(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来より、観光名所やテーマパーク、また、地域団体の企画・イベントなどの集客効果を見る指標の一つとして、スタンプラリーというものがある。スタンプラリーとは、市内や観光名所などある一定のテーマの中でスタンプを集める企画のことであり、ユーザは指定された場所のスタンプを台紙などに押印し、企画者に提出することで、特典を受けることができる。
【0003】
ユーザは、観光名所などを訪れた際、訪問の記念としての意味合いでスタンプラリーを行うケースが多く、また、特典を受けることができるメリットの効果も大きいため、観光名所やテーマパークを訪れるユーザのスタンプラリーの参加率は高いと言える。
【0004】
スタンプラリーを企画している地域団体は、企画・イベントにどのくらいの人間が参加してくれたかを見る指標の一つとして、このスタンプラリーを活用しているケースがある。最終的に企画者側に提出されるスタンプ押印の台紙の枚数などから、企画・イベントの来場者がどのくらいであったかを見ることができ、更に次回企画するイベントなどに、その結果を活かすことができる。
【0005】
ユーザの特典、および企画者側の集客効果の指標など、両者の立場でスタンプラリーはメリットがあるものであるが、ユーザ側の時間制約の面で課題もある。例えば、ユーザがスタンプ押印のために、スタンプ置き場を訪れた際に、スタンプ置き場に大量の人がいて、スタンプ押印に時間がかかってしまうことがある。
【0006】
ユーザは限られた時間の中で複数個所のスタンプ置き場を訪れる必要があり、また個人で予定しているスケジュールの面からも、場合によっては、スタンプ置き場の混雑で、スタンプラリーで一日の大半の時間を費やしてしまい、元々予定していたスケジュールを破棄しなければならないケースが出てきてしまう。
【0007】
限られた時間の中で、ユーザのスケジュールの大きな妨げとならない、かつユーザと企画者双方にメリットが出るようなスタンプラリーを行えるシステムの開発が求められている。特許文献1では、各々のスタンプ置き場とサーバとをネットワークで接続し、ネットワークを介して、各々のスタンプ置き場からユーザの訪問状況をサーバに知らせる技術が公開されている。
【0008】
ユーザの訪問状況を、ネットワークを介してサーバ側にリアルタイムで送信するため、サーバ側、つまり企画者側としてはスタンプラリーの参加状況をリアルタイムで知ることができる点でメリットはあるが、スタンプ押印の手段は、ユーザがスタンプを押印するためにスタンプ置き場に向かい、人の列が出来ていればスタンプ押印のために列に並んで順番を待つという従来のスタンプラリーと同様のため、時間制約の面では課題を解決するに至っていない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
本実施形態の状態特定システムのハードウェア構成について
図1を用いて説明する。尚、情報処理システムの構成は、
図1に示したものと必ずしも同じ構成である必要はなく、本実施形態を実現できるハードウェアを備えていればそれで十分である。
【0016】
サーバ1は、所定のプログラムを実行することにより、サーバ1の全体の制御を行う制御部101と、通信I/F102と、記憶部103と、タイマー104と、を備えている。
【0017】
サーバ1の通信I/F102は、サーバ1をネットワーク401に接続し、情報の送受信を行う。通信I/F102は、具体的にはUSBポートやLANポート、無線LANポートなどがあり、外部の機器とデータの送受信が行えればどのようなものでも構わない。
【0018】
サーバ1の記憶部103は、各種データを不揮発に記憶する。各種データは、通信I/F102によりネットワーク301から受信されるものであってもよく、他の機器から受信されるものであってもよい。具体的には、HDDなどの不揮発記憶装置により構成が可能となる。
【0019】
サーバ1のタイマー104は、自装置で時間管理を行うためのものであり、ネットワーク401を介して、時間に基づいて照合を要求された場合などに用いられる。
【0020】
情報端末2は、所定のプログラムを実行することにより、情報端末2の全体の制御を実現するためのCPU201と、情報端末2の電源が投入されたときにCPU201が読出すプログラムを記憶する読出専用メモリ(Read Only Memory(ROM))202と、CPU201が作業用メモリとして使用するランダム・アクセス・メモリ(Random Access Memory(RAM))203と、情報端末2の電源が切断されたときに種々のデータの記録を保持することが可能なHDD204と、マウスや入力キーで構成される入力装置205と、液晶、および有機ELなどのパネルを用いたディスプレイを備えた表示装置206と、を備えている。
【0021】
また、情報端末2は、記憶部207と、通信I/F208、位置特定部209、カメラ部210を更に備えている。通信I/F208は、ネットワーク401を介して接続されている。情報端末2は、ユーザの操作によってネットワーク401経由でアクセス可能な各種情報にアクセスするものであり、パーソナルコンピュータやタブレット端末、スマートフォンなどが該当するが、これに限られるものではない。
【0022】
情報端末2の記憶部207は、各種データを不揮発に記憶する。各種データは、通信I/F208によりネットワーク401から受信されるものであってもよく、他の機器から受信されるものであってもよい。具体的にはHDDなどの不揮発記憶装置などがあるがこれに限定されない。
【0023】
情報端末2の通信I/F208は、ネットワーク401に接続し、情報の送受信を行う。通信I/F208は、具体的にはUSBポートやLANポート、無線LANポートなどがあり、外部の機器とデータの送受信が行えればどのようなものでも構わない。
【0024】
情報端末2の位置特定部209は、図示していないGPSアンテナ、および現在位置の位置情報(緯度、経度)を生成取得するGPSデコーダにより構成されている。
【0025】
情報端末2のカメラ部210は、被写体の撮影を行い、撮影信号を図示していない撮像素子I/Fによって所定の撮影データとして取り込まれ、撮影データを出力する。
【0026】
また、発光器3は、所定のプログラムを実行することにより、サーバ1の全体の制御を行う制御部301と、通信I/F302と、発光部303と、生成部304と、記憶部305と、を備えている。
【0027】
発光器3の発光部303は、図示していないLEDを光源として搭載したLED式の発光を起こすものを想定しているが、発光体に使用されるものはLEDに限定されず、発光を起こすものであれば、白熱電球や人工レーザーなど、限定はしない。
【0028】
発光器3の生成部304は、発光部303の「点灯」、および「消灯」を、所定の期間でどのような組み合わせで行わせるかの発光パターンを生成する。つまり、発光部303の光源が仮にずっと付いたままであれば、「点灯」のみによる一つの発光パターンができることになり、発光部303の光源がずっと消灯したままである時も然りである。「点灯」、「消灯」をどのように行わせるかをプログラムとして生成し、そのプログラムに沿って発光部303を制御することが可能となる。
【0029】
発光器3の記憶部305は、生成部304で生成した発光パターンのプログラムを記憶する。図示していないが、例えば、発光器3にユーザからの指示入力を行うことが可能なインタフェースが備えられていた際、複数の発光パターンから一つ発光パターンを選択すると、記憶部305から所定のプログラムが読み出され、制御部301の実行に基づいて、発光パターンのプログラムが設定される。
【0030】
発光パターンの変更は発光器3のインタフェースを介して行うだけではなく、例えば通信I/F302からネットワークを介してサーバ1、および情報端末2からの命令信号を受信して変更するなどの構成も可能である。
【0031】
図2は、本発明の実施形態にかかる状態特定システムの機能ブロック図である。
図2に示すように、本発明にかかる状態特定システムは、サーバ1が、記憶手段10と、状態パターン特定手段11と、電子データ送信手段12と、を備えており、情報端末2が、撮影手段20、変換手段21、状態パターン情報送信手段22と、を備えており、発光器3が、状態パターン切り替え手段30、状態パターン生成手段31、状態パターン選定手段32と、を備えている。
【0032】
まず、本実施形態の詳細を、発光器3、情報端末2、サーバ1の機能の順番で説明することにする。まず、発光器3の状態パターン切り替え手段30は、外観での相違が判断可能な第1の状態と、第2の状態と、を切り替える。
図3は本実施形態で用いる発行器の発光パターンについて説明する図である。
【0033】
発光パターンは、発行器3の発光部303の光源から発せられる光の「点灯」および「消灯」を1ビット分で定義し、「点灯」および「消灯」を所定の期間で組み合わせたものとなっている。
図3の発光パターンAと発光パターンBは15ビット分の「点灯」、および「消灯」を記録したものとなっており、15ビット分で定義された一つの発光パターンとして定義する。
【0034】
尚、発光パターンは周期性を持っており、発光パターンAと発光パターンBの動作を行い、所定の動作が完了すると同じパターンを繰り返す。ここで、繰り返すタイミングはパターンの動作が開始して15ビット分の動作を完了させた16ビット目からまた繰り返し動作を行ってもよいが、本発明の趣旨、つまり発光パターンを照合することを考えた際には、繰り返しタイミングは常に一定で行うのではなく、できるだけ繰り返しタイミングの推測が行われづらいように、繰り返しタイミングを毎回異ならせるようにした方が好ましい。また、当然ながらこの趣旨からは、発光パターンが長い方が望ましい。
【0035】
繰り返しタイミングを行ならせる方法としては、例えば、発光パターンの1周期の発光が終わる度に、次周期の開始するタイミングを異ならせるようにする、すなわち周期長を一定にしないように短いブレーク時間をとる方法がある。つまり、直前の周期の終了時刻を予め選定した定数により除して、その余剰によって次周期の開始タイミングを決める方法などがあるが、次周期の開始タイミングを推測されづらい方法であればこれに限定されない。同様に、発光パターンの一周期を一定にする場合も、時(3600秒)、分(60秒)、秒と一致しないよう、例えば3001ミリ秒のような素数ミリ秒周期長の方が推定しづらくすることができる。また、日によって発光開始時間をずらすことも有効である。過日に録画された発光パターンを、撮影と同時刻にサーバに送付しても、日によって発光開始時刻がずれていれば、照合されることはない。
【0036】
本実施形態の状態パターン切り替え手段30は、処理部301の所定のプログラムに基づいて発光部303が実行することにより実現が可能である。
【0037】
発光器3の状態パターン生成手段31は、第1の状態(本実施形態の発光器を用いる場合では「点灯状態」)と、第2の状態(本実施形態の発光器を用いる場合では「消灯状態」)と、から成り、周期性を持つ状態パターン(本実施形態の発光器を用いる場合では発光パターン)を複数生成する。状態は2つに限定されることはない。例えば発光器の光量を点灯状態の半分にしたり、発光色を変える、など多彩なバリエーションの状態を想定することも可能である。
【0038】
図3に示した発光パターンは2種類であるが、2種類ではなく、3種類、4種類、又はそれ以上でもよい。また、1つの発光パターンの長さは15ビットに限定されることなくそれ以上でもよい。発光パターンを生成する方法としては、パターンの長さを定めたら、ランダムで「点灯」および「消灯」の各々の動作期間を定めてパターンを決定した後、2つ目、3つ目・・・と発光パターンを生成する。この発光パターンがスタンプの種類に相当する。考えうる全ての発光パターン数に比べ、実際の発光パターン数を十分に限定することで、発光パターンの不正コピーや、誤識別のリスクを減らすことができる。
【0039】
尚、発光パターンを生成する際には制限を設ける必要がある。ここでいう制限とはパターンの長さに対して、所定の長さ分の情報が重ならないようにするというものである。つまり、
図3の15ビットの長さのパターンで考えた際に、例えば、連続する5ビット分はどの情報を見ても情報が重ならないようにするということである。これは、サーバ1でユーザが撮影した撮影データから発光パターンを検証する際に、他の発光パターンと間違えて発光パターンを特定しないようにするためである。言い換えると、連続する5ビット分を撮影し、サーバに送付することで、どのスタンプかを識別することが可能となる。発光パターンの長さにより、他の発光パターンと情報が重ならないようにする連続ビット数を変更することも可能である。
【0040】
1つの発光パターンを生成し、2つ目の発光パターンを生成した際は、1つ目の発光パターンと、2つ目の発光パターンの5ビット分の情報を全パターン検出し、情報を照合し、情報が重ならないことを確認する。更に、3つ目、4つ目と発光パターンを生成した際には、同様にそれまで生成した発光パターンと所定のビット分の長さの情報が重ならないことを確認して発光パターンを生成する。
【0041】
本実施形態の状態パターン生成手段31は、処理部301の所定のプログラムに基づいて生成部304が発光パターンを生成し、生成した発光パターンを記憶部305に記憶することで実現が可能である。また、状態パターンの生成においては、例えばサーバ側1で生成することも可能である。処理部101で、予め設定する状態パターン生成におけるプログラムに基づいて通信I/F102よりネットワーク401を介して発光器3に複数の状態パターンの信号を送信し、受信した状態パターンより以下の状態パターン選定手段32で状態パターンを選定するなど、状態パターン生成手段31は発光器の手段だけでなく、外部で生成するような構成の変更は可能である。
【0042】
発光器3の状態パターン選定手段32は、複数の状態パターンより、一つの状態パターンを選定し、該状態パターンに従って動作を行う。選定方法としては、例えば、発光器3に外部入力用のインタフェースを設け、そのインタフェースからユーザの入力選択操作により発光パターンを選定することができる。また、通信I/F302からネットワークを介して、サーバ1および情報端末2で発光パターンを選定し、信号出力により切り替えることも可能である。
【0043】
本実施形態の状態パターン選定手段32は、処理部301の所定のプログラムに基づいて選定された発光パターンを記憶部305より読み出し、実行することで実現が可能である。また、外部(例えばサーバ1)で生成された発光パターンから選定する際には、サーバ1の処理部102で所定のプログラムに基づいて生成された発光パターンを通信I/Fよりネットワーク401を介して受信し、記憶部305に発光パターンをデータとして保存し、処理部301により発光パターンが選定される。
【0044】
次に、情報端末2の撮影手段20は、装置(本実施形態では発光器3)の外観の動画を撮影し、前記撮影データを出力する。撮影においては、発光パターンにおける状態の変化を所定の期間で撮影できる動画撮影が好ましい。静止画の撮影では、時系列のある一点の情報だけの記録であるため、本実施形態のシステムでは適用しづらいためである。
【0045】
本実施形態の撮影手段20は、CPU201の所定のプログラム動作に基づいて、カメラ部210を動作させることで実現が可能である。
【0046】
情報端末2の変換手段21は、撮影データより、第1の状態(本実施形態では「点灯状態」)、および第2の状態(本実施形態では「消灯状態」)を文字コード列に変換する。文字コード列への変換方法について
図4を用いて説明を行う。
図4は、
図3で説明した発光パターンA、および発光パターンBを文字コードへ変換する処理について説明する図である。
【0047】
本実施形態での文字コード列への変換は、二進コードへの変換を一例として説明する。まず、発光パターンAにおいて、15ビット分の情報が撮影データとして納まるように動画撮影を行った場合を考えてみる。撮影データの動画フレームを1ビット分の静止画の集まりしてみたとき、各々の静止画のデータから発光器が「点灯」しているか「消灯」しているかを判断する。
【0048】
撮影データより判断した結果、「点灯」している静止画であれば“1”、「消灯」している静止画であれば“0”として撮影データより、発光器の状態に応じて二進コード変換を行う。15ビット分の静止画からそれぞれ二進コードへ変換された情報を時系列の古いものから文字列を並べると、例えば、発光パターンAは「10110001000010110000」と表記することができる。また、発光パターンBにおいても同様に変換される。
【0049】
本実施形態の変換手段21は、CPU201の所定のプログラムに基づいて実行することで実現することが可能となる。
【0050】
情報端末2の状態パターン送信手段22は、少なくとも文字コード列を含めた状態パターン情報をサーバに送信する。尚、状態パターン情報は変換手段21により変換された文字コード列と撮影時間情報を併せて送信することも可能である。撮影時間情報は、カメラ部210により取得した撮影データに撮影時間を各文字コードに紐付けて記録することが可能であり、動画の撮影開始から撮影終了までの時間情報を記録する。
【0051】
撮影時間情報においては、カメラ部210で備えているタイマー(図示していない)などで記録した時間でも構わないが、情報端末2自体が基地局との電波通信により定めている時間を使う方がより精度が高いため、そちらの時間に合わせてもよい。いずれにしても撮影開始から撮影終了までの時間を文字コード列と紐付けてサーバに送信できれば、どのような送信方法でも構わない。勿論、情報端末2より直接撮影時間情報を送信しなくてもよく、サーバ側で備えているタイマー104を用いて撮影時間情報としてもよい。
【0052】
情報端末2の状態パターン情報送信手段22は、CPU201が所定のプログラムに基づいて定められた情報を通信I/F208よりネットワーク401を介してサーバ1に送信することで実現が可能である。
【0053】
次に、サーバ1の記憶手段10は、文字コード列と、装置(本実施形態では発光器3)が該状態パターンに従って動作を行う時刻と、電子データと、を関連付けたデータベースとして記憶する。状態パターンは発光パターンのことであり、例えば
図5のような発光器の「点灯」、および「消灯」の動作により生成される発光パターンA、発光パターンBを文字コード列(本実施形態では二進コード列)に変換したものと、電子データ(本実施形態ではスタンプ型の画像などを想定)と、を関連付けたデータベースとして記憶する。
【0054】
また、発光器3が発光パターンに従って動作を行う時刻とともに、文字コード列と電子データを記憶することが必要になる。これは、情報端末2より所定の文字コード列の情報と撮影時間情報を受信した際に、情報端末2が発光パターンを撮影した撮影時間に基づいて、サーバ1で発光パターンの照合を行うからである。
【0055】
このように発光器3がどのように時系列に沿って発光パターンの動作を行うかを予めサーバ側で時間管理することで、情報端末2で撮影した撮影時間より、どのような発光パターンになるかを情報として持つことができる。また、サーバ1では、情報端末2で撮影した撮影時間の情報をキーとするため、仮に情報端末2で撮影した撮影データをSNSや閲覧用サイトにアップした場合などは、撮影時間情報の整合性が取れなくなるため、サーバ1側は照合エラーを返して、不正照合を回避することが可能となる。
【0056】
発光パターンの情報は、例えば、発光器3の生成部304で発光パターンを生成した際に、通信I/F102からネットワーク401を介して情報を受信することができる。その受信した発光パターンの情報と電子データの情報を関連付ける。また、データベースには、様々な情報を追加で関連付けることで用途性を増すことができる。
【0057】
その他の応用例として、
図6のように、同じ発光パターンであっても、ユーザが撮影した時間によって電子データの種類を変えることも可能である。例えば、飲食店などに発光器を設置することを想定する。飲食店であればユーザが訪れる時間帯は朝昼晩の食事時間帯に集中するものであるが、例えば食事時間帯から外れた時間帯にその飲食店を訪れて発光器の撮影を行うことで、より付加価値の高い電子データを与えられるようにすることもできる。つまり、時間帯によって電子データの付加価値を変えることで、一時に集中していたユーザの訪問を、均して平均的にするなどの効果が期待できる。
【0058】
また、
図7のようにユーザが配信する状態パターン情報に位置情報を含めて送信し、データベースにも所定の範囲で設定した位置に関する情報を加えることも可能である。これは、例えば、ユーザに付与する電子データの種類に対して、適正な発光パターンの種類が用意できない場合などに、位置情報と発光パターンを組み合わせることでバリエーションを増やす効果が期待できる。また、ユーザから送信された状態パターン情報に発光パターンと位置情報があれば、発光パターンを照合する際の精度を増すことができる。
【0059】
本実施形態の記憶手段10は、処理部101が所定のプログラムに基づいて、通信I/F102よりネットワーク401を介して必要な情報を受信し、それらの情報を所定の記憶方式で記憶部103に記憶することで実現が可能である。
【0060】
サーバ1の状態パターン特定手段11は、情報端末より受信した状態パターン情報と、データベースと、に基づいて装置(本実施形態では発光器)の状態パターンを特定する。
図8を用いて、具体的な実例を基に説明を行う。
図8(a)は、所定の場所に設けられた発光器3を情報端末2で動画撮影する場合を想定している。
【0061】
情報端末2で撮影を開始した時間が9時30分22秒で、撮影期間は2秒であったとして、9時30分24秒に撮影終了したものとする。すると、
図8(b)のように撮影データに基づいて、情報端末2の変換手段21が発光器の「点灯」、および「消灯」を画像より判断して1ビット分割で「0010110000」という10桁の二進コード列に変換される。
【0062】
ここで、1秒で5ビット分の情報量を得られると定義して、撮影期間は2秒であれば10ビット分、つまり10桁の二進コード列が生成されることになる。撮影開始時間である9時30分22秒と2秒分の撮影をすることにより生成された10桁の二進コードの情報がサーバ1に送られる。
【0063】
サーバ1が撮影開始時間と10桁の二進コードの情報を受信し、サーバ1の記憶部103に記憶しているデータベースより発光パターンの特定を行う。
図8(b)に示す通り、情報端末2から送信された状態パターン情報と、データベースの発光パターンごとに照合を行い、発光パターンAの10桁分の文字列コードと情報端末2から送信した10桁の文字列コードが一致したことを確認し、ユーザが撮影を行った発光器の発光パターンは発光パターンAであると特定することができる。
【0064】
このようにユーザが発行器の動画撮影を行った結果より、発光パターンの特定を行うことが可能となるが、ユーザの撮影する時間が短ければ短いほど、撮影データから生成される文字列コードは短くなるため、複数の発光パターンで文字列が重なってはいけない桁数にある程度のしきい値を持たせることが好ましい。例えば、重なってはいけない桁数のしきい値を5桁と定めた際には、発光パターンで、「1桁目から5桁目、または2桁目から6桁目などの全ての5桁分の情報で照合をかけても重なる発光パターンは一つもない」というように発光パターンを生成する必要がある。
【0065】
また、撮影開始時間の同調ズレというものを考慮する必要がある。撮影開始時間の同調ズレとは、例えば、情報端末2で表示されている時間と、サーバ1で表示されている時間が必ずしも同じ時刻とは限らない場合があり、情報端末2で撮影を開始した撮影開始時間が9時30分22秒であったが、サーバ1では9時30分23秒であり、1秒のズレが生じていた場合などを想定する。
【0066】
そのような場合では、情報端末2から状態パターン情報をサーバ1に送信する際に、9時30分22秒から撮影を開始したという情報より、サーバ1では同調する時間を9時30分23秒であると認識し、ズレが生じることがある。尚、情報端末2とサーバ1の時刻管理が同基地局によるものであればズレは生じることはない。基地局が異なっていたとしても1秒ズレが発生するというケースは考えづらく、ズレが生じてもミリ秒単位であると想定することが現実的であるといえる。
【0067】
図9を用いて、撮影開始時間の同調ズレを補正する方法について説明する。
図9(a)のように情報端末2で9時30分22秒から2秒間発光器3を撮影し、撮影時間情報と二進コード列のデータをサーバ1に送信する。ここで、サーバ1は情報端末2で9時30分22秒に撮影したという情報を基に、記憶している各々の発光パターンを9時30分22秒から2秒間撮影した場合の文字列データを同調させる。
【0068】
撮影時間に基づいて同調させた結果が
図9(b)のようになった場合を考える。情報端末2で生成された二進コード列は「0010110000」という10桁の二進コードであったとする。しかし、サーバ側で受信した撮影時間を基に同調させた二進コードは「000010110000」という12桁の文字列コードであったとする。これは、1秒ほどのズレではないが、2ビット分、つまり40ミリ秒分、サーバ1の時刻と情報端末2でズレが生じていたことを意味する。
【0069】
照合結果としては、このままでは10桁と12桁で情報が異なるとして、発光パターンAの特定がされないことになる。ここで、同調のズレを補正するため、所定のビット数分(文字列でいえば±5桁以下)の許容誤差を設けることが好ましい。
図9の例では文字列で2桁分の誤差となっているが、許容誤差を例えば±3桁とすると、4桁以上の相違が生じていない限り、その発光パターンが特定されるため、発光パターンAであると特定されることになる。
【0070】
尚、このように同調ズレによる許容誤差を設ける都合上、発光パターンの文字列コードの桁数などは、本実施例のように10桁〜20桁の範囲などではなく、もっと長くすることが好ましい。長くするほど許容誤差分による影響を少なくすることができ、また、発光パターンが重なってしまう可能性を低減することができるからである。
【0071】
本実施形態の状態パターン特定手段11は、処理部101が所定のプログラムに基づいて、通信I/F102よりネットワーク401を介して必要な情報を受信し、または記憶部103より必要な情報を読み出し実現することで実現が可能である。
【0072】
サーバ1の電子データ送信手段12は、情報端末へ、状態パターンに関連付けられた電子データを送信する。例えば、
図6のデータベースより説明すると、発光パターンAと特定されたとき、情報端末で発光器3を撮影した時間が午前10時00分00秒から午前10時00分05秒までであったすると、スタンプAが情報端末2へ送付されることになる。
【0073】
本実施形態の電子データ送信手段12は、処理部101が所定のプログラムに基づいて、記憶部103より必要な情報を読み出して、通信I/F102よりネットワーク401を介して必要な情報を送信することで実現が可能である。
【0074】
次に、
図10を参照して本実施形態の状態特定システムを実行する処理の流れを説明する。
図10は、本発明の実施形態にかかる状態特定システムの処理の一例に関するフローチャートである。
【0075】
まず、発光器3が複数ある発光パターンから一つの発光パターンを選択する(ステップ1)。発光パターンの選択においては、発光器自体の入力インタフェースなどから選択してもよいし、サーバ1からネットワークを介して遠隔で選択してもよい。選択された発光パターンに従って「点灯」、「消灯」の動作を行う(ステップ2)。
【0076】
次に情報端末2より、ユーザが被写体である発光器3の動画撮影を行う(ステップ3)。動画撮影時間に特定の制約はないが、長いほど好ましい。撮影データより「点灯」、および「消灯」の状態を二進コードへ変換する(ステップ4)。二進コードだけに限らず、「点灯」、および「消灯」の状態の差異を数字で表現できればどのようなコード変換でも構わない。
【0077】
二進コード情報、および撮影時間情報をサーバ1へ送信する(ステップ5)。尚、併せて位置情報なども送信することが可能である。
【0078】
二進コード情報、および撮影時間情報を情報端末2より受信したら(ステップ6)、受信した撮影時間情報より、サーバ1との同調ズレ時間を求める(ステップ7)。ここで生じる同調ズレ時間は長くても1秒未満であり、文字列コードの桁数でいえば5桁未満であることが好ましい。
【0079】
同調ズレ時間が求められたら、同調ズレ時間を加味した許容誤差の範囲内で発光パターンの特定を行う(ステップ8)。同調ズレ時間の範囲内で同発光パターンと判断できる発光パターンが存在したとき(ステップ9)、発光パターンの特定が完了する(ステップ10)。
【0080】
特定された発光パターンに応じた電子データを情報端末2へ送付する(ステップ11)。情報端末2はサーバ1より送付された電子データを受信する(ステップ12)。
【0081】
尚、ステップ9で同パターンの発光パターンが存在しないと判断されたとき、照合エラーの信号を情報端末2へ送信することになる(ステップ13)。照合エラーが生じる原因としては、情報端末による撮影時間が短いため、撮影パターンが一つに撮影パターンが特定できないことや、撮影データから「点灯」、および「消灯」の情報が読み取れず、正確な文字列コードへの変換が行えなかった場合などが考え得る。
【0082】
本実施形態によれば、限られた時間の中で、ユーザのスケジュールの大きな妨げとならない、かつユーザと企画者双方にメリットが出るようなスタンプラリーを行えるシステムを提供することが可能となる。
【0083】
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【0084】
形態変更の一例としては、本実施例で用いた発光器3はLEDを光源とした、「点灯」、および「消灯」の動作を行う発光器に限定しなくてもよい。例えば、モータ駆動式のロール状の印刷物を有する印刷物ホルダーで、2つの状態の切り替えが可能なものでもよい。ユーザが撮影する際にユーザの正面に向かって、赤色の画像などを示す状態、および白色の画像を示す状態の2つの状態があり、これを発光器による「点灯」、および「消灯」の状態と位置付けて、状態パターンを生成してもよい。
【0085】
外観により相違が判断可能な2つの状態より状態パターンを生成できるものであれば発光器に限定されない。また、応用として、2つの状態ではなく、例えば発光器を2つ以上備えて「発光器A点灯」、「発光器A消灯」、「発光器B点灯」、「発光器B消灯」など4つ以上の状態を用いても本発明を適用することが可能である。