特許第6307551号(P6307551)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6307551
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】天井用目地装置
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/68 20060101AFI20180326BHJP
   E04B 9/00 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
   E04B1/68 100A
   E04B9/00 R
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-103474(P2016-103474)
(22)【出願日】2016年5月24日
(65)【公開番号】特開2017-210763(P2017-210763A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2016年12月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110365
【氏名又は名称】ドーエイ外装有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英夫
【審査官】 富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−081481(JP,A)
【文献】 特開2012−036641(JP,A)
【文献】 特開2005−146696(JP,A)
【文献】 特許第3062648(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/68
E04B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の躯体の天井部分の目地部を塞ぐ天井用目地装置であって、前記左右の躯体にその基端部がそれぞれ取り付けられた一対の固定目地プレートと、該固定目地プレートの上方の位置で前記左右の躯体にその取付端部がそれぞれ取り付けられた一対の支持部材と、前記左右の躯体間に設けられ、その中央枢支部が常時目地部の左右方向の略中央部に位置する中央維持装置と、該中央維持装置の中央枢支部に吊り下げ部材を介して吊り下げ状態で設けられ、前記一対の固定目地プレートの間の目地部を塞ぐように設けられた、ガイド部材と可動目地プレートを有する中間目地部材とで構成され、地震によって前記目地部が狭くなるように前記左右の躯体が揺れ動いた場合には、前記中間目地部材のガイド部材が前記支持部材の上面をスライドし、この動きに伴って前記可動目地プレートが前記固定目地プレートに接触しないように動き、前記ガイド部材は面接触状態で前記支持部材に支持されることを特徴とする天井用目地装置。
【請求項2】
前記中間目地部材は、前記中央維持装置の中央枢支部に吊り下げ部材を介して吊り下げ状態で設けられた目地プレート取付部と、一端部が前記一対の固定目地プレートの突出端部あるいは突出端部付近にそれぞれ位置し、他端部が前記目地プレート取付部にヒンジ部材を介してそれぞれ設けられた一対の可動目地プレートと、該可動目地プレートの上面に脚部が設けられ、前記支持部材側へ伸びる一対のガイド部材とで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の天井用目地装置。
【請求項3】
前記支持部材及びガイド部材は、いずれも板状の部材で形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の天井用目地装置。
【請求項4】
前記支持部材又はガイド部材の一方は、複数の角材状の部材で構成され、他方は板状の部材で構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の天井用目地装置。
【請求項5】
前記支持部材及びガイド部材は複数の角材状の部材で構成され、少なくとも支持部材の上面又はガイド部材の底面のいずれかに板状の支持板を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の天井用目地装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して設けられた左右の躯体間に天井を設ける場合の天井用目地装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の天井用目地装置としては「目地部を介して建てられた左右の建物の一方の建物の天井部位の躯体に取付けられた、天井材の目地部側端部に形成された目地カバー押し上げ片と、この目地カバー押し上げ片と対向する部位の前記左右の建物の他方の建物の躯体の前後方向に固定されたガイドレールと、このガイドレールにスライド移動可能に取付けられた移動体と、この移動体に後端部が枢支され、前記目地カバー押し上げ片と当接する先端部が前記目地部が狭くなると該目地カバー押し上げ片によって上方へ回動される目地カバーと、この目地カバーの先端部の上方への回動が可能で、下方への回動を阻止する保持具とからなることを特徴とする天井用目地カバー装置」(特許文献1参照)が知られている。
【0003】
しかし、このような天井用目地装置では、目地カバーの底面が目地カバー押し上げ片の先端部分に擦れてしまい、目地カバーの底面が傷ついてしまうという欠点があった。
【0004】
このようなことを防止するために、目地カバーの底面が擦れないよう「一方の建物の天井躯体に吊り下げ具によって吊り下げ固定された先端部が目地部側端部まで位置する天井材と、この天井材の先端部と他方の建物の壁面との間を覆う目地天井カバーと、この目地天井カバーの先端部を少なくとも上方へ回動できるように後端部を前記他方の建物の壁面に取付ける取付け具と、前記目地天井カバーの先端部の上面にチャンネル状に固定された受け具と、前記一方の建物の目地部側の天井躯体に固定された、地震で目地部が狭くなると、前記受け具と係合して前記目地天井カバーの先端部を、前記天井材に衝突することなく上方へ回動させることができる目地天井カバー回動アームとからなる天井用目地装置」(特許文献2)も知られている。
【0005】
しかし、このような天井用目地装置では、受け具と目地天井カバー回動アームが略線接触となるため、目地カバーの寸法が大きくなり、その重量が大きくなると、局所的に非常に大きな荷重が加わり、アームや受具が変形するおそれがあった。
【0006】
また、このような天井用目地装置では、受具が通常時もアームに接触しているため、左右の躯体が前後方向に揺れ動いた際に、多少の揺れ動きであれば吸収できるものの、受具の幅等が限られているため、大きな揺れ動きは吸収できないという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3408181号公報
【特許文献2】特開2011−94291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、支持部材に加わる荷重を分散することができると共に、地震で左右の躯体が異なる前後方向に大きく揺れ動いても、その揺れ動きをスムーズに吸収することができる天井用目地装置を提供することを目的としている。
【0009】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の天井用目地装置は、左右の躯体の天井部分の目地部を塞ぐ天井用目地装置であって、前記左右の躯体にその基端部がそれぞれ取り付けられた一対の固定目地プレートと、該固定目地プレートの上方の位置で前記左右の躯体にその取付端部がそれぞれ取り付けられた一対の支持部材と、前記左右の躯体間に設けられ、その中央枢支部が常時目地部の左右方向の略中央部に位置する中央維持装置と、該中央維持装置の中央枢支部に吊り下げ部材を介して吊り下げ状態で設けられ、前記一対の固定目地プレートの間の目地部を塞ぐように設けられた、ガイド部材と可動目地プレートを有する中間目地部材とで構成され、地震によって前記目地部が狭くなるように前記左右の躯体が揺れ動いた場合には、前記中間目地部材のガイド部材が前記支持部材の上面をスライドし、この動きに伴って前記可動目地プレートが前記固定目地プレートに接触しないように動き、前記ガイド部材は面接触状態で前記支持部材に支持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1に記載された発明においては、ガイド部材は面接触状態で支持部材に支持されるので、支持部材に加わる荷重を分散することができ、重量の大きい可動目地プレートであっても支持することができる。
(2)ガイド部材が前記支持部材の上面をスライドするように移動し、この動きに伴って前記可動目地プレートが前記固定目地プレートに接触することなく持ち上げられるため、可動目地プレートの底面等が傷つかず、地震による揺れ動きを吸収することができる。
(3)請求項2乃至請求項5に記載の各発明も前記(1)〜(2)と同様な効果が得られるとともに、地震で左右の躯体が異なる前後方向に大きく揺れ動いても、ガイド部材は支持部材の上面をスライド移動し、その揺れ動きをスムーズに吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1乃至図8は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図9乃至図11は本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
図12乃至図14は本発明の第3の実施形態を示す説明図である。
図15及び図16は本発明の第4の実施形態を示す説明図である。
図1】第1の実施形態の天井用目地装置の平面図。
図2】天井用目地装置の底面図。
図3図1の3−3線に沿う断面図。
図4】支持部材及びガイド部材の説明図。
図5】地震で目地部が少し狭くなった状態の動作説明図。
図6】地震で目地部が狭くなった状態の動作説明図。
図7】地震で目地部が広くなった状態の動作説明図。
図8】左右の躯体が異なる前後方向に揺れ動いた場合の動作説明図。
図9】第2の実施形態の天井用目地装置の平面図。
図10図9の10−10線に沿う断面図。
図11】支持部材及びガイド部材の説明図。
図12】第3の実施形態の天井用目地装置の平面図。
図13図12の13−13線に沿う断面図。
図14】支持部材及びガイド部材の説明図。
図15】第4の実施形態の天井用目地装置の平面図。
図16図15の16−16線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書では図1を基準として左右方向、前(図面上方)後(図面下方)方向という。また、図2を基準として上(図面上方)下(図面下方)方向という。
【0014】
また、本発明において躯体とは、建物、道路、スラブ、エレベーターシャフト等の目地プレートを設置可能な建造物をいい、出入口とはドアや扉の設けられた出入口だけではなく、人や車両等が通行できる通路も含むものである。
【0015】
図1乃至図8に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は目地部2を介して設けられた左右の躯体3、4間に設置された天井用目地装置である。
図1乃至図3に示すように、天井用目地装置1は、前記左右の躯体3、4にそれぞれ取り付けられた一対の固定目地プレート5と、該固定目地プレート5の上方の位置で前記左右の躯体3、4にそれぞれ取り付けられた一対の支持部材6と、前記左右の躯体間3、4に設けられた中央維持装置7と、該中央維持装置7の中央枢支部8に吊り下げ部材9を介して吊り下げ状態で設けられた中間目地部材32とで構成されている。
【0016】
この中間目地部材32は、本実施の形態においては、目地プレート取付部10と、該目地プレート取付部10にヒンジ部材11を介して設けられた可動目地プレート12と、該可動目地プレートに設けられたガイド部材13とで構成されている。
【0017】
なお、前記目地プレート取付部10に略水平状態、かつ、回動可能に取り付けられた一対の可動目地プレート12と、この可動目地プレート12の上面に一体的に設けられたガイド部材13は一物であり、協働するものである。
【0018】
前記左右の躯体3、4の一方の躯体3及び他方の躯体には、本実施の形態においては目地部2の約4分の1をそれぞれ覆う板状の一対の固定目地プレート5が設けられている。この一対の固定目地プレート5は、その突出端部5bが傾斜面14に形成されており、基端部5aが固定的に一方の躯体3及び他方の躯体4にそれぞれ取り付けられている。
【0019】
この一対の固定目地プレート5の上方の一方の躯体3の壁面3a及び他方の躯体4の壁面4aには、一対の支持部材6が固定されている。この支持部材6は、板状の部材で構成され、全体的に正面視で右下がりとなるように傾斜している。この支持部材6の先端部6bには、前記傾斜よりも急角度となるような傾斜面15が形成されている。なお、支持部材6の取付端部6aはこの固定目地プレート5の上方の一方の躯体3の壁面にボルト等によって固定的に取り付けられている。
【0020】
前記一対の固定目地プレート5の間には、前記一方の固定目地プレート5が設置されていない部位の目地部2を塞ぐ板状の一対の可動目地プレート12が設けられている。
この可動目地プレート12は、その取付端部12aが前記中央維持装置7の中央枢支部8に吊り下げ部材9を介して吊り下げ状態で設けられた目地プレート取付部10にヒンジ部材11を介してそれぞれ取り付けられている。
【0021】
前記中央維持装置7は、本実施の形態においては、パンタグラフ状のリンク部材で、その両端部は一方の躯体3の壁面3a及び他方の躯体4の壁面4aにそれぞれ取り付けられている。この中央維持装置7は、本実施の形態においては、前後方向に2つ設けられている。中央維持装置7は、1つのみ設けてもよいが、複数設けることがより好適であり、3つ以上設けてもよい。
【0022】
この中央維持装置7の中央枢支部8には、円柱状の吊り下げ部材9が数視されており、吊り下げ部材9の下端部には目地プレート取付部10が一体又は別体で設けられている。
なお、本実施の形態において中央枢支部8とは、リンク部材の中央に位置する枢支部をいう。
【0023】
本実施の形態においては、前後方向の2つの吊り下げ部材9を連結するように、角柱状の目地プレート取付部10が固定されている。
【0024】
可動目地プレート12は、その取付端部12aが目地プレート取付部10にヒンジ部材11を介してそれぞれ取り付けられており、突出端部12bは、前記一対の固定目地プレート5の突出端部5b付近に若干の間隔を隔てて位置する状態でそれぞれ位置する。
可動目地プレート12の突出端部12は、前記固定目地プレート5の突出端部5bに形成された傾斜面14に対応するような傾斜面16が形成されている。
【0025】
なお、前記固定目地プレート5の突出端部5bの底面には、可動目地プレート12側へ突出するカバー板17が設けられている。このカバー板17を設けることにより、通常時に生じる固定目地プレート5の突出端部5bと可動目地プレート12の突出端部12bの間の隙間を塞ぐことができる。
【0026】
可動目地プレート12の取付端部12a側の上面には、脚部13aが設けられ目地部2の中央側へ略水平状態で延伸し、前記支持部材7に支持される板状のガイド部材13が固定的に設けられている。このガイド部材13の先端部13bには、前記支持部材6の先端部6bに形成された傾斜面15と対応するような傾斜面18に形成されており、この傾斜面18は、通常時(地震による揺れ動きのない状態)において、前記支持部材6の先端部6bに形成された傾斜面15に当接している。
【0027】
なお、地震によって目地部が狭くなった際に、固定目地プレート5と可動目地プレート12が接触しないように支持部材7がガイド部材13をせり上げられる程度であれば、隙間を有していても良い。
【0028】
また、ガイド部材13の脚部13a側の上面には、可動目地プレート9が水平状態よりも下方へ回動しないように本実施の形態においては、複数のワイヤー19が設けられている。このワイヤー19の他端部は、前記吊り下げ部材9に固定されている。本実施の形態においては、ワイヤー19を用いているが、このような作用効果を得られるものであれば、どのような構成を用いてもよい。例えばチェーン、可動目地プレート12の取付端部12aの底面に当接するブラケット等が考えられる。
【0029】
地震によって左右の躯体3、4の間の目地部2が少し狭くなるように揺れ動いた場合には、図5に示すように、ガイド部材13の先端部13bの傾斜面18が支持部材6の傾斜面15により上方に持ち上げられ、この動きにともなって可動目地プレート12もヒンジ部材11を介して上方へ回動する。この作用により、可動目地プレート12の突出端部12bや底面は、固定目地プレート5と接触することなく上方に回動する。
【0030】
さらに左右の躯体3、4の間の目地部2が狭くなると、図6に示すように、前記ガイド部材13が前記支持部材6の上面をスライドするように移動し、この動きに伴って前記可動目地プレート9の先端部が更に上方に回動し、前記固定目地プレート5に接触することなく揺れ動きを吸収する。
【0031】
この時、前記ガイド部材13は面接触状態で前記支持部材6に支持されるので、可動目地プレート12の寸法が大きくなり、その重量が大きくなっても、荷重を分散できるので、ガイド部材13や支持部材7が変形したり、破損することを防止できる。
【0032】
なお、本実施の形態においては、支持部材6及びガイド部材13をいずれも板状に構成しているが、支持部材6とガイド部材13が面接触状態で接触すればよいので、支持部材6を板状とし、ガイド部材13を多数の角材状の部材で構成してもよく、支持部材6を多数の角材状の部材で構成し、ガイド部材13を板状としてもよい。
地震によって左右の躯体3、4の間の目地部2が広くなるように揺れ動いた場合には、図7に示すように、固定目地プレート5と可動目地プレート12が離間するように移動し、地震による揺れ動きを吸収する。
【0033】
なお、可動目地プレート12はワイヤー19により支持されているので、水平状態から下方へ回動することなく、水平状態を保ったまま左右方向にスライド移動できる。
地震によって左右の躯体3、4が異なる前後方向に揺れ動いた場合には、図8に示すように、固定目地プレート5と可動目地プレート12が前後方向にスライド移動し、地震による揺れ動きを吸収する。
【0034】
支持部材6とガイド部材13は板状に構成されているため、これらが当接していても、前後方向の揺れ動き幅が制限されることなく、地震による揺れ動きを吸収することができる。
【0035】
また、目地部2が狭くなるとともに、左右の躯体3、4が異なる前後方向に揺れ動いた場合であっても、前後方向の揺れ動き幅が制限されることがないため、地震による揺れ動きを確実に吸収することができる。
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図9乃至図16に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0036】
図9乃至図11に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、多数の角材で構成した支持部材6Aとするとともに、この支持部材6Aの上面に薄板状の支持板20を固定し、ガイド部材13Aも多数の角材で構成した中間目地部材32Aにした点で、このような天井用目地装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第2の形態と同様な作用効果が得られる。
なお、支持部材6Aの先端部6b付近の上面にのみ支持板20を固定してもよい。また、ガイド部材13Aの底面(先端部13b付近のみでも可)に支持板20を固定してもよい。
【0037】
図12乃至図14に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、板状の支持部材6と多数の角材で構成したガイド部材13Aを用いた中間目地部材32Aにした点で、このような天井用目地装置1Bにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
なお、ガイド部材を板状とし、支持部材を多数の角材で構成してもよい。
【0038】
図15及び図16に示す本発明を実施するための第4の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、パンタグラフ状で中央枢支部8及び複数の枢支部21を有するリンク部材22と、該パンタグラフ状のリンク部材22の中央枢支部8及び複数の枢支部21にそれぞれ設けられた角材状の複数の支持バー23と、前記左右の躯体3、4間に設けられ、前記複数の支持バー23の底面を支持する複数の支持アーム24とで構成した中央維持装置7Aを用いた点で、このような天井用目地装置1Cにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られるとともに、支持アーム24によりリンク部材22にかかる荷重を受けることができ、重量の大きい可動目地プレート12等であっても吊り下げることができる。
【0039】
前記支持アーム24は、例えば、一方の躯体3に取り付けられた基端筒25と、この基端筒25の先端部より出没するようにスライド移動可能に取付けられた中間筒26と、この中間筒26より出没するようにスライド移動可能に取付けられ、その先端部が他方の躯体に取り付けられる先端筒27とで構成されている。
この支持アーム24は隣り合う支持アーム24が逆方向になるように取り付けられており、基端筒25が一方の躯体3に取り付けられている支持アーム24と隣り合う支持アーム24は、基端筒25が他方の躯体4に取り付けられ、先端筒27が一方の躯体に取り付けられている。
【0040】
このように取付けることにより、支持バー23がそれぞれ複数の基端筒25上面に支持される。
【0041】
また、前記吊り下げ部材9の上部には、前記複数の支持バー23の底面に当接する正面視逆三角形状の当接部材28が設けられている。
この当接部材28は、吊り下げ部材9に挿入される外形円筒形状の取付具29と、この取付具29に固定され正面視逆三角形状で板状の一対の当接部材本体30と、取付具29の下端部に当接し、取付具29を吊り下げ部材9に固定するリング状の固定具31とで構成される。
【0042】
この当接部材28の上部は複数の支持バー23の底面に常時当接しているので、例えば地震によって目地部が広くなった場合等に、吊り下げ部材9及び吊り下げ部材の下部に設けられた目地プレート取付部10、可動目地プレート12が振り子のようにガタつくことを防止できる。
【0043】
なお、本発明の実施形態では、固定目地プレートの突出端部及び可動目地プレートの突出端部を傾斜面に形成したが、目地部が狭くなった時に固定目地プレートの突出端部及び可動目地プレートの突出端部が接触しない形状であれば、例えば曲面状等、どのような形状に形成してもよい。
【0044】
また、本発明の実施形態では、中央維持装置としてパンタグラフ状のリンク部材を用いるものについて説明したが、リンク部材に限らず、ラックとピニオンを用いたもの(例えば、特開2011−226150号公報に記載されているもの)等を用いてもよく、公知の中央維持装置を使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は天井用目地装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0046】
1、1A、1B、1C:天井用目地装置、
2:目地部、 3:一方の躯体、
4:他方の躯体、 5:固定目地プレート、
6、6A:支持部材、 7、7A:中央維持装置、
8:中央枢支部、 9:吊り下げ部材、
10:目地プレート取付部、 11:ヒンジ部材、
12:可動目地プレート、 13、13A:ガイド部材、
14:傾斜面、 15:傾斜面、
16:傾斜面、 17:カバー板、
18:傾斜面、 19:ワイヤー、
20:支持板、 21:枢支部、
22:リンク部材、 23:支持バー、
24:支持アーム、 25:基端筒、
26:中間筒、 27:先端筒、
28:当接部材、 29:取付具、
30:当接部材本体、 31:固定具、
32、32A:中間目地部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図14
図15
図16