(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
譜面の背面を支持する背面支持面に対して、受け面を有する譜面受けを回動自在に取り付け、前記譜面の下端を前記受け面で受けることができる使用位置から、前記受け面が前記背面支持面に対向する非使用位置までの間を、前記譜面受けが回動し得るようにする譜面受けの取り付け構造であって、
前記譜面受けを左右方向における両側から挟む位置において前記背面支持面から突設された一対の突設部と、
前記一対の突設部に対応し、各々の前記突設部の左右方向外側に位置し、前記譜面受けの左側部、右側部のそれぞれに対して締結固定される一対の連結部材と、を有し、
前記一対の突設部の各々または前記一対の連結部材の各々のいずれか一方には、左右方向に平行な軸心を有する軸部が設けられると共に、前記一対の突設部の各々または前記一対の連結部材の各々のいずれか他方には、前記軸部と同心の軸受け穴が形成され、
前記軸部の各々が、対応する前記軸受け穴の各々に挿通されるように、前記一対の連結部材を対応する前記突設部の左右方向外側に位置させた状態で、前記譜面受けを前記一対の突設部の間に位置させて、前記譜面受けの前記左側部、前記右側部に対して前記一対の連結部材を締結固定することで、前記軸部の前記軸心を中心として前記一対の連結部材と一体に前記譜面受けが回動自在になることを特徴とする譜面受けの取り付け構造。
前記一対の突設部の各々または前記一対の連結部材の各々のいずれか一方には、係合部が設けられると共に、前記一対の突設部の各々または前記一対の連結部材の各々のいずれか他方には、前記係合部に対応する被係合部が設けられ、
前記譜面受けが前記使用位置と前記非使用位置までの間の回動途中位置にあるときには、前記係合部または前記被係合部の少なくともいずれかの弾性変形を伴って前記係合部と前記被係合部とが摺接し、前記譜面受けが前記非使用位置にあるときには前記係合部と前記被係合部とは、当接しないかまたは前記譜面受けが回動途中位置にあるときよりも弱く当接することを特徴とする請求項1記載の譜面受けの取り付け構造。
前記譜面受けが前記使用位置にあるときには前記係合部と前記被係合部とは、当接しないかまたは前記譜面受けが回動途中位置にあるときよりも弱く当接することを特徴とする請求項2記載の譜面受けの取り付け構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の構造によると、3箇所において蝶番片のそれぞれを板部材と譜面受けとに取り付ける必要があるため、取り付け作業が簡単でない。しかも、3箇所の蝶番の軸部の軸心を正確に合わせないと、譜面受けの回動動作が円滑にならない。
【0005】
また、製品となった鍵盤楽器においては蝶番の回動軸が露出し、外観の一部となる。蝶番の回動軸は、譜面受けの使用位置や非使用位置のいずれにおいても視認されてしまうため、外観に大きく影響する。さらに、使用位置においては、譜面受けの受け面から露出する蝶番の回動軸に譜面の下端が接触することがあるため、譜面の下端に損傷を与えるおそれもある。
【0006】
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、良好な取り付け性を確保しつつ、回動用の軸部の外観への露出を抑えることができる譜面受けの取り付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の請求項1の譜面受けの取り付け構造は、譜面(14)の背面を支持する背面支持面(13)に対して、受け面(21)を有する譜面受け(20)を回動自在に取り付け、前記譜面の下端を前記受け面で受けることができる使用位置から、前記受け面が前記背面支持面に対向する非使用位置までの間を、前記譜面受けが回動し得るようにする譜面受けの取り付け構造であって、前記譜面受けを左右方向における両側から挟む位置において前記背面支持面から突設された一対の突設部(32)と、前記一対の突設部に対応し、各々の前記突設部の左右方向外側に位置し、前記譜面受けの左側部(20a)、右側部(20b)のそれぞれに対して締結固定される一対の連結部材(40)と、を有し、前記一対の突設部の各々または前記一対の連結部材の各々のいずれか一方には、左右方向に平行な軸心(C1)を有する軸部(34、134、234、334)が設けられると共に、前記一対の突設部の各々または前記一対の連結部材の各々のいずれか他方には、前記軸部と同心の軸受け穴(44、144、244、344)が形成され、前記軸部の各々が、対応する前記軸受け穴の各々に挿通されるように、前記一対の連結部材を対応する前記突設部の左右方向外側に位置させた状態で、前記譜面受けを前記一対の突設部の間に位置させて、前記譜面受けの前記左側部、前記右側部に対して前記一対の連結部材を締結固定することで、前記軸部の前記軸心を中心として前記一対の連結部材と一体に前記譜面受けが回動自在になることを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記一対の突設部の各々または前記一対の連結部材の各々のいずれか一方には、係合部(43、143、243、343)が設けられると共に、前記一対の突設部の各々または前記一対の連結部材の各々のいずれか他方には、前記係合部に対応する被係合部(33、133、233、333)が設けられ、前記譜面受けが前記使用位置と前記非使用位置までの間の回動途中位置にあるときには、前記係合部または前記被係合部の少なくともいずれかの弾性変形を伴って前記係合部と前記被係合部とが摺接し、前記譜面受けが前記非使用位置にあるときには前記係合部と前記被係合部とは、当接しないかまたは前記譜面受けが回動途中位置にあるときよりも弱く当接する(請求項2)。
【0009】
好ましくは、前記譜面受けが前記使用位置にあるときには前記係合部と前記被係合部とは、当接しないかまたは前記譜面受けが回動途中位置にあるときよりも弱く当接する(請求項3)。
【0010】
好ましくは、前記係合部は、前記軸心を中心とする前記被係合部の外面に対して係合し、前記軸心から前記被係合部の前記外面までの半径方向の距離が位置によって異なり、前記係合部は、前記譜面受けの回動途中において、前記被係合部における前記軸心からの距離が最大となる領域(33r、133r、233r、333r)に対して係合する(請求項4)。
【0011】
好ましくは、突設部の左右方向の幅を薄く設計でき、突設部を露出させにくく、視認されにくくすることができる(請求項5)。
【0012】
なお、上記括弧内の符号は例示である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1によれば、良好な取り付け性を確保しつつ、回動用の軸部の外観への露出を抑えることができる。
【0014】
請求項2によれば、譜面受けを非使用位置で安定させることができる。
【0015】
請求項3によれば、譜面受けを使用位置で安定させることができる。
【0016】
請求項4によれば、譜面受けを使用位置または非使用位置で安定させることができる。
【0017】
請求項5によれば、突設部の左右方向の幅を薄く設計でき、突設部を露出させにくく、視認されにくくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図1(a)は、本発明の一実施の形態に係る譜面受けの取り付け構造が適用される鍵盤楽器の開蓋状態の斜視図である。この鍵盤楽器100は電子鍵盤楽器として構成されるが、アコースティック鍵盤楽器であってもよい。
【0021】
鍵盤楽器100は、楽器本体101と鍵盤蓋10とを有する。楽器本体101に鍵盤部KBが設けられる。以降、左右方向については、鍵盤部KBに対応して座る不図示の演奏者から見た方向で呼称する。
【0022】
鍵盤部KBは楽器本体101の左側板11と右側板12との間に配置される。鍵盤蓋10は、鍵盤部KBの後方の左右方向の軸線を回動の中心として楽器本体101に対して開閉可能になっている。鍵盤蓋10は、閉蓋時に鍵盤部KBを覆い、その裏面13が鍵盤部KBに対向する。鍵盤蓋10の裏面13は、開蓋状態において譜面14の背面を支持する背面支持面として機能する。
【0023】
鍵盤蓋10の裏面13には、板状の譜面受け20が回動自在に支持される。譜面受け20は左右方向に長い部材である。
図1(a)、(b)では、それぞれ、譜面受け20が使用位置、非使用位置にある状態を示している。使用位置とは、譜面14の下端を譜面受け20の受け面21で支持し得る回動位置である(
図1(a))。非使用位置とは、受け面21が裏面13に対向する回動位置である(
図1(b))。譜面受け20は、使用位置と非使用位置との間を回動する。
【0024】
図2は、鍵盤蓋10の裏面13に対する譜面受け20の取り付け構造を示す分解斜視図である。
【0025】
裏面13には、互いに左右方向に離間した位置に一対の取り付け金具30(30L、30R)が配設される。また、一対の取り付け金具30に対応して一対の連結部材40(40L、40R)が設けられる。譜面受け20が取り付けられた状態における一対の取り付け金具30、連結部材40の構成はそれぞれ左右対称である。しかし、左右間で基本構成は同じであるので、左右の取り付け金具30同士、左右の連結部材40同士で区別しないときは、単に取り付け金具30、連結部材40と記し、それらの各部の構成要素には共通の符号を付す。
【0026】
取り付け金具30の詳細な構成は
図3で述べるが、取り付け金具30は各々1つの突設部32を有する。取り付け金具30L、30Rのそれぞれの突設部32が一対となって、取り付け後の譜面受け20を左右方向における両側から挟む位置に突出するように、取り付け金具30L、30Rが裏面13の取り付け用凹部15に螺着固定される。
【0027】
譜面受け20の取り付け状態においては、連結部材40L、40Rはそれぞれ、譜面受け20の左側部20a、右側部20bに対して締結固定され、且つ突設部32L、32Rの左右方向外側に位置する。
【0028】
図3(a)、(b)、(c)は、取り付け金具30Lの左側面図、上面図、正面図である。取り付け金具30Lは、それぞれ板状の取り付け片31と突設部32とで上面視で略L字状を呈する。突設部32は取り付け片31に垂直な突設片である。突設部32の、取り付け片31からみて反対側(左側)には被係合部33が形成され、さらに被係合部33から円柱状の軸部34が突設されている。軸部34の軸心はC1である。取り付け金具30Lの取り付け後には、軸心C1は左右方向に平行となる。
【0029】
突設部32は、譜面受け20を支持するに足る剛性が必要であり、取り付け片31及び突設部32は金属等の丈夫な素材で一体に形成される。そして被係合部33及び軸部34は、突設部32に対して溶接またはカシメにより固定される。なお、被係合部33及び軸部34は、取り付け片31や突設部32と共に一体に形成してもよい。取り付け片31には、裏面13の取り付け用凹部15に固定されるための取り付け穴35が3つ設けられる。
【0030】
被係合部33は、軸心C1を中心とする半径方向外面の形状が、位置によって異なる。鍵盤蓋10の裏面13への取り付け片31の取り付け状態において、まず、被係合部33の外面のうち、平坦な第1面33aは、裏面13と平行で裏面13と同じ奏者側を向く。また、平坦な第2面33bは第1面33a及び裏面13の双方と垂直である。第1面33aと第2面33bとの間にR形状部33rが形成される。
【0031】
軸心C1を中心とする半径方向における軸心C1からの距離については、第1面33aと第2面33bとは同じであり、R形状部33rの距離は第1面33aよりも長い。すなわち、軸心C1からの距離が最大となる領域をR形状部33rは有する。なお、軸心C1の軸方向における被係合部33の先端には面取り33cが施されている。この面取り33cは、取り付け金具30と連結部材40とを組み付ける際に被係合部33と係合部43とが円滑に係合するためのガイド機能を果たすものであるので、面取り33cに代えてR形状を採用してもよい。取り付け金具30Rの構成は取り付け金具30Lとは左右対称であるので細部の説明を省略する。
【0032】
図4(a)は、譜面受け20及び連結部材40が非使用位置にあるときの連結部材40Lの右側面図である。
図2、
図4(a)に示すように、連結部材40Lの右側部には、譜面受け20に締結固定されるときに譜面受け20の左側部20aに当接する当接面47が複数に分かれて存在する。これにより、連結部材40Lを譜面受け20の側に固定する際に仮位置決めをしやすい。連結部材40Lには、回動するときに突設部32との干渉を避けるための逃げ部41、42が形成されている。非使用位置にある連結部材40Lのうち鍵盤蓋10の裏面13に対向する側の面が対向面46である。
【0033】
連結部材40Lには、軸部34が挿通される軸受け穴44が1つ形成されると共に、譜面受け20に締結固定されるための締結穴45が2つ形成される。軸受け穴44に近接し、軸受け穴44に対し対向面46から遠い側の位置に、被係合部33に対応する係合部43が形成されている。係合部43は、非使用位置にある連結部材40Lにおいて、側面視で裏面13に平行な略長方形である。
【0034】
連結部材40Lは全体が樹脂で構成されるので、係合部43は弾性を有する。なお、係合部43は弾性を有すればよく、連結部材40Lにおける他の部分とは別の素材で係合部43を構成してもよい。係合部43は、このように樹脂等の弾性材に形成したとしても、弾性変形するのは主に連結部材40Lの回動途中だけであるので、耐久性は十分に確保される。連結部材40Rの構成は連結部材40Lとは左右対称であるので細部の説明を省略する。
【0035】
次に、一対の取り付け金具30及び一対の連結部材40を用いて譜面受け20を鍵盤蓋10の裏面13に取り付ける手順を説明する。
【0036】
まず、取り付け金具30L、30Rの各取り付け片31を裏面13の取り付け用凹部15(
図2、
図4(a))に埋めるように配置し、取り付け穴35(
図3(c))を介してネジ止めする。これにより、一対の突設部32が、取り付け後の譜面受け20を左右方向における両側から挟む位置において裏面13から突出することになる。
【0037】
次に、連結部材40L、40Rを、それぞれ取り付け金具30L、30Rの左右方向外側から仮配置する。その際、各軸部34が、対応する軸受け穴44に挿通されるようにする。これにより、軸受け穴44は、軸心C1を中心とする軸部34と同心となる。
【0038】
そして、取り付け金具30L、30Rの左右の突設部32の間に挟まれるように譜面受け20を位置させ、複数のビス48を、左右方向外側から、各連結部材40の締結穴45を介して譜面受け20の左側部20a、右側部20bのネジ穴22(
図2に右側のネジ穴22の図示)に対して螺合することで、連結部材40と譜面受け20とが締結固定される。
【0039】
これにて、鍵盤蓋10に対する譜面受け20の取り付けは完了する。各連結部材40は、軸部34の軸心C1を中心として回動自在であり、連結部材40に対して譜面受け20が固定されている。従って、軸部34の軸心C1を中心として一対の連結部材40と一体に譜面受け20が回動自在になる。
【0040】
鍵盤蓋10に譜面受け20が取り付けられた状態では、軸部34や被係合部33は露出することがない。突設部32が逃げ部41、42から露出するが、突設部32は薄いためその存在はユーザからほとんど意識されない。しかも、譜面受け20の受け面21は連結部材40の対向面46と面一になるので、譜面受け20と連結部材40との視覚的な一体感が強く、外観は良好である。
【0041】
譜面受け20の回動動作については、係合部43と被係合部33との係合によって、使用位置と非使用位置との間の回動途中に適切な回動負荷がかかるようになっている。
図4で、この回動動作を説明する。
【0042】
図4(b)、(c)は、譜面受け20が、回動途中位置にあるとき、使用位置にあるときの係合部43と被係合部33との関係を示す図である。
【0043】
譜面受け20が非使用位置にあるとき(
図4(a))は、被係合部33の第1面33aに対して係合部43が当接しないか僅かに当接する。譜面受け20が使用位置にあるとき(
図4(c))は、被係合部33の第2面33bに対して係合部43が当接しないか僅かに当接する。譜面受け20が回動途中位置にあるとき(
図4(b))は、被係合部33のR形状部33rに強く当接する。
【0044】
従って、譜面受け20が使用位置または非使用位置にあるとき、係合部43は、被係合部33に対して当接しないか、または譜面受け20が回動途中位置にあるときよりも弱く当接する。回動途中では、係合部43が弾性変形しつつ被係合部33に対して摺接する(
図4(b)参照)。これにより、回動途中では回動負荷が大きくなる。さらに、譜面受け20が使用位置から非使用位置の方向に回動しようとすると、係合部43の弾性変形によって回動負荷が大きくなっていくから、譜面受け20は使用位置で安定しようとする。従って、譜面受け20を2つの安定位置にスナップストップさせることができる。譜面受け20が非使用位置にあるときも同様であり、非使用位置で安定しようとする。なお、係合部43と被係合部33との間にグリス等の粘性材を介在させてもよい。
【0045】
ところで、譜面受け20の先端の斜面23と連結部材40の先端の斜面49(
図2参照)とは面一である。仮に譜面受け20を使用位置にしたまま鍵盤蓋10を閉じた場合でも、譜面受け20の斜面23及び連結部材40の斜面49が鍵盤部KBに押されて非使用位置の方向に回動していき、閉蓋状態時には非使用位置に自動的に達する。
【0046】
本実施の形態によれば、取り付け金具30の軸部34が連結部材40の軸受け穴44に挿通されて軸心C1を中心として連結部材40が回動自在になり、その連結部材40に対して譜面受け20を左右両側から固定することで譜面受け20の取り付けが可能である。これにより、回動機構に従来の蝶番を用いる必要がなく、譜面受け20の取り付け作業が簡単になる。また、複数の蝶番を用いる場合等のような軸心合わせを行う必要がないので、取り付けが簡単であると共に、譜面受け20の回動動作が円滑である。構造が簡単であるので、コスト低減にも有利である。また、回動軸となる軸部34は軸受け穴44に挿入されるので、蝶番の回動軸のように外観に露出することがないため、外観が向上する。よって、良好な取り付け性を確保しつつ、回動用の軸部の外観への露出を抑えることができる。
【0047】
さらに、使用時に軸部34に譜面14の下端が接触することがないため、譜面14に損傷を与えるおそれがない。また、従来の蝶番機構のように軸受け(軸部34)が露出するようなことがなく完全被覆状態になっていて、なおかつ回動機構付近と外部とが連通する隙間(逃げ部41等で形成される隙間)が小さいので、埃やゴミが入りにくく、譜面受け20の円滑な回動動作を長く維持することができる。
【0048】
また、係合部43と被係合部33との係合によって、回動途中では、使用位置や非使用位置よりも大きな回動負荷がかかるので、譜面受け20を使用位置または非使用位置で安定させることができ、操作性が良い。
【0049】
また、回動機構が譜面受け20以外の部分に設けられたことで譜面受け20自体の構成がシンプルになるので、譜面受け20のメンテナンスや交換が容易である。そのため、ユーザの好みに応じたデザインの譜面受けをオーダーメイド等で取得して自身で交換することも容易である。
【0050】
なお、係合部43と被係合部33のうち少なくとも一方が弾性を有すればよく、双方が弾性材で構成されてもよい。
【0051】
なお、本実施の形態では、軸部34を取り付け金具30に設け、軸受け穴44を連結部材40に設けたが、これらの配設場所の関係を逆にしてもよい。同様に、被係合部33を取り付け金具30に設け、係合部43を連結部材40に設けたが、これらの配設場所の関係を逆にしてもよい。このような例を変形例として
図5で説明する。
【0052】
図5(a)、(b)、(c)は、軸部と軸受け穴との関係と被係合部と係合部との関係との組み合わせの第1、第2、第3の変形例を示す斜視図である。いずれも、連結部材40は使用位置で示してある。また、代表として左側の連結部材40と取り付け金具30との関係を図示している。
【0053】
まず、第1の変形例(
図5(a))では、被係合部33に相当する被係合部133、及び軸受け穴44に相当する軸受け穴144を、連結部材40に設けると共に、係合部43に相当する係合部143、及び軸部34に相当する軸部134を、取り付け金具30の突設部32に設ける。被係合部133には、第1面33a、第2面33b、R形状部33rにそれぞれ相当する、第1面133a、第2面133b、R形状部133rが形成される。
【0054】
連結部材40が固定された譜面受け20が使用位置、非使用位置にあるとき、それぞれ、第2面133b、第1面133aが係合部143と当接しないか僅かに当接する。譜面受け20が回動途中位置にあるとき、係合部143がR形状部133rと強く当接する。
【0055】
ところで、本実施の形態(
図1〜
図4)、及び第1の変形例(
図5(a))では、軸部(34、134)は突設部32の各々から左右方向外側に向かって突設されるから、軸受け穴(44、144)を仮に突設部32に形成するのに比べれば、突設部32の厚みを大きく確保しなくてもよい。そのため、突設部32は左右方向に垂直な薄い突設片としている。突設部32の左右方向の幅を薄く設計できることから、突設部32を露出させにくく、視認されにくくするのに有利となっている。
【0056】
しかし、このような効果を期待しないのであれば、
図5(b)、(c)に例示するように、軸部を連結部材40に設けると共に、軸受け穴を突設部に形成してもよい。
【0057】
例えば、第2の変形例(
図5(b))では、被係合部33に相当する被係合部233、及び軸受け穴44に相当する軸受け穴244を、取り付け金具30の突設部32に設けると共に、係合部43に相当する係合部243、及び軸部34に相当する軸部234を、連結部材40に設ける。突設部32は、軸受け穴244が形成されるために第1の変形例(
図5(a))に比し厚肉に構成される。被係合部233には、第1面33a、第2面33b、R形状部33rにそれぞれ相当する、第1面233a、第2面233b、R形状部233rが形成される。
【0058】
また、第3の変形例(
図5(c))では、軸部34に相当する軸部334、及び被係合部33に相当する被係合部333を、連結部材40に設けると共に、係合部43に相当する係合部343、及び軸受け穴44に相当する軸受け穴344を、取り付け金具30の突設部32に設ける。突設部32は、軸受け穴344が形成されるために厚肉に構成される。被係合部333には、第1面33a、第2面33b、R形状部33rにそれぞれ相当する、第1面333a、第2面333b、R形状部333rが形成される。
【0059】
第1〜第3の変形例(
図5(a)〜(c))において、上記したようなスナップストップの機能は、係合部143、243、343をバネ材で形成したり、あるいは、第1面133a、233a、333aを硬質弾性樹脂(ゴム材等)で形成したりすることによって実現可能である。
【0060】
なお、上記実施の形態または変形例において、一対の突設部32は、取り付け金具30の一部として形成することは必須でなく、その突設態様は問わない。例えば、突設部32を鍵盤蓋10の裏面13に直接突設してもよい。また、突設部32が突設される部位は、鍵盤蓋10の裏面13に限定されず、譜面14の背面を支持する背面支持面であればよい。従って、本発明の適用対象は楽器に限られず、独立した譜面台装置であってもよい。
【0061】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。