(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記粒子状の吸収性材料を通過させるように設計される前記主本体は、前記粒子状の吸収性材料の前記通過方向(Y'−Y')と直交する方向に、全ての角度が直角の四角形の形状の内部断面を呈する、請求項1に記載の装置。
前記可動部材は、第1端部及び第2端部と、前記粒子状の吸収性材料の前記流れの通過方向(Y'−Y')に沿って対称である2つの側面と、を有する楔形状を有し、前記2つの側面は、第1尖頭端に向かって収束し、前記第2端部と一体となって第1辺縁及び第2辺縁をそれぞれ形成し、前記可動部材は、前記第2端部の位置で、シャフトの軸(X'−X')の回りを自由に回転する前記シャフトに接続され、前記シャフトは、前記可動部材が、前記第1作用位置と前記第2作用位置との間で前記軸(X'−X')の回りの揺動運動(2θ)を行うことができるように構成される、請求項1または2に記載の装置。
前記可動部材はアクチュエータ手段に接続され、前記アクチュエータ手段は、前記揺動運動(2θ)を前記可動部材に与えて前記軸(X'−X')の回りに揺動させるように構成され、前記アクチュエータ手段は、サーボモータにより形成される、請求項3に記載の装置。
前記射出ノズルは、前記主本体の下側部分に、前記射出ノズルと前記主本体との間に配置されるマニホールドを介して接続され、前記マニホールドには、外周を覆い、かつ前記マニホールドの内部と流体連通する加圧空気貯留容器を設ける、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
前記加圧空気貯留容器は前記マニホールドと、前記射出ノズルとの前記マニホールドの接続縁に配置される開口部群を通って連通し、前記射出ノズル内で高速の空気流を生成することができる、請求項6に記載の装置。
【背景技術】
【0002】
1980年代の最後における使い捨て衛生生理用品の分野では、粒子状の吸収性材料を導入して、これらの生理用品の吸収性構造体を形成し、この吸収性構造体はこれまで、単にセルロース繊維により構成されていた。
【0003】
この種類の使い捨て衛生用品に通常使用される粒子状の吸収性材料は、大量の液体を吸収し、そして保持することができる高吸収性ポリマーにより構成される。
【0004】
高吸収性ポリマー(SAP)が今度は、異なる製造方法に従って、異なるサイズ及び形状の粒子を有することができる。
【0005】
吸収性構造体の製造は、幾つかの方法で行うことができる。最も一般的な方法のうちの1つの方法は、吸収性ポリマー粒子を、吸水性を有することができる合成繊維及び/又は天然繊維、例えばセルロース繊維により構成される帯状体に堆積させる、そして/又は帯状体上で混合することにより行われる。
【0006】
使い捨て衛生生理用品の全製造業者の要求は、吸収性材料を、吸収性材料が最も使用される領域に集中させることができる、すなわち不連続的に塗布した吸収性ポリマー粒子を形成して、常に塗布吐出量の長さ、及び幅、及び種々の吐出量の間の塗布ピッチのような塗布層の量及び幾何学パラメータに対する制御を継続的に行って、信頼性の高い物品を実現し、これにより同時に、コストの点で節約することができ、そして物品がより少量の材料で形成されるので、環境に及ぼす影響が小さい物品が製造される。
【0007】
粒子状の或る量の吸収性ポリマー材料を、使い捨て生理用品の吸収性構造体を製造するのに適するように不連続的に塗布することができるシステムがこの技術分野において知られている。詳細に記載されたこの公知の実施形態によれば、例えば欧州特許出願公開第1621165A1号公報では、このようなシステムは回転塗布シリンダからなり、この回転塗布シリンダには、当該シリンダの外側表面に、堆積領域に配置される複数のスロット及び/又は凹部が設けられ、かつこの回転塗布シリンダは、正しい量の粒子状の吸収性材料又はSAP(高吸収性ポリマー)を確実に堆積させる寸法を有する。当該回転塗布シリンダは通常、容器の下部に配置され、この容器から、当該回転塗布シリンダが粒子状の材料を取り出す。続いて、回転することにより、当該シリンダは、SAPが充填されたスロット及び/又は凹部を第2領域又は塗布領域に移動させ、該当する領域において、当該シリンダからSAPが移される。塗布領域は通常、装填領域と径方向に対向し、塗布シリンダから移された材料を移動している帯状体に堆積させることができる。
【0008】
本発明者らは、上に説明した装置のような装置は、例えば間接的にしか行うことができない、各物品に塗布される粒子状の吸収性材料の量に対する制御のような、非常に多くの制約及び/又は問題を有していると考えてきた。
【0009】
実際、吸収性構造体の製造方法において導入される材料の重量は、粒子状の材料の見掛け上の密度を援用してしか求めることができない、別の表現をすると、吸収性物品に堆積させる必要があるSAP(高吸収性ポリマー)の量は、塗布ローラの外側表面に設けられるスロット群及び/又は凹部群の容積によってのみ決定され、これらのスロット及び/又は凹部は、粒子状の当該吸収性ポリマー材料により充填されるように構成される。
【0010】
本体の密度又は体積質量は、本体の質量と本体の体積との比として定義されることを念頭に置かれたい。
【0011】
上に与えられる密度の定義は、固体及び均質物質の量を指す、すなわち内部空隙のない固体及び均質物質の量を指す。この値は、当該値が、固体部分の体積のみを考慮に入れているので、実際密度又は絶対密度としても認識される。
【0012】
固体材料が閉鎖空洞を有する、開放空洞又は多孔質構造を有する場合、又は砂、粒子のような粒子状物質が容器に含まれる場合、或いは本発明者らの粒子状の吸収性材料の場合におけるように、絶対密度と方式的に類似して計算される本体の見掛け上の密度の概念を導入し、かつ固体が占める合計体積を考慮に入れることにより、固体の内部に存在する空の空間を含む固体の外周寸法を考慮に入れている。
【0013】
この種類の制御は、詳細には、見掛け上の密度のバラツキに関連する非常に大きな限界を有する。実際、見掛け上の密度は、装填容器に含まれる粒状物質の上部圧力変動、周囲条件(温度、湿度)の変動に応じて変化し、そして特に、粒子自体のサイズであって、当該サイズが勿論、供給業者ごとに変わってしまうようなサイズの変動に応じて変化するだけでなく、同じ供給業者からの製造バッチの変動に応じて変化する。
【0014】
更に、スロット群及び/又は凹部群は、製造機の速度が速くなるにつれて、これらのスロット及び/又は凹部に内容物を充填し、そしてこれらのスロット及び/又は凹部の内容物を空にする際に困難を生じる。この困難を解決するために、塗布シリンダに、粒子状の吸収性材料の把持手段及び解放手段を設ける。これを実現するために、塗布シリンダのスロット群及び/又は凹部群の底部を通気性にし、装填中は、大気圧より低い圧力源に接続し、続いて、排出又は放出時は、高圧空気源に接続する。
【0015】
このシステムは、高速製造ラインにおいて塗布ローラに充填し、そして塗布ローラを空にする際の問題を解決するが、今度は、例えば塗布ローラの複雑さが増大し、その結果、塗布ローラのコストが上昇する問題、及びスロット群及び/又は凹部群の通気領域の清浄度を常に確保する必要があるために維持作業コストが上昇する問題のような新たな問題を生じる。
【0016】
既に説明した内容の他に、製品サイズの変更、従って吸収性構造体の仕様の変更に関連する問題を忘れてはならない。実際、各形式の吸収性構造体は、当該吸収性構造体の寸法の他に、粒子状の吸収性材料の量及び分布によっても特徴付けられる。従って、前記形式の吸収性構造体の各形式の吸収性構造体は、当該吸収性構造体固有の特定の塗布ローラを必要とし、この塗布ローラは明らかに、製造対象の物品のサイズが変化すると取り替える必要がある。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の説明では、種々の特定の詳細が、実施形態についての完全な理解を目的として例示される。これらの実施形態は、特定の詳細のうちの1つ以上の詳細を用いることなく実施することができる、又は他の方法、構成要素、材料などを用いて実施することができる。
【0025】
他の場合においては、公知の構造、材料、又は動作は、これらの実施形態の種々の態様が不明瞭になることがないように詳細には示されない、又は説明されない。
【0026】
この説明に関連して「実施形態」と表記される場合、この表記は、当該実施形態に関連して記載される特定の構成、構造、又は特徴が少なくとも1つの実施形態に含まれていることを示している。従って、本説明の異なる箇所で現われる可能性がある「実施形態において」のようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態を指している訳ではない。
【0027】
更に、特定の構成、構造、又は特徴は、1つ以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0028】
本明細書において使用される参照符号は利便性のみを考慮して付されているので、これらの実施形態の保護領域又は範囲を規定するものではない。
【0029】
図1及び
図6を参照すると、参照符号10及び10'は、吸収性構造体、又はこれらの吸収性構造体の一部を、器具20を用いて、
図2に示す好適な実施形態に従って製造する2つの製造方法を示しており、この好適な実施形態によって、これらの製造方法において、制御された重量及びサイズの離散量の粒子状の吸収性ポリマー材料310を、進行方向Xに移動し、かつローラ40又はコンベヤベルト600のいずれかとすることができる適切な支持手段で支持される連続帯状体50、60に一定ピッチPで不連続的に塗布することができる。
【0030】
連続帯状体50、60は、一旦、粒子状の吸収性材料310が供給されると、単独で用いることができる、又は使い捨て衛生生理用品の形態の吸収性構造体のような他の材料と組み合わせて用いることができるので有利である。連続帯状体又はシート50又は60は、吸収性を有することができる、例えば
図1の製造方法に示したセルロース繊維のような合成繊維及び/又は天然繊維により形成することができる、又は別の構成として、これらの帯状体又はシートには、例えば
図6の製造方法に示す不織布帯状体のような薄板状の非吸収性繊維シートを用いることができる。
【0031】
図1及び
図6にそれぞれ模式的に描かれている製造方法10又は10'は、
図2〜
図5に図示される好適な実施形態に従って製造される、一定に制御された重量の粒子状の吸収性材料の連続的な一定質量流320を器具20に供給するように配置されるディスペンサ30により構成することができる。
【0032】
図2に示す実施形態による器具20によって有利に管理することができる使い捨て衛生用品の吸収性構造体の製造に頻繁に使用される或る種類の粒子状の吸収性材料310は、独国のエッセンRellinghauser大通り1−11番、45128(郵便番号)にあるEvonik Industries AGが製造、販売している媒体浸透性をもつ高吸収性ポリマーZ3403とすることができる。
【0033】
この種類の製造方法に特に適するディスペンサ30は、米国ニュージャージー州Moonachieの20Empire Blvd通りの07074(郵便番号)にあるAcrison.Inc.,が製造、販売する重量低減塗布システムモデルAI−405−105R−1とすることができる。
【0034】
この種類のディスペンサ30は、粒子状の吸収性ポリマー材料310の連続的な一定質量流320を、装填容器の上部圧力変動、又は当該質量流を調整することができる要素群のうちのいずれか1つの要素に関連する見掛け上の密度の変動のような当該質量流に影響を与えてしまう任意の可変要素とは独立して供給することができる。実際、ディスペンサ30には通常、重量制御システムが設けられ、この重量制御システムで常に、下流プロセスに単位時間に供給される粒子状の吸収性材料310の量に応じた重量変動をチェックする。制御システムは、連続的な一定質量流320を適正に変化させて、下流プロセスに供給される粒子状の吸収性材料310の質量を所定の許容限界値に収まるように常に維持することができる。
【0035】
ディスペンサ30のサイズ決定及び選択は、製造ラインで単位時間に製造する必要がある吸収性構造体の数に、吸収性構造体群の各吸収性構造体に塗布される各吐出量250ごとの粒子状の吸収性材料310の量を乗算することにより行われる。
【0036】
例えば
図1及び
図6に示す吸収性構造体の製造に適する方法及び装置によって、1分当たり700個の吸収性構造体を吐出量250で製造する、例えば10グラムの粒子状の吸収性材料310から製造することができるので有利であると考えると、ディスペンサ30は、粒子状の吸収性材料310が420kg/時間の割合で流れる連続的な一定質量流320を供給することができることになる。
【0037】
ユニット又は器具20は、ディスペンサ30の下流に配置することができ、この器具20が、粒子状の吸収性材料310の連続的な一定質量流320を、複数の所定離散量(又は、吐出量)250の粒子状の吸収性材料310からなる間欠流に変換し、そして相対移動している基材50、60に吐出量250で、かつ一定ピッチPで塗布する。
【0038】
好適な実施形態では、
図3〜
図5に示すように、粒子状の吸収性ポリマー材料310の連続的な一定質量流320は装置又は器具20に、供給マニホールド210の口部215を介して供給され、当該材料が次に、重量及びサイズが制御された吐出量250で、射出ノズル500から、供給マニホールド210と射出ノズル500との間に位置する主本体200を通過した後に射出される。粒子状の吸収性材料310は、器具20を通過する際、
図2に明確に図示される供給マニホールド210、射出ノズル500、及び主本体200のそれぞれの対称軸に一致する方向Y'−Y'に沿って流れる。好適な実施形態では、装置又は器具20の主本体200は、粒子状の吸収性材料310の通過方向Y'−Y'と直交する方向に全て直角の四角形の内側断面を有する。
【0039】
主本体200は更に、上側部分270及び下側部分271を有する。
【0040】
粒子状の吸収性材料310は、装置20の主本体200の内部に、
図3に明確に強調されているように、供給マニホールド210を通過することにより流れ込む。
【0041】
図2に示す好適な実施形態では、可動部材240が主本体200内に収容され、この可動部材240は、第1端部260及び第2端部290を有することができ、粒子状の吸収性材料310の流れの通過方向Y'−Y'に沿って第1尖頭端部260に向かって対称に収束する2つの側面241、242を有することができる。
【0042】
図2の好適な実施形態における可動部材240の第1尖頭端部260は、粒子状の吸収性材料310の流れの通過方向Y'−Y'の上流を指向している。
【0043】
また、
図2の好適な実施形態では、可動部材240の2つの側面241、242は、より幅広の第2端部290と一体となって、第1辺縁291及び第2辺縁292をそれぞれ形成し、更に、可動部材240は、第2端部290において、シャフト軸X'−X'の回りに自由に回転するシャフト295に接続されて、可動部材240が軸X'−X'の回りに、
図3に表示される第1作用位置と
図5に図示される第2作用位置との間で2θの角度で揺動することができるようになっている。
【0044】
シャフト295が今度は、主本体200に、一対の適切な支持体235を介して接続され、これらの支持体235は、任意の種類の軸受により形成することができ、
図2の好適な実施形態では、これらの軸受は高剛性ボール軸受である。
【0045】
シャフト295は更に、機械接続手段265によって、適切なアクチュエータ手段245に接続される。
【0046】
図2の好適な実施形態では、機械接続手段265は、独国のRodder Damm通り170番、48432(郵便番号)にあるKTR KUPPLUNSGSTECHNIK Gmbhが製造、販売しているタイプROTEX GS28 98SHの等速ジョイントの構成部材群で作製することができる。
【0047】
また、
図2の好適な実施形態では、この種類の用途に適する適切なアクチュエータ手段245は、独国のLohrのP.O.Box通り1357番、97803(郵便番号)にあるBosch Rexroth AG,Electric Drives and Controlsが製造、販売しているタイプMSK 071 E−0300のサーボモータ、及び制御システムHMS 54A BASIV V3(これらの図には図示されず)とすることができる。
【0048】
好適な実施形態では、
図3〜
図5において既に説明し、明確に強調したように、アクチュエータ手段245は、可動部材240を、第1作用位置と第2作用位置との間で移動させることにより、当該可動部材240を、10°〜30°の範囲とすることができ、かつ
図9に模式的に示す好適な値20°(θ=10°)の角度2θで揺動させることができる。
【0049】
この分野の専門家であれば、好適な実施形態における主本体200の上側部分270の内側表面275が適切な形状に形成されて、当該可動部材の第1端部260が、2つの作用位置の間を、内側表面275との接着状態を常に保持しながら移動することができるようになっていることが理解できるであろう。
【0050】
可動部材240が、好適な実施形態では
図3に図示されている第1作用位置に位置している場合、当該可動部材は、装置20の主本体200の第1内部側面220及び内部側面壁221及び222と一体となって、2つの内部側面壁221及び222(
図2)によって横方向に区切られ、かつ第1内部側面220、及び可動部材240の第1側面241によって側方を区切られる第1貯留室230を形成することにより、可動部材240の第1側面241が、主本体200の2つの内部側面壁221と222との間を延び、当該可動部材の第1尖頭端部260と、第2端部290の当該可動部材の第1辺縁291と一体となって、主本体200の上側部分270の内側表面274を、主本体200の第1内部側面220の下側部分に接続する。
【0051】
可動部材240が、第1作用位置に位置している場合、第1貯留室230を形成する他に、当該可動部材は、
図3に明確に図示されているように、当該可動部材の第2側面242を有する第1排出ダクト233を、2つの内部側面壁221、222と一体となって、かつ主本体200の第2内部側面223と一体となって形成する。
【0052】
装置20は、この状態に、必要量の粒子状の吸収性ポリマー材料310を収集して、1回吐出量250を、第1貯留室230の内部に形成するために要する時間にわたって保持される。
【0053】
粒子状の吸収性ポリマー材料310を第1貯留室230に装填する動作が完了すると、可動部材240をアクチュエータ手段245により、適切な速度分布で、可動部材240が第2貯留室251及び第2排出ダクト253を形成する構成の
図5に表される第2作用位置に向かって移動させる。この第2作用位置では、可動部材240は、装置20の主本体200の第2内部側面223及び内部側面壁221及び222と一体となって、2つの内部側面壁221及び222によって横方向に区切られ、かつ第2内部側面223、及び可動部材240の第2側面242によって側方を区切られる第2貯留室251を形成することにより、可動部材240の第2側面242が、主本体200の2つの内部側面壁221と222との間を延び、当該可動部材の第1尖頭端部260と、第2端部290の当該可動部材の第2辺縁292と一体となって、主本体200の上側部分270の内側表面274を、主本体200の第2内部側面223の下側部分に接続する。
【0054】
同時に、第1作用位置から第2作用位置に移動する可動部材240は、当該可動部材の第1側面241を有する第2排出ダクト253を、主本体200の2つの内部側面壁221及び222、及び第1内側表面220と一体となって形成し、この第2排出ダクト253から、第1貯留室230に既に収集されている吐出量250の粒子状の吸収性材料310が流れ出る。
【0055】
図2に示す好適な実施形態では、可動部材240が第1作用位置と第2作用位置との間を移動して、主本体200の内側表面220、221、222、223と一体となって形成する第1貯留室230及び第2貯留室251は、これらの貯留室が粒子状の吸収性材料310の密閉性を確保することを特徴としている。密閉性は、可動部材240の表面241、242、243、244と主本体200の内側表面220、221、222、223との間の適切な接合公差により効果的に実現することができる。好適な実施形態では、0.05から0.2mmまでの距離を、可動部材240の第1側面241と第2側面242との間の2つの接続表面243、244と、該当する内部側面壁221及び222との間に実現することが可能である。同様に、同じ距離を、可動部材240の第1尖頭端部260と主本体200の上側部分270の内側表面274との間で実現することができる。また、
図2の好適な実施形態では、しかしながら、可動部材240の第2端部290の第1辺縁291及び第2辺縁292は、主本体200の第1内側表面220及び第2内側表面223とそれぞれ接触するようにすることができる。
【0056】
好適な実施形態では、可動部材240は、
図3及び
図5に明確に強調されている2つの作用位置の間を、
図10のグラフの上側部分に表示される速度分布で移動し、このグラフから、一例として、吸収性構造体を、1分当たり700個の物品を製造する製造ラインで製造するために必要なサイクル時間T=0.00857秒である場合に、可動部材240が2つの作用位置の間を移動するために要する時間tが、サイクル時間の15%〜40%を占めてしまい、この場合、好適な値25%は、この特定の事例では、t=0.00214秒となることが分かる。
【0057】
当業者であれば、速度分布を、ディスペンサ30によって生じる連続的な一定質量流320の粒子状の吸収性材料310の質量と、関連する貯留室230、251に連続的な一定質量流320が生じている時間の両方を一定に制御する動作と組み合わせると、
図2に示す好適な実施形態における器具20は、非常に多くの吐出量250を発生させることができ、全ての吐出量が、粒子状の吸収性材料310の重量について同じ量を有することが理解できるであろう。
【0058】
図4は、可動部材240が2つの作用位置の間を高速で移動して、粒子状の吸収性材料310による汚染が、粒子がない状態になっているはずのシート50、60の領域において生じてしまう危険を最小限に抑える過程を明確に示し、実際、
図5に明確に示すように、移動速度によって、排出ダクトが該当する貯留室において閉じる前に不意に排出ダクトにこぼれ落ちる材料の量を最小限に抑えることができる。
【0059】
図4は更に、好適な実施形態において、粒子状の吸収性材料310の排出動作が、主本体200の上側部分270に位置する吸気口280を設けることにより、有利に進行する様子を明確に示している。
【0060】
実際、好適な実施形態では、スロット群又は孔群とすることができるこれらの吸気口280によって、粒子状の吸収性材料310が射出ノズル500に向かって流れるときに、空気流285で、それぞれの排出ダクト233、253内に形成される空隙を埋めることができ、この射出ノズル500が今度は、粒子状の材料を移動シート50、60に供給するように機能する。
【0061】
当業者であれば、
図3及び
図5に模式的に図示されるように、吸気口280が更に、粒子状の吸収性材料310の装填工程に有利に作用して、それぞれの貯留室230、251に含まれる空気を容易に排出することができることを理解できるであろう。
【0062】
装置20が動作を実行している間、ディスペンサ30は、粒子状の吸収性ポリマー材料310の連続的な一定質量流320を、供給マニホールド210の口部215に供給することにより、2つの貯留室230、251を交互に充填し、貯留室230、251は次に、これらの貯留室がそれぞれの排出ダクト233、253に移行するときに空になる。
【0063】
直ぐ上に説明した動作を周期的に繰り返すことにより、粒子状の吸収性ポリマー材料310の連続的な一定質量流320を、複数の離散的な所定量又は吐出量250の粒子状の吸収性材料310からなる間欠流に移行させることができ、これらの粒子状の吸収性材料は、基材又はシート50、60に堆積させることができ、当該基材又はシート50、60は、
図2の好適な実施形態による器具20を用いる
図1及び
図6の製造方法において、例えば作業方向Xに沿って、直線速度4.667m/sで移動することができ、この直線速度は実際には、各吸収性構造体が400mmの長さを有する構成の吸収性構造体群を1分当たり700個の割合で製造するために必要な速度である。
【0064】
当業者であれば、本発明の装置は、反対方向にも、すなわち右から左へも同様に良好に動作することができるので、本説明に添付されるこれらの図に使用されるX方向の左から右への移動は、説明のためにのみ用いられていることを見落とさないであろう。
【0065】
器具20の好適な実施形態では、
図1〜
図6に明確に表されているように、射出ノズル500は、主本体200の下側部分271に、射出ノズル500と主本体200の2つの部材との間に配置されるマニホールド400を介して接続することができる。
【0066】
マニホールド400は、
図2の好適な実施形態では、マニホールド400自体の外周を取り囲み、かつマニホールド400との射出ノズル500の接続縁520に位置する開口部群420に給気するように機能する加圧空気貯留容器410を備え、高速空気流450を射出ノズル500内で生成することができる。空気流450の流速は100〜300m/sで変化させることができる。
【0067】
好適な実施形態では、この特徴は、マニホールド400の4つの側面に形成され、かつ1〜2.5mmの直径を有し、5〜15mmの距離を置いて配置される孔群によって実現され、更に好適な構成では、孔群は、10mmの距離を置いて1.5mmの直径を有することができる。
【0068】
空気流450は、2つの基本機能を果たす。第1の機能は、大気圧よりも小さい圧力値を高速空気によって生じるベンチュリー効果により射出ノズル500の入口に生成することであり、この高速空気は、
図4に明確に示すように、吸気口又は開口部群280を通って流れる空気流285と一体となって、それぞれの貯留室230及び251内に貯留される吐出量250の粒子状の吸収性材料310を、より大きなエネルギーで取り出すことができ、第2の機能は、各個々の吐出量250の粒子を積層させることである。実際、可動部材240が2つの作用位置の間を移動し、関連する排出ダクト233、253を開放すると、対応する貯留室230、251に既に収容されていた1回吐出量250の粒子状の吸収性材料310が、これもまた空気流450のベンチュリー効果により発生する圧力勾配によって塊として取り出される。吐出量250のこれらの粒子状の吸収性材料310が、空気流450に捕捉されると直ぐに、これらの粒子状の吸収性材料310は、初期吐出工程における吐出量250の粒子全体が流動する流速よりも速い流速に加速され、その結果、吐出量250の粒子自体を広げる、又は積層することができる。この効果により、又はそうではなく、空気流450の流速を調整することにより、1回吐出量250に相当する吐出長さ72、82を制御し、必要に応じて変化させることができる。
【0069】
好適な実施形態では、空気流450の流速は、加圧空気貯留容器410の内部の空気圧の値を適切に調整することにより変えることができる。適正な空気圧値は、0.3
×105Pa〜4
×105Paであり、特に好ましくは、0.7
×105Pa〜1.5
×105Paの範囲の値である。
【0070】
圧力値を調整する簡易かつ効果的なシステムでは、加圧空気貯留容器410を、加圧空気を生成する装置に接続して、容器と装置との間に、via Trieste 16,Vimercate(MB)20871(郵便番号)にあるNorgren SpAが製造、販売しているタイプR73G−3GK−NMRの圧力調整装置を配置する。
【0071】
吐出量250の粒子状の吸収性材料310を移動シート50、60に供給する機能を実行するのみならず、長さ72、82を規定し、制御する好適な実施形態における射出ノズル500は更に、シート50、60に塗布される粒子状の吸収性材料310の各1回吐出量250の幅75、85を制御する機能を実行して、吐出量250の幅75、85が、射出ノズル500の端部の幅550により正確に決定されるようにする。
【0072】
これらの添付の図には図示されていない更に好適な構成では、吐出量250の幅75、85に対する更に良好な制御を確実に行うために、装置20の主要構成部材群は、又はこのような表現ではなく、供給マニホールド210、可動部材240、主本体200、マニホールド400、及び射出ノズル500は、これらの部材が全て、粒子状の吸収性材料310が通過するダクト内側幅を有し、このダクト内側幅が、1回吐出量250に必要な幅75、85に等しくなるように形成される。実際、この更に別の構成では、粒子状の吸収性材料310の内側通路の幅にバラツキが生じることがなく、当該幅が従って、横方向の変化の影響を受けることがなく、これにより従って、粒子状の吸収性材料310の更に安定した規則的な流れ、及び最終的な吐出量250の幅75、85に対する更に良好な制御が確保される。
【0073】
当業者であれば、器具20は、
図2に示す好適な実施形態では、ステンレス鋼AISI 304、具体的には、粒子状の吸収性材料310に直かに触れる構成部材群により形成することができる。実際、極めて高い吸湿性を示す粒子状の吸収性材料310は、起こり得る腐食過程を、耐腐食性金属以外の金属に触れる場合に開始してしまい、可能な表面処理を施しても、これらの表面処理が粒子状の吸収性材料310自体の摩耗作用によって短時間で消滅するので保護を行うことができない。
【0074】
当業者であれば更に、粒子状の吸収性材料310が流れ出るときの流出元の射出ノズル500の噴出端510は、それぞれの連続帯状体50、60から距離110を置いて配置することができ、この距離110は、0.1ミリメートルの最小値から40ミリメートルの最大値にまで変えることができることを理解できるであろう。この可変性は、当該材料の粒子のサイズ、各吐出量250に必要な粒子状の吸収性材料310の量のような幾つかの要素のみならず、粒子状の吸収性材料310の塗布先の連続帯状体50、60の種類及び性質のようなプロセスパラメータによって異なることは明らかである。
【0075】
図1に示す製造方法10では、
図2の好適な実施形態による制御された量の粒子状の吸収性ポリマー材料310を不連続的に塗布する装置20は、吸水性セルロース繊維層により形成される連続帯状体50と組み合わせて使用することができ、吐出量250の塗布方法は、吸水性セルロース繊維層により形成される連続帯状体50が
図1に示すように、既に形成されている場合、又は連続帯状体50自体を形成している際のいずれの場合でも実行することができる。
【0076】
吸収性構造体70のこの種類の製造方法では、射出ノズル500の噴出端510とシート50との間の距離110は、最小15ミリメートル〜最大40ミリメートルの範囲とすることができ、好適な値は30ミリメートルであり、この値は、特に粒子状の吸収性ポリマー材料310を連続帯状体50の製造工程において塗布する場合、粒子状の吸収性ポリマー材料310を連続帯状体50の構成繊維と更に完全に混合する際に有利に作用する。
【0077】
図6に示す例示的な製造方法10'では、
図2の好適な実施形態による制御された量の粒子状の吸収性ポリマー材料310を不連続的に塗布する装置20を用いて吸収性構造体80を製造することができ、この吸収性構造体80は、中空形成部群又は微小凹形成部群820に、通常、不織布材料帯状体により形成されるシート60に付着する粒子状の吸収性材料310を充填することにより製造される。各吸収性構造体80のこれらの中空形成部群又は微小凹形成部群820は、アレイ状の平行な行850に並んだセル群又は中空部群、或いは凹部群820として設けることができる。
【0078】
セル群又は中空部群820の各々は、
図8に示す円形とするか、又は六角形、或いは任意の他の形状とすることができる口形状825を有する。
【0079】
吸収性構造体80を製造するのに適するシートは、米国サウスカロライナ州のSimpsonville840 SE Main Streetの29681にあるFitesaが製造、販売している10g/m
2親水性SMS,code IC3EW−100 010 DB Wである。
【0080】
上に簡単に説明した吸収性構造体80を製造する場合、支持シート60は、ドラムとするか、又は
図6に示すように、ベルト600とすることができる支持装置の上を搬送され、このベルト600には、当該ベルトの外側表面650にある複数のグループ610の窪み620が設けられ、これらの窪み620は、空洞群又は凹部群820の所望の形状を再現する断面を有する。これらのアレイ群810は、吸収性構造体80の長さ83に等しい一定ピッチPで離間配置される。支持シート60は、成形ベルト600に付着させ、例えばローラの外側表面に、ベルト又はドラム600の外側表面650のこれらの窪み620の形状及び位置に対応する複数の突起を備える利用可能な加圧ローラ(
図6に示す方法では使用されない)が、ベルト又はドラム600の内側表面640に真空供給機構670を介して加わる、大気圧より低い圧力源660の作用と一体となって作用することにより変形を受ける。通気面625がこれらの窪み620の底部にあることにより、これらの通気面625が真空供給機構670の傍に並んで位置すると、大気圧より低い圧力源660によって生成される真空によって、シート60が成形ベルト600の窪み620の内部に吸引されて、空洞群又は凹部群820が結果的に形成された状態の変形が起こる。
【0081】
当業者であれば、変形動作は、上に説明した2つの器具のうちの一方の器具によってのみ行うこともでき、実際、
図6の図に強調されているように、シート60の変形は、真空作用によってのみ行うことができることを見落とさないであろう。
【0082】
直ぐ上に説明した形成プロセスは、プラスチック材料フィルムを真空中で変形させる方法とほぼ同様であり、例えば欧州特許出願公開第1974705A1号、及び同第2286776A1号に記載されているベルトシステム上で、又はドラムシステム上のいずれでも実施することができるので有利である。
【0083】
図6に示す例示的な製造方法10'では、装置20は、吐出量250の粒子状の吸収性ポリマー材料310を、連続帯状体60に既に形成されている関連するアレイ810の空洞820内に堆積させる。この特定のプロセスでは、射出ノズル500の噴出端510とシート50との間の距離110は、最小0.1mm〜最大5mmの範囲に、好ましくは、0.5mm〜1mmの範囲に収めることにより、粒子状の吸収性材料310が、ベルト600で支持されるシート60から跳ね返るのを必ず回避することができるので、粒子状の材料を付着させてはならない領域の汚染を回避することができる。
【0084】
方法10'では、吐出量250の粒子状の吸収性材料310を堆積させる工程は、空洞群820のアレイ810を形成する工程と同時に行われ、従って、器具20は、吐出量250の粒子状の吸収性材料310の堆積を、第1空洞群又は中空部群820自体が、射出ノズル500の口部又は噴出端510の下方に来ると直ぐに開始し、吐出動作は、関連するアレイ810の空洞群820の全てが、口部又は噴出端510の下方を通過してしまうことにより、粒子状の吸収性材料310で充填されてしまうと停止する。
【0085】
器具20の更に別の特に好適な実施形態では、射出ノズル500を細かく分割して、互いから該当する幅550に沿って分離され、かつ互いに並んで配置される複数のダクトとに細分割することができ、これらのダクトは、粒子状の吸収性材料310の塗布を行うと、粒子状の材料が塗布/進行方向Xに直交し、かつシート50、60に直交するY方向に不連続になるように設計される。
【0086】
当業者には、更に別の実施形態を、
図6に示す製造方法10'に適用することができる、すなわち装置20が、1回吐出量250の粒子状の吸収性材料310を、今度は、互いに平行に複数行850に並んだ凹部群又は空洞群820により形成される対応するアレイ群810に充填する場合に適用することができるので有利であることは明らかであり、この場合、互いに隣接配置される一連のダクトを備える射出ノズル500は、各噴出ダクトが、該当する並び850に同軸に配置されるように用いることができる。
【0087】
吸収性構造体80は、粒子状の吸収性材料310を中空部群820内に、更に別の不織布材料シートで密封することにより、粒子状の吸収性材料310を閉鎖し、固定する、例えば機械システム750又は糊付けシステム690、700のような適切な手段を設けることにより完成させることができる。
【0088】
勿論、本発明の原理を損うことなく、製造及び実施形態についての詳細は、記載され、かつ例示される製造及び実施形態について、以下の請求項に規定される本発明の範囲から逸脱しない限り、広範に変えることができる。