(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6307730
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法、及び実装装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20180402BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-146399(P2017-146399)
(22)【出願日】2017年7月28日
【審査請求日】2017年9月26日
(31)【優先権主張番号】特願2016-192217(P2016-192217)
(32)【優先日】2016年9月29日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2017-58745(P2017-58745)
(32)【優先日】2017年3月24日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146722
【氏名又は名称】株式会社新川
(72)【発明者】
【氏名】瀬山 耕平
【審査官】
加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−269242(JP,A)
【文献】
特開昭63−169034(JP,A)
【文献】
特開2016−058543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 21/52
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボンディング面にアライメントマークが形成されたボンディングステージ上に、前記アライメントマークを透過する透過基板を前記ボンディング面に載置する載置工程と、
カメラによって前記ボンディングステージの上方から前記透過基板を透過した前記アライメントマークを撮像し、前記アライメントマークの画像を取得する画像取得工程と、
前記画像取得工程において取得した前記アライメントマークの画像に基づいて、前記透過基板に半導体ダイを圧着するボンディングヘッドの水平方向の位置を補正する補正工程と、
補正された前記水平方向の位置に基づいて、前記半導体ダイを前記透過基板に圧着する圧着工程とを含む、
半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記半導体装置の製造方法は、
前記載置工程の後、前記画像取得工程、補正工程及びボンディング工程とを複数回繰り返し、前記透過基板上に複数の前記半導体ダイを圧着するものであって、
前記画像取得工程は、前記透過基板を透過した前記アライメントマーク及び前記透過基板上にボンディングされた前記半導体ダイの画像を取得し、
前記補正工程は、画像取得工程で取得した前記画像に基づいて、前記透過基板上にボンディングされた前記半導体ダイとボンディングツールが保持する当該半導体ダイとが予め定めた間隔となるように前記ボンディングツールの前記水平方向の位置を補正する、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記カメラは、前記ボンディングステージと前記ボンディングヘッドとの間に挿入され、前記ボンディングステージの上面と前記ボンディングヘッドに保持された前記半導体ダイの下面とを同時に撮像する上下二視野カメラである、
請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記補正工程は、前記ボンディングヘッドと所定の離間距離だけ離間した位置に設けられた前記カメラが撮像した前記アライメントマークの画像に基づいて前記半導体ダイを前記透過基板に圧着する前記水平方向の位置を補正し、補正した前記水平方向の位置に前記ボンディングヘッドが位置するように前記ボンディングヘッドを移動させるものであって、
前記圧着工程は、補正した前記水平方向の位置に移動した前記ボンディングヘッドによって前記半導体ダイを前記透過基板に圧着する、
請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記ボンディング面に載置された前記透過基板を前記ボンディングステージに内蔵されたヒータにより加熱する加熱工程を更に備え、
前記圧着工程は、加熱された前記ボンディング面に前記半導体ダイをボンディングし、
前記ボンディング面は、前記透過基板と同等の熱膨張率を有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記透過基板は、可視光に対して不透明であり、可視光を除く波長帯の電磁波を透過するものであって、
前記カメラは、前記可視光を除く波長帯の電磁波を検知して前記アライメントマークを撮像する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記透過基板は、赤外線を透過するものであって、
前記カメラは、赤外線により前記アライメントマークを撮像する、
請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
吸着面に半導体ダイを保持するボンディングツールを有し、前記半導体ダイを透過基板上に圧着するボンディングヘッドと、
ボンディング面にアライメントマークを有し、前記ボンディング面上に前記アライメントマークを透過する透過基板を載置するボンディングステージと、
前記ボンディングステージの上方から前記透過基板を透過した前記アライメントマークを撮像し、前記アライメントマークの画像を取得するカメラと、
前記カメラが取得した前記アライメントマークの画像に基づいて、前記ボンディングヘッドが前記透過基板に前記半導体ダイを圧着する水平方向の位置を補正する補正部とを備える、
実装装置。
【請求項9】
前記カメラは、前記ボンディングステージと前記ボンディングヘッドとの間に挿入され、前記ボンディングステージの上面と前記ボンディングヘッドに保持された前記半導体ダイの下面とを同時に撮像する二視野カメラである、
請求項8に記載の実装装置。
【請求項10】
前記補正部は、前記ボンディングツールと所定の離間距離だけ離間した位置に設けられた前記カメラが撮像した前記アライメントマークの画像に基づいて前記半導体ダイを前記透過基板に圧着する前記水平方向の位置を補正し、補正した前記水平方向の位置に前記ボンディングツールが位置するように前記ボンディングヘッドを移動させるものであって、
前記ボンディングヘッドは、補正した前記水平方向の位置に移動した前記ボンディングツールによって前記半導体ダイを前記透過基板に圧着する、
請求項8に記載の半導体装置の実装装置。
【請求項11】
前記ボンディングステージは、前記ボンディング面に載置された前記透過基板を加熱するヒータを備え、前記透過基板と同等の熱膨張率を有する材料で形成された、
請求項8から10のいずれか1項に記載の実装装置。
【請求項12】
前記透過基板は、可視光に対して不透明であり、可視光を除く波長帯の電磁波を透過するものであって、
前記カメラは、前記可視光を除く波長帯の電磁波を検知して前記アライメントマークを撮像する、
請求項8から11のいずれか1項に記載の実装装置。
【請求項13】
前記透過基板は、赤外線を透過するものであって、
前記カメラは、赤外線を検知して前記アライメントマークを撮像する、
請求項12に記載の実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法、及び実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置の更なる小型化、高集積化及び低コスト化を目的としてファンアウト型WLP(Wafer-Level-Packaging)が提案されている(例えば特許文献1)。
【0003】
ファンアウト型WLPでは、以下の工程を経て半導体装置を製造する。
1.回路パターンが形成された半導体ウェハをダイシングし、複数の半導体ダイを個片化する。
2.実装装置を用いて半導体ダイを所定の間隔毎に仮基板上に圧着する。
3.仮基板上に配置された複数の半導体ダイを樹脂でモールドする。
4.モールドされた半導体ダイを仮基板から剥離し、半導体ダイが仮基板に圧着されていた面を露出させる。
5.露出した半導体ダイの面に配線層及びバンプ電極を形成する。
6.モールドされた複数の半導体ダイをダイシングし、配線層及びバンプ電極が形成された半導体ダイを個片化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2013−520826
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、半導体ダイを所定の間隔毎に圧着する工程において、アライメントマークが形成されていない仮基板が用いられることがある。この場合、実装装置は、リニアエンコーダ等の機械的な座標を元に仮基板に半導体ダイを圧着することになる。
【0006】
機械的な座標を元に半導体ダイを仮基板に圧着すると、機械的な座標のずれや熱的影響により半導体ダイが仮基板に圧着される位置にズレが生じ、半導体ダイ間の間隔にばらつきが生じる。半導体ダイ間の間隔のばらつきは、ばらつきを考慮した余裕のあるサイズで配線層を形成する必要を生じさせるため、半導体ダイの高集積化、小型化を阻害する要因となる。さらに、半導体ダイ間の間隔が大きくばらついた場合、半導体装置の不良を発生させる。
【0007】
また、仮基板にアライメントマークが形成されていたとしても、仮基板の熱膨張等により半導体ダイ間の間隔がばらつくことも予想される。
【0008】
そこで、本発明は、仮基板上に配置された半導体ダイ間の間隔のばらつきを抑制できる半導体装置の製造方法及び実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ボンディング面にアライメントマークが形成されたボンディングステージ上に、前記アライメントマークを透過する透過基板を前記ボンディング面に載置する載置工程と、カメラによって前記ボンディングステージの上方から前記透過基板を透過した前記アライメントマークを撮像し、前記アライメントマークの画像を取得する画像取得工程と、前記画像取得工程において取得した前記アライメントマークの画像に基づいて、前記透過基板に半導体ダイを圧着するボンディングヘッドの水平方向の位置を補正する補正工程と、補正された前記水平方向の位置に基づいて、前記半導体ダイを前記透過基板に圧着する圧着工程とを含む、半導体装置の製造方法。
【0010】
吸着面に半導体ダイを保持するボンディングツールを有し、前記半導体ダイを透過基板上に圧着するボンディングヘッドと、ボンディング面にアライメントマークを有し、前記ボンディング面上に前記アライメントマークを透過する透過基板を載置するボンディングステージと、前記ボンディングステージの上方から前記透過基板を透過した前記アライメントマークを撮像し、前記アライメントマークの画像を取得するカメラと、前記カメラが取得した前記アライメントマークの画像に基づいて、前記ボンディングヘッドが前記透過基板に前記半導体ダイを圧着する水平方向の位置を補正する補正部とを備える、実装装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、仮基板上に配置された半導体ダイ間の間隔のばらつきを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態における実装装置を示す模式図である。
【
図2】
図2は、ボンディングステージを示す上面図である。
【
図3】
図3は、ボンディングステージ及び半導体ダイが実装された仮基板を示す側方断面図である。
【
図4】
図4は、半導体ダイが実装された仮基板及びボンディングステージを示す上面図である。
【
図5】
図5は、仮基板に半導体ダイを圧着する際の工程を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、ボンディングツールの位置を補正する際の補正部の動作を示す模式図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2の実施の形態に係るボンディングツールの位置を補正する際の補正部の動作を示す模式図である。
【
図8】
図8は、本発明の第3の実施の形態に係る実装装置を示す模式図である。
【
図9】
図9は、本発明の第4の実施の形態における実装装置を示す模式図である。
【
図10】
図10は、仮基板に半導体ダイを圧着する際のボンディングヘッドの動作を示す模式図であり、(a)は、ボンディングヘッドを移動させる前、(b)は、ボンディングヘッドを移動させた後、(c)は、継続して半導体ダイを仮基板に圧着する場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の構成要素は同一又は類似の符号で表している。図面は例示であり、各部の寸法や形状は模式的なものであり、本願発明の技術的範囲を当該実施の形態に限定して解するべきではない。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る実装装置を示す模式図である。
図1に示すように、実装装置1は、ダイシングされた半導体ウェハ100から半導体ダイ200をピックアップするピックアップ部20と、仮基板300を支持するボンディングステージ50と、ピックアップ部20とボンディングステージ50との間を移動するボンディングヘッド30と、ボンディングステージ50の上方に配置された二視野カメラ40とを備える。この実装装置1は、半導体ウェハ100からピックアップされた半導体ダイ200を厚み方向に180度反転させて基板等に実装する所謂フリップチップボンダである。なお、仮基板300は、透過基板の一例である。
【0015】
ピックアップ部20は、半導体ウェハ100が貼り付けられたダイシングシート101を保持するピックアップステージ21と、ピックアップステージ21の貫通孔から半導体ダイ200を突き上げ、半導体ダイ200をダイシングシート101から引き剥がす突き上げピン22と、突き上げられた半導体ダイ200を吸着してピックアップするピックアップヘッド23とを備える。
【0016】
ピックアップヘッド23は、回転軸Oを中心に回転し、ピックアップした半導体ダイ200を厚み方向に180度反転させて半導体ダイ200がダイシングシート101に接着されていた面を上方に向ける。
【0017】
ボンディングヘッド30は、図示しないXY駆動機構によりボンディングステージ50のボンディング面51と平行な水平方向Aに駆動し、図示しないZ軸駆動機構により水平方向Aと直交する垂直方向Bに駆動する。さらに、ボンディングヘッド30は、半導体ダイ200を吸着保持するボンディングツール31を備える。
【0018】
ボンディングヘッド30は、ボンディングツール31を本体部32に内蔵された荷重制御機構により垂直方向Bに駆動させるとともに、ボンディングツール31に吸着された半導体ダイ200をボンディングする際の荷重を制御する。また、ボンディングヘッド30は、水平方向Aに移動する際にリニアエンコーダ33の値を読み取ることで、位置及び移動量が制御される。
【0019】
さらに、ボンディングツール31の先端には、半導体ダイ200を仮基板300に圧着する際に半導体ダイ200を50℃〜200℃の範囲で加熱するボンディングヒータが取り付けられている。
【0020】
二視野カメラ40は、図示しない駆動機構によりボンディングステージ50上を移動可能なアーム41と、アーム41の先端に設けられた二つの撮像素子42a、42bとを備える。撮像素子42a、42bは、同一光軸上に対向して設けられ、ボンディングヘッド30に保持された半導体ダイ200とボンディングステージ50及びボンディング面51とを同時に撮像する。
【0021】
図2は、ボンディングステージ及び半導体ダイが実装された仮基板を示す側方断面図であり、
図3は、ボンディングステージを示す上面図であり、
図4は、ボンディングステージ及び仮基板を示し、半導体ダイがボンディングされた状態を示す上面図である。
【0022】
ボンディングステージ50は、図示しない搬送機構により搬送された仮基板300を真空吸着して支持するボンディング面51を有する。ボンディング面51には、
図3に示すように、仮基板300が載置される領域に十字形状の複数のアライメントマーク52が形成されている。
【0023】
アライメントマーク52は、所定の間隔毎に、仮基板300に実装される半導体ダイ200の数に対応して設けられている。アライメントマーク52は、例えばエッチング、メッキ、塗料、溝等で形成されたマークであり、二視野カメラ40でアライメントマーク52の位置を認識できる態様であれば用いることができる。
【0024】
ボンディングステージ50に載置された仮基板300は、二視野カメラ40からの光及びボンディングステージ50からの光を透過し、二視野カメラ40によってアライメントマーク52を撮像可能とする。仮基板300は、例えばガラスであるが、ポリカーボネート、アクリル、ポリエステル等の透明樹脂や透明セラミックであってもよい。さらに、モールドされた半導体ダイ200を仮基板300から剥離する後の剥離工程において、この剥離を容易とする目的とした透明なフィルムやコーティング層を仮基板300に設けてもよい。
【0025】
この仮基板300には、
図4に示すように、ボンディングヘッド30によって半導体ダイ200が圧着される。半導体ダイ200は、その外縁が仮基板300を透過した十字形状のアライメントマーク52の外縁に沿うように位置決めがされ、仮基板300に複数の半導体ダイ200間の距離が一定となるように圧着される。半導体ダイ200には、ダイシングシート101に接着されていた裏面側にダイアタッチフィルム等の熱硬化性の接着層が形成されている。半導体ダイ200は、ボンディングヘッド30による圧力、熱が印加されることで仮基板300に固定される。
【0026】
実装装置1は、さらに、記憶部63から読み出したプログラムに従って装置の各部を制御する制御部60を備える。制御部60は、二視野カメラ40を制御してボンディングヘッド30に保持された半導体ダイ200及び仮基板300を透過したボンディングステージ50を撮像し、それぞれの画像を取得するカメラI/F61と、撮像された半導体ダイ200、及びボンディングステージ50の画像に基づいて、ボンディングヘッド30の水平方向の位置を補正する補正部62とを有する。制御部60の各部の動作については、後述する。
【0027】
(半導体装置の製造方法)
次に、実装装置1を用いた半導体装置の製造方法について説明する。
図5は、仮基板に半導体ダイを圧着する際の工程を示すフローチャートである。
【0028】
まず、透明な仮基板300を準備し、この仮基板300を図示しない搬送装置によってボンディング面51上のアライメントマーク52を透過する位置に載置する(S1)。仮基板300がボンディング面51に載置されると、ボンディングステージ50は、仮基板300を真空吸着して固定する。
【0029】
仮基板300をボンディングステージ50に載置すると、ピックアップ部20は、突き上げピン22を上昇させるとともに、ピックアップヘッド23によって半導体ダイ200を真空吸着してピックアップする。半導体ダイ200をピックアップすると、ピックアップヘッド23を回転軸Oを中心に180度回転させて半導体ダイ200をボンディングヘッド30に受け渡す(S2)。ボンディングヘッド30は、受け渡された半導体ダイ200を吸着して保持する。
【0030】
半導体ダイ200を受け渡すと、ボンディングヘッド30をXY駆動機構により駆動して仮基板300上に移動する。次に、二視野カメラ40を移動してアーム41及び撮像素子42a、42bをボンディングヘッド30とボンディングステージ50との間に挿入する。挿入された撮像素子42a、42bは、ボンディングツール31に吸着保持された半導体ダイ200及び透過したアライメントマーク52を撮像する(S3)。撮像された画像は、カメラI/F61により記憶部63に記憶され、補正部62により読み出される。
【0031】
半導体ダイ200及びアライメントマーク52を撮像すると、撮像した画像に基づいてボンディングヘッド30の位置を補正する(S4)。ボンディングヘッド30の位置補正についての詳細については、後述する。
【0032】
ボンディングヘッド30の位置を補正すると、ボンディングヘッド30及びボンディングツール31を下降させ、半導体ダイ200に圧力及び熱を印加して仮基板300に圧着する(S5)。半導体ダイ200を圧着すると、制御部60は、半導体ダイ200を所定の個数の全てを仮基板300に圧着したか否かを判断する(S6)。全ての半導体ダイ200を圧着していないと判断すると(S6:NO)、実装装置1は、S1〜S5の工程を繰り返し行い、半導体ダイ200を仮基板300上に所定の間隔毎に圧着する。
【0033】
S6で全て圧着したと判断すると(S6:YES)、実装装置1は、当該仮基板300への半導体ダイ200の圧着を完了する。実装装置1は、圧着が完了した仮基板300を搬送し、必要に応じて次の仮基板300に半導体ダイ200を圧着する。
【0034】
(ボンディングヘッドの位置補正)
次に、ボンディングヘッド30を位置補正する補正部62の動作について説明する。
図6は、ボンディングツールを位置補正する際の補正部の動作を示す模式図である。
【0035】
カメラI/F61がボンディングツール31に保持された半導体ダイ200、及びアライメントマーク52を撮像した画像を記憶部63に格納すると、補正部62は、記憶部63格納された画像に基づいてボンディングヘッド30の補正量を以下のように算出する。
【0036】
まず、補正部62は、撮像したボンディング面51から圧着位置にあるアライメントマーク52を探索する。アライメントマーク52を見つけると、補正部62は、十字形状であるアライメントマーク52の右下部を第1の補正点P1として、第1の補正点P1の座標を算出する。
【0037】
次に、補正部62は、半導体ダイ200の左上角部を第2の補正点P2として、第2の補正点P2の座標を算出する。第1及び第2の補正点P1、P2の距離d1を算出すると、補正部62は、第1の補正点P1と第2の補正点P2の距離d1から補正量dx1、dy1を導出する。
【0038】
補正量dx1、dy1が導出されると、ボンディングヘッド30は、補正された位置に移動して半導体ダイ200を仮基板300に圧着する。
【0039】
(実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(a)ボンディング面51にアライメントマーク52が形成されたボンディングステージ50を用いることにより、簡単な実装装置1の変更により半導体ダイ200を仮基板300にばらつきなく圧着することができる。
(b)二視野カメラ40で撮像した画像に基づいてボンディングヘッド30の位置を補正することにより、リニアエンコーダ33による機械的な座標に依らず半導体ダイ200を仮基板300に圧着することができる。そのため、機械的な座標に基づいて圧着する構成よりも精度よく半導体ダイ200を圧着することができる。
(c)半導体ダイ200をばらつきなく仮基板300に圧着できるので、後の工程で形成する配線層をばらつきを考慮した設計とする必要がなくなる。そのため、半導体装置をより高集積化、小型化することができる。さらには、半導体装置を製造する際の歩留まりを向上させることができる。
【0040】
(第2の実施の形態)
図7は、本発明の第2の実施の形態におけるボンディングツールの位置を補正する際の補正部の動作を示す模式図である。
【0041】
本実施の形態は、第1の実施の形態の実装装置1の動作に、2つ目以降の半導体ダイ200bを圧着する際の動作を追加したものである。以下、第1の実施の形態と相違する点を中心に説明する。
【0042】
本実施の形態の実装装置1は、2つ目以降の半導体ダイ200を圧着する際に、ボンディングツール31に保持された半導体ダイ200b、及びアライメントマーク52の画像に加え、仮基板300に既に圧着された半導体ダイ200aの画像も取得する。補正部62は、半導体ダイ200aと、半導体ダイ200bとの間の距離d1を算出する。
【0043】
補正部62は、アライメントマーク52の第1の座標点p1、半導体ダイ200第2の座標点p2及び半導体ダイ200a、200b間の距離d2が所定の間隔となるように、ボンディングヘッド30の位置を補正する補正量dx2、dy2を導出する。なお、本実施の形態では、既に圧着された半導体ダイ200bが1つの場合について説明したが、勿論、半導体ダイ200aと複数の圧着された半導体ダイ200bとの間の距離d2に基づいて補正量dx2、dy2を導出してもよい。
【0044】
(実施の形態の効果)
既に圧着された半導体ダイ200bとボンディングツール31に保持された半導体ダイ200aとの間の距離d2が所定の間隔となるように補正量dx2、dy2によりボンディングヘッド30の位置を補正することにより、精度よく半導体ダイ200を一定間隔毎に仮基板300に圧着することができる。
【0045】
(第3の実施の形態)
図8は、第3の実施の形態に係る実装装置を示す模式図である。以下、第1、第2の実施の形態と相違する点を中心に説明する。
【0046】
本実施の形態のボンディングステージ50Aは、仮基板300を下方から加熱するヒータ53を内蔵し、仮基板300の材料と略同一の熱膨張率を有する材料で形成されたボンディング部54とを有する。ボンディング部54は、その表面が仮基板300が載置されるボンディング面51を形成し、例えば仮基板300と同じ材料で形成される。なお、ボンディングステージ50A全体が仮基板300と略同一の熱膨張率を有するものであってもよい。
【0047】
ヒータ53は、半導体ダイ200を圧着する際に、ボンディングステージ50に載置された仮基板300を50℃〜200℃の範囲で加熱する。ボンディングヘッド30のボンディングヒータに加えてボンディングステージ50からも半導体ダイ200を加熱することで、半導体ダイ200の接着層を効率的、かつ、均一に加熱できる。
【0048】
(実施の形態の効果)
ボンディングステージ50と仮基板300との熱膨張率が異なる場合、ボンディングヘッド30の位置を補正して半導体ダイ200を仮基板300に圧着したとしてもボンディングステージ50及び仮基板300の温度によって半導体ダイ200間の間隔がばらつく。
【0049】
しかし、ボンディングステージ50と仮基板300との熱膨張率を略同一とすることで、ボンディングステージ50と仮基板300との間の温度依存のばらつきを抑制することができる。そのため、ヒータ53によって仮基板300を加熱してもばらつきを抑制できるので、加熱しない構成よりも高速、かつ、高精度に半導体ダイ200を仮基板300に圧着することができる。
【0050】
(第4の実施の形態)
図9は、第4の実施の形態に係る実装装置を示す模式図であり、
図10は、仮基板に半導体ダイを圧着する際のボンディングヘッドの動作を示す模式図であり、(a)は、ボンディングヘッドを移動させる前、(b)は、ボンディングヘッドを移動させた後、(c)は、継続して半導体ダイを仮基板に圧着する場合を示す。
【0051】
第1の実施の形態では、カメラをボンディングヘッド30とボンディングステージ50との間に挿入される二視野カメラ40であると説明したが、本実施の形態のカメラ70は、ボンディングヘッド30に設けられている点で相違する。以下、第1の実施の形態と相違する点を中心に説明する。なお、本実施の形態では、X軸のみの補正について説明するが、Y方向のみ、さらには、X、Y軸の2方向についても適用可能なのは当然である。
【0052】
本実施の形態の実装装置1Aは、ボンディングツール31及びカメラ70を有するボンディングヘッド30Aと、リニアスケール34と検出部35を有するリニアエンコーダ33とを備える。ボンディングツール31及びカメラ70は、ボンディングツール31の中心軸O31とカメラ70の光軸O70とが所定の離間距離Dだけ離間してボンディングヘッド30に設けられている。カメラ70は、ボンディングツール31が半導体ダイ200を仮基板300に圧着する際に、仮基板300及びボンディングステージ50を上方から撮像する。なお、
図10では、アライメントマーク52の図示を省略しているが、ボンディングステージ50のボンディング面51には、
図2に図示したのと同様に複数のアライメントマーク52が等間隔で形成されている。
【0053】
実装装置1Aが半導体ダイ200を仮基板300に圧着するボンディング動作を開始すると、制御部60は、ピックアップ部20を制御してウェハ100から半導体ダイ200をピックアップし、ボンディングヘッド30Aを駆動してピックアップした半導体ダイ200をボンディングステージ50の上方の所定の位置に移動させる。
【0054】
半導体ダイ200をボンディングステージ50の所定の位置まで移動させると、カメラI/F61は、カメラ70を制御して仮基板300及びボンディング面51上のアライメントマーク52を撮像し、撮像した画像を記憶部63に記憶する。補正部62は、撮像した画像からアライメントマーク52の位置を検出し、アライメントマーク52の位置から半導体ダイ200を仮基板300に圧着するボンディング位置B1を導出する。
【0055】
補正部62は、導出したボンディング位置B1に基づいて、例えば検出部35で読み取った現在座標Paとボンディング位置B1との差分を補正量d1として、リニアスケール34上のボンディング座標P1を算出する。
【0056】
ボンディング座標P1を算出すると、制御部60は、ボンディング座標P1に離間距離Dを加算又は減算したボンディング座標P2を算出し、ボンディングヘッド30Aをボンディング座標P2まで移動させる。言い換えると、制御部60は、ボンディングツール31及び半導体ダイ200の中心軸O31がボンディング座標P1に位置するようにヘッド30を離間距離Dだけ移動させる。
【0057】
ボンディングヘッド30をボンディング座標P1に移動させると、制御部60は、ボンディングツール31を下降させて半導体ダイ200を仮基板300のボンディング位置B1に圧着する。
【0058】
さらに、仮基板300に半導体ダイを継続して圧着する場合には、補正部62は、既に圧着された半導体ダイ200及び検出したアライメントマーク52に基づいて、例えば補正量d2を算出して現在位置Pbに補正量d2を加算又は減算し、ボンディング座標P3を導出する。すなわち、ボンディング座標P3は、アライメントマーク52の位置に加えて、既に圧着された半導体ダイ200とボンディングツールに保持された半導体ダイ200とが予め設計された距離だけ離間するように導出される。
【0059】
ボンディング座標P3を導出すると、制御部60は、離間距離Dを加算又は減算したボンディング座標P4にボンディングヘッド30を移動させた後、半導体ダイ200をボンディング位置B2に圧着する。
【0060】
(変形例)
実施の形態では、アライメントマーク52は十字形状であると説明したが、丸や四角等の多角形の点状のマーク、格子等の線状のマークであってもよい。また、ボンディング面51上に形成された吸着穴をアライメントマーク52としてもよい。
【0061】
また、アライメントマーク52及び半導体ダイ200の外縁を補正点P1、P2とすることを説明したが、アライメントマーク52又は半導体ダイ200の中心点を算出し、この中心点を補正点としてボンディングヘッド30の位置を補正してもよい。
【0062】
また、アライメントマーク52は、ボンディング面51に一定距離毎に配置された座標検出用マークであってもよい。この場合、補正部62は、二視野カメラ40が撮像した画像に基づいてボンディングヘッド30の座標を検出し、当該座標と予め定めた座標とを比較してボンディングヘッド30の位置を補正してもよい。
【0063】
また、実施の形態では、実装装置1は、半導体ダイ200を反転させるものとして説明したが、半導体ダイ200を反転させずに仮基板300に圧着するものであってもよい。
【0064】
また、仮基板300は、一部がアライメントマーク52を透過すればよく、例えば金属板等で仮基板300の半導体ダイ200が圧着されない部分に溝を形成してもよい。また、仮基板300は、金属等の不透明な材料と、ガラス等の透明な材料を積層したものであってもよい。
【0065】
また、第4の実施の形態において、リニアエンコーダ33の検出部35は、1つに限らず複数個ボンディングヘッド30に設けられてもよく、また、ボンディングヘッド30のボンディングツール31側に設けられてもよい。
【0066】
また、仮基板300は、ガラス等の透明部材に限らず、例えばシリコン等の可視光に対して不透明であるが赤外線を透過する材料で形成されていてもよい。この場合、二視野カメラ40又はカメラ70には、赤外線を検知する赤外線カメラが用いられる。二視野カメラ40又はカメラ70は、仮基板300に赤外線を投射するとともに、アライメントマーク52で反射した赤外線を検知する。
【0067】
さらには、仮基板300は、赤外線に限らず、紫外線、X線、γ線等の電磁波を透過するものであってもよく、二視野カメラ40又はカメラ70には、これらの電磁波を検知するものを用いることができる。
【符号の説明】
【0068】
1、1A…実装装置、20…ピックアップ装置、21…ピックアップステージ、22…突き上げ針、23…ピックアップヘッド、30…ボンディングヘッド、31…ボンディングツール、32…本体部、34…リニアスケール、35…検出部、40…二視野カメラ、41…アーム、42a、42b…撮像素子、50…ボンディングステージ、51…ボンディング面、52…アライメントマーク、53…ヒータ、54…ボンディング部、60…制御部、61…カメラI/F、62…補正部、63…記憶部、70…カメラ、100…半導体ウェハ、200…半導体ダイ、300…仮基板
【要約】
【課題】仮基板上に配置された半導体ダイ間の間隔のばらつきを抑制できる半導体装置の製造方法及び実装装置を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、アライメントマーク52を透過する仮基板300をボンディング面51に載置する載置工程と、アライメントマークの画像51及び半導体ダイ200の画像を取得する画像取得工程と、画像取得工程において取得したアライメントマーク300の画像及び半導体ダイ200の画像に基づいて、仮基板300に半導体ダイ200を圧着するボンディングヘッド30の水平方向の位置を補正する補正工程と、補正された水平方向の位置に基づいて、半導体ダイ200を透過基板300に圧着する圧着工程とを含む。
【選択図】
図1