特許第6308411号(P6308411)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6308411
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】壁体貫通用の継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 5/00 20060101AFI20180402BHJP
   E03C 1/02 20060101ALI20180402BHJP
【FI】
   F16L5/00 A
   E03C1/02
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-247118(P2017-247118)
(22)【出願日】2017年12月25日
(62)【分割の表示】特願2013-263888(P2013-263888)の分割
【原出願日】2013年12月20日
(65)【公開番号】特開2018-54132(P2018-54132A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2017年12月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000128968
【氏名又は名称】株式会社オンダ製作所
(72)【発明者】
【氏名】上野 晃
(72)【発明者】
【氏名】早川 幸司
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−24569(JP,U)
【文献】 特開2009−89788(JP,A)
【文献】 特開2013−2533(JP,A)
【文献】 特開平8−284220(JP,A)
【文献】 特開2005−54387(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0247347(US,A1)
【文献】 特開2002−38550(JP,A)
【文献】 特開平11−13943(JP,A)
【文献】 実開昭49−37821(JP,U)
【文献】 実開平5−71574(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 5/00
E03C 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁体に形成された貫通孔内に挿入して配置される本体部材と、
前記壁体の一方側において前記本体部材を支持する支持部材とを備え、
前記本体部材は、内部に流路が形成され、前記壁体の一方側から前記貫通孔内に挿入して配置される管状部を有しており、
前記支持部材は、前記壁体に固定される壁体固定部を有しており、
前記支持部材の前記壁体固定部には、前記壁体の前記貫通孔に対する前記本体部材の前記管状部の中心軸位置を決定するための一対の位置決め部が設けられており、
前記一対の位置決め部は、前記管状部を間に挟んで前記管状部の両側に設けられ、
前記一対の位置決め部の内側端縁は、それぞれ、前記貫通孔の前記一方側における開口端縁に沿った円弧状に形成されている壁体貫通用の継手。
【請求項2】
前記一対の位置決め部の外側端縁は、それぞれ、前記内側端縁が沿う前記開口端縁を有する前記貫通孔よりも大きい内径を有する前記貫通孔の前記開口端縁に沿った円弧状に形成されている請求項1に記載の壁体貫通用の継手。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、壁体に形成された貫通孔を介して水栓と配管とを接続する壁体貫通用の継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、マンションのバルコニー等に水栓を施工する場合、外壁に形成された貫通孔(ボイド孔)を介して水栓と配管とを接続する壁体貫通用の継手が用いられている。例えば、特許文献1には、継手を備えた水栓ボックスを外壁の貫通孔内に固定するための水栓ボックスホルダーが開示されている。この水栓ボックスホルダーは、水栓ボックスを収容した状態で外壁の貫通孔内に配置され、ビス等により外壁に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−54387号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、壁体の貫通孔に対する本体部材の管状部の中心軸の位置決めを容易に行うことができる壁体貫通用の継手を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1の発明の壁体貫通用の継手は、壁体に形成された貫通孔内に挿入して配置される本体部材と、前記壁体の一方側において前記本体部材を支持する支持部材とを備え、前記本体部材は、内部に流路が形成され、前記壁体の一方側から前記貫通孔内に挿入して配置される管状部を有しており、前記支持部材は、前記壁体に固定される壁体固定部を有しており、前記支持部材の前記壁体固定部には、前記壁体の前記貫通孔に対する前記本体部材の前記管状部の中心軸位置を決定するための一対の位置決め部が設けられており、前記一対の位置決め部は、前記管状部を間に挟んで前記管状部の両側に設けられ、前記一対の位置決め部の内側端縁は、それぞれ、前記貫通孔の前記一方側における開口端縁に沿った円弧状に形成されている。
【0006】
また、請求項2の発明の壁体貫通用の継手は、請求項1において、前記一対の位置決め部の外側端縁は、それぞれ、前記内側端縁が沿う前記開口端縁を有する前記貫通孔よりも大きい内径を有する前記貫通孔の前記開口端縁に沿った円弧状に形成されている。
【0007】
本発明によれば、壁体の貫通孔に対する本体部材の管状部の中心軸の位置決め(中心位置出し)を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1における、施工された状態の壁貫通用の継手を示す説明図である。
図2】実施形態1における、施工された状態の壁貫通用の継手を背面(後方)から見た説明図である。
図3】実施形態1における、壁貫通用の継手を示す側面図である。
図4】実施形態1における、壁貫通用の継手を示す背面図である。
図5】実施形態1における、壁貫通用の継手を示す平面図である。
図6】実施形態1における、壁貫通用の継手を示す底面図である。
図7】実施形態1における、(a)本体部材の管状部を外壁の貫通孔内に挿入配置した状態を示す説明図であり、(b)本体部材の管状部の位置出し作業を完了した状態を示す説明図。
図8】実施形態1における、(a)本体部材の管状部を外壁の貫通孔内に挿入配置した状態を示す説明図であり、(b)本体部材の管状部の位置出し作業を完了した状態を示す説明図。
図9】実施形態2における、壁貫通用の継手を示す背面図。
図10】実施形態2における、壁貫通用の継手を示す底面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(実施形態1)
図1図2に示すように、本実施形態の壁体貫通用の継手1は、外壁(壁体)81に形成された貫通孔82内に挿入して配置される本体部材2と、外壁81の内側(一方側)において本体部材2を支持する支持部材3とを備えている。
【0010】
同図に示すように、本体部材2は、内部に流路211が形成され、外壁81の内側から貫通孔82内に挿入して配置される管状部21を有している。また、支持部材3は、外壁81に固定される壁体固定部31と、壁体固定部31に連結されると共に本体部材2を固定して支持する本体支持部32とを有している。
【0011】
同図に示すように、本体部材2及び支持部材3は、支持部材3の本体支持部32に対する本体部材2の固定位置を調整可能に構成され、かつ、本体部材2の固定位置の調整により、管状部21の位置を管状部21の軸方向X(以下、適宜、単に軸方向Xという)に調整可能に構成されている。以下、これを詳説する。
【0012】
なお、本実施形態において、壁体貫通用の継手1の前後左右上下の各方向は、本体部材2の管状部21に後述の水栓71(図1)が取り付けられる側を前方とし、後述の延管部22(図1)に後述の配管72(図1)が取り付けられる側を上方として規定している。ただし、これらの各方向は、便宜的に規定した方向にすぎない。
【0013】
図1図2に示すように、壁体貫通用の継手1は、外壁81に形成された貫通孔82を介して、外壁81の外側(屋外側)にある水栓71と外壁81の内側(屋内側)にある配管72とを接続するものである。本実施形態の外壁81は、ALC(軽量気泡コンクリート)からなり、その厚みは、約100mmである。また、外壁81に形成された貫通孔82の内径は、約50mmである。
【0014】
外壁81の内側には、外壁81との間に所定の空間(壁裏空間83)を有して内壁84が配設されている。外壁81と内壁84との間の距離Dは、約50mmである。なお、外壁81としては、ALC以外にも、例えばRC(鉄筋コンクリート)等を用いることができる。また、外壁81の厚みは、ALCを用いた場合に80〜125mm、RCを用いた場合に125〜180mmとすることができる。
【0015】
同図に示すように、本体部材2は、その一部を外壁81の内側から貫通孔82内に挿入して配置された管状部21と、管状部21の後端部から上方に突出して設けられた管状の延管部22と、管状部21の後端部から下方に突出して設けられた連結固定部23とを有している。延管部22は、管状部21の後端部から前後方向(軸方向X)に直交する方向(本実施形態では上方)に折り曲げて形成されている。管状部21及び延管部22は、断面L字状に形成されている。
【0016】
管状部21の前端部には、水栓71が取り付けられている。また、管状部21の後端部は、外壁81の貫通孔82内から後方に突出して配置されている。延管部22の上端部には、配管取付部材721等を介して配管72が取り付けられている。なお、外壁81の貫通孔82内の隙間には、充填材料であるモルタル80が充填されている。
【0017】
同図に示すように、支持部材3は、8つのビス41によって外壁81の内表面812に固定された板状の壁体固定部31と、壁体固定部31の下端部から後方に立設された本体支持部32とを有している。本体支持部32には、2つのネジ42によって本体部材2の連結固定部23が固定されている。
【0018】
図3に示すように、本体部材2において、管状部21の内部には、前後方向(軸方向X)に流路211が形成されている。また、延管部22の内部には、上下方向に流路221が形成されている。管状部21の流路211と延管部22の流路221とは、管状部21の後端部において連通している。
【0019】
図4図5に示すように、連結固定部23には、支持部材3の本体支持部32に固定される板状の固定座部231が設けられている。固定座部231の左右両側には、それぞれネジ42を挿通させるネジ孔232が形成されている。連結固定部23の固定座部231は、2つのネジ42によって支持部材3の本体支持部32に固定されている。
【0020】
図4に示すように、支持部材3において、壁体固定部31は、本体部材2の管状部21を間に挟んで左右両側に設けられた一対の位置決め部311を有している。位置決め部311の内側端縁311aは、内径50mmの貫通孔82の内側(屋内側)の開口端縁821に沿った円弧状に形成されている。なお、位置決め部311の外側端縁311bは、内径75mmの貫通孔の開口端縁に沿った円弧状に形成されている。
【0021】
本実施形態では、壁体固定部31の位置決め部311の内側端縁311aが貫通孔82の開口端縁821に沿うように、壁体固定部31が外壁81の内表面812上に配置されている(図2参照)。そして、貫通孔82の中心軸820と管状部21の中心軸210とが同軸上に配置されている(図1参照)。
【0022】
また、壁体固定部31において、各位置決め部311には、2つの固定片部312が設けられている。各固定片部312には、ビス41を挿通させる2つのビス孔313が形成されている。壁体固定部31は、各固定片部312のビス孔313に挿通させた8つのビス41によって、外壁81の内表面812に固定されている(図2参照)。
【0023】
図4図5に示すように、本体支持部32の左右両端部には、上方に突出してなる一対のガイド部322が設けられている。ガイド部322は、本体部材2の固定座部231を本体支持部32の上面320a上において前後方向(軸方向X)に移動させる場合、固定座部231の左右方向への移動を規制する。
【0024】
図5図6に示すように、本体支持部32には、ネジ42を挿通させる長孔321が形成されている。長孔321は、前後方向に所定の長さで形成されている。ネジ42は、支持部材3の長孔321及び本体部材2のネジ孔232を挿通して螺合され、本体部材2(固定座部231)と支持部材3(本体支持部32)とを固定している。
【0025】
また、本体部材2の固定座部231を支持部材3の本体支持部32に接触した状態で本体支持部32の上面320a上を前後方向(軸方向X)にスライド移動させ、支持部材3の長孔321内におけるネジ42の位置を変更することにより、本体部材2の固定位置を調整することができる。また、本体部材2の固定位置を調整することにより、管状部21の位置を前後方向(軸方向X)に調整することができる。なお、本体支持部32の下面320bには、本体部材2の固定位置の目安とするための目安ライン329が形成されている。
【0026】
次に、壁体貫通用の継手1の施工方法について説明する。
まず、図7(a)に示すように、外壁81の貫通孔82内に、継手1における本体部材2の管状部21を挿入して配置すると共に、外壁81の内表面812上に、継手1における支持部材3の壁体固定部31を配置する。
【0027】
このとき、支持部材3における壁体固定部31の位置決め部311の内側端縁311aが貫通孔82の開口端縁821に沿うように、壁体固定部31を配置する(図2参照)。これにより、外壁81の貫通孔82に対する本体部材2の管状部21の中心軸210の位置決め(中心位置出し)を行う。本実施形態では、貫通孔82の中心軸820と管状部21の中心軸210とが同軸となるように、管状部21の位置決めをする。
【0028】
その後、支持部材3の壁体固定部31を複数のビス41によって外壁81の内表面812に仮固定する。この状態では、本体部材2の管状部21の前端部が外壁81の外表面811から突出している。すなわち、本体部材2の管状部21は、外壁81の外側(屋外側)に突出した状態となっている。よって、本体部材の2管状部21について、外壁81の外側(屋外側)への位置出し作業を行わなければならない。
【0029】
次いで、図7(b)に示すように、ネジ42を緩めた後、本体部材2の固定座部231を本体支持部32の上面320a上において後方にスライド移動させる。そして、本体部材2の管状部21の前端が外壁81の貫通孔82の外側(屋外側)の開口端面822と一致するようにする。その後、ネジ42を締め、本体部材2の固定座部231を支持部材3の本体支持部32に固定する。
【0030】
なお、図8(a)に示すように、外壁81の貫通孔82内に、継手1における本体部材2の管状部21を挿入して配置したとき、本体部材2の管状部21の前端部が外壁81の外表面811よりも引っ込んだ状態、すなわち外壁81の内側(屋内側)に引っ込んだ状態となる場合もある。
【0031】
この場合には、図8(b)に示すように、ネジ42を緩めた後、本体部材2の固定座部231を本体支持部32の上面320a上において前方にスライド移動させる。そして、本体部材2の管状部21の前端が外壁81の貫通孔82の屋外側の開口端面822と一致するようにする。その後、ネジ42を締め、本体部材2の固定座部231を支持部材3の本体支持部32に固定する。
【0032】
次いで、支持部材3の壁体固定部31を複数のビス41によって外壁81の内表面812に本固定する。そして、外壁81の貫通孔82内の隙間をモルタル80で充填する。その後、本体部材2の管状部21の前端部に、水栓71を取り付ける。また、本体部材2の延管部22の上端部に、配管取付部材721を介して配管72を取り付ける。以上により、壁体貫通用の継手1の施工を終了する。
【0033】
次に、本実施形態の壁体貫通用の継手1における作用効果を説明する。
本実施形態の壁体貫通用の継手1は、前述の構成により、外壁81の内側(屋内側)において、支持部材3の本体支持部32に対する本体部材2の固定位置を調整することができる。そして、本体部材2の固定位置を調整することにより、外壁81の貫通孔82内における管状部21の位置をその管状部21の軸方向Xに調整することができる。
【0034】
そのため、本体部材2の管状部21を外壁81の内側から貫通孔82内に挿入配置し、支持部材3の壁体固定部31を外壁81に固定(仮固定)した状態で、外壁81の内側において、本体部材2の固定位置を容易に調整することができると共に、外壁81の貫通孔82内における管状部21の位置を容易に調整することができる。
【0035】
これにより、外壁81の貫通孔82内に挿入配置した本体部材2の管状部21について、外壁81の外側(屋外側)への位置出しを行う際に、管状部21における外壁81の外側(屋外側)への突出量(外壁81の内側(屋内側)への引っ込み量)を容易かつ精度良く調整することができる。すなわち、管状部21の位置出し作業を容易かつ精度良く行うことができる。その結果、外壁81への施工作業が容易となり、その施工精度を高めることができる。
【0036】
また、従来のように、継手1を外壁81に固定していたビス等をいちいち外すことなく、継手1(支持部材3の壁体固定部31)を外壁81に固定(仮固定)した状態で、本体部材2の管状部21の位置出し作業を行うことができる。そのため、外壁の内側(屋内側)の空間(壁裏空間83)が狭い場合でも、管状部21の位置出し作業を容易に行うことができる。
【0037】
また、継手1は、本体部材2と支持部材3との2つの部材により構成することができる。そのため、継手1全体を簡易な構成とすることができ、外壁81への施工作業も非常に容易となる。また、継手1を構成する部品点数を削減することができ、部品コストの低減を図ることもできる。
【0038】
また、継手1を簡易な構成とし、継手1の部品点数を削減することにより、継手1全体の小型化を図ることができ、外壁81に形成する貫通孔82の内径を小さくすることができる。これにより、外壁81の貫通孔82内に継手1(本体部材2の管状部21)を配置した後、貫通孔82内の隙間をモルタル80で充填する埋め戻し作業が容易となり、施工作業の負荷を低減することができる。
【0039】
また、本体部材2の管状部21の位置出し作業が完了した後、支持部材3の壁体固定部31を外壁81に固定(本固定)することにより、前述の埋め戻し作業の際、貫通孔82内の隙間をモルタル80で充填するとき、継手1(特に貫通孔82内に挿入配置される本体部材2の管状部21)が回転してしまうことを確実に防止することができる。
【0040】
また、本体部材2は、支持部材3の本体支持部32に対して管状部21の軸方向Xに摺動させることにより、支持部材3の本体支持部32に対する本体部材2の固定位置を調整可能に構成されている。すなわち、本体部材2は、支持部材3の本体支持部32に接触した状態で、本体支持部32の上面320a上を前後方向(軸方向X)にスライド移動することにより、本体部材2の固定位置を調整することができる。そのため、本体部材2の固定位置の調整や、管状部21の位置の調整(管状部21の位置出し)を容易かつ精度良く行うことができる。
【0041】
また、支持部材3の本体支持部32の左右両端部には、上方に突出してなる一対のガイド部322が設けられている。そのため、ガイド部322によって、本体部材2の固定座部231を本体支持部32の上面320a上において前後方向(軸方向X)にスライド移動させる場合、固定座部231の左右方向への移動を規制することができる。これにより、本体部材2の固定位置の調整や、管状部21の位置の調整(管状部21の位置出し)を容易かつ精度良く行うことができる。
【0042】
また、本体部材2は、管状部21に連結されると共に支持部材3の本体支持部32に固定される連結固定部23を有している。そして、連結固定部23には、支持部材3の本体支持部32に固定される板状の固定座部231が設けられている。そのため、本体部材2を支持部材3の本体支持部32に対して容易かつ確実に固定することができる。
【0043】
また、支持部材3の壁体固定部31には、外壁(壁体)81の貫通孔82に対する本体部材2の管状部21の中心軸210位置を決定するための位置決め部311が設けられている。そして、本実施形態では、位置決め部311の内側端縁311aを貫通孔82の開口端縁821に沿うように配置する。これにより、外壁81の貫通孔82に対する本体部材2の管状部21の中心軸210の位置決め(中心位置出し)を容易に行うことができる。
【0044】
このように、本実施形態によれば、簡易な構成であって部品点数の削減を図ることができ、かつ、外壁(壁体)81への施工が容易であってその施工精度を高めることができる壁体貫通用の継手1を提供することができる。
【0045】
(実施形態2)
本実施形態は、図9図10に示すように、壁貫通用の継手1において、本体部材2及び支持部材3の構成を変更した例である。
【0046】
同図に示すように、本体部材の連結固定部23の固定座部231には、下方に突出してなる係合突出部(係合部)233が設けられている。一方、支持部材3の本体支持部32には、厚み方向に貫通してなる被係合孔(被係合部)323が設けられている。被係合孔323は、前後方向に所定の長さで形成されている。
【0047】
そして、係合突出部233は、被係合孔323に係合させた状態で、前後方向(軸方向X)に移動可能に構成されている。すなわち、本体部材2は、固定座部231の係合突出部233を支持部材3の本体支持部32の被係合孔323に係合させた状態で、前後方向(軸方向X)に移動することができる。その他の基本的な構成は、実施形態1と同様である。
【0048】
本実施形態の場合には、支持部材3の本体支持部32に対する本体部材2の固定位置の調整や、管状部21の位置の調整(管状部21の位置出し)を容易かつ精度良く行うことができる。また、本体部材2(固定座部231)の軸方向X以外の方向(本実施形態であれば特に左右方向)への移動を規制することもできる。その他の基本的な作用効果は、実施形態1と同様である。
【0049】
(その他の実施形態)
なお、本発明は、前述の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0050】
(1)本実施形態では、壁体貫通用の継手1を外壁81に形成した貫通孔82に施工し、外壁81の外側(屋外側)に水栓71を取り付けたが、例えば、継手1を内壁84に形成した貫通孔に施工し、内壁84の内側(屋内側)に水栓を取り付けてもよい。
【0051】
(2)本実施形態では、本体部材2の固定座部231のネジ孔232及び支持部材3の本体支持部32の長孔321にネジ42を挿通して螺合させることにより、本体部材2と支持部材3とを固定しているが、両者を固定する固定手段はこれに限定されるものではなく、種々様々な固定手段を用いることができる。
【0052】
(3)本実施形態では、支持部材3の壁体固定部31に、外壁81の貫通孔82に対する本体部材2の管状部21の中心軸210位置を決定するための位置決め部311(内側端縁311a、外側端縁311b)を設けたが、位置決め手段はこれに限定されるものではなく、種々様々な位置決め手段を用いることができる。
【0053】
(4)本実施形態では、本体部材2の延管部22を上方に向けて配置しているが、例えば、支持部材3の壁体固定部31を管状部21の軸方向Xを基点にして回転させることにより、本体部材2の延管部22の向きを管状部21の軸方向Xに直交する方向において自由に変更することができる。したがって、例えば、外壁81の内側(屋内側)の空間(壁裏空間83)が狭い場合でも、配管72を接続する方向に本体部材2の延管部22の向きを容易に調整することができる。
【0054】
(5)本実施形態では、本体部材2に連結固定部23を設けたが、本体部材2に連結固定部23を設けない構成とすることもできる。例えば、本体部材2の管状部21を支持部材3の本体支持部32に対して摺動させたり、支持部材3の本体支持部32に固定させたりしてもよい。また、本体部材2の管状部21に、支持部材3の本体支持部32の被係合部に係合する係合部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…継手(壁体貫通用の継手)
2…本体部材
21…管状部
211…流路(管状部の流路)
3…支持部材
31…壁体固定部
32…本体支持部
81…外壁(壁体)
82…貫通孔
X…軸方向(管状部の軸方向)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10