特許第6308715号(P6308715)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6308715露光描画装置、移動制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6308715
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】露光描画装置、移動制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20180402BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20180402BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20180402BHJP
【FI】
   G03F7/20 505
   H01L21/30 503F
   H01L21/68 B
【請求項の数】9
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2012-214265(P2012-214265)
(22)【出願日】2012年9月27日
(65)【公開番号】特開2014-66986(P2014-66986A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年8月5日
【審判番号】不服2017-4296(P2017-4296/J1)
【審判請求日】2017年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】300091670
【氏名又は名称】株式会社アドテックエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】鶴井 弘則
(72)【発明者】
【氏名】橋口 昭浩
【合議体】
【審判長】 森林 克郎
【審判官】 松川 直樹
【審判官】 野村 伸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−073616(JP,A)
【文献】 特開平08−316131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F7/20-7/24
G03F9/00-9/02
H01L21/027
H01L21/30
H01L21/67-21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象物を搭載するためのステージと、
前記ステージに搭載された処理対象物に対して露光描画処理を行う露光部と、
移動することによって処理対象物の前記ステージへの供給および前記ステージからの排出を行い且つ移動の際の加速および減速に伴って生じる振動が前記ステージに伝搬し得る状態で設けられた搬送部と、
前記露光部が前記露光描画処理を行っているか否かを判定する判定手段と、
前記搬送部が移動を開始する際に前記判定手段により前記露光部が前記露光描画処理を行っていないと判定された場合に、前記搬送部が移動を開始する際の加速方向の加速度の大きさを、加速方向の標準加速度の大きさとし、前記搬送部が移動を開始する際に前記判定手段により前記露光部が前記露光描画処理を行っていると判定された場合に、前記搬送部が移動を開始する際の加速方向の加速度の大きさを、前記加速方向の標準加速度の大きさよりも小さくし、前記搬送部の移動中に前記判定手段により前記露光部が前記露光描画処理を行っていないと判定された場合に、前記搬送部が移動を停止する際の減速方向の加速度の大きさを、減速方向の標準加速度の大きさとし、前記搬送部の移動中に前記判定手段により前記露光部が前記露光描画処理を行っていると判定された場合に、前記搬送部が移動を停止する際の減速方向の加速度の大きさを、前記減速方向の標準加速度の大きさよりも小さくする移動制御を行う制御手段と、
を含む露光描画装置。
【請求項2】
前記判定手段は、少なくとも前記搬送部が静止しているとき及び移動しているときに前記露光部が前記露光描画処理を行っているか否かを判定する請求項1に記載の露光描画装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記判定手段により前記露光部が前記露光描画処理を行っていないと判定された場合に前記搬送部を第1の速度まで加速させ、前記判定手段により前記露光部が前記露光描画処理を行っていると判定された場合に前記搬送部を前記第1の速度よりも小さい第2の速度まで加速させる請求項1または2に記載の露光描画装置。
【請求項4】
前記搬送部は、複数の方向に移動可能であり、
前記制御手段は、前記搬送部の前記複数の方向の各々の移動について前記移動制御を行う請求項1乃至3のいずれか1項に記載の露光描画装置。
【請求項5】
前記搬送部は、移動することによって処理対象物を前記ステージに供給する第1の搬送部と、移動することによって処理対象物を前記ステージから排出する第2の搬送部とを含み、
前記制御手段は、前記第1の搬送部および前記第2の搬送部の各々に対して前記移動制御を行う請求項1乃至4のいずれか1項に記載の露光描画装置。
【請求項6】
前記露光部が前記露光描画処理において処理対象物に形成する描画パターンの解像度を示す解像度情報を取得する取得手段を更に含み、
前記制御手段は、前記取得手段によって取得された解像度情報によって示される解像度が所定の閾値よりも高い場合には前記移動制御を行う請求項1乃至5のいずれか1項に記載の露光描画装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記取得手段によって取得された解像度情報によって示される解像度が所定の閾値よりも低い場合には、前記搬送部が移動する際の加速度の大きさを所定値に設定する請求項6に記載の露光描画装置。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の露光描画装置おける判定手段および制御手段として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
処理対象物を搭載するためのステージと、前記ステージに搭載された処理対象物に対して露光描画処理を行う露光部と、移動することによって処理対象物の前記ステージへの供給および前記ステージからの排出を行い且つ移動の際の加速および減速に伴って生じる振動が前記ステージに伝搬し得る状態で設けられた搬送部と、を含む露光描画装置における前記搬送部の移動制御方法であって、
前記搬送部が移動を開始する際に前記露光部が前記露光描画処理を行っていない場合に、前記搬送部が移動を開始する際の加速方向の加速度の大きさを、加速方向の標準加速度の大きさとし、前記搬送部が移動を開始する際に前記露光部が前記露光描画処理を行っている場合に、前記搬送部が移動を開始する際の加速方向の加速度の大きさを、前記加速方向の標準加速度の大きさよりも小さくし、前記搬送部の移動中に前記露光部が前記露光描画処理を行っていない場合に、前記搬送部が移動を停止する際の減速方向の加速度の大きさを、減速方向の標準加速度の大きさとし、前記搬送部の移動中に前記露光部が前記露光描画処理を行っている場合に、前記搬送部が移動を停止する際の減速方向の加速度の大きさを、前記減速方向の標準加速度の大きさよりも小さくする
移動制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理対象物に所望の画像を露光描画する露光描画装置、該露光描画装置により実行されるプログラムおよび該露光描画装置の構成要素である搬送部の移動制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回路基板の製作には、フィルムまたはガラス製のフォトマスクと呼ばれるパターン原盤に光を当て、基板の感光面全体に回路を転写する露光方式が使用されてきた。しかし近年、転写パターンの高密度・高精細化への対応に加え、欠陥発生率の抑制とさらなる生産性の向上が同時に求められている。そのため、フォトマスクを使うことなく、より精密な回路パターンを歩留まり良く露光できる直接描画方式の露光装置へのシフトが、急速に進展しつつある。
【0003】
直接描画方式の露光装置では、描画処理中にパターン形成が行われるため、描画処理中におけるステージ等の振動を排除することが特に重要である。例えば、特許文献1には、加減速駆動時に定盤に発生する振動を抑えるステージ装置が記載されている。このステージ装置は、振動の伝搬を抑制する機構を有する除振台と、除振台上を所定の方向に移動する移動ステージと、除振台と独立して設置され、停止している移動ステージのほぼ重心位置に対して加速推力を与えて移動ステージを所定の移動方向へ加速し移動させると共に移動している移動ステージのほぼ重心位置に対して減速推力を与えて移動ステージを減速し停止させる加減速駆動手段と、移動ステージに設置され、移動ステージを等速度で駆動する等速駆動手段と、を具えている。
【0004】
特許文献2には、除振台の固有振動周期と駆動機構の加速時間または減速時間との一致を回避して駆動機構の加減速度を制御する制御手段を備えたステージ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3536382号公報
【特許文献2】特開2005−26504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
露光描画装置では、露光描画処理前の基板を移動ステージ上に搭載し、露光描画処理済みの基板を移動ステージから排出するための基板搬送機構を有するものが知られている。この基板搬送機構は、所定の基板搬入位置から移動ステージまでの間および移動ステージから所定の搬出位置までの間を移動して、基板の搬入・搬出処理を行う。かかる基板搬送機構は、露光描画装置の筐体や床面等を介して移動ステージに接続されるため、基板搬送機構における加減速時に移動ステージに振動が伝搬する。従って、この基板搬送機構の加減速に伴う移動ステージへの振動の伝搬を防止して画像品質への悪影響を排除する必要がある。また、このとき、基板1枚当たりの処理時間、すなわちサイクルタイムの増大を極力抑制して生産性を確保することも重要である。
【0007】
特許文献1および2に記載の手法は、移動ステージの駆動に伴う影響を抑止するためのものであり、基板搬送機構の駆動に伴うステージへの影響については除振機構により抑止されている。しかしながら、基板搬送機構の駆動に伴うステージへの影響を除振機構のみによって十分に排除することは困難である。
【0008】
本発明は、上記した点に鑑みてなされたものであり、処理対象物を搬送する搬送部を有する露光描画装置において、サイクルタイムの増大を抑制しつつ該搬送部の移動に伴う振動の発生を抑制して画像品質の低下を防止する露光描画装置および該露光装置において実行されるプログラムおよび該露光描画装置の構成要素である搬送部の移動制御方法を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る第1の露光描画装置は、処理対象物を搭載するためのステージと、前記ステージに搭載された処理対象物に対して露光描画処理を行う露光部と、移動することによって処理対象物の前記ステージへの供給および前記ステージからの排出を行い且つ移動の際の加速および減速に伴って生じる振動が前記ステージに伝搬し得る状態で設けられた搬送部と、前記露光部が前記露光描画処理を行っているか否かを判定する判定手段と、前記搬送部が移動を開始する際に前記判定手段により前記露光部が前記露光描画処理を行っていないと判定された場合に、前記搬送部が移動を開始する際の加速方向の加速度の大きさを、加速方向の標準加速度の大きさとし、前記搬送部が移動を開始する際に前記判定手段により前記露光部が前記露光描画処理を行っていると判定された場合に、前記搬送部が移動を開始する際の加速方向の加速度の大きさを、前記加速方向の標準加速度の大きさよりも小さくし、前記搬送部の移動中に前記判定手段により前記露光部が前記露光描画処理を行っていないと判定された場合に、前記搬送部が移動を停止する際の減速方向の加速度の大きさを、減速方向の標準加速度の大きさとし、前記搬送部の移動中に前記判定手段により前記露光部が前記露光描画処理を行っていると判定された場合に、前記搬送部が移動を停止する際の減速方向の加速度の大きさを、前記減速方向の標準加速度の大きさよりも小さくする移動制御を行う制御手段と、を含む。
【0010】
本発明に係る露光描画装置によれば、露光部による露光描画処理が行われている期間では搬送部は、比較的小さい加速度で駆動される。これにより、搬送部の加速に伴って生じる振動に起因する画像品質の低下を防止することができる。一方、露光部による露光描画処理が行われていない期間では搬送部の加速に伴う振動は画像品質に影響しないので、この期間では搬送部は、比較的大きい加速度で駆動される。これにより、サイクルタイムの増大が抑制される。このように、本発明に係る露光描画装置によればサイクルタイムの増大を抑制しつつ搬送部の移動に伴う振動の発生を抑制して画像品質の低下を防止することができる。
【0013】
また、前記第1の露光描画装置において、前記判定手段は少なくとも前記搬送部が静止しているとき及び移動しているときに前記露光部が前記露光描画処理を行っているか否かを判定してもよい。
【0014】
また、前記第1の露光描画装置において、前記制御手段は前記判定手段により前記露光部が前記露光描画処理を行っていないと判定された場合に前記搬送部を第1の速度まで加速させ、前記判定手段により前記露光部が前記露光描画処理を行っていると判定された場合に前記搬送部を前記第1の速度よりも小さい第2の速度まで加速してもよい。
【0015】
また、前記第1の露光描画装置において、前記搬送部は複数の方向に移動可能とされていてもよく、この場合において前記制御手段は、前記搬送部の前記複数の方向の各々の移動について前記移動制御を行ってもよい。
【0016】
また、前記第1の露光描画装置において、前記搬送部は移動することによって処理対象物を前記ステージに供給する第1の搬送部と、移動することによって処理対象物を前記ステージから排出する第2の搬送部とを含んでいてもよく、この場合において前記制御手段は、前記第1の搬送部および前記第2の搬送部の各々に対して前記移動制御を行ってもよい。
【0017】
また、前記第1の露光描画装置は、前記露光部が前記露光描画処理において処理対象物に形成する描画パターンの解像度を示す解像度情報を取得する取得手段を更に含んでいてもよく、この場合において前記制御手段は前記取得手段によって取得された解像度情報によって示される解像度が所定の閾値よりも高い場合には前記搬送制御を行ってもよい。また、前記制御手段は、前記取得手段によって取得された解像度情報によって示される解像度が所定の閾値よりも低い場合には、前記搬送部が移動する際の加速度の大きさを所定値に設定してもよい。
【0018】
また、上記目的を達成するために、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、前記第1の露光描画装置における判定手段および制御手段として機能させるように構成されている。
【0019】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る第1の移動制御方法は、処理対象物を搭載するためのステージと、前記ステージに搭載された処理対象物に対して露光描画処理を行う露光部と、移動することによって処理対象物の前記ステージへの供給および前記ステージからの排出を行い且つ移動の際の加速および減速に伴って生じる振動が前記ステージに伝搬し得る状態で設けられた搬送部と、を含む露光描画装置における前記搬送部の移動制御方法であって、前記搬送部が移動を開始する際に前記露光部が前記露光描画処理を行っていない場合に、前記搬送部が移動を開始する際の加速方向の加速度の大きさを、加速方向の標準加速度の大きさとし、前記搬送部が移動を開始する際に前記露光部が前記露光描画処理を行っている場合に、前記搬送部が移動を開始する際の加速方向の加速度の大きさを、前記加速方向の標準加速度の大きさよりも小さくし、前記搬送部の移動中に前記露光部が前記露光描画処理を行っていない場合に、前記搬送部が移動を停止する際の減速方向の加速度の大きさを、減速方向の標準加速度の大きさとし、前記搬送部の移動中に前記露光部が前記露光描画処理を行っている場合に、前記搬送部が移動を停止する際の減速方向の加速度の大きさを、前記減速方向の標準加速度の大きさよりも小さくする、というものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る露光描画装置、プログラムおよび移動制御方法によれば、サイクルタイムの増大を抑制しつつ搬送部の移動に伴う振動の発生を抑制して画像品質の低下を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る露光描画装置の構成を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るDMDの構成を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る露光描画装置の内部構成を示す模式図である。
図4】本発明の実施形態に係る露光描画装置の電気系統を示す構成図である。
図5】本発明の実施形態に係る露光描画処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態に係る移動制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態に係るACハンドの移動時における速度の時間推移を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係るACハンドによる基板搬送動作を例示する図である。
図9】本発明の実施形態に係るACハンドによる基板搬送動作を例示する図である。
図10】本発明の実施形態に係るACハンドによる基板搬送動作を例示する図である。
図11】本発明の実施形態に係るACハンドの移動時における速度の時間推移を示す図である。
図12】本発明の他の実施形態に係る移動制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
図13】本発明の他の実施形態に係る移動制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の実施形態に係る露光描画装置について添付図面を用いて詳細に説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、本実施形態では、表面にレジスト膜等の感材が形成されたフィルム、プリント配線基板及びフラットパネルディスプレイ用ガラス基板等の平板基板を被露光基板Cとして、被露光基板Cに対して露光描画を行う露光描画装置を例として説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る露光描画装置1の構成を示す斜視図である。なお、以下では、ステージ10が移動する方向をY方向と定め、このY方向に対して水平面で直交する方向をX方向と定め、Y方向に鉛直面で直交する方向をZ方向と定める。
【0025】
図1に示すように、露光描画装置1は、露光描画処理の対象となる被露光基板Cを搭載するための平板状のステージ10を備えている。ステージ10の上面は被露光基板Cを搭載する搭載面となっており、この搭載面には、被露光基板Cが搭載される領域に空気を吸引する吸着孔を複数有する吸着機構(図示省略)が設けられている。ステージ10は、この吸着機構により、その搭載面において被露光基板Cを真空吸着して保持する。ステージ10の搭載面に固定された被露光基板Cは、ステージ10のY方向の移動に伴って露光位置まで移動し、露光部16から光ビームが照射されて被露光面に回路パターン等の描画パターンが露光画像される。
【0026】
ステージ10は、卓状の基体11の上面に移動可能に設けられた平板状の基台12に支持されている。また、基台12とステージ10との間にモータ等を含んで構成されたステージ移動機構(図示せず)が設けられており、ステージ10は、このステージ移動機構により、Z方向に平行移動可能である。
【0027】
基体11は、4本の脚部11aを有し、脚部11aの各々の底面にはゴム等の弾性部材からなる防振部50が設けられている。防振部50は、床面から基体11に伝搬する振動を緩和させる役割を担う。基体11の上面には、2本のガイドレール14が設けられている。基台12は、ガードレール14上に移動可能に支持されており、モータ等を含むステージ駆動部(図示せず)により駆動力が与えられて、ガイドレール14に沿ってY方向に移動する。ステージ10は、基台12の上面に支持されることにより基台12と共にガイドレール14に沿ってY方向に移動する。すなわち、ステージ10は、被露光基板Cのステージ10への搭載およびステージ10からの排出が行われる搬送処理位置と、露光描画が行われる露光描画処理位置との間を移動する。搬送処理位置は、後述する基板導入部5および基板排出部6の間の位置であり、露光描画処理位置は、露光部16の下方である。
【0028】
基体11の上面には、ガイドレール14を跨ぐように門型のゲート15が立設されており、このゲート15には、露光部16が取り付けられている。露光部16は、複数の露光ヘッド16aを含み、Y方向に移動するステージ10の移動経路上に配置されている。本実施形態では、露光部16は、2行8列のマトリックス状に配列された16個の露光ヘッド16aを含んでいる。露光部16には、光源ユニット17から引き出された光ファイバ18と、画像処理ユニット19から引き出された信号ケーブル20とがそれぞれ接続されている。各露光ヘッド16aは、反射型の空間光変調素子としてのデジタルマイクロミラーデバイス(以下、DMDと称する)27(図2参照)を有し、画像処理ユニット19から入力される画像データに基づいてDMD27を制御して光源ユニット17からの光ビームを空間変調し、空間変調された光ビームを被露光基板Cに照射する。これにより、被露光基板Cに当該画像データに応じた画像パターンの露光描画が行われる。
【0029】
図2は、本実施形態に係るDMD27の構成を示す斜視図である。DMD27は、画素(ピクセル)を構成する多数の(例えば、600個×800個)の微小ミラー(マイクロミラー)29が格子状に配列されたミラーデバイスとして構成されている。矩形状のマイクロミラー29の各々は、描画パターンを示す画像データを一時的に記憶するシリコンゲートのCMOS等からなるSRAMセル(メモリセル)28上にヒンジ及びヨーク(図示省略)を含む支柱により支持されている。マイクロミラー29の表面にはアルミニウム等の反射率の高い材料が蒸着されていて光反射面を形成している。マイクロミラー29の各々によって反射された光ビームによって描画パターンの各画素が構成される。
【0030】
DMD27のSRAMセル28には、描画パターンの画像データに基づいて生成された、各マイクロミラー29のオン状態またはオフ状態を示すデジタル信号が書き込まれる。オン状態とされたマイクロミラー29は、一方の角部がSRAMセル上のランディングパッドに接触するまで対角線を回転軸として反射面が傾けられる。一方、オフ状態とされたマイクロミラー29は、上記一方の角部に対向する角部が他方のランディングパッドに接触するまで対角線を回転軸として反射面が傾けられる。このように描画パターンの画像データにおける各画素に対応するように各々のマイクロミラー29の傾きを制御することによって、DMD27に入射した光ビームは、マイクロミラー29の傾きに応じた方向に反射されて描画パターンの露光描画が行われる。マイクロミラー29のオン/オフ制御は、DMD27に接続された画像処理ユニット19によって行われる。
【0031】
光源ユニット17は、レーザ光源とレーザ駆動部とを含んで構成されている(いずれも図示せず)。レーザ駆動部は、システム制御部40(図4参照)から供給される制御信号に応じた大きさの駆動電流を生成し、これをレーザ光源に供給する。レーザ光源は、例えば半導体レーザによって構成され、レーザ駆動部から供給される駆動電流に応じた光量(強度)のレーザ光を出射する。レーザ光源から出射されたレーザ光は、光ファイバ18によって光源ユニット17の外部に導出される。レーザ光源から出射されたレーザ光は、導光路としての光ファイバ18内において反射を繰り返し、光ファイバ18の出射端部からランダム偏光となって出射される。光ファイバ18から出射されたレーザ光は、露光ヘッド16a内に導入される。
【0032】
また、基体11の上面には、ガイドレール14を跨ぐように、門型のゲート22が設けられている。ゲート22には、ステージ10に載置された被露光基板Cのアライメントマークを撮影するための1個または複数個(本実施形態では、2個)の撮像部23が取り付けられている。撮影部23は、1回の発光時間が極めて短いストロボを内蔵したCCDカメラ等を含んで構成されている。撮影部23の各々は、ステージ10の移動方向(Y方向)に対して垂直な方向(X方向)に移動可能に設置されている。露光描画装置1は、被露光基板Cに描画パターンを描画する際、撮影部23により撮影された被露光基板C上のアライメントマークの位置を計測し、計測したアライメントマークの位置に基づいて描画位置を調整する。
【0033】
基板導入部5は、露光描画装置1の基板投入口(図示せず)に投入された露光描画処理前の被露光基板Cをステージ10の近傍の供給位置P1まで搬送するベルトコンベアを含んで構成されている。基板排出部6は、露光描画処理済みの被露光基板Cをステージ10の近傍の排出位置P2から露光描画装置1の基板排出口(図示せず)までX方向に搬送するベルトコンベアを含んで構成されている。本実施形態において、基板導入部5および基板排出部6は、搬送処理位置に位置するステージ10を間に挟むようにX方向において対向配置されている。
【0034】
露光描画装置1は、基板導入部5により供給位置P1まで搬送された露光描画処理前の被露光基板Cをステージ10の上方まで搬送してステージ10の上面に搭載する基板搭載用のオートキャリアハンド(以下、ACハンドという)24Aと、露光描画処理済みの被露光基板Cをステージ10からピックアップして基板排出部6上の排出位置P2まで搬送する基板排出用のACハンド24Bを備えている。
【0035】
図3は、露光描画装置1の内部構成を示す模式図であり、X−Z平面における平面図である。ACハンド24Aおよび24Bは、露光装置1の筐体2に接続された支持部27に対して水平方向(X方向)及び鉛直方向(Z方向)に移動可能に支持されている。すなわち、ACハンド24Aおよび24Bの加速および減速に伴って生じる振動は、露光描画装置1の筐体2を介して基体11およびステージ10に伝搬し得る構成となっている。本実施形態においてACハンド24Aおよび24Bは、それぞれ独立した駆動機構を有しており、それぞれ独立した動作が可能となっている。
【0036】
ACハンド24Aおよび24Bの下面には、被露光基板Cを真空吸着するための吸着部25と、被露光基板Cを下方に向けて押し付ける押付部26とが設けられている。基板搭載用のACハンド24Aは、基板導入部5によって露光描画装置1の基板投入口から供給位置P1まで搬送された露光描画処理前の被露光基板Cを吸着部25により吸着保持した状態でX方向およびZ方向に移動して被露光基板Cをステージ10の上面である搭載面に搭載する。基板搭載用のACハンド24Aは、被露光基板Cをステージ10に搭載する際に、被露光基板Cを押付部26によってステージ10の上面に押し付けながら吸着部25による吸着を解除することにより被露光基板Cをステージ10に吸着固定させる。一方、基板排出用のACハンド24Bは、ステージ10上に搭載された露光描画処理済みの被露光基板Cを吸着部25により吸着保持した状態でX方向およびZ方向に移動して被露光基板Cを基板排出部6上の排出位置P2に載置する。排出位置P2まで搬送された露光描画処理済みの被露光基板Cは、基板排出部6によって露光描画装置1の基板排出口まで搬送される。
【0037】
図4は、本実施形態に係る露光描画装置1の電気系統を示す構成図である。露光描画装置1には、装置各部にそれぞれ電気的に接続されるシステム制御部40が設けられている。システム制御部40は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びHDD(Hard Disk Drive)を備え、露光描画装置1の各部を統括的に制御する。
【0038】
ACハンド24Aおよび24Bは、システム制御部40から供給される制御信号に基づいて被露光基板Cの搬送動作を行う。また、システム制御部40は、この制御信号とともにACハンド24Aおよび24Bが搬送経路上を移動する際の加速度を示す加速度情報を供給する。ACハンド24Aおよび24Bは、システム制御部40から供給される加速度情報に従って加速および減速して、搬送経路上を移動する。
【0039】
基板導入部5および基板排出部6は、システム制御部40から供給される制御信号に基づいてベルトコンベアを駆動して被露光基板Cを搬送する。
【0040】
ステージ10は、ステージ駆動部(図示せず)を有しており、システム制御部40からこのステージ駆動部に対して供給される制御信号に基づいてガイドレール14に沿ってY方向(走査方向)に移動する。
【0041】
光源ユニット17は、光源として例えば半導体レーザを有しており、システム制御部40から供給される制御信号によって、該半導体レーザから出射される光の量が制御される。光源ユニット17において生成された光は、光ファイバ18を介して露光部16内に導入される。
【0042】
システム制御部40は、露光描画の際に、描画パターンの画像データに対応したデジタル信号を生成して、生成したデジタル信号を画像処理ユニット19に送信する。画像処理ユニット19は、受信したデジタル信号に基づいて各露光ヘッド16aのDMD27のマイクロミラー29を駆動するための駆動信号を生成して、これをDMD27に供給する。システム制御部40がステージ10に供給する制御信号と画像処理ユニット19に供給する制御信号とを同期させることにより、ステージ10の移動とマイクロミラー29の駆動とが連動した走査露光が行われる。
【0043】
入力部47は、操作者が被露光基板Cの基板サイズ、処理枚数、露光描画する描画パターンを指定するための識別番号、露光描画する描画パターンの解像度などを含む処理条件を入力するためのものであり、キーボードやタッチパネルなどにより構成される。操作者は入力部47を操作することにより上記したような露光描画装置1が露光描画を行う際の処理条件を入力することができる。
【0044】
表示部48は、露光描画装置1が露光描画を行う際の処理条件等を操作者が入力するための初期情報入力画面等を表示するためのディスプレイであり、液晶表示デバイスなどを含んで構成されている。
【0045】
撮影部23は、システム制御部40からの制御信号に基づいてステージ10の移動方向(Y方向)に対して垂直な方向(X方向)に移動して撮影位置の位置決めが行われる。一方、撮影部23によって撮影された画像はシステム制御部40に供給される。システム制御部40は、撮影部23によって撮影された画像から被露光基板Cに形成されているアライメントマークの位置を計測し、計測したアライメントマークの位置に基づいて描画位置を調整する。
【0046】
図5は、システム制御部40によって実行される露光描画処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。当該プログラムはシステム制御部40に備えられたROMの所定領域に予め記憶されている。ユーザは、露光描画処理を行うべき複数の被露光基板Cを露光描画装置1の基板投入口に投入し、入力部47から被露光基板Cの基板サイズ、処理枚数、露光描画する描画パターンを指定するための識別番号、描画パターンの解像度などを含む処理条件を入力する。その後、ユーザが、露光描画処理の実行を指示する操作入力を入力部47を介して行うと、システム制御部40は、露光描画処理プログラムを実行する。
【0047】
ステップS11において、システム制御部40は、被露光基板Cの受け入れを行うべく基板導入部5に制御信号を供給する。基板導入部5は、かかる制御信号を受信すると、ベルトコンベアを駆動して露光描画装置1の基板投入口に投入された露光描画処理前の被露光基板Cを所定の供給位置P1まで搬送する。かかる基板受け入れ処理において被露光基板Cをベルトコンベア上の中央に配置するセンタリング処理を行うことにより、以降に実施される基板搭載準備処理に備えることとしてもよい。
【0048】
ステップS12において、システム制御部40は基板搭載準備処理を実行する。すなわち、本ステップにおいてシステム制御部40は、露光描画処理前の被露光基板Cのステージ10への搭載準備を行うべきことを示す制御信号を基板搭載用のACハンド24Aに供給する。また、システム制御部40は、ACハンド24Aが搬送経路上を移動する際の加速度を示す加速度情報を当該制御信号とともにACハンド24Aに供給する。ACハンド24Aは、かかる制御信号および加速度情報を受信すると被露光基板Cが待機している供給位置P1の上方までX方向に移動し、その後Z方向下方に移動する。ACハンド24Aは、供給位置P1で待機している被露光基板Cをその吸着保持面において吸着保持し、Z方向上方に移動し、その状態で待機する。なお、ACハンド24Aは、更にX方向に移動することにより被露光基板Cをステージ10の上方まで搬送し、ステージ10の上方で待機することとしてもよい。本ステップにおけるACハンド24AのX方向およびZ方向の移動において、ACハンド24Aは、システム制御部40から供給される加速度情報によって示される加速度に従って加速および減速を行う。なお、本ステップにおいて搬送される被露光基板Cよりも先に投入された被露光基板Cに対して後述する計測処理(ステップS17)および露光描画処理(ステップS18)が本ステップにおける基板搭載準備処理と並行して行われる場合がある。
【0049】
ステップS13において、システム制御部40は、被露光基板Cが現在ステージ10上に存在しているか否かを判断する。本ステップにおいて、システム制御部40は、ステージ10上に被露光基板Cが存在しているものと判断すると、ステップS14において、システム制御部40は、基板ステージ排出準備処理を実行する。すなわち、ステップS15においてシステム制御部40は、露光描画処理済みの被露光基板Cのステージ10からの排出準備を行うべきことを示す制御信号を基板排出用のACハンド24Bに供給する。また、システム制御部40は、ACハンド24Bが搬送経路上を移動する際の加速度を示す加速度情報を当該制御信号とともにACハンド24Bに供給する。ACハンド24Bは、かかる制御信号および加速度情報を受信するとステージ10の上方までX方向に移動し、ステージ10の上方で待機する。本ステップにおけるACハンド24BのX方向の移動において、ACハンド24Bは、システム制御部40から供給される加速度情報によって示される加速度で加速および減速を行う。なお、本ステップにおける処理対象である被露光基板Cよりも後に投入された被露光基板Cに対して後述する計測処理(ステップS17)および露光描画処理(ステップS18)が本ステップにおける処理と並行して行われる場合がある。
【0050】
ステップS15において、システム制御部40は、基板ステージ排出処理を実行する。すなわち、システム制御部40は、露光描画処理済みの被露光基板Cのステージ10からの排出を行うべきことを示す制御信号を基板排出用のACハンド24Bに供給する。ステージ10の上方で待機しているACハンド24Bは、かかる制御信号を受信すると、Z方向下方に移動する。ACハンド24Bは、ステージ10上の被露光基板Cをその吸着保持面において吸着保持し、Z方向上方に移動する。この基板ステージ排出処理においては、ACハンド24Bは、露光描画処理のサイクルタイムが最小となるように、ACハンド24Aおよび24Bに設定し得る最大の加速度(後述する標準加速度A1およびB1)で加速および減速してZ方向の移動を行う。ステージ10から露光描画処理済みの被露光基板Cが除去されると、システム制御部40は、処理をステップS21に移行して当該被露光基板Cの排出処理を実行するとともに、処理をステップS16に移行して後続の被露光基板Cのステージ10への搭載処理を実行する。
【0051】
一方、システム制御部40は、ステップS13においてステージ10上に被露光基板Cが存在していないものと判断した場合、および上記したステップS15における基板ステージ排出処理が完了した場合、ステップS16において基板ステージ搭載処理を実行する。すなわち、システム制御部40は、ステップS16において、露光描画処理前の被露光基板Cをステージ10上に搭載すべきことを示す制御信号を基板搭載用のACハンド24Aに供給する。上記のステップS12における基板搭載準備処理が実行されたことにより被露光基板Cを吸着保持した状態で供給位置P1の上方で待機しているACハンド24Aは、かかる制御信号を受信すると、ステージ10の上方までX方向に移動し、その後Z方向下方に移動する。ACハンド24Aは、押付機構により被露光基板Cをステージ10に押し付けながら吸着部25による吸着を解除することにより、被露光基板Cをステージ10上に搭載する。その後、ACハンド24Aは、Z方向上方に移動する。本ステップにおいてACハンド24Aは、露光描画処理のサイクルタイムが最小となるように、ACハンド24Aおよび24Bに設定し得る最大の加速度(後述する標準加速度A1およびB1)で加速および減速してX方向およびZ方向の移動を行う。ステップS16における処理が完了すると、システム制御部40は、処理をステップS11およびS17に移行することにより後述する計測処理および露光描画処理と、上述したACハンド24Aおよび24Bによる被露光基板Cの搬送処理を並行して実行する。
【0052】
ステップS17において、システム制御部40は被露光基板10の計測処理を実行する。システム制御部40はステージ10を構成するステージ駆動部に露光描画処理位置への移動を開始すべきことを示す制御信号を供給する。ステージ10はかかる制御信号を受信すると、被露光基板Cを搭載した状態で、露光部16の下方の露光描画処理位置までY方向に移動する。その後、システム制御部40は、撮影部23に制御信号を供給して、撮影部23の各々をX方向に移動させ、ステージ10に搭載された被露光基板Cを撮影可能な位置に位置決めする。システム制御部40は、撮影部23によって撮影された画像から被露光基板Cに形成されているアライメントマークの位置を計測し、計測したアライメントマークの位置に基づいて描画位置を調整する。
【0053】
ステップS18において、システム制御部40は露光描画処理を実行する。すなわち、本ステップにおいてシステム制御部40は、露光描画すべき描画パターンを示す画像データを画像処理ユニット19に供給する。画像データは、画像処理ユニット19内のメモリに一旦記憶される。この画像データは、描画パターンを構成する各画素の濃度を2値(ドットの記録の有無)で表したデータである。画像処理ユニット19は、画像処理ユニット19内のメモリに記憶された画像データを複数ライン分ずつ順次読み出し、各露光ヘッド16a毎にデジタル信号を生成する。各露光ヘッド16aのDMD27のマイクロミラー29は、このデジタル信号に応じてオン状態またはオフ状態となる。DMD27におけるオン状態となっているマイクロミラー29において反射した光ビームはDMD27から出力され、被露光基板Cの被露光面に結像される。被露光基板Cがステージ10の移動に伴って一定速度で移動することにより、被露光基板Cにおいて各露光ヘッド16a毎に帯状の露光済みエリアが形成される。このようにして、露光描画装置1によって被露光基板Cに対する露光描画が行われる。システム制御部40は、露光部16による露光描画が終了すると、ステージ10に制御信号を供給して露光描画処理済みの被露光基板Cが搭載されたステージ10を基板導入部5と基板排出部6との間の搬送処理位置までY方向に移動させる。なお、ステップS17における計測処理およびステップS18における露光描画処理が実行されるタイミングにおいて、上述のステップS12およびS14における基板搭載準備処理および基板排出準備処理が並行して行われる場合がある。
【0054】
ステップS19において、システム制御部40は、上記ステップS14と同様の基板排出準備処理を実行する。すなわち、システム制御部40は、露光描画処理済みの被露光基板Cのステージ10からの排出準備を行うべきことを示す制御信号を基板排出用のACハンド24Bに供給する。また、システム制御部40は、ACハンド24Bが搬送経路上を移動する際の加速度を示す加速度情報を当該制御信号とともにACハンド24Bに供給する。ACハンド24Bは、かかる制御信号および加速度情報を受信するとステージ10の上方までX方向に移動し、ステージ10の上方で待機する。本ステップにおけるACハンド24BのX方向の移動において、ACハンド24Bは、システム制御部40から供給される加速度情報によって示される加速度で加速および減速を行う。
【0055】
ステップS20において、システム制御部40は、基板ステージ排出処理を実行する。すなわち、本ステップにおいて、システム制御部40は、露光描画処理済みの被露光基板Cをステージ10から排出すべきことを示す制御信号を基板排出用のACハンド24Bに供給する。上記のステップS19における基板排出準備処理が実行されたことによりステージ10の上方で待機しているACハンド24Bは、かかる制御信号を受信するとZ方向下方に移動する。ACハンド24Bは、ステージ10上の被露光基板Cをその吸着保持面において吸着保持し、Z方向上方に移動する。本ステップS20においてACハンド24Bは、露光描画処理のサイクルタイムが最小となるように、ACハンド24Aおよび24Bに設定し得る最大の加速度(後述する標準加速度A1およびB1)で加速および減速してZ方向の移動を行う。
【0056】
ステップS21において、システム制御部40は、基板排出処理を実行する。すなわち、本ステップにおいて、システム制御部40は、被露光基板Cを排出位置P2に搬送すべきことを示す制御信号を基板排出用のACハンド24Bに供給する。また、システム制御部40は、ACハンド24Bが搬送経路上を移動する際の加速度を示す加速度情報を当該制御信号とともにACハンド24Bに供給する。被露光基板Cを吸着保持した状態でステージ10の上方に位置しているACハンド24Bは、かかる制御信号および加速度情報を受信すると、被露光基板Cを保持したまま基板排出部6上の排出位置P2の上方までX方向に移動し、その後Z方向下方に移動する。ACハンド24Bは、吸着部25による吸着を解除することにより被露光基板Cを基板排出部6の排出位置P2に載置する。本ステップにおけるACハンド24BのX方向およびZ方向の移動において、ACハンド24Bは、システム制御部40から供給される加速度情報によって示される加速度で加速および減速を行う。露光描画処理済みの被露光基板Cが排出位置P2に搬送されると、システム制御部40、基板排出部6に制御信号を供給する。基板排出部6は、かかる制御信号を受信すると、ベルトコンベアを駆動して露光描画処理済みの被露光基板Cを露光描画装置1の基板排出口まで搬送する。なお、本ステップが実行されるタイミングにおいて、後続の被露光基板Cに対して上記の計測処理(ステップS17)および露光描画処理(ステップS18)が並行して行われる場合がある。
【0057】
このように、本実施形態に係る露光描画装置1は、ACハンド24Aおよび24Bによる露光描画処理前後の被露光基板Cの搬送処理と、撮影部23および露光部16による計測処理および露光描画処理とを並行して行う。また、システム制御部40は、撮影部23による計測処理(ステップS17)および露光部16による露光描画処理(ステップS18)が実行されるタイミングで並行して実行され得る基板搭載準備処理(ステップS12)、基板排出準備処理(ステップS14、S19)および基板排出処理(ステップS21)において、ACハンド24Aおよび24BのX方向およびZ方向の移動を以下のように制御する。
【0058】
図6は、システム制御部40により実行されるACハンド24Aおよび24Bの移動制御を行うための移動制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。当該プログラムはシステム制御部40に備えられたROMの所定領域に予め記憶されている。システム制御部40は、上記した露光描画処理フローにおける基板搭載準備処理(ステップS12)、基板排出準備処理(ステップS14、S19)および基板排出処理(ステップS21)を実行するタイミングであって、ACハンド24Aおよび24Bの移動を開始するタイミング、ACハンド24Aおよび24Bの移動方向がX方向からZ方向またはZ方向からX方向に切り替わるタイミングで移動制御処理プログラムを実行する。
【0059】
ステップS31において、システム制御部40は、図5のフローチャートのステップS17における計測処理または同フローチャートのステップS18における露光描画処理が現在実行中であるか否かを判断する。システム制御部40は、本ステップにおいて計測処理中または露光描画処理中でないものと判断すると、ステップS32において、ACハンド24Aまたは24Bの加速時の加速度として標準加速度A1を選択する。本実施形態において、標準加速度A1は、露光描画処理のサイクルタイムが最小となるように、ACハンド24Aおよび24Bに設定し得る最大の加速度とされている。一方、システム制御部40は、ステップS31において計測処理中または露光描画処理中であると判断すると、ステップS33において、ACハンド24Aまたは24Bの加速時の加速度として標準加速度A1の大きさよりも小さい大きさの低加速度A2を選択する。本実施形態において低加速度A2は、当該低加速度A2でACハンド24Aおよび24Bを駆動した場合に生じる振動による画像品質への影響が無視できる程度の大きさの加速度とされている。システム制御部40は、選択した加速度(標準加速度A1または低加速度A2)を示す加速度情報をACハンド24Aまたは24Bに供給する。なお、標準加速度A1および低加速度A2の方向は、ACハンド24Aおよび24Bの移動方向と同一である。
【0060】
かかる加速度情報を受信したACハンド24Aまたは24Bは、基板搭載準備処理(ステップS12)、基板排出準備処理(ステップS14、S19)および基板排出処理(ステップS21)において、当該加速度情報によって示される大きさの加速度で加速する。すなわち、基板搭載用のACハンド24Aは、基板搭載準備処理(ステップS12)の実行時において計測処理または露光描画処理が行われていない場合には標準加速度A1で加速し、計測処理または露光描画処理が行われている場合には低加速度A2で加速する。ACハンド24Aの移動速度が所定の速度V1に達すると、当該速度V1が維持される。一方、基板排出用のACハンド24Bは、基板排出準備処理(ステップS14、S19)および基板排出処理(ステップS21)の実行時において計測処理または露光描画処理が行われていない場合には標準加速度A1で加速し、計測処理または露光描画処理が行われている場合には低加速度A2で加速する。ACハンド24Bの移動速度が所定の速度V1に達すると、当該速度V1が維持される。
【0061】
ステップS34において、システム制御部40は、ACハンド24Aまたは24Bが移動を開始してから所定時間が経過した否か判断する。システム制御部40は、所定時間が経過したと判断すると、処理をステップS35に移行する。
【0062】
ステップS35において、システム制御部40は、ACハンド24Aまたは24Bが移動を開始してから所定時間が経過した、ACハンド24Aまたは24Bが定速移動しているタイミングで再び計測処理中または露光描画処理中であるか否かの判断を行う。
【0063】
システム制御部40は、本ステップにおいて計測処理中または露光描画処理中でないものと判断すると、ステップS36において、ACハンド24Aまたは24BがX方向またはZ方向への移動を停止する際の加速度(減速度)として標準加速度B1を選択する。本実施形態において、標準加速度B1は、露光描画処理のサイクルタイムが最小となるように、ACハンド24Aおよび24Bに設定し得る最大の加速度とされている。
【0064】
一方、システム制御部40は、ステップS35において計測処理中または露光描画処理中であると判断すると、ステップS37において、ACハンド24Aまたは24BがX方向またはZ方向への移動を停止する際の加速度(減速度)として標準加速度B1よりも小さい低加速度B2を選択する。本実施形態において低加速度B2は、当該低加速度B2でACハンド24Aおよび24Bを駆動した場合に生じる振動による画像品質への影響が無視できる程度の加速度(減速度)とされている。システム制御部40は、選択した加速度(標準加速度B1または低加速度B2)を示す加速度情報をACハンド24Aまたは24Bに供給する。なお、標準加速度B1および低加速度B2の方向は、ACハンド24Aおよび24Bの移動方向とは逆方向である。
【0065】
かかる加速度情報を受信したACハンド24Aまたは24Bは、基板搭載準備処理(ステップS12)、基板排出準備処理(ステップS14、S19)および基板排出処理(ステップS21)において、X方向またはZ方向への移動を停止する際に当該加速度情報によって示される加速度(減速度)で減速する。すなわち、基板搭載用のACハンド24Aは、基板搭載準備処理(ステップS12)の実行時において、計測処理または露光描画処理が行われていない場合にはX方向またはZ方向への移動を停止する際に標準加速度B1で減速して目標となる位置で停止し、計測処理または露光描画処理が行われている場合にはX方向またはZ方向への移動を停止する際に低加速度B2で減速して目標となる位置で停止する。一方、基板排出用のACハンド24Bは、基板排出準備処理(ステップS14、S19)および基板排出処理(ステップS21)の実行時において、計測処理または露光描画処理が行われていない場合には、X方向またはZ方向への移動を停止する際に標準加速度B1で減速して目標となる位置で停止し、計測処理または露光描画処理が行われている場合には、X方向またはZ方向への移動を停止する際に低加速度B2で減速して目標となる位置で停止する。
【0066】
なお、加速時における標準加速度A1と減速時における標準加速度B1の大きさは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、加速時における低加速度A2と減速時における低加速度B2の大きさは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、本実施形態に係る露光描画装置1の構成では基板ステージ排出処理(ステップS15、S20)および基板ステージ搭載処理(ステップS16)が実行されるタイミングでは、計測処理(ステップS17)および露光描画処理(ステップS18)が並行して行われないことが明らかであるので、これらのタイミングでは、上記した移動制御処理は行われず、ACハンド24Aおよび24Bの加速度(加速度および減速度)は、露光描画処理のサイクルタイムが最小となるように、ACハンド24Aおよび24Bに設定し得る最大の値(すなわち標準加速度A1およびB1)に設定される。
【0067】
図7は、ACハンド24Aおよび24BがX方向またはZ方向に移動を開始してから停止するまでの速度の時間推移を示したグラフである。図7において、実線は標準加速度A1およびB1で加速および減速する場合を示し、破線は低加速度A2およびB2で加速および減速する場合を示している。ACハンド24Aおよび24Bは、上記したように、計測処理または露光描画処理が実行中であるか否かに応じて標準加速度A1または低加速度A2で加速してX方向またはZ方向の移動を開始する。計測処理または露光描画処理が実行中であるか否かの判断は、例えばACハンド24Aおよび24Bが移動を開始する直前の時刻t1で行われる。ACハンド24Aおよび24Bは、移動速度が所定速度V1に達すると定速移動を行う。その後、ACハンド24Aおよび24Bは、計測処理または露光描画処理が実行中であるか否かに応じて標準加速度B1または低加速度B2で減速してX方向またはZ方向への移動を停止させる。計測処理または露光描画処理が実行中であるか否かの2回目の判断は、例えばACハンド24Aおよび24Bが定速移動を行っている期間内であって減速開始直前の時刻t2で行われる。
【0068】
図8〜10は、図5および図6のフローチャートに従って動作するACハンド24Aおよび24Bによる一連の基板搬送動作の態様を例示した図である。
【0069】
図8(a)は、基板搭載用のACハンド24Aが基板導入部5によって供給位置P1まで搬送された被露光基板C1に向けてZ方向下方に移動している状態が示されている。図8(a)に示す例では、被露光基板C1よりも先に投入された被露光基板C2に対して露光描画処理が行われているので、ACハンド24Aは、低加速度A2で加速してZ方向下方に移動する。その後ACハンド24Aは、低加速度B2で減速して被露光基板C1と接触する位置で停止する。かかる動作は、図5に示すフローチャートのステップS12における基板搭載準備処理に対応する。
【0070】
図8(b)は、被露光基板C1を吸着保持した基板搭載用のACハンド24AがZ方向上方に移動している状態が示されている。図8(b)に示す例では、被露光基板C2に対して露光描画処理が行われているので、ACハンド24Aは、被露光基板C1を吸着保持した状態で低加速度A2で加速してZ方向上方に移動する。その後ACハンド24Aは、低加速度B2で減速して供給位置P1の上方で停止する。かかる動作は、図5に示すフローチャートのステップS12における基板搭載準備処理に対応する。
【0071】
図8(c)および図8(d)は、基板排出用のACハンド24Bがステージ10の上方に向けてX方向に移動している状態が示されている。図8(b)に示す例では、被露光基板C2に対して露光描画処理が行われているので、ACハンド24Bは、低加速度A2で加速してX方向に移動する。その後、ACハンド24Bは、低加速度B2で減速してステージ10の上方で停止する。かかる動作は、図5に示すフローチャートのステップS14およびステップS19における基板排出準備処理に対応する。
【0072】
図9(a)は、基板排出用のACハンド24Bがステージ10上の露光描画処理済みの被露光基板C2に向けてZ方向下方に移動している状態が示されている。このとき、ACハンド24Bは、標準加速度A1で加速してZ方向下方に移動する。その後ACハンド24Bは、標準加速度B1で減速して被露光基板C2と接触する位置で停止する。かかる動作は、図5に示すフローチャートのステップS15およびステップS20における基板ステージ排出処理に対応する。
【0073】
図9(b)は、被露光基板C1を吸着保持した基板排出用のACハンド24BがZ方向上方に移動している状態が示されている。このとき、ACハンド24Bは、標準加速度A1およびB1で加速および減速してZ方向上方に移動する。かかる動作は、図5に示すフローチャートのステップS15およびステップS20における基板ステージ排出処理に対応する。
【0074】
図9(c)は、露光描画処理前の被露光基板C1を吸着保持した基板搭載用のACハンド24Aがステージ10の上方に向けてX方向に移動するとともに、露光描画処理済みの被露光基板C2を吸着保持した基板排出用のACハンド24Bが排出位置P2に向けてX方向に移動している状態が示されている。このとき、基板搭載用のACハンド24Aは、標準加速度A1で加速してX方向に移動する。その後、ACハンド24Aは標準加速度B1で減速してステージ10の上方で停止する。かかるACハンド24Aの動作は、図5に示すフローチャートのステップS16における基板ステージ搭載処理に対応する。ACハンド24Aによる基板ステージ搭載処理中には露光描画処理は行われないので、基板排出用のACハンド24Bは標準加速度A1で加速してX方向に移動する。その後ACハンド24Bは、標準加速度B1で減速して排出位置P2の上方で停止する。かかるACハンド24Bの動作は、図5に示すフローチャートのステップS21の基板排出処理に対応する。
【0075】
図9(d)は、露光描画処理前の被露光基板C1を吸着保持した基板搭載用のACハンド24Aがステージ10に向けてZ方向に下方に移動するとともに、露光描画処理済みの被露光基板C2を吸着保持した基板排出用のACハンド24Bが排出位置P2に向けてZ方向下方に移動している状態が示されている。このとき、基板搭載用のACハンド24Aは、標準加速度A1で加速してZ方向下方に移動する。その後ACハンド24Aは標準加速度B1で減速して被露光基板C1がステージ10に接触する位置で停止する。かかるACハンド24Aの動作は、図5に示すフローチャートのステップS16における基板ステージ搭載処理に対応する。ACハンド24Aによる基板ステージ搭載処理中には露光描画処理は行われないので、基板排出用のACハンド24Bは標準加速度A1で加速してZ方向下方に移動する。その後ACハンド24Bは、標準加速度B1で減速して被露光基板C2が排出位置P2と接触する位置で停止する。かかるACハンド24Bの動作は、図5に示すフローチャートのステップS21の基板排出処理に対応する。
【0076】
図10(a)は、露光描画処理前の被露光基板C1をステージ10上に搭載した基板搭載用のACハンド24AがZ方向に上方に移動するとともに、露光描画処理済みの被露光基板C2を基板排出部6の排出位置P2に載置したACハンド24BがZ方向上方に移動している状態が示されている。このとき、基板搭載用のACハンド24Aは、標準加速度A1で加速してZ方向上方に移動する。その後ACハンド24Aは標準加速度B1減速してステージ10の上方で停止する。かかるACハンド24Aの動作は、図5に示すフローチャートのステップS16における基板ステージ搭載処理に対応する。ACハンド24Aによる基板ステージ搭載処理中には露光描画処理は行われないので、基板排出用のACハンド24Bは標準加速度A1で加速してZ方向上方に移動する。その後ACハンド24Bは標準加速度B1減速して排出位置P2の上方で停止する。かかるACハンド24Bの動作は、図5に示すフローチャートのステップS21の基板排出処理に対応する。
【0077】
図10(b)、(c)、(d)は、基板搭載用のACハンド24Aが供給位置P1の上方に向けてX方向に移動している状態が示されている。また、露光描画処理済みの被露光基板C2が基板排出部6によって基板排出口(図示せず)まで搬送されるとともに新たに投入された被露光基板C3が基板導入部5によって供給位置P1まで搬送されている。図10(b)に示す例では、被露光基板C1に対する露光描画処理が未だ開始されていないので、ACハンド24Aは、標準加速度A1で加速してX方向の移動を開始する。その後、図10(c)に示すように、ACハンド24Aの移動中に被露光基板C1に対する露光描画処理が開始されると、ACハンド24Aは、低加速度B2で減速して図10(d)に示すように供給位置P1の上方で停止する。
【0078】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る露光描画処理装置1によれば、基板搭載用のACハンド24Aおよび基板排出用のACハンド24BがX方向およびZ方向に移動する際の加速度は、計測処理または露光描画処理が行われている場合と行われていない場合とで互いに異なる値に設定される。すなわち、被露光基板Cに対する計測処理または露光描画処理が実行されていない場合には、ACハンド24Aおよび24Bは、サイクルタイムが最小となる標準加速度A1およびB1で加速および減速する。一方、被露光基板Cに対する計測処理または露光描画処理が実行中である場合には、ACハンド24Aおよび24Bは、画像品質に影響を及ぼさない程度の低加速度A2およびB2で加速および減速する。このように本実施形態に係る露光描画装置によれば、ACハンド24Aおよび24Bは、これらの加減速による振動の発生が画像品質に影響を及ぼさない期間内においては標準加速度で駆動される一方、これらの加減速による振動の発生が画像品質に影響を及ぼす期間内においては低加速度で駆動されるので、サイクルタイムの増大を抑制しつつACハンド24Aおよび24Bの加速および減速に伴う振動の発生を抑制することが可能となり、画像品質の低下を防止することが可能となる。
【0079】
また、本実施形態に係る露光描画処理装置1によれば、ACハンド24Aおよび24Bの移動中においても計測処理または露光描画処理が行われているかの判定がなされるので、標準加速度A1でACハンド24Aまたは24Bの移動が開始された後に計測処理または露光描画処理が開始された場合でも、ACハンド24Aおよび24Bを低加速度B2で減速させることができる。
【0080】
なお、本実施形態では、被露光基板Cに形成されたアライメントマークを計測する計測処理および被露光基板Cに対して描画パターンを露光描画する露光描画処理の最中に振動が発生すると、画像品質に重大な影響が及ぶことを考慮して計測処理の開始時点から露光描画処理の終了時点の期間内にACハンド24Aおよび24Bが移動する際の加速度を低加速度A2およびB2に設定する場合を例示した。しかしながら、低加速度A2およびB2が設定される期間の開始時点および終了時点を適宜変更することが可能である。例えば低加速度A2およびB2が設定される期間の開始時点を被露光基板Cのステージ10への搭載が完了した時点としてもよいし、被露光基板Cに対する露光描画処理の開始時点としてもよい。また、低加速度A2およびB2が設定される期間の終了時点を被露光基板Cのステージ10からの排出が完了した時点としてもよいし、被露光基板Cに対する露光描画処理の終了時点としてもよい。すなわち、少なくとも被露光基板Cに対する露光描画処理の開始時点から終了時点までの期間において、ACハンド24Aおよび24Bは、低加速度A2およびB2で駆動される。
【0081】
また、本実施形態では、計測処理中および露光描画処理中であるか否かにかかわらず、ACハンド24Aおよび24Bの移動速度を速度V1に設定する場合を例示したが、図11に示すように、ACハンド24Aまたは24Bの移動を開始する際にシステム制御部40が計測処理または露光描画処理が行われていないと判定した場合には、ACハンド24Aまたは24Bを速度V1まで加速し、システム制御部40が計測処理または露光描画処理が行われていると判定した場合には、ACハンド24Aまたは24Bを速度V1よりも小さい速度V2まで加速させてもよい。ACハンド24Aおよび24Bの移動速度の上昇に伴って振動が大きくなる場合には、加速度制御のみならず速度制御を行うことにより計測処理中および露光描画処理中における振動の更なる抑制を図ることが可能となる。
【0082】
[第2の実施形態]
以下に、本発明の第2の実施形態に係る露光描画装置について説明する。上記した第1の実施形態に係る露光描画装置1は、ACハンド24Aおよび24Bが移動する際の加速度を、計測処理中または露光描画処理中であるか否かに応じて標準加速度および低加速度のいずれかに設定するものであった。これに対して本実施形態に係る露光描画装置は、ACハンド24Aおよび24Bが移動する際の加速度を、露光描画しようとする描画パターンが高解像度である場合にのみ計測処理中または露光描画処理中であるか否かに応じて標準加速度および低加速度のいずれかに設定し、露光描画しようとする描画パターンが低解像度である場合には計測処理中または露光描画処理中であるか否かにかかわらず、標準加速度に設定するものである。例えば、ACハンド24Aおよび24Bを標準加速度A1およびB1で駆動した場合に生じる振動によってステージ10が1.5μm変位するものとする。この場合において、露光描画する描画パターンの1画素のサイズが例えば2.5μm×2.5μmである場合には、ACハンド24Aおよび24Bが移動する際の加速度として標準加速度A1およびB1を設定したとしても、ステージ10の変位量は、1画素サイズよりも小さいので、振動による画像品質への影響は小さいものと考えられる。この場合、本実施形態に係る露光描画装置では、計測処理中または露光描画処理中であるか否かにかかわらず、ACハンド24Aおよび24Bが移動する際の加速度は、サイクルタイムが最小となる標準加速度A1およびB1に設定される。一方、露光描画する描画パターンの1画素のサイズが例えば1μm×1μmである場合には、ACハンド24Aおよび24Bを標準加速度A1およびB1で駆動した場合のステージ10の変位量は1画素サイズよりも大きくなるので、振動による画像品質への影響が大きいものと考えられる。この場合、本実施形態に係る露光描画装置では上記した第1の実施形態に係る露光描画装置1と同様、計測処理中または露光描画処理中であるか否かに応じてACハンド24Aおよび24Bが移動する際の加速度を標準加速度または低加速度に設定する。
【0083】
図12は、システム制御部40によって実行される本実施形態に係る移動制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。当該プログラムはシステム制御部40に備えられたROMの所定領域に予め記憶されている。システム制御部40は、上記した露光描画処理における基板搭載準備処理(ステップS12)、基板排出準備処理(ステップS14、S19)および基板排出処理(ステップS21)を実行するタイミングであって、ACハンド24Aおよび24Bの移動を開始するタイミング、ACハンド24Aおよび24Bの移動の方向がX方向からZ方向またはZ方向からX方向に切り替わるタイミングで移動制御処理プログラムを実行する。
【0084】
ステップS40において、システム制御部40は、露光描画する描画パターンの1画素あたりのサイズを示す解像度データをシステム制御部40に備えられたRAMに記憶する。この解像度データは、例えばユーザによって入力部47から入力され、あるいはシステム制御部40に供給される露光描画すべき描画パターンの画像データに付随している。
【0085】
ステップS41において、システム制御部40は、図5のフローチャートのステップS17における計測処理または同フローチャートのステップS18においる露光描画処理が現在実行中であるか否かを判断する。システム制御部40は、本ステップにおいて計測処理中または露光描画処理中でないものと判断すると、処理をステップS43に移行する。
【0086】
ステップS43において、システム制御部40は、ACハンド24Aまたは24BがX方向またはZ方向に移動する際の加速度として標準加速度A1を選択する。本実施形態において、標準加速度A1は、露光描画処理のサイクルタイムが最小となるように、ACハンド24Aおよび24Bに設定し得る最大の加速度とされている。
【0087】
一方、システム制御部40は、ステップS41において計測処理中または露光描画処理中であると判断すると、ステップS42において、ステップS40にてRAMに記憶した描画パターンの解像度が所定の閾値よりも高いか否かを判断する。この判断を行うための閾値は、例えば、ACハンド24Aおよび24Bを標準加速度A1およびB1で駆動した場合に生じる振動によるステージ10の変位量に応じて定められる。例えば、ACハンド24Aおよび24Bを標準加速度A1およびB1で駆動した場合に生じる振動によってステージ10が1.5μm変位するものとすると、システム制御部40は上記閾値を1.5μmに設定する。この場合において、システム制御部40のRAMに記憶した解像度データによって示される1画素のサイズが例えば2.5μm×2.5μmである場合には、本ステップにおいて露光描画する描画パターンは低解像度であると判定され(否定判定)、処理はステップS43に移行される。一方、上記解像度データによって示される1画素のサイズが例えば1μm×1μmである場合には、本ステップにおいて露光描画する描画パターンは高解像度であると判定され(肯定判定)、処理はステップS44に移行される。
【0088】
ステップS44において、システム制御部40は、ACハンド24Aまたは24BがX方向またはZ方向に移動する際の加速度として標準加速度A1よりも小さい低加速度A2を選択する。本実施形態において低加速度A2は、当該低加速度A2でACハンド24Aおよび24Bを駆動した場合に生じる振動による画像品質への影響が無視できる程度の加速度とされている。システム制御部40は、選択した加速度(標準加速度A1または低加速度A2)を示す加速度情報をACハンド24Aまたは24Bに供給する。
【0089】
かかる加速度情報を受信したACハンド24Aまたは24Bは、基板搭載準備処理(ステップS12)、基板排出準備処理(ステップS14、S19)および基板排出処理(ステップS21)において、当該加速度情報によって示される加速度で加速する。すなわち、基板搭載用のACハンド24Aは、基板搭載準備処理(ステップS12)の実行時において、計測処理または露光描画処理が行われていない場合および計測処理または露光描画処理が行われており且つ露光描画しようとする描画パターンの解像度が閾値よりも低い場合には、標準加速度A1で加速し、計測処理または露光描画処理が行われており且つ露光描画しようとする描画パターンの解像度が閾値よりも高い場合には、低加速度A2で加速する。ACハンド24Aの移動速度が所定の速度V1に達すると、当該速度V1が維持される。
【0090】
一方、基板排出用のACハンド24Bは、基板排出準備処理(ステップS14、S19)および基板排出処理(ステップS21)の実行時において、計測処理または露光描画処理が行われていない場合および計測処理または露光描画処理が行われており且つ露光描画しようとする描画パターンの解像度が閾値よりも低い場合には標準加速度A1で加速し、計測処理または露光描画処理が行われており且つ露光描画しようとする描画パターンの解像度が閾値よりも高い場合には低加速度A2で加速する。ACハンド24Bの移動速度が所定の速度V1に達すると、当該速度V1が維持される。
【0091】
ステップS45において、システム制御部40は、ACハンド24Aまたは24Bが移動を開始してから所定時間が経過した否か判断する。システム制御部40は、所定時間が経過したと判断すると、処理をステップS46に移行する。
【0092】
ステップS46において、システム制御部40は、ACハンド24Aまたは24Bが移動を開始してから所定時間が経過したACハンド24Aまたは24Bが定速移動しているタイミングで再び計測処理中または露光描画処理中であるか否かの判断を行う。システム制御部40は、本ステップにおいて計測処理中または露光描画処理中でないものと判断すると、ステップS48において、ACハンド24Aまたは24BがX方向またはZ方向への移動を停止する際の加速度(減速度)として標準加速度B1を選択する。本実施形態において、標準加速度B1は、露光描画処理のサイクルタイムが最小となるように、ACハンド24Aおよび24Bに設定し得る最大の加速度とされている。
【0093】
一方、システム制御部40は、ステップS46において計測処理中または露光描画処理中であると判断すると、ステップS47において、ACハンド24Aおよび24Bの加速時における加速度の設定が低加速度A2であったか否かを判断する。システム制御部47は、ACハンド24Aおよび24Bの加速時における加速度の設定が低加速度A2であったと判断すると処理をステップS49に移行し、標準加速度A1であったと判断すると処理をステップS48に移行する。なお、本ステップにおいて、ステップS42と同様、露光描画しようとする描画パターンの解像度が所定の閾値よりも高いか否かを判断し、高解像度であると判断した場合には処理をステップS49に移行し、低解像度であると判断した場合には処理をステップS48に移行することとしてもよい。
【0094】
ステップS49において、システム制御部40は、ACハンド24Aまたは24BがX方向またはZ方向への移動を停止する際の加速度(減速度)として標準加速度B1よりも小さい低加速度B2を選択する。本実施形態において低加速度B2は、当該低加速度B2でACハンド24Aおよび24Bを駆動した場合に生じる振動による画像品質への影響が無視できる程度の加速度(減速度)とされている。システム制御部40は、選択した加速度(標準加速度B1または低加速度B2)を示す加速度情報をACハンド24Aまたは24Bに供給する。
【0095】
加速度情報を受信したACハンド24Aまたは24Bは、基板搭載準備処理(ステップS12)、基板排出準備処理(ステップS14、S19)および基板排出処理(ステップS21)において、X方向またはZ方向への移動を停止する際に当該加速度情報によって示される加速度(減速度)で減速する。すなわち、基板搭載用のACハンド24Aは、基板搭載準備処理(ステップS12)の実行時において、計測処理または露光描画処理が行われていない場合および計測処理または露光描画処理が行われており且つ露光描画しようとする描画パターンの解像度が閾値よりも低い場合には、X方向またはZ方向への移動を停止する際に標準加速度B1で減速して目標となる位置で停止し、計測処理または露光描画処理が行われており且つ露光描画しようとする描画パターンの解像度が閾値よりも高い場合には、X方向またはZ方向への移動を停止する際に低加速度B2で減速して目標となる位置で停止する。
【0096】
一方、基板排出用のACハンド24Bは、基板排出準備処理(ステップS14、S19)および基板排出処理(ステップS21)の実行時において、計測処理または露光描画処理が行われていない場合および計測処理または露光描画処理が行われており且つ露光描画しようとする描画パターンの解像度が閾値よりも低い場合には、X方向またはZ方向への移動を停止する際に標準加速度B1で減速して目標となる位置で停止し、計測処理または露光描画処理が行われており且つ露光描画しようとする描画パターンの解像度が閾値よりも高い場合には、X方向またはZ方向への移動を停止する際に低加速度B2で減速して目標となる位置で停止する。
【0097】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る露光描画装置によれば、上記した第1の実施形態に係る露光描画装置1と同様、サイクルタイムの増大を抑制しつつACハンド24Aおよび24Bの加速および減速に伴う振動の発生を抑制することが可能となり、画像品質の低下を防止することが可能となる。また、本実施形態に係る露光描画装置によれば、ACハンド24Aおよび24Bを標準加速度A1およびB1で駆動した場合の振動が画像品質に及ぼす影響が相対的に大きくなる高解像度の描画パターンを露光描画する場合にのみ計測処理中または露光描画処理中であるか否かに応じてACハンド24Aおよび24Bが移動する際の加速度を標準加速度および低加速度のいずれかに設定する移動制御処理を行う。このような制御態様によれば、比較的低解像度の描画パターンを露光描画する場合には、計測処理中または露光描画処理中であるか否かにかかわらず、ACハンド24Aおよび24Bは標準加速度で駆動されるので、この場合には、第1の実施形態に係る露光描画装置1よりもサイクルタイムの短縮を図ることが可能となる。低解像度の描画パターンを露光描画する場合には、ACハンド24Aおよび24Bを標準加速度A1およびB1で駆動した場合の振動が画像品質に与える影響は相対的に小さくなるので、画像品質が低下することはない。
【0098】
なお、本実施形態では、露光描画する描画パターンの1画素のサイズに基づいて露光描画する描画パターンの解像度を判定する場合を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、描画ラインのエッジの直線性を示すエッジラフネスの要求値や、アライメント精度の要求値により高解像度であるか低解像度であるかの判断を行うこととしてもよい。
[第3の実施形態]
以下に、本発明の第3の実施形態に係る露光描画装置について説明する。上記した第1の実施形態に係る露光描画装置は、ACハンド24Aおよび24Bが移動する際の加速度を、計測処理中または露光描画処理中であるか否かに応じて標準加速度および低加速度のいずれかに設定するものであった。これに対して本実施形態に係る露光描画装置は、ACハンド24Aおよび24Bを移動させるタイミングにおいて計測処理中または露光描画処理中が実行されている場合には、これらの処理が完了するまで待機し、これらの処理が完了した後にACハンド24Aおよび24Bを標準加速度A1およびB1で駆動させるものである。
【0099】
図13は、システム制御部40によって実行される本実施形態に係る移動制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。当該プログラムはシステム制御部40に備えられたROMの所定領域に予め記憶されている。システム制御部40は、上記した露光描画処理における基板搭載準備処理(ステップS12)、基板排出準備処理(ステップS14、S19)および基板排出処理(ステップS21)を実行するタイミングであって、ACハンド24Aおよび24Bの移動を開始するタイミング、ACハンド24Aおよび24Bの移動の方向がX方向からZ方向またはZ方向からX方向に切り替わるタイミングで移動制御処理プログラムを実行する。
【0100】
ステップS51において、システム制御部40は、図5のフローチャートのステップS17における計測処理または同フローチャートのステップS18における露光描画処理が現在実行中であるか否かを判断する。システム制御部40は、ステップS51において計測処理中または露光描画処理中であると判断すると、ステップS52においてACハンド24Aおよび24Bを待機状態として処理をステップS51に戻す。すなわち、ACハンド24Aおよび24Bは、計測処理および露光描画処理が完了するまでの間静止状態を維持する。
【0101】
システム制御部40は、ステップS51において計測処理中または露光描画処理中でないものと判断すると、ステップS53において、ACハンド24Aまたは24BがX方向またはZ方向に移動する際の加速度として標準加速度A1を設定する。本実施形態において、標準加速度A1は、露光描画処理のサイクルタイムが最小となるように、ACハンド24Aおよび24Bに設定し得る最大の加速度とされている。システム制御部40は、標準加速度A1を示す加速度情報をACハンド24Aまたは24Bに供給する。
【0102】
かかる加速度情報を受信したACハンド24Aまたは24Bは、基板搭載準備処理(ステップS12)、基板排出準備処理(ステップS14、S19)および基板排出処理(ステップS21)において、当該加速度情報によって示される標準加速度A1で加速する。
【0103】
ステップS54において、システム制御部40は、ACハンド24Aまたは24Bが移動を開始してから所定時間が経過した否か判断する。システム制御部40は、所定時間が経過したと判断すると、処理をステップS55に移行する。
【0104】
ステップS55において、システム制御部40は、ACハンド24Aまたは24BがX方向またはZ方向への移動を停止する際の加速度(減速度)として標準加速度B1を設定する。本実施形態において、標準加速度B1は、露光描画処理のサイクルタイムが最小となるように、ACハンド24Aおよび24Bに設定し得る最大の加速度とされている。システム制御部40は、設定した標準加速度B1を示す加速度情報をACハンド24Aまたは24Bに供給する。
【0105】
かかる加速度情報を受信したACハンド24Aまたは24Bは、基板搭載準備処理(ステップS12)、基板排出準備処理(ステップS14、S19)および基板排出処理(ステップS21)において、X方向またはZ方向への移動を停止する際に当該加速度情報によって示される標準加速度B1で減速して目標となる位置で停止する。
【0106】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る露光描画装置によれば、上記した第1の実施形態に係る露光描画装置1と同様、サイクルタイムの増大を抑制しつつACハンド24Aおよび24Bの加速および減速に伴う振動の発生を抑制することが可能となり、画像品質の低下を防止することが可能となる。本実施形態に係る露光描画装置では、計測処理または露光描画処理の実行中においてACハンド24Aおよび24Bは静止状態を維持するので、第1の実施形態に係る露光描画装置1と比較してサイクルタイムが若干長くなるものの、計測処理中および露光描画処理中にACハンド24Aおよび24Bの駆動に伴う振動の発生を完全に排除することが可能となる。また、本実施形態に係る露光描画装置によれば、ACハンド24Aおよび24Bに設定される加速度は、標準加速度のみであるので、標準加速度または低加速度のいずれかを選択して設定する第1および第2の実施形態に係る露光描画装置と比較して、移動制御処理を簡略化することが可能となる。
【0107】
なお、本実施形態に係る移動制御処理は、上記した第2の実施形態に係る移動制御処理と組み合わせることが可能である。すなわち、計測処理または露光描画処理の実行中にACハンド24Aおよび24Bを待機状態とする処理は、露光描画する描画パターンが高解像度である場合にのみ行い、露光描画する描画パターンが低解像度である場合には、待機期間を設けることなくACハンド24Aおよび24Bを常に標準加速度A1およびB1で駆動することとしてもよい。
【0108】
なお、上記の各実施形態においては、ACハンド24Aおよび24Bが独立に搬送動作を行う場合を例示したが、ACハンド24Aおよび24BのX方向およびY方向の移動は連動していてもよい。また、上記の各実施形態では、基板搭載用のACハンド24Aと基板排出用のACハンド24Bを用いる場合を例示したが、基板の搭載および排出の両方を行う単一のACハンドを用いてもよい。
【0109】
また、上記の各実施形態においては、ACハンド24Aおよび24Bを制御対象とする場合を例示したが、例えば、ACハンド24Aおよび24Bを上記各実施形態に係る態様で制御するとともに、基板導入部5および基板排出部6が被露光基板Cを搬送する際の動作を、ACハンド24Aおよび24Bの移動制御と同様の態様で制御することとしてもよい。
【0110】
また、上記の各実施形態においては、ステージが1つであることより、基板ステージ排出処理(ステップS15、S20)および基板ステージ搭載処理(ステップS16)が実行されるタイミングでは、計測処理(ステップS17)および露光描画処理(ステップS18)が並行して行われないことが明らかである場合を例示したが、ステージが複数存在する場合には、計測処理(ステップS17)および露光描画処理(ステップS18)と並行して行われる可能性がない処理は存在しなくなるため、すべてのタイミングで本実施形態の移動制御処理を行うこととしてもよい。
【符号の説明】
【0111】
1…露光描画装置,10…ステージ,11…基体,12…基台,16…露光部,16a…露光ヘッド,17…光源ユニット,18…光ファイバ,19…画像処理ユニット,24A・・・ACハンド,24B・・・ACハンド,27…DMD,29…マイクロミラー,40…システム制御部,47…入力部,48…表示部, C…被露光基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13