(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
《第1の実施形態》
本実施形態に係る進行方向監視装置100は、線路を走行する車両の進行方向前方にレーザ光を照射し、当該光の反射光に基づいて進行方向前方の画像を生成する撮像装置である。つまり、本実施形態に係る進行方向監視装置100が生成する画像は、車両の進行方向前方から入射する光の分布を示すマップ情報である。なお、光は波動の一種である。車両の運転士は、車両の運行にあたって進行方向監視装置100が生成する画像を確認することで、車両の進行方向に障害物が存在するか否かを判断することができる。
【0016】
図1は、第1の実施形態に係る進行方向監視装置100のハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
進行方向監視装置100は、レーザ照射部101、撮像素子102、衛星信号受信機103、ディスプレイ104、コンピュータ105を備える。進行方向監視装置100は、波動照射装置の一例である。
レーザ照射部101は、車両の運転室の上方に車両の長手方向前方を向いて配置される。レーザ照射部101は、レーザ光を車両の進行方向前方に照射する。
撮像素子102は、レーザ照射部101が照射した光の反射光を光学系を介して受光し、当該反射光の強度の分布に基づいて画像を生成する。撮像素子102の光学系は、光軸が、車両の長手方向前方の所定距離(例えば、700メートル)先の地表と交差するように配置される。撮像素子102は、車両の運転室の上方に設けられる。
衛星信号受信機103は、衛星測位システム(Navigation Satellite System, NSS)を構成する衛星から、時刻情報を含む衛星信号を受信する。衛星測位システムの例としては、GPS(Global Positioning System)などが挙げられる。
ディスプレイ104は、コンピュータ105によって生成された画像を表示する。ディスプレイ104は、車両の運転室内に配置される。
コンピュータ105は、CPU501、主記憶装置502、補助記憶装置503、インタフェース504を備える。
補助記憶装置503は、進行方向監視方法の実行プログラムを記憶している。インタフェース504は、レーザ照射部101、撮像素子102及びディスプレイ104に接続される。
【0017】
図2は、第1の実施形態に係る進行方向監視装置100のソフトウェア構成を示す概略ブロック図である。
CPU501は、プログラムを補助記憶装置503から読み出して主記憶装置502に展開し、当該プログラムに従って所定の処理を実行することで、監視部601、自車位置特定部602、経路記憶部603、方角特定部604、非障害物位置記憶部605、非障害物位置特定部606、照射判定部607、照射制御部608を備える。
【0018】
監視部601は、インタフェース504を介して撮像素子102から画像を取得し、画像をディスプレイ104に表示させる。
自車位置特定部602は、衛星信号受信機103が受信した衛星信号に基づいて車両の現在位置を示す位置情報を特定する。位置情報とは、緯度および経度を含む情報である。
経路記憶部603は、車両が走行する線路の形状と線路の位置情報とを示す走行経路情報を記憶する。
方角特定部604は、自車位置特定部602が特定した車両の位置情報と、経路記憶部603が記憶する走行経路情報とに基づいて、車両が向く方角を特定する。
非障害物位置記憶部605は、経路沿いに設けられた建造物の位置情報を記憶する。建造物は、車両の進行を妨げない非障害物の一例である。
非障害物位置特定部606は、非障害物位置記憶部605から非障害物の位置情報を読み出す。
【0019】
照射判定部607は、自車位置特定部602が特定した車両の位置情報と、方角特定部604が特定した方角と、非障害物位置特定部606が読み出した特定地点の位置情報とに基づいて、レーザ光の照射範囲に、非障害物位置記憶部605に記録された建造物が含まれるか否かを判定する。
照射制御部608は、レーザ光の照射範囲に建造物が含まれる場合に、レーザ照射部101によるレーザ光の照射を停止させる。
【0020】
本実施形態に係る進行方向監視装置100の動作について説明する。
図3は、第1の実施形態に係る進行方向監視装置100の動作を示すフローチャートである。
進行方向監視装置100の自車位置特定部602は、衛星信号受信機103から衛星信号を取得し、衛星信号に基づいて車両の現在位置(緯度および経度)を特定し、当該位置を示す位置情報を生成する(ステップS1)。次に、方角特定部604は、自車位置特定部602が生成した車両の位置情報と、経路記憶部603が記憶する経路情報とに基づいて、車両が向く方角を特定する(ステップS2)。例えば、方角特定部604は、自車位置特定部602が生成した位置情報が示す位置における、経路記憶部603が記憶する経路に対する接線が伸びる方角を、車両が向く方角と特定する。
【0021】
次に、非障害物位置特定部606は、非障害物位置記憶部605から、建造物の位置情報を読み出す(ステップS3)。次に、照射判定部607は、自車位置特定部602が特定した車両の位置情報と、方角特定部604が特定した方角とに基づいて、レーザ光の照射範囲を特定する(ステップS4)。例えば、照射判定部607は、車両の位置情報が示す位置から所定の照射距離(例えば、700メートル)以内かつ、方角特定部604が特定した方角を中心とした所定角度の範囲(例えば、プラスマイナス1度)内の領域を、レーザ光の照射範囲として特定する。
【0022】
次に、照射判定部607は、特定したレーザ光の照射範囲内に、非障害物位置特定部606が特定した位置情報が示す位置が含まれるか否かを判定する(ステップS5)。つまり、照射判定部607は、レーザ光の照射範囲に建造物が含まれるか否かを判定する。照射判定部607が、レーザ光の照射範囲に建造物が含まれないと判定した場合(ステップS5:NO)、照射制御部608は、レーザ照射部101に所定の強度のレーザ光を照射させる(ステップS6)。そして監視部601は、当該レーザ光の反射光によって生成された画像を撮像素子102から取得し、当該画像をディスプレイ104に表示させ(ステップS7)、処理を終了する。
他方、照射判定部607が、レーザ光の照射範囲に建造物が含まれると判定した場合(ステップS5:YES)、照射制御部608は、レーザ照射部101にレーザ光の照射を停止させる(ステップS8)。そして進行方向監視装置100は、撮像素子102が生成した画像をディスプレイ104に表示させずに、処理を終了する。
【0023】
上述したように、本実施形態よれば、進行方向監視装置100は、レーザ光の照射範囲に建造物が含まれない場合にレーザ光の照射に基づいて画像を生成し、レーザ光の照射範囲に建造物が含まれる場合にレーザ光の照射を停止する。これにより、進行方向監視装置100は、建造物に強いレーザ光が照射されることを防ぎつつ、進行方向前方の監視をすることができる。
【0024】
《第2の実施形態》
第1の実施形態に係る進行方向監視装置100は、レーザ光の照射範囲内に建造物が存在する場合にレーザ光の照射を停止する。これに対し、第2の実施形態に係る進行方向監視装置100は、レーザ光の照射範囲内に建造物が存在する場合にレーザ光のパワー密度を低下させる。
図4は、第2の実施形態に係る進行方向監視装置100のソフトウェア構成を示す概略ブロック図である。
第2の実施形態に係る進行方向監視装置100は、第1の実施形態の構成に加え、さらに距離特定部609を備える。また、第2の実施形態に係る進行方向監視装置100は、第1の実施形態と照射制御部608の動作が異なる。
距離特定部609は、自車位置特定部602が特定した位置情報と非障害物位置特定部606が特定した位置情報とに基づいて、車両と建造物との間の距離を特定する。
照射制御部608は、距離特定部609が特定した距離に基づいて、レーザ照射部101に照射させるレーザ光のパワーを決定する。
【0025】
本実施形態に係る進行方向監視装置100の動作について説明する。
図5は、第2の実施形態に係る進行方向監視装置100の動作を示すフローチャートである。
進行方向監視装置100の自車位置特定部602は、衛星信号受信機103から衛星信号を取得し、衛星信号に基づいて車両の現在位置を特定し、当該位置を示す位置情報を生成する(ステップS11)。次に、方角特定部604は、自車位置特定部602が生成した車両の位置情報と、経路記憶部603が記憶する経路情報とに基づいて、車両が向く方角を特定する(ステップS12)。
【0026】
次に、非障害物位置特定部606は、非障害物位置記憶部605から、建造物の位置情報を読み出す(ステップS13)。次に、照射判定部607は、自車位置特定部602が特定した車両の位置情報と、方角特定部604が特定した方角とに基づいて、レーザ光の照射範囲を特定する(ステップS14)。
【0027】
次に、照射判定部607は、レーザ光の照射範囲に建造物が含まれるか否かを判定する(ステップS15)。照射判定部607が、レーザ光の照射範囲に建造物が含まれないと判定した場合(ステップS15:NO)、照射制御部608は、レーザ照射部101に所定の強度のレーザ光を照射させる(ステップS16)。そして監視部601は、当該レーザ光の反射光によって生成された画像を撮像素子102から取得し、当該画像をディスプレイ104に表示させ(ステップS17)、処理を終了する。
【0028】
他方、照射判定部607が、レーザ光の照射範囲に建造物が含まれると判定した場合(ステップS15:YES)、距離特定部609は、自車位置特定部602が特定した位置情報と、非障害物位置特定部606が特定した位置情報とに基づいて、車両とレーザ光の照射範囲に存在する建造物との間の距離を特定する(ステップS18)。次に、照射制御部608は、距離特定部609が特定した距離に基づいて、レーザ照射部101に照射させるレーザ光のパワーを決定する(ステップS19)。具体的には、照射制御部608は、距離特定部609が特定した距離におけるレーザ光のパワー密度が、建造物への照射が許容されるパワー密度以下になるように、レーザ光のパワーを決定する。なお、車両と建造物との距離が近いほど、照射が許容されるレーザ光のパワーは小さくなる。
【0029】
照射制御部608は、照射させるレーザ光のパワーを決定すると、レーザ照射部101に当該パワーのレーザ光を照射させる(ステップS20)。そして監視部601は、当該レーザ光の反射光によって生成された画像を撮像素子102から取得し、当該画像をディスプレイ104に表示させ(ステップS21)、処理を終了する。
【0030】
上述したように、本実施形態よれば、進行方向監視装置100は、レーザ光の照射範囲に建造物が含まれる場合に、当該照射範囲内に存在する建造物おけるレーザ光のパワー密度が許容値以下になるように、照射パワーを変更する。これにより、進行方向監視装置100は、建造物に強いレーザ光が照射されることを防ぎつつ、進行方向前方の監視をすることができる。
【0031】
なお、本実施形態に係る進行方向監視装置100は、照射させるレーザ光のパワーを変更することで、建造物におけるレーザ光のパワー密度を低減させるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る進行方向監視装置100は、レーザ光の拡がり角を大きくすることで、建造物におけるレーザ光のパワー密度を低減させても良い。
【0032】
《第3の実施形態》
図6は、第3の実施形態に係る進行方向監視装置100のハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
第1の実施形態および第2の実施形態に係る進行方向監視装置100は、建造物に照射されるレーザ光のパワーを制御する。これに対し、第3の実施形態に係る進行方向監視装置100は、対向車両に照射されるレーザ光のパワーを制御する。対向車両は、車両の進行を妨げない非障害物の一例である。
【0033】
第3の実施形態に係る進行方向監視装置100は、第1の実施形態の構成に加え、さらに通信アンテナ106を備える。通信アンテナ106は、対向車両に搭載された進行方向監視装置100との通信に用いられる。通信アンテナ106は、対向車両に搭載された進行方向監視装置100が備えるアンテナと直接通信を行っても良いし、地上に設けられた中継装置を介して対向車両に搭載された進行方向監視装置100との通信を行っても良い。
【0034】
図7は、第3の実施形態に係る進行方向監視装置100のソフトウェア構成を示す概略ブロック図である。
第3の実施形態に係る進行方向監視装置100は、第1の実施形態の非障害物位置記憶部605に代えて通信部610を備える。また、第2の実施形態に係る進行方向監視装置100は、第1の実施形態と非障害物位置特定部606の動作が異なる。
通信部610は、通信アンテナ106を介して対向車両に搭載された進行方向監視装置100と通信を行う。通信部610は、対向車両に搭載された進行方向監視装置100から位置情報を受信する。また通信部610は、自車位置特定部602が特定した位置情報を対向車両に搭載された進行方向監視装置100へ送信する。
非障害物位置特定部606は、通信部610が受信した情報に基づいて、対向車両の位置情報を受信する。
【0035】
これにより、本実施形態に係る進行方向監視装置100は、レーザ光の照射範囲に対向車両が含まれない場合にレーザ光の照射に基づいて画像を生成し、レーザ光の照射範囲に対向車両が含まれる場合にレーザ光の照射を停止する。これにより、進行方向監視装置100は、対向車両に強いレーザ光が照射されることを防ぎつつ、進行方向前方の監視をすることができる。
【0036】
なお、本実施形態に係る進行方向監視装置100は、第1の実施形態と同様にレーザ光の照射の停止により、対向車両に強いレーザ光が照射されることを防ぐが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る進行方向監視装置100は、第2の実施形態と同様にレーザ光のパワー密度を変更することにより、対向車両に強いレーザ光が照射されることを防いでも良い。
【0037】
また、他の実施形態に係る進行方向監視装置100は、第1の実施形態または第2の実施形態の構成をさらに備え、対向車両および建造物に強いレーザ光が照射されることを防いでも良い。また、他の実施形態に係る進行方向監視装置100は、対向車両に限られず、自車両と同一の方向に走行する先行車両に強いレーザ光が照射されることを防いでも良い。
【0038】
《第4の実施形態》
図8は、第4の実施形態に係る進行方向監視装置100のハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
第4の実施形態に係る進行方向監視装置100は、第3の実施形態の構成に加え、さらに補助レーザ照射部107および補助撮像素子108を備える。
補助レーザ照射部107は、車両(車両が列車である場合、最後尾車両)の後部の上方に車両の長手方向後方を向いて配置される。補助レーザ照射部107は、レーザ光を車両の進行方向後方に照射する。つまり、補助レーザ照射部107は、レーザ光を対向車両の進行方向前方に照射する。
補助撮像素子108は、補助レーザ照射部107が照射した光の反射光を光学系を介して受光し、当該反射光の強度の分布に基づいて画像を生成する。補助撮像素子108の光学系は、光軸が、車両の長手方向後方の所定距離(例えば、700メートル)先の地表と交差するように配置される。補助撮像素子108は、車両(車両が列車である場合、最後尾車両)の後部の上方に設けられる。
【0039】
図9は、第4の実施形態に係る進行方向監視装置100のソフトウェア構成を示す概略ブロック図である。
本実施形態に係る進行方向監視装置100は、第3の実施形態の構成に加え、更に画像取得部611を備える。また本実施形態に係る進行方向監視装置100は、照射制御部608、監視部601および通信部610の動作が第3の実施形態と異なる。
監視部601は、インタフェース504を介して撮像素子102から画像を取得した画像、または通信部610が受信した画像をディスプレイ104に表示させる。
照射制御部608は、照射判定部607によってレーザ照射部101によるレーザ光の照射範囲に対向車両が含まれると判定された場合に、通信部610が受信した照射条件に従って、補助レーザ照射部107にレーザ光を照射させる。
通信部610は、対向車両に備えられた進行方向監視装置100から対向車両の位置情報および対向車両の進行方向後方(つまり自車両の進行方向前方)を撮像した画像を受信する。通信部610は、対向車両に備えられた進行方向監視装置100に、自車位置特定部602が特定した位置情報および画像取得部611が取得した画像を送信する。本実施形態に係る通信部610は、監視情報送信部および監視情報受信部の一例である。
画像取得部611は、インタフェース504を介して補助撮像素子108が撮像した画像を取得する。
【0040】
図10は、第4の実施形態に係る進行方向監視装置100の動作を示すフローチャートである。
進行方向監視装置100の通信部610は、通信アンテナ106を介して対向車両に備えられた進行方向監視装置100との通信を試みる(ステップS31)。通信部610が対向車両に備えられた進行方向監視装置100との通信に成功した場合(ステップS31:YES)、対向車両に備えられた進行方向監視装置100から、当該対向車両の位置情報を受信する。非障害物位置特定部606は、通信部610が受信した位置情報に基づいて、対向車両の位置を特定する(ステップS32)。
【0041】
次に、自車位置特定部602は、衛星信号受信機103から衛星信号を取得し、衛星信号に基づいて車両の現在位置を特定し、当該位置を示す位置情報を生成する(ステップS33)。次に、方角特定部604は、自車位置特定部602が生成した車両の位置情報と、経路記憶部603が記憶する経路情報とに基づいて、車両が向く方角を特定する(ステップS34)。
【0042】
次に、照射判定部607は、自車位置特定部602が特定した車両の位置情報と、方角特定部604が特定した方角とに基づいて、レーザ光の照射範囲を特定する(ステップS35)。次に、照射判定部607は、特定したレーザ光の照射範囲内に、非障害物位置特定部606が特定した対向車両の位置が含まれるか否かを判定する(ステップS36)。つまり、照射判定部607は、レーザ光の照射範囲に対向車両が含まれるか否かを判定する。
【0043】
照射判定部607が、レーザ光の照射範囲に対向車両が含まれないと判定した場合(ステップS36:NO)、照射制御部608は、レーザ照射部101に所定の強度のレーザ光を照射させる(ステップS37)。また、ステップS31で対向車両に備えられた進行方向監視装置100との通信が成立しなかった場合にも(ステップS31:NO)、照射制御部608は、レーザ照射部101に所定の強度のレーザ光を照射させる(ステップS37)。これは、対向車両に備えられた進行方向監視装置100との通信ができないことは、自車両と対向車両との距離が十分に離れていることによると考えられるためである。
そして監視部601は、当該レーザ光の反射光によって生成された画像を撮像素子102から取得し、当該画像をディスプレイ104に表示させ(ステップS38)、処理を終了する。
【0044】
照射判定部607が、レーザ光の照射範囲に対向車両が含まれると判定した場合(ステップS36:YES)、照射制御部608は、レーザ照射部101にレーザ光の照射を停止させる(ステップS39)。次に、照射制御部608は、補助レーザ照射部107に所定の強度のレーザ光を照射させる(ステップS40)。次に、画像取得部611は、補助撮像素子108から、補助レーザ照射部107が照射したレーザ光の反射光に基づいて生成された画像を取得する。そして、通信部610は、当該画像を対向車両に備えられた進行方向監視装置100に送信する(ステップS41)。
【0045】
また、通信部610は、対向車両に備えられた進行方向監視装置100から、対向車両に備えられた進行方向監視装置100が撮像した自車両の進行方向前方を写す画像を受信する(ステップS42)。当該画像は、対向車両に備えられた進行方向監視装置100が上述したステップS40の手順によって撮像した画像である。次に、監視部601は、通信部610が受信した画像をディスプレイ104に表示させ(ステップS43)、処理を終了する。
【0046】
上述したように、本実施形態よれば、進行方向監視装置100は、レーザ光の照射範囲に建造物が含まれない場合にレーザ光の照射に基づいて画像を生成し、レーザ光の照射範囲に建造物が含まれる場合にレーザ光の照射を停止する。これにより、進行方向監視装置100は、建造物に強いレーザ光が照射されることを防ぎつつ、進行方向前方の監視をすることができる。
さらに、本実施形態によれば、進行方向監視装置100は、対向車両に備えられた進行方向監視装置100から対向車両の進行方向後方を撮像した画像を受信する。これにより、進行方向監視装置100は、進行方向前方へのレーザ光の照射を停止している間にも、進行方向前方の監視をすることができる。
同様に、本実施形態によれば、進行方向監視装置100は、対向車両に備えられた進行方向監視装置100へ、自車両の進行方向後方を撮像した画像を受信する。これにより、対向車両に備えられた進行方向監視装置100は、進行方向前方へのレーザ光の照射を停止している間にも、進行方向前方の監視をすることができる。
【0047】
なお、本実施形態に係る補助レーザ照射部107および補助撮像素子108は、車両の長手方向後方を向いて配置されるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る補助レーザ照射部107および補助撮像素子108は、車両の後部に設けられ、車両の高さ方向に回転可能な回転台の上に設けられても良い。この場合、進行方向監視装置100は、対向車両から受信する位置情報または撮像方向を示す情報に基づいて当該回転台を回転させることで、補助レーザ照射部107および補助撮像素子108を対向車両の進行方向前方へ向けても良い。
【0048】
なお、本実施形態に係る進行方向監視装置100は、補助撮像素子108を備えるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る進行方向監視装置100は、補助撮像素子108を備えなくても良い。この場合、進行方向監視装置100の撮像素子102が、対向車両の補助レーザ照射部107が照射したレーザ光の反射光を受光することで、自車両の進行方向前方の画像を生成する。つまり、監視部601は、照射判定部607がレーザ光の照射範囲に対向車両が含まれると判定した場合に、当該対向車両が備える進行方向監視装置100が自車両の進行方向前方に照射した波動の反射波に基づいて、自車両の進行方向前方の地点の画像を生成する。
【0049】
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、上述した実施形態に係る車両は、線路上を走行するものであるが、これに限られず、予め定められた経路上を走行する車両や、任意の経路を走行する車両であって、カーナビゲーションシステムなどによって経路が提案されるものであっても良い。
【0050】
また、上述した実施形態では、進行方向監視装置100として撮像装置を用いる場合について説明したが、これに限られない。例えば、他の実施形態では、進行方向監視装置100として、光、電波または超音波などの波動を照射し、その反射波を受光するまでの時間または反射波の位相に基づいて、距離を計測する距離計を用いても良い。当該距離計は、進行方向前方の空間における距離の分布(波動の入射時間の分布)を示すマップ情報を生成しても良い。
【0051】
また、他の実施形態に係る進行方向監視装置100は、上述した各実施形態に係る進行方向監視装置100の特徴を組み合わせたものであっても良い。また、他の実施形態に係る進行方向監視装置100は、波動照射装置と撮像装置とを別個の装置として備えるものであっても良い。
【0052】
なお、少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置503は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース504を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ105に配信される場合、配信を受けたコンピュータ105が当該プログラムを主記憶装置502に展開し、上記処理を実行しても良い。
【0053】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置503に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。