(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
互いに対向する一対のサイドブラケットを有し、前記サイドブラケットの各々が金属屋根の突出部を両側から挟んで締め付けることにより前記突出部に固定され、前記サイドブラケットの各々上に該固定された設置物を取り付ける金属屋根用取付金具であって、
前記サイドブラケットの各々は、
縦板部と、
前記縦板部の下端から別のサイドブラケットに向けて屈曲して延設された突出板部と、
前記突出板部の第1側端のうち前記縦板部側にある一部から前記縦板部の第1側端に延設して一体成形された第1側板部と、
前記突出板部の第2側端のうち前記縦板部側にある一部から前記縦板部の第2側端に延設して一体成形された第2側板部とを備え、
前記突出板部の底面のうち前記第1側板部に沿って隣接する領域を第1受部とし、
前記突出板部の底面のうち前記第2側板部に沿って隣接する領域を第2受部とすることを特徴とする金属屋根用取付金具。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態である金属屋根用取付金具10(以下、単に取付金具10という)を用いて2個の設置物12が金属屋根モデル14に取り付けられた状態を示す3面図で、(a) は平面図、(b) は(a) の下方から見た正面図、(c) は(a) の右側から見た側面図である。また、
図2は斜視図で、
図3は
図1の(a) におけるIII −III 矢視部分の縦断面図である。金属屋根モデル14は金属屋根を表したもので、はぜ部に相当する突出部16を備えており、取付金具10はこの突出部16に一体的に固定されて設置物12を支持する。設置物12は、太陽光発電パネルの枠体などである。
【0022】
取付金具10は、支持ブラケット20、挟持機構22、および押え金具24を備えている。支持ブラケット20は、金属屋根モデル14の突出部16に固定されるもので、設置物12が載置される平坦なベース部材30と、そのベース部材30の両側部に組み付けられた一対のサイドブラケット32、34とを備えている。
図6はベース部材30の3面図で、(a) は平面図、(b) は(a) の下方から見た正面図、(c) は(a) の右側から見た側面図であり、(c) の側面図は
図1(b) の正面図に対応する。また、
図7はベース部材30の斜視図である。このベース部材30は、金属板材を矩形状に曲げ加工したもので、設置物12が載置される長方形のベース部36と、そのベース部36の4隅において所定の隙間を隔てて下面側へ180°回曲させられた断面U字状の折返し部38a〜38dとを備えており、その折返し部38aおよび38b、38cおよび38dによって一対のガイド溝40、42が構成されている。ベース部36には、プレス加工によってビード状の補強リブ202が設けられている。ベース部36の両端部には、それぞれ略直角に上方へ折り曲げられた一対のガード44、46が設けられて、設置物12を位置決めするようになっているとともに、ベース部36の中央には、挟持用ナット80の円筒部102(
図11参照)が挿通させられる貫通穴50が設けられている。また、折返し部38aおよび38c、38bおよび38dは、それぞれベース部36の下側にガイド溝40、42を挟んで平行に設けられた先端連結部52、54を介して互いに連結されており、それ等の先端連結部52、54の先端縁には、貫通穴50に対応して半円形状の切欠が設けられている。ガード44、46が設けられたベース部36の突出部分と、折返し部38a〜38dとの間には、それぞれスリット56a〜56dが設けられている。
【0023】
一対のサイドブラケット32、34は同一形状で、
図1の(b) の正面図および
図3から明らかなように左右対称に上記ベース部材30のガイド溝40、42に互いに対向して組み付けられる。以下、一方のサイドブラケット32について説明するが、他方のサイドブラケット34についても同様である。
図8は、
図1の(b) の正面図において左側に位置する一方のサイドブラケット32の4面図で、(a) は平面図、(b) は(a) の下方から見た正面図、(c) は(b) の下側から見た底面図、(d) は(b) の右側から見た側面図であり、(d) の側面図は
図1(b) の正面図に対応する。また、
図9はサイドブラケット32の斜視図である。このサイドブラケット32は、
図8の(d) の側面図から明らかなように金属板材を略U字形状にプレス加工したもので、平板状のスライド部60と、そのスライド部60の一端部から下方へ延び出すとともに下端部が他方のサイドブラケット34側へ突き出すように傾けられた略L字形状の挟持部68とを備えている。スライド部60は、前記ベース部材30のガイド溝40内に
図3における左右方向へスライド可能に嵌合され、他方のサイドブラケット34に対して接近する方向へ移動可能にベース部材30に組み付けられるとともに、そのスライド部60の先端の中央部分には前記貫通穴50に対応して半円形状の切欠66が形成されている。
【0024】
挟持部68は、下方へ延び出す縦板部62と、その縦板部62の下端から90度以上の略直角にプレス加工で傾けられた突出板部64とを有する。つまり、プレス加工により実現される縦板部62と突出板部64のなす角が90度以上であることから、当該プレス加工の工程が簡素化され、挟持部68の品質管理が容易となる。上記プレス加工は、絞り加工により行われるが、曲げ加工で行ってもよい。突出板部64は金属屋根モデル14上に載置されるとともに、その突出板部64の先端には略90°上側へ傾けられて前記突出部16に面接触させられる当接部70が設けられている。この突出板部64は、縦板部62の下端部の全域部分に設けられている。また、縦板部62の下半分の部分には、上部が幅狭で下部が幅広の引っ掛け穴74が設けられている。この引っ掛け穴74は前記挟持機構22の一部を構成している。なお、このサイドブラケット32の
図8(d) におけるU字形状の角部や、縦板部62、突出板部64には、それぞれプレス加工によってビード状の補強リブ76が設けられている。
【0025】
スライド部60が前記ベース部材30のガイド溝40内に
図3における左右方向へスライド可能に嵌合されると、突出板部64は、縦板部62の下端から他方のサイドブラケット34に向けて屈曲した状態にある(
図3、
図8を比較参照)。
【0026】
図8(a)で明らかなように、突出板部64の右側には、突出板部64の右側端のうち縦板部62側にある一部204から縦板部62の右側端に延設して一体成形された第1側板部206が設けられている。突出板部64の左側には、突出板部64の左側端のうち縦板部62側にある一部210から縦板部62の左側端に延設して一体成形された第2側板部212が設けられている。尚、
図9等で明らかなように、第1側板部206の略中央には作業穴208が設けられ、第2側板部212の略中央には作業穴214が設けられている。
【0027】
上記一体成形は、絞り加工により行われる。そのため、上記一体成形では、第1側板部206及び第2側板部212を設けるための切り欠きを必要としない。つまり、応力集中の要因となる切り欠きがないため、成形性が向上するとともに、圧縮荷重や側面負荷に対するサイドブラケット32の強度が向上する。さらに、
図8(d)や
図9で明らかなように、第1側板部206及び第2側板部212は、側面視でL字形状である。L字形状は、
図1の(b)の正面図に表された左右の挟持部68で明らかのように、取付金具10の内側を向いている。L字形状の第1側板部206は、上記一体成形が絞り加工で行われることによって、突出板部64の右側端の上記一部204及び縦板部62の右側端と一体になったL字形状内側フランジとなり、そのL字形状内側フランジはブラケット32の右側に形成される。L字形状の第2側板部212は、上記一体成形が絞り加工で行われることによって、突出板部64の左側端の上記一部210及び縦板部62の左側端と一体になったL字形状内側フランジとなり、そのL字形状内側フランジはサイドブラケット32の左側に形成する。上記L字形状内側フランジの形成については、サイドブラケット32とは同一形状である他方のサイドブラケット34においても同様である。以上より、互いに向き合うサイドブラケット32、34の両側、つまり、取付金具10の四隅には、金属屋根モデル14上に載置される上記L字形状内側フランジがそれぞれ設けられているため、上述した絞り加工による成形性の向上に加え、金属屋根モデル14上での載置安定性や剛性を確保することができる。
【0028】
もっとも、上記一体成形を、曲げ加工により行ってもよい。
【0029】
図8(c)等で明らかなように、突出板部64の底面には、第1側板部206に沿って隣接する領域が第1受部216として設けられ、第2側板部212に沿って隣接する領域が第2受部218として設けられる。
図8(b)等で明らかなように、第1受部216及び第2受部218は、突出板部64の底面より数ミリ単位で突出している。突出板部64とともに第1受部216及び第2受部218は、金属屋根モデル14上に載置される(
図2参照)。
【0030】
図8(a)(c)で明らかなように、縦板部62のうち第1側板部206に沿って隣接する領域220及び突出板部64のうち第1側板部206に沿って隣接する領域222は、外方に向かって突出するU字形状の断面を有する。縦板部62のうち第2側板部212に沿って隣接する領域224及び突出板部64のうち第2側板部212に沿って隣接する領域226は、外方に向かって突出するU字形状の断面を有する。
【0031】
前記挟持機構22は、前記ベース部36に設けられた貫通穴50内を上方へ挿通させられたボルト48が、そのボルト48に螺合されるとともにベース部36の上面に着座させられる挟持用ナット80の回転に伴ってベース部36に対して上方へ移動させられることにより、前記一対の挟持部68を互いに接近させて突出部16を挟持させるもので、前記引っ掛け穴74に引っ掛けられる引張部材82、ボルト48、挟持用ナット80を含んで構成されている。
図10は、引張部材82の3面図で、(a) は平面図、(b) は(a) の下方から見た正面図、(c) は(a) の右側から見た側面図であり、(b) の正面図は
図1(b) の正面図に対応する。この引張部材82は、長手形状の金属板材に曲げ加工等を行ったもので、長手方向の中央部分の連結部84には連結穴86が設けられて前記ボルト48に連結されるとともに、その連結部84の両側には、それぞれ斜め下方へ対称的に傾斜する一対の傾斜部88が設けられている。連結穴86は、ボルト48の軸部(おねじ部)よりも大径で且つ頭部90よりも小径であり、ボルト48が連結部84の下側から連結穴86内に挿入されることにより、ボルト48の頭部90が連結部84の下面に当接させられ、挟持用ナット80の回転に伴って引張部材82がボルト48と共に上方へ移動させられる。連結穴86の近傍には一対の半円形の係合突起92がプレスによって設けられており、頭部90と係合させられることによってボルト48の回転が阻止されるようになっている。
【0032】
上記一対の傾斜部88の先端、すなわち引張部材82の長手方向の両端部には、それぞれT字形状を成すように一対の幅広の係止部96が設けられており、その係止部96が前記引っ掛け穴74から外側へ突き出して、その引っ掛け穴74に係止されるようになっている。引っ掛け穴74の下側の幅広部74aは、係止部96よりも幅寸法が大きく、係止部96をその引っ掛け穴74から外側へ挿通させることができる一方、引っ掛け穴74の上側の幅狭部74bは係止部96よりも幅寸法が狭く、引張部材82がボルト48と共に上方へ移動させられることにより、係止部96はその幅狭部74bに係止される。そして、引張部材82がボルト48と共に更に上方へ引き上げられると、左右両側のサイドブラケット32、34の一対の挟持部68は引張部材82を介して内側へ引っ張られ、互いに接近させられて金属屋根モデル14の突出部16を両側から挟んで挟持する。
図3から明らかなように、引張部材82の一対の傾斜部88は、中央の連結部84が上方へ引っ張られることにより、傾斜が更に大きくなるように内側へ弾性変形させられ、一対の挟持部68が互いに接近する内側へ引っ張られる。
【0033】
幅広の係止部96の先端に更に長手方向へ略水平に延び出す延出部162が設けられている。この延出部162の寸法は、前記
図4(a)に示されるように一対のサイドブラケット32、34が互いに離間させられた拡開状態においても、引張部材82の両端部がそれぞれ挟持部68の引っ掛け穴74から抜け出さないように定められており、延出部162と引っ掛け穴74との係合状態が維持されることにより、
図4の(a) 〜(b) に示すように一対のサイドブラケット32、34を接近離間させながら支持ブラケット20を金属屋根モデル14の突出部16に配置する作業を一層容易に行うことができる。
【0034】
挟持用ナット80は、
図11に示す3面図および
図12の縦断面図から明らかなように、ボルト48に螺合されるめねじが設けられたナット部100と、そのナット部100に連続して同心に設けられた円筒部102と、その円筒部102の先端側部分に設けられたおねじ104とを一体に備えている。円筒部102の内径はボルト48のおねじの外径よりも大きいとともに、前記ベース部36に設けられた貫通穴50は、その円筒部102の外径よりも大きく、円筒部102は貫通穴50内に挿入される。また、ナット部100と円筒部102との境界部分には、その貫通穴50よりも大径のフランジ106が設けられており、ベース部36の上面に着座させられるようになっている。
図3から明らかなように、フランジ106がベース部36の上面に着座させられた状態でおねじ104は前記ベース部材30の先端連結部52、54よりも下方へ突き出すように設けられており、そのおねじ104に固定ナット108が螺合されることにより、その挟持用ナット80のベース部材30に対する上方移動が規制される。固定ナット108はストッパに相当し、E形止め輪等に比較して組付作業が容易である。
【0035】
本実施形態では、円筒部102がおねじ104よりも大径で段差が設けられており、固定ナット108はその段差に当接するまで締め付けられて一体的に固定される。円筒部102の長さ寸法Lは、ベース部材30のベース部36の厚さd(
図6の(b) 参照)よりも僅かに大きい寸法であり、固定ナット108がおねじ104に締め付けられて一体的に固定された挟持用ナット80は、ベース部材30に対して軸方向の相対移動不能で且つ軸まわりに回転可能に保持される。これにより、その挟持用ナット80に螺合されるとともに、前記引張部材82の係合突起92により回転が阻止されているボルト48も、挟持用ナット80が回転しない限りベース部材30に対して上下移動不能に固定される。
図11の(a) はナット部100側から見た平面図で、(b) は(a) の下方から見た正面図、(c) は(b) の下方から見た底面図である。また、
図12の縦断面図は、
図11(a) における XII−XII 矢視断面に相当する。
【0036】
前記押え金具24は、長手形状の金属板材に曲げ加工等を行ったもので、長手方向の中央部分に設けられた平坦な締結部110には、前記挟持用ナット80から上方へ突き出すボルト48の軸部(おねじ)が挿通させられる貫通穴112が設けられているとともに、その締結部110の両側には対称的に略垂直に上方へ延び出す一対の縦壁部114、およびその縦壁部114の上端から互いに離間する外方へ延び出す一対の平坦な挟圧部116が設けられている。そして、ベース部36上に載置された一対の設置物12の上面に一対の挟圧部116がそれぞれ略密着するように押え金具24を配置し、締結部110から上方へ突き出すボルト48に螺合された取付用ナット118を締め付けると、ベース部36と挟圧部116との間で設置物12が挟圧されて支持ブラケット20に一体的に固定される。設置物12は、
図1の(c) から明らかなように、前記ベース部36に設けられたガード44、46と押え金具24の縦壁部114との間で位置決めされる。押え金具24には、長手方向に沿って一対のビード状の補強リブ119がプレス加工によって設けられている。
【0037】
以上のように構成された取付金具10は、先ず、例えば
図4に示すように支持ブラケット20が挟持機構22により金属屋根モデル14に取り付けられる。
図4の(a) は組付工程で、金属屋根モデル14に設置するのに先立って、ボルト48に引張部材82および固定ナット108を装着して、円筒部102がベース部材30の貫通穴50内に挿入された挟持用ナット80に螺合するとともに、その状態でベース部材30の両側のガイド溝40、42内に一対のサイドブラケット32、34のスライド部60をそれぞれ挿入して組み付ける。また、挟持用ナット80のおねじ104に対して固定ナット108を締め付け、一体的に固定することにより、ベース部材30に対して挟持用ナット80が軸まわりに回転可能で且つ軸方向の相対移動不能に保持される。この時、一対のサイドブラケット32、34の挟持部68は突出部16に相当する幅寸法だけ互いに離間しており、(b) の設置工程では、矢印Aで示すように支持ブラケット20を下降させて金属屋根モデル14上に一対の挟持部68を載置するとともに、矢印Bで示すように一対のサイドブラケット32、34を手作業で互いに接近させて一対の挟持部68によって突出部16を挟み込む。
【0038】
図4の(c) では、挟持用ナット80を締め付けて、その締付力でボルト48をベース部材30に対して上方へ移動させることにより、引張部材82を介して一対の挟持部68を互いに接近させて、突出部16を強固に挟持させる。これにより、支持ブラケット20が挟持用ナット80の締付力に応じた固定強度で金属屋根モデル14に固定される。また、ベース部材30に軸方向の相対移動不能に保持されている挟持用ナット80に螺合されているボルト48は、挟持用ナット80が回転しない限りベース部材30、更には支持ブラケット20に対して上下移動不能とされる。
【0039】
図13は、前記
図1(b) に対応する正面図であり、サイドブラケット32、34は、一方のサイドブラケット32の4面図を示す
図8から明らかなように、スライド部60および挟持部68を有し、スライド部60を介して左右対称にベース部材30のガイド溝40、42に組み付けられるが、スライド部60の先端(
図8(a) の上端)の両側の角部には、側部からそれぞれスリット136が設けられることによってI字形の分岐突起138が形成されている。
【0040】
そして、
図15の(a) に示すようにスライド部60が先端側からガイド溝40に挿入されて、サイドブラケット32がベース部材30に組み付けられた状態において、上記分岐突起138が前記折返し部38aから内側へ突き出す位置で、
図15の(b) に示すようにその分岐突起138が板厚方向へ折り曲げられることによって抜止め部140が設けられ、スライド部60がガイド溝40から抜け出す際に折返し部38aに当接させられて抜け出しが阻止される。
図16の(a) は抜止め部140が設けられた部分の平面図で、(b) は(a) の右側から見た側面図である。反対側の側部の分岐突起138も同様に折り曲げられて、折返し部38bに当接させられることにより抜け出しが阻止され、片当たりによるこじりが防止される。他方のサイドブラケット34についても同じである。ベース部材30の各折返し部38a〜38dとガード44、46が設けられた突出部分との間にはそれぞれスリット56a〜56dが設けられているため、このスリット56a〜56dからパンチを挿入して分岐突起138を曲げ加工することができる。
【0041】
これにより、ベース部材30に組み付けられた一対のサイドブラケット32、34がそのベース部材30から離脱することが防止され、支持ブラケット20を金属屋根モデル14に固定する際の作業性が向上する。
図14は、一対のサイドブラケット32、34の抜止め部140がそれぞれ折返し部38a〜38dに当接するまでサイドブラケット32、34が互いに離間した拡開状態であり、この拡開状態で前記
図4の(a) 〜(b) に示すように金属屋根モデル14の突出部16に支持ブラケット20を容易に設置することができる。
【0042】
特に、分岐突起138は、スライド部60の側部から設けられたスリット136によってスライド部60の先端角部に片持ち状に設けられており、スライド部60のスライド方向に対して横向きに折り曲げられて抜止め部140が形成されるため、その抜止め部140の曲げR部がガイド溝40、42に噛み込んでスライド部60の動きが阻害される恐れがなく、一対のサイドブラケット32、34を容易に接近離間させることが可能で、支持ブラケット20を金属屋根モデル14の突出部16に固定する作業が一層容易になる。すなわち、例えば
図17の(a) に示すように、スライド部60の先端にその先端側(
図17(a) の右方向)へ突き出す突起部150を設け、その突起部150を
図17の(b) に示すように曲げ加工して抜止め部152を設けた場合、抜止め部152の曲げR部がガイド溝40に噛み込んでスライド部60のスライド移動が阻害される可能性がある。なお、このような抜止め部152を設ける態様も本発明の一実施形態である。
【0043】
図13ではまた、
図8から明らかなように、一対のサイドブラケット32、34の挟持部68の当接部70の上端縁に、複数(実施形態では2つ)の係止爪142が設けられており、金属屋根モデル14の突出部16に食い込むようになっている。この係止爪142は、当接部70の上端縁にプレス加工によってV字溝が形成されることによって設けられている。これにより、突出部16に対する支持ブラケット20の位置ずれが抑制され、更に強固に固定することができる。
【0044】
図5は、以上のように金属屋根モデル14に配設された支持ブラケット20に対して設置物12を取り付ける工程を説明する図で、(a) の設置物載置工程では一対の設置物12をベース部材30のベース部36上に載置する。(b) の押え金具配置工程では、一対の設置物12の上面に一対の挟圧部116がそれぞれ略密着するように押え金具24を配置し、(c) の取付用ナット締付工程で押え金具24の締結部110から上方へ突き出すボルト48に取付用ナット118を螺合して締め付ることにより、ベース部36と挟圧部116との間で設置物12が挟圧されて一体的に固定される。ボルト48は支持ブラケット20に上下移動不能に固定されているため、設置物12は取付用ナット118の締付力に応じた取付強度で支持ブラケット20に取り付けられる。
【0045】
このように、本実施形態の取付金具10によれば、挟持用ナット80のおねじ104に固定ナット108が締め付けられることにより、ベース部材30に対して挟持用ナット80が軸まわりに回転可能で且つ軸方向の相対移動不能に保持されているため、その挟持用ナット80を締め付けることにより一対の挟持部68を互いに接近させて支持ブラケット20を金属屋根モデル14に固定した状態で、その挟持用ナット80に螺合されたボルト48は支持ブラケット20に対して上下移動不能とされている。このため、設置物12を固定するために取付用ナット118をボルト48に締め付ける際に、その取付用ナット118の締付力に拘らずボルト48がベース部36に対して上方へ移動することが阻止され、設置物12はその取付用ナット118の締付力に応じてベース部36と押え金具24との間で挟圧されて支持ブラケット20に一体的に固定される。一方、金属屋根モデル14の突出部16に対する支持ブラケット20の固定強度は挟持用ナット80の締付力に応じて定まるため、結局、支持ブラケット20の固定強度および設置物12の取付強度を、互いに影響されることなくそれぞれ独立に適切に定めることができる。
【0046】
また、引張部材82の両端部に設けられた一対の幅広の係止部96がそれぞれ一対の挟持部68の引っ掛け穴74に係止された状態で、挟持用ナット80の回転に伴ってその引張部材82がボルト48と共に上方へ移動させられることにより、その一対の挟持部68を内側へ引き込んで互いに接近させるため、断面U字形状の外側金具によって一対の挟持部を接近させるような公知技術と比較して強度的に有利であり、引張部材82を含めた挟持機構22を簡単で安価に構成しつつ支持ブラケット20を大きな固定強度で金属屋根モデル14に固定することができる。
【0047】
また、一対の挟持部68が別体に構成されてそれぞれスライド部60を備えており、そのスライド部60がベース部材30に設けられたガイド溝40、42内に挿入されることにより、それ等の一対の挟持部68が互いに接近する方向へ移動可能にベース部材30に組み付けられるため、一対の挟持部68を一体に連結してその連結部等の変形により互いに接近させる場合に比較して、挟持部68の強度や形状等の設計の自由度が高くなり、支持ブラケット20の固定強度を確保しつつ小型化、軽量化を図ることができる。
【0048】
また、ストッパとして固定ナット108が用いられ、挟持用ナット80のおねじ104に螺合されることにより、その挟持用ナット80のベース部材30に対する上下移動が規制されるため、E形止め輪等に比較して組付作業が容易である。
【0049】
また、本実施形態の取付金具10では、互いに対向する一対のサイドブラケット32、34が金属屋根モデル14に載置されると、サイドブラケット32では、縦板部62の下端から別のサイドブラケット34に向けて屈曲して延設された突出板部64の底面が金属屋根モデル14に対向し、突出板部64の底面のうち第1側板部206に沿って隣接する領域である第1受部216が金属屋根モデル14に当接するとともに、突出板部64の底面のうち第2側板部212に沿って隣接する領域である第2受部218が金属屋根モデル14に当接する(
図2参照)。そのため、突出板部64の底面が載置面に相当する。
【0050】
このような構成により、本実施形態の取付金具10では、サイドブラケット32が金属屋根モデル14に載置された場合に、別のサイドブラケット34に向かって屈曲されたサイドブラケット32の載置面(である突出板部64の底面)と金属屋根モデル14との間に隙があっても、第1受部216と第2受部218とが金属屋根モデル14に当接しているので、金属屋根モデル14上での載置安定性を確保することができる。
【0051】
特に、金属屋根モデル14に当接している第1受部216と第2受部218は、縦板部62の下端から別のサイドブラケット34(取付金具10の内側)に向けて屈曲して延設された突出板部64の底面に設けられているため、比較的狭い金属屋根モデル14にサイドブラケット32を載置させることができる。
【0052】
また、本実施形態の取付金具10では、サイドブラケット32が第1側板部206と第2側板部212とを備える。第1側板部206は突出板部64の右側端のうち縦板部62側にある一部204から縦板部62の右側端に延設して一体成形され、第2側板部212は突出板部64の左側端のうち縦板部62側にある一部210から縦板部62の左側端に延設して一体成形される。このような一体成形により、サイドブラケット32の剛性を確保することができる。
【0053】
また、本実施形態の取付金具10では、第1受部216及び第2受部218が突出板部64の底面より数ミリ単位で突出していることから、第1受部216と第2受部218とが金属屋根モデル14に当接し易くなり、金属屋根モデル14上での載置安定性を一層に確保することができる。
【0054】
特に、金属屋根モデル14の傾斜によりサイドブラケット32が傾いても、第1受部216と第2受部218とが金属屋根モデル14に当接し易くなることで、スライド部60がベース部材30のガイド溝40から抜けることを防止するため、サイドブラケット32を組み付ける際の作業性が向上する。
【0055】
また、本実施形態の取付金具10では、第1側板部206及び第2側板部212が側面視でL字形状であることから、サイドブラケット32の剛性を一層に確保することができる。
【0056】
また、本実施形態の取付金具10では、縦板部62のうち第1側板部206に沿って隣接する領域220及び突出板部64のうち第1側板部206に沿って隣接する領域222が外方に向かって突出するU字形状の断面を有し、縦板部62のうち第2側板部212に沿って隣接する領域224及び突出板部64のうち第2側板部212に沿って隣接する領域226が外方に向かって突出するU字形状の断面を有する。このようなU字形状の断面により、サイドブラケット32の剛性を一層に確保することができるとともに、突出板部64の底面にある第1受部216と第2受部218が外方に向かって突出するので、第1受部216と第2受部218とが金属屋根モデル14に当接し易くなり、金属屋根モデル14上での載置安定性を一層に確保することができる。
【0057】
尚、これらの点は、サイドブラケット32と同一形状のサイドブラケット34でも同様である。
【0058】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。なお、以下の実施形態において前記実施形態と実質的に共通する部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0059】
図18は前記
図1に相当する3面図で、(a) は平面図、(b) は(a) の下方から見た正面図、(c) は(a) の右側から見た側面図であり、この取付金具120は前記実施形態に比較して押え金具122が相違する。すなわち、押え金具122は、単一の設置物12を固定するためのもので、左右非対称形状であり、前記締結部110を挟んで
図18の(c) の上側部分は前記押え金具24と同じで、ベース部36と挟圧部116との間で設置物12を挟圧して固定することができる。一方、締結部110を挟んで反対側の下側部分には、締結部110からベース部36側へ略90°曲げられた補助脚部124が設けられており、ベース部36の上面に当接させられることにより、押え金具122の姿勢を規定して、取付用ナット118の締め付けにより設置物12を確実にベース部36との間で挟圧して固定できるようになっている。
【0060】
以上、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【0061】
例えば、
図19の4面に表されたサイドブラケット132では、前記サイドブラケット32と比べ、挟持部68の当接部70の上端縁から係止爪142(
図8(d)参照)が省かれている。このようなサイドブラケット132を、前記サイドブラケット32に代え、使用してもよい。この点は、前記サイドブラケット32と同一形状である前記サイドブラケット34でも同様である。
【0062】
図20の3面に表された引張部材160では、前記引張部材82と比べ、係止部96の先端から延出部162(
図10参照)が省かれている。このような引張部材160を、前記引張部材82に代え、使用してもよい。
【0063】
取付金具10、120は、例えば金属屋根モデル14の突出部16に支持ブラケット20を固定し、その支持ブラケット20に太陽光発電パネルの枠体を設置物12として取り付ける場合に好適に用いられるが、金属屋根モデル14のはぜ部(連結部)に支持ブラケット20を固定することもできるし、太陽光発電パネル以外の設置物12を取り付けることも可能である。
【0064】
挟持用ナット80の円筒部102に設けられるストッパとしては、円筒部102に設けられたおねじ104に螺合される固定ナット108が適当であるが、円筒部102に設けられた環状溝にE形止め輪を嵌め付けたり円筒部102をかしめたり、或いはストッパを溶接したりしても良いなど、種々の態様が可能である。固定ナット108の場合、挟持用ナット80との間でベース部36を挟圧することにより、そのベース部36に挟持用ナット80を一体的に固定し、ボルト48を軸方向の移動不能に位置決めすることができるが、E形止め輪などでは、寸法誤差等により挟持用ナット80がベース部36に対して僅かに上下変位可能であっても良い。ストッパによって挟持用ナット80の上方への移動、更にはボルト48の上方への移動が阻止されるようになっていれば良い。
【0065】
スリット56a〜56dによって形成された分岐突起138が板厚方向へ折り曲げられることにより、スライド部60がガイド溝40から抜け出すことを阻止する抜止め部140が設けられているが、このような抜止め部140が無くても差し支えないし、先端側へ突き出す突起を折り曲げて抜止め部を設けたり、別体の抜止めピン等を取り付けたりしても良いなど、種々の態様が可能である。