特許第6308690号(P6308690)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6308690
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20180402BHJP
【FI】
   A63F5/04 512Z
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-168647(P2016-168647)
(22)【出願日】2016年8月30日
(65)【公開番号】特開2018-33637(P2018-33637A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2017年9月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 勝也
(72)【発明者】
【氏名】杉山 純也
(72)【発明者】
【氏名】谷川 義和
【審査官】 井海田 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−188494(JP,A)
【文献】 特開2011−152400(JP,A)
【文献】 特開2013−146382(JP,A)
【文献】 特開2010−233727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体の投入処理の実行を指令する投入スイッチと、
リール始動処理の実行を指令するスタートスイッチとを備える遊技機において、
前記投入スイッチの指令入力に基づいて遊技媒体の投入処理を実行するとき、前記スタートスイッチの指令入力を記憶する始動指令記憶エリアをクリアする投入処理時始動指令クリア手段と、
規定数の遊技媒体の投入を確認した後の前記スタートスイッチの指令入力に基づいて、リール始動処理の実行を許可する規定数確認後始動許可手段とを設けたことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回胴式遊技機、その他のスロットマシン、アーケードゲーム機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、遊技媒体の投入処理の実行を指令する投入スイッチと、リール始動処理の実行を指令するスタートスイッチとを一の操作で同時に行えるようにし、投入スイッチとスタートスイッチの同時操作が検出されて、文献1の図4のステップST101で投入フラグM=1及びスタートフラグS=1となったとき、既に規定数の遊技媒体が投入済の場合は、ST105を経てリールを始動し、規定数の遊技媒体が投入済で無い場合は、ステップST107で規定数の遊技媒体を投入してからST101,2,3,5を経て、リールを始動し、1アクションで遊技を開始できる遊技機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−93578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のものは、1アクションで遊技を開始できるため遊技者の利便性を高め得るとも考えられるが、規定数の遊技媒体が投入済で無い場合は規定数の遊技媒体を投入してからリールを始動するという内部的な処理は外部からは知る由もなく、規定数の遊技媒体の投入前のスタートスイッチの操作で遊技が開始されたと誤解を招く恐れがある。そもそも、投入スイッチとスタートスイッチの同時操作といっても、それは、遊技機の内部でする一割込み処理時間内等の幅のある検出時間内で同時期に検出されたというに過ぎず、実はスタートスイッチのオンが先で投入スイッチのオンが後であることもあり、規定数のメダル投入前のスタートスイッチの操作で遊技が開始できる状況を現に許容してしまっている。
【0005】
本発明の課題は、リールの始動が規定数の遊技媒体の投入が満たされた後のものであることを遊技者に確実に認識させることができる遊技機を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
図面の符号を括弧内に付記して例示する。
遊技媒体の投入処理の実行を指令する投入スイッチ(ベットボタン3)と、
リール始動処理の実行を指令するスタートスイッチ(スタートレバー5)とを備える遊技機において、
前記投入スイッチの指令入力に基づいて遊技媒体の投入処理を実行するとき、前記スタートスイッチの指令入力を記憶する始動指令記憶エリアをクリアする投入処理時始動指令クリア手段(T1)と、
規定数の遊技媒体の投入を確認した後の前記スタートスイッチの指令入力に基づいて、リール始動処理の実行を許可する規定数確認後始動許可手段(T2)とを設けた。
「規定数」とは、遊技の結果を一回得るために投入をする必要がある遊技メダル等の数として遊技の種類ごとに定められたものをいう(遊技機規則第6条別表第二(3)ヘ)。
【0007】
これにより、投入スイッチとスタートスイッチが同時に操作されたとき、規定数の遊技媒体の投入がない場合は遊技媒体の投入処理を実行するが、このとき、投入処理時始動指令クリア手段により、スタートスイッチの指令入力を記憶する始動指令記憶エリアがクリアされる。このため、同時操作に係るスタートスイッチの指令によってはリールの始動処理はされず、規定数確認後始動許可手段により、改めて、規定数の遊技媒体の投入を確認した後のスタートスイッチの指令入力に基づいて、リール始動処理の実行が許可される。よって、リールの始動が規定数の遊技媒体の投入が満たされた後のものであることを遊技者に確実に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明遊技機の斜視図。
図2】遊技機の制御装置のブロック図。
図3】主制御装置での割込処理及び遊技メイン処理フロー。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に、本発明を適用する回胴式遊技機を示す。回胴式遊技機は、一般にパチスロと呼ばれ、遊技機規則、すなわち平成16年(2004年)1月30日の国家公安委員会規則第1での改正を経た昭和60年(1985年)2月12日の国家公安委員会規則第4「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則」に適合するスロットマシンである。以下、用語及びその技術内容は現行の遊技機規則に準ずる。
【0010】
遊技機筐体8Bは、ハニカムリアキャビネット8R及びキャビネット枠8W、扉状の上下フロントキャビネット8E,8Fを備える。上フロントキャビネット8Eには、動画等をフルカラーで表示する上部液晶表示装置71、サーチライト風のドットマトリクス表示装置73、各リール帯10L,10C,10Rの外周に全21コマ又は20コマの図柄を配した3本のリール1L,1C,1Rを表示窓80越しに臨ませるリールパネル8、展開及び収納可能な組ランプe1〜3をもつ左上可動ランプE1,同組ランプe4〜6をもつ右上可動ランプE2,同組ランプe7〜9をもつ左下可動ランプE3,同組ランプe10〜12をもつ右下可動ランプE4、左上ランプE5,右上ランプE6、リールパネル8を囲む門型ランプE7〜E11を備える。
【0011】
下フロントキャビネット8Fには、操作部8S、演出用の下部液晶ボタンABを兼用し上部液晶表示装置71と協働した動画等を表示させる下部液晶表示装置72(可動式ビジョンATV)、両脇のサイドランプE12,E13を備える。91〜94はBGMや各種効果音等を出音するスピーカ、8Mはメダル払出口、8Gはメダル受皿である。筐体8Bの内部には、「ド、ド、ド、ドォー」等の重低音の再生により振動を発生させるウーハー90を内蔵している。
【0012】
操作部8Sには、遊技媒体たるメダルの投入口2i、開始ボタンbi・上下左右の移動ボタンb1〜4・終了ボタンboをもつ実機カスタマイズ用の十字キーユニットBT、遊技媒体の電磁的記憶であるクレジットから一遊技に必要な規定数のメダルを一括して引き落とすマックスベット指令によりメダル投入処理の実行を遊技者による押圧等の手動操作に基づいて指令する投入スイッチたるベットボタン3、クレジットに残る数のメダルをメダル受皿8Gに払出す精算処理の実行を遊技者による押込等の手動操作に基づいて指令する精算スイッチたる精算ボタン4、規定数のメダルの投入下、各リール1L,1C,1Rを回転させるリール始動処理の実行を遊技者による殴打等の手動操作に基づいて指令するスタートスイッチたるスタートレバー5、対応するリールを遊技者による押圧等の手動操作に基づいて個別に停止させるストップスイッチとなる左・中・右ストップボタン6L,6C,6R、投入メダル詰り時に押すリジェクトボタン2R、ドアキーの操作穴8Kを備える。
【0013】
また、現時のクレジット数を表示させるクレジット表示器DL1、入賞による払出メダル枚数を表示させるペイアウト表示器DL2、充当掛けメダルが1枚、2枚、3枚になる毎に点灯させる1〜3枚ランプEL1〜3、掛けメダルが受付可能なとき点灯させるベットランプELb、スタートレバー5の操作が可能なとき点灯させるスタートランプELs、再遊技作動図柄の組合せが表示されて再遊技が作動した時に点灯させるリプレイランプELrを含む遊技基本ランプ類30を備える。
【0014】
規定数は、本実施形態では、第二種特別役物に係る役物連続作動装置の作動時は2枚、これ以外は、第一種特別役物に係る役物連続作動装置の作動時を含めて3枚としている。ベットボタン3の一回の押圧操作により、クレジット残が規定数以上あるときは規定数のメダルを一括して掛けメダルに充当して規定数のメダル投入を満たし、クレジット残が規定数を下回るときはクレジット残を全て掛けメダルに充当して不足分のメダルが投入口2iから追投入されるのを待つ。
【0015】
ここに、「第二種特別役物」とは、内部抽せんの結果にかかわらず入賞に係る条件装置を作動させることとなる役物で、あらかじめ定められた場合に作動し1回の遊技の結果が得られた場合に作動を終了することとされているものをいう(遊技機規則第6条別表第二(3)ヌ)。
「第一種特別役物」とは、規定数ごとの入賞に係る図柄の組合せの数を増加させ、又は規定数ごとの入賞に係る条件装置が作動する確率を上昇させる役物で、あらかじめ定められた場合に作動し12回を超えない回数の遊技の結果が得られるまで作動を継続することができるものをいう(遊技機規則第6条別表第二(3)ト)。
「役物連続作動装置」とは、第一種特別役物又は第二種特別役物を連続して作動させることができる装置で、特定の図柄の組合せが表示された場合に作動しあらかじめ定められた場合に作動を終了するものをいう(遊技機規則第6条別表第二(3)チ)。
なお、「条件装置」とは、その作動が入賞、再遊技、役物又は役物連続作動装置の作動に係る図柄の組合せが表示されるために必要な条件とされている装置で、内部抽せん(遊技機内で行われる電子計算機によるくじ)に当せんした場合に作動するものをいう(遊技機規則第6条別表第二(3)ホ)。
【0016】
また、本実施形態では、精算ボタン4の連続オン時間を記録して所定値例えば1秒に達すると、要するに1秒以上の長押しをすると、精算許可を出して精算処理を実行するが、ベットランプELbの点灯時、精算ボタン4を1秒未満の短時間についてオンにする短押しをすると、クレジットから1枚引き落として掛けメダル1枚を充当する1ベットボタンとして機能する。よって、本実施形態では、精算ボタン4も、メダル投入処理の実行を指令する投入スイッチとなる。
【0017】
図2に示すように、遊技機筐体8Bの内部に組込む制御装置CNは、遊技を進行させる主遊技制御を実行する所謂メイン側の主基板に対応する主制御装置MCと、この主制御装置MCから一方向性通信仕様に従って送信する情報を受信し、遊技の進行に伴う演出制御を実行する所謂サブ側の周辺基板に対応する周辺制御装置SCとを含む。一方向性通信仕様とは、主基板に関して遊技機規則で規定する「周辺基板が送信する信号を受信することができるものでないこと」を満たす通信仕様をいう。
【0018】
主制御装置MCは、ROM及びRWMを内蔵したメインCPUを備える。メインCPUは、Z80互換チップから成り、基本的なZ80仕様に所定の遊技機用拡張仕様を適用しており、例えば12MHzのシステムクロック動作環境下で使用している。入力ポートI1には、各リールのインデックスセンサ11L,11C,11R(IDs)、各ストップボタン6L,6C,6R、ベットボタン3、精算ボタン4、スタートレバー5、投入口2i下流のメダルセレクター2に設ける投入センサーSEN0及び通過センサーSEN1,2、メダルセレクター2からメダルを引き継ぐRシュートに設けるRシュートセンサーSEN3、メダル払出装置HPの出口に設ける払出センサーSEN4、フロントキャビネット8E,8Fの開放を検出するドア開閉スイッチSi1、内部抽せんでの当せん確率の組合せを高低6段階に設定する設定変更スイッチSi2等の各信号を入力している。
【0019】
出力ポートO1から、LEDドライバDr0を介して各ストップボタンに内蔵する停止表示器61,62,63すなわち停止不可表示時に点灯させる赤LED61R,62R,63R及び停止可能表示時に点灯させる青LED61B,62B,63Bを、モータドライバDr1を介して各リールに駆動軸SHを直結させるステッピングモータ12L,12C,12R(SM)を、LEDドライバDr2を介して遊技基本ランプ類30を、ソレノイドドライバDr3を介してメダルセレクター2からメダルを離脱させるブロッカー爪部28を突出させるブロッカーソレノイド28sを、モータドライバDr4を介してメダル払出装置HPのメダル払出モータHPmを各制御している。
【0020】
各インデックスセンサIDsは、各リールの内側に取付ける半円帯状のインデックスID(1Li,1Ci,1Ri)のオンエッジとオフエッジとを半周毎に検出し、最先のオンエッジ又はオフエッジの検出が定常回転状態下にある各リールについてされた後、停止表示器61,62,63の赤LED61R,62R,63Rの点灯を青LED61B,62B,63Bの点灯に変え、ストップボタン6L,6C,6Rの操作を受付可能にする。
【0021】
各ステッピングモータSMは、鉄芯外周に多数のロータ小歯をもつ永久磁石内蔵式のロータRmと、磁極内周に複数のステータ小歯をもつ複数組の磁極にA相、B相、C相(Aバー相(Aの反転相))、D相(Bバー相(Bの反転相))の巻線を巻回したステータSwとを有し、定常回転時、一の巻線をオンにする1相励磁と、一の巻線及び隣接する他の巻線をオンにする2相励磁とを、一割込み時間例えばt=1.49ms毎に交互に繰返す1−2相励磁により、励磁パルスの1ステップ更新により半ステップ角(2ステップ更新により1ステップ角)ずつ変位させ、504のステップ更新で一回転させる。また、励磁パルスのステップ更新方向を変更することにより正転と逆転とを可能にしている。
【0022】
メインCPUのROM上には、規定数のメダルを投入するメダル投入手段T、スタートレバー5の操作を契機に抽出する乱数値が、乱数範囲内において役に対応づけて区分した何れの当せんエリアに属するかに応じて、入賞、再遊技、役物(役物連続作動装置を含む)に係る何れかの当せん役又は不当せんを決定する内部抽せん手段K、スタートレバー5の操作後で且つ前遊技の開始から4.1秒経過後に全リールを正転側に加速して定常回転に到達させる回胴回転装置制御手段V1と、回転中の各リールを停止表示器61,62,63の青LED61B,62B,63Bの点灯下でする対応するストップボタン6L,6C,6Rの操作に基づいて個別に停止させる回転停止装置制御手段V2とを含むリール制御手段Vを設けている。
【0023】
メダル投入手段Tは、ベットボタン3の押圧又は精算ボタン4の短押しによる投入スイッチの指令入力に基づいてメダルの投入処理を実行するとき、スタートレバー5の指令入力を記憶する始動指令記憶エリアをクリアする投入処理時始動指令クリア手段T1と、規定数の遊技媒体の投入を確認した後のスタートレバー5の指令入力に基づいて、回胴回転装置制御手段V1によるリール始動処理の実行を許可する規定数確認後始動許可手段T2とを含む。
【0024】
また、メインCPUのROM上には、遊技結果が入賞なら所定配当数のメダルを払出すメダル払出手段M、遊技結果が再遊技の作動なら掛けメダルを自動投入するメダル自動投入手段N、遊技結果が再遊技の確率を変動させるリプレイタイムRTへの移行や役物作動中への移行等を伴うのなら遊技状態を移行させる遊技状態移行手段J、所定のフリーズ抽せんにより当せん役別に定めた所定確率により各リールを逆回転等させる所定の回胴演出の当否を決定するフリーズ抽せん手段W、その当せんに係る回胴演出を実行させる回胴演出実行手段Gを設けている。
【0025】
さらに、アシストタイムATの作動を内部当せん役等と関連付けた所定作動条件下で決定するAT作動決定手段H1、アシストタイムATの作動を延長させることとなる継続ゲーム数等の上乗せを内部当せん役等と関連付けた所定上乗せ条件下で決定するAT上乗せ決定手段H2、アシストタイムATの作動決定から作動終了までを管理するAT継続管理手段H3、押し順小役についての正解押し順等のAT指示情報を主制御装置MCで管理するペイアウト表示器DL2の表示機能を借りて構築するメインモニタMAに出力させると共に周辺制御装置SCで管理する上部液晶表示装置71に出力させるAT指示情報出力手段H4を設けている。
【0026】
周辺制御装置SCは、ROM及びRWMをもつサブCPUを備える。サブCPUは、32ビットRISC(Reduced Instruction Set Computer)チップマイコンから成り、例えば200MHzを超えるシステムクロック動作環境下で使用している。サブCPUは、リアルタイムオペレーティングシステムRTOS(Real−Time Operating System)の管理下、画像演出や音声演出等に関するタスクに割当てるCPU時間、優先順位を制御することにより、適切且つ効率的なタスクの並行処理を可能にしている。
【0027】
サブCPUは、汎用ポート制御機能Po、調歩同期式シリアルUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)及びクロック同期式シリアルによるシリアル通信機能Sr、I2C(Inter−Integrated Circuit)コントロール機能Ii等の、入出力ポートI2/O2を介した通信制御機能と共に、演出制御の対象デバイス毎の専用制御機能を統合した統合チップSOC(System On a Chip)から成るマイクロプロセッサである。
【0028】
専用制御機能として、上下の液晶表示装置71,72に動画等を表示させる液晶表示機能Sy1、スピーカ91〜94及び/又はウーハー90から効果音等を出力させる音声出力機能Sy2、各種ランプE1〜E13及び表示窓80に臨む9つの図柄をリール帯の背面から照明するリールバックランプBL1〜9を点灯等させる電飾制御機能Sy3、可動ランプE1〜E4の展開及び収納用のモータm1〜m4を駆動させるモータ制御機能Sy4等の各種機能を内蔵する。RTCは、二次電池Btでバックアップするリアルタイムクロックであり、遊技待機中、同一機種間で、下部液晶表示装置72から上部液晶表示装置71に一斉に蝶が舞い上がる統一演出等が行えるようにしている。
【0029】
入力ポートI2には、主制御装置MCからの送信情報、メダル払出装置HPのバケット容量を超えて余剰に投入されたメダルを貯める補助収納庫に設けるオーバーフローセンサーSEN5、十字キーユニットBT、下部液晶ボタンABの信号を入力している。主制御装置MCからの送信情報には、メイン側初期化完了情報、ベットボタン3の操作情報を含むメダル投入情報、スタートレバー5の操作情報を含むリール始動情報、内部抽せんによる当せんフラグ情報、ストップボタン6L,6C,6Rの操作情報、遊技結果情報、遊技状態情報、フリーズ及び回胴演出情報、AT作動情報、AT指示情報、AT上乗せ情報、AT終了情報、エラー情報等、主制御装置MCで検出し又は決定若しくは実行する各種制御情報が含まれる。なお、オーバーフローセンサーSEN5は、主制御装置MCに入力させてもよい。
【0030】
サブCPUによる演出制御の対象デバイスには、上下の液晶表示装置71,72の背後に配置する面光源ユニットであって、パルス幅変調PWMによるデューティ比の変更により輝度を調整可能としたLEDバックライトによるディスプレイ用バックライト71B,72Bも含む。各液晶表示装置71,72は、各LCDドライバDr5,6を介して制御し、各バックライト71B,72Bは、各LEDドライバDr7,8を介して制御している。
【0031】
ドットマトリクス表示装置93は専用のLEDドライバDr9を介して制御している。各種ランプE1〜13及びリールバックランプBL1〜9は、I2C仕様のLEDドライバDr10〜14を介して制御している。スピーカ91〜94及びウーハー90は、デジタル/アナログ変換機能付きアンプDr15,16を介して制御している。下部液晶ボタンABをロックしてその押圧を禁止する下部液晶ボタンロッカーARは、ソレノイドドライバDr17を介して制御している。
【0032】
サブCPUのROM上には、主制御装置MCから受信する主遊技制御の情報、及び/又は、周辺制御装置SCの現在の演出制御の情報に基づいて、サブ側の演出状態を管理する演出状態管理手段Zを設けている。この演出状態管理手段Zは、主遊技制御の情報及び/又は演出制御の情報に基づいて、演出対象とする複数のデバイスで協働した演出、或は、特定のデバイスによる単独の演出を実行させる演出メッセージを決定する演出メッセージ決定手段Yを含む。
【0033】
演出状態管理手段Zの統括下、演出メッセージ決定手段Yでの決定等に基づいて作動する次の各手段を設けている。すなわち、上部液晶表示装置71にAT指示情報出力手段H4から出力するAT指示情報に従ったナビ例えば正解押し順が「左中右」ならストップボタン位置に対応させて「123」等を表示させる表示ナビ手段X1、この表示ナビに連動してスピーカ91〜94から操作すべきストップボタンが左か中か右かを音声で知らせる音声ナビ手段X2を設けている。
【0034】
また、遊技状態、回胴演出、AT期間等に応じて液晶表示装置71,72及びドットマトリクス表示装置73に映し出す動画等を変更表示させる画像演出手段X3、これに連動して各種ランプE1〜13の点灯及び発光色を制御するランプ演出手段X4、スピーカ91〜94から効果音やBGMを出音させる音声演出手段X5、モータm1〜4により可動ランプE1〜E4の展開及び収納を制御するメカ演出手段X6、下部液晶ボタンABの押圧タイミング等に合わせてウーハー90を作動させる振動演出手段X7等を設けている。
【0035】
図3に、主制御装置MCでするタイマ割込処理及び遊技メイン処理を示す。タイマ割込処理は、1.49msの定時間毎に実行する。タイマ割込が入ると(ステップS00)、使用しているメインCPUの内部レジスタをスタック領域に退避して保護する(S01)。続いて、チェックサムの算出を含む電断復帰処理(S02)、入力ポートI1のポート0(入力ポート0)及びポート1(入力ポート1)の読込み処理(S03)をする。
【0036】
入力ポート0には、左・中・右ストップボタン6L,6C,6Rのスイッチ信号、スタートレバー5のスイッチ信号、ベットボタン3のスイッチ信号、精算ボタン4のスイッチ信号、ドアキーのセンサー信号といった操作系の立ち下がりオンのエッジ信号を割付けている。入力ポート1には、メダルの通過センサーSEN1,2、投入センサーSEN0、RシュートセンサーSEN3の各信号、並びに、ドア開閉スイッチSi1信号、設定変更スイッチSi2信号、設定変更スイッチSi2と共に用いる設定キースイッチ信号、払出センサーSEN4信号といったセンサー系の立ち下がりオンのエッジ信号を割付けている。これらポート0,1は負論理である。
【0037】
続いて、遊技基本ランプ類30の点灯処理(S04)、ステッピングモータSMのモータ制御処理(S05)、出力ポートO1の管理処理(S06)、周辺制御装置SCに送信するサブコマンド送信処理(S07)、ゴト行為等に対する所定の不正監視処理(S08)、外部端子板を介してホールコンピュータ等に特定信号を出力させる外部信号出力処理(S09)、オン状態が所定時間継続したか等、規定時間の経過を監視する精算ボタン4等の監視対象となるスイッチ及びセンサーの監視処理(S10)、各種内部タイマの更新処理(S11)等を順次実行し、スタック領域に退避した内部レジスタを復帰させ(S12)、割込みを許可して(S13)、割込み前の処理に戻る(S14)。
【0038】
遊技メイン処理(S20)では、一遊技毎に更新すべきRWMの所定ワーク領域のクリア処理を含む遊技開始時の初期化処理(S21)の後、メダル投入処理をする(S22)。メダル投入処理では、投入口2iからのメダル手動投入処理、再遊技の場合のメダル自動投入処理の各サブルーチンを呼び出すと共に、クレジットからメダルを投入するクレジットメダル投入処理のサブルーチンを呼び出す。クレジットメダル投入処理のサブルーチンが呼び出されてその処理が開始されると(S23)、直近のタイマ割込処理にて入力ポート0に読み込んだ操作系信号をチェックするエッジチェック処理(S24)、及び、これに続く投入スイッチ関連処理(S25)をする。
【0039】
投入スイッチ関連処理のサブルーチンでは(S26)、ベットランプELbの点灯時にされ且つエッジチェック処理により判明した、ベットボタン3の押下によるマックスベット指令の有無確認(S27)と精算ボタン4の短押しによる1ベット指令の有無確認(S28)をし、どちらかのベット指令が有る場合、入力ポート0に割付けたスタートレバー5のスイッチ信号のビット対応記憶エリア(入力ポート0のbit3)をクリアした後(S29)、クレジットからメダルを引き落として掛けメダルに充当する(S30)。マッスクベット指令の場合は規定数のメダルを投入し、1ベット指令の場合は1枚のメダルを投入することになる。
【0040】
ステップS29により、ベットボタン3又は精算ボタン4による投入スイッチの指令入力に基づいてメダル投入処理を実行するとき、スタートレバー5の指令入力を記憶する始動指令記憶エリアをクリアする投入処理時始動指令クリア手段T1を構成する。こうして、ベットボタン3又は精算ボタン4による投入スイッチと、スタートレバー5とが同時に操作されたとき、メダルの投入をする直前にスタートレバー5の操作による始動指令がクリアされるため、同時操作に係るスタートレバー5によってはリール1L,1C,1Rは始動せず、再度改めてスタートレバー5の操作を要することになる。
【0041】
投入スイッチ関連処理の終了(S31)によるサブルーチンリターン後、掛けメダルの投入数が規定数を満たしているか判定し(S32)、満たしていない場合はエッジチェック処理から繰り返すが、満たしている場合、スタートレバー5のスイッチ信号があるか否か即ち始動指令があるか否かを判定する(S33)。ステップS29によりメダルの投入をする直前にスタートレバー5の操作による始動指令がクリアされているため、ベットボタン3又は精算ボタン4による投入スイッチの操作と同時にスタートレバー5を操作していても、ステップS33ではNOの判定がされ、エッジチェック処理から繰り返すことになる。
【0042】
この状況下、改めてステートレバー5を操作すると、入力ポート0のスタートレバー5スイッチ信号のビット対応記憶エリア(入力ポート0のbit3)に始動指令が記憶され、投入スイッチ関連処理S25(S26〜S31)では何もせずに処理を抜け、ステップS32及びS33でYES判定がされる。こうして、クレジットメダル投入処理を終え(S34)、ステップS22のメダル投入処理から次ステップS35のリール始動操作確認処理以後の処理に進む。
【0043】
ステップS32及びS33により、規定数のメダルの投入を確認した後のスタートレバー5の指令入力に基づいて、後のリール始動処理の実行を許可する規定数確認後始動許可手段T2を構成している。規定数の遊技媒体の投入を確認した後のスタートレバー5の指令入力に基づいて、リール始動処理の実行を許可するため、リールの始動が規定数の遊技媒体の投入が満たされた後のものであることを遊技者に確実に認識させることができる。
【0044】
リール始動操作を確認した後(S35)、内部抽せん処理(S36)、フリーズ抽せん処理(S37)を経て、4.1秒の遊技間隔タイマを確認し(S38)、そのタイムアップを待って(S39)、遊技間隔タイマの再度の計時を開始する(S40)。
【0045】
続いて、各リール1L,1C,1Rを所定の加速シーケンスに従う励磁パルスによりステップ更新して毎分約80回転の定常回転に到達させるリール始動処理、内部抽せんの結果に基づいて後の停止制御に用いる停止候補検索データを初期作成する処理等を含み、回胴回転装置制御手段V1を機能させる回胴回転装置制御処理(S41)をする。
【0046】
次に、各ストップボタン6L,6C,6Rの操作を受け付け、各操作から190ms以内等の規定時間内すなわち最大4コマ滑りの範囲内で停止候補検索データ及び/又は予めROM上に記憶させた停止テーブルにより内部抽せんの結果に応じた図柄の組合せを停止表示させる処理等を含み、回転停止装置制御手段V2を機能させる回転停止装置制御処理(S42)をする。
【0047】
回転停止装置制御処理の後、表示窓80の中段等に定める有効ライン上に停止表示される図柄の組合せを判定する表示判定処理(S43)、その表示結果に応じて、入賞の場合はメダル払出手段Mを機能させるメダル払出処理(S44)、再遊技の場合は次遊技のメダル投入処理にてメダル自動投入手段Nを機能させる準備をすると共に役物の作動等の遊技状態の移行を伴う場合は遊技状態移行手段Jを機能させる準備をする次遊技準備処理(S45)を経て、1回の遊技を終える(S46)。
【0048】
以上の実施形態では、精算ボタン4の短押しにより1ベット指令を出す仕様にしたが、専用の1ベットボタンや、2ベットボタンを設けても良い。また、1ベット指令等の仕様は省略し、遊技状態に応じた最大の規定数のメダルを一括投入させるマックスベットを指令するベットボタンのみを有する仕様にしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1L,1C,1R;リール
2i;メダル投入口、2;メダルセレクター
3;ベットボタン、4;精算ボタン、5;スタートレバー
6L,6C,6R;ストップボタン(ストップスイッチ)
71;上部液晶表示装置、72;下部液晶表示装置
73;ドットマトリクス表示装置
CN;制御装置、MC;主制御装置、SC;周辺制御装置
T;メダル投入手段
T1;投入処理時始動指令クリア手段
T2;規定数確認後始動許可手段
図1
図2
図3