特許第6308520号(P6308520)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6308520電気刺激用電極およびこれを備えた電気刺激装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6308520
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】電気刺激用電極およびこれを備えた電気刺激装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/04 20060101AFI20180402BHJP
【FI】
   A61N1/04
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-12321(P2014-12321)
(22)【出願日】2014年1月27日
(65)【公開番号】特開2015-139473(P2015-139473A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2017年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103471
【氏名又は名称】オージー技研株式会社
(72)【発明者】
【氏名】綾 元宏
【審査官】 宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−114073(JP,A)
【文献】 実開昭56−173346(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3179460(JP,U)
【文献】 米国特許第03762420(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/04 − A61N 1/06
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性導電シートからなり患者肢体表面に当接して刺激用電気信号を付与するための導電体と、
前記導電体の肢体当接面を露出させた状態で当該導電体を着脱自在に収納する外装体と、
を備え、
前記外装体は、
前記導電体が外装体内外にわたって挿抜可能でありかつ導電体収納状態では前記肢体当接面が露出される開口と、
前記開口の周縁全周に設けられており導電体収納状態では前記導電体の周縁全周を覆って支持する第1の支持部と、
前記第1の支持部の周縁の一部に開口平面の内側に向かって延出しており導電体収納状態では前記導電体の周縁の一部を支持する第2の支持部と、
前記第1の支持部周縁の第2の支持部未形成部位に設けられており前記外装体に対する前記導電体の挿抜を案内する導電体挿抜部と、
を備えることを特徴とする電気刺激用電極。
【請求項2】
前記開口は多角形状を有しており、
前記導電体挿抜部を前記開口の角部に設ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気刺激用電極。
【請求項3】
前記第1の支持部の開口側端部と前記第2の支持部の開口側端部と前記導電体挿抜部の開口側端部とを面取り加工する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電気刺激用電極。
【請求項4】
前記第1の支持部の開口側端部と前記第2の支持部の開口側端部と前記導電体挿抜部の開口側端部とのうち、少なくも前記第1の支持部の開口側端部と前記第2の支持部の開口側端部とに、外装体内部側に突出する突起部をさらに設ける、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電気刺激用電極。
【請求項5】
前記外装体は、前記導電体に刺激用電気信号を供給する電極ケーブルを引き入れるケーブル引き入れ部を備えており、
前記導電体挿抜部は、前記ケーブル引き入れ部の両脇に設けられている、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の電気刺激用電極。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の電気刺激用電極を備える、
ことを特徴とする電気刺激装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の肢体に電気刺激を付与する電気刺激装置に設けられる電気刺激用電極ならびに電気刺激装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の低周波治療器等の電気的刺激装置にあっては、一対以上の電気刺激用電極を患者の肢体表面に装着して電極間に電圧を印加することによって、患者に電気的刺激を与えるようになっている。
【0003】
電気刺激用電極として、従来から、外装体と、刺激用の電気信号を印加するためのリード線が接続されたシート状の電極部材と、導電性弾性部材からなる導電体とを有したものがある。この電気刺激用電極では、外装体の内奥に電極部材等が積層され、さらに電極部材に接するように導電体が着脱可能に挿入されている。外装体の一面には導電体が患者の肢体表面に接触するように開口が設けられている。また、この電気刺激用電極では、導電体が外装体によって保持されるように、外装体の開口周縁に環状の支持部が設けられており、導電体は、その外周縁部が支持部でもって覆われることで外装体の内部に保持されている。導電体を外装体に装着する際において作業者は開口周縁と支持部との間の隙間が大きくなるように支持部を若干変形させたうえで、形成した隙間から導電体を外装体の開口内部に挿入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−10778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気刺激装置が備える電気刺激用電極では、導電体の洗浄、消毒、或いは外装体内部の清掃等の際に導電体の着脱が頻繁に行われる。すなわち、電気刺激装置による治療時間が長くなると、導電体に水分や汗が付着するほか、外装体内部や電極部材表面にも水分や汗が少なからず侵入し衛生面において著しく好ましくない状態になる。そのため、治療の延べ時間が所定の時間に達すると外装体から導電体を取外して、導電体の洗浄、消毒や、外装体内部の清掃を行う必要がある。しかしながら、従来の電気刺激用電極では、導電体を外装体に装着する作業が面倒であって、その作業が作業者の負担となっていた。以下、その理由を説明する。
【0006】
外装体ならびにその開口周縁に設けられた支持部は、導電体に対する十分な把持力を発揮させるために、大きく弾性変形しない樹脂から構成されている。そのため、組立時において開口周縁と支持部との間の隙間が大きくなるように支持部を変形させようとしても、わずかしか変形せず、導電体の外周縁部を、支持部の下方にもぐりこませるためには相当の手間を要する。とりわけ、導電体は、患者の肢体表面に均等に接触、通電させるために水分を含むことが可能な柔軟な材料から構成されているので、導電体の外周縁部を小さな隙間から支持部の下方にもぐり込ませることが非常に面倒であった。
【0007】
なお、外装体を軟質の樹脂から構成して、支持部の変形を容易にして支持部に対する導電体の着脱容易性を向上させることも考えられる。しかしながら、そうした構成においては、外装体の硬度を下げた分、支持部による導電体の把持力が低下するため、外装体の導電体把持力を十分に確保するためには、支持部の大きさを大きくして、支持部と導電体とが重なり合う領域を大きくしなければならない。しかしながら、支持部と導電体とが重なり合う領域を大きくすることは、導電体が患者の肢体表面に接する面積が小さくなるばかりでなく、軟質の樹脂からなる外装体であっても、支持部に対する導電体の着脱容易性を悪化させるので、この改善策も適当とは言えない。
【0008】
さらには、上記重なり合う領域を大きくした構成において外装体に対して導電体を着脱するためには、支持部を大きく変形させる必要があるが、そのような大きな変形は外装体の塑性変形や破断の要因となって耐久性を劣化させる。
【0009】
さらにまた、外装体には、電極部材に刺激用の電気信号を供給するリード線が引き出されるコード引出部が設けられているが、コード引出部近傍では、コード引出部を設けた分、支持部を含めて外装体の厚みは厚くなってしまう。そのため、上記した各種の改良を加えた構造であっても、この領域の支持部における導電体の着脱容易性を十分に改善させることはできない。
【0010】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、外装体に対して導電体を挿入して保持させる作業を容易に行うことができるようにした電気刺激用電極を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の電気刺激用電極は、
可撓性導電シートからなり患者肢体表面に当接して刺激用電気信号を付与するための導電体と、
前記導電体の肢体当接面を露出させた状態で当該導電体を着脱自在に収納する外装体と、
を備え、
前記外装体は、
前記導電体が外装体内外にわたって挿抜可能でありかつ導電体収納状態では前記肢体当接面が露出される開口と、
前記開口の周縁全周に設けられており導電体収納状態では前記導電体の周縁全周を覆って支持する第1の支持部と、
前記第1の支持部の周縁の一部に開口平面の内側に向かって延出しており導電体収納状態では前記導電体の周縁の一部を支持する第2の支持部と、
前記第1の支持部周縁の第2の支持部未形成部位に設けられており前記外装体に対する前記導電体の挿抜を案内する導電体挿抜部と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、第1、第2の支持部という複数の支持部によって導電体を外装体内で保持しているので、導電体の保持力が向上する。さらには、第1の支持部の周縁の一部に開口平面の内側に向かって延出する第2の支持部を設けているので、外装体に導電体を着脱する際において作業者は、第2の支持部を把持した状態で第1の支持部を導電体から容易に分離させることができる。そのため、導電体を開口を介して外装体内外に挿抜する際における操作性が向上する。さらには、第2の支持部未形成部位に設けた導電体挿抜部を介しかつ導電体挿抜部を案内にして導電体を外装体に対して挿抜することができるので、導電体挿抜操作における操作性がさらに向上する。さらにまた、第2の支持部と導電体挿抜部とを設けたことで導電体を外装体から容易に挿抜することができるので、第1の支持部を無理矢理押し開ける必要がなくなり、その分でも作業性が向上するうえ第1の支持部や外装体の耐久性も向上する。
【0013】
以上説明した導電体挿抜時における効果に加えて、第1の支持部によって導電体周縁の全周を支持していたうえで、さらに第2の支持部によって導電体を支持しているので、装着状態において導電体は外装体からはみ出すことなくかつ折り曲げられることなくその周縁全周にわたって保持されるので、導電体が周囲の物品や患者の装着物に引っ掛かって脱落するといった不具合は起きない。
【0014】
本発明には、前記開口は多角形状を有しており、
前記導電体挿抜部を前記開口の角部に設ける、
という態様がある。
【0015】
この態様によれば、開口が多角形状である構成では、構造的にみて、開口の角部の領域において導電体を外装体に挿入する操作が、最もやりにくい。本態様では、開口が多角形状である構成において、導電体挿抜部を開口の角部に設けることで、導電体を挿入する際の操作性が向上する。
【0016】
本発明には、前記第1の支持部の開口側端部と前記第2の支持部の開口側端部と前記導電体挿抜部の開口側端部とを面取り加工する、という態様がある。
【0017】
この態様によれば、導電体を外装体に対して挿抜操作する際には、開口に対して操作者の指を挿抜する必要がある。この態様では、上記面取り加工を施すことで、外装体に対して指を挿抜する際に指に損傷を負うことが防止される。さらには、挿抜の際に、導電体が第1、第2の支持部の開口側端部や導電体挿抜部の開口側端部に引っ掛かって破損することも防止される。
【0018】
本発明には、前記第1の支持部の開口側端部と前記第2の支持部の開口側端部と前記導電体挿抜部の開口側端部とのうち、少なくも前記第1の支持部の開口側端部と前記第2の支持部の開口側端部とに、外装体内部側に突出する突起部をさらに設ける、という態様がある。
【0019】
この態様によれば、上記突起部を設けることで、外装体における導電体の把持力が向上して脱落が防止される。
【0020】
本発明には、前記外装体は、前記導電体に刺激用電気信号を供給する電極ケーブルを引き入れるケーブル引き入れ部を備えており、
前記導電体挿抜部は、前記ケーブル引き入れ部の両脇に設けられている、という態様がある。
【0021】
この態様によれば、電極ケーブルの引き入れ部位を保持するために、樹脂柔軟性が低下している外装体のケーブル引き入れ部における導電体の挿抜操作性が改善される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、外装体に対して導電体を挿入して保持させる作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態の電気刺激装置の外観斜視図である。
図2】実施の形態の電気刺激装置の概略構成を示すブロック図である。
図3】本発明の電気刺激用電極の第1の実施例を示す平面図である。
図4】第1の実施例の電気刺激用電極の外観斜視図である。
図5】第1の実施例の電気刺激用電極の断面図である。
図6図3のa−a線要部拡大断面図であり、(b)は図3のb−b線要部拡大断面図であり、(c)は図3のc−c線要部拡大断面図である。
図7】第1の実施例の電気刺激用電極の要部拡大図である。
図8】本発明の電気刺激用電極の第2の実施例を示す要部拡大図である。
図9】本発明の電気刺激用電極の第3の実施例を示す要部拡大図である。
図10】本発明の電気刺激用電極の第4の実施例を示す要部拡大図である。
図11】本発明の電気刺激用電極の第5の実施例を示す平面図である。
図12】本発明の電気刺激用電極の第6の実施例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の第一の実施形態に係る電気刺激装置1について、図を参照して詳細に説明する。電気刺激装置1は、図1図2に示すように、電気刺激装置本体2と、電気刺激用電極3と、電極ケーブル4とを備える。電気刺激装置本体2は、図2に示す電気刺激信号および加熱用電気信号を生成する電気信号生成手段5と制御部6とを備える他、図1に示すように、筐体7の上端に配設されて施療モードに応じた施療条件を設定及び変更する各種スイッチなどよりなる操作スイッチ部20と、筐体7上端に設けられた施療条件などの情報を表示する表示部21とを備え、電気信号生成手段5と制御部6とは筐体7に収納されている。電気刺激用電極3は、患者の肢体表面に当接して電気信号生成手段5で生成された刺激用電気信号を患者に印加する。電極ケーブル4は、図示しない電気刺激信号供給線と発熱用電気信号供給線とを含んでおり、これら供給線を介して電気刺激用電極3を電気信号生成手段5に電気接続している。
【0025】
図3図6に示すように、電気刺激用電極3は、導電体8と電極9と発熱体10と断熱体11と外装体12とを備える。外装体12はシリコン樹脂等の樹脂からなり、内部に収納室12aを有する矩形平板状の樹脂ケースである。外装体12の一方面には矩形状の開口12bが形成されている。
【0026】
導電体8は、導電スポンジ等の可撓性導電シートからなる。電極9は、導電体8に当接して導電体8に電気刺激信号を供給するものであって電極ケーブル4の電気刺激信号供給線(図示省略)に接続されている。発熱体10は抵抗発熱線が配線された絶縁シートからなり、電極ケーブル4の発熱用電気信号供給線(図示省略)に接続されている。断熱体11は、発熱体10の一方面に面着して、発熱体10で発生した熱が発熱体10の一方面側から外部に放散するのを抑制している。
【0027】
導電体8と電極9と発熱体10と断熱体11とは、収納室12aに収納可能な矩形シート形状を有しており、図中、電極9と発熱体10と断熱体11はこの記載順に積層され、導電体8は電極9と接するように開口12b側から着脱可能に外装体12の収納室12aに収納されている。これにより導電体8は患者肢体表面に当接する肢体当接面8aを開口12bで露出させた状態で外装体12に収納されている。開口12bは導電体8の平面視形状よりも狭小に矩形形状に形成されている。
【0028】
次に、本実施の形態の特徴となる電気刺激用電極3の要部(具体的には外装体12の要部)を説明する。図3に示すように、外装体12は、第1の支持部13と第2の支持部14と導電体挿抜部15とを備える。第1の支持部13は、導電体8よりも狭小に形成される矩形状の開口12bの周縁全周にあって、外装体12と一体に設けられている。さらに第1の支持部13は開口12bと同一平面上にあって開口12bの平面上の内側に向かって延出する平板の枠形状、すなわち額縁形状を有している。第1の支持部13は導電体8が外装体12に収納された状態では導電体8の周縁全周を覆うことで導電体8を外装体12内で支持している。なお、第1の支持部13の延出長さh1(開口8内への延出量:図3参照)は任意に設定可能であるが、少なくとも導電体8を外装体12内で支持可能な最小限の延出長さh1に設定されている。また、実際の形状においては、第1の支持部13と第2の支持部14とは一体に形成されており、両支持部13、14の間には境界は存在しないが、本明細書の図面においては、両支持部13、14の間に仮想的に境界を設定し、この境界に一点鎖線を描いている。
【0029】
第2の支持部14は、第1の支持部13の周縁の一部にあって、第1の支持部13と一体に設けられている。さらに第2の支持部14は、開口12bと同一平面上にあって開口12bの平面上内側に向かって延出する平板形状(片形状)を有している。第2の支持部14は導電体8が外装体12に収納された状態では導電体8の周縁を部分的に覆うことで導電体8を外装体12内で支持している。なお、第2の支持部14の形状や延出長さh2(開口8内への突出量:図3参照)は任意に設定可能であるが、外装体12に収納した導電体8を患部に当接させて通電する際に、通電の邪魔にならない程度の大きさ(形状)と延出長さh2に設定されている。
【0030】
導電体挿抜部15は、第1の支持部13の周縁にあって第2の支持部14が形成されていない部位に設けられている。導電体挿抜部15は、外装体12に対して導電体8を挿入する際のガイドとして機能するように、操作者の指や導電体8を挿抜しやすい大きさや形状に形成されている。
【0031】
以下、第2の支持部14と導電体挿抜部15との具体的な実施例を説明する。なお、以下に説明する各実施例においては、開口12bの全周に額縁状に第1の支持部13を設けるという、第1の支持部13の構成は同じである。
【0032】
第1の実施例では、図3図7に示すように、矩形状の開口12bが有する二つの対向辺対(12c、12c)、(12d、12d)のうち、一方の対向辺対(12c、12c)の全域に支持片14a、14aが設けられ、他方の対向辺対(12d、12d)にその両端を除いて支持片14b、14bが設けられている。そして、支持片14a、14aと支持片14b、14bとによって第2の支持部14が構成されている。これにより開口12bの角部12eには、第2の支持部14(支持片14b)が設けられていない支持部未形成領域が存在しており、この支持部未形成領域によって導電体挿抜部15Aが構成されている。導電体挿抜部15Aは、支持片14b、14bの両端にあって、支持片14b、14bを部分的に削除することで開口12bの角部12eに形成されている。導電体挿抜部15Aの形状は、角のない丸みを有する形状とされる。これにより、導電体挿抜部15Aを拡開する際の応力が分散されて外装体12の破損が防止される。
【0033】
図6(a)〜(c)に示すように、第1の支持部13の開口側端部13aと第2の支持部14の開口側端部14cとには、操作者の指の損傷や導電体挿抜時における導電体8の破損を防止するために、面取り加工rが施されている。
【0034】
また、第1の支持部13の開口側端部13aと第2の支持部14の開口側端部14aと導電体挿抜部15Aの開口側端部15aとには、導電体8が外装体12から脱落するのを防止するために、外装体12内部(収納室12a)に突出する突起部16がさらに設けられている。突起部16は開口側端部13a、14a、15aの全周にわたって設けてもよいし、部分的に設けてもいい。
【0035】
以上の構成を備えた電気刺激用電極3に導電体8を装着する際には、まず、平板状の第2の支持部14の一部を把持した状態で、把持した第2の支持部14の一部を開口12bから開口外側に若干引き出すことで、開口12bの周縁と第2の支持部14との間に小さな隙間を形成する。さらにこのとき、第1の支持部13は第2の支持部14と一体に形成されているので、第1の支持部13と開口12bの周縁との間にも隙間が形成される。なお、支持片14bは、その両端に導電体挿抜部15Aが設けられているために、形状としては舌片状となっており、構造的に把持しやすい。そのため、第2の支持部14の把持は、支持片14bに行うのが好ましい。
【0036】
次に、開口12bの周縁と第2の支持部14との間の隙間から外装体12の内部に導電体8を挿入する。矩形状の開口12bに、矩形状の導電体8を挿入する際には、導電体8の角部を開口12bの角部12eに挿入して装着する作業が最も難しい。この実施例では、開口12bの角部12eにおいて第2の支持部14を削除することで導電体挿抜部15Aを形成している。そのため、開口12bに導電体8を挿入する際には、角部12eにある導電体挿抜部15Aから、この導電体挿抜部15Aを案内にして導電体8の角部を開口12b内に挿入すれば、導電体8の装着作業(特に角部12eへの装着作業)を容易にかつ装着精度高く行うことができる。具体的には、先ず第2の支持部14の支持片14bを指で若干持ち上げて、導電体8の一辺を挿入しておき、前記持ち上げられた支持片14bに隣接する導電体挿抜部15Aに指を入れて第1の支持部13および第2の支持部14と電極9との間の収納室12aの空間を若干拡大させ、導電体8の角部を前記拡大した空間に挿入する。その後、次に隣接する導電体挿抜部15Aまで第1の支持部13および支持片14bを若干持ち上げながら指をスライドさせることにより、容易に導電体8の1辺を第1の支持部13および支持片14bで覆って外装体12の内部に挿入することができる。以下、導電体8の全周が第1の支持部13および第2の支持部14に覆われるまで順次指をスライドさせることで容易に導電体8を外装体12の内部に挿入することができる。
【0037】
また、導電体8を外装体12から抜き取る際には、先ず支持片14bの中央付近に指を入れて軽く持ち上げると、該支持片14bの両端に導電体挿抜部15A、15Aが設けられているので、該導電体挿抜部15A、15Aの間の支持片14b全体が自然に持ち上げられ、これにより、容易に導電体8の端部が視認でき、指が届き易く、導電体8の端部を摘むことができ、導電体8の端部を摘んで開口12bから抜き取る方向に引っ張れば、他辺の第2の支持部14を持ち上げる事なく、外装体12より容易に導電体8を抜き取ることができる。従って、導電体8の挿抜作業は従来技術に比較して極めてスムーズに行うことが可能であり、導電体8が第2の支持部14に引っ掛かって破損したり、外装体12の開口12bが無理に押し広げられて永久変形が生じるようなこともないので、導電体8や外装体12の長寿命化が期待できると共に、頻回に行われる導電体8の挿抜作業の作業性が向上し、作業者の負担を軽減できる。
【0038】
第2の実施例では、図8に示すように、矩形状の開口12bが有する二つの対向辺対(12c、12c)、(12d、12d)それぞれに、その両端を除いて支持片14c、14cが設けられており、支持片14c、14cによって第2の支持部14が構成されている。これにより開口12bの角部12eには、第2の支持部14(支持片14c)が設けられていない支持部未形成領域が存在しており、この支持部未形成領域によって導電体挿抜部15Bが構成されている。本実施例では、矩形状の開口12bが有する二つの対向辺対(12c、12c)、(12d、12d)の両端それぞれに、導電体挿抜部15B、15Bが設けられている。なお、隣接する開口12の辺12cと開口12の辺12dとの間にある導電体挿抜部15Bと導電体挿抜部15Bとは、一体化して一つの導電体挿抜部15Bとなっている。
【0039】
第3の実施例では、図9に示すように、矩形状の開口12bが有する二つの対向辺対(12c、12c)、(12d、12d)の両端それぞれに、導電体挿抜部15Cが設けられている点は、第2の実施例と同じであるが、導電体挿抜部15Cの形状が、第2の実施例(導電体挿抜部15B)と異なる。すなわち、本実施例の導電体挿抜部15Cは、細幅のスリット状となっている。なお、本実施例の導電体挿抜部15Cはスリット状であるものの、隣接する開口12の辺12cと開口12の辺12dとの間にある導電体挿抜部15Cと導電体挿抜部15Cとは、一体化して一つの導電体挿抜部15Cとなっている点は、第2の実施例と同じである。
【0040】
第4の実施例では、図10に示すように、矩形状の開口12bが有する二つの対向辺対(12c、12c)、(12d、12d)の両端それぞれに、導電体挿抜部15Dが設けられている点は、第2、第3の実施例と同じであるが、導電体挿抜部15Dの形状が、第2の実施例(導電体挿抜部15B)、第3の実施例(導電体挿抜部15C)と異なる。すなわち、本実施例の導電体挿抜部15Dは、スリット状となっている。さらに導電体挿抜部15Dは、隣接する開口12の辺12cと開口12の辺12dとの間にある導電体挿抜部15Dと導電体挿抜部15Dとは一体化して一つの導電体挿抜部15Dとなっている。さらに、一体化した導電体挿抜部15Dは、細スリット部15bと、細スリット部15bに連通する円孔部15cとを備えている。
【0041】
第1〜第4の実施例では、導電体挿抜部15A〜15Dを矩形状の開口12aの角部12eに設けていた。これに対して、第5の実施例では、図11に示すように、導電体挿抜部15Eを、矩形状の開口12bの端辺中途部に設けている。特に、図11に示すように、導電体挿抜部15Eを、外装体12におけるケーブル引き入れ部12fの両脇に設ければ、電極ケーブル4の引き入れ部位を保持するために、樹脂柔軟性が低下している外装体12のケーブル引き入れ部12fにおける導電体8の挿抜操作性が改善される。なお、ケーブル引き入れ部12fは、電極ケーブル4を外装体12内に引き入れるために、外装体12に設けられた開口とその開口を保護するために開口周囲に設けられた外装体12の肉厚部とからなる。
【0042】
第1〜第5の実施例では、矩形状の開口12bを有する矩形状の外装体12に矩形状の導電体8を装着していた。これに対して、第6の実施例では、図12に示すように、円形の開口12b’を有する円形の外装体12’に円形の導電体8’を装着しており、このような形状を有する電気刺激用電極3’においても、本発明を実施することができる。本実施例では、円形の開口12b’を有しているので、開口12b’には角部12eが存在しない。そのため、導電体挿抜部15Fは、開口12b’の任意の周縁位置に設けられる。
【0043】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々適宜に変更可能である。例えば、開口12bは、五角形以上の多角形状でもよいし、楕円形状、長円形状でもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 電気刺激装置
2 電気刺激装置本体
3 電気刺激用電極
4 電極ケーブル(電気刺激信号供給線、発熱用電圧信号供給線)
5 電気信号生成手段
6 制御部
7 筐体
8 導電体
8a 肢体当接面
9 電極
10 発熱体
11 断熱体
12 外装体
12a 収納室
12b 開口
(12c、12c) 対向辺対
(12d、12d) 対向辺対
12e 角部
12f ケーブル引き入れ部
13 第1の支持部
13a 開口側端部
14a 支持片
14b 支持片
14c 開口側端部
15 導電体挿抜部
15A〜15F 導電体挿抜部
15a 開口側端部
15b 細スリット部
15c 円孔部
16 突起部
20 操作スイッチ部
21 表示部
h1、h2 延出長さ
r 面取り加工
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12