(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6307476
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】段違い合わせガラス、扉、及び段違い合わせガラスの生産方法
(51)【国際特許分類】
C03C 27/12 20060101AFI20180326BHJP
E06B 3/70 20060101ALI20180326BHJP
A47F 3/12 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
C03C27/12 Z
E06B3/70 D
A47F3/12
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-144123(P2015-144123)
(22)【出願日】2015年7月21日
(65)【公開番号】特開2017-24937(P2017-24937A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2017年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】396004419
【氏名又は名称】有限会社拓洋
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
(74)【代理人】
【識別番号】100151002
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 剛之
(74)【代理人】
【識別番号】100083792
【弁理士】
【氏名又は名称】羽村 行弘
(72)【発明者】
【氏名】堀田 誠
【審査官】
山田 頼通
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/079688(WO,A1)
【文献】
特開2007−314370(JP,A)
【文献】
特開2001−227091(JP,A)
【文献】
特開2001−302290(JP,A)
【文献】
実開平03−111538(JP,U)
【文献】
特開昭49−107014(JP,A)
【文献】
実開昭63−149935(JP,U)
【文献】
特開2008−019065(JP,A)
【文献】
特開2009−149486(JP,A)
【文献】
特開2005−138213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/00−27/12
A47F 3/12
E06B 3/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉する扉に使用される段違い合わせガラスであって、
主ガラス板と、
前記主ガラス板に対して中央部が一体化するように接着膜を介して接着された副ガラス板と
を備え、
前記主ガラス板は、
上下部が前記副ガラス板より延長させられており、
前記副ガラス板は、
左右部が前記主ガラス板より延長させられていること
を特徴とする段違い合わせガラス。
【請求項2】
請求項1に記載の段違い合わせガラスにおいて、
前記接着膜は、
透明、半透明、又は着色透明のいずれかであること
を特徴とする段違い合わせガラス。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の段違い合わせガラスと、
前記主ガラス板の前記上下部それぞれに固定される枠体と、
前記枠体を介して前記主ガラス板の前記上下部を天井部材及び床部材に対してそれぞれヒンジ結合する複数の軸棒と
を有し、
前記副ガラス板は、
前記枠体の予め定められた表側に配置されていること
を特徴とする扉。
【請求項4】
開閉する扉に使用される段違い合わせガラスの生産方法であって、
主ガラス板の上下部を副ガラス板より延長させ、
前記副ガラス板の左右部を前記主ガラス板より延長させ、
前記主ガラス板に対して中央部が一体化するように接着膜を介して前記副ガラス板を接着すること
を特徴とする段違い合わせガラスの生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファッション被服などの商品陳列室の壁面を兼ねた扉として使用して好適な段違い合わせガラスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、地震や物がぶつかってガラスが破損した場合に、割れたガラス片の落下や飛散を避けるために、2枚のガラス板を、接着膜を介して張り合わせた段違い合わせガラス窓が、特開2007−314370号公報として開示されている。これは、主たるガラス板の周縁部を窓枠の溝に嵌め、窓ガラス板が破損しても接着膜の作用で割れたガラス片がばらばらにならないように工夫したものである。したがって、上記段違い合わせガラス窓は、主たるガラス板51に、
図5(a)の如く、縦横とも小サイズのガラス板52を接着膜53で接着してなる。
【0003】
【特許文献1】特開2007−314370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記段違い合わせガラスは、例えば、小サイズのガラス板52が表側になるようにして主たるガラス板51の上下部を天井面及び床面にヒンジ結合して観音扉状或いは片扉状に開閉できるように設置した場合、
図5(b)の如く、扉の閉じ部54には、主たるガラス板51の左右部と、小サイズのガラス板52の左右部が共に表側に段違い状のまま顕れてしまい、扉の閉じ部の美麗さが著しく損なわれてしまうこととなった。
【0005】
本発明は、上記問題を解消するためのもので、その目的とするところは、扉の閉じ部の美麗さを損なわせない使い方のできる段違い合わせガラスを提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、
開閉する扉に使用される段違い合わせガラスであって、主ガラス板と、前記主ガラス板に
対して中央部が一体化するように接着膜を介して接着された副ガラス板とを備え、前記主ガラス板は、上下部が前記副ガラス板より延長させられており、前記副ガラス板は、左右部が前記主ガラス板より延長させられていることを特徴とする。また、本発明は、左右部が主ガラス板より延長した副ガラス板が扉の枠体の表側になるようにして扉を作られると、その閉じ部を美麗にすることができる。
【0007】
また、
請求項1に記載の発明に係る段違い合わせガラスにおいて、前記接着膜は、透明、半透明、又は着色透明のいずれかであることを特徴とする。よって、
請求項2に記載の発明に係る段違い合わせガラスは、接着膜の選択により異なった印象のものとなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、主ガラス板の上下部に副ガラス板が表側になるように枠体を介して天井部及び床部にヒンジ結合すると、副ガラス板が扉の表側になるから、ファッション被服などの商品陳列室の壁面を兼ねた扉の閉じ部を美麗にすることができるという優れた効果を奏するものである。
【0009】
また、
請求項2に記載の発明に係る段違い合わせガラスによれば、ショーウインドウや商品展示室の壁面を兼ねた扉の全部または一部を用途により透明、半透明、着色透明にすることができるという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の実施の態様を添付図面に基づいて説明する。
図1は本願段違い合わせガラスの一部切欠斜視図、
図2は本願段違い合わせガラスの上下部を扉として使用した場合の断面図、
図3は本願段違い合わせガラスの3枚を観音扉及び片扉として使用した場合の平面図、である。本願段違い合わせガラスの上下部を天井部及び床部に取り付けた場合の断面図、
図4は観音扉の閉じ部を示す斜視図である。
【0011】
本願段違い合わせガラス1は、主ガラス板2と副ガラス板3とを接着膜4を介して接着させてなる。前記接着膜4で接着するに当たり、
図1の如く、前記主ガラス板2の上下部2a、2bは副ガラス板3より一定量Eだけ延長させ、一方副ガラス板3の左右部3a、3bは主ガラス板2より一定量E′だけ延長させている。換言すれば、本願段違い合わせガラス1は接着膜4で接着された中央部は重畳的に一体化し、縦方向の上下部2a、2bは主ガラス板2のみで構成され、幅方向の左右部3a、3bは副ガラス板3のみで構成されている。
【0012】
前記段違い合わせガラス1の上下部2a、2bには、
図2の如く、副ガラス板3が表側になるようにして枠体5が固定されている。該枠体5の表側には、副ガラス板3の上下端部にシール部材6を介して框板7が固着されている。該框板7の水平部7′は、天井部材8及び床部材9に軸棒10を介してヒンジ結合されている。該段違い合わせガラス1は、
図3の如く、壁面を兼ねた観音扉A、B及び片扉Cとして形成される。
【0013】
前記観音扉A、B及び片扉Cは、段違い合わせガラス1の左右部(副ガラス板3)により作られた閉じ部11は、小さな隙間となる。したがって、観音扉A、B及び片扉Cの閉じ部11として構成される本願段違い合わせガラス1の左右部3a、3bは、
図4の如く、美麗に仕上がることとなる。
【0014】
前記接着膜4は、透明又は半透明又は着色透明にすることができる。「透明」にした場合には、重畳的に一体化された中央部はもとより縦方向の上下部及び幅方向の左右部も透視ガラスのように見える。また、「半透明」にした場合には、全体が曇りガラスで形成されているように見える。さらに、「着色透明」にした場合には、着色の度合いにより、色付き透視ガラスや色付き曇りガラスのように見える。
【0015】
次に、本願段違い合わせガラスの作用を説明する。本願段違い合わせガラス1を扉として使用する場合は、副ガラス板3を表側にして主ガラス板2の延長させた上下部を、枠体5を介して天井部位8及び床部材9にヒンジ結合し、表側にある副ガラス板3の左右部が観音扉や片扉の閉じ部を美麗に仕上げる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は、ショーウインドウや商品展示室の壁面を兼ねた扉を形成してその閉じ部を美麗にすることができるから、特に、アパレル業界や家具業界その他各種の商品展示室に利用可能性の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本願段違い合わせガラスの一部切欠斜視図である。
【
図2】本願段違い合わせガラスの上下部を扉として使用した場合の断面図である。
【
図3】本願段違い合わせガラスの3枚を観音扉及び片扉として使用した場合の平面図である。
【
図5】従来例を示し、(a)は斜視図、(b)は観音扉の閉じ部である。
【符号の説明】
【0018】
1 本願段違い合わせガラス1
2 主ガラス板
3 副ガラス板
4 接着膜4
2a、2b 上下部
5 枠体
6 シール部材
7 框板
7′ 水平部
8 天井部材
9 床部材
10 軸棒
11 閉じ部
A、B 観音扉
C 片扉