【文献】
Krill Oil Food Supplement,Mintel GNDP,2010年 4月,記録番号(ID#)1316439
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
リン脂質、他のオキアミ油より低いピロールの濃度、1mgN/100gより少ない窒素濃度のトリメチルアミン、および20mgN/100gより少ない窒素濃度のトリメチルアミンオキシドを含む、甲殻類油組成物。
トリグリセリド、中性脂質、脂質画分の20〜30wt%のポリ不飽和オメガ―3脂肪酸、および少なくとも0.8wt%の遊離脂肪酸をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の甲殻類油組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、脂質を豊富に含む甲殻類(すなわち、たとえばオキアミなど)を処理して、リン脂質、タンパク質性栄養素、および油(すなわち、中性脂質および/またはトリグリセリドなど)を含み、フッ化物、トリメチルアミンならびにトリメチルアミンオキシドを少ない状態で含む組成物を生成する方法に関する。
【0009】
1つの実施形態では、本発明は、リン脂質および約0.5ppm未満のフッ化物を含む甲殻類油組成物に関する。1つの実施形態では、本甲殻類油組成物は、約0.001%(w/w)未満のトリメチルアミンをさらに含む。1つの実施形態では、本甲殻類油組成物は、約0.02%(w/w)未満のトリメチルアミンオキシドをさらに含む。1つの実施形態では、このリン脂質は約39〜52wt%であって、このリン脂質は少なくとも約65%のホスファチジルコリンおよび少なくとも約2.4%のリゾホスファチジルコリン(lysophasphatidylcholine)を含む。1つの実施形態では、本甲殻類油は、トリグリセリド、中性脂質、約20〜26wt%のオメガ―3(たとえば、n−3)脂肪酸、および少なくとも約0.8wt%の遊離脂肪酸をさらに含む。1つの実施形態では、本甲殻類油組成物はオキアミ油である。
【0010】
1つの実施形態では、本発明は、加水分解したタンパク質のマトリックス、リン脂質および約200〜500ppmのフッ化物を含む甲殻類のリン脂質−ペプチド複合体(PPC)組成物に関する。1つの実施形態では、リン脂質は少なくとも40wt%である。1つの実施形態では、本甲殻類PPC組成物は約0.044%(w/w)のトリメチルアミンおよび約0.354%(w/w)のトリメチルアミンオキシドをさらに含む。1つの実施形態では、本甲殻類PPC組成物は少なくとも40%(w/w)のトリグリセリドをさらに含む。
【0011】
1つの実施形態では、本発明は、加水分解したタンパク質のマトリックス、約200〜500ppmのフッ化物、約35%の総脂肪、約16.6%のエイコサペンタエン酸、約10.0%のドコサヘキサエン酸および少なくとも0.1wt%の遊離脂肪酸を含む甲殻類脱油性リン脂質−ペプチド複合体(PPC)組成物に関する。1つの実施形態では、総脂肪は、20%未満のトリグリセリド、および約69%の他の脂質成分を含む。1つの実施形態では、総脂肪は約35.2%の脂肪酸を含み、この脂肪酸の約30wt%はn−3脂肪酸である。1つの実施形態では、総脂質は少なくとも68%のリン脂質をさらに含む。1つの実施形態では、本脱油性PPCは約2.2%のリゾホスファチジルコリンをさらに含む。1つの実施形態では、本脱油性PPCは約115mg/kgのアスタキサンチンをさらに含む。
【0012】
1つの実施形態では、本発明は、a)捕獲した甲殻類を、約1〜25ミリメートルの範囲の粒径を有する物質に分解することと、b)分解した甲殻類物質をリン脂質−ペプチド複合体(PPC)組成物細画分に分離することであって、この細画分は、500ppm未満のフッ化含有物を含むこととを含む甲殻類の低フッ化物組成物を作製する方法に関する。1つの実施形態では、本方法は、溶媒を含む流体でPPC組成物細画分を抽出して低フッ化物油を作製することをさらに含む。この低フッ化油は0.5ppm未満の含量のフッ化物を有する。1つの実施形態では、抽出により低トリメチルアミン/トリメチルアミンオキシド油をさらに作製し、このトリメチルアミンは約0.001%(w/w)未満であり、トリメチルアミンオキシドは約0.02%(w/w)未満である。1つの実施形態では、この分離は乳化することなく実施される。1つの実施形態では、この溶媒は非極性溶媒を含む。1つの実施形態では、この溶媒は少なくとも1つの極性溶媒を含む。1つの実施形態では、この溶媒は上述の非極性溶媒および上述の少なくとも1つの極性溶媒を含む。1つの実施形態では、この非極性溶媒は、限定するものではないが、超臨界二酸化炭素および超臨界ジメチルエーテルを含む。1つの実施形態では、この極性溶媒は、限定するものではないが、エタノールおよびアセトンを含む。1つの実施形態では、本方法は、分離の前に甲殻類物質を加水分解することをさらに含む。1つの実施形態では、この抽出は脱油性PPC組成物をさらに作製する。1つの実施形態では、この極性溶媒は、脱油性PPC組成物からリン脂質組成物およびタンパク質加水分解物組成物を分離する。1つの実施形態では、この抽出は10時間未満である。1つの実施形態では、この抽出は5時間未満である。1つの実施形態では、この抽出は2時間未満である。1つの実施形態では、この甲殻類物質はオキアミ物質である。1つの実施形態では、この分離は、約1,000〜1,800gの遠心力を含む。1つの実施形態では、この分離は、約5,000〜10,000gの遠心力を含む。
【0013】
1つの実施形態では、本発明は、低フッ化物甲殻類PPCおよび低フッ化物脱油性PPCの混合物を含む組成物に関し、このフッ化物のレベルは約200〜500ppmの範囲である。1つの実施形態では、甲殻類のPPCはオキアミのPPCである。1つの実施形態では、甲殻類の脱油性PPCはオキアミの脱油性PPCである。1つの実施形態では、甲殻類のPPCおよび甲殻類の脱油性PPCは1:1の比率である。1つの実施形態では、この混合物は細かく砕粉した粉末を含む。1つの実施形態では、この粉末は約250μmの粒径を含む。1つの実施形態では、本組成物は0.1%(mEq/kg)未満のペルオキシドレベルを含む。1つの実施形態では、本組成物は0.1%(w/w)未満のアナニシド(ananiside)レベルを含む。1つの実施形態では、本組成物は、マイクロカプセル化されたポリ不飽和オメガ―3脂肪酸をさらに含む。1つの実施形態では、本組成物は酸化亜鉛をさらに含む。1つの実施形態では、本組成物は海産のペプチドをさらに含む。1つの実施形態では、本組成物は少なくとも1つの追加的なアミノ酸をさらに含む。
【0014】
1つの実施形態では、本発明は、甲殻類の低フッ化物PPCおよび甲殻類の低フッ化物脱油性PPCを含む組成物であって、このフッ化物レベルが約200〜500ppmの範囲である組成物を処方することを含む方法に関する。1つの実施形態では、本方法は、本組成物を粉末に砕粉することをさらに含む。1つの実施形態では、本方法は、本組成物を錠剤にすることをさらに含む。1つの実施形態では、本組成物をカプセル内に被包することをさらに含む。1つの実施形態では、本方法は、本粉末を食品と混合することをさらに含む。1つの実施形態では、この処方は、マイクロカプセル化したポリ不飽和オメガ―3脂肪酸をさらに含む。1つの実施形態では、この処方は酸化亜鉛をさらに含む。1つの実施形態では、この処方は海産のペプチドをさらに含む。1つの実施形態では、この処方は少なくとも1つの追加的なアミノ酸をさらに含む。
【0015】
1つの実施形態では、本発明は、甲殻類の低フッ化物PPCおよび甲殻類のタンパク質加水分解物の混合物を含み、フッ化物のレベルが200〜500ppmの範囲である組成物に関する。1つの実施形態では、甲殻類のPPCはオキアミのPPCである。1つの実施形態では、甲殻類のタンパク質加水分解物は、オキアミのタンパク質加水分解物である。1つの実施形態では、甲殻類のPPCおよび甲殻類のタンパク質加水分解物は、1:1の比率である。1つの実施形態では、本混合物は細かく砕粉された粉末である。1つの実施形態では、この粉末は約250μmの粒径を含む。1つの実施形態では、本組成物は0.1%(mEq/kg)未満のペルオキシドレベルを含む。1つの実施形態では、本組成物は0.1%(w/w)未満のアナニシドレベルを含む。1つの実施形態では、本組成物は、マイクロカプセル化されたポリ不飽和オメガ―3脂肪酸をさらに含む。1つの実施形態では、本組成物は酸化亜鉛をさらに含む。1つの実施形態では、本組成物は海産のペプチドをさらに含む。1つの実施形態では、本組成物は少なくとも1つの追加的なアミノ酸をさらに含む。
【0016】
1つの実施形態では、本発明は、甲殻類の低フッ化物PPCおよび甲殻類のタンパク質加水分解物を含み、フッ化物のレベルが、約200〜500ppmの範囲である組成物を処方することを含む方法に関する。1つの実施形態では、本方法は、この組成物を粉末に砕粉することをさらに含む。1つの実施形態では、本方法は、本組成物を錠剤にすることをさらに含む。1つの実施形態では、本方法は、本組成物をカプセル内に被包することをさらに含む。1つの実施形態では、本方法は、この粉末を食品と混合することをさらに含む。1つの実施形態では、この処方は、マイクロカプセル化されたポリ不飽和オメガ―3脂肪酸をさらに含む。1つの実施形態では、この処方は酸化亜鉛をさらに含む。1つの実施形態では、この処方は海産のペプチドをさらに含む。1つの実施形態では、この処方は少なくとも1つのアミノ酸をさらに含む。
【0017】
1つの実施形態では、本発明は、約40〜50%の範囲の脂質および約0.5mg/kg未満のフッ化物を含むリン脂質−ペプチド複合体(PPC)組成物に関する。1つの実施形態では、この脂質はリン脂質を含む。1つの実施形態では、本発明は、約400〜500グラム/kgのリン脂質、約200〜260グラム/kgのオメガ―3脂肪酸、0.5mg/kg未満のフッ化物、約15グラム/kgのリゾホスファチジン酸、および約8グラム/kg未満の遊離脂肪酸を含む油性組成物に関する。1つの実施形態では、本発明は、約300〜400グラム/kgの脂質であって、この脂質の内、約0.1〜1.0%が遊離脂肪酸であり、約22〜27%(w/w)がオメガ―3脂肪酸である脂質を含む、脱油性リン脂質−ペプチド組成物(PPC)に関する。1つの実施形態では、この脂質はリン脂質を含む。1つの実施形態では、本発明は、少なくとも75%のリン脂質を含む甲殻類の脂質組成物に関する。1つの実施形態では、この脂質組成物は約75〜90%のリン脂質を含む。1つの実施形態では、この脂質組成物は約75%〜約80%のリン脂質を含む。1つの実施形態では、本発明は、約70〜80%のタンパク質、約1.5〜3.0%の脂質、および約5〜7%の灰を含む乾燥型タンパク質加水分解物組成物に関する。
【0018】
1つの実施形態では、本発明は、a)i)加水分解され、かつ分解された甲殻類物質と、ii)この加水分解された甲殻類物質を分離することのできる少なくとも1つの水平型の遠心機と、iii)溶媒を含む流体とを提供することと、b)第1の水平型遠心機を用いて、加水分解した甲殻類物質を、高フッ化物固体画分および低フッ化物加水分解物質画分に分解することと、c)第2の水平型遠心機を用いて、この低フッ化物加水分解物質画分を、リン脂質−ペプチド複合体(PPC)組成物細画分および濃縮型加水分解細画分に分離することと、d)PPC組成物細画分を流体と接触させて低フッ化物を抽出することとを含む方法に関する。1つの実施形態では、分解した甲殻類物質は、約1〜25ミリメートルの粒径を有する。1つの実施形態では、第1の水平型遠心機は、加水分解した甲殻類物質を乳化することなく分離する。1つの実施形態では、溶媒は非極性溶媒を含む。1つの実施形態では、この非極性溶媒は超臨界CO
2を含む。1つの実施形態では、この溶媒は極性溶媒を含む。1つの実施形態では、この極性溶媒はエタノールを含む。1つの実施形態では、第2の水平型遠心機は、延長した分離経路を含む。1つの実施形態では、接触は300bar未満の圧力で実施される。1つの実施形態では、非極性溶媒はPPC組成物細画分から脱油性PPC組成物をさらに抽出する。1つの実施形態では、エタノールはリン脂質組成物およびタンパク質加水分解物組成物を脱油性PPC組成物から分離する。1つの実施形態では、脱油性PPCは10時間未満でPPCから分離される。1つの実施形態では、脱油性性PPCは、5時間未満でPPCから分離される。1つの実施形態では、脱油性PPCは2時間未満でPPCから分離される。1つの実施形態では、加水分解された甲殻類物質は加水分解されたオキアミ物質を含む。1つの実施形態では、この加水分解された甲殻類物質の分離は、約1,000〜1,800gの遠心力で実施される。1つの実施形態では、この低フッ化物加水分解物質画分の分離は、約5,000〜10,000gの遠心力で実施される。1つの実施形態では、本方法は、約40%〜50%の脂質および0.5mg/kg未満のフッ化物を含むリン脂質−ペプチド複合体(PPC)組成物を生成する。1つの実施形態では、本方法は、約400〜500グラム/kgのリン脂質、約200〜260グラム/kgのオメガ―3脂肪酸、0.5mg/kg未満のフッ化物、約15グラム/kgのリゾホスファチジン酸、および約8グラム/kg未満の遊離脂肪酸を含む油性組成物を生成する。1つの実施形態では、本方法は、約300〜400グラム/kgの脂質であって、そのうちの約0.1〜1.0%が遊離脂肪酸であり、約20〜28%(w/w)がオメガ―3脂肪酸である脂質を含む脱油性リン脂質−ペプチド複合体(PPC)組成物を生成する。1つの実施形態では、本方法は、少なくとも75%のリン脂質を含む甲殻類脂質組成物を生成する。1つの実施形態では、この脂質組成物は、約75%〜90%のリン脂質を含む。1つの実施形態では、この脂質組成物は、約75〜80%のリン脂質を含む。1つの実施形態では、本方法は、約70〜80%のタンパク質、約1.5〜3.0%の脂質、および約5〜7%の灰を含む乾燥型タンパク質加水分解物組成物を生成する。
【0019】
1つの実施形態では、本発明は、a)少なくとも1つの非極性溶媒の入口を含む溶媒ユニットと、b)溶媒ユニットと流体連通する抽出タンクユニットであって、リン脂質−タンパク質複合体組成物を受容するように構成された入口を含む、抽出タンクユニットと、c)低フッ化物油性組成物および残留する共溶媒を放出するよう構成された出口を含む分離器ユニットであって、タンクと流体連通する分離器ユニットと、d)分離器ユニットと流体連通する吸着体ユニットであって、非極性溶媒を再利用できる吸着体ユニットとを含むシステムに関する。1つの実施形態では、この非極性溶媒は超臨界流体である。1つの実施形態では、この超臨界流体は二酸化炭素を含む。1つの実施形態では、この超臨界流体はジメチルエーテルを含む。1つの実施形態では、この溶媒ユニットは共溶媒の入口をさらに含む。1つの実施形態では、この共溶媒は極性溶媒である。1つの実施形態では、この極性溶媒は、エタノールまたはアセトンである。1つの実施形態では、少なくとも1つの非極性溶媒の入口は、使用されていない非極性溶媒の入口を含む。1つの実施形態では、少なくとも1つの非極性溶媒の入口は、再利用される非極性溶媒の入口を含む。1つの実施形態では、この溶媒ユニットは流体ポンプをさらに含む。1つの実施形態では、このタンクユニットは、流体ポンプにより加圧される。1つの実施形態では、この溶媒ユニットは、加熱器をさらに含む。1つの実施形態では、タンク中のリン脂質−タンパク質複合体組成物は、加熱器により加熱される。1つの実施形態では、分離器の出口は蒸発器と流体連通する。1つの実施形態では、この分離器は水平型の遠心機をさらに含む。1つの実施形態は、この水平型の遠心機は延長する分離経路を有するデカンタ型の遠心機である。1つの実施形態では、リン脂質−タンパク質複合体組成物は甲殻類の低フッ化物リン脂質−タンパク質複合体組成物である。1つの実施形態では、甲殻類の低フッ化物のリン脂質−タンパク質複合体組成物はオキアミの低フッ化物のリン脂質−タンパク質複合体組成物である。
【0020】
1つの実施形態では、本発明は、甲殻類、特にオキアミを処理する方法であって、この方法では、甲殻類をより小さな粒子に分解し、新鮮な水をこの分解した物質に添加し、この水と分解した物質を加熱し、分解した物質を加水分解するために酵素を添加した後、この酵素を不活性化する。本方法は、a)加水分解した物質から固体を除去して物質のフッ化物含量を低減させるステップと、b)リン脂質−ペプチド複合体物質および濃縮加水分解物画分を互いに分離するステップと、c)このリン脂質−ペプチド複合体物質を乾燥させるステップと、d)溶媒として少なくとも超臨界CO
2を使用した抽出により、乾燥産物またはPPCを成分に分割するステップとをさらに含み、この際、甲殻類を船またはボートで捕獲してすぐに処理を開始する。1つの実施形態では、デカンタによりフッ化物含有固体を加水分解物質から除去する。1つの実施形態では、リン脂質−ペプチド複合体物質および濃縮加水分解物画分は、乳化を避けるため、高遠心力および長い清澄化/分離領域を用いてsedicanterによりにより互いに分離される。1つの実施形態では、本方法は、i)リン脂質およびトリグリセリド、または中性油からなるオキアミ油と、ii)PPC由来のタンパク質加水分解物とを分離するために、超臨界CO
2に加え共溶媒として抽出エタノールを使用することをさらに含む。1つの実施形態では、溶媒の圧力は最大300barである。1つの実施形態では、抽出は、i)PPCから脱油性PPCを分離するために、溶媒として超臨界CO
2のみを使用する第1ステップと、ii)脱油性PPCからリン脂質およびタンパク質加水分解物を分離するために、溶媒としてエタノールのみを使用する第2ステップとの、2つのステップを含む。1つの実施形態では、前記脱油性PPCがPPCから抽出されるステップの期間は最大3時間である。1つの実施形態では、本方法は、約40〜50%の脂質と約0.5mg/kgのフッ化物とを含むリン脂質−ペプチド複合体(PPC)を生成する。1つの実施形態では、この脂質はリン脂質を含む。1つの実施形態では、本方法は、約400〜500グラム/kgのリン脂質、約200〜260グラム/kgのオメガ―3脂肪酸、約0.5mg/kgのフッ化物、約15グラム/kgのリゾホスファチジン酸、および約8グラム/kg未満の脂肪酸を含む油性組成物を生成する。1つの実施形態では、本方法は、約300〜400グラム/kgの脂質であって、この脂質のうち約0.1〜1.0%が遊離脂肪酸であり、約22〜27%(w/w)がオメガ―3脂肪酸である、脂質を含む脱油性リン脂質−ペプチド複合体(PPC)組成物を生成する。1つの実施形態では、本方法は、約75%の極性脂質を含む甲殻類のリン脂質組成物を生成する。1つの実施形態では、本方法は、約70〜80%のタンパク質、約1.5〜3.0%の脂質、および約5〜7%の灰を含む乾燥型タンパク質加水分解物組成物を生成する。
【0021】
定義
本明細書で使用される用語「分解した物質」は、約1〜25ミリメートル、好ましくは約3〜15ミリメートル、より好ましくは約5〜10ミリメートル、最も好ましくは約8ミリメートルの粒径を有する組成物をもたらす機械的な破壊および/または崩壊にさらされた任意の生物由来物質を指す。
【0022】
本明細書で使用される用語「加水分解した物質」は、高熱処理および/または酵素処理にさらされたいずれかの生物由来物質を指す。このような加水分解した物質は、キチン質の外骨格成分から物理的に分離したリン脂質/ペプチド成分を有すると予測される。
【0023】
本明細書で使用される用語「甲殻類」は、有機体である多肉質内部を包有する堅い外側の殻(たとえば、炭酸塩と組み合わせられたキチン質の外骨格)を有する任意の海洋生物を指す。より詳細には、この甲殻類は通常、ほとんどが水生の節足動物の大分類とされており、キチン質のまたは石灰質かつキチン質の外骨格を有し、各体節に通常著しく変形した1対の付属肢を有し、かつ2対の触覚を有する。たとえば、甲殻類は、限定するものではないが、オキアミ、ロブスター、エビ、カニ、ワラジムシ、ミジンコ、および/またはフジツボを含み得る。
【0024】
用語「水平型遠心機」は、Z面(従来の遠心機のようなX面および/またはY面と向かい合う面)で混合物を回転させることのできる任意の装置を指す。この回転は、管状の筐体内に水平に並べられたスクリュー型のコンベヤー部分により生じる。生じた遠心力がその後筐体の端により重い粒子の層を形成し、筐体の中心近くにより軽い粒子の層を形成する。いくつかの水平型遠心機は、延長した分離経路を含むように改変され、高い重力を生じる(たとえばsedicanter)。
【0025】
本明細書で使用される用語「極性溶媒」は、水と混和する任意の化合物、または化合物混合物を指す。このような極性溶媒化合物としては、限定するものではないが、エタノール、プロパノールおよび/または酢酸エチルが挙げられる。
【0026】
本明細書で使用される用語「非極性溶媒」は、水と混和しない任意の化合物、または化合物混合物を指す。このような非極性溶媒化合物としては、限定するものではないが、ヘキサン、ペンタン、ジメチルエーテルおよび/またはCO
2が挙げられる。ジメチルエーテルまたはCO
2は超臨界相で使用してもよい。
【0027】
用語「超臨界」は、臨界温度および臨界圧力を保持するか、あるいは臨界温度および臨界圧力を超える流体状態における化学物質(たとえば、二酸化炭素(CO
2)またはジメチルエーテル)を含む任意の混合物を指し、気体のように拡散してコンテナを充填するが液体のような密度を伴うことを特徴とする。たとえば、二酸化炭素は、31.1℃および72.9atm/7.39MPaを超えると超臨界流体となる。通常二酸化炭素は、標準的な温度および圧力(STP)の大気中で気体としてふるまい、また凍結される際にはドライアイスと呼ばれる固体となる。温度および圧力の両方がSTPから二酸化炭素の臨界点まで、または臨界点を超えて上昇する場合、二酸化炭素は気体および液体の中間の特性を有する。本明細書中で考慮されているように、超臨界CO
2は、低毒性および環境への影響が最小限であることに加え、化学的抽出において商業的溶媒および工業的溶媒として使用できる。また、比較的低い工程温度およびCO
2の安定性により、大部分の化合物(すなわち、たとえば生物由来化合物)を損傷または変性がほとんどない状態で抽出できる。さらに、CO
2中に抽出される多くの化合物の溶解度は圧力と共に変動し得るため、超臨界CO
2は選択的な抽出を実施するのに有益である。
【0028】
本明細書で使用される用語「フッ化物」は、有機フッ化物および/または無機フッ化物を含む任意の化合物を指す。
【0029】
本明細書で使用される用語「高フッ化物固体画分」は、加水分解および分解を行った甲殻類物質を低重力加速度(たとえば、約1,000〜1,800g)で水平型遠心機により分離した後の甲殻類の外骨格の大部分を含む組成物を指す。この画分は、これらの生物のフッ化物の大部分(すなわち、たとえば50〜95%)を保有する甲殻類の外骨格の小粒子を含む。
【0030】
本明細書で使用される用語「低フッ化物」は、元の物質より約10倍(すなわち、5ppm〜0.5ppm)フッ化物が低減された、任意の方法および/または工程の生成物を指し得る。たとえば、「低フッ化物甲殻類リン脂質−タンパク質複合体」は、「加水分解および分解を行った甲殻類物質低フッ化物」よりも10倍少ないフッ化物を含む。
【0031】
本明細書で使用される用語「低フッ化物加水分解物質画分」は、加水分解および分解を行った甲殻類物質を低重力加速度(たとえば、約1,000〜1,800g)で水平型遠心機により分離した後の甲殻類の多肉質内部物質の大部分を含む組成物を指す。この画分は、いずれのフッ化物もほとんどなく(すなわち、たとえば原料である加水分解および分解を行った物質の5〜50%)、リン脂質、中性脂質、タンパク質および/またはペプチドの小粒子を含む。
【0032】
本明細書で使用される用語「低フッ化物リン脂質−ペプチド複合体組成物細画分」は、低フッ化物加水分解物質画分を高重力加速度(たとえば、約5,000〜10,000g)で水平型の遠心分離器により分離した後の脂質物質の大部分を含む低フッ化物組成物を指す。
【0033】
本明細書で使用される用語「濃縮加水分解組成物細画分」は、低フッ化物加水分解物質画分を高重力加速度(約5,000〜10,000g)で水平型遠心機による分離した後の水に可溶な除脂肪物質の大部分を含む低フッ化物組成物を指す。
【0034】
本明細書で使用される用語「低フッ化物油」は、超臨界二酸化炭素流体などによる選択的抽出工程を使用したリン脂質−ペプチド複合体組成物細画分の抽出により作製される脂質を多く含む組成物を指す。このような工程は、原料である加水分解および分解を行った甲殻類物質からフッ化物を約10倍除去する。
【0035】
本明細書で使用される用語「脱油性リン脂質−ペプチド複合体」は、超臨界二酸化炭素流体などによる選択的抽出工程を使用したリン脂質−ペプチド複合体組成物細画分の抽出により作製される乾燥物質組成物の大部分を含む低フッ化物組成物を指す。脱油性PPCは概して、PPCと比較してトリグリセリド含量が低減している。
【0036】
本明細書で使用される用語「リン脂質組成物」は、エタノールなどの共溶媒を使用した脱油性リン脂質―ペプチド複合体の抽出により作製される高いパーセンテージの極性脂質(たとえば約75%)を含む低フッ化物組成物を指す。
【0037】
本明細書で使用される用語「タンパク質加水分解物」は、エタノールなどの共溶媒を使用した脱油性リン脂質−ペプチド複合体の抽出により作製される高いパーセンテージのタンパク質(たとえば、約70〜80%)を含む低フッ化物組成物を指す。
【0038】
本明細書で使用される用語「すぐに」は、適切な粉砕機に直接移動させるよう連結したトロール網(trawl bag)および/またはネットに捕獲したオキアミを甲板に上げる間の最小の実務時間を指す。たとえば、この最小の実務時間は、好ましくは60分以下、より好ましくは30分以下、さらにより好ましくは15分以下とすべきである。
【0039】
本明細書で使用される用語「加水分解」は、分解した甲殻類物質のタンパク質構造中で行われる任意の破壊および/または崩壊を指し、天然に存在するタンパク質配列は短くなり(すなわち、例として、アミノ酸配列一次構造のペプチド結合を破壊することにより)かつ/または変性される(すなわち、例として、アミノ酸配列の二次構造、三次構造および/または四次構造をアンフォールドして)。この工程は加水分解性酵素により制御され得る。たとえば、1つ以上の外来性タンパク質分解酵素(たとえば、アルカラーゼ(alkalase)、ニュートラーゼ(neutrase)、および微生物または植物由来の酵素)をこの工程で使用してもよい。特定のイオンなどの補因子を、使用する酵素に応じて添加できる。また、原料物質の高含量のリン脂質により引き起こされる乳化を低減するために酵素を選択することもできる。加水分解は、温度に加えて、最適または最適に近いpHで、かつ十分な時間内で行われる。たとえば、外来性酵素アルカラーゼの最適pHは約8であり、最適温度は約60℃であり、最適な加水分解時間は40〜120分である。
【0040】
用語「溶媒ユニット」は、超臨界二酸化炭素流体および/または共溶媒(たとえばエタノール)の混合物を加熱し、かつ加圧するように構成される任意の封入容積を指す。このような封入容積は、限定するものではないが、金属(たとえばスチール、アルミニウム、鉄など)、プラスチック(たとえば、ポリカーボネート、ポリエチレンなど)、ファイバーグラス(など)を含む任意の適切な物質から構成され得る。
【0041】
用語「抽出タンク」は、超臨界二酸化炭素流体を使用して原料のバイオマスから脂質およびタンパク質を抽出するために十分な熱および圧力に耐えるように構成された任意の封入容積を指す。設計の通り、本明細書で考慮される抽出タンクは、抽出した脂質およびタンパク質を含む溶媒が分離器ユニットへと移動するようにタンクの上面まで上がるように構成される。このような封入容積は、限定するものではないが、金属(たとえば、スチール、アルミニウム、鉄など)、プラスチック(たとえば、ポリカーボネート、ポリエチレンなど)、ファイバーグラス(など)を含む任意の適切な物質から構成され得る。
【0042】
用語「分離器ユニット」は、抽出タンクから受容される抽出した脂質およびタンパク質の構成成分を分離できる遠心機と共に構成される任意の封入容積を指す。それぞれの抽出成分は出口部を介して分離器ユニットを出ていき、残りの溶媒(すなわち超臨界CO
2)は再利用のため吸着体ユニットへと移される。このような封入容積は、限定するものではないが、金属(たとえば、スチール、アルミニウム、鉄など)、プラスチック(たとえば、ポリカーボネート、ポリエチレンなど)、ファイバーグラス(など)を含む任意の適切な物質から構成され得る。
【0043】
用語「吸着体ユニット」は、超臨界CO
2流体から汚染物質を除去する物質と共に構成される封入容積を指す。このような物質は、限定するものではないが、炭(charchol)、石炭、精製ガス、プラスチックポリマー樹脂および/または単一もしくは二重の押出ネット(Tenax UK LTD, Wrexham, North Wales LL13 9JT、UK)を含む濾過カートリッジを含み得る。このような封入容積は、限定するものではないが、金属(たとえばスチール、アルミニウム、鉄など)、プラスチック(たとえば、ポリカーボネート、ポリエチレンなど)、ファイバーガラス(など)を含む任意の適切な物質から構成され得る。
【0044】
用語「流体連通」は、1つの位置から別の位置に流体を輸送することのできる任意の手段を指す。このような手段は、限定するものではないが、パイプ、バケット、および/またはトラフを含み得る。このような手段は、限定するものではないが、金属(たとえば、スチール、アルミニウム、鉄など)、プラスチック(たとえば、ポリカーボネート、ポリエチレンなど)、ファイバーグラス(など)を含む任意の適切な物質から構成され得る。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明は、脂質を豊富に含む甲殻類(すなわちオキアミなど)を処理して、リン脂質、タンパク質性栄養分および油(すなわち、中性脂質および/またはトリグリセリドなど)を含む、フッ化物、トリメチルアミンならびにトリメチルアミンオキシドを少ない状態で含む組成物を生成する方法に関する。
【0047】
オキアミ油は、オキアミバイオマスから溶媒を用いて抽出された脂質を含む。オキアミバイオマスは、新鮮な、丸ごとのオキアミ(国際特許公開公報第2008/060163号)、凍結した丸ごとのオキアミ(Neptune Technologies & Bioresources Inc、カナダ)、凍結乾燥した丸ごとのオキアミ(日本特許第2215351号)またはオキアミミール(米国特許公開公報第20080274203号)のいずれかであってよい。オキアミバイオマスからの脂質の抽出に使用する溶媒は、アセトン+エタノール(国際特許公開公報第2000/23546号、国際特許公開公報第2002/102394号)、エタノール+ヘキサン(Enzymotec Ltd)、エタノール単独(日本特許第2215351号、Aker BioMarine ASA、ノルウェー)または超臨界CO
2+エタノール共溶媒(米国特許公開公報第2008/0274203号、国際特許公開公報第2008/060163号)として報告されている。溶媒を使用せずにオキアミ油を得る技術も同様に開発されている(米国特許公開公報第20110224450号)。オキアミ油は、タンパク質、炭化水素および/または無機質を本質的に含まない原料オキアミバイオマスの脂質画分を含む。また、オキアミ油は、中性脂質(たとえば、主にトリグリセリド)、極性脂質(たとえば、主にリン脂質)およびカロテノイドアスタキサンチンをも含む。創案の機構を理解する必要はないが、オキアミ油の脂質および/または脂肪酸組成物は、季節に応じて変動すると考えられている。
【0048】
いくつかの実施形態では、本発明は、限定するものではないが、i)甲殻類バイオマスから大部分の外骨格を除去して、低レベルのフッ化物を含むPPC組成物ならびにこのPPC組成物から非極性溶媒(たとえば超臨界CO
2)および任意に極性共溶媒(たとえばエタノール)により抽出される非常に低レベルのフッ化物を含むオキアミ油を得ること;ii)約5〜100ppmのフッ化物を含む従来のオキアミ油と対照的に、甲殻類油中のフッ化物レベルが0.5ppm未満であること;iii)超臨界CO
2およびエタノール共溶媒によりPPCから抽出した甲殻類油は、アスタキサンチンの分解または三級酸化生成物の形成が最小であることを示唆する最小限度の茶色を有すること;iv)Hunter L*スケールで測定される暗/褐色の低減;v)570nmでの吸収により測定されるピロール含量の低減;v)遊離脂肪酸(すなわち、たとえば、0.8g/100gの油(〜0.8%w/w))およびリゾホスファチジルコリン(すなわち、たとえば、1.5g/100gの油(〜1.5%w/w))の最小含量、を含む予期しない結果を有する甲殻類バイオマスの処理方法に関する。これらの結果は、PPCを生成する最初の処理ステップの間に甲殻類バイオマスの脂質の加水分解が最小限であったことを示唆する。
【0050】
英国特許公開公報第2240786号は、オキアミのフッ化物含量の一部を除去することを含む、オキアミを処理する方法を開示する。この除去は、粉砕したオキアミに電流を通過させることに基づく。しかしながら、フッ化物含有固体粒子は物質中に残存したままである。
【0051】
米国特許公開公報第2011/0224450号(Sclabos Katevas らによるものであり、本明細書中に参照として援用される)は、特に加熱し、デカンタにより分離し、加圧することにより、丸ごとの原料オキアミからオキアミ油を得る方法を開示する。溶媒および抽出は用いない。
【0052】
国際特許公開公報第2008/060163号(Pronova Biopharma AS)は、超臨界CO
2および共溶媒としてエタノール、メタノール、プロパノールまたはイソプロパノールのいずれかを使用してオキアミ油を得る方法を開示する。新鮮な、またはあらかじめ加熱した(約90℃)丸ごとのオキアミを、抽出に供する物質として使用する。
【0053】
国際特許公開公報第02/102394号(Neptune Technologies & Bioresources)は、異なる段階でアセトンおよびエタノールまたは酢酸エチルを溶媒として使用してオキアミ油を得る方法を開示する。凍結した丸ごとのオキアミを供給物質として使用する。
【0054】
日本特許公報第2215351号(Taiyo Fishery)は、溶媒としてエタノールを使用してオキアミ油を得る方法を開示する。凍結乾燥した丸ごとのオキアミを供給物質として使用する。
【0055】
米国特許公開公報第2008/0274203号(Aker Biomarine ASA、Bruheimら)(本明細書中に参照として援用される)は、2段階工程で超臨界流体抽出を使用して、オキアミミールからオキアミ油を得る方法を開示する。段階1は、超臨界CO
2のみまたはCO
2+約5%の共溶媒で抽出することにより中性脂質を除去する。段階2は、約20%のエタノールと組み合わせた超臨界CO
2を使用して実際のオキアミ油を抽出する。
【0056】
オキアミ脂質を抽出するこれら従来の知られている技術に関連して多くの問題が存在しており、これらの問題は、限定するものではないが、以下のことを含む。i)丸ごとの甲殻類バイオマスは高フッ化物外骨格粒子を含むため、フッ化物の混じった甲殻類油が生成される。ii)甲殻類バイオマスの処理中にアスタキサンチンが過度の熱にさらされることにより褐色の色調を有する甲殻類油が生じる。特に、この褐色は、アスタキサンチンの分解および/または非酵素的褐変化の最終産物(たとえば、ストレッカー分解産物または重合ピロール)の蓄積から生じる可能性がある。創案の機構を理解する必要はないが、この非酵素的過程から生じる褐色は、いわゆる三級酸化生成物を生成するアミノ酸またはタンパク質からのアミノ基と二級脂質酸化生成物の反応による、酸化的分解から生じると考えられている。iii)抽出プラントに輸送するための甲殻類バイオマスの凍結は、産物を比較的安定に保つが、時間がたつにつれて産物にいくつかの変化が起こる場合があることが知られており、たとえば、凍結オキアミの特徴的な変化の一つは脂質の部分的加水分解であり、トリグリセリド、リン脂質および/またはリゾリン脂質、特に、ホスファチジルコリンの加水分解から生じるリゾホスファチジルコリン(LPC)の分解から生じる遊離脂肪酸(FFA)の蓄積をもたらす。iv)加熱および凍結保存は、甲殻類バイオマス中の脂質およびタンパク質の酸化を誘導する可能性があり、最初の酸化が二次的な酸化生成物の形成を引き起こし、これらの二次的酸化生成物は揮発性であり異味または望ましくない臭いとしてオキアミ油中で検出される。v)供給物質からのオキアミ油の分離は効率がかなり悪く、油の約半分しか抽出できない。
【0057】
II.低フッ化物甲殻類物質の生成
1つの実施形態では、本発明は、捕獲してボートおよび/または船(たとえば漁船など)の上(たとえばデッキ)に引き上げられた直後の甲殻類(すなわちオキアミなど)からリン脂質−ペプチド複合体(PPC)組成物を形成することを含む方法に関する。本PPC組成物を作製する工程は、甲殻類をより小さな粒子(すなわち、たとえば約1〜25ミリメートル)を含む分解物質に分解することと、水を添加することと、分解物質を加熱することと、分解物質を加水分解するために酵素を添加することと、酵素を不活性化することと、物質のフッ化物含量を低減するために固体(たとえば外骨格、殻、および/または甲羅)を酵素処理した物質から除去することと、PPC組成物を分離しかつ乾燥することとを含む。好ましくは、本PPC組成物は陸上の施設(すなわち魚油抽出プラント)に輸送され、そこで超臨界CO
2および/またはエタノールを含むがこれらに限定されない溶媒を使用してPPC組成物から低フッ化物甲殻類油が分離される。代替的な抽出を使用して、脱油性PPC組成物、リン脂質および/またはタンパク質加水分解物組成物もPPC組成物から分離される。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態の利点は、オキアミ油のようなこれらの甲殻類生成物はフッ化物含量が少ないことである。このことは、固体の甲殻類外骨格の粒子(すなわち、たとえば殻および/または甲羅など)が処理される集塊から効果的に除去されることによる。
【0059】
本発明の別の利点は、抽出の間に、分解した甲殻類物質(たとえば供給物質)から甲殻類油を効果的に、ほぼ完全に分離できることである。このことは、たとえば超臨界CO
2溶媒を用いた抽出工程において、供給物質がPPC組成物を含むという事実による。創案の機構を理解する必要はないが、供給物質のリン脂質は加水分解したタンパク質のマトリックス中に埋め込まれており、このことはリン脂質と疎水性/リン酸化タンパク質との間の密接な会合が破壊されることにより、脂質の抽出が促進されることを意味する、と考えられている。
【0060】
本発明の利点は、抽出の際に比較的低い圧力および温度を使用でき、生産費用がより安くなることである。
【0061】
本発明のさらなる利点は、他の従来の脂質溶媒を使用する場合は一般的に残存溶媒を処分しなければならないが、超臨界CO
2を溶媒として使用する場合はその必要がないことである。
【0062】
本発明のさらなる利点は、最終産物中のホスファチジルセリン(PS)、遊離脂肪酸(FFA)およびリゾホスホコリン(LPC)含有量が非常に少ないことである。
【0063】
本発明のさらなる利点は、低フッ化物甲殻類油生成物(すなわち、たとえば低フッ化物オキアミ油など)がほとんど褐色を呈さないことである。甲殻類油中が褐色を呈することは、供給物質(たとえば分解した甲殻類物質)の製造中に望ましくない工程が起こっていることを示唆すると当業者により考えられている。
【0064】
A.甲殻類の処理
本発明は、非常に早期に開始して甲殻類の外骨格(すなわち、たとえば外皮、甲羅、および/または殻など)を実質的に完全に除去する多くのステップを含む、捕獲した甲殻類を処理する工業的方法を提供する。創案の機構を理解する必要はないが、甲殻類の外骨格は生物中のフッ化物の大部分を含むと考えられている。結果として、このステップにより甲殻類物質からフッ化物の実質的な除去がもたらされる。また、本方法は、リン脂質を多く含有する原料物質を処理する際に乳化により引き起こされる分離の問題を防ぐ、長手方向の遠心機の技術をも使用する。
【0065】
本発明による方法は、捕獲した甲殻類を甲板に上げた後すぐに開始する。フッ化物は甲殻類の外骨格から多肉質および分泌液へとすぐに漏出/拡散し始めるため、本発明による方法は甲殻類の捕獲後できるだけ早く開始することが重要である。
【0066】
本発明による工程を開始することに関連して用語「すぐに」を使用する際、このことは、甲殻類を捕獲して甲板に上げてから甲殻類の最初の分解までの期間に関連する。この期間は、最小限にするべきであり、好ましくは、60分以下、より好ましくは30分以下、さらにより好ましくは15分以下とするべきであり、ならびにトロール網および/またはネットから適切な粉砕機まで捕獲した甲殻類を直接輸送することを含むべきである。甲殻類物質の粉砕機は、従来のパルピング、砕粉(milling)、砕粉(grinding)または破砕機であってもよい。
【0067】
捕獲した甲殻類はまず分解装置の中に入れ、そこで甲殻類をパルピング、砕粉(milling)、砕粉(grinding)および/または破砕して、分解した甲殻類物質を作製する。分解工程の温度は、水の外界温度周辺(すなわち、約−2〜+1℃であるが、より好ましくは、+0℃〜+6℃)であり、任意の従来の分解方法により実施されてもよい。この分解工程は既知の処理方法によっても従来通りに行われるが、砕粉した物質中の甲殻類混合物から多量の外骨格粒子が生成し、かつフッ化物含有の高い分解ペーストを生成するため、従来技術による問題の1つを示す。しかしながら、この高フッ化物含量は、従来技術で処理した甲殻類物質の適用が限定され、かつ、これらの甲殻類物質がたとえば遠海魚などの他の海産の原料物質と比べ食品、飼料、または対応する食品もしくは飼料添加物に適しにくい理由の一つである。
【0068】
本発明によると、甲殻類物質は、後続の抽出ステップを妨害しないさらなる分離ステップに適した粒径に分離される。この分解工程を継続して実施し、最大25mmの粒径、好ましくは約0.5〜10mmの範囲の粒径、より好ましくは約1.0〜8mmの範囲の粒径を生成する。
【0069】
創案の機構を理解する必要はないが、この小さな粒度分布は、フッ化物が砕粉した物質から漏出しかつ原材料物質の残りと混ざる傾向を有するため、本発明の利点の1つを表すと考えられている。しかしながら、この漏出工程は時間がかかり、後続の酵素的加水分解ステップを特定のパラメータで実施するならば、酵素的加水分解のステップに悪い影響を与えるほど速くはない。酵素的加水分解のパラメータは、時間ならびにpHおよび温度などの最適条件またはほぼ最適な条件、ならびに特定のイオンなどの使用する酵素に応じた補因子の任意の添加に関する。
【0070】
分解物質の温度は、本発明により、後続の酵素的加水分解に適した温度まで上昇させてもよい。好ましくは、温度は、処理時間を低減してフッ化物の拡散を予防し酵素的加水分解のための物質を調製するための分解ステップからすぐに(たとえば1〜300秒以内、より好ましくは1〜100秒以内、さらにより好ましくは1〜60秒以内、最も好ましくは1〜10秒以内)上昇させてもよい。
【0071】
本発明によると、酵素の添加は、分解した物質に直接または水の添加を介してもしくは両方で行われてもよく、分解工程の前、分解工程中または分解工程の後に行われる。
【0072】
本発明によると、外来性タンパク質分解酵素(たとえば、アルカラーゼ、ニュートラーゼ、限定するものではないが、枯草菌および/もしくは黒色アスペルギルスを含む微生物由来の酵素、ならびに/または植物由来の酵素)は、分解前、分解中または分解後に添加され、かつ分解物質を加熱する前、加熱中または加熱後に添加してもよい。添加する酵素は、単一の酵素または酵素の混合物の形態であってもよい。加水分解の条件は、添加する酵素の最適な加水分解条件に合わせるべきであり、選択された外来性加水分解酵素に対する最適条件の選択は、当業者に知られている。例として、外来性酵素アルカラーゼは、最適pHが約8、最適温度60℃および最適加水分解時間が40〜120分である。選択する酵素、または酵素の組み合わせはまた、原料物質中の高リン脂質含量により引き起こされる乳化を低減するように選択するべきである。
【0073】
タンパク質分解酵素の有効量は工程および生成物の最適化工程の後に設定され、選択した特定の市販の酵素または酵素の混合物の有効性に依存する。市販の酵素の典型的な重量は、分解した原料物質の重量比として、好ましくは約0.5重量%〜0.05重量%、より好ましくは0.3重量%〜0、07重量%、最も好ましくは0.2重量%〜0.09重量%である。この加水分解ステップは、捕獲した新鮮な甲殻類中において急速でかつ制御できない自己消化が起こることが良く知られているため、外来性(天然の)酵素により補助される。
【0074】
1つの実施形態では、外来性酵素は、殻、甲羅、および外皮からのフッ化物の漏出を避けるかつ/または除外するために物質の加水分解を早めかつ/または加速させると同時に、分解した物質中のタンパク質性物質を崩壊させる。また、これらの加水分解酵素、または加水分解酵素の組み合わせは、分離工程での乳化を低減するために注意して選択されるべきである。たとえば、このような酵素は、エキソペプチダーゼおよび/またはエンドペプチターゼから選択されてもよい。酵素の混合物を使用する場合、このような混合物はまた、キチン含有画分がさらに後の段階の処理により適するように、1つ以上のキチナーゼを含んでもよい。キチナーゼを使用する場合、甲殻類の殻/外皮/甲羅から他の画分へのフッ化物の漏出を増大させないように注意しなければならない。しかしながら、このようなフッ化物の漏出は時間がかかるため、このような酵素処理を好ましい時間パラメータ内で実施することが可能である。最初の加水分解ステップの酵素混合物中にキチナーゼを含める代わりの最も簡便な方法は、分離ステップの後で分離したキチン含有画分を処理することである。
【0075】
1つの実施形態では、砕粉した外骨格物質から砕粉した多肉質の物質へのフッ化物の漏出は、外来性酵素の添加から計算して100分の時間間隔内、好ましくは60分以内、最も好ましくは45分以内に分解/加水分解ステップを完了することにより回避される。添加する酵素量は、使用する酵素製品の種類と相関する。例として、アルカラーゼ酵素は、原料物質の0.1〜0.5%(w/w)の量で添加されてもよい。より多くの酵素を添加することで加水分解ステップの時間が短縮されるため、添加する外来性酵素との関連の中で考慮すべきである。創案の機構を理解する必要はないが、加水分解の期間が短いと、フッ化物が外骨格の粒子からタンパク質性物質へと拡散する時間が短縮されると考えられる。
【0076】
加水分解処理ステップの後、または加水分解処理ステップと共に、加水分解および分解を行った甲殻類物質は、長手方向の遠心機(すなわち、たとえばデカンタ)などの重力を介して作動する粒子除去装置に通過させられる。この第1の分離ステップは、加水分解した、または加水分解中の甲殻類物質から、多量のフッ化物を含有する微粒子を除去して固体画分を生じる。遠心は、1,000〜1,800g、より好ましくは1,200〜1,600gおよび最も好ましくは、1,300g〜1,500gの重力加速度で行う。この粒子除去ステップを介して、フッ化物の実質量は、タンパク質性の甲殻類画分から除去される。乾燥重量に基づくフッ化物の低減は、典型的なフッ化物含量を1,500ppmとして、従来の甲殻類ミールと比べ最大50%、さらにより好ましくは最大85%、最も好ましくは最大95%である。
【0077】
酵素的加水分解は、加水分解期間が上述した範囲内にある限り、分離ステップの前、分離ステップ中または分離ステップの後に、加水分解中の物質を90℃超、好ましくは92〜98℃および最も好ましくは92〜95℃まで加熱(インキュベート)することにより終了してもよい。加水分解は、微粒子の除去ステップの前、除去ステップ中または除去ステップの後に、最も好ましくは微粒子の除去ステップの後に終了する。第1の遠心粒子除去ステップの温度は、1つの実施形態では、酵素の最適活性温度に依存する(この場合、酵素的加水分解ステップは、微粒子分離ステップ後で加熱により終了する)。
【0078】
従来の技術で処理したオキアミタンパク質物質は、フッ化物含有量(たとえば〜1,500ppm)により適用が限定されており、食品もしくは飼料または対応する食品もしくは飼料の添加物にあまり適していない。1つの実施形態では、外骨格物質から含有されるフッ化物を除去した後、キチン、キトサンおよびアスタキサンチンなどの物質をさらに分離/精製してもよい。このような単離手法は当業者に知られている。また、限定するものではないが、透析、ナノ濾過、エレクトロポレーションまたは他の適切な技術を含む技術を使用して、単離した外骨格物質から含有されるフッ化物をさらに低減するステップが実施されてもよい。
【0079】
加水分解酵素の失活は、阻害剤の添加、補因子の除去(たとえば、透析を介する重要なイオン)、熱失活および/または他の任意の失活手段などの異なる方法で実施してもよい。これらの中では熱失活が好ましく、ある温度までタンパク質性物質を加熱することにより加水分解酵素を変性させ失活させる。しかしながら、適切な天然タンパク質が変性されていない産物が望ましい場合、加水分解酵素の失活に加熱以外の手段が選択されるべきである。
【0080】
第1の遠心は、フッ化物の除かれた加水分解および分解された甲殻類物質画分ならびに固体画分(たとえば、フッ化物を多く含む外骨格粒子を含む)を形成する。以下に記載するように、フッ化物含量の低い加水分解および分解された甲殻類物質画分は、その後分離されて(たとえば第2の遠心により)、食品および/または飼料の添加物として使用できる低フッ化物リン脂質−ペプチド複合体(PPC)組成物画分および除脂肪低フッ化物濃縮型加水分解物画分(CHF)、ならびに主に中性脂質からなる脂質画分を形成してもよい。PPC組成物細画分は脂質を多く含み、粒子のない滑らかなクリーム状である。この脂質はペプチド成分内に良好に懸濁される。この懸濁により異なるPPC組成物成分間の密度差が小さくなり、そのため通常の遠心分離器および/またはデカンタでPPC組成物をさらに分離することが困難になる。これは、漁獲の季節の後半の間に捕獲する甲殻類で特に顕著である。
【0081】
通常の円盤型遠心分離器(すなわち、X面およびY面で回転力を発生させる)は、排出サイクルおよび必要とされる水による洗浄サイクルが分離領域を乱すため、PPC組成物細画分をそれぞれの成分に分離するように適切に作用しない。従来の遠心分離工程は、リン脂質(PL)含量が高く乾燥濃縮物の含量の低い望ましくない乳化産物の形成をもたらす。標準的なデカンタは、低重力加速度に限定され分離領域が短く、また機器から重相を排出する際に軽相および重相が混ざってしまうため、PPC組成物細画分をそのそれぞれの成分に分離できない。
【0082】
1つの実施形態では、本発明は、延長した分離経路を伴う水平型のデカンタ遠心機を使用して、低フッ化物PPC物質を細画分に分離することを含む方法に関する。
図2のような水平型の遠心機(たとえば、Z面で回転力を発生させる)が、本発明に有益であり、これは、従来のデカンタ遠心機を改変したものを含む。たとえば、PPC組成物細画分は、分離領域の真ん中で中心に置かれたフィードパイプを介してボウルから通常のデカンタに入る。対照的に、本明細書で考慮されるように水平型遠心機を使用する場合、PPC組成物細画分は、出口(1)の反対側の端から入る。この改変は、通常のデカンタよりもかなり長い清澄化/分離領域を提供し機器の最大分離長(2)を利用することにより、分離工程を大幅に改善する。駆動は、小さな機器では10,000gの重力加速度、大容量の機器では5,000〜6,000gの遠心力をかけることができ、非常に細かくてゆっくりと沈降するPPC組成物細画分の分離を同時に乳化が起こることなく促進させる。PPC組成物細画分は、バッフル(3)の下に入る直前に最も大きな重力加速度を受ける。PPC組成物細画分から分離した異なる脂質層は、水平型遠心機の軸に沿って徐々に濃縮され、それにより、機器(4)により生じる重力加速度による圧力によりバッフル(3)の下で機器を出ていく。PPC組成物細画分の約27〜30%の乾燥物質を含む層への分離は、作動性/堅実性の点で後処理の効率を良くし、また乾燥物質からミール組成物を調製する際の収率および費用のいずれについても経済的に効率良くする。PPC組成物細画分の分離により、60%超の濃縮加水分解物中に蒸発させることのできる希薄な加水分解物を含む層も生じる。
【0083】
B.オキアミ処理
本発明による1つの実施形態は、オキアミ処理の流れ図として表される。
図1を参照されたい。本方法による機能または本発明による工程は、オキアミが船に上げられてすぐに開始される。創案の機構を理解する必要はないが、オキアミが死亡してからすぐに、キチン質の外骨格から多肉質および分泌液へとフッ化物が漏出/拡散し始めることが考えられる。「すぐに」は、本明細書では、最大60分、実際には、例として15分間の期間を意味する。この期間の間、捕獲したオキアミを、トロール/ネットから適切な粉砕機に移動させる。粉砕機中でオキアミ物質を相対的に小さな分子に圧搾する。粉砕は、パルピング、砕粉(milling)、粉砕(grinding)または破砕など従来の任意の方法により実施できる。分解工程中の温度は、水の外界温度近くであり、すなわち、−2℃〜+10℃、好ましくは+0℃〜+6℃である。分解工程は、オキアミ物質の残存物中に多量のキチン質の細片を生成しそれにより高フッ化物含有物に寄与している。
【0084】
上述のキチン質細片から残存原料物質へのフッ化物の漏出により、分解したオキアミ物質の粒度分布は顕著である。粒径がより小さいと、分解したオキアミ物質から固体画分をより完全に分離できると考えられている。このため好ましい粒径の範囲は1.0〜8mmである。しかしながら、この漏出工程は相対的に遅く、その後の工程段階においては認識されない。
【0085】
次に、新鮮な水を分解したオキアミ物質に添加する(ステップ11)。添加する水の体積/Lは、たとえば、次の工程段階である酵素的加水分解の間に処理される分解したオキアミ物質の重量/kgと同じである。水を添加した分解オキアミ物質の温度は加水分解に適切なように上昇されて酵素が添加される。加熱は、処理時間を短縮するため分解ステップ後最大5分以内にすばやく行い、これによりフッ化物の拡散を防止し、かつ、酵素的加水分解のための物質を調製する。酵素は加熱ステップの前、加熱ステップ中または加熱ステップ後に、分解したオキアミ物質に直接添加でき、または水の添加を通してもしくは両方で添加できる。
【0086】
本明細書で使用される「加水分解」は、分解した物質中のタンパク質構造中で崩壊が起こり、タンパク質鎖がより短くなることを意味する。この工程は加水分解酵素により制御される。たとえば、1つ以上の外来性タンパク質分解酵素(たとえば、アルカラーゼ、ニュートラーゼ、および微生物または植物由来の酵素)をこの工程で使用してもよい。特定のイオンなどの補因子を、使用する酵素に応じて添加できる。また、選択する酵素は、原料物質中の高含量のリン脂質により引き起こされる乳化を低減するように選択することもできる。加水分解は、温度に加えて、最適または最適に近いpHおよび十分な時間(たとえば、外来性酵素であるアルカラーゼの最適pHは約8であり、最適温度は約60℃であり加水分解時間は40〜120分である)の範囲内で起こる。
【0087】
タンパク質性酵素の量は工程/産生物の最適化の後に設定でき、選択した酵素および酵素混合物の有効性に必然的に依存する。添加される市販酵素重量の分解オキアミ物質の重量に対する典型的な比は、約0.05%〜0.5%、好ましくは0.1%〜0。2%である。捕獲した新鮮なオキアミで、急速かつ制御できない自己消化、または内在性(天然の)酵素による細胞の破壊が起こることが知られており、このため、本明細書に記載される処置は捕獲物を凍結しない際には遅れることなく行わなければならない。
【0088】
酵素的加水分解はオキアミの軟組織および外骨格の間の結合の除去も引き起こす。酵素混合物を使用する場合、混合物は、キチン含有画分のさらなる処理を促進するために、1つ以上のキチナーゼを含んでもよい。キチナーゼはキチン中のグリコシド結合を破壊する酵素である。
【0089】
酵素的加水分解は、外来性酵素の添加から100分以内に終了させる。好ましい加水分解の持続期間Δtは、より短く、たとえば45分である(ステップ12)。加水分解の持続期間は相対的に短いことが重要である。なぜならこの場合、外骨格粒子から他の物質へのフッ化物の拡散が低減するからである。
【0090】
加水分解は、加水分解性酵素を失活させることにより停止する(ステップ13)。酵素を失活させる多くの方法が存在する。ここでは熱的方法を使用する。この方法では、酵素処理した物質の温度を、90℃超、好ましくは92〜98℃まで上昇させ、加水分解酵素を変性させる。実際には、加水分解酵素の失活は、固体粒子を除去する間または除去した後に実施できる。
【0091】
固体粒子(たとえばオキアミの外骨格)は、従来の水平型遠心機および/またはデカンタなどの遠心力に基づく装置を介する経路により、酵素的加水分解および分解を行ったオキアミ物質から除去できる(ステップ14)。創案の機構を理解する必要はないが、これらの固体粒子、または固体、はオキアミの外骨格に由来し、上述のようにかなりの量のフッ化物を含むと考えられている。デカンタは、1,000〜1,800g、好ましくは1,300〜1,500gの力で作動する。この粒子除去ステップを介して、90%超のフッ化物の実質量がオキアミ物質から除去される。デカンタ中の温度はたとえば90℃であり、酵素の失活が固体の除去後に行われる場合、デカンタ中の温度をその後たとえば93℃まで上昇させる。
【0092】
次に、加水分解および分解を行った低フッ化物を含むオキアミ物質を、延長した分離経路の水平型遠心機(すなわちsedicanterなど)を介した経路により改変する。
図1、ステップ15、および
図2を参照されたい。Sedicanterでは、加水分解および分解を行ったオキアミ物質を、有効な脂肪部分、またはPPC(リン脂質−ペプチド複合体)物質画分、およびCHF部分(濃縮加水分解物画分)に分離する。
【0093】
オキアミ物質内では密度差が小さいため、加水分解および分解を行ったオキアミ物質をPPC物質に分離することは困難である。Sedicanterは、長い水平型遠心機/分離領域を含み高遠心力(5,000〜6,000g)を発生させる改変した水平型遠心機である。これらの特性により、ゆっくりと沈殿する細かなPPCの分離が、乳化が起こることなく促進される。後者は、短い分離領域およびより小さな力を備える通常の遠心機における問題であり、これらの遠心機では排出サイクルおよび洗浄サイクルにおいて水が使用される。Sedicanterから加圧により押し出されるPPC組成物の乾燥濃縮物は、約27〜30%である。
【0094】
PPC物質はその後、脂質の酸化を避けるためミールに乾燥させてもよい。
図1、ステップ16。乾燥工程は低温(0〜15度、好ましくは2〜8度)および不活性条件で穏やかに行い、これらの条件下では長鎖ポリ不飽和オメガ―3脂肪酸への酸化ストレスが低減する。また、産物の過熱を回避できるため、凍結乾燥工程も適している。
【0095】
PPCオキアミミール、またはより簡潔にPPC、はその後、後の直接的な使用および工程の継続のために、窒素雰囲気下で気密バッグに密封される。
【0096】
処理した原料除脂肪ナンキョクオキアミの典型的な物質収支を以下の表1に示す。
【表1】
【0097】
加水分解および分解を行ったオキアミ物質中の分離前のフッ化物含量は1.2g/kgであり、分離後PPCは、最大0.5g/kg、概して0.3g/kgである。したがって、フッ化物の約2/3が除去された。
【0098】
PPCをさらに処理する場合、抽出により成分を単離してもよい。この段階では、溶媒を使用してもよい。
図1、ステップ17。たとえば、PPCからオキアミ油を得るために、超臨界CO
2および/またはエタノールを、それぞれ単独でまたは組み合わせて利用してもよい。この抽出工程は、オキアミ油に加えて、タンパク質加水分解物をもたらす(ステップ18)。
【0099】
臨界温度および臨界圧力を超えるまで物質(たとえば、二酸化炭素またはジメチルエーテル)を圧縮し加圧することは、超臨界流体をもたらす。その密度は、液体と気体の中間であり、温度および圧力の関数として可変である。したがって、超臨界流体の溶解度は、選択的に抽出物が得られるよう調整できる。気体のような特性により、液体と比較して拡散速度が大きいため、急速な抽出ができる。臨界パラメータに簡単に達することができるため、一般的にCO
2が超臨界流体として利用される。たとえば、ある報告では、500barの圧力および100℃の温度での超臨界流体抽出を使用することにより低収率でオキアミリン脂質が得られることが示されている。ヤマグチ(1986)。もう一つの報告は特定の工程条件におけるデータを提供し、このデータは圧力および温度の範囲(たとえば300〜500barおよび60〜75℃)を含む。これらのデータはパイロットスケールの工程によるものであり、オキアミ総脂質の84〜90%の抽出が達成された。Bruheimらの米国特許公開公報第2008/0274203号(本明細書中に参照として援用される)。
【0100】
超臨界CO
2はまた、非可燃性であり、安価でかつ不活性である。このような要因は産業上の利用可能性を考慮する際に意味がある。不活性であることは、抽出中不安定な化合物の酸化を少なくする。CO
2はまた表面張力が低く、このことで抽出媒体が物質に効率よく浸透でき、利点である。より極性の物質を抽出するために、CO
2をエタノールなどの極性溶媒と混合できる。調節剤のレベルを変えることによりさらなる選択性を提供することもできる。
【0101】
結果として、高温および高圧を使用する現在利用可能な工業用スケールの超臨界流体抽出工程では、従来のオキアミミールの抽出効率が低く、このことにより、商業的に実行可能なオキアミ抽出の解決策を提供するには油の収率が不十分であった。さらに、これらの現在利用可能な抽出工程は、改善された低フッ化物ミールおよび/油組成物を提供することに関して本明細書中に記載される問題を解決するものではない。
【0102】
したがって、本明細書に記載の改善された溶媒抽出方法が開発された。1つの実施形態では、共溶媒を超臨界CO
2または超臨界ジメチルエーテルと、いずれか単独またはエタノール、ヘキサン、アセトンとの様々な組み合わせにより使用する。たとえば、エタノールを抽出溶媒として単独使用した場合、オキアミ物質は超臨界CO
2での抽出よりも選択的でないことが観察された。Pronovaら、国際公開特許公報第2008/060163号。結果として、望ましくない物質がオキアミ物質中に抽出され、追加的な抽出後クリーンアップ/処理を必要とする。さらに、エタノールのみで抽出したオキアミ油は、油のアスタキサンチン含量とは無関係のより高い粘度およびより濃い色を有する傾向がある。
【0103】
いくつかの実施形態では、本発明は、限定するものではないが、i)PPCが低圧(すなわち、たとえば約177〜300bar)および低温(すなわち、たとえば約33〜60℃)の使用により抽出された;およびii)脂質抽出の収率が高かった(データ入手可能)、を含む思いもよらない結果を有する方法に関する。加水分解したタンパク質を含むオキアミミールから、関連する脂質、特にオキアミ油のリン脂質を豊富に含む画分をより簡単に抽出できると考えられる。
【0104】
本明細書に提示されたデータは、エタノールのみの抽出および/またはアセトン+エタノール抽出により生成したオキアミ油と比較して、最小限の褐色および優れた有機官能特性を備えたトリグリセリド、リン脂質およびアスタキサンチンを含む高純度の抽出物が生成されるため、超臨界CO
2は選択的な抽出方法であると見いだされたことを示す。オキアミ油の褐色は望ましくないと考えられている。この褐色の正確な由来は知られていないが、オキアミミールリン脂質の製造および/またはカロテノイドアスタキサンチンの分解中のオキアミ脂質の酸化に関連があると考えられている。
【0105】
圧力および温度の変動によりこのような超臨界流体の特性を変えることができ、選択的な成分抽出が可能になる。超臨界CO
2の抽出条件は、臨界温度31℃および臨界圧力74barを超えることである。調節剤の添加により、これらの値はわずかに変わるかもしれない。たとえば、中性脂質およびコレステロールは、最大370barの圧力および最大45℃の温度のCO
2で卵黄から抽出できるが、より高い温度、例えば、55℃で行うと、リン脂質抽出の速度が上昇する。CO
2は不燃性で、安価および不活性であるため、産業上の利用可能性が高い。不活性であることは、抽出中の不安定な化合物の酸化を少なくする。
【0106】
上述のように、超臨界CO
2または超臨界ジメチルエーテルは流体である。その密度は液体と気体の中間であり、温度および圧力の関数として可変である。したがって、超臨界流体の溶解度は、選択的に抽出物が得られるように調整できる。気体のような特性により、液体抽出と比較して急速な抽出ができる。本方法では、抽出は効率が良く、PPC中に存在するオキアミ油の95%が分離される。創案の機構を理解する必要はないが、供給物質のリン脂質は加水分解したタンパク質のマトリックス中に埋め込まれており、このことはリン脂質と疎水性/リン酸化タンパク質との間の密接な会合が破壊されることにより、脂質の抽出が促進されることを意味すると考えられている。さらに、フッ化物含量の最小量が、CO
2抽出工程中に油へと移行する。たとえば、PPCのフッ化物含量は約0.3g/kgであるが、CO
2抽出後、オキアミ油のフッ化物含量は0.5mg/kg未満である。
【0107】
あるいは、溶媒として超臨界CO
2のみを使用する場合、トリグリセリドおよび/または中性脂質がPPC組成物細画分から分離される。
図1、ステップ19。1つの実施形態では、超臨界CO
2のみでの抽出は、低フッ化物の「脱油性PPC」組成物も生じる。創案の機構を理解する必要はないが、脱油性PPCは、PPC組成物細画分の最も有効な部分であると考えられている。その後、脱油性組成物は、溶媒としてエタノールを使用して抽出してもよく、ここでリン脂質細画分およびタンパク質加水分解物画分も生じる。
図1、ステップ1Aを参照されたい。
【0108】
1つの実施形態では、本発明は、限定するものではないが、溶媒ユニット21、垂直型タンク22、分離器23および吸着体24を含む抽出プラントを含むシステムに関する。
図3を参照されたい。通常のCO
2および使用可能な共溶媒を溶媒ユニットに送りこむ。この溶媒ユニットは特定の圧力(p)を発生させるポンプおよび特定の温度(T)を発生させるヒーターを含む。それから使用可能な共溶媒と共に超臨界CO
2をタンク22の下端に送る。供給物質、この場合はPPC、をポンプ手段によりタンクに送り込む。溶媒により影響を受ける物質はタンクの上端から流れ出る。分離器22は、抽出物、たとえばオキアミ油、を分離し、システムから出力する。エタノールを共溶媒として使用する場合、後に適正に抽出して蒸発除去しなければならない。CO
2は吸着体23まで循環を続け、そこで洗浄された後溶媒ユニット21に戻る。
【0109】
1つの実施形態では、本発明は、限定するものではないが、極性脂質(〜43%w/w)および/または中性脂質(〜46%w/w)を含む低フッ化物PPC組成物に関する。たとえば、PPC中性脂質は約40〜50%(w/w)の範囲であってよい。1つの実施形態では、極性物質は、限定するものではないが、ホスファチジルエタノールアミン(〜3%w/w)、ホスファチジルイノシトール(〜<1%w/w)、ホスファチジルセリン(〜1%w/w)、ホスファチジルコリン(〜38%w/w)および/またはリゾホスファチジルコリン(〜2%w/w)を含む。1つの実施形態では、中性脂質は、限定するものではないが、トリアシルグリセロール(〜40%w/w)、ジアシルグリセロール(〜1.6%w/w)、モノアシルグリセロール(〜<1%w/w)、コレステロール(〜2%w/w)、コレステロールエステル(〜0.5%w/w)、遊離脂肪酸(〜2%w/w)および脂肪(〜48%w/w)を含む。1つの実施形態では、中性脂質の脂肪は約75%の脂肪酸を含む。1つの実施形態では、中性脂質の脂肪中の脂肪酸は、限定するものではないが、飽和脂肪酸(〜28%w/w)、モノエン脂肪酸(〜22%w/w)、n−6ポリ不飽和脂肪酸(〜2%w/w)および/またはn−3ポリ不飽和脂肪酸(〜26%w/w)を含む。実施例XIIIを参照されたい。
【0110】
リン脂質のプロファイルは、本明細書に記載される方法により抽出される低フッ化物オキアミ油を評価するために作製された。たとえば、核磁気共鳴技術により、ホスファチジルコリンが、オキアミ油で最も多いリン脂質成分であり、その比率は比較的安定していることが決定された。いくつかのオキアミ油試料で独立した解析を行った。実施例XIIを参照されたい。1つの実施形態では、本発明は、約39〜52%(w/w)のリン脂質を含む低フッ化物オキアミ油に関する。1つの実施形態では、リン脂質は約65〜80%(w/w)の範囲のホスファチジルコリンを含む。1つの実施形態では、リン脂質は約6〜10%(w/w)の範囲のアルキルアシルホスファチジルコリンを含む。1つの実施形態では、リン脂質は約0.3〜1.6%(w/w)の範囲のホスファチジルイノシトールを含む。1つの実施形態では、リン脂質は約0.0〜0.7%(w/w)の範囲のホスファチジルセリンを含む。1つの実施形態では、リン脂質は約2.4〜19%(w/w)のリゾホスファチジルコリンを含む。1つの実施形態では、リン脂質は約0.6〜1.3%(w/w)の範囲のリゾアシルアルキルホスファチジルコリンを含む。1つの実施形態では、リン脂質は約1.4〜4.9%(w/w)の範囲のホスファチジルエタノールアミンを含む。1つの実施形態では、リン脂質は約0.0〜2.1%(w/w)の範囲のアルキルアシルホスファチジルエタノールアミンを含む。1つの実施形態では、リン脂質は約1〜3%(w/w)の範囲のカルジオリピンおよびN−アシルホスファチジルエタノールアミンの組み合わせを含む。1つの実施形態では、リン脂質は約0.5〜1.3%(w/w)の範囲のリゾホスファチジルエタノールアミンを含む。1つの実施形態では、リン脂質は約0.0〜0.3%(w/w)の範囲のリゾアルキルアシルホスファチジルエタノールアミンを含む。
【0111】
上述のように、低フッ化物甲殻類油の非極性溶媒抽出は、低フッ化物脱油性リン脂質−タンパク質複合体組成物(脱油性PPC)の生成をもたらす。創案の機構を理解する必要はないが、低フッ化物脱油性リン脂質−タンパク質複合体は、低フッ化物PPC複合体と同様のフッ化物含量(約200〜500ppm)を含むと考えられている。脱油性PPCの成分分析は、限定するものではないが、極性脂質(〜69%w/w)および/または中性脂質(〜20%w/w)を含む。1つの実施形態では、極性脂質は、限定するものではないが、ホスファチジルエタノールアミン(〜4.2%w/w)、ホスファチジルイノシトール(〜<1%w/w)、ホスファチジルセリン(〜<1%w/w)、ホスファチルコリン(〜62%w/w)および/またはリゾホスファチジルコリン(〜2%w/w)を含む。1つの実施形態では、中性脂質は、限定するものではないが、トリアシルグリセロール(〜17%w/w)、ジアシルグリセロール(〜0.6%w/w)、モノアシルグリセロール(〜<1%w/w)、コレステロール(〜1%w/w)、コレステロールエステル(〜0.5%w/w)、遊離脂肪酸(〜1%w/w)および脂肪(〜35%w/w)を含む。1つの実施形態では、中性脂質の脂肪は約69%の脂肪酸を含む。1つの実施形態では、中性脂質の脂肪中の脂肪酸は、限定するものではないが、飽和脂肪酸(〜21%w/w)、モノエン脂肪酸(〜13%w/w)、n−6ポリ不飽和脂肪酸(〜2%w/w)および/またはnー3ポリ不飽和脂肪酸(〜31%w/w)を含む。実施例IXを参照されたい。
【0112】
III.低トリメチルアミン甲殻類物質の生成
トリメチルアミン(TMA)は、N(CH
3)
3の化学式を含む有機化合物である。TMAは無色であり、吸湿性であり、可燃性の3級アミンであり、低濃度で「魚のような」強い臭いを有し、より高い濃度ではアンモニアのような臭いを有し得る。TMAは、商業的に生産し得、また、植物および/または動物の腐敗の天然の副産物でもある。TMAは主に、腐敗した魚、いくつかの感染症、および口臭にしばしば関連する臭いの原因である。また、塩素(chorine)およびカルニチンの多量摂取にも関連する。
【0113】
化学的には、TMAは窒素塩基を含み容易にプロトン化されてトリメチルアンモニウムカチオンを生成する。トリメチルアンモニウムクロリドは、塩酸から調製される吸湿性の無色の固体である。トリメチルアミンは、良好な求核試薬であり、この反応はその適用の大部分の基礎である。
【0114】
トリメチルアミンN−オキシド(TMAO)は、式(CH
3)
3NOを含む有機化合物である。この無色の固体は通常、二水和物として観察される。TMAOは、動物に共通な代謝物である、TMAの酸化産物である。また、TMAOは、海水魚、サメおよびエイ、軟体動物、ならびに甲殻類で見いだされるオスモライトでもある。さらにTMAOは、サメ、ガンギエイおよびエイの主なオスモライトである尿素と反作用し得るタンパク質安定剤として機能し得る。TMAOは、深海魚および甲殻類中に高濃度で存在し、圧力によるタンパク質脱安定化作用と反作用し得る。Yancey, P. “Organic osmolytes as compatible, metabolic, and counteracting cytoprotectants in high osmolarity and other stresses” J. Exp. Biol. 208(15):2819−2830 (2005)。TMAOは、分解してトリメチルアミン(TMA)となり、このTMAは、海産食品の腐敗に特徴的な主要な臭気物質である。
【0115】
甲殻類産物からのTMA/TMAO化合物の除去は、これらの化合物が強力で望ましくない甲殻類油の匂いに寄与する点から有益とされる。結果的に、低濃度のTMA/TMAO化合物は、伝統的な方法で調製した甲殻類油と比較して産業上利用可能性が改善する。
【0116】
1つの実施形態では、本発明は、低フッ化物タンパク質ペプチド複合体(PPC)を抽出することを含む方法に関し、PPCは、低フッ化物―低トリメチルアミン甲殻類生成物を生成するために、限定するものではないが、エタノール、アセトン、酢酸エチル、二酸化炭素、またはジメチルエーテルを含む溶媒の任意の組み合わせを用いた抽出によるオキアミ油生成のための適切な原料物質である。1つの実施形態では、低フッ化物―低トリメチルアミン甲殻類生成物は油を含む。1つの実施形態では、低フッ化物―低トリメチルアミン甲殻類生成物は脱油性PPCを含む。
【0117】
ジメチルエーテル(DME)はポリ不飽和脂肪酸の抽出溶媒としてこれまでに報告されてきたが、低TMA生成物調製用の抽出溶媒としては報告されていない。Catchpoleら“Extraction Of Highly Unsaturated Lipids With Liquid Dimethyl Ether”国際特許公開公報第2007/136281号。DMEが超臨界の形態である場合、この溶媒はリン脂質を抽出するための十分な溶媒効力を有し、急速かつ穏やかに抽出を行える。DMAは湿潤した物質に使用でき、CO
2などの他の超臨界流体と比べ低圧で作用させることができる。1つの実施形態では、本発明は、低TMA/TMAO甲殻類油を備えたオキアミ油を含む甲殻類抽出生成物に関する。1つの実施形態では、低TMA/TMAO甲殻類油はオキアミ油である。
【0118】
IV.処方した組成物
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載される低フッ化物甲殻類PPCを含む組成物または、低フッ化物甲殻類脱油性PPC組成物および/もしくはタンパク質加水分解物を含む組成物に関する。1つの実施形態では、本組成物は、甲殻類PPC複合体、甲殻類脱油性PPCおよびタンパク質加水分解物のいずれかを組み合わせた混合物を含む。創案の機構を理解する必要はないが、混合比はいかなる比率であってもよいが、好ましくは約1:1であると考えられる。1つの実施形態では、混合物は砕粉した細かな粉末を含む。1つの実施形態では、粉末は約250μmの粒径を有する。1つの実施形態では、ペルオキシド(たとえば<0.1%;mEq/kg)および/またはアナニシド(<0.1%,w/w)のレベルがより低いため、本組成物は安定性が改善する。1つの実施形態では、微生物による汚染がより少なくなるため、本組成物は安定性が改善する。1つの実施形態では、本組成物はマイクロカプセル化したポリ不飽和オメガ―3脂肪酸をさらに含む。1つの実施形態では、本組成物は酸化亜鉛をさらに含む。1つの実施形態では、本組成物は海産のペプチドをさらに含む。1つの実施形態では、本組成物は少なくとも1つの追加的なアミノ酸をさらに含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書で記載される低フッ化物甲殻類PPCおよび/または低フッ化物甲殻類脱油性PPCおよび/またはタンパク質加水分解物を含む組成物を処方する方法に関する。1つの実施形態では、本組成物は粉末である。1つの実施形態では、本組成物は錠剤である。1つの実施形態では、本組成物はカプセルである。1つの実施形態では、本方法は粉末を食品と混合することをさらに含む。1つの実施形態では、混合物はマイクロカプセル化されたポリ不飽和オメガ―3脂肪酸をさらに含む。1つの実施形態では、混合物は酸化亜鉛をさらに含む。1つの実施形態では、混合物は海産のペプチドをさらに含む。1つの実施形態では、混合物は少なくとも1つの追加的なアミノ酸をさらに含む。
【0120】
実施例
実施例I
低フッ化物オキアミ油の生成
供給物質である、「エメラルド色のオキアミミール」の顆粒(Olymeg(登録商標)または本明細書に記載されるように調製した低フッ化物PPC)を、約25kg含有できる密封プラスチックバッグに供給した。供給物質を、抽出に使用するまで凍結保存した。顆粒は通常、2〜5mmの範囲の粒度分布を有するが、多くの細かな画分も存在した。顆粒は脂っぽい手触りであるが、それでも圧縮下でスメアになるよりは砕ける。
【0121】
5kg分の顆粒形態の供給物質を、溶媒として超臨界CO
2および共溶媒として共沸性の食品等級エタノールを使用して処理した。この際エタノールの重量はCO
2重量の23%である。プラントを、CO
2のみで圧力を作動させるためにあらかじめ加圧し、CO
2の循環が始まった時にエタノールを添加した。供給物質に対する溶媒の比率は、25:1以上であり、供給物質に対する共溶媒の比率は5:1であった。60℃で300bar、および177barで40℃という2つの抽出条件下で作動させた。表2を参照されたい。
【表2】
【0122】
抽出したオキアミ油物質を、90barおよび45〜50barでそれぞれ保持した2つの分離容器を順次通過させた。両分離器から収集した最終オキアミ油物質を共に集め、エタノールを蒸発させた。残存する供給物質は、開始供給物質と比べ脂質含量が低減した脱油性供給物質(たとえば、脱油性PPCなど)を含む。実施例IXを参照されたい。
【0123】
エタノールを蒸発させた後、抽出作動の間に採取された各試料を独立的に解析することにより、作動1および作動2のオキアミ油積算抽出曲線を作成した。表IIIを参照されたい。
【表3】
【0124】
全ての作動について供給物質の総収率は41〜42wt%に達した。300barおよび60℃で実行した作動は、より高い抽出初速度を有した。曲線は、供給物質1kgにつき21.5〜22.0kgの範囲のCO
2が累積的に使用された後、試料番号5の時点で、抽出が実質的に完了したことを示唆する。CO
2:供給物質比が26.5:1の時点で推定最大抽出に達する。
図3を参照されたい(推定最大抽出は、矢印により示される)。CO
2に対する共沸性エタノールの比率は、300barでの作動時で0.24:1であり、より低い圧力での作動ではわずかに高く、0.26:1である。
【0125】
本オキアミ油生成方法により、オキアミミールから総脂質をほぼ完全に抽出した(たとえば、約95%の中性脂質および90%のリン脂質)。最終的な収率は高圧および低圧の作動で同様であったが、中性脂質は高圧下でより速く抽出された。リン脂質の抽出速度は両抽出条件下で同様であった。以下に詳細に記載するように、この抽出工程では、集められたオキアミ油の総脂質は、合計40wt%超のリン脂質レベルを有しており、ホスファチジルイノシトールおよびホスファチジルセリンはいずれもほとんど抽出されなかった。
【0126】
多様なオキアミ物質組成物のリン脂質プロファイルを、伝統的なカラムクラムクロマトグラフィー技術を使用してその後決定した。表IVを参照されたい。
【表4】
【0127】
1番目の列は、解析した特定のリン脂質を示す。2番目の列は、開始供給物質(たとえば、本明細書に記載されるように調製した低フッ化物PPC、または「Olymeg(登録商標)」のリン脂質プロファイルを示す。3〜8番目の列(抽出物1〜6)は、上述の抽出工程の間に採取した各オキアミ油試料のリン脂質プロファイルを示す。最後の2つの列は、リン脂質抽出カラムの上部および/または下部から採取した残存抽出供給物質試料のリン脂質プロファイルを示す。
【0128】
データは、抽出オキアミ油試料中の主要なリン脂質はホスファジルコリン(PC)であり、総リン脂質の約72.7〜80.4%の範囲で、アルキルアシルホスファチジルコリン(AAPC)およびリゾホスファチジルコリン(たとえばLPCおよび/またはLAAPC)からの寄与を含むことを示す。より少量のホスファチジルエタノールアミン(PE)は、供給物質中(列1、〜5.3%)およびオキアミ油抽出試料中((列3〜8)、〜3.5〜4.5%)に存在する。アルキルアシルおよびリゾ形態のPE(AAPE、LPE)もまた、供給物質中およびオキアミ油中に存在する。ホスファチジルイノシトール(PI)およびホスファチジルセリン(PS)は供給物質中に存在するが、エタノールにほとんど溶解しないため、これらのリン脂質はほとんど抽出されず、したがって抽出供給物質残留分中に濃縮される(たとえば、供給物質と比べ残留PPC中でレベルが高い。列9および10参照)。
【0129】
抽出したオキアミ油の全体的な脂質成分相対比をさらなる解析で決定した。
図Vを参照されたい。
【表5】
【0130】
データは、i)遊離脂肪酸(FFA)の相対的な不在;ii)2%未満のステロール;iii)40wt%のトリアシルグリセリド(TAG);およびiv)約50%のリン脂質(たとえば極性脂質)、を示す。FFAはこの特定の実施例では検出されなかった(ND)が、抽出したオキアミ油は総脂質の約0.01〜0.1%のFFAを含み得ると考えられる。上述のように、抽出工程により供給物質総脂質の約92.2〜95.3%が回収される。
【0131】
本発明による方法および生成物は上に記載されている。本方法は、提示されている詳細を当然変更できる。本発明の概念は、本明細書中に記載される限定内であれば異なる方法で適用されてもよい。
【0132】
実施例II
脂質抽出効率
本実施例は、本明細書に記載される低フッ化物オキアミミール(たとえば、低フッ化物PPC)と従来のオキアミミールとをソックスレー法を用いて比較する、例示的な解析的脂質抽出を示す。ソックスレー法は、食品および飼料の脂肪含量を定量的に決定する標準的な方法であり、したがって多様なオキアミミールの抽出性を決定する参照方法として使用できる。たとえば、以下のように石油エーテル(沸点30〜60℃)を用いてソックスレー法を実行してもよい。従来のオキアミミールは米国特許公開公報第2008/0274203号(Alter Biomarine ASA、Bruheimら)中に記載されるように調製し、低フッ化物PPCは本発明により調製した。
【0133】
中性脂質はしばしば、貯蔵組織中の大きな凝集体の一部であり、そこから比較的簡単に抽出される。他方で極性脂質は膜の構成成分として存在しており、膜においてタンパク質およびポリ多糖と密接に関連し相互作用していることから、抽出が容易ではない。さらに、リン脂質は、疎水性タンパク質および特にリン酸化タンパク質と比較的強固に結合している。
【0134】
データは、本明細書で記載される低フッ化物PPC組成物の調製におけるタンパク質マトリックスの部分的加水分解が、非極性有機溶媒(たとえば、超臨界CO
2、エタノール、および/または石油エーテル)の使用による総脂質の抽出効率を改善することを示す。
【0135】
短く説明すると、従来の砕粉オキアミミールまたは低フッ化物PPCの試料を10g量り、ソックスレー装置中に配置し、その後300mlの石油エーテルを使用して約8時間継続して抽出した。抽出後、溶媒を窒素気流下60℃で蒸発させた。Soxhlet F., “Die gewichtsanalytische bestimmung des milchfettes” Dingler's Polytech. J. 232:461−465(1879)。
【0136】
結果は、残存(たとえば抽出されていない)脂質の比率が、低フッ化物オキアミミールと比べ従来のオキアミミール中で2倍であったことを示す。表VIを参照されたい。
【表6】
【0137】
結果として、本明細書に記載される脂質抽出方法は、抽出効率が大きく改善されることによりすぐれた生成物を提供するという、思いもよらない驚くべき結果を提供する。
【0138】
実施例III
フッ化物含量の決定
本実施例は、イオン選択電極を使用した化学的解析によりフッ化物としてのオキアミ生成物のフッ化物含量を決定する1つの方法を提示する。
【0139】
低フッ化物PPCオキアミミールを本明細書に記載されるように調製し、実施例Iにしたがって抽出して、低フッ化物オキアミ油を作製した。このフッ化物含量を解析し、従来の調製工程と比較した。短く述べると、本明細書に開示される方法により、オキアミミールからオキアミの外骨格の大部分を除去し、これによりフッ化物含量を低減する。対照的に、従来のオキアミミールはオキアミの外骨格を含み、これにより比較的高いレベルのフッ化物を有する。従来の工程は、たとえば、国際特許公開公報第2002/102394号(Neptune Technologies & Bioresources)および米国特許公開公報第2008/0274203号(Aker Biomarine ASA)に記載される。
【0140】
フッ化物含量について解析したオキアミミールは、i)本発明の低フッ化物の方法;およびii)従来の工程により生産された丸ごとのオキアミ物質により生成した。表VIIを参照されたい。
【表7】
【0141】
データは、オキアミミール(たとえば、本明細書に開示される低フッ化物調製)を生成する工程において外骨格を除去することにより、オキアミミールおよびこのミールから生成したオキアミ油のフッ化物含量はが顕著に低減した(たとえば3〜10倍の低減)ことを実証する。
【0142】
実施例IV
オキアミ油の色の比較
オキアミ油は概して、50ppm〜1500ppmで変動するレベルで油中に存在するカロテノイドアスタキサンチンから生じる強い赤色を有する。オキアミ油の色は、LabScan(登録商標)XE分光光度計(Hunter Associates Laboratory, INC. Resbon, VA、USA)で決定でき、CIELABカラースケール(L*、a*、およびb*値)で報告できる。アスタキサンチンの赤色からの偏差は、高温でかつ酸化を誘導する条件下でオキアミバイオマスを処理した際に起きる可能性がある。オキアミ油色における偏差を誘導する典型的な酸化は、褐色の色調を増加させる。オキアミ油中の褐色は、脂質の酸化ならびにアミノ酸を含む二次的および三次的な酸化生成物の形成から生じる。またこの工程は非酵素的褐色化とも呼ばれる。
【0143】
ストレッカー分解生成物およびピロールは、オキアミ油の試料において特徴づけられている非酵素的褐色化の生成物である。たとえば、ピロールの重合は褐色のメラトニン様高分子の形成をもたらす。さらに、オキアミ油のピロール含量は570nmにおける吸光度で分光学的に決定できる。
【0144】
オキアミ油の試料は、色で試験される。試料の内の1つは本発明の方法により生成され、1つは国際特許公開公報第2002/102394号(Neptune Technologies &Bioresources)に記載される方法により凍結したオキアミから生成され、1つは米国特許公開公報第2008/0274203号(Aker Biomarine ASA)に記載されるエタノール単独で乾燥オキアミミールから抽出される。本発明の方法により生成したオキアミ油は、CIELABカラースケール(L*、a*およびb*値)を用いて分光学的に決定した褐色のレベルが最も低く、および/または分光学的に決定したピロールのレベルが最も低いということが判明した。
【0145】
実施例V
オキアミ油の官能特性の決定
オキアミ油の官能特性は、オキアミタンパク質の腐敗およびトリメチルアミンオキシド(TMAO)から生じる揮発性の窒素化合物の化学的解析により、従来通り解析される。解析される窒素化合物は、総揮発性窒素(TVN)および総トリメチルアミン(TMA)である。簡単に述べると、窒素化合物のレベルは、原料物質、すなわち油の抽出に使用するオキアミバイオマス中の腐敗レベルと相関する。
【0146】
揮発性窒素化合物に加えて、独特の臭いを伴う多量の揮発性成分は、オキアミ油の官能特性に寄与するということが明らかにされている。多くの揮発性成分は、オキアミバイオマスの脂質およびタンパク質性化合物の酸化から生じる。したがって、オキアミバイオマスの酸化分解のレベルを限定する方法は、オキアミ油中の揮発性成分量を低減する。
【0147】
異なる種類のオキアミ油の官能特性の評価は、熟練者の集まりにより実施される。決定される官能特性は、いくつかの予め定義された臭いおよび味のパラメータを含む。新規オキアミ油は、試験した他の油と比較して官能プロファイルが改善したことが見いだされた。試験した他の油は、国際特許公開公報第002/102394号(Neptune Technologies & Bioresources)に記載される方法により凍結オキアミから抽出した油および米国特許公開公報第2008/0274203号(Aker Biomarine ASA)に記載されるようにエタノール単独で乾燥オキアミミールから抽出した油を含む。
【0148】
実施例VI
低トリメチルアミン甲殻類生成物の生成
本実施例は、オキアミミール物質組成物を使用して低TMA甲殻類生成物を生成する1つの方法を記載する。本明細書に関して、このオキアミミール物質組成物が、以下に記載される基本的な成分に加えて、0.5ppm未満のフッ化含量を含む、可変的なフッ化物含量を有し得ることを当業者は理解するものである。表VIIIを参照されたい。
【表8】
【0149】
その後、オキアミ油を、以下に記載される基本的な成分を有するオキアミミールから上述のようにエタノール抽出を使用して調製してもよい。
【表9】
【0150】
あるいは、オキアミ油は、超臨界ジメチルエーテル(SC DME)を使用して、40barおよび40℃でのオキアミミール抽出により調製した。DME抽出組成物をRotavapor(登録商標)で乾燥しそれから窒素を流した。残存する乾燥組成物の成分を以下に列挙する。表Xを参照されたい。
【表10】
【0151】
これらのデータは、オキアミミール組成物の超臨界DME抽出が、TMAおよびTMAOレベルの10〜100倍の好ましい低減をもたらすことを明確に示す。
【0152】
実施例VII
低フッ化物オキアミ油の核磁気共鳴リン脂質プロファイル
本実施例は、本明細書に記載される方法により調製した低フッ化物オキアミ油のリン脂質組成物の代表的なデータを提示する。表XIを参照されたい。
【表11】
【0153】
これらのデータは、実施例1に示される伝統的なカラムクロマトグラフィーを使用して得られたデータと一致する。
【0154】
実施例VIII
低フッ化物PPC物質の脂質組\成解析
本実施例は、本明細書に記載される方法により作製した低フッ化物リン脂質−タンパク質複合体組成物の脂質組成解析を示すデータを提示する。結果的に、以下に記載される組成物のフッ化物含量は500ppm未満であることが予測される。
【0155】
PPCは、約46.7g/100g(たとえば〜47%)の総脂肪、11.8g/100g(たとえば〜12%)のエイコサペンタエン酸(EPA)および6.7g/100g(たとえば〜7%)のドコサヘキサエン酸(DHA)を含む。PPC総脂肪の総脂質含量は約87.7%(w/w)であり、約115〜260mg/kgのアスタキサンチンおよび約35.2〜46.7%の抽出されていない油を含む。
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【0156】
実施例IX
低フッ化物脱油性PPC物質の脂質組成解析
本実施例は、本明細書に記載される方法により作製した低フッ化物脱油性リン脂質−タンパク質複合体組成物の脂質組成解析を示すデータを提示する。結果として、以下に記載される組成物のフッ化物含量は500ppm未満であることが予測される。脱油性PPCは、約35g/100g(たとえば〜35%)の総脂肪、16.6g/100g(たとえば〜17%)のエイコサペンタエン酸(EPA)および10.0g/100g(たとえば〜10%)のドコサヘキサエン酸(DHA)を含む。脱油性PPC総脂肪の総脂質含量は約87.7%(w/w)であり、約115mg/kgのアスタキサンチンおよび約35.2%の抽出されていない油を含む。
【表18】
【表19】
【表20】
【0157】
実施例X
PPC/タンパク質加水分解物混合物の組成解析
本実施例は、本明細書に記載される方法により作製した、約60/40の比率でタンパク質加水分解物組成物と混合した低フッ化物リン脂質−タンパク質複合体の、脂質組成解析を示すデータを提示する。以下に記載される組成物のフッ化物含量は500ppm未満であることが予測される。混合物は、約28〜30g/100g(たとえば〜30%)の総脂肪、約98mg/kgのアスタキサンチンエステル、約1mg/kg未満のアスタキサンチン、0.1%;(mEq/kg)未満のペルオキシドレベルおよび/または0.1%(w/w)未満のアナニシドレベルを含む。
【表21】
【表22】
【表23】