【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「極低電力回路・システム技術開発(グリーンITプロジェクト)」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る半導体記憶装置の構成図である。
図1に示す半導体記憶装置1は、メモリセルアレイMCAと、読み出しソース線ドライバ部2とを有する。半導体記憶装置1は、例えば、シングルエンド型の8トランジスタ(8T)−SRAMで構成される。
【0020】
メモリセルアレイMCAは、メモリセルMCと、ライトビット線BL<7:0>と、反転ライトビット線BLX<7:0>と、ライトワード線WWLと、読み出しワード線RWLと、読み出しビット線RBL<7:0>と、プリチャージ回路PREC<7:0>と、プリチャージ信号PREと、読み出しソース線RSL<7:0>とを含んでいる。
【0021】
なお、メモリセルアレイMCAは、読み出しワード線RWLにおけるカラム数が8である場合の構成であり、本実施形態ではそれを1ビットとして扱う。具体的に、
図1に示すメモリセルアレイMCAは、1bit=64Row×8Column(Column<7:0>)の場合の構成例である。以下、各実施形態において、複数存在する要素の添え字である<7:0>等を適宜省略し、例えば読み出しソース線RSLと略記する場合がある。
【0022】
メモリセルMCは、8T−SRAMのメモリセルであり、行列状に配置されている。メモリセルMCは、データを保持するラッチを構成する2つのインバータINV1,INV2と、ラッチにデータを書き込むライトポートを構成する2つのトランジスタTR3,TR4と、データを読み出すリードポートを構成する2つのトランジスタTR1,TR2とを有する。なお、インバータINV1,INV2は、例えば電源電位VDDで動作し、トランジスタTR1〜TR4は、例えばNMOS(Negative-channel Metal Oxide Semiconductor)トランジスタである。
【0023】
インバータINV1,INV2の入出力は互いに接続されている。また、インバータINV1の入力は、トランジスタTR3のドレインに接続され、出力は、トランジスタTR1のゲートに接続されている。インバータINV2の入力は、トランジスタTR4のドレインに接続されている。
【0024】
また、読み出しビット線RBLと読み出しソース線RSLとの間において、トランジスタTR1のソースとトランジスタTR2のドレインとは接続されている。
【0025】
ライトビット線BLは、メモリセルアレイMCAの各列に対応して配置され、対応する列のメモリセルMCに含まれるトランジスタTR3のソースに共通に接続されている。反転ライトビット線BLXは、ライトビット線BLと対になっており、メモリセルアレイMCAの各列に対応して配置され、対応する
列のメモリセルMCに含まれるトランジスタTR4のソースに共通に接続されている。
【0026】
ライトワード線WWLは、メモリセルアレイMCAの各行に対応して配置され、対応する行のメモリセルMCに含まれるトランジスタTR3,TR4のゲートに共通に接続されている。
【0027】
読み出しワード線RWLは、メモリセルアレイMCAの各行に対応して配置され、対応する行のメモリセルMCに含まれるトランジスタTR2のゲートに共通に接続されている。
【0028】
読み出しビット線RBLは、メモリセルアレイMCAの各列に対応して配置され、対応する列のメモリセルMCに含まれるトランジスタTR1のドレインに共通に接続されている。
【0029】
読み出しソース線RSLは、メモリセルアレイMCAの各列に対応して配置され、対応する列のメモリセルMCに含まれるトランジスタTR2のソースに共通に接続されている。
【0030】
プリチャージ回路PRECは、例えばPMOS(Positive-channel MOS)トランジスタで構成され、複数の読み出しビット線RBLにそれぞれ対応して配置されている。プリチャージ回路PRECは、プリチャージ信号PREに従って、対応する読み出しビット線RBLを、所定の電位として、例えば、電源電位VDDにプリチャージする。プリチャージ信号PREは、プリチャージ回路PREC(PMOSトランジスタ)のゲートに共通して入力される。
【0031】
読み出しソース線ドライバ部2は、複数の読み出しソース線RSLにそれぞれ対応する、複数の読み出しソース線ドライバRSLD<7:0>を有する。
【0032】
読み出しソース線ドライバRSLDは、例えば、電源電位VDDで動作するインバータINV3で構成される。読み出しソース線ドライバRSLDは、それぞれに対応するカラム選択信号CAR<7:0>に従って、対応する読み出しソース線RSLを、電源電位VDDあるいは接地電位にドライブする。具体的に、データの読み出し動作時において、カラム選択信号CAR<7:0>のうち、アクティブとなる1つの選択カラム信号CAR(例えば選択カラム信号CAR<7>)により、1つの読み出しソース線RSL(例えば読み出しソース線RSL<7>)が接地電位VSSに接続される。ここで、選択カラム信号CARは、アドレス信号がデコードされることによって生成されるものであり、メモリセルアレイMCAの選択カラムを示す信号である。
【0033】
以上のように、本実施形態に係るシングルエンド型の8T−SRAMマクロは、リードポートに接続される、読み出しワード線RWLおよび読み出しソース線RSLを制御することでデータの読み出しが可能なカラムソースデコード方式で構成される。
【0034】
図2は、
図1の半導体記憶装置のカラムマルチプレクス構成を示す概要図である。カラムマルチプレクス3は、カラム選択信号CAR<7:0>に従って、メモリセルアレイMCAの各カラムであるColumn<7:0>のうち1つに対応する読み出しビット線RBLを選択し、その電位を出力する。なお、本実施形態では、
図2の構成を1bitと定義している。
【0035】
次に、本実施形態に係る半導体記憶装置1の読み出し動作について説明する。
【0036】
図3は、第1の実施形態に係る半導体記憶装置の読み出し動作を示す波形図である。なお、
図3は、64Row×8Column×4bitで構成された8T−SRAMマクロにおいて、選択カラムがColumn<7>であり、電源電位VDDが0.6Vである場合の波形図である。
【0037】
データの読み出し動作前において、プリチャージ信号PREおよびカラム選択信号CARはそれぞれLであるため、読み出しソース線RSLと読み出しビット線RBLとは同電位、すなわち電源電位VDDにプリチャージされている。
【0038】
半導体記憶装置1に外部クロックCLKが入力されると、その内部で内部クロックICLKRが生成される。そして、内部クロックICLKRに基づいてプリチャージ信号PREがHとなると、読み出しビット線RBLのプリチャージが解除され、読み出しビット線RBLはフローティング状態となる。
【0039】
また、プリチャージ信号PREがHになるとともに、カラム選択信号CAR<7:0>のうち、選択カラム信号CAR<7>がHに駆動される。選択カラム信号CAR<7>がHになると、電源電位VDDにプリチャージされていた読み出しソース線RSL<7>が、読み出しソース線ドライバRSLD<7>によってディスチャージされる。
【0040】
このとき、読み出しワード線RWLをHに駆動することで、メモリセルMCに記憶されているデータに応じて、Column<7>に対応する読み出しビット線RBL<7>の電荷がディスチャージされる。そして、読み出しビット線RBL<7>の振幅が、その端部に設けられたシングルエンド増幅器等で増幅される。シングルエンド増幅器の後段側に接続されたラッチ回路に対して、適切なタイミングでラッチパルス信号LATが入力されることで、メモリセルMCから読み出された増幅信号がQ出力される。そして、プリチャージ信号PREおよび選択カラム信号CAR<7>がLとなり、読み出しビット線RBL<7>および読み出しソース線RSL<7>がプリチャージされる。このようにして、読み出し動作が行われる。
【0041】
ここで、読み出し動作において、選択カラム以外の非選択カラムであるColumn<6:0>のそれぞれに対応するカラム選択信号CAR<6:0>はLのままである。そのため、Column<6:0>のそれぞれに対応する読み出しソース線RSL<6:0>は、対応する読み出しビット線RBL<6:0>と同電位の電源電位VDDに維持されたままである。
【0042】
したがって、選択された読み出しワード線RWLに接続されるメモリセルMCのうち、非選択カラムのメモリセルMCでは、記憶しているデータにかかわらず、非選択の読み出しビット線RBL<6:0>のディスチャージが生じることがない。
【0043】
つまり、SRAMマクロにおける電力の消費は、選択カラムに対応する、読み出しビット線RBLおよび読み出しソース線RSLの、ディスチャージおよびプリチャージ分で済むため、消費電力を低減することができる。
【0044】
本実施形態の効果について、従来技術と比較しながら説明する。
【0045】
図4は、
図17に示すメモリセルでメモリセルアレイを構成した場合の参考例を示す図である。
図4に示す
メモリセルアレイ100において、メモリセル101は、リードポートを構成するトランジスタT1,T2と、ライトポートを構成するトランジスタT3,T4と、ラッチを構成するインバータI1,I2とを有する。このメモリセル101は、読み出しビット線RBLと接地電位VSSとの間に直列接続されたトランジスタT1,T2を有する点で、本実施形態に係るメモリセルMCと異なる。
【0046】
図5は、
図4のメモリセルアレイを備えたカラムマルチプレクス構成の参考例を示す図である。
図5において、カラムマルチプレクス3は、カラム選択信号CAR<7:0>に従って、読み出しビット線RBL<7:0>のうちの1つを選択する。
【0047】
図6は、
図4のメモリセルからデータを読み出す場合の波形図である。なお、
図6は、64Row×8Column×4bitで構成された8T−SRAMマクロにおいて、選択カラムがColumn<7>であり、電源電位VDDが0.6Vである場合の波形図である。
【0048】
図6において、
図3との相違点について主に説明する。
【0049】
選択カラム信号CAR<7>がHになり、読み出しワード線RWLがHになると、メモリセル101の記憶データに応じて、電源電位VDDにプリチャージされていた読み出しビット線RBL<7>がディスチャージされる。このとき、カラム選択信号CAR<6:0>はLであるが、読み出しビット線RBL<6:0>は、メモリセル101の記憶データに応じて、トランジスタT1,T2を介して接地電位VSSに接続される。なお、
図6では、メモリセル101にHデータが記憶されているものとする。
【0050】
このように、従来技術では、選択メモリセル101からデータが読み出される場合、選択メモリセル101を含む選択カラムColumn<7>に対応する読み出しビット線RBL<7>だけではなく、非選択メモリセル101を含む非選択カラムColumn<6:0>に対応する読み出しビット線RBL<6:0>の電荷もディスチャージされてしまう。その後、プリチャージ信号PREがLになると、ディスチャージされた読み出しビット線RBL<7:0>はプリチャージされる。
【0051】
つまり、従来技術では、読み出し動作のサイクルのたびに、1つの選択カラムの読み出しビット線RBLおよび複数の非選択カラムの読み出しビット線RBLにおいて、ディスチャージとプリチャージとが発生するため、無駄に電力を消費することとなる。特に、読み出しビット線RBLに接続されるメモリセルの数が多くなると、読み出しビット線RBLの容量が大きくなるため、読み出しビット線RBLにおける充放電によって消費される電力も多くなってしまう。したがって、従来の構成では、I/Oビット数が多くなればなるほど、消費電力が大きくなってしまう。
【0052】
これに対して、本実施形態では、
図3に示すように、選択カラムに対応する1つの読み出しビット線RBLおよび読み出しソース線RSLのディスチャージとプリチャージとに必要な電力で済むため、従来技術と比べて、低消費電力化が可能となる。
【0053】
図7は、電源電位と消費電力との関係を示すグラフであり、例えばSPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis)シミュレーションによって得られた、従来の構成および
図1の構成の、読み出し動作における消費電力を比較したグラフである。なお、
図7は、本実施形態および従来ともに、64Row×8Column×4bitで構成された、2ポートの8T−SRAMマクロを用い、かつ外部クロックCLKの周波数が20MHzの場合のグラフである。
【0054】
図7(A)は、電源電位VDDと消費電力との関係を示し、
図7(B)は、電源電位VDDごとの、従来に対する本実施形態の消費電力比を示す。
【0055】
図7に示すように、本実施形態では、例えば、電源電位VDDが0.6Vのときに約36%、1.2Vのときに約32%の消費電力が、従来に比べて削減されているのがわかる。このように、本実施形態では、ワイドレンジの電源電位VDDに対して低消費電力化が可能となっている。
【0056】
ここで、本実施形態において、読み出しビット線RBLおよび読み出しソース線RSLの負荷容量が同程度であるとする。また、SRAMマクロのカラム数(カラムマルチプレクス数)をNとすると、本実施形態では、読み出しビット線RBLで消費される電力を、従来の構成に比べて、2/Nに削減することができる。
【0057】
また、SRAMマクロ全体の電力に占める、読み出しビット線RBLの電力の割合をMとすると、SRAMマクロ全体の読み出し動作における電力削減割合P_readは、
P_read=M×(1−2/N)
と表すことができる。
【0058】
したがって、例えば、M=0.5,N=8とすると、本実施形態におけるP_readは、
P_read=0.5×(1−2/8)=3/8=37.5%
となり、従来よりも、SRAMマクロ全体の消費電力を37.5%低減することができる。
【0059】
図8および
図9は、カラムセル数と消費電力との関係を示すグラフである。
図8は電源電位VDDが0.6Vの場合であり、
図9は電源電位VDDが1.2Vの場合である。なお、
図8および
図9では、SRAMマクロは、64Row×8Columnを1bitとして構成されている。また、
図8および
図9は、外部クロックCLKの周波数が20MHzの場合で、かつSRAMマクロが常温である場合のグラフである。
【0060】
図8および
図9において、カラムセル数とは、1つの読み出しワード線RWLにおけるカラム数である。したがって、カラムセル数が32セルであるとは、SRAMマクロが4bitの構成であり、64セルの場合は8bit、128セルの場合は16bit、256セルの場合は32bit、および512セルの場合は64bitの構成を示す。カラムセル数の増加は、I/Oビット数が増加することを示す。
【0061】
また、
図8(A)および
図9(A)は、カラムセル数および消費電力を、従来と本実施形態とで比較した場合のグラフであり、
図8(B)および
図9(B)は、カラムセル数ごとの、従来に対する本実施形態の電力比を示すグラフである。つまり、
図8および
図9は、従来および本実施形態における、消費電力のカラムセル数への依存性を示す。
【0062】
図8および
図9に示すように、カラムセル数が増えると、SRAMマクロ全体の消費電力に占める読み出しビット線RBLの消費電力は大きくなるが、その中でも特に非選択カラムの読み出しビット線RBLにおける消費電力の影響が顕著になる。そのため、従来の構成では、非選択カラムの読み出しビット線RBLの充放電に要する電力が、SRAMマクロ全体の消費電力に大きく影響するといえる。
【0063】
したがって、カラムセル数が増えるにつれて、本実施形態では、従来に比べて消費電力の削減割合が大きくなる。例えば、
図8(B)および
図9(B)において、カラムセル数が512セル(64bit)である場合、本実施形態では、従来に比べて約52%の消費電力を削減することができているのがわかる。このように、本実施形態では、ワイドレンジの電源電位VDDにおいて低消費電力化が可能である。
【0064】
以上、本実施形態によると、メモリセルアレイMCAの列ごとに読み出しソース線RSLを設けたため、読み出し動作において、非選択カラムの、読み出しビット線RBLおよび読み出しソース線RSLにディスチャージが生じないように読み出しソース線RSLを制御することが可能となる。これにより、読み出し動作における消費電力は、選択カラムの、読み出しビット線RBLおよび読み出しソース線RSLのディスチャージおよびプリチャージ分で済むため、大容量のSRAMであっても、低消費電力化が可能である。特に、I/Oビット数が多く、横長のSRAMマクロ構成の場合には低消費電力化の効果が顕著となる。
【0065】
<第2の実施形態>
図10は、第2の実施形態に係る半導体記憶装置の構成図である。本実施形態では、第1の実施形態との相違点について主に説明する。
【0066】
本実施形態に係る半導体記憶装置1は、キーパー回路KP<7:0>を有する。
【0067】
キーパー回路KPは、読み出しビット線RBLのそれぞれに対応して設けられ、対応する読み出しビット線RBLの電位を、所定の電位として、例えば電源電位VDDに維持するものである。キーパー回路KPは、例えば、インバータINV4とPMOSトランジスタTR5とで構成される。インバータINV4は、入力が、対応する読み出しビット線RBLに接続され、出力が、トランジスタTR5のゲートに接続されている。トランジスタTR5は、ソースが電源電位VDDに接続され、ドレインが、対応する読み出しビット線RBLに接続されている。
【0068】
以上、本実施形態によると、読み出しビット線RBLにキーパー回路KPを接続することで、例えば、半導体記憶装置1が高温となった場合に、特に非選択カラムに対応する読み出しビット線RBLに接続されるトランジスタのリーク電流などによって、当該読み出しビット線RBLの電位が低下するのを抑制することができる。すなわち、読み出しビット線RBLの電位が低下することによって、読み出しソース線ドライバRSLDの出力から読み出しビット線RBLに貫通電流が流れることを抑制することができ、安定した読み出し動作が可能となる。
【0069】
なお、キーパー回路KPの構成は任意であり、読み出しビット線RBLの電位を所定の電位に維持できるような構成であればよい。
【0070】
<第3の実施形態>
図11(A)は、第3の実施形態に係るメモリコントロール回路の構成図であり、
図11(B)は、メモリコントロール回路に用いられる遅延回路の構成図である。なお、本実施形態に係る半導体記憶装置1の構成は、第1および第2の実施形態のいずれかと同様であってもよい。
【0071】
図11(A)に示すメモリコントロール回路10は、読み出し動作用内部クロックジェネレータ11(以下、ICLKRジェネレータ11と表記する。)と、書き込み動作用内部クロックジェネレータ12(以下、ICLKWジェネレータ12と表記する。)と、遅延回路13,14とを有する。
【0072】
ICLKRジェネレータ11は、外部クロックCLKから、読み出し動作用のクロックである内部クロックICLKRを生成する。ICLKWジェネレータ12は、外部クロックCLKから、書き込み動作用のクロックである内部クロックICLKWを生成する。
【0073】
なお、ICLKRジェネレータ11およびICLKWジェネレータ12は、例えば、RSフリップフロップで構成される。
【0074】
遅延回路13,14は、例えば、
図11(B)のように構成される。遅延回路13は、内部クロックICLKRを遅延させて、カラム選択信号CARおよびプリチャージ信号PREを生成して出力する。本実施形態では、カラム選択信号CARがアクティブになるタイミングは、プリチャージ信号PREがアクティブになるタイミングよりも早くなるように遅延回路13の段数が調整される。また、遅延回路13の出力は、ICLKRジェネレータ11のリセット信号RESET、および増幅器等への信号SAEとなる。
【0075】
遅延回路14は、内部クロックICLKWを遅延させて、ICLKWジェネレータ12のリセット信号RESET、および書き込み用の信号WRITEを生成して出力する。
【0076】
なお、
図11(A)において、遅延回路13,14の段数は任意であり、内部クロックICLKRおよび内部クロックICLKWのそれぞれを遅延させる量は、遅延回路13,14の段数に応じて調整すればよい。例えば、カラム選択信号CARとプリチャージ信号PREとで、遅延回路13の段数を変えることで、これらの信号がアクティブになるタイミングを任意に調整することができる。
【0077】
図12は、第3の実施形態に係る半導体記憶装置の読み出し動作を示す波形図である。なお、
図12では、
図3との相違点について主に説明する。
【0078】
図12において、内部クロックICLKRがHになった後、選択カラム信号CAR<7>がHになる。これにより、読み出しソース線RSL<7>のディスチャージが開始される。その後、プリチャージ信号PREがHになり、読み出しビット線RBLのプリチャージが解除されてから、読み出しワード線RWLがHになる。
【0079】
ここで、半導体記憶装置1をカラムソースデコード方式のメモリセルアレイ構成にした場合、メモリセルMCのレイアウト上、物理的に、読み出しビット線RBLと読み出しソース線RSLとが左右、又は上下に並走して配置される。そのため、これら配線を同時に駆動するとカップリングノイズ干渉が起こり、読み出しビット線RBLの振幅電圧が不安定となり、安定した読み出し動作を行うことができなくなるおそれがある。
【0080】
これに対して、
図12に示すような読み出し動作を行うことで、読み出しソース線RSLの電荷がディスチャージされるタイミングを、プリチャージ信号PREがHになるタイミング、つまり読み出しビット線RBLのプリチャージが解除されるタイミングよりも早めることができる。本実施形態では、これらの信号がアクティブになるタイミングを好適に調整すればよいため、半導体記憶装置1の回路面積の増加を極力抑えながら、上述したカップリングノイズ干渉を低減しつつ、安定した読み出し動作が可能となる。
【0081】
<第4の実施形態>
図13は、第4の実施形態に係る半導体記憶装置の構成図である。本実施形態では、第1の実施形態との相違点について主に説明する。
図13に示す半導体記憶装置1は、メモリセルアレイMCAと、読み出しソース線ドライバ部2と、ブースト回路部5とを有する。
【0082】
読み出しソース線ドライバ部2は、複数の読み出しソース線RSLにそれぞれ対応する、複数の読み出しソース線ドライバRSLD<7:0>を有する。
【0083】
読み出しソース線ドライバRSLDは、2段のインバータ、例えば、インバータINV3とインバータINV5とで構成される。
【0084】
インバータINV3は、電源電位VDDで動作し、入力はインバータINV5の出力に接続され、出力は、対応する読み出しソース線RSLに接続されている。
【0085】
インバータINV5は、電源電位VDD、あるいは電源電位VDDよりも高い電圧VDDBSTで動作可能に構成されている。インバータINV5は、それぞれに対応する反転カラム選択信号/CAR<7:0>を受け、対応するカラム選択信号CAR<7:0>をインバータINV3に出力する。
【0086】
ブースト回路部5は、読み出しソース線ドライバRSLDのそれぞれに対応して設けられたブースト回路BST<7:0>を有する。
【0087】
ブースト回路BSTは、電源電位VDDよりも高い電圧VDDBSTが生成可能に構成されている。つまり、VDDBST>VDD+α(α>0)である。
【0088】
ブースト回路BSTは、例えば、PMOSトランジスタTR6と、MOS容量素子MSCとで構成される。トランジスタTR6のソースは電源電位VDDに接続され、ドレインはインバータINV5の電源電位およびMOS容量素子MSCのゲートに接続される。また、トランジスタTR6のゲートおよびMOS容量素子MSCには、ブースト回路BSTに対応するブーストカラム信号BSTCAR<7:0>が入力される。なお、MOS容量素子として、PMOS容量素子、NMOS容量素子、あるいはDepletion MOS容量素子等、任意の容量素子を用いればよい。このように、MOS容量をパルス制御して昇圧することで、電源電位VDDのみで昇圧電位VDDBSTを生成することができる。
【0089】
以上のように構成された、ブースト回路BSTおよび読み出しソース線ドライバRSLDによって、読み出し動作時において、選択カラムに対応する読み出しソース線ドライバRSLDに供給される電位を、他の読み出しソース線ドライバRSLDに供給される電位よりも高くすることができる。
【0090】
具体的に、データの読み出し動作時において、ブーストカラム信号BSTCARのうち、選択カラムに対応するブースト回路BST(例えばブースト回路BST<7>)に入力されるブーストカラム信号BSTCAR(例えばブーストカラム信号BSTCAR<7>)がHになるとする。これによって、対応する読み出しソース線ドライバRSLD(例えば読み出しソース線ドライバRSLD<7>)に供給される電位がVDDからVDDBSTにブーストされる。
【0091】
なお、ブースト回路BSTは、データの読み出し動作時において、選択カラムに対応する読み出しソース線ドライバRSLDに、電源電位VDDよりも高い電位を供給可能な構成であればよい。
【0092】
図14は、第4の実施形態に係るメモリコントロール回路の構成図である。なお、
図14について、
図11との相違点について主に説明する。
【0093】
本実施形態に係るメモリコントロール回路10において、内部クロックICLKRを遅延回路13で遅延させることによって、ブーストカラム信号BSTCARが生成される。なお、遅延回路13の段数は、各信号がアクティブとなるタイミングが好適になるように調整すればよい。また、ブーストカラム信号BSTCARは、選択カラムごとにマルチプレクスして制御してもよく、ノンカラムマルチプレクス制御信号としてもよい。
【0094】
次に、本実施形態に係る半導体記憶装置1の読み出し動作について説明する。
図15は、第4の実施形態に係る半導体記憶装置の読み出し動作を示す波形図である。なお、
図3との相違点について主に説明する。
【0095】
内部クロックICLKRがHとなり、例えばカラムブースト信号BSTCAR<7>がHになると、ブースト回路BST<7>は電圧VDDBSTを出力する。ここで、読み出し動作において、内部クロックICLKRがHである期間とカラムブースト信号BSTCAR<7>がHである期間とが同じとなるように制御される。本実施形態では、
図13に示すように、内部クロックICLKRからカラムブースト信号BSTCARを生成しているため、これらパルス信号がHである期間を同じにすることができる。
【0096】
カラムブースト信号BSTCAR<7>がHである期間において、読み出しソース線ドライバRSLD<7>のインバータINV5が電圧VDDBSTで動作する。その後、選択カラム信号CAR<7>はHとなる。このときのHレベル、つまりインバータINV3の入力電圧は、電源電位VDDよりも高いため、インバータINV3によって、読み出しソース線RSL<7>の電荷がディスチャージされるスピードが早くなる。このように、インバータINV5の動作電圧をブーストしてから選択カラム信号CAR<7>がHになるように制御することで、読み出しソース線RSL<7>がディスチャージされる時間が短くなるため、読み出し動作の高速化を図ることができる。
【0097】
一方、カラムブースト信号BSTCAR<6:0>はLのままであるため、ブースト回路BST<6:0>の出力は電源電位VDDのままである。
【0098】
なお、
図15において、RSL<7>で示される破線は、読み出しソース線ドライバRSLD<7>の動作電圧をブーストしない場合の波形あり、実線は、読み出しソース線ドライバRSLD<7>の動作電圧をブーストした場合の波形である。
【0099】
以上、本実施形態によれば、読み出し動作期間において、読み出しソース線ドライバRSLDに供給される電位をブーストすることによって、読み出しソース線RSLをすばやくディスチャージすることができるため、読み出し速度の高速化が可能である。
【0100】
なお、上記各実施形態において、メモリセルMCを、
図16に示すように構成してもよい。具体的に、トランジスタTR1のドレインとトランジスタTR2のソースとは接続されている。そして、トランジスタTR1のソースは読み出しソース線RSLに、トランジスタTR2のドレインは読み出しビット線RBLに接続されている。
【0101】
つまり、上記各実施形態に係るメモリセルMCにおいて、トランジスタTR1,TR2は、読み出しビット線RBLおよび読み出しソース線RSLの間に直列に接続されていればよい。