【実施例】
【0256】
<実施例1:VEGF-165に結合するDNAアプタマーの作製(1)>
(1)人工塩基Dsを中央領域の特定部位に含む一本鎖DNAライブラリーの調製
人工塩基Dsを中央領域の特定部位に含む一本鎖DNAライブラリー(全長97塩基又は98塩基)は、まず、人工塩基Dsを中央領域中の1カ所から3カ所の任意の特定位置に設定した22種類のDNAライブラリー配列(下記参照)をそれぞれ化学合成してゲル精製した後、合成した各種DNAライブラリーをそれぞれ等量ずつ混合し、本発明の核酸アプタマー製造方法における最初のライブラリーとして用いた。また、中央領域中のどの位置にDsが配置されているかを各種一本鎖DNAが混合された状態でも識別できるようにするため、中央領域の5′末端側でPCR用のプライマー結合領域の直後に識別部位としての2塩基又は3塩基のタグ配列を組み込んだ。これにより、PCRによりDNA断片中の人工塩基を天然型塩基に置き換えた後でも、シーケンス解析を行うことにより、そのDNA断片がどのライブラリー由来のものか、そして、どの位置に人工塩基が組み込まれていたかを判断できる。
【0257】
下記に化学合成した22種類のDNAライブラリー配列を示す。
【0258】
N43Ds-01:
5’-CTGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC(AA)NNNNNNNNNNNNNDsNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNGCATGACTCGAACGGATTAGTGACTAC-3′;配列番号3
N43Ds-02:
5’-CTGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC(AT)NNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNDsNNNNNNNNNNNNNNGCATGACTCGAACGGATTAGTGACTAC-3′;配列番号4
N43Ds-03:
5’-CTGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC(AG)NNNNNNNNNNNNNNNNDsNNNNNNNNNNNNNNNDsNNNNNNNNNNGCATGACTCGAACGGATTAGTGACTAC-3′;配列番号5
N43Ds-04:
5’-CTGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC(TA)NNNNNNNNNNDsNNNNNNNNNNNNNNNDsNNNNNNNNNNNNNNNNGCATGACTCGAACGGATTAGTGACTAC-3′;配列番号6
N43Ds-05:
5’-CTGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC(TT)NNNNNNNNNNDsNNNNNNNDsNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNGCATGACTCGAACGGATTAGTGACTAC-3′;配列番号7
N43Ds-06:
5’-CTGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC(TG)NNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNDsNNNNNNNDsNNNNNNNNNNGCATGACTCGAACGGATTAGTGACTAC-3′;配列番号8
N43Ds-07:
5’-CTGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC(TC)NNNNNNNNNNDsNNNNNNNNNNDsNNNNNNNNNNDsNNNNNNNNNNGCATGACTCGAACGGATTAGTGACTAC-3′;配列番号9
N43Ds-08:
5’-CTGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC(GA)NNNNNNNNNNNNNNNNNNDsNNNNNNNNNDsNNNNNNDsNNNNNNNGCATGACTCGAACGGATTAGTGACTAC-3′;配列番号10
N43Ds-09: 5’-CTGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC(GT)NNNNNNNDsNNNNNNDsNNNNNNNNNDsNNNNNNNNNNNNNNNNNNGCATGACTCGAACGGATTAGTGACTAC-3′;配列番号11
N43Ds-10: 5’-CTGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC(CA)NNNNNNNNNNNDsNNNNNNNNNDsNNNNNNNNNNNNNDsNNNNNNNGCATGACTCGAACGGATTAGTGACTAC-3′;配列番号12
N43Ds-11: 5’-CTGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC(CT)NNNNNNNNNNNDsNNNNNNNNNNNNNDsNNNNNNNNNDsNNNNNNNGCATGACTCGAACGGATTAGTGACTAC-3′;配列番号13
N43Ds-12: 5’-CTGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC(CAG)NNNNNNNNNDsNNNNNNNNNNNNNNNNDsNNNNNNDsNNNNNNNNNGCATGACTCGAACGGATTAGTGACTAC-3′;配列番号14
N43Ds-13: 5’-CTGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC(CAT)NNNNNNNNNDsNNNNNNDsNNNNNNDsNNNNNNNNNNNNNNNNNNNGCATGACTCGAACGGATTAGTGACTAC-3′;配列番号15
N43Ds-14: 5’-CTGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC(TAT)NNNNNNNNNNNNNNNNDsNNNNNNDsNNNNNNDsNNNNNNNNNNNNGCATGACTCGAACGGATTAGTGACTAC-3′;配列番号16
N43Ds-15: 5’-CTGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC(TTA)NNNNNNNNNNNNNNNNDsNNNNNNDsNNNNNNNNNDsNNNNNNNNNGCATGACTCGAACGGATTAGTGACTAC-3′;配列番号17
N43Ds-16: 5’-CTGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC(GCT)NNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNDsNNNNDsNNNNNNNNNNNNNNGCATGACTCGAACGGATTAGTGACTAC-3′;配列番号18
N43Ds-17: 5’-CTGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC(CCA)NNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNDsNNNNNDsNNNNNNNNNNNNNNGCATGACTCGAACGGATTAGTGACTAC-3′;配列番号19
N43Ds-18: 5’-CTGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC(CCT)NNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNDsNNNNNNDsNNNNNNNNNNNNNNGCATGACTCGAACGGATTAGTGACTAC-3′;配列番号20
N43Ds-19: 5’-TGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC(GGA)NNNNNNNNNNNNNNNNNNNNDsNNNNNNNDsNNNNNNNNNNNNNNGCATGACTCGAACGGATTAGTGACTAC-3′;配列番号21
N43Ds-20: 5’-CTGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC(GGT)NNNNNNNNNNNNNNNNNNNDsNNNNNNNNDsNNNNNNNNNNNNNNGCATGACTCGAACGGATTAGTGACTAC-3′;配列番号22
N43Ds-21: 5’-CTGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC(CGA)NNNNNNNNNNNNNNNNNNDsNNNNNNNNNDsNNNNNNNNNNNNNNGCATGACTCGAACGGATTAGTGACTAC-3′;配列番号23
N43Ds-22: 5’-CTGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC(CGT)NNNNNNNNNNNNNNNNNNDsNNNNNNNNNNDsNNNNNNNNNNNNNGCATGACTCGAACGGATTAGTGACTAC-3′;配列番号24
上記配列において、N=A, G, C又はTであり、5′側の固定配列(5′側のPCR用プライマー配列に相当)はCTGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC(配列番号1)、3′側の固定配列(3′側のPCR用プライマー配列である配列番号149の相補的配列に相当)はGCATGACTCGAACGGATTAGTGACTAC(配列番号2)、そして、カッコ内の配列は識別部位を表す。
【0259】
(2)VEGF-165へ結合するDsを含む一本鎖DNAアプタマーの製造
上述(1)で調製した一本鎖DNAライブラリーと標的タンパク質human VEGF-165(Peprotech)を用いて、磁気ビーズを利用した核酸タンパク質複合体の固定化法により、以下の手順で、VEGF-165へ結合するDNAアプタマーを単離した。
【0260】
A.セレクション1ラウンドの操作
(i) 標的タンパク質とDNAライブラリーとの結合
一本鎖DNAライブラリーをPBS溶液(1.1 mM KH
2PO
4、155 mM NaCl、3 mM Na
2HPO
4、pH 7.4)に溶解して、DNAの分子内での高次構造を形成させるために、フォールディング処理(90 ℃、3分間→60 ℃、3分間→25 ℃)を行った。その後、Nonidet P-40を含むPBS溶液と混合してNonidetP-40の最終濃度が0.05%になるように調製し、磁気ビーズに非特異的に吸着する核酸断片をライブラリーから除くため、その核酸溶液を0.2 mgのストレプトアビジン磁気ビーズ(Hydrophilic Streptavidin Magnetic Beads、NEB)と混合して、室温下、30分間転倒混和した。磁気スタンドと遠心操作により磁気ビーズを取り除いた後の上清液を、標的タンパク質であるVEGF-165と混合し、25℃で30分間インキュベーションすることでDNA-タンパク質複合体を形成させた。
【0261】
(ii)標的タンパク質に結合したDNA配列の選別
上述の混合溶液中に9%容量の10 mM EZ-link Sulfo-NHS-LC-Biotin(Thermo Scientific)水溶液を添加して(最終濃度 0.83 mM)、25℃で15分間インキュベーションすることにより、タンパク質のビオチン化を行った。未反応のビオチン化試薬をマイクロコン50(ミリポア)を用いた限外濾過によって取り除いた後、その溶液をストレプトアビジン磁気ビーズと混合して室温で10分間インキュベーションすることにより、DNA-タンパク質複合体を磁気ビーズに固定化した。その後、タンパク質や磁気ビーズに非特異的に吸着した核酸を洗浄するために、磁気ビーズを40 mlの0.05% Nonidet P-40を含むPBS溶液 (緩衝液A)に懸濁し、37℃で30分間インキュベーションする操作を2〜3回繰り返した。洗浄後の磁気ビーズに400 μlの溶出液 (100 mMクエン酸ナトリウム pH 5.0、7 M 尿素、3 mM EDTA)を加えて、90℃で5分間加熱することにより、タンパク質-DNA複合体を解離させた。そして、その溶出液から、フェノール・クロロホルム抽出、イソプロピルアルコール沈殿操作によりタンパク質に結合していたDNAを回収し、PCRによる次のセレクションラウンドのライブラリー調製時の鋳型とした。
【0262】
(iii)一本鎖DNAライブラリーの調製(増幅)
次のラウンドに用いる一本鎖DNAのライブラリーは、各セレクションラウンド後のDNAを鋳型として、ビオチン修飾されたプライマーを用いてPCR増幅を行い、その後、ストレプトアビジンとの結合を利用したゲルシフトによって一本鎖化されたDsを含むDNA断片を分離し、ゲルからそのDNA断片を溶出して回収することで調製した。PCRは Invitrogen社のAccuPrime Pfx DNAポリメラーゼを用いて400 μl容量で行い、その反応組成は1×AccuPrime
Pfx reaction mix (各種 dNTP 0.3 mM、MgSO
44 1mM含有)、1 μM 5′-プライマー(配列下記参照)、1 μM 3′-プライマー(配列下記参照)、0.1 mM dNTPs (N=A,G,C,T)(最終濃度0.4 mM)、0.5 mM MgSO
4(最終濃度1.5 mM)、50 μM dDsTP、50 μM Diol1-dPxTP、0.05 U/μl AccuPrime Pfx DNAポリメラーゼであり、PCRのサイクル条件は、(94℃ 30秒-50℃ 30秒-65℃ 2分)×13-19サイクルである。
【0263】
5′-プライマー: 5′- CTGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC-3′(配列番号1)
3′-プライマー: 5′-BGTAGTCACTAATCCGTTCGAGTCATGC-3′(配列番号148;B=ビオチン修飾したT)
PCR溶液からエタノール沈殿によりDNAを回収した後、SA緩衝液(10 mM Tris-HCl pH 7.6, 50 mM NaCl, 1 mM EDTA)をPCR 溶液0.1 mlあたり 5 μl加えて溶解し、75℃で3分間加熱することで一本鎖状態に変性した。この溶液に、PCR 溶液0.1 mlあたり12.5 μgのストレプトアビジン(5 mg/ml SA緩衝液、2.5 μl)を加えて、25℃で30分間インキュベーションすることにより、ビオチン-アビジン複合体を形成させた。同容量の10 M尿素-1×TBE溶液を加えた後、7 M 尿素を含む6% ポリアルアミド変性ゲルにより、増幅された一本鎖DNAライブラリーを分離し、ゲルから溶出・回収されたライブラリーを次のラウンドのライブラリーとして用いた。
【0264】
B.反復工程における選択ラウンドの条件
各ラウンドのセレクション条件を表1に示した。
【表1】
【0265】
最初のラウンドには、化学合成により調製した22種類のDNAライブラリー配列を等量ずつ混合したものを直接用いており、分子種総数は300 pmol、すなわち約2×10
14分子である。タンパク質-DNA複合体形成条件を厳しくするために、徐々にタンパク質とDNAの濃度を低くするとともに、8ラウンド目には、タンパク質-DNAライブラリーを混合する時に、競合するDNA分子として、これまでにVEGFへ結合するDNAアプタマーとして報告のあるDNA断片(5′-TGTGGGGGTGGACGGGCCGGGTAGA-3′)(配列番号147)をCompetitorとして過剰量加えた。また、7ラウンド目では、40 mlの緩衝液Aでの洗浄を2回行った後に、3 M尿素を含む緩衝液 A (1 ml、室温で15分間)で転倒混和する操作を加えて、さらに洗浄条件を厳しくした。8ラウンド目では尿素存在下での洗浄操作を2回繰り返した。
【0266】
(3)セレクションにより得られたDNAアプタマー配列の決定
セレクションにより得られたDNAアプタマー配列の決定は、下記の2つの方法を用いて行った。
【0267】
(i)大腸菌を用いたクローニング法によるDNAアプタマー配列の決定
最終ラウンド(8ラウンド)後のセレクションで回収した一本鎖DNAの一部を鋳型として、人工塩基Dsを天然塩基に置き換えるPCRを行い、そのPCR産物を従来法によりクローニングした。具体的には、1 μMの各プライマー(5′-プライマー:5′- CTGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC-3′(配列番号1)と3′-プライマー:5′-GTAGTCACTAATCCGTTCGAGTCATGC-3′(配列番号149))と20 nMの鋳型一本鎖DNA存在下、Clontech社の1×Titanium Taq PCR buffer中、0.3 mM dNTPs (N=A,G,C,T)、50 μM dPa′TP、1×Titanium Taqの反応組成で、5 サイクルのPCR(20μl容量)を行った。本PCRではdPa′TP を意図的に添加しているが、これは、人工塩基Dsが隣接配列によっては天然型塩基基質のみでは増幅されにくい場合があり、その天然型塩基への置換効率の違いを低減するために、Dsに代えて天然型塩基に置換されやすいPa′をDsに相補した位置に、1サイクル目のPCRで取り込ませるためである。PCRサイクル条件は、94℃ 1分→(94℃ 30秒―68℃ 2分)×5サイクル→75℃ 10分である。PCR産物の一部(4μl)をTOPO TA クローニングキット(インビトロジェン)により大腸菌(Top10)にクローニングし、各クローン由来のプラスミドを回収し、各クローンのシーケンシングを決定した。決定したクローンの配列のうち、プライマー配列の間が45〜46塩基であり、タグ配列を有する35クローンの塩基配列、14種を表2に示す。
【表2】
【0268】
人工塩基Dsの位置は、タグ配列によって分類されたDNAライブラリーの配列に基づき決定した。一番クローン数が多かったのは、cN43Ds-21-04の配列であったが、その一方で、cN43Ds-08-07に含まれるGGGDsTTGGAGGGGDsGTCGG配列と類似したモチーフが、その他のクローン間で保存され、含まれていることがわかった。また、タグ配列から予想された人工塩基Dsの位置の塩基配列は、ほとんどがA又はTに置換されていることがわかった。また、人工塩基Dsの相当する位置の配列は、A又はTの変異として得られたことは、セレクションを通じたPCR中でも人工塩基が保持されていることを強く示唆している。
【0269】
(ii)次世代シークエンサー(Life Technologies社;Ion Torrent The Personal Genome Machine
TM(PGM
TM))によるDNAアプタマー配列の決定
上述(i)で示した天然塩基を人工塩基に置き換えるPCRを100 μl容量で行い、得られたPCR産物をWizard
(R)SV Gel and PCR Clean-Up System(Promega)を用いて精製した。精製後のDNAをIon Fragment Library Kit(Life Technologies)により、添付の説明書に記載された方法でライブラリー化した。 得られたDNAライブラリーは、Ion Library Quantification Kit(Life Technologies)を用いて定量し、所定の濃度まで希釈したのち、Ion Xpress
TM Template Kit v2.0(Life Technologies)を用いて処理することで、Life Technologies社のThe Personal Genome Machine
TM (PGM
TM)解析用の鋳型DNAを調製した。そして、Ion Sequencing Kit(Life Technologies)を用いて、イオントレントPGM
TMによるシーケンシングを行い、得られた総リード数をCLCBio社のCLC Genomics Workbench (version 4.7.2)を用いて解析した。具体的には、Dsを含むライブラリー配列については、5′-プライマー 25塩基・タグ配列(各種)・43塩基からなる配列・3′-プライマーの部分配列6塩基(GCATGA)を連続して含み、かつ同一配列のリード数が2以上のものを、また、Dsを含むライブラリーの相補配列については、3′-プライマー 27塩基・43塩基からなる配列・タグ配列(各種)・5′-プライマーの部分配列6塩基(GTGGAC)を連続して含み、かつ同一配列のリード数が2以上のものをそれぞれ解析対象の配列として選別し、合計数14094のリード配列をさらに解析した。
図6−1及び6−2にライブラリー毎で上記条件を満たしたリード解析数、及び、人工塩基Dsが該当する部分以外が同一配列であったリード数が3以上であったものを選択して示す。
【0270】
その結果、イオントレントPGM
TMによって解析されたクローン配列も、クローニングで解析されたクローン配列も同様の傾向を示すことが分かった。クローニング法で確認された配列のほとんどは、イオントレントPGM
TMによるクローンの解析結果からも確認できた。イオントレントPGM
TMで解析された配列のうち、もっともクローン数が多かったものは、クローニング法でもっとも多く得られたクローン、cN43Ds-21-04と同じ配列であるN43Ds-21-1であった。また、GGGDsTTGGNGGGGDsGTCGG(N=任意の天然型塩基)のモチーフを含む配列についても多く確認され、このうち50以上のリード数が確認できた配列は13種類あった(
図7)。
【0271】
<実施例2 VEGF-165へ結合するDNAアプタマーの結合解析(1)>
本実施例では、GEヘルスケア社のBIACORE3000を用いた表面プラズモン共鳴(SPR)の測定により、実施例1で得られたクローンから、代表的なクローンとしてN43Ds-08-1、N43Ds-09-1、N43Ds-20-1、N43Ds-21-1を選択し、全長DNA断片(DNAアプタマー)のVEGF-165への結合能を解析した。
【0272】
まず、本発明の核酸アプタマーの製造方法で得られた各クローン配列に基づき、5′-末端にビオチン化されたTが付加されたDsを含む一本鎖DNA断片(全長98及び99-mer)、及びDsを天然型塩基A、T、若しくはGに置換したDNA断片を化学合成とゲル精製により調製した。
図8にその配列を示す。そして、SPRのセンサーチップにはストレプトアビジンがコートされたSAチップ(GE ヘルスケア)を用い、DNA断片をチップへ不可逆的に固定化後、VEGFへの結合を解析した。コントロールとして、VEGFへ結合するDNAアプタマーとして報告のあるDNA断片(VEGF binding DNA 64、64mer)も調製して、同様にして結合を解析した。なお、SPRの測定条件は、ランニングバッファ:緩衝液A、設定温度:25℃で行った。
【0273】
各DNA断片のセンサーチップへの固定化は、50 nMとなるようにPBS溶液で希釈したDNA溶液をフォールディング処理(90 ℃、3分間→60 ℃、3分間→25 ℃)した後、最終濃度0.05%になるようにNonidet P40を加えた。そのDNA溶液を流速5 μl/minで10 μl(2分間相当)インジェクションすることで、SAチップに固定化した。また、固定化後、流速20 μl/minで、50 mM NaOH 溶液をインジェクション(5 μl 、5回)行うことにより、SAチップに非特異的に吸着されているDNA断片を洗浄した。固定化されたDNA断片とVEGF-165との相互作用検出は、100 nM、150 nM及び200 nMのVEGF-165溶液 (緩衝液Aにより希釈、dimer換算)をKinetic Injectionモードによってインジェクションすることでモニターした。測定条件は、流速20μl/min、タンパク質インジェクションは3分間である。チップの再生(結合タンパク質の解離及びDNAのリフォールディング)は、 50 mM NaOHの溶液を5 μl(15秒相当)インジェクション後、チップのプライム処理を行い大量の緩衝液Aを流すことで行った。各DNA断片のセンサグラムは、センサーチップに対するバルク効果や非特異的吸着によるレスポンス値を差し引くために、DNAを固定化していないセルをレファレンスのセルとして、そのレスポンス値を各DNA断片のセンサグラムから差し引いた。その結果を
図9に示す。
【0274】
本測定の結果、センサグラムの波形から、DNA断片とVEGF-165の特異的な結合以外にも、弱い非特異的な結合もみられることがわかった。この場合には、カーブフィッティングによる結合速度(ka)、解離速度(kd)に基づく解離定数(Kd=kd/ka)の算出は難しいと判断し、各DNA断片の結合の強さの評価は、タンパク質インジェクション終了後のタンパク質解離段階においてどれだけ解離されにくいかを指標として比較することにした。具体的には、インジェクション終了後、23秒後のレスポンス値 (RU)を100%として、さらに200秒経過後のレスポンス値(RU)から、どれだけ結合が保持されている割合を求め、100 nM、150 nM、200 nMで得られた割合を平均して、結合保持率Retention(%)を算出した。その算出結果を表3に示す。
【表3】
【0275】
すべてのクローンにおいて、人工塩基Dsを含むDNA断片の方が、人工塩基Dsを天然型塩基に置換したDNA断片よりも、VEGF-165の結合保持率が高いことがわかった。特にN43Ds-09-1は、他のDNA断片に比べて強い結合を示すだけでなく、DsをGやA/Tに置換した場合の結合保持率の低下が、他のDNA断片に比べて大きかった。この結果から、N43Ds-09-1のVEGF-165への結合は、Dsの有無に依存しており、Dsを天然型塩基に置換した場合には、特にその解離速度(kd)が大きくなることが明らかになった。
【0276】
<実施例3:N43Ds-09-1の配列を基にしたドープセレクション(1)>
本実施例では、実施例1、2で得られた、VEGF-165に人工塩基Dsに依存して強く結合するDNA断片N43Ds-09-1について、全長98-mer中のどの部分が標的タンパク質との結合に関与しているかを調べるために、ドープセレクションを行った。
【0277】
(1)ドープセレクションに用いたDNAライブラリーの調製
ドープセレクションに用いたDNAライブラリーは、N43Ds-09-1の配列の3つのDsの塩基、及び、プライマー領域は固定し、それ以外のタグ配列を含めた天然塩基配列部分は、62.5%が元の塩基、37.5%が元の塩基と異なる塩基(3種類の塩基が12.5%ずつ)、となるようにして化学合成し、ゲル精製により調製した。配列は下記の通りである。
【0278】
N43Ds-09-1-Dope
5’-ctgtcaatcgatcgtatcagtccacgtctaagta(Ds)ggtggg(Ds)ttggcgggg(Ds)tgtcggatatacttt gacgcatgactcgaacggattagtgactac-3’
(大文字固定配列:小文字 Doped配列)
a= A: 62.5%; G: 12.5%; C: 12.5%, T:12.5%
g= A: 12.5%; G: 62.5%; C: 12.5%, T:12.5%
c= A: 12.5%; G: 12.5%; C: 62.5%, T:12.5%
t= A: 12.5%; G: 12.5%; C: 12.5%, T:62.5%
(2)VEGF-165へ結合するDsを含むssDNAアプタマーのドープセレクション
(1)で調製したDNAライブラリーと標的タンパク質human VEGF-165(Peprotech)を用いて、磁気ビーズを利用した核酸タンパク質複合体の固定化法により、実施例1に示した「A.セレクション1ラウンドの操作」と同様の手順でVEGF-165へ結合するDNAアプタマーを単離した。
【0279】
A.ドープセレクションラウンドの条件
各ラウンドのセレクション条件を表4に示した。
【表4】
【0280】
最初のラウンドには、化学合成により調製したDNAライブラリーN43Ds-09-1-Dopeをそのまま300 pmol用いて実施した。実施例1と同様、セレクションラウンドが進むごとにタンパク質-DNA複合体形成条件を厳しくするために徐々にタンパク質とDNAの濃度を低くするとともに、3、4及び5ラウンド目には、タンパク質-DNAライブラリーを混合する時に競合するDNA分子(Competitor)として、これまでにVEGFへ結合するDNAアプタマーとして報告のあるDNA断片(5′-TGTGGGGGTGGACGGGCCGGGTAGA-3′;配列番号147)を過剰量加えた。また、4ラウンド目では、40 mlの緩衝液Aでの洗浄を2回行った後に、3 M尿素を含む緩衝液 A (1 ml、室温で15分間)で転倒混和する操作を加えて、さらに洗浄条件を厳しくした。5ラウンド目では、この操作を2回繰り返した。
【0281】
(3)ドープセレクションにより得られたDNAアプタマー配列の解析
ドープセレクションにより得られたDNAアプタマー配列の解析は、実施例1と同様にして、最終ラウンド(5ラウンド)後のセレクションで回収したDNAを用いて下記の2つの方法を用いて行った。
【0282】
(i)大腸菌を用いたクローニング法によるDNAアプタマー配列の同定
実施例1と同様の方法で、決定したクローンの配列のうち、プライマー配列の間が45塩基であった28クローンの塩基配列、25種を
図10に示す。
【0283】
(ii)次世代シークエンサー(Life Technologies社Ion Torrent The Personal Genome Machine
TM(PGM
TM))によるDNAアプタマー配列の同定
PGMによるシーケンスは、実施例1と同様の方法で行った。得られた総リード数をCLC Genomics Workbench (version 4.7.2)を用いて解析し、Dsを含むライブラリー配列については、5′-プライマーの25塩基・45塩基からなる配列・3′-プライマーの部分配列6塩基(GCATGAC)を連続して含むリード(総数:2474)、及びDsを含むライブラリーの相補配列については、3′-プライマー 27塩基・45塩基からなる配列・5′-プライマーの部分配列6塩基(GTGGAC)を連続して含むリード(総数:2365)を選択し、合計数 4839のクローン配列についてさらに解析した。45塩基中の各位置における塩基組成を算出した結果を
図11に示す。
【0284】
(i)及び(ii)の両手法で解析した結果、共通して、N43Ds-09-1の元の配列中のモチーフ、GGGDsTTGGNGGGGDsTGTCGG (N=A,G,C,T)からなる配列(配列番号105)が非常によく保存されていることがわかった。このモチーフと類似配列を含むクローンが実施例1のセレクションでも多く得られており(
図7)、このモチーフがVEGF-165への結合に重要であることが示唆された。
【0285】
<実施例4:ドープセレクションにより得られたモチーフを含むDNA断片の結合解析(1)>
本実施例では、GEヘルスケア社のBIACORE3000を用いた表面プラズモン共鳴(SPR)の測定により、実施例3で同定されたGGGDsTTGGNGGGGDsTGTCGGモチーフ(配列番号105)を含むようにN43Ds-09-1を切り詰めたDNA断片(35mer)、Ds-09-1-DsDsDs、及びその変異体のDNA断片について、VEGF-165への結合能を解析した。
【0286】
A.SPRによる各種DNA断片のVEGF-165への結合解析
SPRの測定条件は、実施例2と同様、ランニングバッファ:緩衝液A、設定温度:25℃で行った。本実施例で解析に用いたDNA断片6種を表5に示す。
【表5】
【0287】
Ds-09-1-ADsDs、Ds-09-1-DsADs、Ds-09-1-DsDsA、Ds-09-1-AAAは、Ds-09-1-DsDsDsの人工塩基Dsをすべて、若しくは一か所ずつ天然型塩基Aに置換したものである。Ds-09-1-mDsDsDsは、ドープセレクションで保存されている割合が低かった塩基部分において、2か所を頻出頻度が高い塩基に置換したDs-09-1-DsDsDs変異体のDNA断片である。また、比較のため全長98merのN43Ds-09-1、及び人工塩基Dsを天然型塩基に置換した全長のDNA断片、N43Ds-09-1(AT)とN43Ds-09-1(G)、及びコントロールとして、VEGFへ結合するDNAアプタマーとして報告のあるDNA断片35 mer(VEGF binging DNA 35)も同一条件下で測定した。実施例2の全長の結合解析と同様、SAチップ(GE ヘルスケア)にDNA断片を直接固定化するため、それぞれのDNAの末端にはビオチン化されたTを付加して化学合成し、ゲル精製により調製した。各DNA断片のセンサーチップへの固定化は、25 nMとなるようにPBS溶液で希釈したDNA溶液をフォールディング処理(90 ℃、3分間→60 ℃、3分間→25 ℃)した後、最終濃度0.05%になるようにNonidet P40を加えた。そのDNA溶液を流速5 μl/minで5μl(1分間相当)インジェクションすることで、SAチップに固定化した。また、固定化後、流速20 μl/minで、 50 mM NaOH 溶液をインジェクション(5 μl、5回)行うことにより、SAチップに非特異的に吸着されているDNA断片を洗浄した。
【0288】
固定化されたDNA断片とVEGF-165との相互作用検出は、12.5 nM、25 nM、37.5 nM、50 nM、62.5 nM、及び75 nMのVEGF-165溶液 (緩衝液Aにより希釈、dimer換算)をKinetic Injectionモードによってインジェクションすることでモニターした。測定条件は、流速20μl/min、タンパク質インジェクションは6分間である。チップの再生(結合タンパク質の解離及びDNAのリフォールディング)は、 50 mM NaOHの溶液を5 μl(15秒相当)インジェクションした後、チップのプライム処理を行い、大量の緩衝液Aを流すことで達成した。DNA断片のセンサグラムは、センサーチップに対するバルク効果や非特異的吸着によるレスポンス値を差し引くために、DNAを固定化していないセルをレファレンスのセルとして、そのレスポンス値を各DNA断片のセンサグラムから差し引いた。その結果を
図12に示す。全長を35merに切り詰めたDs-09-1-DsDsDsは、全長のN43Ds-09-1(Ds)と同様に、VEGF-165に強く結合することがわかった。また、Ds-09-1-DsDsDsに含まれる3つのDs塩基のうち、5′-末端側に位置するDsを天然塩基Aに置き換えたDNA断片Ds-09-11-ADsDsも、強く結合することがわかった。一方、5′-末端側から2番目、3番目のDsをAに置き換えたDNA断片(Ds-09-1-DsADs又はDs-09-1-DsDsA)、及び人工塩基DsをすべてAに置換したDNA断片(Ds-09-1-AAA)は、Ds-09-1-DsDsDs及びDs-09-1-ADsDsと比較してVEGFインジェクション後のVEGFの解離が速くなり、結合が弱くなることがわかった。またDNA断片Ds-09-1-mDsDsDsは、VEGFインジェクション後のレスポンス(RU)は他のDNA断片と比べて低かったが、VEGFインジェクション後のVEGFの解離は、Ds-09-1-DsDsDsやDs-09-1-ADsDsと同様に遅いことがわかった。
【0289】
短い断片でのSPR測定では、全長のDNA断片と比較して、弱い非特異的な結合が無視できるレベルであり、Ds-09-1-DsDsDs、Ds-09-1-ADsDs、Ds-09-1-mDsDsDsについては、Biacore3000の付属のBiaEvalutaionソフトにより、1:1 bindingの反応モデルでカーブフィッティングを行い、解離定数(Kd)を算出することができた。Ds-09-1-DsDsDsのKd値は 4 nM、Ds-09-1-ADsDsのKd値は1 nM、Ds-09-1-mDsDsDsのKd値は50 nMであった。また、結合の弱いDs-09-1-DsAD、Ds-09-1-DsDsA、Ds-09-1-AAAについてはフィッティングが難しく、正確なKd値は算出できなかったが、100 nMより大きいことがわかった(表5)。
【0290】
また、実施例2と同様に、各DNA断片の結合の強さを、タンパク質インジェクション終了後のタンパク質解離段階において、どれだけ解離されにくいかを指標とした比較も行った。具体的には、インジェクション終了後、16秒後のレスポンス値 (RU)を100%として、さらに300秒経過後のレスポンス値(RU)からどれだけ結合が保持されている割合を求め、37.5 nM、50 nM、62.5 nM、75 nMで得られた割合を平均して、結合保持率Retention(%)を算出した(
図10、表5)。その結果、短く切り詰めたDs-09-1-DsDsDs、Ds-09-1-ADsDs、及びDs-09-1-mDsDsDsは結合保持率が90%以上で、98mer全長のDs-09-1の結合保持率とほぼ同じであった。
【0291】
以上の結果から、GGGDsTTGGNGGGGDsTGTCGG(配列番号105)を含み、短く切り詰めたDNA断片35merは、モチーフ中のDs塩基に依存してVEGFから解離しにくくなると同時に、強くVEGFに結合することがわかった。
【0292】
B.切り詰めたDNA断片のVEGF-165への結合選択性解析
本セレクションで得られたアプタマー35merのVEGF-165への結合選択性を調べるために、VEGF-165のサブタイプであるVEGF-121(Peprotech)及びhuman EGF (Peprotech)、human α-thrombin (Enzyme Research Laboratories )に対するDs-09-11-DsDsDs及びDs-09-11-ADsDsの結合能を調べた。 VEGF-165への結合解析と同様にして、Ds-09-11-DsDsDs及びDs-09-11-ADsDsを固定化したSAチップに、各種タンパク質(75 nM)をインジェクションした場合のセンサグラムを
図13に示した。Ds-09-11-DsDsDs及びDs-09-11-ADsDsともにVEGF-165以外のタンパクにはほとんど結合せず、本実験のセレクションで得られた人工塩基を含むアプタマーがVEGF-165に選択的に結合することがわかった。
【0293】
<実施例5:人工塩基Dsを中央領域にランダムに含む一本鎖DNAライブラリー(ランダムライブラリー法)によるセレクション>
本実施例では、人工塩基Dsを含む一本鎖DNAライブラリーとして、人工塩基Dsをランダムに組み込んだランダムライブラリーを用いて、VEGFに結合するDNAアプタマーのセレクションを行った。
【0294】
(1)人工塩基Dsをランダムに組み込んだ一本鎖DNAライブラリーの調製
人工塩基Dsをランダムに組み込んだ一本鎖DNAライブラリー(N45.26mixDs-3)の化学合成は、中央領域45塩基からなる配列について、人工塩基Dsのアミダイトが6%、天然型塩基4種等量ずつのアミダイトが94%の割合となるように混合して調製したアミダイトを用いることで行った。この条件で合成したライブラリーの理論上の組成は、Dsを含まずに天然型塩基からなるライブラリーが全体の6.2%、任意の位置にDsを1塩基含むライブラリーが全体の17.7%、Dsを2塩基含むライブラリーが全体の24.9%、Dsを3塩基含むライブラリーが22.8%、Dsを4塩基含むライブラリーが15.3%、Dsを5塩基含むライブラリーが8.0%、残り約2%のライブラリーがDsを6塩基以上含む、と考えられる。N45.26mixDs-3の配列(全長89-mer、カッコ内の領域はPCRプライマーのための固定配列)を以下に示す。
【0295】
5’-(ACGCATGAACAAACTTGCTTG)NNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNN(GGAGTACGCAGAAGTTTCATTGT)-3′(配列番号114)
(N=A,G,C,T(94%)又はDs(6%))
(2)VEGF-165へ結合するDsを含むssDNAアプタマーのセレクション
前記(1)のDNAライブラリーと標的タンパク質human VEGF-165(Peprotech)を用いて、磁気ビーズを利用した核酸タンパク質複合体の固定化法により、実施例1に示した<セレクション1ラウンドの操作>と同様にして、VEGF-165へ結合するDNAアプタマーを単離した。なお、(iii)のライブラリーの調製では、PCRのサイクル条件は(94℃ 30秒-50℃ 30秒-65℃ 2分)×15-25サイクルであり、5′-プライマーと3′-プライマーには下記の配列を使用した。
【0296】
5′-プライマー: 5′- ACGCATGAACAAACTTGCTTG-3′(配列番号112)
3′-プライマー: 5′-BACAATGAAACTTCTGCGTACTCC-3′ (B=ビオチン修飾したT) (配列番号150)
<セレクションラウンドの条件>
各ラウンドのセレクション条件を表6に示した。
【表6】
【0297】
最初のラウンドには、化学合成により調製したDNAライブラリーを直接用いており、分子種総数は300 pmol、すなわち約2×10
14分子である。タンパク質-DNA複合体形成条件を厳しくするために、徐々にタンパク質とDNAの濃度を低くするとともに、複合体を洗浄するステップ数を増やした。
【0298】
(3)セレクションラウンド毎のライブラリーのシークエンス解析
人工塩基Dsを含むDNAのシーケンス解析では、通常のダイターミネーターによるシーケンス反応中に人工塩基Dsに相補的な基質としてddPa′TP若しくはdPa′TPを加えると、シーケンスパターンが異なってくることから、シーケンスの鋳型に用いたDNA断片中の人工塩基Dsの有無を推測することができる。そこで、各セレクションラウンド後に調製した一本鎖DNAライブラリーを鋳型に用いて、ddPa′TP若しくはdPa′TP存在下でシーケンス解析を行い、セレクション過程を通して人工塩基Dsがどれだけ保持されているのかを解析した。
【0299】
具体的には、DNAのシーケンシング反応は、全量10 μlスケールにて、市販のBigDye Terminator v1.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems)のCycle Sequencing Mix 2μlに、キット添付のv1.1用 Sequencing Buffer(×5)1μl、シーケンスプライマーとして(2 pmol、5′-ACAATGAAACTTCTGCGTACTCC-3′;配列番号113)と各ラウンド後PCR増幅して調製した一本鎖DNA断片(0.15 pmol程度)、ddPa′TP若しくはdPa′TP(500 pmol)を加え、25サイクルのPCR(96℃10秒、50℃5秒、60℃4分)を行った。未反応のダイダーミネーターをCentriSepスピンカラム(Applied Biosystems)で反応溶液から取り除き、残りの溶液を減圧下で乾燥した。残存物にBlue-Dextranを希釈したホルムアミド溶液を3 μl加えて、その一部をABI377DNAシーケンサーにより解析した。解析に用いたゲル組成は、6%ポリアクリルアミド−6 M尿素ゲルである。配列のピークパターンは、Applied Biosystems PRISMシークエンシング解析v3.2ソフトウエアを用いて解析した。シーケンスパターンを解析した結果から、4ラウンド以降、特定の配列群が濃縮されてきていることがわかった。天然型塩基配列だけからなるアプタマーもライブラリーに含まれているため、ddPa′TP存在下でシーケンスが人工塩基に相補する位置で止まるパターンとはならなかったが、ddPa′TP存在下とdPa′TP存在下のシーケンスパターンは、すべてのラウンドにおいて違いが認められた。通常、天然型塩基だけからなる配列の場合には、ddPa′TP存在下とdPa′TP存在下でもシーケンスパターンに有意な違いは認められない。したがって、本セレクションで得られたライブラリーの中には、少なくとも人工塩基Dsは保持された配列が存在することが推測された。
【0300】
(4)セレクションにより得られたDNAアプタマー配列の同定
(3)のシーケンス結果から、天然型塩基配列だけからなるアプタマーも8ラウンド後のライブラリーに含まれていることが示唆されたため、実施例1の(3) (i)の手法の前に、人工塩基Dsを含むDNA断片を濃縮する操作を行い、Dsを含むDNAアプタマーの配列決定を行った。
【0301】
人工塩基Dsを含むDNA断片を濃縮する操作は、Nucleic Acid Research (2009)Kimoto et al.に記載した方法に準じて行い、論文中のFAM-hx-dPxTPの代わりに、Biotin-dPxTPを用いて同様の操作を行った。具体的には、8ラウンド後に増幅した1本鎖DNAライブラリー 1pmolを鋳型として、dDsTP、Biotin-dPxTP 50μM存在下、AccuPrime Pfx DNAポリメラーゼを用いてPCR5サイクルで増幅し、Dsを含む一本鎖DNA断片をDs-(Biotin-dPx)塩基対を含む二本鎖DNAとした。PCR組成と条件は、Diol1-dPxTPをBiotin-dPxTPに置換した点、PCRのプライマーにビオチン化されていないプライマー(5′-ACAATGAAACTTCTGCGTACTCC-3′(配列番号113)及び5′- ACGCATGAACAAACTTGCTTG-3′(配列番号112))を使用した点以外は、実施例1の(2) (iii)と同様である。そして、PCR溶液を、マイクロコン10(ミリポア)を用いた限外濾過により、1×Binding 溶液 (20 mM TrisHCl、pH7.6、0.5 M NaCl、10 mM MgCl
2) にバッファ交換し、PCR産物に取り込まれていない未反応のBiotin-dPxTPをPCR溶液から取り除いた。その溶液(約45μl)を、セレクションで使用していたストレプトアビジン磁気ビーズ(40 μl分)と25℃15分間インキュベーションし、Ds-(Biotin-dPx)塩基対を含む二本鎖DNAを磁気ビーズに固定化した。1×Binding 溶液でビーズを洗浄して、Ds-(Biotin-dPx)塩基対を含まないDNA断片を取り除いた後、回収した磁気ビーズに20 mM NaOH溶液を12μl加えて室温で5分間ほど放置することにより、二本鎖DNAを一本鎖DNAとしてDsを含むDNA断片を溶液中に遊離させた。80 mM HCl溶液を3 μl加えて中和した後、磁気スタンドを利用してDNA断片を含む溶液を回収し、実施例1の(3)(i)の手法の鋳型DNAとした。
【0302】
(5)クローニング法によるDNAアプタマー配列の同定
上述のDNA溶液の一部を鋳型として、人工塩基Dsを天然塩基に置き換えるPCRを行い、そのPCR産物を従来法によりクローニングした。具体的には、DNA溶液4 μlを鋳型として、1 μMの各プライマー(5′-ACAATGAAACTTCTGCGTACTCC-3′(配列番号113)及び5′- ACGCATGAACAAACTTGCTTG-3′(配列番号112))の存在下、タカラ社の1×ExTaq pre mixに最終濃度が50 μMとなるようにdPa′TPを加えて、PCR(20 μl容量)を行った。PCRサイクル条件は、(94℃ 30秒―50℃ 30秒―65℃ 2分)×10サイクル→75℃ 5分である。PCR産物の一部(4 μl)をTOPO TA クローニングキット(インビトロジェン)により大腸菌(Top10)にクローニングし、各クローン由来のプラスミドを回収し、各クローンの塩基配列を決定した。決定したクローンの配列のうち、プライマー配列の間が45塩基である59クローンの塩基配列、27種をアライメントした結果を
図14に示す。
【0303】
同定された配列の相同性を解析した結果、中央領域中で塩基変異が2カ所から3カ所含む相同配列グループが5種類あり、なかには人工塩基Dsが本クローニング法によって、天然型塩基T又はAに置換されたと推測される塩基変異も確認できた。
【0304】
<実施例6:製造方法により得られたアプタマーにおける人工塩基Dsの位置の同定>
本実施例では、実施例5で得られた5種類のグループからなるアプタマーの配列中に、人工塩基Dsが含まれているか、またその配列中の位置の同定を行った。
【0305】
A.DNAライブラリーからプローブに相補的なDNA断片の単離
5種類のグループ配列にそれぞれ特異的になるようにデザインした24塩基からなるDNA断片のプローブ配列を
図14中に示す。これらのプローブは、5′末端をビオチン化標識した化学合成・簡易精製済みのものをインビトロジェン社から購入して使用した。8ラウンド後に得られたDNA断片をdDsTPとDiol1-dPxTPでPCR増幅して調製した一本鎖DNAライブラリーを100 nM/ 1×Binding 溶液となるように調製し、その溶液 130μlをストレプトアビジン磁気ビーズ(50 μl分)と室温で10分間インキュベートすることで、ストレプトアビジンに結合するDNA断片を取り除いた。その後、回収したDNA溶液20μlを各ビオチン化プローブ(5 μM、1μl)と混合した後、アニーリング操作(90℃ 3分- 0.1℃/秒で徐冷-55℃15分)後、1×Binding 溶液に置換したストレプトアビジン磁気ビーズ(5μl分)と混合し、55℃で5分間インキュベートすることでビオチン化プローブ及びプローブに相補的にハイブリダイズしたDNA断片を磁気ビーズに固定化した。磁気スタンドを利用して溶液を取り除き、プローブにハイブリダイズしていない余剰のDNA断片を取り除いた後、磁気ビーズを150μlの1×Binding 溶液で5回洗浄した。そして、洗浄後の磁気ビーズに滅菌水10μl添加し、75℃で5分間加熱した後に溶液を回収することで、各プローブにハイブリダイズしたDNA断片を回収した。
【0306】
B.プローブにより回収したDNA断片のDNAシーケンシング
回収したDNA断片を用いて、以下の3種類(i)〜(iii)の方法によって、DNAシーケンシングを行った。なおシーケンシングの方法は、変更点が明記されている以外は、実施例5の(3)に示した方法と同様にして行った。
【0307】
(i)回収したDNA溶液4 μlを用いて直接0.05 mM dPa′TP存在下でシーケンス
(ii)回収したDNA溶液2 μlを用いてdDsTP、Diol1-dPxTPの存在下、Accuprim Pfx DNAポリメラーゼを用いて15サイクルのPCRで増幅後、ゲル精製により回収した断片を10 μlの水に溶かし、その溶液1-2 μlを用いて0.05 mM dPa′TP存在下、0.05 mM ddPa′TP存在下でシーケンス(回収したDNAが人工塩基Dsを保持していれば、DsはPCR中も保持される)
(iii)回収したDNA溶液2 μlを用いて0.05 mM dPa′TP存在下、ExTaqDNAポリメラーゼを用いて15サイクルのPCRで増幅後、ゲル精製により回収した断片を10μlの水に溶かし、その溶液1〜2μlを用いて0.05 mM dPa′TP存在下、0.05 mM ddPa′TP存在下でシーケンス(回収したDNAが人工塩基Dsを保持していれば、DsはPCR後にA若しくはTに置換される)
なお、(ii)及び(iii)に関しては、人工塩基Ds側のシーケンス(シーケンスプライマーとして、Sequencing Primer 2: 5′-ACAATGAAACTTCTGCGTACTCC-3′(配列番号113)を使用)だけでなく、Pa′基質の非存在下、人工塩基Diol1-Px側のシーケンス(シーケンスプライマーとしてSequencing Primer1:5′- ACGCATGAACAAACTTGCTTG-3′(配列番号112))も行った。(i)〜(iii)のシーケンスパターンから、8ラウンド後のライブラリーから回収したDNAのうち、クローニング法によってアプタマーの配列中でA/Tの塩基変異がみられた箇所は、(A)Dsが完全に保存されているか、(B)一部天然型塩基A若しくはTに置換されてはいるがDsが一定の割合で保持されている、ということが分かった。したがって、本実施例で示した手法によって、ランダムに導入したDsの位置を同定することが可能であった。また、実施例1、実施例3で示したように、Dsの導入位置を予め特定したセレクションの場合でも、次世代シーケンサーの配列解析からDsの導入位置は、ほとんどがA/Tに置換されていた。したがって、本実施例の結果から、次世代シーケンサーによる大量の配列群を解析すれば、中央領域中に組み込まれていて、かつ選択の過程で保存されたDsの位置は、セレクション後に同定可能であり、Dsをランダムな位置に組み込んだDNAをライブラリーに使用した場合でも選択が十分可能であることが確認できた。
【0308】
<実施例7:各種dPnTP誘導体の調製>
実施例1、3、5では、Dsを第5番目の塩基としてセレクションライブラリーに使用したが、Pn塩基はPCRで機能するDsの相補塩基であることから、Pnを第5番目の塩基としてライブラリーを調製し、セレクションすることも可能である。そして、人工塩基Pnのプロピニル基の先に、様々な置換基を導入することも可能である。本実施例では、明細書中に示した各種dPnTP誘導体の調製を示す。
【0309】
(1) 試薬及び溶媒
試薬及び溶媒は、標準的な供給業者から購入し、さらに精製することなく使用した。
1H-NMR(300MHz)、
31P-NMR(121MHz)、及び
13C-NMR (75 MHz)スペクトルは、BRUKER AV300核磁気共鳴スペクトロメーター上に記録した。合成したヌクレオシド誘導体とヌクレオシド5′-三リン酸は、Gilson HPLCシステムで精製を行った。高分解能マススペクトル(HR-MS,FAB)は、JEOL JM 700若しくは、JEOL GC mateスペクトルメーター上に記録した。エレクトロスプレイ-イオン化マススペクトル(MS,ESI)は、Waters2690LCシステムを伴ったWaters ZMD 4000マスシステム若しくはWaters UPLC-MS (H class)システム上に記録した。
【0310】
(2) dPnTPの合成
(2-1) 1-(2-デオキシ-3-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)-4-プロピニル-2-ニトロピロールの合成
1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-プロピニル-2-ニトロピロール(200 mg,0.75 mmol)をピリジンで共沸した後、ピリジン(7.5 ml)を加え、4,4′-ジメトキシトリチルクロリド(280 mg,0.83 mmol)を加えて室温で1時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルと5%炭酸水素ナトリウム水溶液で分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール,200:1,v/v)で精製して1-(2-デオキシ-5-O-ジメトキシトリチル-β-D-リボフラノシル)-4-プロピニル-2-ニトロピロールを365 mg(86%)得た。1-(2-デオキシ-5-O-ジメトキシトリチル-β-D-リボフラノシル)-4-プロピニル-2-ニトロピロール(160 mg,0.28 mmol)をピリジンで共沸した後、ピリジン(2.8 ml)を加え、無水酢酸(53 μl,0.56 mmol)を加えて反応溶液を室温で12時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルと5%炭酸水素ナトリウム水溶液で分液した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮しトルエンで共沸した後、塩化メチレン28 mlに溶解させた。この反応溶液にジクロロ酢酸(280 μl)を0℃で加えて15分間、氷冷下で撹拌した。5%炭酸水素ナトリウム水溶液を反応溶液に加えて分液し、有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮後、シリカゲルカラムで精製して1-(2-デオキシ-3-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)-4-プロピニル-2-ニトロピロールを78 mg(89%)得た。
【0311】
(2-2) 1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-プロピニル-2-ニトロピロール 5′-三リン酸の合成
1-(2-デオキシ-3-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)-4-プロピニル-2-ニトロピロール (31 mg,0.1 mmol)をピリジンで共沸した後、ピリジン (100 μl)とジオキサン(300 μl)を加えた後、2-クロロ-4H-1,3,2-ベンゾジオキサホスホリン-4-オン (110 μl,1Mジオキサン溶液)を加えて10分間室温で撹拌した。トリ-n-ブチルアミン (100 μl)とビス(トリブチルアンモニウム)ピロフォスフェート (300 μl,0.5M DMF溶液)を反応溶液に加えて10分間撹拌した。ヨウ素/ピリジン (2.0 ml,1% ヨウ素のピリジン:水,98:2,v/v溶液)を加えて15分間撹拌後、5% NaHSO
3 (150 μl)を加えて反応溶液を濃縮した。水(5.0 ml)を加えて室温で30分撹拌後、28%アンモニア水を20 ml加えて室温で2時間撹拌した。反応溶液を濃縮、凍結乾燥した後、DEAE Sephadex A-25イオン交換カラムクロマトグラフィー(50 mMから1.0 M TEABの直線勾配で溶出)とRP-HPLCで精製し、目的とする1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-プロピニル-2-ニトロピロール 5′-三リン酸を(31 μmol,31%)得た。
【0312】
(2-3) 化合物の物性値
(2-3-1) 1-(2-デオキシ-3-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)-4-プロピニル-2-ニトロピロール
1H NMR (300 MHz,DMSO-d6) δ 7.90 (d,1H,J = 2.1 Hz),7.30 (d,1H,J = 2.1 Hz),6.60 (t,1H,J = 6.4 Hz),5.22 (m,2H),4.13 (m,1H),3.65 (m,2H),2.62 (ddd,1H,J = 3.1,6.1,14.3 Hz),2.43 (m,1H),2.08 (s,3H),2.00 (s,3H). HR-MS (FAB,3-NBA matrix) for C
14H
17N
2O
6(M+H)
+ calcd. 309.1087,found 309.1066.
(2-3-2) 1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-プロピニル-2-ニトロピロール 5′-三リン酸
1H NMR (300 MHz,D
2O) δ 7.74 (d,1H,J = 2.1 Hz),7.35 (d,1H,J = 2.1 Hz),6.76 (t,1H,J = 6.1 Hz),4.63 (m,1H),4.24 (m,3H),3.21 (q,20H,J = 7.3 Hz),2.64 (ddt,1H,J = 5.2,13.9 Hz),2.49 (ddt,1H,J = 6.2,14.0 Hz),1.99 (s,3H),1.28 (t,29H,J = 7.3 Hz).
31P NMR (121 MHz,D
2O) δ -10.16 (d,1P,J = 19.8 Hz),-10.66 (d,1P,J = 20.0 Hz),-22.58 (t,1P,J = 20.0 Hz). MS(ESI) for C
12H
17O
14N
2P
3(M-H)
- calcd. 504.97,found 504.82 (M-H)
-.UV(10 mM sodium phophate buffer,pH 7.0) λmax = 373 nm (ε 9500).
(3) NH
2-C1-dPnTPの合成
(3-1)1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-(3-(トリフルオロアセタミド)-1-プロピニル)-2-ニトロピロール (TFA-NH-C1-dPn)の合成
無水酢酸(4.6 ml,33 mmol)の塩化メチレン(30 ml) 溶液を、プロパギルアミン(1.0 ml,15 mmol),塩化メチレン(30 ml),ピリジン (3.7 ml)の溶液に0℃で加えた。反応溶液を室温で12時間攪拌した。生成物を塩化メチレンと5%炭酸水素ナトリウム水溶液で分液し、有機層を5%炭酸水素ナトリウムで洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層を減圧下で濃縮した後、TFA-NHリンカーを得た(925 mg)。TFA-NH-linker (227 mg,1.5 mmol)を1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-ヨード-2-ニトロピロール (354 mg,1.0 mmol),CuI (30 mg,0.16 mmol),Pd(PPh
3)
4(58 mg,0.05 mmol),TEA (209 μl,1.5 mmol)のDMF(5.0 ml)溶液に加えた。反応溶液を室温で12時間攪拌した後、減圧下で濃縮した。TFA-NH-C1-dPn (330 mg ,88%)はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10%のメタノール/塩化メチレン溶液で溶出)ならびにRP-HPLC(35-50% CH
3CN in H
2O,12 min)で精製して得た。
【0313】
(3-2) 1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-(3-アミノ-1-プロピニル)-2-ニトロピロール 5′-三リン酸 (NH
2-C1-dPnTP)の合成
TFA-NH-C1-dPnヌクレオシド(75 mg,0.2 mmol)をピリジン、トルエンで共沸乾燥した後、proton sponge(66 mg,0.3 mmol)を加えて(CH
3O)
3PO(1.0 ml)に溶解した。POCl
3 (26 μl,0.26 mmol)を加えて0℃で1時間攪拌した。反応溶液にtri-n-butylamine(240 μl)と ピロリン酸ビス(トリ-n-ブチルアンモニウム)(2.0 ml,0.5 M DMF solution)を加えて30分攪拌後、0.5M 炭酸トリエチルアンモニウム緩衝液(TEAB)(1ml)と水(10 ml)を加えた。反応溶液を室温で1時間攪拌した後、反応溶液を凍結乾燥した。残渣にH
2O(10 ml)を加えた後、28% NH
4OH(40 ml)を加えて室温で1時間攪拌した。反応溶液を減圧下で濃縮した後、NH
2-C1-dPnTP(54 μmol,27%)は、DEAE sephadex A-25 イオン交換カラムクロマトグラフィー(eluted with 50 mM to 1.0 M TEAB linear gradient)とRP-HPLC (28% CH
3CN in 100 mM TEAA,15 min)で精製して得た。
【0314】
(3-3) 化合物の物性値
(3-3-1) 1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-[3-(トリフルオロアセタミド)-1-プロピニル]-2-ニトロピロール (TFA-NH-C1-dPn)
1H NMR (300 MHz,DMSO-d6) δ10.04 (s,1H),7.98 (s,1H),7.34 (s,1H),6.54 (t,1H,J = 5.5 Hz),5.27 (d,1H,J = 4.4 Hz),5.10 (t,1H,J = 4.9 Hz),4.22 (bs,3H),3.84 (m,1H),3.67-3.54 (m,2H),2.44 (m,1H),2.26 (m,1H). HRMS (FAB,3-NBA matrix) for C
14H
15F
3N
3O
6(M+H)
+calcd. 378.0913,found 378.0882.
(3-3-2) 1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-(3-アミノ-1-プロピニル)-2-ニトロピロール 5′-三リン酸 (NH
2-C1-dPnTP)
1H NMR (300 MHz,D
2O) δ 7.96 (d,1H,J = 2.1 Hz),7.32 (d,1H,J = 2.2 Hz),6.67 (t,1H,J = 6.4 Hz),4.55 (m,1H),4.24-4.12 (m,3H),3.91 (s,2H),3.11 (q,16H,J = 7.3 Hz),2.58 (dt,1H,J = 6.3 and13.8 Hz),2.41 (ddd,1H,J = 1.6,4.8,and 14.0 Hz),1.19 (t,24H,J = 7.3 Hz).
31P NMR (121 MHz,D
2O) δ -8.51 (bs,1P),-10.70 (d,1P,J = 19.4 Hz),-22.19 (t,1P,J = 19.9 Hz). MS(ESI) for C
12H
18O
14N
3P
3(M-H)
-calcd. 520.20,found,520.24.UV(10 mM sodium phophate buffer,pH 7.0) λmax = 364 nm (ε 10,600).
(4) NH
2-C3-dPnTPの合成
(4-1) 1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-[5-トリフルオロアセタミド-1-ペンチニル]-2-ニトロピロールの合成
1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-ヨード-2-ニトロピロール (373 mg,1.05 mmol) のDMF溶液(5.3 ml) にヨウ化銅(I) (32 mg,168 μmol) 及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(61 mg,53 μmol) を加え、さらにトリエチルアミン (220μl,1.6 mmol) を加えて、アルゴン雰囲気下、室温で攪拌した。5-トリフルロアセタミド-1-ペンチン
1) (283 mg,1.6 mmol) のDMF溶液 (3.0 ml) をこの溶液に滴下し、室温で19時間攪拌した。減圧下で濃縮した後に、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ジクロロメタン:メタノール=100:0→90:10)及びC18-HPLCにより精製し、目的物(355 mg,収率83%)を得た。
【0315】
(4-2) 1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-[5-アミノ-1-ペンチニル]-2-ニトロピロール5′-三リン酸(NH
2-C3-dPnTP) の合成
1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-(5-トリフルオロアセタミド-1-ペンチニル)-2-ニトロピロール(101 mg, 250 μmol) を、無水ピリジンで2回、無水トルエンで2回共沸させた。残渣とProton sponge (80 mg, 375 μmol) をリン酸トリメチル (1.25 ml) に溶解させ、オキシ塩化リン(30 μl, 325μmol)を加えて0 ℃で1時間攪拌した後に、トリ-n-ブチルアミン (300μl, 1.25 mmol) 及びピロリン酸ビス(トリ-n-ブチルアンモニウム)の 0.5 M DMF 溶液 (2.5 ml) を加えて30分間攪拌した。これに0.5M 炭酸トリエチルアンモニウム緩衝液(TEAB)(1.25ml)を加えて反応を停止させ、水(12.5 ml)を加えて室温で1時間攪拌した。この溶液に濃アンモニア水(50 ml)を加えて、室温で1時間攪拌した。溶液を減圧濃縮後、残渣をポリスチレンカラムクロマトグラフィー(1.5 x 20 cm,0-15% アセトニトリルの50 mM TEAB溶液)及びDEAE Sephadex A-25カラムクロマトグラフィー (1.5 x 30 cm,濃度直線勾配;TEABの50 mM―0.8 M溶液) にて精製を行った。DEAE精製後に得られたNH
2-C3-dPnTPの一部(合成量の3/5)を、C8-HPLC (SensyuPak, 濃度勾配;2.5%―50% アセトニトリルの100 mM酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液 (pH 7.0))にて精製(37.8 μmol)した。
【0316】
(4-3) 化合物の物性値
(4-3-1) 1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-[5-トリフルオロアセタミド-1-ペンチニル]-2-ニトロピロール
1H NMR (300 MHz,DMSO-d6) δ 9.47 (brs,1H),7.91 (d,1H,J = 2.2 Hz),7.27 (d,1H,J = 2.2 Hz),6.55 (t,1H,J = 5.7 Hz),5.29 (d,1H,J = 4.5 Hz),5.10 (t,1H,J = 5.2 Hz),4.24 (m,1H),3.85 (dt,1H,J = 4.1,3.9 Hz),3.66 (ddd,1H,J = 12.1,5.2,3.7 Hz),3.57 (ddd,1H,J = 12.1,4.9,4.8 Hz),3.29(m,2H),2.48-2.39 (m,1H),2.42(t,2H,J = 7.0 Hz),2.23 (ddd,1H,J = 13.4,5.8,5.7 Hz),1.73 (m,2H). HRMS (FAB,3-NBA matrix) for C
16H
19F
3N
3O
6 (M + H)
+ calcd. 406.1226,found 406.1225.
(4-3-2)1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-[5-アミノ-1-ペンチニル]-2-ニトロピロール5′-三リン酸(NH
2-C3-dPnTP)。
1H NMR (300 MHz,D
2O) δ 7.87 (d,1H,J = 1.6 Hz),7.25 (d,1H,J = 2.0 Hz),6.68 (t,1H,J = 5.8 Hz),4.56 (m,1H),4.24-4.13 (m,3H),3.11 (q,J = 7.3 Hz,the signals of NH
2CH
2- were superimposed),2.65-2.36 (m,4H),1.85 (m,2H),1.19 (t,22H,J = 7.4 Hz).
31P NMR (121 MHz,D
2O) δ -9.15 (1P),-11.13 (d,1P,J = 19.4 Hz),-22.61 (t, 1P,J = 20.0 Hz). MS (ESI) for C
14H
21N
3O
14P
3(M-H)
-calcd. 548.02,found 548.09. UV (10 mM sodium phosphate buffer,pH 7.0) λmax = 374 nm (ε 10,600).
(5) Diol3o3-dPnTPの合成
(5-1) 5-(4-ペンチニルオキシ)ペンタン-1,2-ジアセテート (Di(OAc)3o3 linker)の合成
4-pentyne-1-ol(4.65 ml,50 mmol)、5-bromo-1-pentene(17.8 ml,150 mmol)、KOH (12.6 g,225 mmol)のベンゼン(50 ml)溶液を12時間加熱還流した。ろ過後、反応溶液を酢酸エチルと10%塩化アンモニウム水溶液で分液した。有機層を10%塩化アンモニウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。5-(4-ペンチニルオキシ)-1-ペンテン(6.5g)はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10% EtOAcのヘキサン溶液で溶出)で粗製精した。OsO
4 (543 mg,2.0 mmol)を 5-(4-ペンチニルオキシ)-1-ペンテン (6.5 g)と N-メチルモルホリン-N-オキシド(10.0 g,85.4 mmol)のアセトン/H
2O/tBuOH (4:1:1,214 ml)溶液に加えて室温で1時間攪拌した。NaHSO
3 (1.5 g)を加えた後、生成した沈殿をろ過して除き、メタノールで洗浄してロ液を減圧下で濃縮した。生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3%メタノールの塩化メチレン溶液で溶出)で粗精製して5-(4-ペンチニルオキシ)ペンタン-1,2-ジオール(2.9 g)を得た。5-(4-ペンチニルオキシ)ペンタン-1,2-ジオール(2.9 g)をピリジンで共沸乾燥した後、ピリジン(78 ml)を加えて、無水酢酸(5.9 ml,62.4 mmol)を加えた。反応溶液を室温で9時間攪拌し、生成物を酢酸エチルと5%炭酸水素ナトリウム水溶液で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。5-(4-ペンチニルオキシ)ペンタン-1,2-ジアセテート (Di(OAc)3o3 linker)(3.27g,24% 3 steps) は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(20 % ヘキサンの塩化メチレン溶液で溶出)で精製して得た。
【0317】
(5-2) 1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-[5-(4-ペンチニルオキシ)ペンタン-1,2-ジアセテート)-1-プロピニル]-2-ニトロピロール (Di(OAc)3o3-dPn)の合成
Di(OAc)3o3 linker(180 mg,0.7 mmol)を1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-ヨード-2-ニトロピロール (177 mg,0.5 mmol)、CuI(19 mg,0.1 mmol)、Pd(PPh
3)
4(29 mg,0.025 mmol)、TEA(104 μl,0.75 mmol)のDMF(2.5 ml)溶液に加えた。反応溶液を室温で13時間攪拌し、減圧下で濃縮した。生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5%メタノールの塩化メチレン溶液で溶出)とRP-HPLC (50-55% アセトニトリルの水溶液を直線勾配10分間で溶出)で精製してDi(OAc)3o3-dPn(60mg、24%)を得た。
【0318】
(5-3) 1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)- 4-[5-(4-ペンチニルオキシ)ペンタン-1,2-ジオール)-1-プロピニル]-2-ニトロピロール 5′-三リン酸 (Diol3o3-dPnTP)の合成
Di(OAc)3o3-dPn ヌクレオシド(50 mg,0.1 mmol)をピリジンならびにトルエンにより共沸乾燥した。proton sponge (33 mg,0.15 mmol)を加えて(CH
3O)
3PO(500 μl)に溶解した。POCl
3 (13 μl,0.13 mmol)をこの溶液に0℃で加えて1.5時間攪拌した。トリ-n-ブチルアミン (120 μl)とビス-トリ-n-ブチルアンモニウム ピロフォスフェート(1.0 ml,0.5 M DMF solution)を反応溶液に加えて30分攪拌した。500 μl の0.5 M 炭酸トリエチルアンモニウム緩衝液(TEAB)と水(5.0 ml)を反応溶液に加え、0℃で30分攪拌した。凍結乾燥後、残渣にH
2O(2.0 ml)加え、28% NH
4OH(20 ml)を加えて室温で1時間攪拌した。反応溶液を減圧下で濃縮後、生成物は DEAE sephadex A-25イオン交換クロマトグラフィー(50 mM - 1.0 M TEAB 直線勾配で溶出)ならびにRP-HPLC (5-50% アセトニトリルの100 mM TEAA溶液で12分で溶出)で精製してDiol3o3-dPnTP(18 μmol 、18%)を得た。
(5-4) 化合物の物性値
(5-4-1) 5-(4-ペンチニルオキシ)ペンタン-1,2-ジアセテート (Di(OAc)3o3 linker)
1H NMR (300 MHz,DMSO-d6) δ 4.96 (m,1H),4.16 (dd,1H,J = 3.3,12.0 Hz),4.01 (dd,1H,J = 6.4,11.9 Hz),3.39 (t,2H,J = 6.4 Hz),3.33 (t,2H,J = 6.2 Hz),2.74 (t,1H,J = 2.7 Hz),2.18 (dt,2H,J = 2.6,7.2 Hz),1.66-1.45 (m,6H). HR-MS (FAB,NBA matrix) for C
14H
23O
5(M+H)
+ calcd. 271.1545,found 271.1592.
(5-4-2) 1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-[5-(4-ペンチニルオキシ)ペンタン-1,2-ジアセテート)-1-プロピニル]-2-ニトロピロール (Di(OAc)3o3-dPn)
1H NMR (300 MHz,DMSO-d6)δ 7.91 (d,1H,J = 2.2 Hz),7.28 (d,1H,J = 2.2 Hz),6.55 (t,1H,J = 5.7 Hz),5.29 (d,1H,J = 4.5 Hz),5.10 (t,1H,J = 5.2 Hz),4.97 (m,1H),4.24 (m,1H),4.16 (dd,1H,J = 3.3,12.0 Hz),4.01 (dd,1H,J = 6.5,11.9 Hz),3.85 (m,1H),3.70-3.53 (m,2H),3.44 (t,2H,J = 6.2 Hz),3.36 (t,2H,J = 6.1 Hz),2.45-2.39 (m,3H),2.28-2.19 (m,2H),2.01,2.00 (s,s,3H,3H),1.76 -1.47 (m,6H). HR-MS (FAB,NBA matrix) for C
23H
33N
2O
10(M+H)
+calcd. 497.2135,found 497.2110.
(5-4-3) 1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)- 4-[5-(4-ペンチニルオキシ)ペンタン-1,2-ジオール)-1-プロピニル]-2-ニトロピロール 5′-三リン酸 (Diol3o3-dPnTP)
1H NMR (300 MHz,D
2O) δ 7.73 (d,1H,J = 2.1 Hz),7.37 (d,1H,J = 2.1 Hz),6.76 (t,1H,J = 6.1 Hz),4.62 (m,1H),4.26-4.20 (m,3H),3.72-3.42 (m,7H),3.20 (q,22H,J = 7.3 Hz),2.64 (m,1H),2.53-2.44 (m,3H),1.89-1.41 (m,6H),1.28 (t,32H,J = 7.3 Hz).
31P NMR (121 MHz,D
2O) δ -10.07 (d,1P,J = 19.7 Hz),-10.63 (d,1P,J = 20.1 Hz),-22.55 (t,1P,J = 20.0 Hz). MS(ESI) for C
19H
30N
2O
17P
3(M-H)
-calcd. 651.37,found 651.39. UV (10 mM sodium phosphate buffer pH 7.0) λmax = 374 nm (ε 9,200).
(6) Diox6-dPnTPの合成
(6-1) 2-(7-オクチニル)-1,3-ジオキソラン (Diox6 リンカー)の合成
8-ブロモ-1-オクテン (839 μl,5.0 mmol)をlithiumacetylide etylenediamine complex(563 mg,5.5 mmol)のDMSO(25 ml)溶液に加えた。反応溶液を10℃で2時間攪拌した。生成物は、エーテルと水で分液した後、有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(25%ヘキサンの塩化メチレン溶液で溶出)で粗製精してdec-1-en-9-yne(457mg、67%)を得た。OsO
4(42 mg,0.17 mmol) をdec-1-en-9-yne (450 mg)ならびにN-メチルモルホリン-N-オキシド(775 mg,6.6 mmol)のアセトン/H
2O/tBuOH(4:1:1,16.5 ml)溶液に加えて室温で30分攪拌した。反応溶液に115 mgの NaHSO
3を加えた後、生成した沈殿をろ過で除いた。沈殿をメタノールで洗浄し、ロ液を集めて減圧下で濃縮した。生成物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(3%メタノールの塩化メチレン溶液で溶出)により粗製精してdec-9-yne-1,2-diolを得た。dec-9-yne-1,2-diolの アセトン/H
2O (7:3,33 ml)溶液に NaIO
4(1 0 mg,4.8 mmol)を加えて室温で12時間攪拌した。反応溶液を酢酸エチルと水で分液し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で濃縮して、310 mgのnon-8-ynal (68%,2段階収率)を得た。non-8-ynal(310 mg)とp-トルエンスルホン酸一水和物(42 mg,0.22 mmol)、エチレングリコール(279 mg,4.5 mmol)のベンゼン(11 ml)溶液を2時間加熱還流した。反応溶液を減圧下で濃縮し、生成物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレンで溶出)で精製して2-(7-オクチニル)-1,3-ジオキソラン(310 mg、76%)を得た。
【0319】
(6-2) 4-(2-(7-オクチニル)-1,3-ジオキソラン)-1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-ニトロピロール(Diox-C6CC-dPn)の合成
2-(7-オクチニル)-1,3-ジオキソラン(137mg,0.37 mmol)を1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-ヨード-2-ニトロピロール(177 mg,0.5 mmol)、CuI (15 mg,0.08 mmol)、Pd(PPh
3)
4 (29 mg,0.025 mmol)、TEA (105 μl,0.75 mmol)のDMF(2.5 ml)溶液に加えて室温で12時間攪拌した。反応溶液を減圧下で濃縮した後、生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(2%メタノールの塩化メチレン溶液で溶出)ならびに C18 RP-HPLC(54%-55%アセトニトリル水溶液)で精製して4-(2-(7-オクチニル)-1,3-ジオキソラン)-1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-ニトロピロール(Dio-C6CC-dPn)を180mg(88%の収率)得た。
【0320】
(6-3) 4-(2-(7-オクチニル)-1,3-ジオキソラン)-1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-ニトロピロール 5′-三リン酸 (Diox6-dPnTP)の合成
4-(2-(7-オクチニル)-1,3-ジオキソラン)-1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-ニトロピロール(82 mg,0.2 mmol)をピリジンならびにトルエンで共沸乾燥した後、proton sponge (66 mg,0.3 mmol)と(CH
3O)
3PO(1.0 ml)を加えた。この溶液に、POCl
3 (26 μl,0.26 mmol)を加えて0℃で1.5時間攪拌した。この反応溶液に、トリ-n-ブチルアミン(240 μl)と ビス-トリ-n-ブチルアンモニウム ピロフォスフェート(2.0 ml,0.5 M DMF溶液)を加えて30分攪拌した。1 ml の0.5 M 炭酸トリエチルアンモニウム緩衝液(TEAB)と水(10 ml)を反応溶液に加えて0°C で30分攪拌した。生成物は、DEAE sephadex A-25イオン交換カラムクロマトグラフィー(50 mM―1.0 M TEAB直線勾配で溶出)ならびにRP-HPLCで精製して4-(2-(7-オクチニル)-1,3-ジオキソラン)-1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-ニトロピロール 5′-三リン酸 (Diox6-dPnTP)(収量29 μmol)を得た。
【0321】
(6-4) 化合物の物性値
(6-4-1) 2-(7-オクチニル)-1,3-ジオキソラン (Diox6―リンカー)
1H NMR (300 MHz,CDCl
3) δ 4.86 (t,1H,J = 4.8 Hz),3.99-3.86 (m,4H),2.20 (dt,2H,J = 2.6,7.1 Hz),1.95 (t,1H,J = 2.7 Hz),1.66 (m,2H),1.58-1.39 (m,8H).HR-MS (FAB,NBA matrix) for C
11H
19O
2(M+H)
+calcd. 183.1385,found 183.1579.
(6-4-2) 4-(2-(7-オクチニル)-1,3-ジオキソラン)-1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-ニトロピロール (Diox6-dPn)
1H NMR (300 MHz,DMSO-d
6) δ 7.90 (d,1H,J = 2.2 Hz),6.27 (d,1H,J = 5.8 Hz),5.28 (d,1H,J = 4.5 Hz),5.10 (t,1H,J = 5.2 Hz),4.75 (t,1H,J = 4.8 Hz),4.24 (m,1H),3.88-3.53 (m,7H),2.43 (m,1H),2.36 (t,2H,J = 7.1 Hz),2.23 (m,1H),1.56-1.34 (m,10H).HR-MS (FAB,NBA matrix) for C
20H
29O
7N
2(M+H)
+ calcd. 409.1975,found 409.1979.
(6-4-3) 4-(2-(7-オクチニル)-1,3-ジオキソラン)-1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-ニトロピロール 5′-三リン酸 (Diox6-dPnTP)
1H NMR (300 MHz,D
2O) δ 7.72 (d,1H,J = 2.1 Hz),7.37 (d,1H,J = 2.1 Hz),6.77 (t,1H,J = 6.1 Hz),4.93 (t,1H,J = 5.0 Hz),4.63 (m,1H),4.27-4.18 (m,3H),4.08-3.87 (m,4H),3.21 (q,19H,J = 7.3 Hz),2.65 (dt,1H,J = 6.1 Hz),2.48 (dt,1H,J = 6.2 Hz),2.40 (t,2H,J = 7.0 Hz),1.69 (m,2H),1.59 (m,2H),1.50-1.42 (m,6H),1.29 (t,28H,J = 7.3 Hz).
31P NMR (121 MHz,D
2O) δ -10.23 (d,1P,J = 19.6 Hz),-10.63 (d,1P,J = 19.7 Hz),-22.59 (t,1P,J = 19.8 Hz). MS(ESI) for C
20H
31N
2O
16P
3(M-H)
-calcd. 647.09,found 647.14.UV(10 mM sodium phosphate buffer,pH 7.0) λmax = 373 nm (ε 9900).
(7) Diol6-dPnTPの合成
(7-1) 9-デシン-1,2-ジイル ジアセテートの合成
8-ブロモ-1-オクテン(839 μl,5.0 mmol)をlithiumacetylide etylenediamine complex (563 mg,5.5 mmol)のDMSO(5 ml)溶液に加えて10℃で2時間攪拌した。反応溶液をエーテルと水で分液し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。生成物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサンで溶出)で精製してdec-1-en-9-yne(633 mg、93%)を得た。OsO
4 (58 mg,0.23 mmol)をdec-1-en-9-yne(630 mg)、N-メチルモルホリン-N-オキシド(1.08 g,9.2 mmol)のアセトン/H
2O/tBuOH (4:1:1,23 ml)溶液に加えて室温で1時間攪拌した。160 mgのNaHSO
3 を加えた後、生成した沈殿を濾過で除いた。沈殿をメタノールで洗浄後、ロ液を集めて減圧下で濃縮した。生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3%メタノールの塩化メチレン溶液で溶出)で精製してdec-9-yne-1,2-diol(494 mg)を得た。dec-9-yne-1,2-diol(494 mg)をピリジンで共沸した後、ピリジン(10 ml)を加えた。無水酢酸(2.17 ml,23 mmol)を加えて、室温で13時間攪拌した。反応溶液を酢酸エチルと5%炭酸水素ナトリウムで分液し、有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1%メタノールの塩化メチレン溶液で溶出)で精製して、9-デシン-1,2-ジイル ジアセテート(414 mg、35%,2段階収率)を得た。
【0322】
(7-2) 4-(9-デシン-1,2-ジイル ジアセテート)-1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-ニトロピロール (Di-OAc-6-dPn)の合成
9-デシン-1,2-ジイル ジアセテート(381 mg,1.5 mmol)を1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-ヨード-2-ニトロピロール(354 mg,1.0 mmol)、CuI(38 mg,0.2 mmol)、Pd(PPh
3)
4 (58 mg,0.05 mmol)、TEA(208 μl,1.5 mmol)のDMF (5.0 ml)溶液に加えて室温で20時間攪拌した。反応溶液を酢酸エチルと水で分液し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。生成物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(3%メタノールの塩化メチレン溶液で溶出)ならびにRP-HPLC (55%アセトニトリル水溶液)で精製して、4-(9-デシン-1,2-ジイル ジアセテート)-1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-ニトロピロール (Di-OAc-6-dPn) を500 mg(99%の収率)得た。
【0323】
(7-3) 4-(9-デシン-1,2-ジオール)-1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-ニトロピロール 5′-三リン酸 (Diol6-dPnTP)の合成
4-(9-デシン-1,2-ジイル ジアセテート)-1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-ニトロピロール (48 mg,0.1 mmol)をピリジンとトルエンで共沸乾燥した後、proton sponge(33 mg,0.15 mmol)と(CH
3O)
3PO(500 μl)を加えた。この溶液に、POCl
3 (13 μl,0.13 mmol)を0℃で加えて、1.5時間攪拌した。トリ-n-ブチルアミン(120 μl)とビス-トリ-n-ブチルアンモニウム ピロフォスフェート(1.0 ml,0.5 M DMF solution)を加えて30分攪拌した後、500 μl の0.5 M 炭酸トリエチルアンモニウム緩衝液(TEAB)と水(5.0 ml)を加えて0℃で30分攪拌した。凍結乾燥後、H
2O (2.0 ml)と28% NH
4OH(20 ml)を加えて室温で1時間攪拌した。減圧下で濃縮後、生成物は、DEAEsephadex A-25 イオン交換カラムクロマトグラフィー(50 mM ― 1.0 M TEAB 直線勾配で溶出)ならびに RP-HPLC (5-50%アセトニトリルの100 mM TEAA,12分)で精製して4-(9-デシン-1,2-ジオール)-1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-ニトロピロール 5′-三リン酸 (Diol6-dPnTP)を18 μmol(18%の収率)得た。
【0324】
(7-4)化合物の物性値
(7-4-1) 9-デシン-1,2-ジイル ジアセテート
1H NMR (300 MHz,DMSO-d6) δ 4.94 (m,1H),4.07 (ddd,2H,J = 3.2,6.5,48.3 Hz),2.72 (t,1H,J = 2.7 Hz),2.13 (dt,2H,J = 2.6,6.8 Hz),2.00 (s,3H9,1.99 (s,3H),1.52-1.25 (m,10H).HR-MS (FAB,NBA matrix) for C
14H
23O
4(M+H)
+ calcd. 255.1596,found 255.1605.
(7-4-2) 4-(9-デシン-1,2-ジイル ジアセテート)-1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-ニトロピロール (Di-OAc-6-dPn)
1H NMR (300 MHz,DMSO-d
6) δ 7.89 (d,1H,J = 2.2 Hz),7.26 (d,1H,J = 2.2 Hz),6.54 (t,1H,J = 5.8 Hz),5.27 (d,1H,J = 4.5 Hz),5.09 (t,1H,J = 5.2 Hz),4.94 (m,1H),4.23 (m,1H),4.07 (ddd,2H,J = 3.2,6.5,48.8 Hz),3.83 (m,1H),3.68-3.52 (m,2H),2.42 (m,1H),2.35 (t,2H,J = 7.1 Hz),2.22 (m,1H),2.00 (s,3H),1.99 (s,3H),1.52-1.28 (m,10H).HR-MS (FAB,NBA matrix) for C
23H
33O
9N
2(M+H)
+ calcd. 481.2186,found 481.2206.
(7-4-3) 4-(9-デシン-1,2-ジオール)-1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-ニトロピロール 5′-三リン酸 (Diol6-dPnTP)
1H NMR (300 MHz,D
2O) δ 7.72 (d,1H,J = 2.1 Hz),7.35 (d,1H,J = 2.1 Hz),6.76 (t,1H,J = 6.1 Hz),4.62 (m,1H),4.26-4.20 (m,3H),3.70 (m,1H),3.59 (dd,1H,J = 3.8,11.6 Hz),3.46 (dd,1H,J = 6.9,11.6 Hz),3.20 (q,20H,J = 7.3 Hz),2.64 (dt,1H,J = 6.2,13.0 Hz),2.47 (dt,1H,J = 6.2,14.0 Hz),2.40 (t,2H,J = 7.0 Hz),1.60-1.25 (m,10H),1.28 (t,30H,J = 7.3 Hz).
31P NMR (121 MHz,D
2O) δ -10.20 (d,1P,J = 19.9 Hz),-10.64 (d,1P,J = 20.1 Hz),-22.59 (t,1P,J = 20.0 Hz).MS(ESI) for C
19H
31N
2O
16P
3(M-H)
- calcd. 635.08,found. 635.08.UV(10 mM sodium phosphate buffer,pH 7.0) λmax = 374 nm (ε 9400).
(8) COOH-C1-dPnTPの合成
(8-1)1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-(3-カルボキシプロパナミド-1-プロピニル)-2-ニトロピロール5′-三リン酸(COOH-C1-dPnTP)の合成
NH
2-C1-dPnTP (10 μmol) の200 mM TEAA (pH 7.0,500 μL)溶液に無水コハク酸(4 mg,40 μmol)のDMSO(500 μL)溶液を加えて、室温で一時間静置した。凍結乾燥後HPLC(100mM 酢酸トリエチルアンモニウム中の0%ないし30%アセトニトリルの直線勾配を10分間かけることによって溶出した。)で精製して1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-(3-カルボキシプロパナミド-1-プロピニル)-2-ニトロピロール5′-三リン酸(COOH-C1-dPnTP)を8.4 μmol(84%の収率)得た。
【0325】
(8-2) 化合物の物性値
(COOH-C1-dPnTP)
1H-NMR (300 MHz,D
2O) δ (ppm) 7.73 (1H,d,J = 2.0 Hz),7.36 (d,1H,J = 2.0 Hz),6.70 (t,1H,J = 5.9 and 6.3 Hz),4.59-4.54 (m,1H),4.21-4.15 (m,3H),4.10 (s,2H),3.15 (q,24H,J = 7.3 Hz),2.64-2.55 (m,1H),2.48-2.39 (m,5H),1.23 (t,36H,J = 7.3 Hz).
31P-NMR (121 MHz,D
2O) δ (ppm) -10.66 (d,1P,J = 19.6 Hz),-11.27 (d,1P,J = 19.9 Hz),-23.16 (t,1P,J = 19.8 and 20.1 Hz). MS(ESI) for C
16H
21O
17N
3P
3(M-H)
-calcd. 620.01,found 619.91.UV(10 mM sodium phosphate buffer,pH 7.0) λmax 365 nm (ε9800).
(9) 1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-(3-(2-ピリジルジチオ)プロパナミド-1-プロピニル)-2-ニトロピロール 5′-三リン酸 (PDP-C1-dPnTP)の合成
(9-1)PDP-C1-dPnTPの合成
NH
2-C1-dPnTP (20 μmol) の 0.1 M NaHCO
3-Na
2CO
3バッファー溶液 (pH 8.5,600 μl)に スクシンイミジル 3-(2-ピリジルジチオ)-プロピオネート (PDP-SE,Invitrogen) (12.5 mg,40 μmol)のDMF (300 μl)溶液を加えて室温で3時間攪拌した。反応溶液に28%アンモニア水を1ml加えて反応を停止して、凍結乾燥した。生成物はDEAE Sephadex A-25 イオン交換カラムクロマトグラフィー (1.5 cm x 30 cm,50 mM ―1.0 M TEAB 直線勾配で溶出) 及び C18 HPLCで精製して 3.8 μmol のPDP-dPnTP (19%)を得た。
【0326】
(9-2) 化合物の物性値
PDP-C1-dPnTP:
1H NMR (300 MHz,D
2O) δ 8.38 (m,1H),7.89-7.83 (m,2H),7.80 (d,1H,J = 2.1 Hz),7.38 (d,1H,J = 2.1 Hz),7.29 (m,1H),6.75 (t,1H,J = 6.0 Hz),4.62 (m,1H),4.23 (m,3H),4.08 (s,2H),3.21 (q,19H,J = 7.3 Hz),3.12 (t,2H,J = 6.7 Hz),2.69 (t,2H,J = 6.6 Hz),2.62 (m,1H),2.49 (m,1H),1.29 (t,30H,J = 7.3 Hz).
31P NMR (121 MHz,D2O) δ -10.02 (d,1P,J = 19.9 Hz),-10.68 (d,1P,J = 20.0 Hz),-22.48 (t,1P,J = 19.9 Hz). MS(ESI) for C
20H
24N
4O
15P
3S
2(M-H)
- calcd.717.00,found 717.08. UV(10 mM sodium phosphate buffer,pH 7.0) λmax 285 nm (ε 7600),365 nm (ε 10700).
(10) アミノ酸結合-C1-dPnTP (a.a.-C1-dPnTP)の合成
(10-1) Fmoc-アミノ酸スクシンイミドエステル(Fmoc-a.a.-SE)の合成
エフモック-L-アミノ酸(0.5 mmol),1-ヒドロキシスクシンイミド(0.6 mmol),N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N′-エチルカルボジイミドハイドロクロリド(0.6 mmol)のDMF(1ml)溶液を室温で1時間撹拌した。反応溶液を水30mlに加えて生じた沈殿をろ過し、水で洗浄し、減圧下で乾燥した。Fmoc-His(Fmoc)-SE、Fmoc-Ser(OTBDMS)-SE、ならびにFmoc-Lys (Fmoc)-SEは、反応後酢酸エチルと水で分液し、有機相を水で2回洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相を減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(1%メタノールの塩化メチレン溶液で溶出)で精製して得た。 Fmoc-Phe-SE (195 mg,81%),Fmoc-Tyr-SE (216 mg,86%),Fmoc-Trp-SE (219 mg,84%),Fmoc-His(Fmoc)-SE (200 mg,57%),Fmoc-Ser(TBDMS)-SE (222 mg,82%)、 Fmoc-Lys (Fmoc)-SE (278 mg、81%).
(10-2) アミノ酸結合-C1-dPnTP(a.a.-C1-dPnTP)の合成
(10-2-1)Phe-,Tyr-,及び Trp-C1-dPnTP:
1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-(3-アミノ-1-プロピニル)-2-ニトロピロール 5′-三リン酸 (19 μmol)のDMF(1 ml)溶液にFmoc-アミノ酸スクシンイミドエステル(Fmoc-a.a.-SE)(29 μmol)のDMF(1 ml)溶液を加えて室温で12時間静置した。反応溶液にピペリジン(100 μl)を加えて室温で3分間撹拌した。反応溶液に水(2 ml)を加えた後、酢酸エチル(4ml)で3回洗浄した。水相に水(10 ml)と2M TEAB(100 μl)を加えて凍結乾燥した。DEAE Sephadex A-25 column (50 mM ないし 1 M TEAB 直線勾配で溶出)で精製した後、HPLCで精製して1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-(3-(L-チロシナミド)-1-プロピニル)-2-ニトロピロール 5′-三リン酸(Tyr-C1-dPnTP,11.3 μmol,収率59%,HPLC: 100 mMトリエチルアミン酢酸バッファー中0ないし40%アセトニトリルの直線勾配を15分間かけて溶出),1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-(3-(L-トリプトファナミド)-1-プロピニル)-2-ニトロピロール 5′-三リン酸(Trp-C1-dPnTP、12.1 μmol,収率64%,HPLC: 100 mMトリエチルアミン酢酸バッファー中10ないし50%アセトニトリルの直線勾配を10分間かけて溶出),1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-(3-(L-フェニルアラニナミド)-1-プロピニル)-2-ニトロピロール 5′-三リン酸(Phe-C1-dPnTP、11.4 μmol,収率60%,HPLC: 100 mMトリエチルアミン酢酸バッファー中0ないし50%アセトニトリルの直線勾配を10分間かけて溶出)を得た。
【0327】
(10-2-2)His-,Ser-C1-dPnTP:
1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-(3-アミノ-1-プロピニル)-2-ニトロピロール 5′-三リン酸(19 μmol)のDMF(1 ml)溶液にエフモックアミノ酸スクシンイミドエステル(Fmoc-a.a.-SE)(29 μmol)のDMF(1 ml)溶液を加えて室温で24時間撹拌した。水を8ml加えて酢酸エチル4mlで一回洗浄した。水相に含まれるFmoc基を含む三リン酸をHPLCにより精製後(ヒスチジン:100 mMトリエチルアミン酢酸バッファー中20ないし50%アセトニトリルの直線勾配を10分間かけて溶出,セリン:100 mMトリエチルアミン酢酸バッファー中30%アセトニトリルを10分間かけて溶出)凍結乾燥した。残渣をDMF(2.0ml)に溶解し、ピペリジン(100 μl)で室温下5分間処理した。H
2O(4.0ml)を加えた後、酢酸エチル(4ml)で3回洗浄した。水相にH
2O(4 ml)と2 M TEAB(100 μl)を加えて凍結乾燥した。DEAE Sephadex A-25 column (50 mM ないし 1 M TEAB 直線勾配で溶出)で精製した後、HPLCで精製して1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-(3-(L-ヒスチジナミド)-1-プロピニル)-2-ニトロピロール 5′-三リン酸(His-C1-dPnTP、 8.8 μmol,収率46%,HPLC: 100 mMトリエチルアミン酢酸バッファー中0ないし40%アセトニトリルの直線勾配を15分間かけて溶出)ならびに1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-(3-(L-セリナミド)-1-プロピニル)-2-ニトロピロール 5′-三リン酸(Ser-C1-dPnTP、10.3 μmol,収率54%,HPLC: 100 mMトリエチルアミン酢酸バッファー中0ないし30%アセトニトリルの直線勾配を13分間かけて溶出)を得た。
【0328】
(10-3) 化合物の物性値
(10-3-1) エフモックアミノ酸スクシンイミドエステル(Fmoc-a.a.-SE)
Fmoc-Phe-SE:
1H NMR (300 MHz,DMSO-d6) δ 8.24 (d,1H,J = 8.5 Hz),7.88 (d,2H,J = 7.5 Hz),7.62 (dd,2H,J = 2.9 and 7.4 Hz),7.43-7.21 (m,9H),4.73-4.65 (m,1H),7.29-4.14 (m,3H),3.25 (dd,1H,J = 4.3 and 13.8 Hz),3.05 (dd,1H,J = 11.0 and 13.8 Hz),2.84 (s,4H). Fmoc-Tyr-SE:
1H NMR (300 MHz,DMSO-d6) δ 9.23 (s,1H),8.19 (d,1H,J = 8.5 Hz),7.89 (d,2H,J = 7.5 Hz),7.65-7.60 (m,2H),7.44-7.39 (m,2H),7.34-7.27 (m,2H),7.14 (d,2H,J = 8.4 Hz),7.68 (d,2H,J = 8.5 Hz),4.61-4.53 (m,1H),4.26-4.15 (m,3H),3.12 (dd,1H,J = 4.3 and 13.8 Hz),2.92 (dd,1H,J = 10.7 and 13.8 Hz),2.83 (s,4H). Fmoc-Trp-SE:
1H NMR (300 MHz,DMSO-d6) δ10.95 (s,1H),8.24 (d,1H,J = 8.2 Hz),7.88 (d,2H,J = 7.6 Hz),7.65-7.57 (m,3H),7.44-7.24 (m,6H),7.10 (t,1H,J = 7.9 Hz),7.01 (t,1H,J = 7.5 Hz),4.70-4.63 (m,1H),4.29-4.18 (m,3H),3.39 (m,1H),3.21 (m,1H),2.84 (s,4H). Fmoc-Ser(OTBDMS)-SE:
1H NMR (300 MHz,DMSO-d6) δ 8.11 (d,1H,J = 8.5 Hz),7.90 (d,2H,J = 7.5 Hz),7.72 (t,2H,J = 6.6 Hz),7.42 (t,2H,J = 7.4 Hz),7.32 (dt,2H,J = 1.0 and 7.4 Hz),4.63-4.56 (m,1H),4.35-4.22 (m,3H),4.00-3.88 (m,2H),2.81 (s,4H),0.86 (s,9H),0.07 (s,3H),0.06 (s,3H). Fmoc-His(Fmoc)-SE:
1H NMR (300 MHz,DMSO-d6) δ 8.14 (m,2H),7.95-7.86 (m,4H),7.7 (dd,2H,J = 3.0,7.3 Hz),7.62 (d,2H,J = 7.4 Hz),7.46-7.25 (m,9H),4.84-4.76 (m,1H),4.69 (d,2H,J = 6.7 Hz),4.43 (t,1H,J = 6.7 Hz),4.30 (d,2H,J = 7.0 Hz),4.20 (t,1H,J = 7.3 Hz),3.15-3.00 (m,2H),2.81 (s,4H). Fmoc-Lys(Fmoc)-SE:
1H NMR (300 MHz,DMSO-d6) δ 8.10(d,1H,J = 7.8 Hz),7.89 (d,4H,J = 7.5 Hz),7.70 (m,4H),7.41 (t,4H,J = 7.4 Hz),7.35‐7.26 (m,5H),4.44‐4.18 (m,7H),2.98 (m,2H),2.80 (s,4H),1.81 (m,2H),1.42 (m,4H).
(10-3-2)アミノ酸結合-C1-dPnTP(a.a.-C1-dPnTP)
(10-3-2-1)Phe-C1-dPnTP:
1H-NMR (300 MHz,D
2O) δ 7.83 (d,1H,J = 2.1 Hz),7.32-7.20 (m,6H),7.66 (dd,1H,J = 4.7,6.3 Hz),4.54 (m,1H),4.22-4.11 (m,4H),4.07 (d,1H,J = 17.7 Hz),3.78 (d,1H,J = 17.7 Hz),3.11 (q and m,15H,2H,J = 7.3 Hz),2.56 (m,1H),2.40 (m,1H),1.19 (t,23H,J = 7.3 Hz).
31P-NMR (121 MHz,D
2O) δ -8.37 (bs,1P),-10.67 (d,1P,J = 20.1 Hz),-22.01 (t,1P,J = 20.1 Hz). MS(ESI) for C
21H
27O
15N
4P
3(M-H)
-calcd. 667.06,found 666.66. UV(10 mM sodium phosphate buffer,pH 7.0) λmax 368 nm (ε9540).
(10-3-2-2)Tyr-C1-dPnTP:
1H-NMR (300 MHz,D
2O) δ 7.81 (d,1H,J = 2.1 Hz),7.27 (d,1H,J = 2.1 Hz),7.08 (d,2H,J = 8.5 Hz),6.75 (d,2H,J = 8.6 Hz),6.67 (dd,1H,J = 4.8,6.2 Hz),4.53 (m,1H),4.21-4.09 (m,4H),4.04 (d,1H,J = 17.6 Hz),3.85 (d,1H,J = 17.7 Hz),3.11 (q and m,13H,1H,J = 7.3 Hz),2.94 (m,1H),2.56 (m,1H),2.40 (m,1H),1.19 (t,20H,J = 7.3 Hz).
31P-NMR (121 MHz,D
2O) δ -9.11 (bs,1P),-10.71 (d,1P,J = 19.8 Hz),-22.22 (t,1P,J = 19.9 Hz). MS(ESI) for C
21H
27O
16N
4P
3(M-H)
-calcd. 683.06,found,682.80. UV(10 mM sodium phosphate buffer,pH 7.0) λmax 282 nm (ε3400),368 nm (ε 9760).
(10-3-2-3)Trp-C1-dPnTP:
1H-NMR (300 MHz,D
2O) δ 7.79 (d,1H,J = 2.1 Hz),7.53 (d,1H,J = 7.6 Hz),7.38 (d,1H,J = 7.9 Hz),7.27 (s,1H),7.21 (d,1H,J = 2.1 Hz),7.16-7.04 (m,2H),6.66 (dd,1H,J = 4.5,6.3 Hz),3.54 (m,1H),4.23-4.10 (m,4H),3.95 (d,1H,J = 17.7 Hz),3.68 (d,1H,J = 17.6 Hz),3.39-3.19 (m,2H),3.11 (q,23H,J = 7.3 Hz),2.55 (m,1H),2.41 (m,1H),1.19 (t,35H,J = 7.3 Hz).
31P-NMR (121 MHz,D
2O) δ -7.36 (bs,1P),-10.61 (d,1P,J = 19.8 Hz),-21.79 (t,1P,J = 19.9 Hz,20.1 Hz). MS(ESI) for C
23H
28O
15N
5P
3(M-H)
-calcd. 706.07,found,705.84. UV(10 mM sodium phosphate buffer,pH 7.0) λmax 280 nm (ε7270),287 nm (ε 6950),369 nm (ε 9650).
(10-3-2-4)His-C1-dPnTP:
1H-NMR (300 MHz,D
2O) δ 8.38 (d,1H,J = 1.2 Hz),7.90 (d,1H,J = 2.1 Hz),7.22 (s,1H),6.67 (dd,1H,J = 4.5,6.4 Hz),4.54 (m,1H),4.33-4.12 (m,4H),4.08 (d,1H,J = 17.7 Hz),3.94 (d,1H,J = 17.8 Hz),3.23 (m,2H),3.11 (q,10H,J = 7.3 Hz),2.57 (m,1H),2.41 (m,1H),1.19 (t,16H,J = 7.3 Hz).
31P-NMR (121 MHz,D
2O) δ -8.29 (d,1P,J = 19.2 Hz),-10.69 (d,1P,J = 19.2 Hz),-21.86 (t,1P,J = 19.4,19.3 Hz). MS(ESI) for C
18H
25O
15N
6P
3(M-H)
-calcd. 657.05,found 656.93. UV(10 mM sodium phosphate buffer,pH 7.0) λmax 367 nm (ε9890).
(10-3-2-5)Ser-C1-dPnTP:
1H-NMR (300 MHz,D
2O) δ 7.87 (d,1H,J = 2.0 Hz),7.27 (d,1H,J = 2.1 Hz),6.66 (dd,1H,J = 4.5,6.3 Hz),4.54 (m,1H),4.24-4.09 (m,5H),4.0-3.81 (m,3H),3.11 (q,18H,J = 7.3 Hz),2.56 (m,1H),2.40 (m,1H),1.19 (t,27H,J = 7.3 Hz).
31P-NMR (121 MHz,D
2O) δ -7.57 (bs,1P),-10.62 (d,1P,J= 19.6 Hz),-21.88 (t,1P,J = 20.2,20.0 Hz). MS(ESI) for C
15H
23O
16N
4P
3(M-H)
- calcd. 607.02, found 606.81. UV(10 mM sodium phosphate buffer,pH 7.0) λmax 367 nm (ε 9630).
(11)アミノ酸結合-C3-dPnTPの合成
(11-1) 1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-[5-(L-フェニルアラニナミド)-1-ペンチニル]-2-ニトロピロール5′-三リン酸 (Phe-C3-dPnTP)の合成
NH
2-C3-dPnTP (18 μmol)のDMF溶液(4 ml)にFmoc-Phe-SE (13.1 mg,27 μmol)を加え、室温で20時間反応させたのちに、トリエチルアミンを加えてさらに5時間攪拌した。この反応溶液にピペリジン(100 μl)を加え、室温で30分間反応させた。この反応溶液に水(5 ml)を加え、水層を酢酸エチルで3回洗浄したのちに凍結乾燥させた。残渣をDEAE Sephadex A-25カラムクロマトグラフィー (1.5 x 30 cm,濃度直線勾配;TEABの50 mM―1M溶液)及びC8-HPLC (SensyuPak,濃度勾配;10%―50% アセトニトリルの100 mM酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液 (pH 7.0))にて精製し、目的物(7.4 μmol,41%)を得た。
(11-2) 1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-[5-(L-トリプトファナミド)-1-ペンチニル]-2-ニトロピロール5′-三リン酸 (Trp-C3-dPnTP)の合成
NH
2-C3-dPnTP (18 μmol)のDMF溶液(4 ml)にFmoc-Trp-SE (14.1 mg,27 μmol)を加え、室温で20時間反応させたのちに、トリエチルアミンを加えてさらに5時間攪拌した。この反応溶液にピペリジン(100 μl)を加え、室温で30分間反応させた。この反応溶液に水(5ml)を加え、水層を酢酸エチルで3回洗浄したのちに凍結乾燥させた。残渣をDEAE Sephadex A-25カラムクロマトグラフィー (1.5 x 30 cm,濃度直線勾配;TEABの50 mM―1M溶液) 及びC8-HPLC (SensyuPak,濃度勾配;15%―50% アセトニトリルの100 mM酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液 (pH 7.0))にて精製し、目的物(6.6 μmol,36%)を得た。
【0329】
(11-3) 1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-[5-(L-チロシナミド)-1-ペンチニル]-2-ニトロピロール5′-三リン酸 (Tyr-C3-dPnTP)の合成
NH
2-C3-dPnTP(21 μmol)のDMF溶液(1 ml)にFmoc-Tyr-SE(15.8 mg,31.5 μmol)を加え、室温で60時間反応させた。この反応溶液にH
2O(8 ml)を加え、水層を酢酸エチルで3回洗浄したのちに、C8 HPLC(SensyuPak,濃度勾配;35% アセトニトリルの100 mM酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液 (pH 7.0))にて精製した。Fmoc-Tyr-C3-dPnTPのDMF溶液(2 ml)にピペリジン(100 μl)を加え、室温で10分間反応させた。この反応溶液にH
2O(8 ml)を加え、水層を酢酸エチルで3回洗浄したのちに凍結乾燥させた。残渣をDEAE Sephadex A-25カラムクロマトグラフィー (1.5 x 30 cm,濃度直線勾配;TEABの50mM-1M溶液) 及びC8-HPLC (Sensyupak,濃度勾配;10%―50% アセトニトリルの100 mM酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液(pH 7.0))にて精製し、目的物(9.7 μmol,46%)を得た。
【0330】
(11-4) 1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-[5-(L-セリナミド)-1-ペンチニル]-2-ニトロピロール5′-三リン酸 (Ser-C3-dPnTP)の合成
NH
2-C3-dPnTP (19 μmol)のDMF溶液(1 ml)にFmoc-(O-TBDMS)-Ser-SE (13.0 mg,28 μmol)を加え、室温で60時間反応させた。この反応溶液にH
2O(8 ml)を加え、水層を酢酸エチルで3回洗浄したのちに、C8 HPLC(Sensyupak,濃度勾配;32% アセトニトリルの100 mM酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液 (pH 7.0))にて精製した。Fmoc-Ser-C3-dPnTPのDMF溶液(2 ml)にピペリジン(100 μl)を加え、室温で10分間反応させた。この反応溶液にH
2O(8 ml)を加え、水層を酢酸エチルで3回洗浄したのちに凍結乾燥させた。残渣をDEAE Sephadex A-25カラムクロマトグラフィー (1.5 x 30 cm,濃度直線勾配;TEABの50mM-1M溶液)及びC8-HPLC (SensyuPak,濃度勾配;10%―50% アセトニトリルの100 mM酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液 (pH 7.0))にて精製し、目的物(5.4 μmol,29%)を得た。
【0331】
(11-5) 1‐(2‐デオキシ‐β‐D‐リボフラノシル)‐4‐[5‐(L‐リシナミド)‐1‐ペンチニル]‐2‐ニトロピロール 5′‐三リン酸 (Lys‐C3-dPnTP)の合成
NH
2-C3-dPnTP (20 μmol) のDMF溶液 (1 mL) にFmoc-Lys(Fmoc)-SE (27.5 mg,40μmol) を加え、室温で58時間反応させた。反応溶液にピペリジン(100 μL)を加え、3分間反応させた後にH
2O(2 mL)を加えた。水層を酢酸エチル(4 mL)で3回洗浄した後に凍結乾燥させた。粗生成物をDEAE Sephadex A-25カラムクロマトグラフィー (1.5 x 30 cm,濃度直線勾配;TEABの50 mM―0.8M溶液)及びC18-HPLC(濃度勾配;5%―50% アセトニトリルの100 mM酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液 (pH 7.0))にて精製し、目的物(4.6 μmol,23%)を得た。
【0332】
(11-6)化合物の物性値
(11-6-1)Phe-C3-dPnTP:
1H NMR (300 MHz,D
2O) δ 7.71(d,1H,J = 1.9 Hz),7.32-7.14(m,5H),7.19(d,1H,J = 2.0 Hz)6.61(t,1H,J = 5.8 Hz),4.51(m,1H),4.16-4.10(m,4H),3.36(m,1H),3.11(q,J = 7.4 Hz,the signals of Phe-CH
2- and one proton of -CONHCH
2- were superimposed),2.51(m,1H),2.31(m,1H),2.19(m,1H),2.05(m,1H),1.55(m,2H),1.19(t,18H,J = 7.3 Hz).
31P NMR (121 MHz,D
2O) δ -10.34 (d,1P,J = 18.0 Hz),-11.32 (d,1P,J = 19.7 Hz),-22.99 (t,1P,J = 20.0 Hz). MS(ESI) for C
23H
30N
4O
15P
3(M-H)
-calcd,695.09,found 694.53.UV (10 mM sodium phosphate buffer,pH 7.0) λmax = 374 nm (ε 10,000).
(11-6-2)Trp-C3-dPnTP:
1H NMR (300 MHz,D
2O) δ 7.57 (d,1H,J = 2.0 Hz),7.38 (d,2H,J = 8.5 Hz),7.24 (s,1H),7.15 (d,1H,J = 2.0 Hz),7.11 (t,1H,J = 7.8Hz),6.99 (t,1H,J = 7.9Hz),6.40 (t,1H,J = 5.8 Hz),4.29 (m,1H),4.14-4.07 (m,4H),3.39 (m,1H),3.24 (t,2H,J = 6.9 Hz),3.11(q,J = 7.3 Hz,the signal of one proton of -CONHCH
2- was superimposed),3.17-3.01 (m,1H),2.32 (m,1H),2.14 (m,1H),2.01 (m,1H),1.84 (m,1H),1.49 (m,2H),1.19 (t,18H,J = 7.3 Hz).
31P NMR (121 MHz,D
2O) δ -10.45 (d,1P,J = 19.6 Hz),-11.29 (d,1P,J = 19.4 Hz),-23.01 (t,1P,J = 20.0 Hz). MS (ESI) for C
25H
31N
5O
15P
3(M-H)
-calcd,734.10,found 733.64. UV (10 mM sodium phosphate buffer,pH 7.0) λmax = 280 nm (ε 8,000),287nm (ε 7,600),375 nm (ε 9,600).
(11-6-3)Tyr-C3-dPnTP:
1H NMR (300 MHz,D
2O) δ 7.70 (d,1H,J = 2.1 Hz),7.19 (d,1H,J = 2.1 Hz),7.02 (d,2H,J = 8.5 Hz),6.75 (d,2H,J = 8.5 Hz),6.62 (t,1H,J = 5.9 Hz),4.51 (m,1H),4.16 (m,3H),4.06 (m,1H),3.39 (m,1H),3.11 (q,13H, J = 7.4Hz),3.06-2.90 (m,3H),2.52 (m,1H),2.30 (m,1H),2.17 (m,1H),2.01 (m,1H),1.53 (m,2H),1.19 (t,20H,J = 7.3 Hz).
31P NMR (121 MHz,D
2O) δ -9.86 (1P),-11.30 (d,1P,J = 19.8 Hz),-22.89 (t,1P,J = 19.9 Hz). MS (ESI) for C
23H
30N
4O
16P
3(M-H)
-calcd,711.09,found 711.07. UV (10 mM sodium phosphate buffer,pH 7.0) λmax = 282 nm (ε 3,800),373 nm (ε 10,400).
(11-6-4)Ser-C3-dPnTP:
1H NMR (300 MHz,D
2O) δ 7.77 (d,1H,J = 2.0Hz),7.26 (d,1H,J = 2.0 Hz),6.68 (t,1H,J = 5.9 Hz),4.56 (m,1H),4.16 (m,3H),4.07 (dd,1H,J = 5.4,4.6 Hz),3.92(dd,1H,J = 12.3,4.2 Hz),3.82(dd,1H,J = 12.4,6.0 Hz),3.34 (m,2H),3.11 (q,13H,J = 7.3 Hz),2.57 (m,1H),2.45-2.36 (m,3H),1.72 (m,2H),1.19 (t,20H,J = 7.3 Hz).
31P NMR (121 MHz,D
2O) δ -9.83 (1P),-11.29 (d,1P,J = 19.6 Hz),-22.85 (t,1P,J = 19.9 Hz). MS (ESI) for C
17H
26N
4O
16P
3(M-H)
- calcd. 635.06,found 634.68. UV (10 mM sodium phosphate buffer,pH 7.0)λmax = 373 nm (ε 9,900).
(11-6-5)Lys‐C3-dPnTP:
1H NMR (300 MHz,D
2O) δ 7.80 (d,1H,J = 2.1 Hz),7.26 (d,1H,J = 2.1 Hz),6.69 (t、 1H,J = 6.0 Hz),4.55 (m,1H),4.23-4.14 (m,3H),3.96 (t,1H,J = 6.8 Hz),3.44 (m,1H),3.25 (m,1H),3.12 (q,7H,J = 7.3 Hz),2.90 (t,2H,J = 7.4 Hz),2.57 (m,1H),2.45-2.36 (m,3H),1.83 (m,2H),1.73 (m,2H),1.61 (m,2H),1.40 (m,2H),1.19 (t,11H,J = 7.3 Hz).
31P NMR (121 MHz,D
2O) δ -9.92 (d,1P,J = 19.3 Hz),-11.34 (d,1P,J = 19.9 Hz),-22.79 (t,1P,J = 19.8 Hz). MS (ESI) for C
20H
33N
5O
15P
3(M-H)
-calcd. 676.12,found 675.67.
(12) Diol1-dPnTPの合成
(12-1)4-ペンチン-1,2-ジアセテイトの合成
4-ペンチン-1,2-ジオール (13.5 mmol) [reference J. Org. Chem. 2008,73,5965-5976.] をピリジンで共沸し、ピリジン(27 ml)に溶解後、無水酢酸(4.8 ml,50.8 mmol)を加え、室温で14時間反応させた。反応溶液を酢酸エチルと5%炭酸水素ナトリウム水溶液で分液し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、4-ペンチン-1,2-ジアセテイト(800 mg,4.34 mmol,32%)を得た。
【0333】
(12-2) 1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-(4-ペンテン-1,2-ジアセテイト)-1-プロピニル-2-ニトロピロールの合成
1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-ヨード-2-ニトロピロール(354 mg,1 mmol)、ヨウ化銅(31 mg,0.16 mmol)、Pd(PPh
3)
4 (58 mg,0.05 mmol)にDMF (5 ml)を加え、1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-ヨード-2-ニトロピロールの溶解後、トリエチルアミン(208 μl,1.5 mmol)、4-ペンチン-1,2-ジアセテイト(276 mg,1.5 mmol) を加え、室温で14時間反応させた。反応溶液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー及びHPLC精製し、1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-(4-ペンテン-1,2-ジアセテイト)-1-プロピニル-2-ニトロピロール(400 mg,0.97 mmol,97%)を得た。
【0334】
(12-3) 1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-(4-ペンテン-1,2-ジアセテイト)-1-プロピニル-2-ニトロピロール 5′-三リン酸の合成
1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-(4-ペンテン-1,2-ジオール)-1-プロピニル-2-ニトロピロール (41 mg,0.1 mmol) をピリジンで2回、トルエンで1回共沸し、プロトンスポンジ(33 mg,0.15 mmol) を加え、リン酸トリメチル(500 μl)に溶解後、溶液を0℃に冷却し、塩化ホスホリル (13 μl,0.13 mmol) を加え、0℃で1時間攪拌した。これにトリ-n-ブチルアミン (120 μl)、ビス-トリ-n-ブチルアンモニウムピロホスフェイト(1.0 ml,0.5 M DMF solution) を加え、0℃で30分間攪拌し、 さらに0.5 M TBAF(0.5ml)、水 (5.0 ml) を加え、0℃で30分間攪拌後、反応溶液を凍結乾燥した。H
2O(4.0 ml) に溶解し、28%アンモニア水(20 ml)を加え、室温で90分間攪拌した。これをDEAE sephadex A-25 イオン交換カラムクロマトグラフィー及び HPLCで精製し、1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-(4-ペンテン-1,2-ジアセテイト)-1-プロピニル-2-ニトロピロール 5′-三リン酸(24 μmol,24%) を得た。
【0335】
(12-4)化合物の物性値
(12-4-1)4-ペンチン-1,2-ジアセテイト
1H NMR (300 MHz,DMSO-d6) δ 5.05-4.98 (m,1H),4.24-4.07 (m,2H),2.91 (t,1H,J = 2.7 Hz),2.53 (dd,1H,J = 2.6,6.4 Hz),2.01 (s,6H).
(12-4-2)1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-(4-ペンテン-1,2-ジオール)-1-プロピニル-2-ニトロピロール
1H NMR (300 MHz,DMSO-d6) δ 7.92 (d,1H,J = 2.2 Hz),7.28 (d,1H,J = 2.2 Hz),6.54 (t,1H,J = 5.6 Hz),5.27 (d,1H,J = 4.5 Hz),5.11-5.04 (m,2H),4.29-4.12 (m,3H),3.86-3.82 (m,1H),3.69-3.52 (m,2H),2.74 (d,2H,J = 6.3 Hz),2.47-2.38 (m,1H),2.27-2.19 (m,1H),2.04,2.02 (s,s,3H,3H). HR-MS (FAB,NBA matrix) for C
18H
23N
2O
9(M+H)
+calcd. 411.1409,found 411.1403.
(12-4-3) 1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-(4-ペンテン-1,2-ジアセテイト)-1-プロピニル-2-ニトロピロール 5′-三リン酸
1H NMR (300 MHz,D
2O) δ 7.79 (d,1H,J = 2.1 Hz),7.39 (d,1H,J = 2.1 Hz),6.77 (t,1H,J = 6.0 Hz),4.66-4.61 (m,1H),4.27-4.22 (m,3H),3.98-3.91 (m,1H),3.74-3.60 (m,2H),3.20 (q,22H,J = 7.3 Hz),2.72-2.46 (m,4H),1.28 (t,32H,J = 7.3 Hz).
31P NMR (121 MHz,D
2O) δ -9.83 (d,1P,J = 19.8 Hz),-10.66 (d,1P,J = 20.0 Hz),-22.53 (t,1P,J = 20.1 Hz). MS(ESI) for C
14H
21N
2O
16P
3(M-H)
-calcd.566.24,found 565.04. UV (10 mM sodium phosphate buffer pH 7.0) λmax = 374 nm (ε 9,400).
(13) Diol9-dPnTPの合成
(13-1) Diol9リンカーの合成
リチウムアセチリドエチレンジアミン複合体(1.69 g、16.5 mmol)をDMSO (75 ml)に溶解後、0-10℃に冷却し、11-ブロモ-1-アンデセン(3.24 ml、15 mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。反応溶液を水とエーテルで分液し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した(crude 16.5 mmol)。 このcrude (8.40 mmol)にOsO
4(108 mg,0.42 mmol)、N-methylmorphorine-N-oxide(1.97 g,20 mmol)、acetone/H
2O/tBuOH (4:1:1,42 ml)を加え、室温で1時間攪拌した。反応溶液にNaHSO
3(295 mg)を加えた後、濾過し、沈殿をメタノールで洗浄し、濾液を濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した(crude)。 このcrude (8.40 mmol)をピリジンで共沸し、ピリジン(15 ml)に溶解後、無水酢酸(3 ml,32 mmol)を加え、室温で14時間反応させた。反応溶液を酢酸エチルと5%炭酸水素ナトリウム水溶液で分液し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、Diol9リンカー(877 mg,2.96 mmol,35%)を得た。
【0336】
(13-2) Diol9-dPnの合成
1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-ヨード-2-ニトロピロール(354 mg,1 mmol)、ヨウ化銅(31 mg,0.16 mmol)、Pd(PPh
3)
4 (58 mg,0.05 mmol)にDMF (5 ml)を加え、1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-ヨード-2-ニトロピロールの溶解後、トリエチルアミン(208 μl,1.5 mmol)、Diol9リンカー(445 mg,1.5 mmol) を加え、室温で14時間反応させた。反応溶液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー及びHPLC精製し、Diol9-dPn(450 mg,0.86 mmol,86%)を得た。
【0337】
(13-3) Diol9-dPnTPの合成
Diol9-dPn (45 mg,0.1 mmol) をピリジンで2回、トルエンで1回共沸し、プロトンスポンジ(33 mg,0.15 mmol) を加え、リン酸トリメチル(500 μl)に溶解後、溶液を0℃に冷却し、塩化ホスホリル (13 μl,0.13 mmol) を加え、0℃で1時間攪拌した。これにトリ-n-ブチルアミン (120 μl)、ビス-トリ-n-ブチルアンモニウムピロホスフェイト(1.0 ml,0.5 M DMF solution) を加え、0℃で30分間攪拌し、さらに0.5 M TBAF(0.5ml)、水 (5.0 ml) を加え、0℃で30分間攪拌後、反応溶液を凍結乾燥した。H
2O(4.0 ml) に溶解し、28%アンモニア水(20 ml)を加え、室温で90分間攪拌した。これをDEAE sephadex A-25 イオン交換カラムクロマトグラフィー及び HPLCで精製し、Diol9-dPnTP(26 μmol,26%)を得た。
【0338】
(13-4) 化合物の物性値
(13-4-1) Diol9リンカー
1H NMR (300 MHz,DMSO-d6) δ 4.98 - 4.90 (m,1H),4.15 (dd,1H,J = 3.2,8.7),3.99 (dd,1H,J = 6.5,5.4),2.71 (t,1H,J = 2.7),2.15 - 2.10 (m,8H),1.99,1.98 (s,s,3H,3H),1.51 - 1.23 (m,16H).
(13-4-2) Diol9-dPn
1H NMR (300 MHz,DMSO-d6) δ 7.88 (d,1H,J = 2.2 Hz),7.25 (d,1H,J = 2.2 Hz),6.54 (t,1H,J = 5.6 Hz),5.28 (d,1H,J = 4.4 Hz),5.09 (t,1H,J = 5.1 Hz),4.97 - 4.90 (m,1H),4.26 - 3.95 (m,3H),3.85 - 3.81 (m,1H),3.68 - 3.52 (m,2H),2.46 - 2.18 (m,4H),1.99,1.98 (s,s,3H,3H),1.51 - 1.24 (m,16H).
(13-4-3)Diol9-dPnTP
1H NMR (300 MHz,D
2O) δ 7.71 (d,1H,J = 2.1 Hz),7.35 (d,1H,J = 2.1 Hz),6.76 (t,1H,J = 6.1 Hz),4.65 - 4.60 (m,1H),4.26 - 4.20 (m,3H),3.70 - 3.41 (m,3H),3.20 (q,22H,J = 7.3 Hz ),2.68 - 2.37 (m,4H),1.60 - 1.25 (m,50H).
31P NMR (121 MHz,D
2O) δ -10.07 (d,1P,J = 19.7 Hz), -10.63 (d,1P,J = 20.0 Hz),-22.6 (t,1P,J = 20.0 Hz). MS (ESI-Tof)for C
22H
37N
2O
16P
3・N(C
2H
5)
3 (M)
+calcd. 779.26,found 780.26. UV(10 mM sodium phosphate buffer pH 7.0) λmax = 374 nm (ε 9,400).
(14) Bza3-dPnTPの合成
(14-1)Bza3リンカーの合成
4-ペンチン-1-オール(2.8 ml、30 mmol)、トリフェニルホスフィン (11.8 g,45 mmol)にジクロロメタン(40 ml)を加え、0℃に冷却後し、ジクロロメタン(20 ml)に溶解させた四臭化炭素(14.9 g,45 mmol)を加えた。溶液を室温に戻した後、ジクロロメタンと5%炭酸水素ナトリウム水溶液で分液し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した(crude 30 mmol)。 このcrude (2.2 g、15 mmol)をDMF (7.5 ml)に溶解させた4-ヒドロキシベンズアルデヒド (1.83 g,15 mmol)、炭酸カリウム (2.07 g,15 mmol)、ヨウ化カリウム (250 mg,1.5 mmol)に加え、70℃で一晩攪拌させた。反応溶液を酢酸エチル、水、数滴の塩酸で分液し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、Bza3リンカー(453 mg,2.41 mmol,16%)を得た。
【0339】
(14-2) Bza3-dPnの合成
1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-ヨード-2-ニトロピロール(354 mg,1 mmol)、ヨウ化銅(31 mg,0.16 mmol)、Pd(PPh
3)
4(58 mg,0.05 mmol)にDMF(5 ml)を加え、1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-ヨード-2-ニトロピロールの溶解後、トリエチルアミン(208 μl,1.5 mmol)、Bza3リンカー(282 mg,1.5 mmol) を加え、室温で14時間反応させた。反応溶液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー及びHPLC精製し、Bza3-dPn(236 mg,0.57 mmol,57%)を得た。
【0340】
(14-3) Bza3-dPnTPの合成
Bza3-dPn (41 mg,0.1 mmol) をピリジンで2回、トルエンで1回共沸し、プロトンスポンジ(33 mg,0.15 mmol) を加え、リン酸トリメチル(500 μl)に溶解後、溶液を0℃に冷却し、塩化ホスホリル (13 μl,0.13 mmol) を加え、0℃で1時間攪拌した。これにトリ-n-ブチルアミン (120 μl)、ビス-トリ-n-ブチルアンモニウムピロホスフェイト(1.0 ml,0.5 M DMF solution) を加え、0℃で30分間攪拌し、さらに0.5 M TBAF(0.5ml)、水 (5.0 ml) を加え、0℃で30分間攪拌後、反応溶液を凍結乾燥した。これをDEAE sephadex A-25 イオン交換カラムクロマトグラフィー及び HPLCで精製し、Bza3-dPnTP(30.5 μmol,30%) を得た。
【0341】
(14-4)化合物の物性値
(14-4-1) Bza3リンカー
1H NMR (300 MHz,DMSO-d6) δ 9.86 (s,1H),7.87 - 7.84 (m,2H),7.14 - 7.10 (m,2H),4.15 (t,2H,J = 6.2 Hz),2.82 (t,2H,J = 2.6 Hz),2.36 - 2.31 (m,2H),1.96 - 1.87 (m,2H)
(14-4-2) Bza3-dPn
1H NMR (300 MHz,DMSO-d6) δ 9.87 (s,1H),7.92 (d,1H,J = 2.1 Hz),7.90 - 7.84 (m,2H),7.28 (d,1H,J = 2.2 Hz),7.17 - 7.13 (m,2H),6.55 (t,1H,J = 5.6 Hz),5.29 (d,1H,J = 4.4 Hz),5.10 (t,1H,J = 5.1 Hz),4.27 - 4.18 (m,3H),3.87 - 3.83 (m,1H),3.69 - 3.53 (m,2H),2.57 (t,2H,J = 7.1 Hz),2.47 - 2.39 (m,1H),2.27 - 2.19 (m,1H),2.04 - 1.95 (m,2H).
(14-4-3) Bza3-dPnTP
1H NMR (300 MHz,D
2O) δ 9.77 (s,1H),7.95 - 7.90 (m,2H),7.69 (d,1H,J = 2.1 Hz),7.25 (d,1H,J = 2.1 Hz),7.21 - 7.16 (m,2H),6.74 (t,1H,J = 6.0 Hz),4.64 - 4.59 (m,1H),4.36 - 4.20 (m,5H),3.19 (q,19H,J = 7.3 Hz),2.67 - 2.42 (m,4H),2.14 - 2.05 (m,2H),1.28 (t,28H,J = 7.3 Hz).
31P NMR (121 MHz,D
2O) δ -9.98 (d,1P,J = 19.9 Hz),-10.65 (d,1P,J = 20.1 Hz),-22.55 (t,1P,J = 20.0 Hz). MS(ESI-Tof)for C
21H
25N
2O
16P
3・N(C
2H
5)
3 (M)
+calcd. 755.16,found 756.22. UV(10 mM sodium phosphate buffer pH 7.0) λmax = 288 nm (ε 21,300)、373 nm (ε 9,600).
(15)Bza6-dPnTPの合成
(15-1) Bza6リンカーの合成
7-オクチン-1-オール (2.60 g、20 mmol)、トリフェニルホスフィン (7.87 g,30 mmol)にジクロロメタン(30 ml)を加え、0℃に冷却後し、ジクロロメタン (10 ml)に溶解させた四臭化炭素(9.95 g,30 mmol)を加えた。溶液を室温に戻した後、ジクロロメタンと5%炭酸水素ナトリウム水溶液で分液し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した(crude 20 mmol)。 このcrude (20 mmol)をDMF (10 ml)に溶解させた4-ヒドロキシベンズアルデヒド (2.44 g,20 mmol)、炭酸カリウム (2.76 g,20 mmol)、ヨウ化カリウム (332 mg,2 mmol)に加え、70℃で一晩攪拌させた。反応溶液を酢酸エチル、水、数滴の塩酸で分液し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、Bza6リンカー(729 mg,3.17 mmol,16%)を得た。
【0342】
(15-2) Bza6-dPnの合成
1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-ヨード-2-ニトロピロール(354 mg,1 mmol)、ヨウ化銅(31 mg,0.16 mmol)、Pd(PPh
3)
4 (58 mg,0.05 mmol)にDMF (5 ml)を加え、1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-4-ヨード-2-ニトロピロールの溶解後、トリエチルアミン(208 μl,1.5 mmol)、Bza6リンカー(276 mg,1.2 mmol) を加え、室温で14時間反応させた。反応溶液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー及びHPLC精製し、Bza6-dPn(138 mg,0.30 mmol,30%)を得た。
【0343】
(15-3) Bza6-dPnTPの合成
Bza6-dPn (46 mg,0.1 mmol) をピリジンで2回、トルエンで1回共沸し、プロトンスポンジ(33 mg,0.15 mmol) を加え、リン酸トリメチル(500 μl)に溶解後、溶液を0℃に冷却し、塩化ホスホリル (13 μl,0.13 mmol) を加え、0℃で1時間攪拌した。これにトリ-n-ブチルアミン (120 μl)、ビス-トリ-n-ブチルアンモニウムピロホスフェイト(1.0 ml,0.5 M DMF solution) を加え、0℃で30分間攪拌し、さらに0.5 M TBAF(0.5ml)、水 (5.0 ml) を加え、0℃で30分間攪拌後、反応溶液を凍結乾燥した。これをDEAE sephadex A-25 イオン交換カラムクロマトグラフィー及び HPLCで精製し、Bza6-dPnTP(27 μmol,27%) を得た。
【0344】
(15-4)化合物の物性値
(15-4-1) Bza6リンカー
1H NMR (300 MHz,DMSO-d6) δ 9.85 (s,1H),7.86 - 7.83 (m,2H),7.12 - 7.09 (m,2H),4.07 (t,2H,J = 6.4 Hz),2.73 (t,2H,J = 2.6 Hz),2.17 - 2.12 (m,2H),1.48 - 1.42 (m,8H)
(15-4-2) Bza6-dPn
1H NMR (300 MHz,DMSO-d6) δ 9.84 (s,1H),7.89 (d,1H,J = 2.1 Hz),7.86 - 7.81 (m,2H),7.24 (d,1H,J = 2.2 Hz),7.12 - 7.08 (m,2H),6.53 (t,1H,J = 5.6 Hz),5.28 (d,1H,J = 3.8 Hz),5.10 (t,1H,J = 5.3 Hz),4.22 (m,1H),4.08 (t,2H,J = 6.4 Hz),3.85 - 3.81 (m,1H),3.66 - 3.53 (m,2H),2.46 - 2.17 (m,4H),1.77 - 1.73 (m,2H),1.55 - 1.44 (m,6H).
(15-4-3) Bza6-dPnTP
1H NMR (300 MHz,D
2O) δ 9.71 (s,1H),7.85-7.82 (m,2H),7.63 (d,1H,J = 2.1 Hz),7.14 (d,1H,J = 2.1 Hz),7.11 - 7.07 (m,2H),6.65 (t,1H,J = 6.0 Hz),4.60 - 4.58 (m,1H),4.25 - 4.17 (m,5H),3.20 (q,18H,J = 7.3 Hz),2.63 - 2.57 (m,1H),2.44 - 2.38 (m,3H),1.88 - 1.84 (m,2H),1.63 - 1.54 (m,6H),1.28 (t,27H,J = 7.3 Hz).
31P NMR (121 MHz,D
2O) δ -10.25 (d,1P,J = 19.4 Hz),-10.68 (d,1P,J = 19.8 Hz),-22.62 (t,1P,J = 19.8 Hz). MS (ESI-Tof)for C
24H
31N
2O
16P
3・N(C
2H
5)
3 (M)
+calcd. 797.21,found 798.24. UV(10 mM sodium phosphate buffer pH 7.0) λmax = 289 nm (ε 20,500)、374 nm (ε 8,900).
(16) トリペプチド結合-dPnTPの合成
(16-1) トリペプチド合成
Fmoc固相合成を容量5mLのフィルター入りカラムチューブ(PP製)で行った。2-chlorotrithylchloride resin (1.58 mmol/mg,250 mg,0.4 mmol)をチューブに量りとり、塩化メチレン(DCM)を2 mL加え、シェイカーで20分振り、膨潤させた(×2回)。1残基目のアミノ酸のカップリングは、樹脂に対し、Fmoc-アミノ酸 (1.5 equiv.)、DIPEA (2.5 equiv.) をDCM 1.5 mLに溶解させ、樹脂の入ったカラムチューブに加え、室温で2時間攪拌し、カップリングを行った。反応後、MeOHを1mL加えて15分攪拌した後、反応液を取り除き、樹脂をDCM (2 mL)×4回、DMF (2 mL) ×4回、DCM (2 mL) ×2回、DMF :MeOH=1:1(v/v) ×2回、DCM:MeOH=1:1(v/v) ×2回、MeOH×2回で洗浄した。真空ラインで十分乾燥後、質量を量り、反応前後のresinの質量から1残基目の導入量を調べた。2残基以降のカップリングの当量はこの値を基準にして反応させた。上記の条件で再び樹脂を膨潤後、20%ピペリジン/DMF液を1.5mL加え、20分攪拌することでFmoc基の除去を行った。DMFでピペリジンの匂いがなくなるまで(2mL×8〜10回程度)樹脂を十分洗浄した(これら脱Fmoc操作を2度繰り返した)。Fmoc-アミノ酸 (2.5 equiv.)、HOBt (2.5 equiv.)、N,N′-Diisopropyl-carbodiimide (2.5 equiv.)を1.5 mLのDMFに溶解させ、カラムに加えて室温で1時間攪拌し反応させた。反応液を取り除いた後、樹脂をDMF (2 mL)×5、DCM (2 mL) ×5、DMF (2 mL) ×5回で洗浄した。これらの反応を繰り返し、tripeptideまで伸長後、樹脂からの切り出しは、20% Hexafluoroisopropanol/DCM(若しくは、1% TFA/DCM*)を2mL加え、室温で10分攪拌し、濾過を行ってペプチドを含む濾液を回収した(3回繰り返した)。濾液をエバポレーションで濃縮・乾燥し、トリペプチドを得た。
【0345】
(16-2)Fmoc-Leu-Leu-Leu N-succinimidyl esterの合成
Fmoc-Leu-Leu-Leu (292.5 mg,0.5 mmol)を5 mLのDMFに溶解し、N-hydroxysuccinimide (89.3 mg,0.75 mmol) と1-ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl) carbodiimide hydrochloride (143.7 mg,0.75 mmol)を加え、室温で1時間反応させた。反応液を冷水中に滴下することで、白い沈澱が生じ、これを吸引濾過した。結晶を水で洗浄後、真空ラインで乾燥させ、白色粉末の目的物を得た(255.8 mg,76%)。
(16-3)Fmoc-Pro-Phe-Trp N-succinimidyl esterの合成
Fmoc-Pro-Phe-Trp (202 mg,0.3 mmol)を3 mLのDMFに溶解し、N-hydroxysuccinimide (53 mg,0.45 mmol) と1-ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl) carbodiimide hydrochloride (86 mg,0.45 mmol)を加え、室温で1時間反応させた。反応液を冷水中に滴下することで、白い沈澱が生じ、これを吸引濾過した。結晶を水で洗浄後、真空ラインで乾燥させ、白色粉末の目的物を得た (163 mg,95 %)。
【0346】
(16-4)Leu-Leu-Leu-hx-dPnTPの合成
NH
2-hx-dPnTP (196 μmol)を4 mLのDMFで溶解させた。4 mLのDMFに溶解させたFmoc-Leu-Leu-Leu N-succinimidyl esterを反応液に加え、室温で反応させた。22時間後、ピペリジンを500 μl反応液に加えて10分間攪拌し、Fmoc基の除去を行った。反応液を酢酸エチルと水で抽出を行い、水相を酢酸エチルで2回洗浄後、凍結乾燥した。粗結晶を50 mM TEABに溶解させ、50 mM TEABで膨潤させたDEAE樹脂にチャージし、DEAE精製(樹脂:DEAE Sephadex A-25 column、gradient: 50 mM ― 1 M TEABのisogradient )を行った。目的物を含むフラクションを凍結乾燥し、HPLC精製を行い(0-10分:10-100% linear gradient of CH
3CN in 100 mM TEAA,pH 7.0)、目的物を得た(34.7 umol,18%)。
【0347】
(16-5)Pro-Phe-Trp-hx-dPnTPの合成
NH
2-hx-dPnTP (30 μmol)を800 μLのDMFで溶解させた。800 μLのDMFに溶解させたFmoc-Pro-Phe-Trp N-succinimidyl ester (56.3 mg,73 μmol)を反応液に加え、室温で反応させた。20時間後、ピペリジンを100 μl反応液に加えて10分間攪拌し、Fmoc基の除去を行った。反応液を酢酸エチルと水で抽出を行い、水相を酢酸エチルで2回洗浄後、水相を凍結乾燥した。粗結晶を50 mM TEABに溶解させ、50 mM TEABで膨潤させたDEAE樹脂にチャージし、DEAE精製(樹脂:DEAE Sephadex A-25 column、gradient: 50 mM ― 1 M TEABのisogradient )を行った。目的物を含むフラクションを凍結乾燥し、HPLC精製を行い(0-10分:10-100% linear gradient of CH
3CN in 100 mM TEAA,pH 7.0)、目的物を得た(8.5 μmol,28%)。
【0348】
(16-6)化合物の物性値
(16-6-1)Fmoc-Leu-Leu-Leu N-succinimidyl ester:
1H NMR (300 MHz,DMSO-d6 ) δ 8.56 (d,1H,J = 7.6 Hz),7.94 (d,1H,J = 8.1 Hz),7.88 (d,2H,J = 7.4 Hz),7.70 (d,2H,J = 7.1 Hz),7.48-7.28 (m,5H),4.61 (m,1H),4.38-4.17 (m,4H),4.04 (m,1H),2.79 (s,4H),1.76-1.37 (m,9H),0.92-0.79 (m,18H)
13C NMR (75 MHz,DMSO-d6) δ172.71,172.33,172.05,169.88,168.43,155.79,143.88,143.69,140.67,127.01,125.25,120.06,65.49,52.94,50.46,48.31,46.66,25.42,25.19,24.11,23.99,23.03,22.87,22.59,21.43,20.97.
(16-6-2)Fmoc-Pro-Phe-Trp N-succinimidyl ester:
1H NMR (300 MHz,DMSO-d6) δ 10.94 (s,1H),8.23 (d,1H,J = 8.7 Hz),8.04-7.85 (m,5H),7.64-7.43 (m,4H),7.40-6.79 (m,24H),4.67(m,1H),4.52 (m,1H),4.33-4.05 (m,5H),3.84 (m,2H),3.31-3.14 (m,2H,superimposed by H
2O signal),2.26-2.08 (m,1H),3.00(m,2H),2.88-2.72 (m,9H),2.17 (m,1H),1.92 (m,1H),1.67 (m,5H).
(16-6-3)Leu-Leu-Leu-hx-dPnTP:
1H NMR (300 MHz,D
2O) δ 7.81 (d,1H,J = 2.1 Hz),7.39 (d,1H,J = 2.1 Hz),6.75 (t,1H,J = 6.0 Hz),4.61 (m,1H),4.42 (t,1H,J = 7.5 Hz),4.26 (m,4H),4.14 (s,2H),4.01 (t,1H,J = 7.4 Hz),3.20 (q,17H,J = 7.3 Hz),2.69-2.60 (m,1H),2.51-2.43 (m,1H),2.28 (t,1H,J = 7.3 Hz),1.74-1.46 (m,13H),1.28 (t,24H,J = 7.3 Hz ),1.06-0.85 (m,18H).
13C NMR (75 MHz,DMSO-d6) δ176.66,173.83,173.31,170.28,136.03,129.83,118.60,104.72,88.14,85.73,85.59,75.16,69.71,64.95,52.53,52.36,51.71,46.64,40.48,39.99,39.76,39.70,38.98,35.45,29.47,27.89,25.30,24.79,24.30,24.27,23.88,22.05,21.82,21.56,21.50,21.35,20.89,8.21.
31P NMR (121 MHz,D
2O) δ -9.14 (d,1P,J = 20.0 Hz),-10.72 (d,1P,J = 20.0 Hz),-22.35 (t,1P,J = 20.1 Hz). MS (ESI) for C
36H
62N
7O
18P
3 (M‐H)
- calcd. 972.34,found 972.12. UV (10 mM sodium phosphate buffer,pH 7.0) λmax = 365 nm (ε 10700.
(16-6-4)Pro-Phe-Trp-hx-dPnTP:
1H NMR (300 MHz,D
2O) δ 7.67 (s,1H),7.46-7.40 (m,2H),7.33-7.06 (m,9H),6.55 (t,1H,J = 5.9 Hz),4.54-4.22 (m,3H),4.37-4.31 (m,1H),4.21-4.07 (m,5H),3.38-3.25 (m,3H),3.20 (q,19H,J = 7.3 Hz),3.02-2.80 (m,6H),2.57-2.48 (m,1H),2.28-2.15 (m,4H),1.99-1.93 (m,1H),1.91-1.75 (m,1H),1.58-1.46 (m,3H),1.28 (t,29H,J = 7.3 Hz),1.22-1.19 (m,2H),1.09-1.00 (m,3H).
31P NMR (121 MHz,D
2O) δ -9.21 (d,1P,J = 19.6 Hz),-10.68 (d,1P,J = 19.6 Hz),-22.27 (t,1P,J = 20.0 Hz). MS (ESI) for C
43H
55N
8O
18P
3 (M-H)
- calcd. 1064.28,found 1063.82. UV (10 mM sodium phosphate buffer,pH 7.0) λmax = 281 nm (ε 8,600),287 nm (ε 8,200),366 nm (ε = 10,500).
(17)スクシンイミドエステルの合成
【化7】
【0349】
Conditions. (a)(b)(c) N-hydroxysuccinimide, 1-(3-dimethylaminopropyl)-3-ethylcarbodiimide hydrochloride, CH
2Cl
2, rt. (d) N-hydroxysuccinimide, 1-(3-dimethylaminopropyl)-3-ethylcarbodiimide hydrochloride, THF, DMF, rt.
(17-1)ジフェニル酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステルの合成
ジフェニル酢酸(216 mg, 1.02 mmol)、N-ヒドロキシスクシンイミド(177 mg, 1.53 mmol)、及び1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(290 mg, 1.51 mmol)を脱水塩化メチレン(5 ml)に溶かし、室温で7時間攪拌した。反応液を塩化メチレン(20 ml) で希釈したのち、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10 ml)、次いで飽和食塩水(10 ml)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。中圧分取液体クロマトグラフィー(山善AI-580装置、及びハイフラッシュカラム(シリカゲル)を用い、塩化メチレン−メタノールの勾配で溶出)により精製し、白色固体として目的物(156 mg, 0.50 mmol, 49%)を得た。
【0350】
<<既知化合物>> Ref. J. Med. Chem. 2000, 51, 8168.
(17−2)ジフェニル酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステルの物性値
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 7.38-7.29 (m, 10H), 5.35 (s, 1H), 2.82 (s, 4H).
(18)1-ナフトエ酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステルの合成
(18−1)1-ナフトエ酸(176 mg, 1.02 mmol)、N-ヒドロキシスクシンイミド(174 mg, 1.51 mmol)、及び1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(288 mg, 1.50 mmol)を脱水塩化メチレン(5 ml)に溶かし、室温で18時間攪拌した。反応液を塩化メチレン(10 ml) で希釈したのち、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10 ml)、次いで飽和食塩水(10 ml)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。中圧分取液体クロマトグラフィー(山善AI-580装置、及びハイフラッシュカラム(シリカゲル)を用い、塩化メチレン−メタノールの勾配で溶出)で精製し、白色固体として目的物(131 mg, 0.48 mmol, 48%)を得た。
【0351】
<<既知化合物>> Ref. Tetrahedron Letters 2003, 44(12) 2477-2480. (合成法は異なる)
(18−2)1-ナフトエ酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステルの物性値
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6) δ 8.62 (dd, 1H, J = 7.7, 1.0 Hz), 8.40-8.35 (m, 4H), 8.13 (dd, 1H, J = 7.9, 0.7 Hz), 7.79-7.66 (m, 3H), 2.94 (s, 4H).
(19)4-ビフェニルカルボン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステルの合成
(19−1)4-ビフェニルカルボン酸(200 mg, 1.00 mmol)、N-ヒドロキシスクシンイミド(178 mg, 1.55 mmol)、及び1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(287 mg, 1.50 mmol)を脱水塩化メチレン(5 ml)に溶かし、室温で21時間攪拌した。反応液を塩化メチレン(20 ml) で希釈したのち、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10 ml)、次いで飽和食塩水(10 ml)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。中圧分取液体クロマトグラフィー(山善AI-580装置、及びハイフラッシュカラム(シリカゲル)を用い、塩化メチレン−メタノールの勾配で溶出)で精製し、DMF(2.5 ml)に溶解した。これを、水(50 ml)に入れて再沈殿することにより、白色固体として目的物(139 mg, 0.47 mmol, 47%)を得た。
【0352】
<<既知化合物>> Ref. Russ. J. Bioorg. Chem. 2009, 35, 342. (合成項は異なる)
(19-2)4-ビフェニルカルボン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステルの物性値
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6) δ 8.18 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.97 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.82-7.78 (m, 2H), 7.57-7.44 (m, 3H), 2.91 (s, 4H).
(20)4'-ヒドロキシ-4-ビフェニルカルボン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステルの合成
(20-1)4'-ヒドロキシ-4-ビフェニルカルボン酸(214 mg, 1.00 mmol)、N-ヒドロキシスクシンイミド(174 mg, 1.50 mmol)、及び1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(288 mg, 1.50 mmol)を脱水THF (10 ml)及び脱水DMF(4 ml)に溶かし、室温で5時間攪拌した。反応液を水(50 ml)にあけ、生じた沈殿をろ取し、ヘキサンで洗った後、真空乾燥し、目的物(207 mg, 0.67 mmol, 67%)を白色固体として得た。
【0353】
<<既知化合物>> Ref. J. Med. Chem. 2008, 51, 6665-6681. (合成項の記述・引用なし)
(20-2)4'-ヒドロキシ-4-ビフェニルカルボン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステルの物性値
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6) δ 9.84 (s, 1H), 8.11 (dd, 2H, J = 6.8, 1.8 Hz), 7.88 (dd, 2H, J = 6.8, 1.8 Hz), 7.68-7.64 (m, 2H), 6.93-6.88 (m, 2H), 2.90 (s, 4H).
(21)9-アントラセンカルボン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステルの合成
(21-1)9-アントラセンカルボン酸(220 mg, 0.99 mmol)、炭酸ジ(N-スクシンイミジル)(357 mg, 1.39 mmol)、及びトリエチルアミン (220 μl, 1.60 mmol)を脱水塩化メチレン (10 ml)に溶かし、室温で24時間攪拌した。反応液を塩化メチレン(10 ml) で希釈したのち、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20 ml)、次いで飽和食塩水(20 ml)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。中圧分取液体クロマトグラフィー(山善AI-580装置、及びハイフラッシュカラム(シリカゲル)を用い、塩化メチレン−メタノールの勾配で溶出)で精製し、白色固体として目的物(66 mg, 0.20 mmol, 20%)を得た。
【0354】
(21-2)9-アントラセンカルボン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステルの物性値
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6, 40 ℃) δ 8.97 (s, 1H), 8.32-8.24 (m, 4H), 7.78-7.63 (m, 4H), 3.02 (s, 4H).
(22)修飾dPnTP (R-hx-dPnTP)の合成
【化8】
【0355】
Condition: N-hydoroxysuccinimide ester, triethylamine, 70% DMF-H
2O, rt.
【化9】
【0356】
(22-1)ジフェニルメタン修飾dPnTP (DPM-hx-dPnTP)の合成
3-(β-D-リボフラノシル)-4-[3-(6-アミノヘキサンアミド)-1-プロピニル]-2-ニトロピロール 5'-三リン酸(30 μmol)の40% DMF水溶液(3.0 ml)に、ジフェニル酢酸スクシンイミドエステル(120 μmol)のDMF溶液(3.0 ml)及びトリエチルアミン(6.2 μl)を加えて、室温で24時間静置した。反応溶液に水(18 ml)を加え、生じた白色沈殿をSteriflip (Millipore)によりろ過して、取り除いた。ろ液を凍結乾燥したのち、100 mMトリエチルアミン−酢酸緩衝溶液 (2.0 ml)に溶解し、Ultrafree (0.22 μm, Millipore)によりろ過した。ろ液をC18カラム(ナカライ、COSMOSIL 140C19-OPN、100 mMトリエチルアミン−酢酸緩衝溶液中、0 - 30%アセトニトリルの直線勾配で溶出)及び、C8 HPLC(資生堂CAPCELL PAK C8、100 mMトリエチルアミン−酢酸緩衝溶液中、25 - 50%アセトニトリルの直線勾配を13分かけて溶出)により精製し、DPM-hx-dPnTP(収量 15.4 μmol、収率 51%)を得た。
【0357】
(22-2)ナフタレン修飾dPnTP(NAP-hx-dPnTP)の合成
3-(β-D-リボフラノシル)-4-[3-(6-アミノヘキサンアミド)-1-プロピニル]-2-ニトロピロール5'-三リン酸(30 μmol)の40% DMF水溶液(3.0 ml)に、1-ナフトエ酸スクシンイミドエステル(120 μmol)のDMF溶液(3.0 ml)及びトリエチルアミン(6.2 μl)を加えて、室温で66時間静置した。反応溶液に水(18 ml)を加え、生じた白色沈殿をSteriflip (Millipore)によりろ過して、取り除いた。ろ液を凍結乾燥したのち、100 mMトリエチルアミン−酢酸緩衝溶液 (3.0 ml)に溶解し、Ultrafree (0.22 μm, Millipore)によりろ過した。ろ液をC18カラム(ナカライ、COSMOSIL 140C19-OPN、100 mMトリエチルアミン−酢酸緩衝溶液中、0 - 30%アセトニトリルの直線勾配で溶出)及び、C18 HPLC(資生堂CAPCELL PAK C18、100 mMトリエチルアミン−酢酸緩衝溶液中、15 - 50%アセトニトリルの直線勾配を13分かけて溶出)により精製し、NAP-hx-dPnTP(収量 16.4 μmol、収率 55%)を得た。
【0358】
(22-3)ビフェニル修飾dPnTP(BPH-hx-dPnTP)の合成
3-(β-D-リボフラノシル)-4-[3-(6-アミノヘキサンアミド)-1-プロピニル]-2-ニトロピロール 5'-三リン酸(30 μmol)の40% DMF水溶液(3.0 ml)に、4-ビフェニルカルボン酸スクシンイミドエステル(120 μmol)のDMF溶液(3.0 ml)及びトリエチルアミン(6.2 μl)を加えて、室温で51時間静置した。反応溶液に水(18 ml)を加え、生じた白色沈殿をSteriflip (Millipore)によりろ過して、取り除いた。ろ液を凍結乾燥したのち、100 mMトリエチルアミン−酢酸緩衝溶液(2.0 ml)に溶解し、Ultrafree (0.22 μm, Millipore)によりろ過した。ろ液をC18カラム(ナカライ、COSMOSIL 140C19-OPN、100 mMトリエチルアミン−酢酸緩衝溶液中、0 - 30%アセトニトリルの直線勾配で溶出)及び、C1 HPLC(資生堂CAPCELL PAK C1、100 mMトリエチルアミン−酢酸緩衝溶液中、20 - 50%アセトニトリルの直線勾配を13分かけて溶出)により精製し、BPH-hx-dPnTP(収量 10.0 μmol、収率 33%)を得た。
【0359】
(22-4)4-ヒドロキシビフェニル修飾dPnTP(HBP-hx-dPnTP)の合成
3-(β-D-リボフラノシル)-4-[3-(6-アミノヘキサンアミド)-1-プロピニル]-2-ニトロピロール 5'-三リン酸(30 μmol)の40% DMF水溶液(3.0 ml)に、4'-ヒドロキシ-4-ビフェニルカルボン酸スクシンイミドエステル(120 μmol)のDMF溶液(3.0 ml)及びトリエチルアミン(6.2 μl)を加えて、室温で45時間静置した。反応溶液に水(18 ml)を加え、生じた白色沈殿をSteriflip (Millipore)によりろ過して、取り除いた。ろ液を凍結乾燥したのち、100 mMトリエチルアミン−酢酸緩衝溶液 (2.0 ml)に溶解し、Ultrafree (0.22 μm, Millipore)によりろ過した。ろ液をC18カラム(ナカライ、COSMOSIL 140C19-OPN、100 mMトリエチルアミン−酢酸緩衝溶液中、0 - 30%アセトニトリルの直線勾配で溶出)及び、C8 HPLC(資生堂CAPCELL PAK C8、100 mMトトリエチルアミン−酢酸緩衝溶液中、15 - 50%アセトニトリルの直線勾配を13分かけて溶出)により精製し、HBP-hx-dPnTP(収量 13.9 μmol、収率 46%)を得た。
【0360】
(22-5)修飾dPnTP (R-hx-dPnTP)の物性値
(22-5-1)DPM-hx-dPnTPの物性値
1H NMR (300 MHz, D
2O) δ 7.72 (d, 1H, J = 2.1 Hz), 7.43-7.33 (m, 6H), 7.26-7.21 (m, 5H), 6.64 (t, 1H, J = 5.9 Hz), 5.01 (s, 1H), 4.53 (m, 1H), 4.20 (m, 3H), 4.14 (m, 2H), 2.23-3.16 (m, 1H and (CH
3CH
2)
3N), 2.54 (m, 1H), 2.36 (m, 1H), 2.26 (t, 1H, J = 7.0 Hz), 1.63-1.58 (m, 2H), 1.53-1.49 (m, 2H), 1.30-1.35 (m, 1H and (CH
3CH
2)
3N).
31P NMR (121 MHz, D
2O), δ -9.47 (d, 1P, J = 15.5 Hz), -10.70 (d, 1P, J = 19.8 Hz), -22.47 (t, 1P, J = 20.0 Hz).
ESI-MS for [M-H]- (C
32H
38N
4O
16P
3): calcd. 827.16, found: 827.02.
l
max = 369 nm, e
260 = 2.40 × 10
3, e
369 = 1.07 × 10
4.
(22-5-2)NAP-hx-dPnTPの物性値
1H NMR (300 MHz, D
2O) δ 8.02-7.93 (m, 3H), 7.65-7.48 (m, 5H), 6.98 (d, 1H, J = 2.1 Hz), 6.50 (t, 1H, J = 5.9 Hz), 4.53 (m, 1H), 4.18 (m, 3H), 4.10 (s, 2H), 3.49 (t, 1H, J = 6.4 Hz), 2.58-2.49 (m, 1H), 2.37-2.26 (m, 3H), 1.79-1.67 (m, 4H), 1.54-1.46 (m, 2H).
31P NMR (121 MHz, D
2O), δ 9.91 (d, 1P, J = 19.4 Hz), -10.77 (d, 1P, J = 20.0 Hz), -22.56 (t, 1P, J = 20.0 Hz).
l
max = 369 nm, e
260 = 4.90 × 10
3, e
369 = 9.35 × 10
3.
(22-5-3)BPH-hx-dPnTPの物性値
1H NMR (300 MHz, D
2O) δ 7.76-7.68 (m, 7H), 7.61 (d, 1H, J = 2.1 Hz), 7.55-7.7.45 (m, 3H), 7.04 (d, 1H, J = 2.1 Hz), 6.38 (t, 1H, J = 5.9 Hz), 4.45 (m, 1H), 4.16-4.10 (m, 5H), 3.39 (t, 2H, J = 6.6 Hz), 2.42 (m, 1H), 2.32 (t, 1H, J = 6.5 Hz), 2.19 (m, 1H), 1.74-1.62 (m, 4H), 1.45 (m, 1H).
31P NMR (121 MHz, D
2O), δ -10.33 (d, 1P, J = 19.7 Hz), -10.84 (d, 1P, J = 19.7 Hz), -22.75 (t, 1P, J = 19.8 Hz).
l
max = 368 nm, e
260 = 2.46 × 10
4, e
368 = 1.04 × 10
4.
(22-5-4)HBP-hx-dPnTPの物性値
1H NMR (300 MHz, D
2O) δ 7.71 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.62-7.56 (m, 5H), 6.99 (d, 2H, J = 7.5 Hz), 6.97 (s, 1H), 6.36 (t, 1H, J = 5.9 Hz), 4.44 (m, 1H), 4.15-4.09 (m, 5H), 3.39 (t, 2H, J = 6.5 Hz), 2.46-2.38 (m, 1H), 2.32 (t, 2H, J = 6.3 Hz), 2.18-2.12 (m, 1H), 1.73-1.61 (m, 4H), 1.29-1.24 (m, 2H).
31P NMR (121 MHz, D
2O), δ -9.86 (d, 1P, J = 19.6 Hz), -10.75 (d, 1P, J = 19.8 Hz), -22.55 (t, 1P, J = 19.9 Hz).
l
max = 368 nm, e
260 = 1.41 × 10
4, e
368 = 1.02 × 10
4.
<実施例8:VEGF-165に結合するDNAアプタマーの作製(2)>
実施例1に記載の方法を基礎として、さらに改良を加えた方法を用いてVEGF-165に対してより強固に結合するDNAアプタマーを作製した。
【0361】
(1)人工塩基Dsを中央領域の特定部位に含む一本鎖DNAライブラリーの調製
実施例1で調製した一本鎖DNAライブラリーを用いた。
【0362】
(2)VEGF-165へ結合するDsを含む一本鎖DNAアプタマーの製造
基本的な方法は、実施例1に記載の方法に準じる。以下、ここでは実施例1と異なる部分を中心に説明し、重複する部分については原則としてその記載を省略する。
【0363】
A.セレクション1ラウンドの操作
(i)標的タンパク質とDNAライブラリーとの結合
DNAの分子内での高次構造を形成させるために、フォールディング処理(95 ℃、3分間→室温、10分間→氷上、5分間→室温)を行った。その後、Nonidet P-40を含むPBS溶液と混合してNonidetP-40の最終濃度が0.005 %になるように調製し、その核酸溶液をストレプトアビジン磁気ビーズと混合して、25 ℃で30分間転倒混和した。遠心操作と磁気スタンドにより得た上清液をVEGF-165と混合し、DNA-タンパク質複合体を形成させた。
【0364】
(ii)標的タンパク質に結合したDNA配列の選別
上述の混合溶液中に、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)化されたBiotin化試薬を添加してタンパク質のビオチン化を行った後、未反応のビオチン化試薬を限外濾過によって取り除き、その溶液をストレプトアビジン磁気ビーズと室温で混合して、DNA-タンパク質複合体を磁気ビーズに固定化した。その後、磁気ビーズを1.0 mlの0.005 % Nonidet P-40を含むPBS溶液 (緩衝液A)に懸濁し、25℃で5分間インキュベーションする操作を5回繰り返した。
【0365】
なお、最終の7ラウンド目では、3 M尿素を含む緩衝液A (1.0 ml、25 ℃、5 分間)で転倒混和する操作を3回行い、その後緩衝液A (1.0 ml、25 ℃、5 分間)で転倒混和する操作を2回行うことで、さらに洗浄条件を厳しくした。洗浄後の磁気ビーズに200μlの溶出液(50 mM NaOH)を加えて、25 ℃で5分間インキュベーションした後、その溶液を回収し、イオン交換樹脂により溶液を中和した。回収された溶液中のDNAをPCRによる次のセレクションラウンドのライブラリー調製時の鋳型とした。
【0366】
(iii)一本鎖DNAライブラリーの調製(増幅)
次のラウンドに用いる一本鎖DNAのライブラリーは、各セレクションラウンド後のDNAを鋳型として調製した。具体的には、Bartelらによる(Nucleic Acids Res. 1995, 23: 4220-1)の手法に基づきPCR増幅を行い、7M 尿素を含む10% ポリアルアミド変性ゲルにより、増幅されたDsを含む一本鎖DNAライブラリーを分離し、ゲルから溶出・回収し、次のラウンドのライブラリーとして用いた。なお、一本鎖DNAライブラリの調製用のプライマーには、下記プライマーセットを用いた。
【0367】
5′-プライマー:5′-TTCTGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC-3′ (配列番号151)
3′-プライマー:5′-TTTTTTTTTTTTTTT-(CH
2)
12-AAGTAGTCACTAATCCGTTCGAGTCATGC-3′ (配列番号152)
PCRは Invitrogen社のAccuPrime Pfx DNAポリメラーゼを用いて400〜600 μl容量で行った。反応組成は、1×AccuPrime Pfx reaction mix (各種 dNTP 0.3 mM、MgSO
4 1mM含有)にさらに0.1 mM dNTPs(N=A,G,C,T、最終濃度0.4 mM each dNTP)及び0.5 mM MgSO
4(最終濃度1.5 mM)を加えて、1 μM 5′-プライマー、1 μM 3′-プライマー、50 μM dDsTP、50 μM Diol1-dPxTP、0.05 U/μl AccuPrime Pfx DNAポリメラーゼを用い、PCRのサイクル条件は、(94℃ 30秒-65℃ 2分30秒)×12-26サイクルである。
【0368】
B.反復工程における選択ラウンドの条件
セレクションラウンドは7回行った。各セレクションラウンドの条件を表7に示した。
【表7】
【0369】
タンパク質-DNA複合体形成条件を厳しくするために、徐々にタンパク質とDNAの濃度を低くするとともに、5〜7ラウンド目には、タンパク質-DNAライブラリーを混合する時に、競合するDNA分子として、これまでに標的タンパク質へ結合するDNAアプタマーとして報告のあるDNA断片を、競合阻害分子(Competitor)として過剰量加えた。用いたDNA断片の塩基配列は、下記の通りでありる。
【0370】
ContVG (28-mer):5′-GCCCGTCTTCCAGACAAGAGTGCAGGGC-3′(配列番号153)
(3)セレクションにより得られたDNAアプタマー配列の同定
DNAアプタマー配列の同定は、下記の方法を用いて行った。まず、In vitroセレクション 7ラウンド終了後に、回収した一本鎖DNAの一部を鋳型として、人工塩基基質を加えずに人工塩基部位を天然型塩基に置き換えるPCRを行った。得られた二本鎖DNAライブラリーを用いて、第三世代のシーケンサー(Life Technologies社、Ion Torrent The Personal Genome Machine
TM (PGM
TM))により、大腸菌による従来のクローニングの操作を行うことなく、塩基配列を決定した。Dsの場合、そのほとんどがA又はTに置換される性質を利用して、Dsの位置を特定して目的とする配列群を抽出し、得られたDNAアプタマーの塩基配列を決定した。具体的には、1 μMの、5′-プライマー(5′-TTCTGTCAATCGATCGTATCAGTCCAC-3′;配列番号上記151)及び3′-プライマー(5′-AAGTAGTCACTAATCCGTTCGAGTCATGC-3′;配列番号154)を用いて、Clontech社の1×Titanium Taq PCR buffer中、0.3 mM dNTPs (N=A,G,C,T)、50 μM dPa′TP、1×Titanium Taqの反応組成で、PCR(100μl容量)を行った。PCRサイクル条件は、(94℃ 30秒―68℃ 2分)×20〜25サイクルである。
【0371】
得られたPCR産物をシリカゲルメンブレンカラムにて精製後、Ion Fragment Library Kit(Life Technologies)により、添付の説明書に記載された方法でライブラリー化した。得られたDNAライブラリーは、Ion Library Quantification Kit(Life Technologies)を用いて定量し、所定の濃度まで希釈したのち、Ion OneTouch
TM Template Kit(Life Technologies)を用いて処理することで、Life Technologies社のThe Personal Genome Machine
TM (PGM
TM)解析用の鋳型DNAを調製した。Ion Sequencing Kit v2.0(Life Technologies)を用いて、Ion Torrent The Personal Genome Machine
TMによりシーケンシングを行い、得られた総リード数をCLCBio社のCLC Genomics Workbench (version 4.7.2)を用いて解析した。具体的には、Dsを含むライブラリー配列については、5′-プライマー 27塩基・タグ配列(各種)・43塩基からなる配列・3′-プライマーの部分配列6塩基(GCATGA)を連続して含むもの、また、Dsを含むライブラリーの相補配列については、3′-プライマーのリンカー及びポリTの領域を除いた配列 29塩基・43塩基からなる配列・タグ配列(各種)・5′-プライマーの部分配列6塩基(GTGGAC)を連続して含む配列をそれぞれ解析対象の配列として選別した。その後、タグ配列ごとにDsの位置に応じて配列を選別し、最終的には、合計数92613のリード配列を解析した。これらの中でクローン数(=リード数)が多いDNAアプタマーは、標的物質への結合能が特に高いDNAアプタマーである。そこで、表8にクローン数が100以上であった配列を示す。
【表8】
【0372】
* Total counts:次世代シーケンサーによる配列解析により得られた総リード数
Extracted counts:総リード数より、解析対象となる配列を抽出した。
<実施例9:VEGF-165へ結合するDNAアプタマーの結合解析(2)>
表8に示した配列から、5種類の配列を選択し、GEヘルスケア社のBIACORE3000を用いた表面プラズモン共鳴(SPR)の測定により、プライマー領域を一部切り詰めた57-merのDNA断片(表9)を用いて、VEGF-165に対する結合能を解析した。また、コントロールとして、すでに報告されているVEGF-165のDNA配列を含む57-merのDNA断片も作成して解析した。
【表9】
【0373】
* Bound = [タンパク質インジェクション開始から930秒後のResonance Units] / [固定化したDNAのResonance Units] × [固定化したDNAの分子量] / [タンパク質の分子量]. SPRの測定条件:流速 20 μl/min 、測定温度 25℃, VEGF-165 (10 nM)のインジェクション時間 480秒,解離をモニターした時間480秒。
【0374】
基本的な方法は、実施例2に記載の方法に準じたため、ここでは実施例2と異なる条件を中心に説明し、重複する部分については原則省略した。
【0375】
各DNA断片のSAチップ(GE ヘルスケア)への固定化については、PBS溶液で25 nMとなるように希釈したDNA溶液をフォールディング処理(95 ℃、3分間→室温、10分間→氷上、5分間→室温)した後、最終濃度が0.005%になるようにNonidet P-40を加えた。そのDNA溶液を流速5 μl/minで5 μl(1分間相当)インジェクションすることによって達成した。また、固定化後、SAチップに非特異的に吸着されているDNA断片を洗浄した。固定化されたDNA断片とVEGF-165との相互作用検出は、2.5 nM、5 nM及び10 nMのVEGF-165溶液をKinetic Injectionモードによってインジェクションすることでモニターした。測定条件は、流速20μl/min、タンパク質インジェクションは8分間である。VEGF-165への結合を調べたセンサグラムを
図15に示す。
【0376】
本測定の結果、測定に用いたDNA断片のうち、VG20Ds-57がVEGF-165に対して特に強く結合することが明らかとなった。また、これらのDNA断片中のDsを天然塩基Aに置換したDNA断片では、標的タンパクに対する結合が弱まることが判明した。
【0377】
測定に用いたDNA断片について、Biacore3000付属のBiaEvaluationソフトでLangmulir with mass transferの反応モデルでカーブフィッティング(curve fitting)を行ったところ、VG20Ds-57の解離定数(Kd)は、5.9 pMであり、既存のアプタマー(contVG-57)の解離定数(46 pM)よりも低い値を示すことが明らかとなった。また、VG20Ds-57のDs塩基を天然塩基Aに置き換えた配列VG20A-57の解離定数は0.22 nMであり、VG20Ds-57のVEGF-165への結合がDs塩基依存であることが立証された。
【0378】
<実施例10:VG20Ds-57の配列を基にしたドープセレクション>
標的タンパク質への結合が強かったVG20Ds-57のタグとランダム領域の配列に変異を導入して、セレクションを行うことによって、アプタマーの最適化と二次構造予測を行った。
【0379】
ドープセレクション用のDNAライブラリーは、VG20Ds-57の配列を基にして実施例3と同様にして作成した。ドープセレクションに用いたDNAライブラリーは、プライマー領域とDs塩基及びタグ配列3塩基中の1塩基を固定して、それ以外のタグ配列を含めた天然塩基配列部分は、55%が元の塩基、45%が元の塩基と異なる塩基(3種類の塩基が15%ずつ)となるようにして化学合成を行い、ゲル精製により調製した。配列は下記の通りである。
【0380】
5’- CTGTCAATCGATCGTATCAGTCCACGgtaaactgagtccgaaggggcDstgcagtgaDscccgaatgggtccg
GCATGACTCGAACGGATTAGTGACT -3’ (配列番号330)
(大文字固定配列:小文字 Doped配列)
a= A:55%; G:15%; C:15%, T:15%
g= A:15%; G:55%; C:15%, T:15%
c= A:15%; G:15%; C:55%, T:15%
t= A:15%; G:15%; C:15%, T:55%
このライブラリーを用いて、実施例1(2)と同様の手順で、それぞれの標的タンパク質へ結合するDNAアプタマーのセレクションを行った。セレクションの条件は、表10に示した。
【表10】
【0381】
4ラウンド後のセレクションにより得られたアプタマーの配列のシークエンスを実施例8(3)に記載の方法と同様にして行い、合計数43719のリード配列を解析した。シークエンスの結果から、保存率の高い領域、co-variationの起こっている領域を同定し、その情報から二次構造を予測した(
図16A、B)。その結果、例えば、VG20Ds-57のA11からC11の変異のように予測した構造を安定化するような1塩基の変異が認められた。この1塩基変異を含む47-merまで切り詰めたVEGF-165に結合するDNA断片(VGd1-2Ds-47;配列番号198)(
図17A)を用いて、実施例9と同様の手順によりSPRで結合解析を行った(
図17B、
図18)。その結果、VGd1-2Ds-47のKdは4.6 pMであり、天然塩基からなる既存のDNAアプタマーのKd値44 pM (contVG-47;配列番号200)よりも1桁低かった。これは、VGd1-2Ds-47が既存のDNAアプタマーよりも標的のタンパク質に対して約10倍の強度で結合できることを示している。また、VGd1-2Ds-47と非標的タンパク質(VEGF-121 (Peprotech)、EGF (Peprotech)、Thrombin (Enzyme research laboratories)、BSA (Sigma Aldrich)との結合を調べた結果、VGd1-2Ds-47は、標的タンパク質に選択的に結合することが示された(
図17B)。
【0382】
さらにアプタマーを切り詰めた様々なバリアント、又はDs塩基をAに置換したバリアントを表11に示すようにそれぞれ作製した。
【表11】
【0383】
抗VEGF-165アプタマー(VGd1-2Ds-47)とそのバリアントの各配列、及びSPRより求めた各DNA断片のVEGF-165に対する結合能解析結果
a) contVG の配列は、斜体及び下線で示した。
【0384】
b) Bound = [タンパク質インジェクション開始から930秒後のResonance Units] / [固定化したDNAのResonance Units] × [固定化したDNAの分子量] / [VEGF-165の分子量]. SPRの測定条件:流速 20 μl/min、測定温度 25℃, VEGF-165 (10nM) のインジェクション時間 480秒,解離をモニターした時間480秒。センサグラムは
図18に示す。解離定数は、グローバルフィッティングにより算出した。
【0385】
標的タンパク質との結合を調べたところ、5′末端のプライマー領域を切り詰めた45-merのバリアント(VGd1-2Ds-45;配列番号202)では、Kd値が16 pMであった(
図17B、表11)。この45-merのDNA断片のDs塩基をAに置き換えたバリアント(VGd1-2A-45;配列番号203)の結合解析結果から、VGd1-2Ds-45ではDs22及びDs33の二つのDs塩基が結合に強く関与していることが判明した。さらに、VGd1-2Ds-47については、2つのDs塩基に挟まれたStem-2が特に大きく結合に関与していることが明らかとなった。また、36-merのバリアント(VGd1-2Ds-36b;配列番号212)では、Kd値が17 pMであった(
図17B、表11)。この結果から、VGd1-2Ds-47に関連する塩基配列を有する抗VEGF-165アプタマーにおいては、配列番号212に示す塩基配列を含むDNAアプタマーであればVEGF-165への結合活性を有することが示された。
【0386】
本発明の核酸アプタマーにおいて、非天然型ヌクレオチドは原則として天然型ヌクレオチドとは塩基対合しない。したがって、核酸アプタマーの塩基配列中に非天然型ヌクレオチド(例えば、Ds)が一以上、好ましくは二以上存在することで、予測される二次構造候補のいくつかは排除されることになる。すなわち、本発明の核酸アプタマーによれば、従来の核酸アプタマーと比較して、予測二次構造の絞込みが可能となり、より正確な二次構造を得ることができる。したがって、本発明の核酸アプタマーによれば、より正確性の高い二次構造が予測できることで、その核酸アプタマーの二次構造に基づいた任意の塩基配列を有する他の派生型核酸アプタマーを構築することもできる。
【0387】
<実施例11:IFN-γに結合するDNAアプタマーの作製>
実施例8と同様の方法を用いて、IFN-γに強固に結合するDNAアプタマーを作製した。基本的には、実施例8に記載の方法と同じであり、それに準じて行っている。
【0388】
(1)人工塩基Dsを中央領域の特定部位に含む一本鎖DNAライブラリーの調製
実施例1で調製した一本鎖DNAライブラリーを用いた。
【0389】
(2)IFN-γへ結合するDsを含む一本鎖DNAアプタマーの製造
基本的な手順等は、実施例8に記載の方法に準じた。したがって、ここでは実施例8と重複する部分については原則として記載を省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0390】
A.セレクション1ラウンドの操作
(i) 標的タンパク質とDNAライブラリーとの結合
DNAの分子内での高次構造を形成させるために、フォールディング処理を行い、その後、Nonidet P-40を含むPBS溶液と混合してNonidetP-40の最終濃度が0.005 %になるように調製した。その核酸溶液をストレプトアビジン磁気ビーズと混合して、上清液をIFN-γ(Peprotech)と混合し、DNA-タンパク質複合体を形成させた。
【0391】
(ii)標的タンパク質に結合したDNA配列の選別
実施例8に記載の方法に準じて行った。
【0392】
(iii)一本鎖DNAライブラリーの調製(増幅)
実施例8に記載の方法に準じて行った。セレクションラウンドは7回とし、各セレクションラウンドの条件を上記表7に示した。タンパク質-DNA複合体形成条件を厳しくするために競合阻害分子(Competitor)として以下の塩基配列を有するDNA断片を過剰量加えた。
【0393】
ContIF (26-mer) :5′-GGGGTTGGTTGTGTTGGGTGTTGTGT-3′(配列番号228)
(3)セレクションにより得られたDNAアプタマー配列の同定
DNAアプタマー配列の同定は、実施例8に記載の方法に準じて行い、最終的に、合計数21242のリード配列を解析した。これらの中でクローン数(=リード数)が多いDNAアプタマーは、標的物質への結合能が特に高いDNAアプタマーである。そこで、クローン数が100以上であった配列を表12に示す。
【表12】
【0394】
* Total counts:次世代シーケンサーによる配列解析により得られた総リード数
Extracted counts:総リード数より、解析対象となる配列を抽出した。
<実施例12:IFN-γへ結合するDNAアプタマーの結合解析>
表12に示した配列から、5種類の配列を選択し、表面プラズモン共鳴測定により、プライマー領域を一部切り詰めた57-merのDNA断片(表13)を用いて、IFN-γに対する結合能を解析した。また、コントロールとして、すでに報告されているIFN-γのDNA配列を含む57-merのDNA断片も作成して解析した。
【表13】
【0395】
* Bound = [タンパク質インジェクション開始から930秒後のResonance Units] / [固定化したDNAのResonance Units] × [固定化したDNAの分子量] / [タンパク質の分子量]. SPRの測定条件:流速 20 μl/min 、測定温度 25℃, IFN-γ(150 nM) のインジェクション時間 480秒,解離をモニターした時間480秒。
【0396】
基本的な方法は、実施例9に記載の方法に準じたため、ここでは実施例9と異なる条件を中心に説明し、重複する部分については原則省略した。IFN-γへの結合を調べたセンサグラムを
図19に示す。
【0397】
本測定の結果、測定に用いたDNA断片のうち、IF07b-57がIFN-γに対して最も強く結合することが明らかとなった。また、これらのDNA断片中のDsを天然塩基Aに置換したDNA断片では、標的タンパクに対する結合が弱まることも判明した。
【0398】
測定に用いたDNA断片について、実施例9と同様にカーブフィッティングを行ったところ、IF07b-57の解離定数(Kd)は、2 nMであり、既存の天然塩基からなるアプタマー(contIF-57)の解離定数(67 nM)よりも低い値を示し、標的タンパク質と強く結合することが明らかとなった。
【0399】
<実施例13:IF07b-57の配列を基にしたドープセレクション>
実施例10と同様に、標的タンパク質への結合が強かったIF07b-57のタグとランダム領域の配列に変異を導入して、セレクションを行うことによって、アプタマーの最適化と二次構造予測を行った。基本的な操作は、実施例10に記載の方法に準じた。DNAアプタマーの各ラウンドのセレクションは、前記表10に示した条件で行った。
【0400】
4ラウンド後のセレクションにより得られたアプタマーの配列のシークエンスを行い、73918のリード配列を解析した。シークエンスの結果から、保存率の高い領域、co-variationの起こっている領域を同定し、その情報から二次構造を予測した(
図20A、B)。
【0401】
その結果、例えば、IF07b-57のG13からA13の変異のように、予測した構造を安定化するような1塩基の変異が認められた。この1塩基変異を含む47-merまで切り詰めたIFN-γに結合するDNA断片(IFd1-3Ds-49;配列番号214)(
図21A)を用いて、SPRで結合解析を行った結果、IFd1-3Ds-49のKdは1.6 nMであり、天然塩基からなる既存のDNAアプタマーのKd値76 nM (cont IF-49;配列番号224)よりも高かった(
図21B、
図22)。これは、IFd1-3Ds-49が既存のDNAアプタマーよりも標的のタンパク質に40倍以上の強度で結合できることを示している。また、IFd1-3Ds-49と非標的タンパク質(VEGF-121 (Peprotech)、EGF (Peprotech)、Thrombin (Enzyme research laboratories)、BSA (Sigma Aldrich)との結合を調べた結果、IFd1-3Ds-49は、標的タンパク質であるIFN-γに選択的に結合することが示された(
図21A)。さらにアプタマーを切り詰めた様々なバリアント、又はDs塩基をAに置換したバリアントを表14のようにそれぞれ作製した。
【表14】
【0402】
抗IFN-γアプタマー(IFd1-3Ds-49)とそのバリアントの各配列、及びSPRより求めた各DNA断片のIFN-γに対する結合能解析結果
a) contIF の配列は、斜体及び下線で示した。
【0403】
b) Bound = [タンパク質インジェクション開始から930秒後のResonance Units] / [固定化したDNAのResonance Units] × [固定化したDNAの分子量] / [IFN-γの分子量]. SPRの測定条件:流速 20 μl/min、測定温度 25℃, IFN-γ (150 nM) のインジェクション時間 480秒,解離をモニターした時間480秒。測定バッファ:1mM KH
2PO
4, 3mM Na
2HPO
4, 205mM NaCl, pH7.4。センサグラムは
図22に示す。解離定数は、グローバルフィッティングにより算出した。
【0404】
c) これらの解離定数については、非特異的な吸着が見られたために、Rmaxはlocal fittingとして、その他はグローバルフィッティングにより算出した。
【0405】
標的タンパク質との結合を調べたところ、5′末端のプライマー領域を切り詰めた45-merのバリアント(IFd1-3Ds-45;配列番号215)では、Kd値が15nMであった(
図21B、
図22)。この結果から、
図20Bで示すIFd1-3Ds-49において、Stem-1がIFN-γへの結合活性に必須ではないことを示している。また、この45-merのDNA断片のDs塩基をAに置き換えたバリアント(IFd1-A2Ds-45;配列番号219、IFd1-2DsA-45;配列番号220、IFd1-DsADs-45;配列番号221、IFd1-2ADs-45;配列番号222、IFd1-3A-45;配列番号223)の結合解析結果から、IFd1-3Ds-45ではDs29及びDs40の二つのDs塩基が結合に強く関与していることが判明した。ただし、結合には、Ds29又はDs40のいずれか一方のDs塩基を有していればよいことも判明した。一方、Ds18は結合に必須ではないことも判明した。IFd1-3Ds-49では、Stem-1、Stem-2の構造情報以外は未知であるが、4つのGトラクトが保存性が高い領域で現れており、G-カルテット構造を形成している可能性もある。Gカルテット構造は、様々な既存のDNAアプタマーや、タンパク質との相互作用に重要なモチーフの一つである。したがって、Ds塩基を導入することにより、G−カルテット構造などの特異なモチーフの多様性も増強することができる、ということが示唆された。
【0406】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。