【実施例1】
【0009】
図1は第1の実施例における媒体搬送機構の概略正面図、
図2は第1の実施例における取引装置の制御構成を示すブロック図、
図3は第1の実施例における取引装置の構成を示す概略上面図である。
図1、
図2および
図3において、取引装置1は、媒体100を取扱う取引を行うものであり、例えば通帳等の媒体100を取扱う現金自動預払機や通帳または伝票等の媒体100を取扱う通帳伝票プリンタ等である。
【0010】
取引装置1は、媒体検出センサ2と、フィードローラシャフト3(31、32、33、34)と、プレスローラシャフト4(41、42、43、44)と、幅寄せローラ7と、幅寄完了検出センサ8(8a、8b)と、頁・行検出センサ(以下、「PSセンサ」という。)9と、印字ヘッド10と、駆動モータ11と、動力伝達切替機構12と、PS駆動モータ15と、印字ヘッド駆動モータ16と、プレス駆動ソレノイド18と、制御部25とにより構成されている。
媒体100は、例えば通帳や伝票等であり、頁を識別する識別標識としての頁マーク101や頁マーク102が印刷され、また印字領域には日付103や残高104等が印刷されるものである。
【0011】
媒体検出センサ2は、媒体100の有無を光学的に検知する透過型のセンサであり、媒体100を搬送する搬送路としての媒体搬送路5に配置され、媒体100が、図中矢印Aが示す挿入方向に挿入されたことおよび図中矢印Bが示す排出方向に排出されたことを検出するものである。この媒体検出センサ2は、遮蔽物としての媒体100の有をON(暗)、無をOFF(明)として検出する。
フィードローラシャフト31、32、33、34は、図中矢印Aまたは矢印Bが示す媒体搬送方向における一方の側部の媒体走行ガイド6と他方の側部の支持部材に軸支され、媒体100を搬送するフィードローラ(搬送ローラ)が取り付けられたものであり、フィードローラを回転させて媒体100を搬送するものである。なお、媒体走行ガイド6は、媒体搬送路5の媒体搬送方向における一方の側部に配置され、媒体100の媒体搬送方向における一方の端部を案内するものである。
【0012】
フィードローラシャフト31には、フィードローラ311、312、313が取り付けられ、フィードローラシャフト32には、フィードローラ321、322、323が取り付けられ、フィードローラシャフト33には、フィードローラ331、332、333が取り付けられ、フィードローラシャフト34には、フィードローラ341、342、343が取り付けられている。
搬送ローラとしてのフィードローラ311、312、313、321、322、323、331、332、333、341、342、343は、媒体搬送路5に設けられ、媒体100と接触して媒体100を搬送する。
【0013】
フィードローラシャフト31、32、33、34は、図示しない駆動伝達ギアを介して駆動モータ11と連結されており、制御部25の制御により正逆の回転方向および回転量を任意に変更することが可能になっている。
プレスローラシャフト41、42、43、44は、それぞれのフィードローラシャフト31、32、33、34と媒体搬送路5を介して対向配置され、媒体100をフィードローラシャフト31、32、33、34のフィードローラに接触させ、押圧するプレス(押圧)ローラが取り付けられたものである。
【0014】
図1に示すように、プレスローラシャフト41には、プレスローラ411、412、413がフィードローラ311、312、313と媒体搬送路5を介して対向するように取り付けられ、配置されている。なお、プレスローラシャフト42〜44もプレスローラシャフト41と同様の構成である。
プレスローラシャフト41、42、43、44は、図示しない駆動伝達ギアを介してプレス駆動ソレノイド18と連結されており、制御部25の制御によりフィードローラシャフト31、32、33、34に対して近接または離間することが可能になっている。
【0015】
幅寄せローラ7は、媒体100を媒体走行ガイド6に寄せるものである。この幅寄せローラ7とフィードローラシャフト31、32、33、34との間には、
図2に示す動力伝達切替機構12が設けられており、制御部25が動力伝達切替機構12を切替制御することにより、駆動モータ11の動力が幅寄せローラ7またはフィードローラシャフト31、32、33、34に切り替えられ、それぞれを回転させることができるようになっている。
【0016】
幅寄完了検出センサ8(8a、8b)は、媒体100が媒体走行ガイド6に寄せられたことを光学的に検知する透過型センサであり、媒体走行ガイド6に沿って所定の距離を保持して配置されている。この幅寄完了検出センサ8(8a、8b)は、遮蔽物としての媒体100の有をON(暗)、無をOFF(明)として検出する。
読取センサとしてのPSセンサ9は、搬送ローラで搬送される媒体100に印刷された識別情報としての頁マークおよび印字した文字を光学的に読取る(検出する)ラインセンサである。
【0017】
PSセンサ9で読み取った白色部および黒色部は電圧に変換され、白色部の電圧値は高く、黒色部の電圧値は低く出力される。このように、黒色部の濃度が高くなるにつれて電圧値は高くなるため、白色部の電圧値を基準として予め登録されている複数の検出電圧の閾値と、頁マークおよび印字した文字を読取ったPSセンサ9が出力する電圧値とを比較することにより、濃度を判別し、黒色部を検出することができる。
したがって、媒体100の白色部が汚れてくると、PSセンサ9が出力する電圧値が低くなり、白色部と黒色部との電圧値の差が減少するため、頁マークや印字した文字のように白と黒との中間色の濃度を正確に検出することが困難になることがある。
印字ヘッド10は、フィードローラシャフト31、32、33、34のフィードローラにより搬送された媒体100にインク等を付着させて印字を行うものであり、
図3に示すように図中矢印Dが示す媒体搬送方向に直交する方向に移動しながら印字を行う。
【0018】
駆動モータ11は、幅寄せローラ7またはフィードローラシャフト31、32、33、34を回転させるものである。
動力伝達切替機構12は、伝達する駆動モータ11の駆動を幅寄せローラ7またはフィードローラシャフト31、32、33、34に切り替えるものであり、制御部25の切替制御により切り替えることができるようになっている。
PS駆動モータ15は、
図3に示すPSセンサ9を図中矢印Cが示す媒体搬送方向に直交する方向に移動させるものである。このPS駆動モータ15は、制御部25の制御により正逆の回転方向および回転量を任意に変更することが可能になっている。
【0019】
印字ヘッド駆動モータ16は、
図3に示す印字ヘッド10を図中矢印Dが示す媒体搬送方向に直交する方向に移動させるものである。この印字ヘッド駆動モータ16は、制御部25の制御により正逆の回転方向および回転量を任意に変更することが可能になっている。
プレス駆動ソレノイド18は、アクチュエータであり、プレスローラシャフト41、42、43、44をフィードローラシャフト31、32、33、34に対して近接または離間させるものである。
【0020】
プレス駆動ソレノイド18は、シャフト20に固定され、プレス駆動ソレノイド18の軸は、プレスローラシャフト41、42、43、44に接続されたリンク19に接続されている。また、プレスローラシャフト41、42、43、44はバネ21によりフィードローラシャフト31、32、33、34に近接する方向に付勢されている。なお、
図1ではプレスローラシャフト41の構成を示しているが、プレスローラシャフト42、43、44も同様の構成である。
このプレス駆動ソレノイド18の軸を引くことにより、
図1(a)に示すように、プレスローラシャフト41、42、43、44をフィードローラシャフト31、32、33、34に対して離間させ、またプレス駆動ソレノイド18の軸を引く動作を停止(解放)することにより、
図1(b)に示すように、プレスローラシャフト41、42、43、44をフィードローラシャフト31、32、33、34に対して近接させる。
【0021】
プレスローラシャフト41、42、43、44をフィードローラシャフト31、32、33、34に対して近接させると、すべてのプレスローラ411、412、413、421、422、423、431、432、433、441、442、443が、
図1(b)に示すように、媒体搬送路5の搬送面5aから突出し、媒体100をフィードローラ311、312、313、321、322、323、331、332、333、341、342、343との間で挟持する。
制御部25は、CPU(Central Processing Unit)等の制御手段により構成され、メモリ等の記憶部に格納された制御プログラム(ソフトウェア)に基づいて取引装置1全体の動作を制御するものである。
【0022】
図4は第1の実施例におけるフィードローラの構成を示す説明図である。なお、
図4(a)はフィードローラを媒体搬送方向から見た正面図であり、
図4(b)はフィードローラをフィードローラシャフトの軸が伸びる方向から見た側面図である。また、フィードローラの構成はすべて同じ構成であるのでフィードローラ311の構成を説明する。
図4(a)において、フィードローラ311は、媒体搬送方向と直交する方向における両端部にゴム部材で形成された媒体100と接触する凸状の接触部としての凸部311a、311bが形成され、凸部311aと凸部311bとの間(二つの接触部の間)の中央部には、媒体100と接触しない非接触部として窪んだ凹部311cが少なくともひとつ形成されている。
【0023】
凸部311aと凸部311bとの間の凹部311cの媒体搬送方向と直交する方向における幅αは、頁マーク101の幅より広くなるように形成され、凹部311cが頁マーク101に接触しないように形成されている。
また、凹部311cは、頁マーク101に対応する位置に配置され、凸部311aおよび311bが頁マーク101に接触しないように構成されるとともに、凸部311aおよび凸部311bが頁マーク101以外の部位と接触してフィードローラ311が回転することにより、媒体100を搬送するように構成されている。
【0024】
このように構成されたフィードローラは、
図3に示すように、フィードローラ311、321、331、341のフィードローラ列、フィードローラ312、322、332、342のフィードローラ列、およびフィードローラ313、323、333、343の複数のフィードローラ列が媒体搬送方向に略平行に配置されている。
なお、プレスローラ411、421、431、441のプレスローラ列、プレスローラ412、422、432、442のプレスローラ列、およびプレスローラ413、423、433、443のプレスローラ列はそれぞれのフィードローラに対向して配置される。
【0025】
本実施例では、
図3に示す媒体100の頁マーク101および文字103をPSセンサ9で読み取る場合、媒体搬送方向と直交する方向における頁マーク101の中心位置と、フィードローラ311、321、331、341のフィードローラ列の中心位置とが一致するように対応させ、フィードローラ311、321、331、341のフィードローラ列を配置する。
【0026】
なお、本実施例では、フィードローラ311、321、331、341のフィードローラ列およびプレスローラ411、421、431、441のプレスローラ列を媒体100の頁マーク101および文字103に合わせて配置するようにしたが、それに限られることなく、PSセンサ9で読み取る文字等が印刷された位置、すなわちPSセンサ9の読取り領域に合わせて配置するようにしても良い。
また、本実施例では、媒体搬送方向にローラを4つ、媒体搬送方向と直交する方向にローラを3つ配置した例で説明したが、それに限られることなく、媒体100の大きさに合わせて最適な数のローラを配置するようにしても良い。
【0027】
上述した構成の作用について
図1、
図2および
図3を用いて説明する。
まず、取引装置1の制御部25は、プレス駆動ソレノイド18の軸を引き、プレスローラシャフト41、42、43、44とフィードローラシャフト31、32、33、34とを離間させておくものとする。
次に、
図3に示すように、利用者が媒体100を取引装置1の挿入口に挿入すると、媒体100が媒体検出センサ2の光軸を遮断し、媒体検出センサ2がONとなることにより、制御部25は媒体100が挿入されたことを検出する。
【0028】
媒体100が挿入されたことを検出した制御部25は、プレス駆動ソレノイド18の軸を引く動作を停止し、プレスローラシャフト41、42、43、44をフィードローラシャフト31、32、33、34に対して近接させ、媒体100をフィードローラとプレスローラとにより挟持する。
制御部25は、フィードローラシャフト31、32、33、34のフィードローラを駆動モータ11で回転させて媒体100を吸入搬送し、媒体100がフィードローラシャフト31およびフィードローラシャフト32の両方で搬送できる位置まで吸入すると、幅寄完了検出センサ8a、8bがともにONしていること、すなわち媒体100が媒体走行ガイド6に幅寄せされていることを検出する。
【0029】
制御部25は、幅寄完了検出センサ8a、8bがともにONしていることを検出すると、そのままフィードローラシャフト31、32、33、34のフィードローラを駆動モータ11で回転させて媒体100を搬送する。
幅寄完了検出センサ8a、8bのどちらか一方または両方がOFFの場合、制御部25は、フィードローラシャフト31、32、33、34のフィードローラの回転を停止して媒体100の吸入搬送動作を一旦停止させ、プレス駆動ソレノイド18の軸を引き、プレスローラシャフト41、42、43、44とフィードローラシャフト31、32、33、34とを離間させる。
【0030】
プレスローラシャフト41、42、43、44とフィードローラシャフト31、32、33、34とを離間させると、制御部25は、動力伝達切替機構12を切り替えて駆動モータ11の駆動を幅寄せローラ7に伝達するようにする。
動力伝達切替機構12を切り替えた制御部25は、駆動モータ11により幅寄せローラ7を回転させ、媒体100を媒体走行ガイド6に幅寄せし、幅寄完了検出センサ8a、8bがともにONしていることを検出すると、幅寄せローラ7の回転を停止し、媒体100の幅寄せ動作を終了する。
【0031】
媒体100の幅寄せ動作を終了した制御部25は、プレス駆動ソレノイド18の軸を引く動作を停止し、プレスローラシャフト41、42、43、44をフィードローラシャフト31、32、33、34に対して近接させ、再び媒体100をフィードローラとプレスローラとにより挟持する。
媒体100をフィードローラとプレスローラとにより挟持すると、制御部25は、動力伝達切替機構12を切り替えて駆動モータ11の駆動をフィードローラシャフト31、32、33、34に伝達するようにする。
【0032】
動力伝達切替機構12を切り替えた制御部25は、駆動モータ11によりフィードローラシャフト31、32、33、34のフィードローラを回転させて媒体100をPSセンサ9が配置されている位置まで搬送する。
このとき、制御部25は、媒体100の先端が、PSセンサ9が配置されている位置まで搬送される前に、PS駆動モータ15に所定数のパルスを与えてPSセンサ9を所定の読取位置である頁マーク101または頁マーク102を読み取る位置まで移動させる。
制御部25は、搬送される媒体100がPSセンサ9の下方を通過するとき、PSセンサ9により媒体100の頁マークや印字済みの文字を読取り、頁マークや印字済みの文字を検出する。
【0033】
頁マークや印字済みの文字を検出した制御部25は、媒体100を印字ヘッド10が配置されている位置まで搬送し、印字ヘッド10により媒体100に取引データを印字する。
印字を完了すると、制御部25は、駆動モータ11によりフィードローラシャフト31、32、33、34のフィードローラを逆回転させて媒体100を排出方向へ搬送し、媒体100がPSセンサ9の下方を通過するとき、PSセンサ9により媒体100の頁マークや印字済みの文字を読取り、その後媒体100を挿入口から排出し、取引処理を終了する。
【0034】
このように、本実施例では、媒体100に印字を行った後、媒体100を搬送するとき、フィードローラの凸部(
図4に示すフィードローラ311の凸部311a、b)を媒体100に接触させ、凹部(
図4に示すフィードローラ311の凹部311c)は媒体100に接触しないため、媒体100に印字された乾く前のインクがフィードローラの凸部以外に付着することを防止し、フィードローラの汚れを抑制することができる。
また、フィードローラの凹部とPSセンサ9が読み取る頁マーク101や印字した文字103等とが対応するように、フィードローラを媒体搬送方向に一列に配置したことにより、PSセンサ9で読み取る媒体100の領域を汚すことがなくなり、頁マーク101や印字した文字103等の誤検出を抑制することができる。
【0035】
さらに、本実施例では、プレスローラシャフト41、42、43、44をフィードローラシャフト31、32、33、34に対して近接または離間させるアクチュエータとしてプレス駆動ソレノイド18を使用している。これによりプレスローラシャフト41、42、43、44を移動させる動作を高速に行うことができる。
なお、取引装置1は、磁気ストライプ処理機構を備え、媒体100を排出する前に、媒体100に貼付された磁気ストライプの読取りまたは書込みを行う磁気ストライプ処理を行うようにしても良い。
【0036】
以上説明したように、第1の実施例では、媒体を搬送するフィードローラの媒体搬送方向と直交する方向における中央部に媒体と接触しない凹部を形成したことにより、フィードローラの汚れを抑制することができるという効果が得られる。
また、フィードローラの凹部とPSセンサが読み取る頁マークや印字した文字とが対応するように、フィードローラを媒体搬送方向に一列に配置したことにより、PSセンサで読み取る媒体の領域を汚すことがなくなり、頁マークや印字した文字の誤検出を抑制することができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0037】
第2の実施例の構成は、第1の実施例の構成に対して、フィードローラシャフトおよびプレスローラシャフトを軸方向、すなわち媒体搬送方向と直交する方向に移動可能にするローラ移動機構を追加したものとしている。
図5は第2の実施例におけるローラ移動前の媒体搬送機構の概略正面図、
図6は第2の実施例におけるローラ移動後の媒体搬送機構の概略正面図、
図7は第2の実施例における媒体挟持状態の媒体搬送機構の概略正面図、
図8は第2の実施例における取引装置の制御構成を示すブロック図である。
第2の実施例の構成を
図5〜
図8に基づいて説明する。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0038】
図5〜
図8において、取引装置1は、媒体100を取扱う取引を行うものであり、媒体検出センサ2と、フィードローラシャフト31、32、33、34と、プレスローラシャフト41、42、43、44と、幅寄せローラ7と、幅寄完了検出センサ8(8a、8b)と、PSセンサ9と、印字ヘッド10と、駆動モータ11と、動力伝達切替機構12と、PS駆動モータ15と、印字ヘッド駆動モータ16と、プレス駆動ソレノイド18と、制御部25と、シャフト駆動モータ200と、スリット監視センサ210と、ローラ移動位置テーブル選択部211と、ローラ移動位置テーブル212とにより構成されている。
【0039】
シャフト駆動モータ200は、フィードローラシャフト31、32、33、34およびプレスローラシャフト41、42、43、44を移動させて、フィードローラ311〜313、321〜323、331〜333、341〜343およびプレスローラ411〜413、421〜423、431〜433、441〜443を移動させる駆動源である。
【0040】
ここで、フィードローラ311〜313、321〜323、331〜333、341〜343およびプレスローラ411〜413、421〜423、431〜433、441〜443を媒体100の搬送方向と直交する方向に移動させるローラ移動機構220を
図5および
図6に基づいて説明する。
ローラ移動機構220は、シャフト駆動モータ200と、スリット板201と、駆動伝達ギア202、203、204と、リンク205、206と、バネ207、208と、可動搬送面209a〜209dと、スリット監視センサ210とにより構成されている。
【0041】
シャフト駆動モータ200のモータ軸には、中心から外周方向に伸びる貫通孔が形成された円板状のスリット板201が取り付けられており、スリット板201の貫通孔を検知する光透過型のスリット監視センサ210でシャフト駆動モータ200の回転方向および回転量を監視している。
また、駆動伝達ギア204は、シャフト駆動モータ200に連結された駆動伝達ギア202、203を介してフィードローラシャフト31(32、33、34)およびプレスローラシャフト41(42、43、44)と平行に配置されたシャフト20の軸と平行に図中矢印Eが示す方向に移動可能になっている。
【0042】
リンク205およびリンク206は、シャフト20に結合された支点部を軸として駆動伝達ギア204を介して回転可能になっている。駆動伝達ギア204が
図5における右側へ移動すると、リンク205およびリンク206は右に傾いた状態から
図6に示す垂直状態に回転し、すべてのフィードローラ311〜313、321〜323、331〜333、341〜343を含めたフィードローラシャフト31、32、33、34と、すべてのプレスローラ411〜413、421〜423、431〜433、441〜443を含めたプレスローラシャフト41、42、43、44とがバネ207、208を介して媒体搬送方向と直交する方向(媒体走行ガイド6から離れる方向)に移動する。
可動搬送面209a〜209dは、リンク205に連結されており、リンク205が移動すると連動して媒体搬送方向と直交する方向(媒体走行ガイド6から離れる方向)に移動する。
【0043】
この可動搬送面209a〜209dは、可動搬送面209aと可動搬送面209bとの間にフィードローラ311(321、331、341)およびプレスローラ411(421、431、441)が配置され、可動搬送面209bと可動搬送面209cとの間にフィードローラ312(322、332、342)およびプレスローラ412(422、432、442)が配置され、可動搬送面209cと可動搬送面209dとの間にフィードローラ313(323、333、343)およびプレスローラ413(423、433、443)が配置されるように各ローラとともに移動する。
【0044】
なお、本実施例では、可動搬送面209a〜209dを4枚の板状の部材として説明するが、1枚の板状の部材にそれぞれのプレスローラが突出する開口が形成されたものであっても良い。
このように構成されたローラ移動機構は、制御部25の制御により、シャフト駆動モータ200を回転させ、すべてのフィードローラ311〜313、321〜323、331〜333、341〜343を含めたフィードローラシャフト31、32、33、34、すべてのプレスローラ411〜413、421〜423、431〜433、441〜443を含めたプレスローラシャフト41、42、43、44、および可動搬送面209a〜209dの移動方向および移動量を変更することができるようになっている。
【0045】
ローラ移動位置テーブル選択部211は、制御ソフトウェアのパラメータファイルに予め設定されたPSセンサ9で読取る媒体100の識別標識(例えば、頁マーク102)の位置情報に基づいて上述したローラ移動機構の移動方向および移動量を決定するものである。
ローラ移動位置テーブル212は、媒体100の識別標識の位置情報に対応付けてフィードローラ、プレスローラおよび可動搬送面の移動方向および移動量、すなわちフィードローラの凹部(例えば、
図4に示す凹部311c)がPSセンサ9による媒体100の識別標識に対応する位置までのフィードローラ、プレスローラおよび可動搬送面の移動方向および移動量を記憶したデータテーブルである。
【0046】
ローラ移動位置テーブル選択部211は、媒体100の識別標識の位置情報に基づいてローラ移動位置テーブル212を選択し、フィードローラ、プレスローラおよび可動搬送面の移動方向および移動量を決定する。
制御部25は、ローラ移動位置テーブル選択部211により、媒体100の識別標識の位置情報に基づいてローラ移動位置テーブル212を選択してフィードローラ、プレスローラおよび可動搬送面の移動方向および移動量を決定し、媒体100の識別情報の位置を表す位置情報に応じてローラ移動機構220によりフィードローラ、プレスローラおよび可動搬送面を移動させる。
【0047】
上述した構成の作用について説明する。
取引装置が行う取引処理を
図9の第2の実施例における取引処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップに従って
図5〜
図8を参照しながら説明する。
S1:取引装置1の制御部25は、パラメータファイルを参照し、予め設定されたPSセンサ9で読取る媒体100の識別標識の位置情報を抽出する。
【0048】
S2:制御部25は、抽出した媒体100の識別標識の位置情報に基づいて、ローラ移動位置テーブル選択部211により、ローラ移動位置テーブル212を選択し、フィードローラ、プレスローラおよび可動搬送面の移動方向および移動量、すなわちフィードローラの凹部がPSセンサ9による媒体100の識別標識に対応する位置までのフィードローラ、プレスローラおよび可動搬送面の移動方向および移動量を決定する。
S3:制御部25は、フィードローラ、プレスローラおよび可動搬送面の移動が必要か否かを判定し、必要であると判定すると処理をS4へ移行し、不要であると判定すると処理をS5へ移行する。
【0049】
S4:フィードローラ、プレスローラおよび可動搬送面の移動が必要であると判定した制御部25は、決定したフィードローラ、プレスローラおよび可動搬送面の移動方向および移動量に基づいてシャフト駆動モータ200を回転させ、
図6に示すように、すべてのフィードローラ311〜313、321〜323、331〜333、341〜343を含めたフィードローラシャフト31、32、33、34、すべてのプレスローラ411〜413、421〜423、431〜433、441〜443を含めたプレスローラシャフト41、42、43、44、および可動搬送面209a〜209dをシャフト20と平行に移動させる。このとき、フィードローラの凹部は、PSセンサ9による媒体100の識別標識に対応する位置まで移動する。
【0050】
S5:制御部25は、プレス駆動ソレノイド18の軸を引き、プレスローラシャフト41、42、43、44とフィードローラシャフト31、32、33、34とを離間させて媒体100が挿入口から挿入されることを待機し、利用者により媒体100が挿入口から挿入されるものとする。
S6:利用者が媒体100を取引装置1の挿入口に挿入すると、媒体100が媒体検出センサ2の光軸を遮断し、媒体検出センサ2がONとなることにより、制御部25は媒体100が挿入されたことを検出する。
【0051】
媒体100が挿入されたことを検出した制御部25は、プレス駆動ソレノイド18の軸を引く動作を停止し、プレスローラシャフト41、42、43、44をフィードローラシャフト31、32、33、34に対して近接させ、媒体100をフィードローラとプレスローラとにより挟持する。
制御部25は、フィードローラシャフト31、32、33、34のフィードローラを駆動モータ11で回転させて媒体100を吸入搬送する。なお、媒体100の幅寄せ動作は第1の実施例と同様なのでその説明を省略する。
【0052】
S7:媒体100を吸入した制御部25は、さらに駆動モータ11によりフィードローラシャフト31、32、33、34のフィードローラを回転させて媒体100をPSセンサ9が配置されている位置まで搬送する。
このとき、制御部25は、媒体100の先端が、PSセンサ9が配置されている位置まで搬送される前に、PS駆動モータ15に所定数のパルスを与えてPSセンサ9を所定の読取位置である頁マーク101または頁マーク102を読み取る位置まで移動させる。
【0053】
S8:制御部25は、搬送される媒体100がPSセンサ9の下方を通過するとき、PSセンサ9により媒体100の頁マークや印字済みの文字を読取り、頁マークや印字済みの文字を検出する。
S9:頁マークや印字済みの文字を検出した制御部25は、媒体100を印字ヘッド10が配置されている位置まで搬送し、印字ヘッド10により媒体100に取引データを印字する。
【0054】
S10:印字を完了すると、制御部25は、駆動モータ11によりフィードローラシャフト31、32、33、34のフィードローラを逆回転させて媒体100を排出方向へ搬送する。
このとき、すべてのフィードローラ311〜313、321〜323、331〜333、341〜343を含めたフィードローラシャフト31、32、33、34、すべてのプレスローラ411〜413、421〜423、431〜433、441〜443を含めたプレスローラシャフト41、42、43、44、および可動搬送面209a〜209dの位置は変更しない。
【0055】
S11:制御部25は、媒体100がPSセンサ9の下方を通過するとき、PSセンサ9により媒体100の頁マークや印字済みの文字を読取り、その後媒体100を挿入口から排出し、本処理を終了する。
このように、本実施例では、フィードローラおよびプレスローラを移動させるローラ移動機構220を備え、PSセンサ9で読取る媒体100の識別標識の位置情報に基づいてフィードローラの凹部がPSセンサ9による媒体100の識別標識に対応する位置までフィードローラおよびプレスローラを移動させるようにしたことにより、PSセンサ9で読取る媒体100の識別標識の位置が異なる複数種類の媒体100を取扱う場合であっても、フィードローラの汚れを抑制することができ、またPSセンサ9で読み取る媒体100の領域を汚すことがなくなり、頁マーク101や印字した文字103の誤検出を抑制することができる。
【0056】
なお、本実施例では、プレスローラシャフト41、42、43、44をフィードローラシャフト31、32、33、34に対して近接または離間させるアクチュエータとしてプレス駆動ソレノイド18を使用しているため、プレスローラシャフト41、42、43、44を移動させる機構を簡素化することができ、ローラ移動機構220を備えた場合であっても装置の小型化を図ることができる。
【0057】
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、フィードローラおよびプレスローラを移動させるローラ移動機構を備え、PSセンサで読取る媒体の識別標識の位置情報に基づいてフィードローラの凹部がPSセンサによる媒体の識別標識に対応する位置までフィードローラおよびプレスローラを移動させるようにしたことにより、PSセンサで読取る媒体の識別標識の位置が異なる複数種類の媒体を取扱うことができるという効果が得られる。
【0058】
なお、第1の実施例および第2の実施例では、取引装置1を現金自動預払機や通帳伝票プリンタとして説明したが、紙幣等の媒体をフィード(搬送)ローラで搬送する現金処理装置とし、紙幣の汚れを防止したい位置に搬送ローラの凹部を配置するようにしても良い。
また、第1の実施例および第2の実施例では、フィードローラの両端部をゴム部材で形成した凸部とし、中央部を凹部としたが、中央部の凹部を設けることなくゴム部材で形成した幅狭の凸部のみで構成されたフィードローラを媒体搬送方向と直交する方向に複数配置するようにしても良い。