特徴とする上記1〜4の何れか一つに記載のナースコールシステム。
【0013】
(6) ナースコール親機は、ディスプレイの画面を、入院患者の情報が一覧表示される一覧表示画面と、入院患者の情報が病床レイアウトに合せて表示されるレイアウト表示画面とに切り替えるための画面切替手段を備え、親機CPUは、複合表示部を一覧表示画面とレイアウト表示画面の両方に表示させる上記1〜5の何れか一つに記載のナースコールシステム。
【発明の効果】
【0014】
本発明のナースコールシステムによれば、患者情報登録部に予定患者が登録されたときに、予定患者の情報を入院患者の情報と併せて親機ディスプレイに表示するので、ベッドの準備や移動等の病床管理業務を計画的に実施できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態を示すナースコールシステムの全体図である。
【
図2】ナースコール親機の構成を示すブロック図である。
【
図3】患者情報の一覧表示画面を示すナースコール親機の正面図である。
【
図4】患者情報のレイアウト表示画面を示すナースコール親機の正面図である。
【
図5】複合表示部の構成例を示すディスプレイ画面の部分図である。
【
図6】複合表示部の変化を示すディスプレイ画面の部分図である。
【
図7】呼出時の複合表示部を示すディスプレイ画面の部分図である。
【
図8】複合表示部の別の構成例を示すディスプレイ画面の部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すナースコールシステム1は、入院患者が病室で看護師を呼び出すためのナースコール子機2と、病室前の廊下で入院患者からの呼び出しを表示する廊下灯3と、入院患者の呼び出しを看護師に報知するためのナースコール親機4と、病院のオーダリングシステム(図示略)から患者情報や看護師情報を含む看護情報を取得して蓄積するナースコールサーバ5と、ナースコールシステム1の全体を制御する制御機6とから構成されている。
【0017】
ナースコール子機2は、ベッドが設置される複数の病床区域ごとに設けられ、呼出ボタン7の操作により発生した呼出信号をナースコール親機4に送信するための呼出回路(図示略)が内蔵されている。ナースコール親機4は、ナースセンターに設置され、入院患者と通話をするためのハンドセット8と、入院患者の情報を病床区域ごとに表示する大型のディスプレイ9と、ディスプレイ9に連係して入院患者からの呼出や看護情報を表示する小型のモニタ10とが装備されている。
【0018】
図2に示すように、ディスプレイ9およびモニタ10にはタッチパネル11,12が付設され、親機4の電子制御系に、タッチパネル11,12の操作情報を処理する操作情報処理部14と、ディスプレイ9およびモニタ10の表示を制御する表示制御部13と、子機2との通話を制御する通話制御部15と、各種看護情報を記録する看護情報記録部16と、病床区域ごとに入院患者の情報を登録する患者情報登録部17と、子機2、サーバー5および制御機6と交信する親機インターフェース18と、ナースコール親機4の全体を制御する親機CPU19とが設けられている。
【0019】
図3、
図4に示すように、親機ディスプレイ9には、患者情報登録部17に登録された入院患者に関する情報、例えば、ベッド番号、患者名、医師名等を含む患者情報が病床区域ごとに複数の入院患者ラベル21によって表示される。また、タッチパネル11には画面切替ボタン22が設けられ、このボタン操作によってディスプレイ9の画面が、患者情報を一覧表示する一覧表示画面23(
図3参照)と、患者情報を病床レイアウトに合せて表示するレイアウト表示画面24(
図4参照)とに切り替えられる。
【0020】
そして、親機CPU19は、ナースコール子機2からの呼出に応答し、呼出元の入院患者の情報をポップアップラベル25(
図3参照)の点滅によりディスプレイ9に強調表示させるとともに、モニタ10に呼出画面26を表示させる。また、現在入院中の患者に続いて同じ病床区域に入院またはベッド移動する予定の患者が患者情報登録部17に登録されたときには、親機CPU19が、入院患者と予定患者の両者の情報を含む複合表示部31(
図4参照)をディスプレイ9に表示させるための制御を行う。なお、予定患者の情報は、病院のオーダリングシステムからナースコールサーバ5を介して患者情報登録部17に提供される。
【0021】
図5、
図6に示すように、複合表示部31は、入院患者の情報を示す入院患者ラベル21と、予定患者の情報を示す予定患者ラベル32と、隠れた状態の予定患者ラベル32の存在を明示するための標識マーク33とを備えている。そして、複合表示部31が予定患者ラベル32の表示を切替可能に構成され、予定患者情報が登録された後に標識マーク33がタッチされるまでの期間は、予定患者ラベル32の大部分が入院患者ラベル21の背後に隠れた状態(
図5参照)で表示され、標識マーク33がタッチされたのち所定時間または再タッチされるまでの期間に、予定患者ラベル32の全体が入院患者ラベル21から現れ出た状態(
図6参照)で並列表示されるようになっている。
【0022】
一方、複合表示部31がディスプレイ9に表示された状態で、入院患者から呼び出しを受けたときには、
図7に示すように、親機CPU19は、呼出元の入院患者に対応する入院患者ラベル21に並べてポップアップラベル25を点滅表示(強調表示)させる制御を行う。このとき、予定患者ラベル32は強調表示されず、入院患者ラベル21の背後に隠れたままの状態に保持される。なお、ポップアップラベル25および複合表示部31は、
図3に示す一覧表示画面23および
図4に示すレイアウト表示画面24の何れにも表示される。
【0023】
したがって、この実施形態のナースコールシステム1によれば、親機4の患者情報登録部17に入院予定またはベッド移動予定の患者が登録されたときに、その予定患者の情報を現在入院中の患者情報と併せて複合表示部31でディスプレイ9に表示することができる。このため、看護師等の病院スタッフはベッドの準備や移動等の病床管理業務を計画的かつスムーズに実施することができる。特に、複合表示部31が入院患者ラベル21および予定患者ラベル32を両方の患者に共通の病床区域に関連付けて表示するので、病院スタッフはどの区域のベッドで患者が交代するかを一目瞭然と理解することができる(
図4参照)。
【0024】
また、複合表示部31に標識マーク33が設けられているため、病院スタッフが入院患者ラベル21の背後に隠れた予定患者ラベル32を見逃すおそれがないうえ、その標識マーク33のワンタッチ操作によって、予定患者ラベル32の表示を隠れた状態から現れ出た状態に切り替えて、その予定患者の情報を容易に読み取ることもできる。しかも、入院患者から呼出を受けたときには、呼出元の入院患者情報のみが強調表示されるので(
図7参照)、予定患者情報を入院患者情報と混同する心配がなく、入院患者の呼出に対して的確に応答できるという利点もある。
【0025】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に例示するように、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、複合表示部や強調表示部の構成を適宜に変更して実施することも可能である。
(1)
図8aに示すように、複合表示部41の入院患者ラベル21に標識色43を着色し、予定患者ラベル42が入院患者ラベル21の背後に隠れていることを色によって明示すること。
(2)
図8bに示すように、入院患者ラベル21にタッチしたときに、予定患者ラベル42が入院患者ラベル21から横方向へ現れ出るように構成すること。
(3)
図8cに示すように、入院患者からの呼出を入院患者ラベル21と異なる形状または色の強調表示ラベル45で報知すること。
【符号の説明】
【0026】
1 ナースコールシステム
2 ナースコール子機
4 ナースコール親機
9 ディスプレイ
17 患者情報登録部
19 親機CPU
21 入院患者ラベル
22 画面切替ボタン
23 一覧表示画面
24 レイアウト表示画面
25 ポップアップラベル
31 複合表示部
32 予定患者ラベル
33 標識マーク