(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記受け部の軸線方向における端部に、前記受け部に収容された前記第1コア構成体が軸線方向に位置ずれすることを規制可能なストッパが形成されていることを特徴とする請求項1記載のノイズフィルタ。
前記弾性押圧片の軸線方向における端部に、前記弾性押圧片に押圧されている前記第2コア構成体が軸線方向に位置ずれすることを規制可能な規制部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のノイズフィルタ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)本発明のノイズフィルタは、前記受け部の軸線方向における端部に、前記受け部に収容された前記第1コア構成体が軸線方向に位置ずれすることを規制可能なストッパが形成されていてもよい。
この構成によれば、第1コア構成体が軸線方向に移動して受け部から離脱することを防止できる。
【0010】
(2)本発明のノイズフィルタは、前記弾性押圧片の軸線方向における端部に、前記弾性押圧片に押圧されている前記第2コア構成体が軸線方向に位置ずれすることを規制可能な規制部が形成されていてもよい。
この構成によれば、第2コア構成体が軸線方向に移動して弾性押圧片から離脱することを防止できる。
【0012】
(3)本発明のノイズフィルタは、前記受け部と前記弾性押圧片の軸線方向における一方の端部には、前記ケースに収容された前記第1コア構成体と前記第2コア構成体が軸線方向に位置ずれすることを規制可能なケース側ストッパが形成され、前記高剛性部と前記低剛性部の軸線方向における他方の端部には、前記ケースに収容された前記第1コア構成体と前記第2コア構成体が軸線方向において前記ケース側ストッパとは反対側へ位置ずれすることを規制可能なホルダ側ストッパが形成されていてもよい。
この構成によれば、ケースにコア構成体を収容する際の作業が容易となる。そして、ケースとホルダを組み付けた状態では、ケース内のフェライトコアを、ケース側ストッパとホルダ側ストッパとの間で挟むことにより収容状態に保持することができる。
【0013】
<
参考例1>
以下、
本発明の参考例1を
図1〜
図4を参照して説明する。
本参考例1において、前後の方向については、
図2における左方を前方と定義する。また、左右方向及び上下方向については、
図1,3,4にあらわれる向きを、そのまま右方、左方、上方、下方と定義する。
【0014】
本参考例1のノイズフィルタFaは、
図1,3に示すように、ワイヤーハーネスや各種電線等の導電路30に対し包囲するように取り付けられ、その導電路30のノイズを除去するものである。ノイズフィルタFaは、フェライトコア10と、ケース20とを備えて構成されている。フェライトコア10は、半円筒形をなす左右対称な一対の第1及び第2コア構成体11A,11Bを、円筒形に合体させて構成されている。フェライトコア10の内径は、導電路30の外径よりも少し大きい寸法に設定されている。フェライトコア10によるノイズ除去機能を十分に発揮させるためには、コア構成体11A,11Bの周方向に対向する対向面12A,12B同士を互いに密着させることが好ましい。後述するケース20には、コア構成体11A,11B同士を密着させるための手段が設けられている。
【0015】
ケース20は、合成樹脂製からなり、上下対称な形状の単一部品である。
図4に示すように、ケース20は、ケース20の左半分領域に配された半円筒形の受け部21と、受け部21よりも肉薄の上下対称な一対の弾性押圧片22とを備えて構成されている。前後方向(軸線方向)における弾性押圧片22の形成領域は、受け部21の形成領域と同じ範囲である。周方向における受け部21の形成領域は、半周(つまり、180°)に亘る範囲である。受け部21の内周面の曲率半径は、フェライトコア10(コア構成体11A,11B)の外周面の曲率半径とほぼ同じ寸法である。受け部21には、第1コア構成体11Aがその外周面を受け部21の内周面に密着させた状態で取り付けられるようになっている。
【0016】
一対の弾性押圧片22は、受け部21の周方向における両端縁部から周方向に沿って斜め右方へ片持ち状に延出した形態である。周方向における1つの弾性押圧片22の形成領域は、1/4周(90°)よりも小さい範囲である。したがって、上下両弾性押圧片22の延出端縁部23同士の間には、前後方向に沿って延びるとともに、ケース20の前後両端に開放された周面開口部24が形成されている。
【0017】
弾性押圧片22の周方向における基端縁部の内周面と、受け部21の周方向における両端縁部の内周面とは、滑らかに連続するように(つまり、曲率が大きく変化したり、段差が生じないように形態で)連なっている。フェライトコア10をケース20に取り付ける前の状態において、弾性押圧片22の内周面の曲率半径は、コア構成体11A,11Bの外周面の曲率半径よりも少し小さい寸法に設定されている。また、受け部21の円弧の中心から、弾性押圧片22の延出端縁部23の内周面までの径方向の寸法は、受け部21の内周面(コア構成体11A,11Bの外周面)の曲率半径より小さい寸法に設定されている。
【0018】
受け部21は、その厚さ寸法が比較的大きく設定されているため、曲率を変化させるような変形を殆ど生じない。これに対し、弾性押圧片22は、その厚さ寸法が受け部21よりも小さく設定されているので、その基端縁部を略支点として径方向へ変位するように(つまり、拡径するように)弾性撓みし得るようになっている。弾性押圧片22の弾性撓みに伴い、弾性押圧片22の延出端縁部23が径方向外方へ変位し、弾性押圧片22には、その延出端縁部23を受け部21(ケース20)の中心側へ変位させるような研磨材方向内向きの付勢力が蓄勢されるようになっている。
【0019】
受け部21の前端部(軸線方向における一方の端部)には、ストッパ25が形成されている。ストッパ25は、受け部21の内周から内側(ケース20の中心側)へ板状に延出した形態である。周方向におけるストッパ25の形成領域は、受け部21の形成領域と同じ範囲である。ストッパ25の内周縁26(延出端縁)の正面視形状は、受け部21と同心の半円形である。ストッパ25の内周縁26の曲率半径は、導電路30の外周面の曲率半径と同じか、それよりも少し小さい寸法に設定されている。
【0020】
ストッパ25の後面から受け部21の後端までの長さは、フェライトコア10(コア構成体11A,11B)の軸線方向の長さと同じか、それよりも僅かに小さい寸法に設定されている。ケース20の前面のうちストッパ25で覆われていない略半円形の領域は、ケース20の内外を連通させる略半円形の前面開口部27Fとなっている。ケース20の後面は、その全領域に亘って開口され、ケース20の内外を連通させる略円形の後面開口部27Rとなっている。ケース20は、前後方向に型開きされる金型(図示省略)によって成形することができるので、スライド型は不要である。
【0021】
弾性押圧片22の延出端縁部23には、その前端縁(前後方向においてストッパ25と同じ側の端縁)から径方向内向きに突出した形態の規制部28が形成されている。規制部28の後面とストッパ25の後面は、前後方向において同じ位置に配されている。つまり、規制部28の後面から受け部の後端までの長さは、ストッパ25と同様、フェライトコア10(コア構成体11A,11B)の前後方向の寸法と同じか、それよりも僅かに小さい寸法に設定されている。
【0022】
次に、
本参考例1のノイズフィルタFaを導電路30に取り付ける作業工程を説明する。まず、周面開口部24からケース20内に導電路30を収容し、その後、受け部21とストッパ25とによって構成された収容空間29内に第1コア構成体11Aを収容する。このとき、後面開口部27Rから第1コア構成体11Aを差し入れることにより、作業を簡単に行うことができる。尚、第1コア構成体11Aは、導電路30をケース20内に収容する前に、予め、ケース20(収容空間29)内にセットしておいてもよい。
【0023】
この後、後面開口部27Rから第2コア構成体11Bをケース20内に取り付ける。このとき、上下両弾性押圧片22を斜め右方へ拡径変形させることにより、第2コア構成体11Bと弾性撓み22との干渉を回避することができる。第2コア構成体11Bは、ケース20内のうち第1コア構成体11Aよりも右方の空き空間に収容される。ケース20内に収容された第2コア構成体11Bは、その前端面における外周縁に規制部28が係止することにより、第1コア構成体11Aと同様、ケース20に対する前方への相対変位を規制される。
【0024】
また、第2コア構成体11Bがケース20に取り付けられると、弾性押圧片22が、第2コア構成体11Bの外周面に対し、左方(第1コア構成体11A側)へ弾性的に押圧する。この弾性押圧片22の弾性押圧作用により、両コア構成体11A,11Bが受け部21と弾性押圧片22との間で左右方向(両コア構成体11A,11Bを合体させる方向と平行な方向)に挟み付けられ、両コア構成体11A,11Bの対向面12A,12B同士が密着する。また、弾性押圧部22の弾力に起因する摩擦により、両コア構成体11A,11Bはケース20内に保持される。
【0025】
以上により、コア構成体11A,11Bが合体してフェライトコア10が構成されると同時に、ケース20に対するフェライトコア10の取付け(ノイズフィルタFaの組付け)が完了し、併せて、導電路30へのノイズフィルタFaの仮組み作業も完了する。この後は、粘着性を有するテープ31をケース20の外周に巻き付けることにより、弾性押圧片22の拡径変形を防止する。また、図示は省略するが、ケース20の前後両端部から導電路30に亘ってテープ31を巻き付ける。以上により、導電路30に対するフェライトコア10の取付け作業が完了する。
【0026】
本参考例1のノイズフィルタFaは、周方向に分割された第1及び第2のコア構成体11A,11Bを合体して構成される筒形のフェライトコア10と、フェライトコア10を合体状態に保持する手段を備えた合成樹脂製のケース20とを備えたものであり、ケース20を安価に製造することを課題としている。そして、その課題解決手段として、ケース20は、第1コア構成体11Aの外周面を当接させる受け部21と、受け部21の周方向における端縁部から片持ち状に延出し、第2コア構成体11Bの外周を受け部21側へ弾性的に押圧する弾性押圧片22とを備えている。
【0027】
弾性押圧片22は、第1コア構成体11Aと第2コア構成体11Bを合体状態に保持する手段として機能するのであるが、この弾性押圧片22は、受け部21の周方向における端縁部から片持ち状に延出した形態である。したがって、ケース20には、部分的に除去した形態のスリットを形成する必要がなく、ケース20を成形するための金型(図示省略)の構造を簡素化して、ケース20の製造コスト低減を実現することができる。
【0028】
また、受け部21の前端部には、受け部21に収容された第1コア構成体11Aが軸線方向に位置ずれすることを規制可能なストッパ25が形成されているので、第1コア構成体11Aが軸線方向に移動して受け部21から離脱することを防止できる。さらに、弾性押圧片22の前端部には、弾性押圧片22に押圧されている第2コア構成体11Bが軸線方向に位置ずれすることを規制可能な規制部28が形成されているので、第2コア構成体11Bが軸線方向に移動して弾性押圧片22から離脱することも防止できる。
【0029】
<
実施例1>
次に、本発明を具体化した
実施例1を
図5〜
図9を参照して説明する。
本実施例1において、前後の方向については、
図7における左方を前方、
図9における右方を前方と定義する。また、左右方向及び上下方向については、
図5,6,8にあらわれる向きを、そのまま右方、左方、上方、下方と定義する。
【0030】
本実施例1のノイズフィルタFbは、ワイヤーハーネスや各種電線等の導電路70に対し包囲するように取り付けられ、その導電路70のノイズを除去するものである。ノイズフィルタFbは、フェライトコア40と、ケース50と、ホルダ60とを備えて構成されている。フェライトコア40は、半円筒形をなす左右対称な一対の第1及び第2コア構成体41A,41Bを、円筒形に合体させて構成されている。フェライトコア40の内径は、導電路70の外径よりも少し大きい寸法に設定されている。フェライトコア40によるノイズ除去機能を十分に発揮させるためには、コア構成体41A,41Bの周方向における対向面42A,42B同士を互いに密着させることが好ましい。後述するケース50には、コア構成体41A,41B同士を密着さるための手段が設けられている。
【0031】
ケース50は、合成樹脂製からなり、上下対称な形状の単一部品である。
図6,7に示すように、ケース50は、ケース50の左半分領域に配された半円筒形の受け部51と、受け部51よりも肉薄の上下対称な一対の弾性押圧片53とを備えて構成されている。前後方向(軸線方向)における弾性押圧片53の形成領域は、受け部51の形成領域と同じ範囲である。周方向における受け部51の形成領域は、半周(つまり、180°)に亘る範囲である。受け部51の内周面の曲率半径は、フェライトコア40(コア構成体41A,41B)の外周面の曲率半径とほぼ同じ寸法である。受け部51の内周面には第1コア構成体41Aがその外周面を密着させた状態で取り付けられるようになっている。受け部51の外周には、上下方向における略中央部を外周側(左方)へ弧状に膨出させた形態の回転抑制部52が形成されている。
【0032】
一対の弾性押圧片53は、受け部51の周方向における両端縁部から周方向に沿って斜め右方へ片持ち状に延出した形態である。周方向における1つの弾性押圧片53の形成領域は、1/4周(90°)よりも小さい範囲である。したがって、上下両弾性押圧片53の延出端縁部54同士の間には、前後方向に沿って延びるとともに、ケース50の前後両端に開放された右周面開口部55が形成されている。
【0033】
弾性押圧片53の周方向における基端縁部の内周面と、受け部51の周方向における両端縁部の内周面とは、滑らかに連続するように(つまり、曲率が大きく変化したり、段差が生じないように形態で)連なっている。フェライトコア40をケース50に取り付ける前の状態において、弾性押圧片53の内周面の曲率半径は、コア構成体41A,41Bの外周面の曲率半径よりも少し小さい寸法に設定されている。そして、受け部51の円弧の中心から、弾性押圧片53の延出端縁部54の内周面までの径方向の寸法は、受け部51の内周面(コア構成体41A,41Bの外周面)の曲率半径より小さい寸法に設定されている。また、弾性押圧片53の外周面の曲率半径は、受け部51の外周面の曲率半径よりも小さい寸法となっている。そして、ケース50の外周面のうち受け部51と弾性押圧片53との境界部分は、段差状をなしている。
【0034】
受け部51は、その厚さ寸法が比較的大きく設定されているため、曲率を変化させるような変形を殆ど生じない。これに対し、弾性押圧片53は、その厚さ寸法が受け部51よりも小さく設定されているので、その基端縁部を略支点として径方向へ変位するように(つまり、拡径するように)弾性撓みし得るようになっている。弾性押圧片53の弾性撓みに伴い、弾性押圧片53の延出端縁部54が径方向へ変位し、弾性押圧片53には、その延出端縁部54を受け部51(ケース50)の中心側へ変位させるような径方向内向きの付勢力が蓄勢されるようになっている。
【0035】
ケース50の前端部(軸線方向における一方の端部)には、ケース側ストッパ56が形成されている。周方向におけるケース側ストッパ56の形成範囲は、受け部51の内周の全領域と上下両弾性押圧片53の基端部に亘る範囲(つまり、1つのコア構成体41A,41Bの存在領域である180°よりも広い範囲)である。ストッパ側ストッパは、受け部51及び弾性押圧片53から内側(ケース50の中心側)へ板状に延出した形態である。ケース側ストッパ56の内周縁57(延出端縁)の正面視形状は、受け部51と同心の半円形である。ケース側ストッパ56の内周縁57の曲率半径は、導電路70の外周面の曲率半径と同じか、それよりも少し小さい寸法に設定されている。ケース側ストッパ56の後面から受け部51の後端までの寸法は、フェライトコア40(コア構成体41A,41B)の軸線方向の長さと寸法と同じか、それよりも僅かに大きい寸法に設定されている。ケース50の後端面(ケース側ストッパ56が形成されていない側の端面)は、全領域に亘って開放された後面開口部58となっている。
【0036】
ホルダ60は、合成樹脂製からなり、上下対称な形状の単一部品である。
図8,9に示すように、ホルダ60は、ケース50の右半分領域に配された半円筒形の高剛性部61と、上下対称な一対の低剛性部62とを備えて構成されている。前後方向(軸線方向)における低剛性部62の形成領域は、高剛性部61の形成領域と同じ範囲である。周方向における高剛性部61の形成領域は、半周(つまり、180°)に亘る範囲であり、ケース50の上下両弾性押圧片53及び右周面開口部55と対応する領域である。高剛性部61の内周面の曲率半径は、フェライトコア40(コア構成体41A,41B)の外周面の曲率半径よりも大きい寸法(ホルダ60とケース50を組み付けたときにフェライトコア40に接触しない寸法)に設定されている。
【0037】
一対の低剛性部62は、高剛性部61の周方向における両端縁部から周方向に沿って斜め左方へ片持ち状に延出した形態である。周方向における1つの低剛性部62の形成領域は、1/4周(90°)よりも小さい範囲であり、ケース50の受け部51のうち回転抑制部52が形成されていない領域(回転抑制部52の上方及び下方の領域)と対応する範囲である。上下両低剛性部62の延出端縁部同士の間には、前後方向に沿って延びるとともに、ケース50の前後両端に開放された左周面開口部63が形成されている。この左周面開口部63は、周方向において、ケース50の回転抑制部52と対応する。
【0038】
低剛性部62の周方向における基端縁部の内周面と、高剛性部61の周方向における両端縁部の内周面とは、段差状をなすように連なっている。これは、高剛性部61が弾性押圧片53の外周面と対向するように配され、低剛性部62が、弾性押圧片53の外周面よりも曲率半径の大きい受け部51の外周面と対向するように配されるからである。つまり、低剛性部62の内周面の曲率半径は、高剛性部61の内周面の曲率半径よりも大きく設定されている。ホルダ60をケース50に取り付ける前の状態において、低剛性部62の内周面の曲率半径は、受け部51の外周面の曲率半径よりも少し小さい寸法に設定されている。そして、高剛性部61の円弧の中心から、低剛性部62の延出端部の内周面までの径方向の寸法は、高剛性部61の内周面の曲率半径より小さい寸法に設定されている。
【0039】
高剛性部61は、その厚さ寸法が比較的大きく設定されているため、曲率を変化させるような変形を殆ど生じない。これに対し、低剛性部62は、その厚さ寸法が高剛性部61よりも小さく設定されているので、その基端縁部を略支点として径方向へ変位するように(つまり、拡径するように)弾性撓みし得るようになっている。低剛性部62の弾性撓みに伴い、低剛性部62の延出端縁部が径方向外方へ変位し、低剛性部62には、その延出端縁部を高剛性部61(ホルダ60)の中心側へ変位させるような付勢力が蓄勢されるようになっている。
【0040】
ホルダ60の後端部(軸線方向における一方の端部)には、ホルダ側ストッパ64が形成されている。周方向におけるホルダ側ストッパ64の形成範囲は、高剛性部61の内周の全領域と上下両低剛性部62の基端部に亘る範囲(つまり、1つのコア構成体41A,41Bの存在領域である180°よりも広い範囲)である。ホルダ側ストッパ64は、高剛性部61及び低剛性部62から内側(ホルダ60の中心側)へ板状に延出した形態である。ホルダ側ストッパ64の内周縁65(延出端縁)の正面視形状は、高剛性部61と同心の半円形である。ホルダ側ストッパ64の内周縁65の曲率半径は、ケース側ストッパ56の内周縁の曲率半径と同じ寸法、即ち、導電路70の外周面の曲率半径と同じか、それよりも少し小さい寸法に設定されている。ホルダ側ストッパ64の前面から高剛性部61の前端までの寸法は、フェライトコア40(コア構成体41A,41B)の軸線方向の長さと寸法と同じか、それよりも僅かに大きい寸法に設定されている。ホルダ60の前端面(ホルダ側ストッパ64が形成されていない側の端面)は、全領域に亘って開放された前面開口部66となっている。
【0041】
次に、
本実施例1のノイズフィルタFbを導電路70に取り付ける作業工程を説明する。まず、右周面開口部55からケース50内に導電路70を収容し、その後、受け部51とケース側ストッパ56とによって構成された収容空間59内に第1コア構成体41Aを収容する。このとき、第1コア構成体41Aは、後面開口部58からケース50内に差し込むようにすれば、受け部51や弾性押圧片53と干渉させずに済む。尚、第1コア構成体41Aは、導電路70をケース50内に収容する前に、予め、ケース50(収容空間59)内にセットしておいてもよい。ケース50内に収容した第1コア構成体41Aは、ケース側ストッパ56に当接することにより、前方への相対移動を規制される。
【0042】
この後、後面開口部58から第2コア構成体41Bをケース50内に取り付ける。このとき、上下両弾性押圧片53を斜め右方へ拡径変形させることにより、第2コア構成体41Bと弾性押圧片53との干渉を回避することができる。第2コア構成体41Bは、ケース50内のうち第1コア構成体41Aよりも右方の空き空間に収容される。ケース50内に収容された第2コア構成体41Bは、その前端面における外周縁をケース側ストッパ56に当接させることにより、第1コア構成体41Aと同じく前方への相対移動を規制される。
【0043】
また、第2コア構成体41Bがケース50に取り付けられると、弾性押圧片53が、第2コア構成体41Bの外周面に対し、左方(第1コア構成体41A側)へ弾性的に当接する。この弾性押圧片53の弾性押圧作用により、両コア構成体41A,41Bが受け部51と弾性押圧片53との間で左右方向(両コア構成体41A,41Bを合体させる方向と平行な方向)に挟み付けられ、両コア構成体41A,41Bの周方向における対向面42A,42B同士が密着する。以上により、コア構成体41A,41Bが合体してフェライトコア40が構成されると同時に、ケース50に対するフェライトコア40の取付け(ノイズフィルタFbの組付け)が完了し、併せて、導電路70へのケース50及びフェライトコア40の仮組み作業も完了する。
【0044】
この後、ケース50に対し、その後方からホルダ60をスライドさせるようにして組み付ける。組付けに際しては、高剛性部61を上下両弾性押圧片53の外周面に摺接させるとともに、上下両低剛性部62を左方へ弾性的に拡径変形させて受け部51の外周面に摺接させる。この状態では、ホルダ60の左周面開口部63内にケース50の回転抑制部52が進入するので、ケース50とホルダ60の周方向への相対回転が規制される。
【0045】
ケース50とホルダ60をスライドさせ、ホルダ側ストッパ64の前面がケース50の後端面に当接すると、ケース50とホルダ60の組付けが完了する。これと同時、ノイズフィルタFbの組付けが完了する。ケース50内のフェライトコア40は、ケース側ストッパ56とホルダ側ストッパ64との間で前後方向に挟まれるので、前後方向(軸線方向)への移動を規制された状態でケース50内に保持される。
【0046】
そして、低剛性部62が、受け部51の外周面に対し右方へ弾性的に当接する。この低剛性部62の弾性押圧作用により、受け部51と弾性押圧片53が、高剛性部61と低剛性部62との間で左右方向に挟み付けられ、ひいては、両コネクタも左右方向(両コア構成体41A,41Bを合体させる方向と平行な方向)に挟み付けられる。これにより、両コア構成体41A,41Bの周方向における対向面42A,42B同士が、より確実に密着する。
【0047】
組付けが完了した後は、粘着性を有するテープ71をホルダ60の外周とケース50の回転抑制部52の外周に巻き付けることにより、弾性押圧片53の拡径変形と低剛性部62の拡径変形を防止する。また、図示は省略するが、ノイズフィルタFbの前後両端部から導電路70に亘ってテープを巻き付ける。以上により、導電路70に対するフェライトコア40の取付け作業が完了する。
【0048】
本実施例1のノイズフィルタFbは、周方向に分割された第1及び第2のコア構成体41Bを合体して構成される筒形のフェライトコア40と、フェライトコア40を合体状態に保持する手段を備えた合成樹脂製のケース50とを備えたものであり、ケース50を安価に製造することを課題としている。そして、その課題解決手段として、ケース50は、第1コア構成体41Aの外周面を当接させる受け部51と、受け部51の周方向における端縁部から片持ち状に延出し、第2コア構成体41Bの外周を受け部51側へ弾性的に押圧する弾性押圧片53とを備えている。
【0049】
弾性押圧片53は、第1コア構成体41Aと第2コア構成体41Bを合体状態に保持する手段として機能するのであるが、この弾性押圧片53は、受け部51の周方向における端縁部から片持ち状に延出した形態である。したがって、ケース50には、部分的に除去した形態のスリットを形成する必要がなく、ケース50を成形するための金型(図示省略)の構造を簡素化して、ケース50の製造コスト低減を実現することができる。
【0050】
また、
本実施例1のノイズフィルタFbは、ケース50のうち周方向における一部の領域に外嵌されるホルダ60を有してする。このホルダ60は、弾性押圧片53の外周に当接可能な高剛性部61と、高剛性部61の周方向における端縁部から片持ち状に延出し、受け部51の外周に対し弾性的に当接する低剛性部62とを備えて構成されている。したがって、弾性押圧片53が径方向外方へ拡開変形することは、低剛性部62に蓄勢される径方向内向きの弾性復元力により、確実に規制できるので、第1コア構成体41Aと第2コア構成体41Bを確実に密着状態に保持することができる。
【0051】
さらに、ケース50(受け部51と弾性押圧片53)の前端部には、ケース50に収容された第1コア構成体41Aと第2コア構成体41Bの両方が軸線方向前方へ位置ずれすることを規制可能なケース側ストッパ56が形成されている。ケース50の後端部には、その全領域に亘って後面開口部58が開口している。したがって、ケース50にコア構成体41A,41Bを収容する作業を容易に行うことができる。しかも、ケース50は、前後方向に型開きされる金型だけで成形することができ、スライド型が不要である。
【0052】
一方、ホルダ60(高剛性部61と低剛性部62)の後端部には、ケース50に収容された第1コア構成体41Aと第2コア構成体41Bの両方が軸線方向後方(ケース側ストッパ56とは反対側)へ位置ずれすることを規制可能なホルダ側ストッパ64が形成されている。ホルダ60の前端部には、その全領域に亘って前面開口部66が開口している。したがって、ホルダ60も、ケース50と同様、前後方向に型開きされる金型だけで成形することができ、スライド型が不要である。そして、ケース50とホルダ60を組み付けた状態では、ケース50内のフェライトコア40を、ケース側ストッパ56とホルダ側ストッパ64との間で挟むことにより収容状態に保持することができる。
【0053】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)
上記実施例1では、第1コア構成体と第2コア構成体が軸線方向に移動することを規制する手段として、ケースにケース側ストッパを形成し、ホルダにホルダ側ストッパを形成したが、ケースのみに一対のストッパを形成してもよく、ホルダのみに一対のストッパを形成してもよい。
(2)
上記実施例1では、受け部の周方向における両端縁部から一対の弾性押圧片を延出させたが、弾性押圧片は、受け部の周方向におけるいずれか一方の端縁部のみから延出する形態であってもよい。
(3)
上記実施例1では、フェライトコアとケースを略円筒形としたが、フェライトコアとケースは角筒形であってもよい。
<他の参考例>
(1)上記参考例1では、受け部にストッパを形成したが、受け部にストッパを形成しない形態とすることも考えられる。
(2)上記参考例1では、弾性押圧片に規制部を形成したが、弾性押圧片に規制部を形成しない形態とすることも考えられる。
(3)上記参考例1のケースに、実施例1と同様に高剛性部と低剛性部を備えたホルダを外嵌することも考えられる。この場合、ホルダのホルダ側ストッパをそのまま残し、参考例1のケースに形成した一対のストッパ及び規制部のうち、軸線方向においてホルダ側ストッパと同じ側のストッパと規制部を除去してもよい。あるいは、一対のストッパ及び規制部をそのまま残し、ホルダからホルダ側ストッパを除去してもよい。
(4)上記参考例1では、受け部の周方向における両端縁部から一対の弾性押圧片を延出させたが、弾性押圧片を、受け部の周方向におけるいずれか一方の端縁部のみから延出する形態とすることも考えられる。
(5)上記参考例1では、フェライトコアとケースを略円筒形としたが、フェライトコアとケースを角筒形とすることも考えられる。