(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
t(tは自然数)本の補強コードが埋設されたストリップ材をつくるときに、前記実番号がt番目の補強コードが検出されず且つ前記実番号がt番目より小さいN番目の補強コードが検出されているときは、前記N番目の補強コードの位置と前記平均コード間隔Lmを用いて前記切断位置を定める、請求項1または2に記載の帯状部材の切断方法。
前記切断位置は、前記N番目の補強コードの位置から、前記幅方向の前記第1の端と反対の側に、Lm×(t+1−N)−Lm×j(jは、0より大きく1より小さい数)離れた位置に定める、請求項3または4に記載の帯状部材の切断方法。
前記切断位置決定部は、前記切断位置を、前記N番目の補強コードの位置から、前記幅方向の前記第1の端と反対の側に、Lm×(t+1−N)−Lm×j(jは、0より大きく1より小さい数)離れた位置に定める、請求項12または13に記載の帯状部材の切断装置。
前記実番号設定部は、前記帯状部材の各場所における平均コード間隔の分布を予め取得しておき、前記分布を用いて、前記平均コード間隔Lmを、ストリップ材をつくろうとする前記帯状部材の場所に対応して設定する、請求項10〜15のいずれか1項に記載の帯状部材の切断装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記一定の補強コード本数で切断する方法では、まず、帯状部材の幅方向に移動可能な切断手段とともに帯状部材の長手方向の一端(以降、この端を下流側端という)における、幅方向の第1の端を含む部分を撮像装置によって撮像する。さらに、撮像装置によって撮像される撮像画像上で帯状部材の長手方向の下流側端にあらわれている各補強コードの位置及び切断手段の位置を検出する。さらに、各補強コードの位置及び切断手段の位置の検出結果を用いて、撮像画像上において帯状部材の幅方向の一方の端の側から所定本数目の補強コードと次の補強コードとの間の切断可能な位置に配置されるまで切断手段を帯状部材の幅方向の第1の端と反対側の第2の端の側に向かって移動させる。
【0006】
この後、切断手段によって帯状部材の長手方向の下流側端に切込みをつくる。
【0007】
次に、撮像画像上において切断手段の位置よりも帯状部材幅方向の第1の端の側に撮像装置停止範囲を設定する。この後、撮像画像上における切断手段の検出位置が撮像装置停止範囲内に入るまで撮像装置を帯状部材の第1の端と反対側の第2の端の側に向かって移動させる。
【0008】
この後、撮像装置によって撮像される撮像画像上で帯状部材の長手方向の下流側端にあらわれている各補強コードの位置及び切断手段の位置を検出する。さらに、各補強コードの位置及び切断手段の位置の検出結果を用いて、撮像画像上において直前に切込みをつくった位置から所定本数目の補強コードと次の補強コードとの間の切断可能な位置に配置されるまで切断手段を帯状部材の第2の端の側に向かって移動させる。
【0009】
以上の工程を所定回数繰り返すことにより自動的に帯状部材の切断が行われる。
【0010】
ここで、上述したように、補強コードと直交する方向に横糸が入った帯状部材において、隣り合う補強コードに横糸が絡み合った場合は、補強コードの本数を正しくカウントできず、一定の補強コード本数で切断することができない問題が発生していた。
【0011】
そこで、本発明は、帯状部材を切断することにより成形されるストリップ材の補強コードの本数を確実に所望の本数にすることのできる帯状部材の切断方法及びその装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、帯状部材を前記帯状部材の長手方向に沿って切断することにより複数のストリップ材をつくる帯状部材の切断方法である。当該切断方法は、
互いに並行する複数本の補強コードと前記補強コードを横切るように設けられた横糸とが埋設された帯状部材の長手方向の一端の断面を撮像し、
撮像により得られた撮像画像内で前記断面に現れている各補強コードの像の、前記帯状部材の幅方向の位置を検出するとともに前記帯状部材の幅方向の第1の端の側から補強コードの配置の順番を表す検出番号を設定し、
前記補強コードの検出番号が隣り合う補強コード間の間隔Lを算出し、
前記間隔Lと隣り合う補強コードの平均コード間隔Lmが、Lm×k≦L<Lm×(2−k)(kは0.2以上0.8以下の数)を満足しない場合、前記間隔L
がLm×(p+k)≦L<Lm×(p+2−k)を満足するような0以上の整数pを求め、前記検出番号が隣り合う補強コードの検出番号のうち大きい検出番号が、
前記整数p大きくなるように前記大きい検出番号を修正した実番号を設定し、
前記帯状部材によってつくられるストリップ材に含まれる補強コードの数が設定された数になるように、前記実番号を用いて前記帯状部材の幅方向の切断位置を決定する、ことを含む。
【0014】
前記切断位置は、前記補強コードのうち隣り合う補強コード間の位置である、ことが好ましい。
【0015】
t(tは自然数)本の補強コードが埋設されたストリップ材をつくるときに、前記実番号がt番目の補強コードが検出されず且つ前記実番号がt番目より小さいN番目の補強コードが検出されているときは、前記N番目の補強コードの位置と前記平均コード間隔Lmを用いて前記切断位置を定める、ことが好ましい。
【0016】
前記N番目の補強コードは、前記実番号がt番目より小さい複数の実番号のうち、最大の番号の補強コードである、ことが好ましい。
【0017】
前記切断位置は、前記N番目の補強コードの位置から、前記幅方向の前記第1の端と反対の側に、Lm×(t+1−N)−Lm×j(jは、0より大きく1より小さい数)離れた位置に定める、ことが好ましい。
【0018】
前記補強コードの像の、前記帯状部材の幅方向の位置は、前記補強コードの像の前記幅方向の端部の位置である、ことが好ましい。
【0019】
前記帯状部材の各場所における平均コード間隔の分布を予め取得しておき、
前記平均コード間隔Lmは、前記分布を用いて、ストリップ材をつくろうとする前記帯状部材の場所に対応して設定される、ことが好ましい。
【0020】
前記切断位置が決定され、前記切断位置に切り込みがつくれられた後、
前記切断位置の決定によって切断される前記帯状部材の部分に対して、前記第1の
端の側と反対側に隣接する部分における前記帯状部材の長手方向の一端の断面を撮像すること、
撮像により得られた撮像画像上で前記断面に現れている各補強コードの像の、前記帯状部材の幅方向の位置を検出すること、
前記隣接する部分の撮像画像を用いて、前記帯状部材の幅方向の第1の端の側から前記隣接する部分の補強コードの配置の順番を表す検出番号を設定すること、
前記補強コードの検出番号が隣り合う補強コード間の間隔Lを算出すること、
前記間隔Lと隣り合う補強コードの平均コード間隔Lmが、Lm×k≦L<Lm×(2−k)(kは0.2以上0.8以下の数)を満足しない場合、前記間隔L
がLm×(p+k)≦L<Lm×(p+2−k)を満足するような0以上の整数pを求め、前記検出番号が隣り合う補強コードの検出番号のうち大きい検出番号が、
前記整数p大きくなるように前記大きい検出番号を修正した実番号を設定すること、及び
前記帯状部材によってつくられるストリップ材に含まれる補強コードの数が設定された数になるように、前記実番号を用いて前記帯状部材の幅方向の切断位置を決定すること、を繰り返す、ことが好ましい。
【0021】
前記撮像画像には、前記補強コードの像の他に、前記横糸の像も撮像されてもよい。
【0022】
本発明の他の一態様は、帯状部材を前記帯状部材の長手方向に沿って切断することにより複数のストリップ材をつくる帯状部材の切断装置である。当該切断装置は、
互いに並行する複数本の補強コードと前記補強コードを横切るように設けられた横糸とが埋設された帯状部材の長手方向の一端の断面の撮像画像内で、前記断面に現れている各補強コードの像の、前記帯状部材の幅方向の位置を検出するとともに、前記帯状部材の幅方向の第1の端の側から補強コードの配置の順番を表す検出番号を設定するように構成された位置検出部と、
前記補強コードの検出番号が隣り合う補強コード間の間隔Lを算出するように構成された間隔算出部と、
前記間隔Lと隣り合う補強コードの平均コード間隔Lmが、Lm×k≦L<Lm×(2−k)(kは0.2以上0.8以下の数)を満足しない場合、前記間隔L
がLm×(p+k)≦L<Lm×(p+2−k)を満足するような0以上の整数pを求め、前記検出番号が隣り合う補強コードの検出番号のうち大きい検出番号が、
前記整数p大きくなるように前記大きい検出番号を修正した実番号を設定するように構成された実番号設定部と、
前記帯状部材によってつくられるストリップ材に含まれる補強コードの数が設定された数になるように、前記実番号を用いて前記帯状部材の幅方向の切断位置を決定するように構成された切断位置決定部と、
前記決定した切断位置で前記帯状部材を切断してスリット材をつくるように構成されたカッターと、を有する。
【0024】
前記切断位置決定部が決定する前記切断位置は、前記補強コードのうち隣り合う補強コード間の位置である、ことが好ましい。
【0025】
t(tは自然数)本の補強コードが埋設されたストリップ材をつくるとき、
前記切断位置決定部は、前記実番号がt番目の補強コードが検出されず且つ前記実番号がt番目より小さいN番目の補強コードが検出されているときは、前記N番目の補強コードの位置と前記平均コード間隔Lmを用いて前記切断位置を定める、ことが好ましい。
【0026】
前記N番目の補強コードは、前記実番号がt番目より小さい複数の実番号のうち、最大の番号の補強コードである、ことが好ましい。
【0027】
前記切断位置決定部は、前記切断位置を、前記N番目の補強コードの位置から、前記幅方向の前記第1の端と反対の側に、Lm×(t+1−N)−Lm×j(jは、0より大きく1より小さい数)離れた位置に定める、ことが好ましい。
【0028】
前記位置検出部は、前記補強コードの像の前記幅方向の端部の位置を、前記補強コードの像の、前記帯状部材の幅方向の位置として定める、ことが好ましい。
【0029】
前記実番号設定部は、前記帯状部材の各場所における平均コード間隔の分布を予め取得しておき、前記分布を用いて、前記平均コード間隔Lmを、ストリップ材をつくろうとする前記帯状部材の場所に対応して設定する、ことが好ましい。
【0030】
さらに、前記帯状部材の切断装置は、前記撮像画像として、前記補強コードの像の他に、前記横糸の像も撮像する撮像装置を有する。
【発明の効果】
【0031】
上述の帯状部材の切断方法及びその装置によれば、帯状部材を切断することにより成形されるストリップ材の補強コードの本数を確実に所望の本数にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1〜
図19は、本実施形態を示し、
図1は帯状部材切断装置の要部平面図、
図2は帯状部材切断装置の要部側面図、
図3は帯状部材と撮像装置との位置関係を示す斜視図、
図4は帯状部材と撮像装置との位置関係を示す側面図、
図5は帯状部材切断装置のブロック図、
図6は制御装置の動作を示すフローチャート、
図7は撮像位置、カッター及び帯状部材の位置関係を示す概略図、
図8〜
図19は帯状部材切断装置の動作説明図である。
【0034】
この帯状部材切断装置は、カッター10と、撮像装置20と、複数の切断刃CTと、複数の巻取りローラRLと、を有する。
カッター10は、帯状部材巻回体RWから引出された帯状部材WBの幅方向に移動自在に設けられる。カッター10は、帯状部材WBの長手方向の下流側端に切込みを成形可能な切断手段である。
撮像装置20は、帯状部材巻回体RWから引出された帯状部材WBの幅方向に移動自在に設けられる。
複数の切断刃CTは、帯状部材巻回体RWから引出された帯状部材WBの幅方向に互いに間隔をおいて配置されている。
複数の巻取りローラRLのそれぞれは、各切断刃CTを通過することにより成形される各ストリップ材SPを巻取る。
【0035】
帯状部材WBは未加硫ゴム材料から成り、例えば厚さ寸法が数mm、幅寸法が略240mm、長さ寸法が数十mの帯状に成形されている。また、帯状部材WBには互いに並行するように、具体的には略平行に並ぶように例えば240本の補強コードRCが埋設されており、一般的に70エンドと称される物である。70エンドは、幅50mmの距離の間に70本の補強コードが配置されている。各補強コードRCはポリエステルやナイロン等の剛性繊維コードや金属製コードからなる。各補強コードRCは帯状部材WBの長手方向に延びるように埋設されている。さらに、帯状部材WBの長手方向の下流側端は、切断端面ESが形成されている。この切断端面ESは、帯状部材WBの厚さ方向の一方の側を向くように、帯状部材WBの長手方向の下流側端を斜めに切断することで得られる傾斜した断面である。また、帯状部材WBの長手方向の下流側端の切断端面ESには各補強コードWBの断面があらわれている。また、
図4に示すように、切断端面ESと帯状部材の厚さ方向一方の面とのなす角度αは30°以上60°以下であることが好ましく、本実施形態ではこの角度範囲に入るように切断されている。
【0036】
カッター10は帯状部材WBの厚さ方向に開閉自在な一対の刃10aを有する。
また、カッター10は帯状部材WBの幅方向に延びるように設けられたフレイム11に支持されている。カッター10は、フレイム11に設けられている幅方向移動機構12によって帯状部材WBの幅方向に移動するように構成されている。
また、フレイム11にはカッター10を帯状部材10の長手方向に移動させる長手方向移動機構13が設けられている。これにより、カッター10は、帯状部材WBの長手方向の下流側端の前方において、帯状部材WBの幅方向に移動自在に動作することができる。 さらに、長手方向移動機構13によってカッター10は帯状部材WBの長手方向の上流側端の側に向かって移動することができる。これにより、各刃10aの間に帯状部材WBの長手方向の下流側端を位置させ、各刃10aを閉じることにより、帯状部材WBの長手方向の下流側端に切込みをつくることができる。
【0037】
撮像装置20は例えば周知のCCDカメラから成る。撮像装置20は帯状部材WBの長手方向の下流側端の断面を撮像するように配置されている。ここで、上記撮像する断面は、切断端面ESであり、切断端面ESが帯状部材WBの厚さ方向の一方の側を向く傾斜面である。これにより、帯状部材WBの厚さ方向一方の側から撮像装置20によって帯状部材WBの長手方向の下流側端の断面として切断端面ESを撮像することができる。なお、本実施形態では、帯状部材WBの長手方向の下流側端の断面として傾斜した切断端面ESを用いるが、帯状部材WBの長手方向の下流側端を厚さ方向に切断した断面を、撮像装置20で撮像してもよい。
【0038】
また、撮像装置20には例えばリング状フレイムを有する照明装置20aが取付けられ、リング状フレイムの下面には複数の発光ダイオードLEDが取付けられている。即ち、照明装置20aは撮像装置20の近傍から帯状部材WBの長手方向の下流側端の切断端面ESを照明するように構成されている。
【0039】
撮像装置20は帯状部材WBの幅方向に延びるように設けられたフレイム21に支持され、フレイム21に設けられている移動機構22によって撮像装置20が帯状部材WBの幅方向に移動するようになっている。尚、幅方向移動機構12、長手方向移動機構13及び移動機構22は、例えばサーボモータ、ボールネジを用いて構成される。
【0040】
カッター10、幅方向移動機構12、長手方向移動機構13、撮像装置20及び移動機構22は周知のコンピュータから成る制御装置30に接続されている(
図5参照)。
また、制御装置30は、撮像装置20によって逐次撮像される撮像画像G上において、帯状部材WBの長手方向の下流側端の切断端面ESに現れる各補強コードRCの位置及びカッター10の刃10aの位置を撮像画像G毎に検出し、各補強コードRC及び刃10aの位置に基づいてカッター10、幅方向移動機構12、長手方向移動機構13、撮像装置20及び移動機構22を制御するようになっている。
【0041】
ここで、制御装置30は、制御部30aと、処理部30bを有する。制御部30aは、カッター10、幅方向移動機構12、長手方向移動機構13、及び移動機構22の動作を制御するように構成されている。
処理部30bは、撮像装置20から送られる撮像画像を処理し、帯状部材WBにおける切断位置を決定するように構成されている。処理部30は、具体的には、位置検出部30c、間隔算出部30d、実番号設定部30e、及び切断位置決定部30fを有する。
制御装置30は、例えばCPU及びメモリを有するコンピュータで構成される。この場合、制御部30aと、処理部30bは、図示されないメモリに記録されたプログラムを起動することによりソフトウェアモジュールとして形成される。すなわち、制御部30a、位置検出部30c、間隔算出部30d、実番号設定部30e、及び切断位置決定部30fはソフトウェアモジュールである。
位置検出部30cは、撮像装置20の撮像画像Gに平均化処理、二値化処理、膨張処理等の周知の画像処理を施すことにより、撮像画像G上で各補強コードRC及び刃10aの像のみが例えば白色に表示されるようにする。また、制御装置30は、例えば
図7に示すように、撮像画像G上において各補強コードRCの帯状部材の幅方向の下流側端(
図1における各補強コードRCの右端)の帯状部材の幅方向における位置(座標)P1及び刃10aの先端の帯状部材の幅方向における位置(座標)P2を連続的に検出するように構成されている。位置検出部30c、間隔算出部30d、実番号設定部30e、及び切断位置決定部30fの動作については、後述する切断位置を決定する方法の中で説明する。
以下の説明において、帯状部材WBの幅方向は撮像画像Gの左右方向と一致している。また、本実施形態でいう撮像画像から検出される位置の座標は、実際の対応する位置の座標の数値に相当するように、予めキャリブレーションが施されている。
【0042】
なお、照明装置20aからの光が帯状部材WBの断面において反射する際に、正反射光が撮像装置20に向かう場合は、断面内のゴムの部分及び各補強コードRCの部分の両方の像が白く光り、撮像画像G上において各補強コードRCを識別し難くなる。しかし、本実施形態では、断面として、帯状部材WBの長手方向の下流側端が斜めに傾斜した切断端面ESを用いるので、正反射光が撮像装置20に向かうことが防止され、撮像画像G上において各補強コードRCを確実に識別することができる。
【0043】
以下は、
図6に示すフローチャート及び
図7〜
図14を参照しながら、制御装置30による制御及び帯状部材切断装置の動作を説明する。尚、本実施形態では、帯状部材WBを切断して補強コードRCを14本ずつ有する複数のストリップ材SPを作成する場合について説明する。また、この帯状部材切断装置は、初期状態において、カッター10が帯状部材WBの幅方向の第1の端(
図7に示す紙面上の左側の端)に配置されるとともに、撮像装置20によって帯状部材WBの幅方向の第1の端を含む部分が撮像されるようになっており、撮像装置20の画角内にカッター10の刃10aの像が位置するようになっている。また、撮像装置20の画角内に帯状部材WBの切断端面ESにあらわれている補強コードRCの像が少なくとも19本配置されるようになっている。
【0044】
先ず、制御部30aの指示により、
図6に示されるように、帯状部材巻回体RWから引出された帯状部材WBの切断端面ESとカッター10の刃10aが撮像装置20の画角内に配置されると(SA1)、位置検出部30cは、撮像画像G上において帯状部材WBの幅方向に沿って補強コードRCの像の位置P1を第1の端の側から連続的に検出する。
切断位置検出部30fは、
図8に示すように、撮像画像G上において帯状部材WBの幅方向に沿って第1の端の側から最初に検出される補強コードRCの像の位置P1に基づいて、1つ目の切断位置Xaを設定する(SA2)。具体的には、
図8に示すように、帯状部材WBの幅方向の第1の端の側から1本目の補強コードRCの像の位置P1から第1の端の側(
図8中紙面上の左側)に例えば0.2mm移動した位置が切断位置Xaとして設定される。
【0045】
次に、
図9に示すように、制御部30aの指示により、カッター10の刃10aの先端の位置P2が1つ目の切断位置Xaに配置されるまで、幅方向移動機構12によってカッター10は帯状部材WBの幅方向の第1の端と反対側の第2の端の側に向かって移動する(SA3)。さらに、制御部30aは、刃10aが閉じた後、刃10aが開くように、カッター10を制御する。これにより、帯状部材WBの長手方向の下流側端に切込みがつくられる(SA4)。
【0046】
次に、制御部30aの指示により、撮像画像G上の縁にSA4の処理によって成形した切込みが位置するように撮像装置20を帯状部材幅方向の第2の端の側に向かって移動する(SA5)。
【0047】
次に、位置検出部30cは、撮像装置20から送られる撮像画像Gから各補強コードRCの像の位置P1を検出する。さらに、位置検出部30cは、検出される各補強コードRCの像の位置P1に基づき、撮像画像Gの第1の端の側の切断位置Xaから第2の端の側に向かって順に補強コードRCの像の検出番号を決定する(SA6)。さらに、実番号設定部30eは、検出された各補強コードRCの像の位置と検出番号に基づいて各補強コードRCの実番号を決定する(SA7)。切断位置設定部30fは、実番号と補強コードRCの位置に基づいてカッター10による次の切断位置Xaを設定する(SA8)。実番号は、後述するように、検出番号を修正した番号である。
【0048】
なお、SA6〜SA8の処理に関しては後述するが、撮像画像Gに横糸の像が現れると実際に複数本の隣り合う補強コードRCが繋がった1つの補強コードの像として検出される場合がある。この場合、複数本の補強コードRCを1本の補強コードの像として検出番号を付与してしまう。このため本実施形態では、複数本の補強コードRCを1本の補強コードの像として検出番号を付与した場合でも補強コードRCの実際の順番を表す番号を検出番号から修正して求め、この番号を実番号として決定する。この実番号が、切断位置Xaを設定するために用いられる。
【0049】
次に、制御部30aは、幅方向移動機構12を制御して、刃10aの先端の位置P2が切断位置Xaに配置されるまで、カッター10を帯状部材WBの幅方向の第2の端の側に向かって移動させる(SA9)。
【0050】
次に、制御部30aは、長手方向移動機構13を制御してカッター10を長手方向の上流側端の側に向かって移動させるとともに、カッター10を制御して各刃10aを閉じ、また、制御部30aは、カッター10を制御して、各刃10aを開かせるとともに、長手方向移動機構13を制御してカッター10を長手方向の下流側端の側に移動させる(SA10)。これにより、帯状部材WBの長手方向の下流側端の切断位置Xaに切込みCがつくられる。
【0051】
すなわち、ステップSA9において刃10aが切断位置Xaに配置されることにより、直前に切込みをつくった位置から14本目の補強コードRCと15本目の補強コードRCとの間の切断可能な位置にカッター10が配置される。
【0052】
続いて、ステップSA5からステップSA10を所定回数(本実施形態では22回)、繰返す(SA11)。これにより、帯状部材WBの長手方向の下流側端に23個の切込みCがつくられる。
【0053】
次に、前述したSA6〜SA8の処理を詳細に説明する。
【0054】
帯状部材WBの長手方向の下流側端の断面に補強コードRC同士を繋ぐ横糸の像が現れないときは、位置検出部30cが自動検出する補強コードRCの像の検出番号は、
図10に示すように、帯状部材WBの幅方向の第1の端の側から数えた補強コードRCの実際の番号とはずれることない。すなわち、位置検出部30cは、各補強コードRCの像の座標X1〜X14を問題なく適正に検出する。しかし、帯状部材WBの長手方向の下流側端の断面に補強コードRC同士を繋ぐ横糸の像が現れたときは、
図11に示すように、横糸WFの像によって隣り合う補強コードRCが繋がってしまう。この結果、位置検出部30cは、複数本の補強コードRCの像を1本の補強コードRCの像として検出してこの像に検出番号を付与してしまう。
図11の場合は6本目の補強コードと7本目の補強コードの像が横糸WFの像によって繋がってしまい8本目の補強コードの像を7本目の像として検出してしまう。この結果、16本目の補強コードの像を15本目の像として検出する。このような場合を考慮して本実施形態では
図12及び
図13のフローチャートに示す処理を行うことによって、検出された補強コードの像の番号(検出番号)から実際に何番目の補強コードであるかを表す実番号を演算によって決定する。これにより、隣り合う補強コードRCの像が繋がってしまい複数本の補強コードRCの像を1本の補強コードRCの像として検出してしまったときにも実番号が14本目の補強コードRCと15本目の補強コードとの間に切断位置Xaを設定することができるようにしている。実番号を演算によって決定する処理を、間隔算出部30d及び実番号設定部30eが行う。
【0055】
次に、
図12及び
図13のフローチャートに示した処理に関して説明する。
【0056】
間隔算出部30dは、位置検出部30aが検出した各補強コードRCの像の検出番号を決定した(SB1)後に、検出番号が隣り合う補強コードRCの像の、基準位置に対する位置の座標を取り出す(SB2)。尚、上記位置の座標は、例えば直前に定めた切込位置を位置座標0(基準位置)として帯状部材WBの幅方向に延びるX軸の座標である。座標の単位はmm(ミリメートル)である。
【0057】
この後、実番号設定部30eは、操作員によって予め入力されている隣り合う補強コードRCの間隔の平均値を平均コード間隔Lmとして設定する(SB3)。隣り合う補強コードRCの間隔の平均値は、例えば、帯状部材WBの幅あるいは設計目標の幅を、埋設されている補強コードの総本数で割り算して得られる値が用いられる。さらに、制御装置30は、以降示す変数n(=自然数)を1に設定する(SB4)。
【0058】
次いで、間隔算出部30dは、基準位置から検出番号がn番目の補強コードRCの座標Xnとn+1番目の補強コードRCの座標Xn+1との間隔L(=Xn+1−Xn)を算出する(SB5)。
実番号設定部30eは、算出した間隔Lが(Lm×0.5≦L<Lm×1.5)を満たすか否かを判定する(SB6)。Lm×0.5≦L<Lm×1.5に代えて、kが0.2以上0.8以下であり、Lm×k≦L<Lm×(2−k)を用いてもよい。この場合、k=0.5とすることが好ましい。補強コードRCの間隔のばらつきが平均コード間隔Lmを中心として大きい場合にはkの値を小さくし、小さい場合はkの値を大きくすることが好ましい。
【0059】
前記SB6の判定の結果、間隔Lが(Lm×0.5≦L<Lm×1.5)を満たすときは、実番号設定部30eは、検出番号がn+1番目の補強コードRCの実番号をn+1番目として(SB7)、後述するSB12の処理へ移行する。また、間隔Lが(Lm×0.5≦L<Lm×1.5)を満たさないときは、実番号設定部30eは、変数p(自然数)を1に設定し(SB8)、間隔Lが{Lm×(p+0.5)≦L<Lm×(p+1.5)}を満たすか否かを判定する(SB9)。
【0060】
この判定の結果、間隔Lが{Lm×(p+0.5)≦L<Lm×(p+1.5)}を満たすときは、実番号設定部30eは、検出番号n+1番目の補強コードRCの実番号をn+1+p番目にして(SB10)、後述するSB12の処理へ移行する。また、間隔Lが{Lm×(p+0.5)≦L<Lm×(p+1.5)}を満たさないときは、実番号設定部30eは、変数pの値に1を加算した値を新たな変数pの値として(SB11)、前記SB9の判定処理に移行する。
【0061】
前記SB7の判定の結果において間隔Lが(Lm×0.5≦L<Lm×1.5)を満たしたとき、及び前記SB10の判定の結果において間隔Lが{Lm×(p+0.5)≦L<Lm×(p+1.5)}を満たしたとき、変数nの値に1を加算した値を新たな変数nの値とし(SB12)、実番号設定部30eは、変数nの値が15に等しいか否かを判定する(SB13)。この判定の結果、変数nの値が15に等しくないときは前記SB5の処理に移行し、変数nの値が15に等しいときは、実番号設定部30eは、検出番号が付与されており且つ実番号が15の補強コードRCが存在するか否かを判定する(SB14)。
このように、本実施形態では、隣り合う補強コードの間隔Lの、平均コード間隔Lmに対する比率に応じて、検出番号が隣り合う補強コードの検出番号のうち大きい方の検出番号が、より大きくなるように大きい検出番号を修正した実番号を設定する。
【0062】
この判定の結果、検出番号が像に付与されており且つ実番号が15の補強コードRCが存在するときは、切断位置決定部30fは、実番号が15の補強コードの位置に基づき切断位置Xaを設定する(SB15)。例えば、
図14に示すように、横糸WFによって繋がってしまった補強コードRCが存在しないときは、平均コード間隔Lmに係数j(jは0より大きく1より小さい数)を掛け算した値Lm×jを求め、実番号が15である補強コードRCの座標X15の位置から値Lm×jを引いた値のX座標の位置を切断位置Xaとする。これにより、実番号が14番目の補強コードRCと実番号が15番目の補強コードRCとの間に切断位置Xaを設定することができるので、補強コードRCを14本有するストリップ材をつくることができる。尚、本実施形態では各補強コードRCの位置は補強コードRCの第1の端の側の端の位置で定めているので係数jの値を0.2としているが、各補強コードRCの検出位置に応じて係数jの値を適宜設定することが好ましい。
【0063】
また、例えば、
図15に示すように、6本目の補強コードRCと7本目の補強コードRCが横糸WFによって繋がっていてこれら2本の補強コードRCを1本の補強コードRCの像として検出している場合、実際に8本目の補強コードRCが検出番号7番目となり検出番号は1つずれる。しかし、上記の処理によって実番号が15番目の補強コードRCを決定することができるので、切断位置決定部30fは、平均コード間隔Lmに係数j(jは、0より大きく1より小さい数)をかけた値Lm×jを求め、実番号が15である補強コードRCの座標X14位置から値Lm×jを引いた値のX座標の位置を切断位置Xaとする。これにより、実番号が14番目の補強コードRCと実番号が15番目の補強コードRCとの間に切断位置Xaを設定することができるので、補強コードRCを14本有するストリップ材をつくることができる。
【0064】
前記SB14の判定の結果、検出番号が付与されており且つ実番号が15の補強コードRCが存在しないときは、切断位置決定部30fは、実番号が15よりも小さく且つ実番号が最大の番号、すなわち、15に最も近い実番号を有する補強コードの位置に基づいて切断位置Xaを設定する(SB16)。上記実番号が最大の番号をNとする。例えば、
図16に示すように、14本目から16本目までの補強コードRCが横糸WFによって繋がっていてこれら3本の補強コードRCを1本の補強コードRCの像として検出している場合、17本目の補強コードRCの検出番号が15番目となり検出番号がずれている。しかし、上記の処理によって検出番号が15番目の補強コードRCの実番号は17番目として定められる。したがって、切断位置決定部30fは、15番目の補強コードRCの1つ前に検出されている実番号が14の補強コードRCの像の座標X14を基準にして切断位置Xaを設定する。この場合、具体的には検出番号が14番目の補強コードRCの実番号Nは14番目であるのでX14+{Lm×(15−N)−Lm×j}(jは、0より大きく1より小さい数)によって規定される位置に切断位置Xaを設定する。
図16に示す例では、実番号N=14が存在する最大の番号であるが、実番号N=14がなく、実番号はN=12や13の場合もある。したがって、本実施形態では、切断位置Xaは、実番号Nの補強コードの位置からLm×(t+1−N)−Lm×j(jは、0より大きく1より小さい数)離れた位置に設定する。この場合、実番号Nは、15以下の最大の番号であることが、精度よく切断位置Xaを設定する点から好ましい。
【0065】
続いて、
図17に示すように、帯状部材WBの幅方向に間隔をおいて設けられた複数枚(本実施形態では18枚)の切断刃CTを各切込みCに挿入する。続いて、
図18に示すように、各切断刃CTを通過することにより成形される複数のストリップ材SPの下流側端をそれぞれ巻取りローラRLに装着するとともに、各巻取りローラRLによって各ストリップ材SPを巻取ることにより、帯状部材WBが補強コードRCに沿って切断され、複数のストリップ材SPが成形される。尚、各切断刃CTを各切込みCに挿入する作業は、周知のコンベア等を用いて自動で行うことが可能であり、作業員の手作業によって行うことも可能である。
【0066】
このように、本実施形態の帯状部材の切断方法及びその装置によれば、撮像装置20は、互いに並行する複数本の補強コードRCと補強コードRCを横切るように設けられた横糸WFとが埋設された帯状部材WBの長手方向の一端の断面を撮像する。制御装置30の位置検出部30bは、撮像により得られた撮像画像上で断面に現れている各補強コードRCの像の、帯状部材WBの幅方向の位置を検出するとともに帯状部材WBの幅方向の第1の端の側から補強コードWBの配置の順番を表す検出番号を設定する。その後、制御装置30の間隔算出部30dは、補強コードRCの検出番号が隣り合う補強コード間の間隔Lを算出する。実番号設定部30eは、間隔Lの、隣り合う補強コードの平均コード間隔Lmに対する比率に応じて、検出番号が隣り合う補強コードの検出番号のうち大きい検出番号が、より大きくなるように大きい検出番号を修正した実番号を設定する。そして、切断位置決定部30fは、実番号を用いて帯状部材WBの幅方向の切断位置を決定する。このため、帯状部材WBを切断することにより成形されるストリップSPの補強コードRCの本数を確実に所望の本数にすることができる。
【0067】
すなわち、制御装置30の位置検出部30cは、撮像画像G上で帯状部材WBの長手方向の下流側端にあらわれている各補強コードRCの像の位置P1及びカッター10の刃10aの先端の像の位置P2を検出する。さらに、実番号設定部30eは、撮像画像Gを用いて検出した補強コードの像の検出番号と位置に基づいて実番号を決定する。制御部30aは、この実番号において所定本数目(本実施形態では14本目)の補強コードと次(本実施形態では15本目)の補強コードRCとの間を切断可能な位置に配置されるまでカッター10を移動させる。この後、制御部30はカッター10を制御して、カッター10に帯状部材WBの長手方向の一端に切込みCをつくらせる。この後、互いに帯状部材WBの幅方向に間隔をおいて設けられた複数の切断刃CTを帯状部材WBの長手方向の下流側端につくられた各切込みCに挿入し、帯状部材WBを各切断刃CTによって補強コードRCに沿って裂く。これより、それぞれ所望の本数の補強コードRCを有する複数のストリップ材SPが成形される。即ち、各ストリップ材SPの補強コードRCの本数を確実に所望の本数にすることができる。このスリップ材SPをタイヤに用いることは、タイヤ品質の向上を図る上で極めて有利である。
【0068】
なお、本実施形態では、間隔Lと平均間隔Lmが、Lm×(p+k)≦L<Lm×(p+2−k) (pは0以上の整数であり、kは0.2以上0.8以下の数)を満足するときは、実番号設定部30eは、隣り合う補強コードRCの検出番号のうち大きい検出番号に対して、大きい検出番号と整数pの和を実番号として設定することが好ましい。
【0069】
また、切断位置決定部30fで決定される切断位置Xaは、補強コードRCのうち隣り合う補強コード間の位置であることが好ましい。
【0070】
t(tは自然数)本の補強コードRCが埋設されたストリップ材SPをつくるときに、実番号がt番目の補強コードRCが検出されず且つ実番号がt番目より小さいN番目の補強コードRCが検出されているときは、切断位置決定部30fは、N番目の補強コードRCの位置と平均コード間隔Lmを用いて切断位置Xaを定める、ことが好ましい。
【0071】
このとき、N番目の補強コードRCは、実番号がt番目より小さい複数の実番号のうち、最大の番号の補強コードである、ことが好ましい。
【0072】
切断位置決定部30fは、切断位置Xaを、N番目の補強コードRCの位置から、幅方向の第1の端と反対の側に、Lm×(t+1−N)−Lm×j(jは、0より大きく1より小さい数)離れた位置に定める、ことが好ましい。
【0073】
補強コードRCの像の、帯状部材WBの幅方向の位置は、補強コードRCの像の幅方向の端部の位置である、ことが好ましい。
【0074】
本実施形態のように、切断位置Xaが決定されて切断位置Xaに切込みCがつくられた後、
(1)切断位置Xaの決定によって切断される帯状部材WBの部分に対して、第1の側と反対側に隣接する部分における帯状部材WBの長手方向の一端の断面を撮像すること、
(2)撮像により得られた撮像画像G上で断面に現れている各補強コードRCの像の、帯状部材WBの幅方向の位置を検出すること、
(3)前記隣接する部分の撮像画像Gを用いて、帯状部材WBの幅方向の第1の端の側から前記隣接する部分の補強コードの配置の順番を表す検出番号を設定すること、
(4)補強コードRCの検出番号が隣り合う補強コード間の間隔Lを算出すること、間隔Lの、隣り合う補強コードの平均コード間隔Lmに対する比率に応じて、検出番号が隣り合う補強コードの検出番号のうち大きい検出番号が、より大きくなるように大きい検出番号を修正した実番号を設定すること、及び、
(5)帯状部材WBによってつくられるストリップ材SPに含まれる補強コードの数が設定された数になるように、実番号を用いて帯状部材WBの幅方向の切断位置を決定すること、を繰り返す、ことが好ましい。
【0075】
また、撮像画像Gには、補強コードRCの像の他に、横糸の像も撮像されてもよい。
【0076】
また、本実施形態のように、帯状部材WBの長手方向の下流側端の切断位置Xaに切込みCを1つ成形した後に、撮像装置20の画角内の端部に切断装置20の刃10aの先端が配置されるように、撮像装置20を帯状部材WBの幅方向の第2の端に向かって移動させることが好ましい。これにより、例えば本実施形態のように240本の補強コードRCを有する帯状部材WBの切断を行う場合でも、撮像装置20によって240本の補強コードRCを一度に撮像する必要がなく、撮像装置20の解像度を無用に向上する必要もなく、撮像装置20を帯状部材WBの幅方向に複数個配置する必要もない。この点から、装置の簡素化及び製造コストの低減を図る上で極めて有利である。
【0077】
また、本実施形態のように、切断端面ESが帯状部材WBの厚さ方向の一方の側を向くように長手方向の下流側端が斜めに傾斜した帯状部材WBを用い、撮像装置20によって帯状部材WBの長手方向の下流側端を帯状部材WBの厚さ方向の一方側から撮像することが好ましい。これにより、帯状部材WBの長手方向を向くように長手方向の下流側端が略垂直な面を持つ切断端面ESを、撮像装置20が帯状部材WBの長手方向から撮像する場合と比較し、切断装置10及び撮像装置20の配置が互いに干渉しないように容易に配置することができ、装置の簡素化を図る上で極めて有利である。
【0078】
また、帯状部材WBの長手方向の下流側端が斜めに切断されることにより、例えば照明装置20aが撮像装置20の近傍から帯状部材WBの長手方向の下流側端の切断端面ESを照明するように構成されている場合でも、正反射光が撮像装置20に向かうことが防止され、撮像画像G上において各補強コードRCを確実に識別することができ、帯状部材WBの切断を正確に行う上で極めて有利である。本実施形態では、照明装置20aは撮像装置20と共に常用されるので、帯状部材WBの長手方向の下流側端の切断端面ESを傾斜面にすることは、帯状部材WBの切断を正確に行う上で極めて有利である。
【0079】
さらに、切断端面ESと帯状部材の厚さ方向一方の面とのなす角度αが30°以上60°以下であることが、撮像画像G上において各補強コードRCを容易且つ確実に識別する点から好ましい。即ち、角度αが30°未満である場合は、正反射光が撮像装置20に向かい易くなり、角度αが60°を超える場合は、撮像装置20の位置によっては各補強コードRCが確実に撮像されない場合が出てくるので、角度αは30°以上60°以下であることが好ましい。
【0080】
また、本実施形態では、撮像装置20によって帯状部材WBの長手方向の一端を帯状部材WBの厚さ方向一方側から撮像するようにしている。これに対し、
図19に示すように、撮像装置20によって帯状部材WBの長手方向の下流側端を、帯状部材WBの長手方向と厚さ方向に対して傾斜した傾斜方向から撮像することも好ましい。ここで、
図19では、帯状部材WBの長手方向の下流側端が帯状部材WBの厚さ方向の一方の面に対して略垂直に切断され、切断端面ESと帯状部材WBの厚さ方向一方の面とのなす角度αが略90°となっている。この場合、帯状部材WBの長手方向の下流側端の切断端面ESが斜めの方向から撮像されることから、例えば照明装置20aが撮像装置20の近傍から帯状部材WBの長手方向の一端の切断端面ESを照明する場合でも、正反射光が撮像装置20に向かうことが防止され、撮像画像G上において各補強コードRCを確実に識別することができる。したがって、
図19に示すような照明と切断端面ESの形態は、帯状部材WBの切断を正確に行う上で極めて有利である。
【0081】
尚、帯状部材WBの長手方向の下流側端が斜めに傾斜した端面の場合でも、正反射光が撮像装置20に向かない限り、
図19に示すように、撮像装置20は、帯状部材WBの長手方向と厚さ方向に対して傾斜した傾斜方向から撮像することも好ましい。この場合においても、
図19に示す例と同様の作用効果を達成することができる。さらに、撮像装置20によって帯状部材WBの長手方向の下流側端を帯状部材WBの長手方向から撮像することも可能であり、この場合でも前述と同様の作用効果を達成可能である。
【0082】
また、本実施形態では、撮像画像G上で各補強コードRCの第1の端(
図7に示す紙面上の左側の端)の側を各補強コードRCの位置P1として検出するものを示したが、各補強コードRCの他の位置を各補強コードRCの位置として検出することも可能である。
【0083】
また、本実施形態では70エンドの帯状部材WBを切断する場合を説明したが、70エンドに限定されない。例えば、50mm幅に50本の補強コードが配置されている50エンドの帯状部材を用い、10本の補強コードを有するストリップ材を形成する場合などにも本実施形態の技術を適用できる。
【0084】
また、平均コード間隔Lmとしては、帯状部材WB全体における平均コード間隔を設定してもよい。しかし、帯状部材WBにおいては帯状部材WBの幅方向中央部よりも幅方向両端部の方が補強コードRCの密度が高まる傾向にある。このため、実番号設定部30eは、帯状部材WBの各場所における平均コード間隔Lmの分布を予め実測して取得しておき、平均コード間隔Lmを、取得した分布を用いて、ストリップ材をつくろうとする帯状部材の場所に対応して設定する、ことが好ましい。
【0085】
また、本実施形態では、撮像画像G上でカッター10の刃10aの先端をカッター10の位置P2として検出する例を示したが、カッター10の他の位置をカッター10の位置として検出することも可能である。