(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明
の遊技用装置に係る撮像妨害検知装置の好ましい実施形態について、
図1〜
図14を参照して説明する。
【0012】
図1〜
図3に示すように、本実施形態に係る監視カメラシステム30aは、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機20aが多数設置されている遊技場1に備えられる監視システムである。
図1に示すように、本実施形態に係る監視カメラシステム30aは、遊技機20a及び台間機20bごとの特定領域を撮像する台カメラ31と、遊技場1を広範に撮像することが可能な周辺カメラ35と、遊技機20aごとに設置された台コンピュータ32と、遊技情報の集計等を行うホールコンピュータ10と、各装置からの情報を取得して台カメラ31の撮像妨害を検知する撮像妨害検知装置33と、を備える。
図2に示す例では、いわゆる片島が2列(片島1aと片島1b)設置され、各片島には遊技機20aと台間機20bが12セットずつ設置されている。
【0013】
遊技機20aは、パチンコ機,スロットマシン等、遊技球やメダル等の遊技媒体を使用して遊技を行う各種の遊技機である。
台間機20bは、遊技機20aごとに設けられ、例えば、遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出部、遊技媒体を計数する各台計数部、及び、所定の表示を行う台間表示部等を備える、遊技媒体貸出装置である。
【0014】
図4に示すように、遊技機20a及び台間機20bからは、種々の遊技信号が出力される。
遊技機20aから出力される遊技信号には、遊技機20aへの遊技媒体の投入数を示すアウト信号、遊技機20aから遊技媒体の払出数を示すセーフ信号、遊技機20aの大当たり状態を示す大当り信号、一ゲームごとに出力されるスタート信号等があり、また、台間機20bから出力される遊技信号には、遊技媒体の貸出数を示す売上信号があり、これらの信号が、呼出ランプ34、台コンピュータ32、島コンピュータ50などの中継情報処理装置を介して、ホールコンピュータ10に伝送され、ホールコンピュータ10において、遊技機20aごとの遊技データを集計、管理するようになっている。
【0015】
呼出ランプ34は、遊技機20aの上方に設置されており、電球やLEDなどのランプを点灯又は点滅させることで、大当りの発生、確変中、店員呼出中等を周囲に告知する。
図2に示す例では、コーナーランプ36が、片島1bの島端に設置されており、本実施形態においては、後記ホールコンピュータ10の制御により片島1bに属する呼出ランプ34(34−13〜34−24)の点灯動作と連動してコーナーランプ36が点灯されるようになっている。
【0016】
台コンピュータ32は、台カメラ31と電気的に接続された情報処理装置であり、台カメラ31が撮像した撮像データ(画像情報)を、通信ケーブル333を介して撮像妨害検知装置33に送信するようになっている。
台コンピュータ32は、台カメラ31が撮像した撮像データを、JPEG形式等に圧縮処理したうえで撮像妨害検知装置33に送信することもできる。
また、台コンピュータ32は、呼出ランプ34を介して受信した遊技機等からの遊技信号を島コンピュータ50に出力する。
【0017】
台カメラ31は、遊技機20aごとに特定の領域を撮像範囲として撮像する監視カメラ(撮像装置)である。
図2に示す例では、台カメラ31が、遊技機20aごとに設置され、その遊技機20aで遊技中の遊技者が位置する領域(遊技椅子2の上部領域など)、当該遊技者の動作領域(遊技者の手の動きがわかる領域など)、遊技機20aや台間機20b(以下、特に示す場合を除き、これらをまとめて遊技機20という。)の周辺領域等を特定領域として撮像するようになっている。
台カメラ31は、予め撮像方向が遊技機20ごとの特定領域を向くようにレンズ部分が固定されて設置されている。
台カメラ31は、特定領域の動画像、又は、特定領域を一定間隔で撮像した連続的な静止画像を撮像するように設定されており、このようにして撮像された画像情報が、台コンピュータ32を介し撮像妨害検知装置33に入力されるようになっている。
台カメラ31は、カラーの撮像データとして、画像を構成する画素ごとに、R,G,Bの各輝度値を有する画像情報を出力し、モノクロの撮像データとして、白黒の濃淡値を有するグレースケールの画像情報を出力することができる。
【0018】
周辺カメラ35は、遊技場1の所定領域を広範に撮像するために設けられる監視カメラである。
図2に示す例では、周辺カメラ35が、片島1aと片島1bの間の通路(いわゆる「川」)の天井に3台設置される。各周辺カメラ35(周辺カメラ35a〜35c)は、図示しない電動雲台に設置され、パン(左右)、チルト(上下)の動作により、片島1aの4台の遊技機20aとこれらに対向する片島1bの4台の遊技機20aの合計8台の監視対象を受け持ち監視するように設けられている。また、図示しない電子ズームレンズを搭載することによって、ズーム・フォーカスの動作も可能としている。
また、本実施形態の周辺カメラ35は、監視領域に含まれる台カメラ31の撮像領域も監視対象とすることで、台カメラ31に対する撮像妨害を監視するようにしている。
図2に示す例では、周辺カメラ35aが、台カメラ31−1〜31−4,31−13〜31−16を監視対象として撮像できるように設置されている。
各周辺カメラ35は、通信ケーブル331を介して撮像妨害検知装置33と通信可能に接続されており、周辺カメラ35が撮像した撮像データは、通信ケーブル331を介して撮像妨害検知装置33に送信されるようになっている。
【0019】
ホールコンピュータ10は、パーソナルコンピュータやワークステーション等の情報処理装置からなり、各種遊技信号に基づき、遊技機20のデータ管理、故障や異常の検出、不正行為を検知する機能等を備えている。
ホールコンピュータ10は、通信ケーブル332を介して、撮像妨害検知装置33と通信可能に接続されており、島コンピュータ50等の各装置を介して入力した遊技信号を撮像妨害検知装置33に送信できるようになっている。
【0020】
(撮像妨害検知装置)
撮像妨害検知装置33は、遊技場に備える撮像装置が撮像した撮像画像の画像情報に基づいて、その撮像装置の撮像が妨害されていることを検知する情報処理装置である。
撮像妨害検知装置33は、
図3に示すように、台カメラ31の撮像妨害を検知するためのプログラム等を記録したROM、RAM及びCPU等からなる制御部33aを備えたコンピュータから構成され、CPUが、ROMに記録したプログラムを実行することで、当該撮像妨害検知装置33を、以下の各手段として機能させるようになっている。
【0021】
制御部33aは、台端末装置通信手段33b−1として動作することで、各台コンピュータ32との間で所定の情報を送受する。具体的には、通信ケーブル333を介して、各台カメラ31が撮像した遊技機20ごとの画像情報を台コンピュータ32から受信し、所定の撮像妨害判定に基づき呼出ランプ34による報知や台間機20bの動作制御に関する制御信号を台コンピュータ32に送信するようになっている(
図4参照)。
また、制御部33aは、周辺カメラ通信手段33b−2として動作することで、各周辺カメラ35との間で所定の情報を送受する。具体的には、通信ケーブル331を介して、周辺カメラ35の動作制御に関する制御信号を送信するとともに(
図4参照)、各周辺カメラ35が撮像した画像情報を受信するようになっている。
また、制御部33aは、遊技機管理装置通信手段33b−3として動作することで、ホールコンピュータ10との間で所定の情報を送受する。具体的には、通信ケーブル332を介して、ホールコンピュータ10から、遊技機20の稼動の有無を示す信号を取得する信号取得手段として動作するほか、ホールコンピュータ10に対し、報知に関する制御信号を送信する。
なお、遊技機20の稼動を示す信号は、ホールコンピュータ10からだけでなく、台コンピュータ32を介して受信することもできる(
図4参照)。
【0022】
制御部33aは、ハードディスク等の記憶媒体からなる記憶部33cを、動画記憶手段又は静止画像記憶手段として動作させることで、台カメラ31や周辺カメラ35で撮像されたカラー又はグレースケールの動画又は静止画像の画像情報を記憶させる。
記憶媒体には、遊技機20ごとに撮像した特定領域の画像情報を、撮像した時刻、撮像した台カメラ31の情報とともに、記憶できるようになっている。
【0023】
制御部33aは、撮像妨害判定手段33dとして動作することで、撮像時に、台カメラ31に入光された光量を数値化した情報(以下、数値情報という。)を示す画像情報に基づいて、台カメラ31の撮像が妨害されていることを判定する処理を行う。
このため、制御部33aは、台カメラ31の撮像により記憶部33cに記憶された画像情報を、撮像時刻の順に取り出しつつ、その取り出した対象の画像情報に示される数値情報を求めるようになっている。
【0024】
「数値情報」としては、例えば、撮像時に台カメラ31に入光された光量を数値化した濃淡値又は輝度値を示す画像情報に基づき、その画像情報に係る画像の所定領域における平均値を求めた平均濃淡値又は平均輝度値がある。また、濃淡値又は輝度値を示す画像情報に基づき、その画像情報に係る画像を構成する各画素が所定の単一色か否かを判別し、その単一色と判別された画素のその画像に占める割合を求めた白黒占有率がある。
【0025】
「平均濃淡値」は、対象画像が白黒の濃淡を表す濃淡値で表されたグレースケール画像の場合の撮像妨害判定に用いる数値情報であり、グレースケール画像を形成する各画素の濃淡値を、その画像の所定領域(画像全体又は所定数に分割した分割画像)における平均値として求めた数値情報である。
「画素」とは、画像を構成する画像の最小要素であり、ディスプレイ、プリンタなどが表現する「ドット」と画像情報としての「ピクセル」の両方の意味を含む。
濃淡値の値域は「0〜255」であり、「0」が白で、「255」が最も濃い黒で、「0〜255」においては、数値が高いほど濃い黒を示す。
【0026】
「平均輝度値」は、対象画像がRGBカラー画像の場合の撮像妨害判定に用いる数値情報であり、各画素のR,G,Bの各輝度値(R値,G値,B値)を白黒の濃淡を示す輝度値に変換し、この変換後の各画素の輝度値を、その画像の所定領域における平均値として求めた数値情報である。
R,G,Bの輝度値から白黒の輝度値への変換は、例えば、R値,G値,B値の平均値を用いたり、所定の変換式(YUV式等)により算出した値を用いることができる。
R値,G値,B値の各値域は「0〜255」であり、「0」が白で、「255」が最も濃い色で、「0〜255」においては、数値が高いほど濃い赤,緑,青を示す。ただし、R値,G値,B値の混色によれば、各輝度値が最大値の場合に白となり、各輝度値が最小値の場合に黒となる。このため、R値,G値,B値の変換により得られた白黒の輝度値は、「255」が白で、「0」が最も濃い黒で、濃淡を示す「0〜255」においては、数値が低いほど濃い黒を示す。
【0027】
「白黒占有率」は、対象画像がグレースケール画像の場合の撮像妨害判定に用いる数値情報であり、各画素の濃淡値について、濃淡値が、所定の基準値以上の画素は黒値、基準値未満の画素は白値と判別する二値化を行い、黒値(又は白値)と判別された画素の割合を求めた数値情報である。なお、二値化における「所定の基準値」は、濃淡値の最大値(255)や最小値(0)に近い値(例えば、250及び5)とすることが好ましい。このようにすると、グレーの部分を排除した黒値及び白値を抽出することができる。
また、「白黒占有率」は、対象画像がRGBカラー画像の場合の撮像妨害判定にも用いることができ、この場合、各画素のR,G,Bの各輝度値(R値,G値,B値)を白黒の輝度値に変換したうえで、白黒の輝度値が基準値(閾値)以上の画素は白値、基準値未満の画素は黒値と判別する二値化を行い、黒値と判別された画素の割合を「白黒占有率」とする。
【0028】
制御部33aは、このようにして求めた数値情報が、「特定の閾値」の範囲内に含まれる場合に、撮像の妨害の可能性を示す「第一の状態」を判定する。
「第一の状態」を判定するために用いられる「特定の閾値」は、任意の値や範囲を設定することができる。
図5に示すように、本実施形態では、白黒占有率に基づく撮像妨害判定(白黒占有率判定)における「特定の閾値」を、「5%未満」又は「95%以上」とし、平均濃淡値又は平均輝度値に基づく撮像妨害判定(濃淡判定)における「特定の閾値」を、「10%以下(0〜25;26/256=10%)」又は「90%以上(230〜255;230/256=90%)」としている。
【0029】
平均濃淡値の閾値を「230〜255(90%)」としたのは、平均濃淡値は各画素の濃淡値が高くなるほど画像が全体的に黒く表されるという特性を有することから、このような画像全体が黒く表される状態を判定するためである。
また、平均輝度値の閾値を「0〜25(10%)」としたのは、平均輝度値は各画素の輝度値が低くなるほど画像が全体的に黒く表されるという特性を有することから、このような画像全体が黒く表される状態を判定するためである。
また、白黒占有率の閾値を「95〜100%」としたのは、白黒占有率は各画素の濃淡値が高くなるほど画像が全体的に黒く表される特性を有することから、このような画像全体が黒く表される状態を判定するためである。
すなわち、遮光部材で台カメラ31のレンズの大部分が覆われて撮像画像が全体的に黒く表されるような場合には、平均濃淡値が極度に高くなり、平均輝度値が極度に低くなり、又は、白黒占有率が極度に高くなることから、特定の閾値を上記のような数値範囲とすることにより、台カメラ31のレンズの大部分を覆われた状態つまり撮像妨害が行われた可能性が検出されることになる。
【0030】
平均濃淡値の閾値を「0〜25(10%)」としたのは、平均濃淡値は各画素の濃淡値が低くなるほど画像が全体的に白く表されるという特性を有することから、このような画像全体が白く表される状態を判定するためである。
また、平均輝度値の閾値を「230〜255(90%)」としたのは、平均輝度値は各画素の輝度値が高くなるほど画像が全体的に白く表されるという特性を有することから、このような画像全体が白く表される状態を判定するためである。
また、白黒占有率の閾値を「0〜5%」としたのは、白黒占有率は各画素の濃淡値が低くなるほど画像が全体的に白く表される特性を有することから、このような画像全体が白く表される状態を判定するためである。
すなわち、LED等の発光手段を台カメラ31に装着してレンズのほぼ全面に亘って入光されることで撮像画像が全体的に白く表される場合には、平均濃淡値が極度に低くなり、平均輝度値が極度に高くなり、白黒占有率が極度に低くなることから、特定の閾値を上記のような数値範囲とすることにより、台カメラ31に発光手段が取り付けられてレンズのほぼ全面から入光された状態つまり撮像妨害が行われた可能性が検出されることになる。
【0031】
なお、「第一の状態」の判定対象となる数値情報は、撮像画像の画像全体に示される数値情報に限らず、画像全体を分割して得られる分割画像に示されるそれぞれの数値情報を、判定対象とすることもできる。
このようにすると、台カメラ31のレンズの一部分(例えば、下半分や中央部分)を遮光部材や発光手段で覆うような撮像妨害の可能性を検出することができる。
【0032】
以上のような閾値をもって撮像妨害の可能性を示す第一の状態を判定するものの、この判定によって、ただちに撮像妨害が行われているものと判別すると、例えば、悪意のない遊技者や店員が、遊技中や作業中に、その身体の一部等が、一時的に台カメラ31のレンズを覆ったような場合にも各数値情報が極度に増減するため、これを撮像妨害と誤って判断することになりかねない。
【0033】
そこで、制御部33aは、「第一の状態」が所定の時間継続することで「第一の状態」よりも撮像の妨害の可能性が高い「第二の状態」を判定するようにしている。
つまり、撮像妨害の可能性が示された状態が継続したことをもって、撮像妨害の蓋然性が高くなることを判定できるようにしている。
このようにすると、撮像妨害の蓋然性が高くなることを待って対応を行うようになることから、上述のような誤判断の要因が排除され、撮像妨害に対し適切に対処できるようになる。
【0034】
「第二の状態」には、撮像の妨害の可能性の高低に応じた状態に対応する「妨害度合」が設定されており、この妨害度合に基づいて「第二の状態」における妨害の程度に応じた状態が判定できるようになっている。
具体的には、「妨害度合」は、「第一の状態」の継続時間に応じて撮像妨害の蓋然性が高まることを示す指標である。本実施形態においては、「注意」、「警告」、「警告(重大)」からなる三段階の「妨害度合」を設定している。
このような妨害度合を用いることにより、撮像妨害の可能性の程度が容易に識別でき、また、妨害度合に必要な処理を紐づけて制御できるようになる。
【0035】
図5は、濃淡判定及び白黒占有率判定に用いられるデータテーブルである。
「濃淡判定」は、平均濃淡値又は平均輝度値を用いた撮像妨害判定の方法であり、「白黒占有率判定」は、白黒占有率を用いた撮像妨害判定の方法である。
いずれの方法も、「第一の状態」の継続時間の経過に応じて「第二の状態」における妨害度合を決定する。
図5に示すように、後述するレベルに応じて妨害度合に違いがあるものの、例えば、濃淡判定により妨害度合を判定する場合、平均濃淡値や平均輝度値が6〜10%又は90〜94%の状態が10秒間継続すると、妨害度合「注意」と決定する(レベルAの場合)。また、平均濃淡値や平均輝度値が5%未満又は95%以上の状態が1秒間継続すると、妨害度合「注意」と決定し、5秒以上継続すれば、妨害度合「警告」と決定し、さらに、10秒以上継続すれば、妨害度合「警告(重大)」と決定する(レベルSの場合)。このような決定は制御部33aにおいて以下のように行われる。
【0036】
制御部33aは、「第一の状態」の継続時間に応じてこの妨害度合が高まる判定を行うようになっており、具体的には、「第一の状態」の継続時間に応じ、「注意」→「警告」→「警告(重大)」のように妨害度合が徐々に高くなるように決定される(
図5参照)。
すなわち、妨害度合は、「第一の状態」の継続時間に応じて高くなるように設定されるとともに、その継続時間に応じて設けられている「基準時間」に対応して設定されており、「第一の状態」がこの基準時間を経過すると、その基準時間に対応する妨害度合を決定するようになっている。
【0037】
このように、基準時間の経過に応じて撮像妨害の可能性の高まりを判定しつつ、時間経過に対応するとともに時間長の異なる複数の基準時間によってこれに対応付けられた妨害度合が一義的に定まることから、撮像妨害の可能性を段階的に検出することができる。
また、基準時間は、任意の時間を設定することができるとともに、妨害度合と関連付けて設定されている。
このため、基準時間を変更するだけで、妨害度合の判定時間を容易に変更でき、また、基準時間ごとの妨害度合の内容を変更することもできる。
したがって、以下に説明する報知制御や動作制限を含め、撮像妨害の可能性の高低に応じた適切な処理を容易に設定し実行することができる。
【0038】
制御部33aは、報知制御手段及び動作制御手段として動作することで、経過時間に応じ、所定の遊技場装置に対する報知制御や動作制御を行う。
図6は、各台カメラ31及び各遊技機20aと、報知手段である呼出ランプ34、動作制限対象の台間機20bとを対応付けて記憶させたデータテーブルである。
具体的には、制御部33aは、
図5に示すデータテーブルに基づく撮像妨害判定により妨害度合に対応した制御動作を決定し、
図6に示すデータテーブルに基づいて、その決定した制御動作の対象となる遊技場装置を特定する。
【0039】
例えば、台カメラ31―12が撮像した画像情報の濃淡判定において、「第一の状態」が1秒間継続すると、制御部33aは、「注意」の報知をするため(
図5参照)、その台カメラ31―12に関する「注意」の情報をタッチパネルPに表示する。
【0040】
「第一の状態」が5秒間継続すると、コーナーランプ36及び呼出ランプ34による「警告」の報知を行う(
図5参照)。このため、制御部33aは、台カメラ31−12に対応する呼出ランプ34−1を特定して(
図6参照)、ランプ表示させる。このとき、コーナーランプ36の点灯も行う(
図5参照)。このため、コーナーランプ36の点灯を要求する信号を台カメラ31−12の情報とともにホールコンピュータ10に送信する。ホールコンピュータ10では、台カメラ31と対応するコーナーランプ36とを紐付けたデータテーブルを有しており、ホールコンピュータ10は、このデータテーブルに基づき特定されたコーナーランプ36にランプ表示を行わせる。
【0041】
「第一の状態」がさらに10秒間継続すると、「警告」の報知を継続しつつ、台間機20b−12に動作制御に関する制御信号を送信して遊技媒体の計数、及び、遊技媒体の払出しを中止させる。このため、制御部33aは、対応する台間機20bを特定し(
図6参照)、特定した台間機20bにおいて遊技媒体の計数、及び、遊技媒体の払出を中止させる。
【0042】
このように、「注意」においては、タッチパネルPを介して店員だけに報知を行い、「警告」においては、呼出ランプ34等を介して店員及び遊技者に報知を行い、「警告(重大)」においては、さらに、台間機20bの動作制限を行うようにして、徐々に、警戒が厳しくなる処理を行うようにしている。
つまり、撮像妨害の可能性(第一の状態)が判定されただけで、即座に、報知処理等を行うのではなく、撮像妨害のおそれが高くなった状態(第二の状態)となったこと、又は、その撮像妨害のおそれの程度に応じて必要な措置を行うようにしている。
【0043】
また、「第一の状態」の判定時には、その状態の経過を待たず、周辺カメラ35によって、撮像妨害が検知された台カメラ31の周辺を撮像・録画するようにしている(
図5の最下欄参照)。
この動作のため、制御部33aは、ハードディスク等の記憶媒体からなる記憶部33cを、撮像装置位置記憶手段として動作させることにより、遊技場1における台カメラ31の位置を特定することができる情報を予め記憶させるようにしている。
例えば、周辺カメラ35aは、台カメラ31−1〜31−4、31−13〜31−16を監視対象としているため(
図2参照)、
図7に示すように、周辺カメラ35と、台カメラ31と、「相対角度」を対応付けたデータテーブルを記憶するようにしている。
「相対角度」とは、周辺カメラ35aの台カメラ31−1に対する撮像方向を「0°(基準)」とし、他の台カメラ31−2〜31−4,31−13〜31−16に対しては、基準の方向に基づく相対的な角度を定めたものである。
周辺カメラ35aは、初期の状態で、台カメラ31−1の撮像領域を向くように設定されている。
【0044】
制御部33aは、撮像制御手段33fとして動作することで、「第一の状態」が判定されたことで撮像妨害の可能性が示された台カメラ31の撮像領域を、その台カメラ31の位置を特定可能な情報に基づき、周辺カメラ35により撮像させる制御を行う。
例えば、台カメラ31−2について「第一の状態」が判定されると、制御部33aは、対応する周辺カメラ35aに対し、台カメラ31−2に対応する相対角度「−30°」の情報を含む制御信号を送信する。
この制御信号を受けた周辺カメラ35aは、図示しない電動雲台の動作により、台カメラ31−1の方向から「−30°」の方向に旋回した位置にセットされる。これにより、周辺カメラ35aは、台カメラ31−2の周辺を撮像し、録画できるようになる。
なお、周辺カメラ35の上下の動作やズーム・フォーカスについても、台カメラ31ごとに適切な値をセットしておくことによって、必要な箇所を明瞭・詳細に撮像させることができる。
【0045】
このようにすると、「第一の状態」になったことを契機に、撮像妨害が疑われる早い段階から、遊技者の遊技を邪魔することなく、撮像妨害の可能性がある台カメラ31の周辺を撮像・録画することができる。
このため、仮に、撮像妨害が確認されなかった場合でも、遊技者に迷惑をかけることがなく、また、撮像妨害があった場合には、これを早期に発見することができる。
このため、不正行為を未然に防ぐことができ、また、撮像妨害や不正行為の事実をもれなく証拠画像として記録することができる。
【0046】
制御部33aは、基準時間可変手段33eとして動作することで、画像情報から抽出した数値情報が特定の閾値の範囲内に含まれ(第一の状態)、さらに撮像妨害の可能性がより高まる状態に対応した「第二の閾値」に含まれる場合は、基準時間を、現在設定されている時間よりも短い時間に設定する処理を行う。
「第二の閾値」とは、数値情報が「特定の閾値」に含まれることを前提とし、さらに、固有の閾値の範囲に含まれることで撮像の妨害の可能性がより高まる状態か否かを判別可能な数値情報の範囲をいう。
【0047】
図5に示すように、本実施形態では、濃淡判定における「特定の閾値」を、「第二の閾値」に相当するレベルS(5%未満又は95%以上)と、それ以外のレベルA(6〜10%又は90〜94%)とに分け、各レベルに応じた基準時間と、対応する妨害度合とを紐付けている。
このため、例えば、画像情報から取り出した平均濃淡値が「235(92%=235/256)」であれば、「第一の状態」が10秒間継続してから、「注意」の報知が行われるのに対し(レベルA)、平均濃淡値が「245(96%=245/256)」であれば、「第一の状態」が1秒間継続した後(即ち、すぐに)、「注意」の報知が行われる(レベルS)。
レベルSの場合としては、例えば、台カメラ31のレンズの全面を遮光部材でほぼ完全に覆うような場合が想定され、このような場合は、撮像妨害が故意に行われている可能性が高い。
一方、レベルAの場合、例えば、台カメラ31のレンズ面が何らかの方法で覆われている可能性はあるものの、遮光部材でない遊技者の手や体の一部で悪意無く覆われている非妨害行為と妨害行為とが混在する可能性が高く、このような非妨害行為については一時的なケースが多い。
このため、画像情報に示される数値情報の値に応じ、撮像妨害の蓋然性が高い場合は、より基準時間を短くすることで、早期の対応ができるようにし、他方、非妨害行為が混在する可能性が高い場合は、基準時間を長くすることで非妨害行為を排除して、妨害判定の精度を高めるようにしている。
【0048】
また、制御部33aは、基準時間可変手段33eとして動作することで、遊技場の営業が開始される前又は終了した後(即ち、営業時間外)においては、基準時間を、遊技場の営業中において設定されている時間よりも長い時間に設定する処理を行う。
これは、営業時間外は、遊技客がいない状態であるため、本来不正行為が行われることは想定し難いものの、後日の不正行為の準備として行われる撮像妨害を発見する必要がある一方、営業時間外は、店員による清掃や遊技機等の調整等の作業があることから、撮像妨害の誤検知を防ぐべく、その判定基準となる基準時間を比較的長く設定する必要があるからである。
【0049】
例えば、
図5に示す白黒占有率判定は、営業時間内における基準時間と妨害度合との対応付けを表したものであって、具体的には、妨害度合「注意」と基準時間「1秒」とが対応し、妨害度合「警告」と基準時間「5秒」とが対応し、妨害度合「警告(重大)」と基準時間「10秒」とが対応している。
一方、制御部33aは、営業時間外になったことを認識すると、例えば、妨害度合「注意」に対応する基準時間を「1秒」から「2秒」に設定変更し、妨害度合「警告」に対応する基準時間を「5秒」から「10秒」に設定変更し、妨害度合「警告(重大)」に対応する基準時間を「10秒」から「20秒」に設定変更する基準時間可変手段33eの動作を行う。
【0050】
このようにすると、遊技場の営業の時間帯を問わず撮像妨害の発見を可能としながらも、営業時間外においては、無用な誤検知を抑えることができ、営業時間内においては、相対的に撮像妨害を検知する時間的基準を厳しくして不正行為による被害を抑えることができる。
【0051】
また、制御部33aは、基準時間可変手段33eとして動作することで、遊技機20の稼動中に「第一の状態」が判定されたとき、又は、「第一の状態」が判定された後に遊技機20の稼動が開始されたときは、基準時間を、現在設定されている時間よりも短い時間に設定する処理を行う。
これは、ある遊技機20において遊技が行われているタイミングと、その遊技機20を監視対象とする台カメラ31の撮像妨害のタイミングが重なる場合には、その遊技機20において不正行為による遊技が進行している可能性が高く、その進行を直ちに止める必要があるからである。
このため、このような状態が認められる場合には、例えば、妨害度合「警告(重大)」に係る基準時間を「10秒」から「1秒」に設定変更するなど、妨害判定に用いる基準をより厳しくするようにしている。
例えば、「第一の状態」が1秒継続した後に、「警告」の報知とともに、所定の遊技場装置の動作を制限するようにすれば(
図11参照)、不正行為を早期に停止させ、不正行為による損害の拡大を防ぐことができる。
【0052】
例えば、制御部33aは、遊技機20aが稼動中であることを示す信号としてアウト信号を取得した場合、その信号から抽出される遊技機20aの識別情報をメモリに一時的に保持させておく。その後、台カメラ31における「第一の状態」が判定されたときは、
図6の対応付けによって、その台カメラ31と遊技機20aとの対応関係を照合し、メモリに記憶した識別情報に係る遊技機20aが「第一の状態」を判定した台カメラ31に対応する遊技機20aであるときには、その台カメラ31に対する撮像妨害の判定に際しての基準時間を短縮する。
また、制御部33aは、台カメラ31における「第一の状態」が判定された場合、その台カメラ31の識別情報をメモリに一時的に保持させておく。その後、遊技機20aの稼動が開始されたことを示す信号としてアウト信号を取得したときは、その信号から抽出される遊技機20aの識別情報とその台カメラ31との対応関係を
図6を用いて照合し、メモリに記憶した識別情報に係る台カメラ31に対応する遊技機20aが稼動の開始された遊技機20aであるときには、その台カメラ31に対する撮像妨害の判定に際しての基準時間を短縮する。
このようにすると、撮像妨害とともに不正行為が進行している状況を早期に発見することができ、不正行為に対する処理を早い段階で行うことが可能となり、不正行為による損害の拡大を防ぐことができる。
【0053】
次に、監視カメラのレンズの向きが変えられる撮像妨害を検知するための構成について説明する。
まず、制御部33aは、ハードディスク等の記憶媒体からなる記憶部33cを基準数値情報記憶手段として動作させることで、撮像範囲が固定された台カメラ31が撮像した画像情報に示される数値情報を、その撮像が行われた時間帯に関連付けた時間帯別基準数値情報として予め記憶させる。
このうえで、制御部33aは、撮像妨害判定手段33dとして動作することで、台カメラ31が所定の時刻に撮像した画像情報に示される数値情報と、その撮像が行われた時刻に属する時間帯の時間帯別基準数値情報とを比較し、それぞれの数値情報が異なる場合に、「第一の状態」を判定する処理を行う。
【0054】
「時間帯別基準数値情報」は、撮像範囲が固定された態様で設置された台カメラ31が時刻のそれぞれ異なる時間帯で撮像したときの画像情報に示される数値情報(平均濃淡値、平均輝度値、白黒占有率等)であり、時間帯と関連付けて記憶された情報である。
例えば、時間帯を、「11:00〜23:00(営業時間内)」と「23:00〜11:00(営業時間外)」の2つに分けて記憶する場合、営業時間内の所定に時刻に撮像した撮像範囲の画像情報に示される数値情報と営業時間外に撮像した撮像範囲の画像情報に示される数値情報を区別して、それぞれ対応する時間帯が特定できるように関連付けて記憶する。
このとき、営業時間内は、遊技場内に遊技客がいることから撮像範囲に遊技者が含まれることを想定している。このため、撮像範囲を固定しつつ時間帯の範囲内で時刻を変えながら撮像した複数の撮像画像に示される数値情報の平均値や統計値などを営業時間内の時間帯別基準数値情報とする。
また、営業時間外は、遊技場内に遊技客がいないことを前提とし、例えば、遊技機20のパネル等を撮像範囲として固定し、その撮像範囲から得られる数値情報を営業時間外の時間帯別基準数値情報とする。
【0055】
撮像妨害判定においては、このようにして記憶された時間帯別基準数値情報と、撮像範囲が固定されているはずの台カメラ31が撮像した画像情報に示される数値情報との比較を行う。
具体的には、台カメラ31が撮像した撮像画像から数値情報を取り出し、その台カメラ31が撮像した撮像時刻から特定される時間帯別基準数値情報との比較を行う。
例えば、台カメラ31が、「12:00」に撮像範囲を撮像した場合、その撮像画像から数値情報を取り出し、これを、「12:00」に対応する「営業時間内」の時間帯別基準数値情報と比較する。そして、この比較の結果、それぞれの数値情報が一致しない場合、その台カメラ31について撮像妨害の可能性を示す「第一の状態」を判定する。
【0056】
このようにすると、撮像範囲を固定するように設置されている台カメラ31によって撮像された画像情報から抽出される数値情報と、その台カメラ31の向きが変えられた後に撮像された画像情報から抽出される数値情報とは、撮像対象の変化により異なることとなるため、台カメラ31の向きを不当に変えることによって不正行為の撮像を免れようとする撮像妨害の検出が可能となる。
また、時間帯に関連付けて基準数値情報を記憶させておき、撮像時に取得した数値情報と、その撮像時の時間帯に対応した基準数値情報とを比較して、撮像妨害の可能性の判定を行うようになっている。例えば、営業時間内と営業時間外とに時間帯を分け、営業時間内においては、遊技者がいる想定での数値情報を比較し、営業時間外においては、遊技者がいない想定での数値情報を比較するようにしている。
このため、営業時間の内外を問わず、また、各時間帯に応じた方法により的確に撮像妨害を検出することが可能となる。
【0057】
以上のように、本発明の実施形態に係る撮像妨害検知装置33の特徴的な構成によれば、遊技場に備える台カメラ31が撮像した画像情報からその撮像時に台カメラ31に入光された光量を数値化した平均濃淡値、平均輝度値、白黒占有率等の数値情報に基づいて、台カメラ31の撮像妨害を検知するようにしている。
また、撮像妨害の判定は、画像情報に示される数値情報が特定の閾値の範囲内に含まれる場合に撮像の妨害の可能性を示す「第一の状態」を判定し、「第一の状態」が所定の時間継続することで、より撮像の妨害の可能性が高い「第二の状態」を判定するようにしている。
このため、例えば、台カメラ31を遮光部材等で覆うような撮像妨害を検知するとともに、悪意のない遊技者や店員が一時的に台カメラ31を覆った非妨害行為を撮像妨害と誤って検知しないようになっている。
さらに、撮像が妨害されていることの可能性及び蓋然性の高低を判定することができ、この判定に基づいて撮像妨害に対する適切な処置を行うことができる。
一方、従来の遊技場の監視システムにおいては、以下のような問題があった。
例えば、遊技者を監視する監視システムの場合、監視カメラが遊技者や遊技機に近い場所(例えば、台間機等)に設置されることがある。
この場合、遊技中の遊技者や清掃等の作業中の店員が、意図せずに、一時的に、監視カメラのレンズ部分を、自身の手などで覆ってしまうことがあり、このようなときには、上述の技術では、一律に撮像妨害と見なして報知(誤報知)されてしまう。
このような誤報知は、正しく遊技を行っている遊技者からすると不本意であり、店員にとっても、誤報知のたびに対応しなければならない煩わしさがある。
また、監視カメラのレンズの向きが不当に変えられた場合は、入光する光量が大きく変化しない場合も想定されるため、輝度値のみをもって撮像妨害を検知する従来の技術では、このような撮像妨害を発見することが困難であった。
本発明の遊技用装置及び撮像妨害検知方法によれば、遊技場に備える撮像装置による撮像が妨害されている可能性を的確に判定し、判定に応じた適切な処理を可能とするため、従来の遊技場における監視システムが改善すべきこのような問題の全部又は一部を解決することができる。
【0058】
(撮像妨害検知方法)
次に、本発明の一実施形態に係る撮像妨害検知方法について図面を参照しながら説明する。
図8は、本発明の一実施形態に係る撮像妨害検知方法の全体の手順を示すフローチャートである。
本実施形態に係る撮像妨害検知方法は、
図8に示すように、営業時間内か否かに基づき(S1)、営業時間内であれば(S1−Yes)、
図9〜
図11に示す画像判定処理を行い(S2)、営業時間外であれば(S1−No)、
図12に示す初期値比較処理を行うようにしている(S3)。
画像判定処理及び初期値比較処理は、各台カメラ31が、遊技機20ごとに対応する特定領域を撮像した画像の画像情報に対して行われ、その画像情報から得られる所定の数値情報に基づいて台カメラ31の撮像が妨害されていることを検知する処理である。
【0059】
図9は、濃淡判定に基づく画像判定処理の手順を示すフローチャートである。
濃淡判定は、画像情報の平均濃淡値や平均輝度値に基づいて台カメラ31の撮像妨害の可能性や撮像妨害の度合いを判定する画像判定処理である。
【0060】
図9に示すように、濃淡判定に基づく画像判定処理においては、まず、画像分割処理を行う(S11)。例えば、対象画像を16等分することによって16個の分割画像を求める。
なお、S12以降の処理は、すべての分割画像に対し個々に行っても良く、また、指定した分割画像(例えば、画像の下半分)について行っても良い。前者の場合、濃淡判定を精度良く行うことができ、後者の場合、処理負荷を抑えつつ、対象領域についてピンポイントに濃淡判定を行うことができる。また、全体画像について濃淡判定を行うこともできる。
【0061】
次に、分割画像ごとの平均濃淡を求め、それぞれの濃淡レベルを判定する(S13)。具体的には、分割画像の各画素の濃淡値や輝度値に基づき、分割画像における平均濃淡値や平均輝度値を算出して濃淡レベル(レベルS又はレベルA)を判定する(
図5参照)。
濃淡レベルが「レベルS」と判定された場合(S13−Yes)、台カメラ31の撮像妨害の可能性を示す「第一の状態」を判定するとともに、その状態の継続時間をタイマーにより計測させる。
タイマー計測により、「第一の状態」の継続時間が1秒を経過した場合は(S14−Yes)、「第一の状態」よりも撮像妨害の可能性が高い「第二の状態」を判定するとともに、撮像妨害の可能性の高低を示す妨害度合を「注意」と判断し、「注意」の報知を行う(S15)。例えば、タッチパネルPに所定の報知情報を表示する。
【0062】
タイマー計測により、「第一の状態」の継続時間が5秒を経過した場合(S16−Yes)、妨害度合を1ランク上げた「警告」と判断し、警告の報知を行う(S17)。例えば、呼出ランプ34、コーナーランプ36にランプ点灯を行わせる。
また、タイマー計測により、「第一の状態」の継続時間が10秒を経過した場合(S18−Yes)、妨害度合をさらに1ランク上げた「警告(重大)」と判断し、警告の報知を継続するとともに、所定の遊技場装置の動作を中止する処理を行う(S19)。例えば、台間機20bにおける遊技媒体の計数や払出しを中止させる。
また、対応する周辺カメラ35によって、台カメラ31の周辺の撮像及び録画処理を行わせる(S20)。
【0063】
なお、S14において、「第一の状態」が1秒間継続しなかった場合(S14−No)は、S15〜S19をスキップしてS20の録画処理が行われる。また、S16において、「第一の状態」が5秒間継続しなかった場合(S16−No)は、S17〜S19をスキップしてS20の録画処理が行われる。また、S18において、「第一の状態」が10秒間継続しなかった場合(S18−No)は、S19をスキップしてS20の録画処理が行われる。
【0064】
一方、S13において、濃淡レベルが「レベルS」でなく(S13−No)、「レベルA」と判定された場合(S21−Yes)、台カメラ31の撮像妨害の可能性を示す「第一の状態」を判定するとともに、その状態が継続する時間をタイマーによって計測させる。
タイマー計測により、「第一の状態」の継続時間が10秒を経過した場合(S22−Yes)、妨害度合「注意」と判断し、注意の報知を行う(S23)。
そして、対応する周辺カメラ35により、台カメラ31の周辺の撮像及び録画処理を行わせる(S20)。
なお、濃淡レベルが、「レベルS」でなく、「レベルA」でもなかった場合(S21−No)は、S22〜S23をスキップし、また、S22において、タイマー計測により、「第一の状態」の継続時間が10秒間継続しなかった場合(S22−No)は、S23をスキップする。
【0065】
このような濃淡判定による画像判定によれば、台カメラ31の撮像時に入光された光量に基づく平均濃淡値や平均輝度値が特定の閾値の範囲内にある場合に撮像妨害の可能性を示す「第一の状態」を判定し、その状態が継続することで、より撮像妨害の可能性が高い「第二の状態」を判定するようにしている。
この「第二の状態」には、撮像妨害の可能性の高低に応じた妨害度合が、「第一の状態」の継続時間に応じて高くなるように基準時間に対応して設定され、「第一の状態」の継続時間が、基準時間を経過するたびに対応する妨害度合を決定するようになっている。
また、撮像妨害の蓋然性に対応した濃淡レベルに応じて基準時間の長さを変えて設定するようにしている。
このような構成によれば、撮像妨害の可能性があること、及び、その可能性が時間の経過に応じた高くなることを判定することができるため、適時、適切な報知・動作制御を行うことができる。
また、分割画像ごとに画像処理判定を行うことによって、判定の精度を高めるようにしている。
このため、台カメラ31のレンズ面の全面だけでなく、例えば、レンズ面の下半分を遮光部材で覆うような撮像妨害が行われた場合であっても、その一部の画像領域に基づいて撮像妨害の可能性を判定することができ、撮像妨害の検出精度を高めることができる。
【0066】
図10は、白黒占有率判定に基づく画像判定処理の手順を示すフローチャートである。
ここでは、まず、白黒の割合を算出する(S31)。具体的には、対象画像の画素ごとに、白値か黒値かを判別する二値化処理を行い、黒値(又は白値)の全画素に占める割合を求める。
次に、算出した白黒の割合が異常値か否かを判断する(S32)。例えば、白黒の割合(白黒占有率)が5%未満又は95%以上の場合は、ほぼ画像全体が白又は黒で表されることから、異常値を検出したものと判断する。
【0067】
制御部33aは、白黒の割合が異常値であったものと判断された場合(S32−Yes)、撮像妨害の可能性を示す「第一の状態」を判定するとともに、その状態の継続時間をタイマーにより計測させ、S33に進む。
なお、S33〜S39は、「第一の状態」の時間経過に応じた妨害度合、報知処理、動作制御の工程であり、前述した濃淡判定におけるS14〜S20と同様である(
図9参照)。
このため、S33〜S39については、S14〜S20の説明を引用して省略する。
また、白黒の割合が異常値であったものと判断されなかった場合(S32−No)、S33〜S39をスキップする。
【0068】
このような白黒占有率判定による画像判定処理によれば、台カメラ31の撮像時に入光された光量に基づく画素毎の濃淡値や輝度値に基づき各画素を二値化し、黒値(白値)の画素の全画素に占める割合が特定の閾値の範囲内にある場合に撮像妨害の可能性を示す「第一の状態」を判定し、その状態が継続することで、より撮像妨害の可能性が高い「第二の状態」を判定するようにしている。
また、「第二の状態」には、撮像妨害の可能性の高低に応じた妨害度合が、「第一の状態」の継続時間に応じて高くなるように、基準時間に対応して設定され、「第一の状態」の継続時間が、基準時間を経過するたびに対応する妨害度合を決定するようになっている。
このため、前述の濃淡判定の場合と同様の作用効果を奏することができる。
また、白黒占有率判定は、二値化データに基づくため、記憶部33cにおける記憶容量を、256段階の階調値を有する濃淡値や輝度値に比べ小さくすることができる。
また、白黒占有率判定に際し、記憶部33cからの読み出し処理を高速に行うことができる。
また、白黒占有率判定は、画像全体に対して行うようにしているため、前述の濃淡判定に比べ、判定に係る演算負荷を減らすことができる。
【0069】
図11は、遊技状態判定に基づく画像判定処理の手順を示すフローチャートである。
まず、撮像妨害検知装置33は、ホールコンピュータ10から遊技信号を継続的に受信しているものとする(S51)。
そのうえで、撮像妨害検知装置33の制御部33aは、受信した遊技信号に基づき、各遊技機20が非稼動(稼動オフ)から稼動中(稼動オン)に変わったか否かを監視する(S52)。具体的には、遊技が開始されたことを識別可能なアウト信号の受信によって、その信号を出力した遊技機20は「稼動中」と判断することができる。
続いて、「稼動中」と判断された遊技機20に対応する台カメラ31を特定し、特定した台カメラ31について、「第一の状態」と判定されるか否かを監視する(S53)。具体的には、その台カメラ31の撮像画像に示される平均濃淡値、平均輝度値、白黒占有率などの数値情報が、特定の閾値の範囲内に含まれる場合に「第一の状態」と判定する。
【0070】
「稼動中」と判断された遊技機20に対応する台カメラ31について、「第一の状態」の判定が行われた場合(S53−Yes)、参照する基準時間をレベルAからレベルSに変更設定するとともに、「第一の状態」の継続時間をタイマーにより計測する。
タイマー計測により、「第一の状態」の継続時間が1秒を経過した場合には(S54−Yes)、妨害度合「警告」と判定され、「警告」の報知と、所定の遊技場装置の動作を中止する処理が行われる(S55)。
また、対応する周辺カメラ35が、台カメラ31の周辺の撮像及び録画処理を行う(S56)。
なお、S52において、稼動オフから稼動オンに変わったことを検知しなかった場合(S52−No)、S53〜S56をスキップする。また、S53において、「第一の状態」と判定されなかった場合(S53−Yes)、S54〜S56をスキップする。また、S54において、「第一の状態」が1秒間継続しなかった場合(S54−No)は、S55をスキップしてS56の録画処理を行う。
【0071】
このような遊技状態判定による画像判定処理によれば、遊技機20の稼動中に、その遊技機20に対応する台カメラ31について撮像妨害の可能性が示された場合には、基準時間可変手段33eの機能により、妨害度合が決定するための基準時間を短くするようにしている。
このため、その様子が撮像されない態様で進行している不正行為を早期に発見することができる。
したがって、不正行為の早い段階での処置が可能となり、不正行為による損害の拡大を防ぐことができる。
なお、ここでは、遊技機20が遊技中に「第一の状態」が判定されたときに基準時間を短くする遊技状態判定の方法について説明したが、「第一の状態」が判定された後に遊技機20の稼動が開始されたときに基準時間を短くする遊技状態判定の方法もある。
【0072】
次に、営業時間外における初期値比較処理の手順について説明する。
図12は、初期値比較処理の手順を示すフローチャートである。
図12に示すように、ここでは、予め初期値を登録する(S61)。
具体的には、撮像対象が固定された台カメラ31が撮像した画像情報に示される平均濃淡値、平均輝度値、白黒占有率などの数値情報であって、対応する時間帯に関連付けた時間帯別基準数値情報を初期値として登録する。
このうえで、台カメラ31が撮像した画像情報に示される数値情報と、その撮像が行われた時刻に属する時間帯に基づき特定される時間帯別基準数値情報との比較処理を行う(S62)。
【0073】
比較処理の結果、双方の数値情報が一致せず、異常と判断された場合(S63−Yes)、「第一の状態」を判定するとともに、その状態の継続時間をタイマーにより計測する。
タイマー計測により、「第一の状態」の継続時間が2秒を経過した場合には(S64−Yes)、妨害度合「注意」と判断され、「注意」の報知が行われる(S65)。
タイマー計測により、「第一の状態」の継続時間が10秒を経過した場合には(S66−Yes)、妨害度合「警告」と判断され、「警告」の報知が行われる(S67)。
【0074】
さらに、タイマー計測により、「第一の状態」の継続時間が20秒を経過した場合には(S68−Yes)、妨害度合「警告(重大)」と判断され、「警告」の報知が継続されるとともに、所定の遊技場装置の動作を中止する処理が行われる(S69)。
また、対応する周辺カメラ35が、台カメラ31の周辺の撮像・録画処理を行う(S70)。
なお、S63において、異常と判断されなかった場合(S63−No)、S64〜S70をスキップする。また、S64において、「第一の状態」が2秒間継続しなかった場合(S64−No)は、S65〜S69をスキップしてS70の録画処理が行われる。また、S66において、「第一の状態」が10秒間継続しなかった場合(S66−No)は、S67〜S69をスキップしてS70の録画処理が行われる。また、S68において、「第一の状態」が20秒間継続しなかった場合(S68−No)は、S69をスキップしてS70の録画処理が行われる。
【0075】
このような初期値判定処理によれば、予め撮像対象を固定するように設置した台カメラ31によって撮像された画像情報から抽出される時間帯別基準数値情報を登録しておき、その登録後に、その台カメラ31によって撮像された画像情報から抽出される数値情報と比較するようにしているため、時間帯別基準数値情報の登録後に、台カメラ31の向きが変えられた場合には、撮像対象の変化によって比較対象の数値情報は相違することとなるため、台カメラ31の向きを不当に変える撮像妨害の検知が可能となる。
特に、遊技客がいない営業時間外においては、本来、変化が生じない撮像画像に基づく数値情報の比較を行い、一致しなければ変化があったことによる異常を発見することができる。
このため、例えば、遊技機20の特定領域を撮像対象とすることによって、遊技場の営業時間外における遊技機20に対するいたずらや機器の故障等を発見することができる。
また、営業時間外の場合、妨害度合を決定するための基準時間を、営業時間内において設定されている時間よりも長く設定している。
このため、店員による清掃や遊技機等の調整等の作業において、店員の手や体が一時的に台カメラ31のレンズを覆うなど、妨害でない行為を妨害行為と判定する誤検知を抑えることができる。
【0076】
以上のように、本発明の実施形態に係る撮像妨害検知装置及び撮像妨害検知方法によれば、遊技場に備える撮像装置の撮像が妨害されている可能性や蓋然性の高低を判定し、判定に応じた適切な処置を行うことができる。
【0077】
(他の実施形態)
次に、本発明の他の実施形態である呼出ランプについて説明する。
図13は、本発
明の他の実施形態に相当する呼出ランプの内部構成を示すブロック図である。
図13に示す呼出ランプ34は、遊技機20ごとに設置されており、遊技者の操作に応じてランプ34fを点灯又は点滅させる呼出装置でありながら、各構成部を機能させるプログラム等を記録したROM、RAM及びCPU(いずれも図示せず)等からなる制御部34aを備えたコンピュータを構成し、CPUが、ROMに記録したプログラムを実行することで、当該呼出ランプ34を、カメラ34b、記憶部34c、判定部34d、通信部34e、画像処理部34gにおける各機能を動作させるようになっている。
【0078】
記憶部34cは、台カメラ31に相当するカメラ34bが撮像した撮像データを記憶する記憶部33cに相当し、画像処理部34gは、カメラ34bが撮像した画像データから撮像時の光量に基づく平均濃淡値、平均輝度値、白黒占有率などの数値情報を求めることで、撮像妨害判定手段33dの一部の機能を有する。
通信部34eは、遊技機20と台コンピュータ32との間で通信可能に接続された各種通信手段に相当し、遊技機20の稼動有無を示す信号を取得する信号取得手段を実施可能としている。
判定部34dは、画像処理部34gにより算出された数値情報が特定の閾値範囲内に含まれる場合にカメラ34bの撮像妨害の可能性を示す「第一の状態」を判定し、「第一の状態」が継続することで、その撮像妨害の可能性がより高い「第二の状態」を判定することで、撮像妨害判定手段33dの一部の機能を有する。
【0079】
このような呼出ランプ34によれば、前述の実施形態における撮像妨害検知装置33が備える各手段の機能をほぼ有しており、さらに、台カメラ31に相当するカメラ34bを備えている。
このため、本発明の
遊技用装置を、このような呼出ランプ34によって構成することもでき、製造コストを抑えることができる。
なお、このような構成を台間機20bに持たせることもできる。
【0080】
次に、本発明の他の実施形態の監視カメラシステムについて説明する。
図14は、本発明の他の実施形態に係る監視カメラシステムの構成を模式的に示す説明図である。
図14に示すように、本発明の他の実施形態に係る監視カメラシステム30bは、録画装置であるHDR(NVR)(ハードディスクレコーダー(ネットワークビデオレコーダー)61、HDR(NVR)61に録画された画像を表示するモニタ63、台カメラ31や周辺カメラ35の動作制御が可能なカメラコントロールユニット62、及び、各装置の制御アプリケーションがインストールされた制御用端末64からなるネットワークカメラシステムを備える点で前述の実施形態と異なる。
【0081】
このような構成によれば、台カメラ31等で撮像された画像情報は、HDR(NVR)61で録画されながら、撮像妨害検知装置33は、その録画映像の中から順次画像情報を取り出しつつ撮像妨害判定を行うことが可能である。
また、ネットワークカメラシステムは、パッケージ化されて提供されており、撮像妨害検知装置33とハブ60を介して接続するだけで、本実施形態の監視カメラシステム30bを構成することができる。
特に、ネットワークカメラシステムが、既設のシステムとして遊技場に備えられる場合には、撮像妨害検知装置33とIPケーブルにより接続するだけで、他の多くの通信ケーブルを配線することなく、監視カメラシステム30bを実現することができる。
【0082】
以上、本発明の
遊技用装置及び撮像妨害検知方法について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明
は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0083】
例えば、撮像妨害検知装置33によって、動作が制限される遊技場装置としては、台間機20b以外にも、図示しない会員管理装置、再プレイ機、景品交換装置等であってもよい。
また、周辺カメラ35の動作制御においては、例えば、遊技場1のフロアを所定の座標空間とみなし、予め台カメラ31の撮像領域の座標位置と周辺カメラ35の座標位置を対応付けて記憶しておき、撮像対象の台カメラ31の撮像領域の座標値と、対応する周辺カメラ35の座標値に基づいて相対的な方向・距離を算出し、算出した方向・距離に基づいて、周辺カメラ35を左右の各動作を行わせるように制御する態様であってもよい。
また、周辺カメラ35で対象の台カメラ31の撮像領域を撮像するようにしているが、他の台カメラ31で対象の台カメラ31の撮像領域を撮像する態様であってもよい。
また、撮像妨害判定の対象の画像がRGB画像データの場合、R値、G値、B値のそれぞれの平均輝度値又は単色占有率を求め、R,G,Bの平均値を数値情報として判定に用いることもできる。