特許第6309021号(P6309021)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6309021運転者が車両から離れる前に、車両の自動変速装置又は自動化された変速装置のパーキングブレーキが掛っていないことを報知するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309021
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】運転者が車両から離れる前に、車両の自動変速装置又は自動化された変速装置のパーキングブレーキが掛っていないことを報知するための方法
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/22 20060101AFI20180402BHJP
   F16H 61/02 20060101ALI20180402BHJP
   F16H 59/54 20060101ALI20180402BHJP
   F16H 59/74 20060101ALI20180402BHJP
   F16H 61/22 20060101ALI20180402BHJP
   F16H 63/40 20060101ALI20180402BHJP
【FI】
   B60T17/22 C
   F16H61/02
   F16H59/54
   F16H59/74
   F16H61/22
   F16H63/40
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-547107(P2015-547107)
(86)(22)【出願日】2013年10月15日
(65)【公表番号】特表2016-503864(P2016-503864A)
(43)【公表日】2016年2月8日
(86)【国際出願番号】FR2013052463
(87)【国際公開番号】WO2014096578
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年9月30日
(31)【優先権主張番号】1262197
(32)【優先日】2012年12月18日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】デランノーイ, オリヴィエ
【審査官】 尾形 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−003569(JP,A)
【文献】 特開2012−236485(JP,A)
【文献】 特開2012−111301(JP,A)
【文献】 特開2006−298011(JP,A)
【文献】 特開平05−087239(JP,A)
【文献】 特開昭57−090447(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0078478(US,A1)
【文献】 米国特許第05581233(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 17/22
F16H 59/54
F16H 59/74
F16H 61/02
F16H 61/22
F16H 63/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの作動中は、運転者のドアの開放の検出を受けて、車両の自動又は自動化された変速装置に係わるパーキングブレーキが掛っていないことを変速装置コンピュータにより報知するシステムにおいて、
エンジンのオフ後に、運転者のドアの開放の検出を受けて、前記車両速装置に係わるパーキングブレーキが掛っていないことを報知するための方法であって、
エンジンのオフ後に、前記変速装置コンピュータは不作動状態になり、前記変速装置コンピュータ以外の車両演算ユニットによって、前記パーキングブレーキの掛りの状態に関する最終信号を記録することとし、運転者の、又は乗員のドアが開放されていて、前記車両の変速装置に係わるパーキングブレーキが掛っていない場合には、前記車両の乗員の注意を引くための警報信号を発することを特徴とする、警報方法。
【請求項2】
掛りの状態に関する最終信号の保存は、前記変速装置コンピュータが不作動状態にされた後にも作動状態であり続ける、車両のコンピュータによって行われることを特徴とする、請求項1に記載の警報方法。
【請求項3】
前記車両の車載制御装置に係わるコンピュータから警報メッセージが送信されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の警報方法。
【請求項4】
CANメッセージが消失した場合に、ダッシュボードのコンピュータが、前記変速装置に係わる前記パーキングブレーキの掛りの状態に関する最終信号を保存することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の警報方法。
【請求項5】
前記ダッシュボードによって保存された位置は、電力の供給がオフにされる時の電動の駐車確認機能部の位置であることを特徴とする、請求項に記載の警報方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動の駐車状態確認(parking finger)機能が設けられた自動変速装置を備えた車両において、「オープンドア警報」と称する警報手順に関する。
【0002】
より具体的には、本発明の主題は、エンジンがオフにされた後に、自動車の自動変速装置又は自動化された変速装置に係わるパーキングブレーキが掛っていないことを報知するための方法である。
【0003】
この発明は、特に電動の駐車状態確認機能が設けられた自動変速装置を備えた車両に適用しうるが、それだけに限るものではない。
【背景技術】
【0004】
自動変速装置又は自動化された変速装置を備えた車両の非固定化したことによる安全面のリスクを回避するためには、運転者が車両から離れる前に、変速装置が「パーキング」モードに入っていないということを、運転者に警報で知らせることが重要である。
【0005】
既知の一機構によると、運転者のドアの開放を検出することにより、ダッシュボード上にメッセージを表示することによって、警報が与えられる。公報US5 956 088は、自動変速装置の選択レバーの位置をモニタすることと警報信号の活性化とを組み合わせる、この種の方法を開示している。
【0006】
しかし、この公報により、車両の非固定化に伴う安全面での問題が、あらゆる状況において解決される訳ではない。具体的には、車両が放置されている時に、パーキングブレーキの掛り状態をモニタする自動変速装置コンピュータが非作動状態である場合、パーキングブレーキの掛りに対する制御はなくなっている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、エンジンのオフ後に、車両の「ドア開放警報」を確実に行えるようにすることである。
【0008】
この目的を達成するために、本発明は、変速装置コンピュータ以外の車両演算処理ユニットによって、パーキングブレーキの掛り状態に関する最終信号を記録することとし、自動変速装置又は自動化された変速装置のパーキングデバイスが掛っていないにもかかわらず、運転者の、又は乗員のドアが開放されている場合に、車両の乗員の注意を引くための警報信号を発することを、提案する。
【0009】
本発明により、係合状態信号の保存は、変速装置コンピュータがオフにされた後にも活性状態であり続ける、車両のコンピュータによって取り扱われる。
【0010】
好ましくは、警報メッセージは、車両の車載制御手段に関連付けられたコンピュータによって送信される。
【0011】
本発明のその他の特徴及び利点は、原理を示す単一の図である添付の図面を参照して、本発明の非限定的な実施形態の下記の説明を読むことで、明白に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による、運転者が車両から離れる前に、車両の自動変速装置又は自動化された変速装置のパーキングブレーキが掛っていないことを報知するための方法を示す、ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
車両のダッシュボードは、様々な車載制御手段に関連付けられた、独自のコンピュータを有することが多い。自動変速装置(AT)も、独自のコンピュータを有する。通常運転において、すなわち、自動変速装置(AT)が作動している「エンジン稼動中」の時に、ATのコンピュータは、パーキングブレーキの係合の状態、及び/又は、速度切換弁の位置について、連続的に情報を与えられる。変速装置のこの特定の機能の状態は、ATのコンピュータから、自身のネットワーク又は「CAN(Controller Area Network)」バスのような、車両のデータ伝送ネットワークを介して、をダッシュボードに伝送される。ここでダッシュボードのコンピュータは、警報機能について、ATのコンピュータの「指図に対する」「スレーブ」としての応答が可能で、パーキングブレーキの掛り状態又は掛っていない状態について車両の占有者に警告することができる。従って、「ドア開放」警報は、ダッシュボードからの警報メッセージとして、適当なタイミングで伝えることができる。
【0014】
原理上は、運転者のドアの開放の検出は種々のコンピュータで行うことができる。しかし、システムの様々な部分に対する機能に関する一貫性、横断性、割り当てなどの理由から、図の上部に示されているように、この警報を管理する主体である、自動変速装置コンピュータが行うことが多い。あらゆる状況において、「ドア開放警報」機能には、ドアの接触をモニタすることと、「ドア開放」情報を処理することとが係わっている。従って、車両の通常運転において、警報の管理にはATのコンピュータが係わる。「ドアが開放している」かつ「パーキングが掛っていない」(非パーキングである)という、2条件が満たされている場合に、警報が生成される。ここでATのコンピュータは、CANを介して、「ドア開放」警報に対応するメッセージの送信を行う。CANメッセージは、車両の占有者に、生じているリスクについて警告するために、ダッシュボード、又は他の任意の人間−機械インタフェース(HMI)によって使用される。
【0015】
電力消費の最適化のためにエンジンオフ後に自動変速装置に電力が供給されなくなると、ATのコンピュータによってなされる、CANを介してのパーキングブレーキの状態の伝送も停止する。たとえ駐車状態確認機能が掛っていなくとも、「ドア開放」警報は生成されなくなる。この問題を解決するために提案する解決手段の拠り所は、警報値の演算処理に使用されていないコンピュータを活用することである。すなわち、ATのコンピュータ以外のコンピュータのうち、ATのコンピュータがオフにされた後にも作動状態であり続けるものが、選択される。それは、好ましくは、ダッシュボードのコンピュータであり、CANメッセージの消失の場合に、変速装置のパーキング/非パーキング状態に対応するメッセージの最終値を保存するのはダッシュボードのコンピュータである。車両の他の任意の演算処理ユニットも、人間−機械インタフェースに係わっている場合には寄与させることが可能であり、警報信号は、好ましくは、車両の車載制御装置に係わるコンピュータから送信される。
【0016】
ブロック図の中央部に示すように、ATのコンピュータが(耐用期間の特定のフェーズにおいて、又は不具合により)作動しなくなって、変速装置の状態に対応するCANメッセージがATのコンピュータから伝送されなくなると、直ちに、ダッシュボードのコンピュータが、変速装置のパーキング/非パーキング状態に対応するメッセージの最終値を保存する。
【0017】
なお、ダッシュボードのコンピュータが運転者のドアの状態の受信も行うようにした場合、ダッシュボードのコンピュータは、単独で、確実に、かつ一貫性を保って、「ドアが開放している」かつ「パーキングが掛っていない」ことを示す「ドア開放」警報の値を算出し直すことができる。
【0018】
ダッシュボードには常に電力が供給されることから、車両の耐用期間のあらゆるフェーズにおいて「ドア開放」警報が生成されることが保証される。
【0019】
本発明は、電動の駐車状態確認アクチュエータを備える自動化された変速装置に、特に適する。この場合、ダッシュボードのコンピュータによって保存された位置は、それ以降、駐車状態確認機能部には電力が供給されなくなることから、常に自動化された変速装置の最終位置である。すなわち、保存位置は、電力供給がオフにされる時の電動の駐車状態確認機能部の位置である。
【0020】
なお、パーキング位置が機械ケーブルによって制御される場合、パーキング位置は、電力の供給がなくとも掛けることができる。ただし、変速装置のパーキング/非パーキング情報は保存される。その結果、エンジンがオフにされている時にダッシュボードが「パーキングの掛っていない」位置を保存している場合、その後、運転者がスピードセレクタを操作することによって、当該位置は、機械的に「パーキングの掛っていない」位置へと変更されることがあり得るが、ダッシュボードのコンピュータに変更の情報が与えられることはない。この状況は、場合によっては偽警報を生成することになるが、変速装置は有効に不動化されるのであるから、勝手に車両が移動するというリスクを生じさせたりはしない。
図1