特許第6308648号(P6308648)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6308648
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】テーブル什器及びテーブル装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 13/00 20060101AFI20180402BHJP
   A47B 97/00 20060101ALI20180402BHJP
   A47B 31/00 20060101ALI20180402BHJP
【FI】
   A47B13/00 B
   A47B97/00 M
   A47B31/00 G
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-220281(P2013-220281)
(22)【出願日】2013年10月23日
(65)【公開番号】特開2015-80629(P2015-80629A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社岡村製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】小野 菜穂
(72)【発明者】
【氏名】崎本 隆之
【審査官】 大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−010909(JP,A)
【文献】 特開2010−233595(JP,A)
【文献】 特開2011−224172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 1/00−41/06
A47B 97/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上に立設される天板支持体と、前記天板支持体上に支持された天板と、前記天板の左右方向に沿って形成された長孔形状の配線挿通用開口部と、前記天板の前記配線挿通用開口部の下方に該配線挿通用開口部に連通して前記天板の左右方向に沿って形成された配線ダクトと、を有してなり、前記天板の下方の空間部に移動什器の少なくとも一部が収容されるように構成されたテーブル什器であって、
前記配線ダクトは、前記天板の左右方向に沿って配設され、かつ床面に対して略垂直に配置されるとともに、前後に離間して配設された一対の側板部材と、これら側板部材の下端部間に架設された底部材とを有してなり、
前記一対の側板部材が、前記配線挿通用開口部の前側開口縁および後側開口縁のそれぞれの下方位置に配置され、その上端縁の少なくとも一部が、対向する前記配線挿通用開口部の前側開口縁の下端あるいは後側開口縁の下端から所定寸法離間するように配設されたことにより、前記天板の下面と前記側板部材の上端との間に空隙部が形成され
前記一対の側板部材には、それぞれの上端部に、少なくとも前記天板の前後方向外側に折曲し、その後下方に折曲する上部折曲部が設けられていることを特徴とするテーブル什器。
【請求項2】
前記配線挿通用開口部が、前記天板の前後方向における中央部に配置されていることを特徴とする請求項1記載のテーブル什器。
【請求項3】
前記空隙部が、前記配線挿通用開口部の直下のみに形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のテーブル什器。
【請求項4】
前記配線挿通用開口部にカバー部材が開閉可能かつ着脱可能に取り付けられ、
前記カバー部材は、少なくとも前記配線挿通用開口部の長辺に対向する側縁部が、可撓性を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のテーブル什器。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか一項に記載のテーブル什器と、
前記天板の下方の空間部に少なくとも一部が収容されるように構成された移動什器と、を備えることを特徴とするテーブル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスや病院、公共施設等における執務空間において、ワゴンやカート等の移動什器と組合せて使用されるテーブル什器、及び移動什器を備えたテーブル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスや病院、公共施設等における執務空間においては、作業に必要な物品や電子機器を載置出来るワゴンやカート等の移動什器が多く使用されている。
移動什器としては、物品載置面を形成することにより、この物品載置面上に電子機器等を載置して使用出来るようにしたものが多く見られる(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。このため、載置して使用する電子機器に対して、電源を供給する必要が生じている。
【0003】
このような背景のもとに近年では、テーブル什器として、天板にその上面に開口する配線取出し口を形成し、配線取出し口の下方に配線収容空間を形成し、この配線収容空間に執務空間内に設置された電源から引かれた配線を収容するようにしたものが提案されている。このようなテーブル什器にあっては、その天板下方の空間(収容空間)に電子機器が載置された移動什器の少なくとも一部を配置(収容)して互いに組合せることにより、移動什器に載置された電子機器にテーブル什器から電源を供給出来るようにしている。このような構造のテーブル什器によれば、このテーブル什器に移動什器を組合せた(収容した)際においても、組み合わせた什器全体の占有スペースを小さく収めることが出来ると共に、移動什器に載置された電子機器に電源を容易に供給することが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−279414号公報
【特許文献2】特開2013−17709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、一般的に執務空間に設置出来るテーブル什器のサイズは限定されてしまうため、テーブル什器の天板下方に配設する配線収納空間を充分に大きくしてしまうと、相対的に移動什器を収容して組み合わせるための天板下方の収容空間が小さく(狭く)なってしまう。
しかしながら、配線収納空間には配線類を収容する以外にも種々の機能が要求されるため、このような配線収納空間を形成する配線ダクトを単純に小型化するのは困難である。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、配線ダクトの小型化を可能にし、これによってテーブル什器の収容空間を広く出来るようにした、テーブル什器及びテーブル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のテーブル什器は、床面上に立設される天板支持体と、前記天板支持体上に支持された天板と、前記天板の左右方向に沿って形成された長孔形状の配線挿通用開口部と、前記天板の前記配線挿通用開口部の下方に該配線挿通用開口部に連通して前記天板の左右方向に沿って形成された配線ダクトと、を有してなり、前記天板の下方の空間部に移動什器の少なくとも一部が収容されるように構成されたテーブル什器であって、前記配線ダクトは、前記天板の左右方向に沿って配設され、かつ床面に対して略垂直に配置されるとともに、前後に離間して配設された一対の側板部材と、これら側板部材の下端部間に架設された底部材とを有してなり、前記一対の側板部材が、前記配線挿通用開口部の前側開口縁および後側開口縁のそれぞれの下方位置に配置され、その上端縁の少なくとも一部が、対向する前記配線挿通用開口部の前側開口縁の下端あるいは後側開口縁の下端から所定寸法離間するように配設されたことにより、前記天板の下面と前記側板部材の上端との間に空隙部が形成され、前記一対の側板部材には、それぞれの上端部に、少なくとも前記天板の前後方向外側に折曲し、その後下方に折曲する上部折曲部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
このテーブル什器によれば、配線ダクトを構成する一対の側板部材を、前記配線挿通用開口部の前側開口縁および後側開口縁のそれぞれの下方位置に配置しているので、配線ダクトの前後方向の幅を、配線挿通用開口部の前後方向の幅と略同一の狭い幅にすることが出来る。したがって、このように配線ダクトの幅を狭くしてこれを小型化した分、天板下方の移動什器を組み合わせる(収容する)ための収容空間を広くすることが出来る。
また、天板の下面と側板部材の上端との間に空隙部を形成したので、この空隙部を例えばクランプ部材の取付用などとして利用することにより、このクランプ部材を介して種々のオプション部材を天板上に取り付けることが出来る。すなわち、配線ダクトによって形成される配線収納空間を、配線類を収容すること以外にも有効利用することが出来る。
また、上部折曲部によって前記空隙部を覆うことができ、したがってテーブル什器の前後方向外方から前記空隙部が見えるのを防止して見映えを良くすることが出来る。
【0009】
また、前記テーブル什器においては、前記配線挿通用開口部が、前記天板の前後方向における中央部に配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、配線ダクトも天板の前後方向における中央部に配置することになるので、天板下方の移動什器を組み合わせるための収容空間を、天板の前側と後側とで同じ広さにすることができ、したがって移動什器を天板の前側にも後側にも同様に組み合わせることが出来る。
【0010】
また、前記テーブル什器においては、前記空隙部が、前記配線挿通用開口部の直下のみに形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、実際に配線挿通用開口部にクランプ部材等を取り付ける際に利用される部位にのみ、空隙部を形成するので、その他の部位では空隙部を形成することなく、側板部材の上端縁を天板下面に当接する位置まで上げることが出来る。したがって、側板部材の取り付けの際の位置決めなどを容易にすることが出来る。
【0011】
また、前記テーブル什器においては、前記配線挿通用開口部にカバー部材が開閉可能かつ着脱可能に取り付けられ、前記カバー部材は、少なくとも前記配線挿通用開口部の長辺に対向する側縁部が、可撓性を有していることを特徴とする。
この構成によれば、カバー部材の側縁部が可撓性を有しているので、配線挿通用開口部にクランプ部材を取り付けた際、カバー部材の側縁部を撓ませることにより、クランプ部材を取り付けた状態で配線挿通用開口部にカバー部材を取り付けることが出来る。
【0013】
本発明のテーブル装置は、前記のテーブル什器と、前記天板の下方の空間部に少なくとも一部が収容されるように構成された移動什器と、を備えることを特徴とする。
このテーブル装置によれば、前記テーブル什器を備えているので、前述したように移動什器の収容空間を広くすることが出来、また、空隙部を形成したことにより、例えばクランプ部材を介して種々のオプション部材を天板上に取り付けることが出来る。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、配線ダクトの小型化を可能にし、これによってテーブル什器の天板下方における移動什器を収容するための収容空間を広くすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るテーブル装置の一実施形態の概略構成を示す斜視図である。
図2】テーブル什器の正面図である。
図3】テーブル什器の側断面図である。
図4】テーブル什器の平面図である。
図5】テーブル什器の正面の要部断面図である。
図6】(a)は実施形態のテーブル什器の使用状態を説明するため要部側断面図、(b)は従来のテーブル什器の使用状態を説明するための要部側断面図である。
図7】移動什器の概略構成を示す斜視図である。
図8】移動什器の使用形態を示す側面図である。
図9】本発明に係るテーブル什器の他の実施形態の概略構成を示す要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るテーブル什器及びテーブル装置の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
なお、以下の説明においては、テーブル什器2における略矩形状の天板5の長辺の長さ方向を左右方向、天板5の短辺の長さ方向を前後方向と記す。
【0017】
図1は、本発明に係るテーブル装置の一実施形態の概略構成を示す斜視図であり、図1中符号1はテーブル装置である。このデスク装置1は、テーブル什器2と、このテーブル什器2に組み合わされて用いられる移動什器3とを備えて構成されている。
【0018】
テーブル什器2は、本発明に係るテーブル什器の一実施形態となるもので、床面上に左右に離間して立設され、配設された一対の天板支持体4、4と、これら天板支持体4、4上に支持された天板5と、天板5に形成された二つの配線挿通用開口部6と、天板5の下方でかつ配線挿通用開口部6の下方に配設された配線ダクト7と、を有して構成されている。
【0019】
天板支持体4は、脚体として機能するもので、テーブル什器2の正面図である図2、およびテーブル什器2の側断面図である図3に示すように、床面上にて前後方向に沿って延びる脚底部8と、この脚底部8上に立てて配置された柱状の脚本体9と、この脚本体9上にて前後方向に沿って延び、天板5を支持する横梁部10と、によって形成されている。
【0020】
天板5は、テーブル什器2の平面図である図4に示すように、矩形の一方の短辺を外側に凸となるように湾曲させた略矩形状のもので、その前後方向における中央部に、長孔形状(平面視略矩形状)の配線挿通用開口部6を二つ、それぞれ天板5の左右方向に沿って形成している。これら配線挿通用開口部6は、移動什器3に載せられた電子機器や天板5上に配置される電子機器の電源となる配線コード類を、天板5上に臨ませるためのものである。なお、本実施形態では図1中に二点鎖線で示すように、矩形の他方の短辺側の天板5上に、フレーム50を介してモニター51が配設されている。
【0021】
前記配線挿通用開口部6には、図1図3に示すように合成樹脂等よりなる平板状のカバー部材12、12が開閉可能に取り付けられ、覆われている。
カバー部材12は、図3に示すように配線挿通用開口部6下方の左右に配置された一対の支持ブラケット13の上端に支持された前後一対の支軸14、14に、対向端部の係合溝15が上下方向に回動可能、かつ着脱可能に係合して取り付けられている。左右の支持ブラケット13は、配線ダクト7内の対応する位置(配線挿通用開口部6下方の左右位置)にそれぞれ設けられた支持部16に、ネジ17、17によって固定されている。
【0022】
ここで、カバー部材12は、少なくともその外周側、すなわち配線挿通用開口部6の長辺に対向する側縁部12aが、可撓性を有する軟質の合成樹脂によって形成されている。これにより、カバー部材12は図3中の左側に二点鎖線で示すように全体を開かなくても、図3中の右側に二点鎖線で示すように側縁部12aを上側に撓ませることにより、配線挿通用開口部6の一部を開口させることが出来る。したがって、この開口に配線や後述するクランプ部材の一部を通すことにより、カバー部材12を取り付けた状態で配線やクランプ部材を配線ダクト7内に引き込むことが可能になっている。
【0023】
配線ダクト7は、前記配線挿通用開口部6と上下方向に連通する開口が形成されるように、互いに前後に離間して配置された一対の側板部材18、18を有して構成されている。これら一対の側板部材18、18は、天板5の左右方向に沿って配設され、かつ床面に対して略垂直に配置されている。また、これら一対の側板部材18、18は、配線挿通用開口部6の前側開口縁6aおよび後側開口縁6bのそれぞれの下方位置に配置されている。すなわち、一方の側板部材18が配線挿通用開口部6の前側開口縁6aの下方位置に配置され、他方の側板部材18が配線挿通用開口部6の後側開口縁6bの下方位置に配置されている。
【0024】
各側板部材18には、その上端部に前後方向外側に折曲してなる上部折曲部19が形成されており、この上部折曲部19はその一部が天板5の下面に当接している。上部折曲部19は、天板5の前後方向外側に折曲した後、下方に折曲し、さらに前後方向内側に折曲し、その後上方に折曲しており、これによって上部折曲部19の端縁が外側に露出しないようになっている。この上部折曲部19の、天板5の前後方向外側に折曲した後、下方に折曲した部位19aは、その高さ方向の幅が、後述する側板部材18の空隙部20の、高さ方向の幅と略同一、あるいはこれ以上に形成されている。
【0025】
また、側板部材18には、その左右両端部にそれぞれ外側に折曲する外向折曲片(図示せず)が形成されており、これら外向折曲片は左右の天板支持体4、4の上部内面にネジ止めによって固定されている。これにより、各側板部材18は図2に示すように左右の天板支持体4、4間に架設され、したがって配線ダクト7は天板5の左右方向に沿って天板支持体4、4間に形成されている。
【0026】
また、一対の側板部材18、18には、図2図3、およびテーブル什器2の正面の要部断面図である図5に示すように、その上端部、すなわち上部折曲部19の前後方向外側に折曲する位置より下側に空隙部20が形成されている。空隙部20は、側板部材18の上端縁が対向する配線挿通用開口部6の前側開口縁6aの下端、あるいは後側開口縁6bの下端から所定寸法離間するように、側板部材18の上端部が例えば数cm〜十数cm程度部分的に切り欠かれたことにより、天板5の下面との側板部材18の上端縁との間に形成されている。また、本実施形態では、空隙部20は図2中に破線で示すように、配線挿通用開口部6の直下のみに選択的に形成されている。
【0027】
このように天板5の下面と側板部材18との間には、配線挿通用開口部6の左右方向に沿って空隙部20が形成されている。この空隙部20には、図5、および使用状態を説明するためのテーブル什器2の要部側断面図である図6(a)に示すように、一対の把持部52a、52aを有した側面視コ字状のクランプ部材52の、一方の把持部52aが挿通されるようになっている。このようにクランプ部材52の一方の把持部52aを空隙部20内に挿通し、クランプ部材52の他方の把持部52aを天板5の上面に当接させてネジ部を締め付け、天板5における配線挿通用開口部6の開口縁部を挟持することにより、このクランプ部材52を介して例えばディスプレイのアームや照明等を天板5上に固定することが可能になる。
【0028】
なお、空隙部20の高さ方向の幅は、前述したように上部折曲部19の下方に折曲した部位19aの高さ方向の幅と略同一、あるいはこれ以下に形成されているので、空隙部20は上部折曲部19によってほぼ覆われる。したがって、図2に示すように空隙部20は、テーブル什器10の前後方向外方から見えないように、上部折曲部19によって目隠しされている。
【0029】
また、各側板部材18には、図3に示すようにそれぞれの下端部に前後方向内側に折曲してなる下部折曲部21が形成されている。これら下部折曲部21は、配線ダクト7の底部の一部を形成するとともに、底部材22を架設するための支持部となっている。すなわち、下部折曲部21は、天板5の前後方向内側に折曲した後、上方に折曲し、さらに前後方向外側に折曲している。
【0030】
底部材22は、前後方向両側に折曲部22a、22aを形成した細板状のもので、これら折曲部22a、22aがそれぞれ側板部材18の前記下部折曲部21に係合したことにより、一対の側板部材18、18間に係止した状態で架設されている。本実施形態では、底部材22は下部折曲部21にネジ止めされたことにより、側板部材18、18間に架設され、保持固定されている。
【0031】
このような構成からなる配線ダクト7には、底部材22上、あるいは側板部材18の下部折曲部21上に、配線コード類が引き回されるようになっている。例えば、床面等に設けられた電源に接続するテーブルタップなどが天板支持体4側から配線ダクト7内に引き込まれ、底部材22や側板部材18の下部折曲部21上に収容されることにより、移動什器3に載せられた電子機器や天板5上に配置される電子機器、照明装置等の配線は、天板5上を引き回されることなく、配線挿通用開口部6を通って配線ダクト7内のテーブルタップなどに、容易に、かつ収まり良く接続出来るようになっている。
【0032】
このような配線ダクト7を有してなるテーブル什器2では、前記天板5の下方の空間部における、配線ダクト7の前後の空間部を、図1に示したように移動什器3の収容空間40としている。その際、本実施形態では、図6(a)に示すように配線ダクト7を構成する一対の側板部材18、18を、配線挿通用開口部6の前側開口縁6aおよび後側開口縁6bのそれぞれの下方位置に配置しているので、配線ダクト7の前後方向の幅を、配線挿通用開口部6の前後方向の幅と略同一の狭い幅にすることが出来る。
【0033】
したがって、このように配線ダクト7の幅を狭くしてこれを小型化した分、天板5の下方の前記収容空間40を広くすることが出来る。
すなわち、従来では図6(b)に示すように、クランプ部材52の一方の把持部52aを天板5の下面に当接させる必要上、一対の側板部材53、53を、配線挿通用開口部6の前側開口縁6aおよび後側開口縁6bのそれぞれの下方位置に配置することなく、各開口縁6a、6bより所定寸法外側の下方位置に配置している。
【0034】
これにより、クランプ部材52を配線挿通用開口部6の開口縁部を取り付ける際、一方の把持部52aを、側板部材53に干渉されることなく天板5の下面に当接させることが出来る。ところが、側板部材53、53を配線挿通用開口部6の前記各開口縁6a、6bより外側の下方位置に配置しているので、移動什器3を収容するための天板5の下方の収容空間40は、側板部材53、53によって制限されることにより、狭くなっている。
【0035】
これに対して本実施形態では、図6(a)に示すように一対の側板部材18、18を、配線挿通用開口部6の前側開口縁6aおよび後側開口縁6bのそれぞれの下方位置に配置しているので、前述したように配線ダクト7の前後方向の幅を狭くすることができ、これによって天板5の下方の前記収容空間40を広くすることが出来る。
【0036】
また、このように配線ダクト7の前後方向の幅を狭くして配線ダクト7を小型化したにもかかわらず、天板5の下面と側板部材18の上端との間に空隙部20を形成したので、この空隙部20にクランプ部材52の一方の把持部52aを挿通して天板5の下面に当接させ、他方の把持部52aを天板5の上面に当接させることにより、配線挿通用開口部6の開口縁部にクランプ部材52を挟持させてここに固定することが出来る。したがって、このクランプ部材52に例えばディスプレイのアームや照明等を取り付けることにより、従来と同様にディスプレイや照明等を天板5上に固定配置することが出来る。
【0037】
前記収容空間40に収容される移動什器3としては、特に限定されることなく従来公知の種々のものが使用可能であり、例えば前記特許文献2(特開2013−17709号公報)に開示されたカート装置が用いられる。
【0038】
この移動什器3(カート装置)は、図7に示すように最下部を構成するベース部60と、このベース部60から突出して上方へ延びる支持基体61と、支持基体61の高さ方向中間部に設けられた複数の収納部材62と、支持基体61の上端部に設けられた上板63と、上板63から水平方向へ突出して設けられた操作ハンドル部64と、上板63から上方へ突出して設けられた電子機器ユニット65と、を備えるものである。
【0039】
このような移動什器3では、電子機器ユニット65とは別に、例えばその上板63上に異なる電子機器(図示せず)が載置され、使用出来るようになっている。
また、このような移動什器3は、これを使用する執務者によって移動させられるが、その際、例えば執務者どうしが前記テーブル什器2を囲んで打ち合わせなどを行う場合、図1図8に示すように移動什器3の一部、例えば上板63より下側でかつ前面側が前記テーブル什器2の収容空間40に収容されて用いられる。
【0040】
このように移動什器3の一部を収容空間40に収容することで、テーブル什器2が置かれた部屋(執務空間)を効率的に用いることができ、また、電子機器ユニット65や上板63上に載置された電子機器の電源を、テーブル什器2の配線ダクト7内から容易にとることが出来る。すなわち、電子機器ユニット65や電子機器の配線を床面上に這わすことなく、また、室内設けられた電源にまで引き回すことなく、天板5の配線挿通用開口部6内(配線ダクト7内)に引き回されている電源に容易に接続することが出来る。
【0041】
本実施形態のテーブル什器2およびテーブル装置1にあっては、前述したように配線ダクト7の前後方向の幅を狭くしてこれを小型化したので、天板5の下方の前記収容空間40を広くすることが出来る。したがって、収容空間40をより有効利用することができ、テーブル什器2の使い勝手を良好なものとすることが出来る。
【0042】
また、天板5の下面と側板部材18の上端との間に空隙部20を形成したので、この空隙部20をクランプ部材52の取付用として利用することにより、このクランプ部材52を介して種々のオプション部材を天板5上に取り付けることが出来る。すなわち、配線ダクト7によって形成される配線収納空間を、配線類を収容すること以外にも有効利用することが出来る。
【0043】
また、空隙部20は、クランプ部材52を取り付けるためだけでなく、例えば配線類を通すためにも利用することが出来る。例えば、図7図8に示した移動什器3ではその一部を収容空間40に収容するようにしているが、このように収容空間40に収容される前記収納部材62上に電子機器を載置している場合には、この電子機器の電源をとるため、前記空隙部20に配線を通すことが出来る。その際、例えば配線ダクト7内から空隙部20を通してテーブルタップを引き出し、側板部材18の側面や天板5の下面に固定しておくことにより、収納部材62上の電子機器の電源を容易にとることが出来る。また、電子機器側の配線を空隙部20に通し、配線ダクト7内に配置されたテーブルタップに接続することも出来る。
【0044】
また、配線挿通用開口部6を、天板5の前後方向における中央部に配置しているので、配線ダクト7も天板5の前後方向における中央部に配置することになり、したがって天板5の下方の収容空間40を、天板5の前側と後側とで同じ広さにすることが出来る。よって、移動什器3を天板の前側にも後側にも同様に組み合わせることができ、テーブル什器2の使い勝手をより良好にすることが出来る。
【0045】
また、空隙部20を、配線挿通用開口部6の直下のみに形成し、したがって実際に配線挿通用開口部6にクランプ部材52等を取り付ける際に利用される部位にのみ、空隙部20を形成してその他の部位では空隙部を形成しないため、側板部材18の上端縁を天板5の下面に当接する位置まで上げることが出来る。したがって、側板部材18を天板5の下方に取り付ける際、側板部材18の空隙部20を形成していない部位の上端縁を天板5の下面に当接させることにより、側板部材18の位置決めを容易にしてその取り付けも容易にすることが出来る。また、側板部材18の強度を高くすることで、配線ダクト7の強度を高くすることが出来る。
【0046】
また、配線挿通用開口部6に取り付けるカバー部材12の側縁部12aを可撓性にしているので、配線挿通用開口部6にクランプ部材52を取り付けた際、カバー部材12の側縁部12aを撓ませることにより、クランプ部材52を取り付けた状態で配線挿通用開口部6にカバー部材12を取り付けることが出来る。これにより、配線ダクト7内が露出することで見映えが悪くなったり、配線ダクト7内に筆記具やその他の異物が入り込むことを防止することが出来る。
【0047】
また、一対の側板部材18、18にそれぞれ上部折曲部19を設けているので、これら上部折曲部19、19によって側板部材18、18の空隙部20を覆うことができ、したがってテーブル什器2の前後方向外方から空隙部20が見えるのを防止して見映えを良くすることが出来る。
【0048】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、前記実施形態では空隙部20を配線挿通用開口部6の左右方向全域に渡ってその直下に形成したが、配線挿通用開口部6の左右方向全域に渡って形成することなく、その一部のみに形成するようにしてもよい。
【0049】
また、前記実施形態では配線挿通用開口部6を天板5の左右方向の一部に形成したが、図9に示すように配線挿通用開口部6を天板5の左右方向全域に渡って形成してもよい。その場合、この配線挿通用開口部6に連通してこれの下方に配設される配線ダクト7については、その側板部材42、42の上端部を左右方向全域に渡って切り欠き、これによって天板5の左右方向全域に渡って空隙部20を形成するのが好ましい。このように構成することにより、天板5の左右方向の任意の位置において、クランプ部材52を介してオプション部材を取り付けることが出来、したがってテーブル什器としての使い勝手をより良好にすることが出来る。
【0050】
また、前記実施形態では配線挿通用開口部6を天板5の前後方向における中央部に配置し、これによって配線ダクト7も天板5の前後方向における中央部に配置したが、配線挿通用開口部6を天板5の前後方向における一方の側に偏って配置し、これによって配線ダクト7も一方の側に偏って配置してもよい。
【0051】
移動什器3は、必ずしも全て同じ大きさに形成されてはおらず、機種によって相対的に大型のものと小型のものとがある。その場合に、前述したように配線ダクト7を一方の側に偏って配置し、天板5の前後方向で収納空間40の大きさを異ならせることにより、大きさの異なる移動什器3を対応する大きさの収容空間40にそれぞれ収容することが出来る。したがって、移動什器3を効率的に組み合わせることが出来るため、テーブル装置としての使い勝手をより良好にすることが出来る。
【符号の説明】
【0052】
1…テーブル装置、2…テーブル什器、3…移動什器、4…天板支持体、5…天板、6…配線挿通用開口部、6a…前側開口縁、6b…後側開口縁、7…配線ダクト、12…カバー部材、18…側板部材、19…上側折曲部、20…空隙部、22…底部材、40…収容空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9