特許第6308532号(P6308532)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タキロン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6308532-嵌合具及び嵌合具付き袋体 図000002
  • 特許6308532-嵌合具及び嵌合具付き袋体 図000003
  • 特許6308532-嵌合具及び嵌合具付き袋体 図000004
  • 特許6308532-嵌合具及び嵌合具付き袋体 図000005
  • 特許6308532-嵌合具及び嵌合具付き袋体 図000006
  • 特許6308532-嵌合具及び嵌合具付き袋体 図000007
  • 特許6308532-嵌合具及び嵌合具付き袋体 図000008
  • 特許6308532-嵌合具及び嵌合具付き袋体 図000009
  • 特許6308532-嵌合具及び嵌合具付き袋体 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6308532
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】嵌合具及び嵌合具付き袋体
(51)【国際特許分類】
   A44B 19/16 20060101AFI20180402BHJP
   B65D 33/25 20060101ALI20180402BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20180402BHJP
【FI】
   A44B19/16
   B65D33/25 A
   B65D33/00 C
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-43679(P2016-43679)
(22)【出願日】2016年3月7日
(62)【分割の表示】特願2012-191(P2012-191)の分割
【原出願日】2012年1月4日
(65)【公開番号】特開2016-104376(P2016-104376A)
(43)【公開日】2016年6月9日
【審査請求日】2016年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108719
【氏名又は名称】タキロンシーアイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】大矢 由雄
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0168776(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0010735(US,A1)
【文献】 特開2010−202224(JP,A)
【文献】 特開2006−290373(JP,A)
【文献】 特表2007−501175(JP,A)
【文献】 特表2001−509119(JP,A)
【文献】 特開昭63−055061(JP,A)
【文献】 特開2011−152947(JP,A)
【文献】 特表2004−509729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 19/00 − 19/64
B65D 33/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の帯状の基材と、
それら基材の対向面にそれぞれ長手方向に沿って並行して複数本設けられ、前記基材の対向面から遠ざかるにつれて互いの間隔が広がった後に狭まるように前記基材から互いに逆向きの断面円弧状に立ち上がる第1のアーム部と第2のアーム部からなり、前記第1のアーム部と前記第2のアーム部により凹部が形成された嵌合部と、を有し、
対向する複数本の嵌合部同士は、前記第1のアーム部と前記第2のアーム部のいずれかを対向する嵌合部の前記凹部に嵌め込み、アーム部同士を引っ掛けて互いに着脱自在に嵌合し、
前記嵌合部に複数の切り欠き部が設けられていることを特徴とする嵌合具。
【請求項2】
内容物を収容する袋本体と、該袋本体の開口部の内面に取り付けられた請求項1に記載の嵌合具とを有する嵌合具付き袋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵌合具及び嵌合具付き袋体に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、薬品等の様々な分野において、袋体の開口部を開閉自在に封じる嵌合具が取り付けられた嵌合具付き袋体が広く使用されている。
嵌合具としては、例えば、一対の帯状の基材と、それら基材の対向面にそれぞれ設けられた雄側嵌合部及び該雄側嵌合部に着脱自在に嵌合する雌側嵌合部と、を有する嵌合具が取り付けられた嵌合具付き袋体が知られている(特許文献1)。
【0003】
例えば、図9に例示した嵌合具付き袋体101(以下、「袋体101」という。)が挙げられる。袋体101は、第1の基材111及び第2の基材112のそれぞれの対向面111a,112aに、雄側嵌合部113及び雌側嵌合部114が長手方向に沿って設けられた嵌合具110と、第1のフィルム材121及び第2のフィルム材122を有し、それらの縁部がヒートシールされることで袋状にされた袋本体120と、を有している。嵌合具110の第1の基材111が袋本体120の第1のフィルム材121に溶着され、嵌合具110の第2の基材112が袋本体120の第2のフィルム材122に溶着されている。
雄側嵌合部113は、第1の基材111から立ち上がる幹部113aと、幹部113aの先端部に形成された該幹部113aよりも大きい頭部113bを有する。雌側嵌合部114は、第2の基材112から円弧状に立ち上がる一対のアーム部114a,114bを有し、それらアーム部114a,114bにより凹部114cが形成される。嵌合具110は、雌側嵌合部114の凹部114cに雄側嵌合部113の頭部113bを嵌め込むことで、着脱自在に嵌合できる。
【0004】
また、嵌合具としては、一対の帯状の基材の対向面に、前記した雄側嵌合部が長手方向に沿って並行して複数本設けられ、雄側嵌合部の頭部を対向する基材に設けられた隣り合う雄側嵌合部の間に嵌め込むようにして、互いに頭部同士を引っ掛けることで着脱自在に嵌合する嵌合具が知られている(特許文献2)。
また、一対の帯状の基材の対向面のそれぞれに、前記した雌側嵌合部が有するようなアームが長手方向に沿って複数設けられ、対向するアーム同士を互いに引っ掛けて着脱自在に嵌合する嵌合具も知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭49−30323号公報
【特許文献2】特開昭62−273839号公報
【特許文献3】米国特許第5718024号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような嵌合具を、内容物を収容する袋本体の開口部に取り付けて繰り返し使用すると、袋本体における嵌合部近傍で破損が生じることがある。例えば、図9に例示した袋体101では、袋本体120における嵌合具110の雄側嵌合部113及び雌側嵌合部114が配置されている部分と、それ以外の部分との境目の部分aにおいて、袋本体120に破損が生じることがある。
【0007】
本発明は、袋本体の開口部に取り付けて繰り返し使用しても、袋本体における嵌合部が配置された部分の近傍で袋本体が破損し難い嵌合具、及び該嵌合具が取り付けられた嵌合具付き袋体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の嵌合具は、一対の帯状の基材と、
それら基材の対向面にそれぞれ長手方向に沿って並行して複数本設けられ、前記基材の対向面から遠ざかるにつれて互いの間隔が広がった後に狭まるように前記基材から互いに逆向きの断面円弧状に立ち上がる第1のアーム部と第2のアーム部からなり、前記第1のアーム部と前記第2のアーム部により凹部が形成された嵌合部と、を有し、
対向する複数本の嵌合部同士は、前記第1のアーム部と前記第2のアーム部のいずれかを対向する嵌合部の前記凹部に嵌め込み、アーム部同士を引っ掛けて互いに着脱自在に嵌合し、
前記嵌合部に複数の切り欠き部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明の嵌合具付き袋体は、内容物を収容する袋本体と、該袋本体の開口部の内面に取り付けられた本発明の嵌合具とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の嵌合具は、袋本体の開口部に取り付けて繰り返し使用しても、袋本体における嵌合部が配置された部分の近傍で袋本体が破損し難い。
本発明の嵌合具付き袋体は、本発明の嵌合具が取り付けられているため、袋本体の開口部に取り付けて繰り返し使用しても、袋本体における嵌合部が配置された部分の近傍で袋本体が破損し難い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の嵌合具の一例を示した断面図である。
図2】本発明の嵌合具の一例を示した斜視図である。
図3】本発明の嵌合具付き袋体の一例を示した正面図である。
図4図3の嵌合具付き袋体を直線I−I’で切断したときの断面図である。
図5図3の嵌合具付き袋体を開封した様子を示した斜視図である。
図6】本発明の嵌合具の他の例を示した断面図である。
図7】本発明の嵌合具の他の例を示した斜視図である。
図8】本発明の嵌合具付き袋体の他の例を示した正面図である。
図9】従来の嵌合具付き袋体を嵌合具の短手方向に沿って切断したときの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
[嵌合具]
以下、本発明の嵌合具の一例を示して詳細に説明する。図1は、本実施形態の嵌合具10を、幅方向に沿って切断したときの断面図である。他の嵌合具の断面図についても同様である。
本実施形態の嵌合具10は、図1に示すように、一対の帯状の第1の基材11及び第2の基材12を有している。
第1の基材11の対向面11aには、突条の雄側嵌合部13が第1の基材11の長手方向に沿って設けられている。第2の基材12の対向面12aには、雄側嵌合部13と着脱自在に嵌合する雌側嵌合部14が第2の基材12の長手方向に沿って設けられている。
【0013】
第1の基材11は、特に限定されず、公知の嵌合具の基材に使用されるものが使用でき、積層フィルムからなる基材が好ましい。積層フィルムからなる第1の基材11としては、例えば、対向面11a側から、耐熱層とヒートシール層が積層されたフィルムが挙げられる。また、第1の基材11は、耐熱層とヒートシール層の間にバリア層を有していてもよい。
耐熱層の材質としては、二軸延伸ナイロン、二軸延伸ポリプロピレン等が挙げられる。
ヒートシール層の材質としては、直鎖状低密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー等が挙げられる。
バリア層の材質としては、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0014】
第1の基材11は、1種の樹脂からなっていてもよく、2種以上の樹脂を含む樹脂組成物からなっていてもよい。また、必要に応じて安定剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤等の公知の添加剤が添加されていてもよい。
また、第1の基材11は、積層フィルムからなる基材には限定されず、単層フィルムからなる基材であってもよい。
第2の基材12としては、第1の基材11と同じ基材が挙げられ、好ましい態様も同じである。
【0015】
雄側嵌合部13は、第1の基材11の対向面11aから立ち上がる幹部13aと、幹部13aの先端部に設けられ、幹部13aよりも大きい断面略半円形状の頭部13bを有している。また、雌側嵌合部14は、第2の基材12の対向面12aから断面円弧状に立ち上がる第1のアーム部14aと第2のアーム部14bからなり、第1のアーム部14aと第2のアーム部14bによって凹部14cが形成されている。雄側嵌合部13と雌側嵌合部14は、雄側嵌合部13の頭部13bを雌側嵌合部14の凹部14cに嵌め込むことで、着脱自在に嵌合できるようになっている。
【0016】
雄側嵌合部13及び雌側嵌合部14の断面形状は、雄側嵌合部13と雌側嵌合部14を互いに着脱することで、袋本体の開口部の開閉が繰り返し行えるものであればよく、公知の断面形状を採用できる。
雄側嵌合部13及び雌側嵌合部14の材質としては、第1の基材11及び第2の基材12と同じ材質が使用できる。
【0017】
嵌合具10は、図2に示すように、雄側嵌合部13に複数の切り欠き部15が形成され、雌側嵌合部14に複数の切り欠き部16が形成されていることを特徴とする。
前述したように、袋体101では、嵌合具110を用いた開閉を繰り返し行うと、袋本体120における嵌合具110の雄側嵌合部113及び雌側嵌合部114が配置されている部分と、それ以外の部分との境目の部分aにおいて、袋本体120に破損が生じることがある。本発明者がこの点について詳細に検討したところ、袋本体120の第1のフィルム材121及び第2のフィルム材122や、嵌合具110の第1の基材111及び第2の基材112に比べて、嵌合具110における雄側嵌合部113及び雌側嵌合部114が非常に硬いため、袋本体120における嵌合具110の雄側嵌合部113及び雌側嵌合部114が配置されている部分と、それ以外の部分との間で柔軟性に大きな差が生じ、それによって開閉を行う際にその境目の部分aに大きな負担が掛かっていることが判明した。
これに対し、嵌合具10は、雄側嵌合部13及び雌側嵌合部14のそれぞれに複数の切り欠き部15,16が設けられていることにより、雄側嵌合部13及び雌側嵌合部14の柔軟性が向上する。これにより、嵌合具10を袋本体に取り付けて嵌合具付き袋体としたとき、袋本体における雄側嵌合部13及び雌側嵌合部14が配置された部分とそれ以外の部分との柔軟性の差が小さくなる。そのため、嵌合具10を用いて袋体の開口部を繰り返し開閉しても、袋本体における雄側嵌合部13及び雌側嵌合部14が配置された部分とそれ以外の部分との境目部分に掛かる負担が小さくなり、その部分で袋本体が破損することが抑制される。
【0018】
切り欠き部15,16の形態は特に限定されず、例えば、雄側嵌合部13及び雌側嵌合部14に刃物によって切り込みを入れた形態、雄側嵌合部13及び雌側嵌合部14の一部を切除した形態、雄側嵌合部13及び雌側嵌合部14の一部を押し潰した形態等が挙げられる。なかでも、切り欠き部15,16の数を多くしても嵌合強度が低下し難い点から、雄側嵌合部13及び雌側嵌合部14に刃物によって切り込みを入れた形態が好ましい。より詳細に説明すると、雄側嵌合部13及び雌側嵌合部14の一部を切除したり、押し潰したりする形態では、切除された部分及び押し潰された部分が嵌合に利用できなくなり、その分だけ嵌合強度が低下する。これに対し、切り欠き部15,16を刃物等による切り込みによって形成すれば、雄側嵌合部13及び雌側嵌合部14において切り込みの形成によって嵌合に利用できなくなる部分が非常に小さいので、嵌合強度が低下し難い。
【0019】
切り欠き部15,16は、雄側嵌合部13及び雌側嵌合部14の長手方向と交わるように、雄側嵌合部13及び雌側嵌合部14に形成されることが好ましい。
雄側嵌合部13及び雌側嵌合部14に形成する切り欠き部15,16の方向は、この例のように雄側嵌合部13及び雌側嵌合部14の長手方向に対して垂直な方向、すなわち第1の基材11及び第2の基材12の短手方向に沿って形成されていてもよく、第1の基材11及び第2の基材12の短手方向に対して傾斜するように形成されていてもよい。
【0020】
また、切り欠き部15,16の数は特に限定されない。切り欠き部15,16の数が多い程、雄側嵌合部13及び雌側嵌合部14の柔軟性が向上し、嵌合具10を袋本体に取り付けて使用する際に、袋本体における雄側嵌合部13及び雌側嵌合部14が配置された部分とそれ以外の部分との境目部分で袋本体が破損することがより抑制されやすい。
切り欠き部15,16は、雄側嵌合部13及び雌側嵌合部14の長手方向の全体にわたって形成されていることが好ましい。これにより、雄側嵌合部13及び雌側嵌合部14の柔軟性がさらに向上し、袋本体に破損が生じることをより抑制できる。
【0021】
また、複数の切り欠き部15,16は、雄側嵌合部13及び雌側嵌合部14に長手方向に沿って等間隔に形成されていてもよく、任意の間隔で形成されていてもよい。2つ以上の切り欠き部15,16が互いに交わっていてもよい。
【0022】
[嵌合具付き袋体]
以下、前述した嵌合具10を備えた嵌合具付き袋体1(以下、「袋体1」という。)について説明する。
本実施形態の袋体1は、図3及び図4に示すように、内容物を収容する密封された状態の袋本体20と、袋本体20内の上部の内面に、横方向に沿って取り付けられた嵌合具10とを有している。
袋本体20は、第1のフィルム材21と第2のフィルム材22が重ね合わされ、それらの周縁部23が全てヒートシールされることで形成されており、密封された状態になっている。また、袋本体20における嵌合具10よりも上部側には、横方向に沿って切断補助線24が設けられており、その端部にノッチ25が形成されている。
嵌合具10は、図4に示すように、嵌合具10の第1の基材11の外面11bが袋本体20の第1のフィルム材21に溶着され、嵌合具10の第2の基材12の外面12bが袋本体20の第2のフィルム材22に溶着されている。
【0023】
袋本体20の形状は、本実施形態では矩形である。ただし、袋本体20の形状は矩形には限定されない。また、袋本体20の大きさも特に限定されず、袋本体20に収容する内容物によって適宜選定すればよい。
【0024】
袋本体20を形成する第1のフィルム材21と第2のフィルム材22は、ヒートシールにより嵌合具10を溶着できるものであればよく、内面側からシーラント層と基材層を少なくとも有する積層フィルムが好ましい。
基材層としては、二軸延伸ナイロン、二軸延伸ポリプロピレン等が挙げられる。
シーラント層としては、直鎖状低密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー等が挙げられる。
また、前記積層フィルムには、バリア層等の機能層を設けてもよい。
また、第1のフィルム材21と第2のフィルム材22は、シーラント層のみからなる単層フィルムであってもよい。
【0025】
切断補助線24は、袋本体20を切断して開封するのを補助する線である。切断補助線24としては、例えば、袋本体20の第1のフィルム材21及び第2のフィルム材22における切断補助線24の部分をそれ以外の部分に比べて薄肉化した弱化線、ミシン目からなる弱化線、列状に形成された細孔からなる弱化線が挙げられる。また、切断補助線24は、前記弱化線には限定されず、ハサミやカッター等で切断する位置を示す、印刷等で形成した線であってもよい。
切断補助線24は、本実施形態では袋本体20の幅方向に沿って形成されているが、この形態には限定されず、袋本体20の幅方向に対して傾斜して設けられていてもよい。
【0026】
ノッチ25の形状は、この例では三角形状であるが、特に限定されず、半円形状、直線状等であってもよい。
【0027】
袋体1は、ノッチ25から切断補助線24に沿って袋本体20の上部を切断して除去することで、図5に示すように、上部に開口部26を形成して開封することができる。袋体1に形成した開口部26は、嵌合具10の雄側嵌合部13と雌側嵌合部14を着脱することで繰り返し開閉できる。
袋体1は、柔軟性が優れた嵌合具10を用いているため、袋本体20における雄側嵌合部13及び雌側嵌合部14が配置された部分とそれ以外の部分との境目の部分bで袋本体20に破損が生じることが抑制される。
【0028】
<第2実施形態>
[嵌合具]
以下、本発明の嵌合具の他の例を示して詳細に説明する。図6は、本実施形態の嵌合具30を、幅方向に沿って切断したときの断面図である。
本実施形態の嵌合具30は、図6及び図7に示すように、一対の帯状の第1の基材31及び第2の基材32を有している。
第1の基材31の対向面31aには、第1の雌側嵌合部33が第1の基材31の長手方向に沿って複数本並行して設けられている。第2の基材32の対向面32aには、第1の雌側嵌合部33と着脱自在に嵌合する第2の雌側嵌合部34が第2の基材32の長手方向に沿って複数本並行して設けられている。
【0029】
第1の基材31及び第2の基材32としては、第1実施形態の第1の基材11で挙げた基材と同じ基材が挙げられ、好ましい態様も同じである。
第1の雌側嵌合部33は、第1の基材31の対向面31aから断面円弧状に立ち上がる第1のアーム部33aと第2のアーム部33bからなり、第1のアーム部33aと第2のアーム部33bによって凹部33cが形成されている。
同様に、第2の雌側嵌合部34は、第2の基材32の対向面32aから断面円弧状に立ち上がる第1のアーム部34aと第2のアーム部34bからなり、第1のアーム部34aと第2のアーム部34bによって凹部34cが形成されている。
第1の雌側嵌合部33と第2の雌側嵌合部34は、図6に示すように、互いのアーム部を対向する雌側嵌合部の凹部に嵌め込み、アーム部同士を引っ掛けることで、着脱自在に嵌合できるようになっている。
【0030】
第1の雌側嵌合部33及び第2の雌側嵌合部34の断面形状は、それらを互いに着脱することで、袋本体の開口部の開閉が繰り返し行えるものであればよく、公知の断面形状を採用できる。
第1の雌側嵌合部33及び第2の雌側嵌合部34の材質としては、第1実施形態の第1の基材11で挙げた材質と同じ材質が使用できる。
第1の雌側嵌合部33及び第2の雌側嵌合部34の本数は、この例では共に3本であるが、3本には限定されない。第1の雌側嵌合部33及び第2の雌側嵌合部34の本数は、それぞれ3〜6本が好ましく、4〜5本がより好ましい。
第1の雌側嵌合部33及び第2の雌側嵌合部34の本数は、同じであることが好ましい。
【0031】
嵌合具30は、第1の雌側嵌合部33に、第1の雌側嵌合部33の短手方向に沿って複数の切り欠き部35が形成され、第2の雌側嵌合部34に、第2の雌側嵌合部34の短手方向に沿って複数の切り欠き部36が形成されていることを特徴とする。これにより、第1の雌側嵌合部33及び第2の雌側嵌合部34の柔軟性が向上し、袋本体における第1の雌側嵌合部33及び第2の雌側嵌合部34が配置された部分とそれ以外の部分との境目部分に掛かる負担が小さくなり、その部分で袋本体が破損することが抑制される。
【0032】
切り欠き部35,36としては、第1実施形態の切り欠き部15,16で挙げた形態と同じものが挙げられ、好ましい態様も同じである。
切り欠き部35,36の方向は、この例のように第1の雌側嵌合部33及び第2の雌側嵌合部34の長手方向に対して垂直な方向、すなわち第1の基材31及び第2の基材32の短手方向に形成されていてもよく、第1の基材31及び第2の基材32の短手方向に対して傾斜するように形成されていてもよい。
【0033】
また、切り欠き部35,36の数は特に限定されない。切り欠き部35,36の数が多い程、第1の雌側嵌合部33及び第2の雌側嵌合部34の柔軟性が向上し、嵌合具30を袋本体に取り付けて使用する際に、袋本体における第1の雌側嵌合部33及び第2の雌側嵌合部34が配置された部分とそれ以外の部分との境目部分で袋本体が破損することがより抑制されやすい。
切り欠き部35,36は、第1の雌側嵌合部33及び第2の雌側嵌合部34の長手方向の全体にわたって形成されていることが好ましい。これにより、第1の雌側嵌合部33及び第2の雌側嵌合部34の柔軟性がさらに向上し、袋本体に破損が生じることをより抑制できる。
【0034】
また、複数の切り欠き部35,36は、第1の雌側嵌合部33及び第2の雌側嵌合部34に長手方向に沿って等間隔に形成されていてもよく、任意の間隔で形成されていてもよい。2つ以上の切り欠き部35,36が互いに交わっていてもよい。
【0035】
[嵌合具付き袋体]
以下、前述した嵌合具30を取り付けた嵌合具付き袋体2(以下、「袋体2」という。)について説明する。袋体2において、袋体1と同じ部分については同符号を付して説明を省略する。
袋体2は、図8に示すように、内容物を収容する密封された状態の袋本体20と、袋本体20内の上部の内面に、横方向に沿って取り付けられた嵌合具30とを有している。袋体2は、嵌合具10の代わりに嵌合具30が取り付けられている以外は、袋体1と同じである。
嵌合具30は、嵌合具30の第1の基材31の外面31bが袋本体20の第1のフィルム材21に溶着され、嵌合具30の第2の基材32の外面32bが袋本体20の第2のフィルム材22に溶着されている。
【0036】
袋体2は、ノッチ25から切断補助線24に沿って袋本体20の上部を切断して除去することで、袋体1と同様に上部に開口部を形成して開封することができる。袋体2に形成した開口部は、嵌合具30の第1の雌側嵌合部33と第2の雌側嵌合部34を着脱することで繰り返し開閉できる。
袋体2は、柔軟性が優れた嵌合具30を用いているため、袋本体20における第1の雌側嵌合部33と第2の雌側嵌合部34が配置された部分とそれ以外の部分との境目部分で袋本体20に破損が生じることが抑制される。
【0037】
以上説明した嵌合具10及び嵌合具30のような本発明の嵌合具は、雄側嵌合部や雌側嵌合部に複数の切り欠き部が形成されていることで、柔軟性が優れており、袋本体に取り付けて開口部を繰り返し開閉しても袋本体に破損が生じ難い。また、雌側嵌合部は雄側嵌合部に比べて柔軟性が優れていることから、本発明の嵌合具は、一対の基材のそれぞれに複数本の雄側嵌合部が並行して設けられ、それら雄側嵌合部の頭部を互いに嵌め込んで嵌合する嵌合具よりも柔軟性が特に優れるので、袋本体の破損が充分に抑制される。
【0038】
なお、本発明の嵌合具及び嵌合具付き袋体は、前述した切り欠き部を有していれば形態は限定されない。
また、嵌合具付き袋体の袋本体も特に限定されず、嵌合具付き袋体の袋本体として知られる様々な形態の袋本体を採用できる。例えば、袋体1,2は切断補助線24を利用して開封するまでは密封状態の袋体であったが、予め開口が形成された袋本体を有する嵌合具付き袋体であってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1,2 嵌合具付き袋体
10 嵌合具
11 第1の基材
12 第2の基材
13 雄側嵌合部
14 雌側嵌合部
15,16 切り欠き部
20 袋本体
21 第1のフィルム材
22 第2のフィルム材
30 嵌合具
31 第1の基材
32 第2の基材
33 第1の雌側嵌合部
34 第2の雌側嵌合部
35,36 切り欠き部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9