特許第6309043号(P6309043)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309043
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】イメージセンサおよび撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/369 20110101AFI20180402BHJP
   G02B 7/28 20060101ALI20180402BHJP
   G02B 7/34 20060101ALI20180402BHJP
   G03B 13/36 20060101ALI20180402BHJP
   G03B 11/00 20060101ALI20180402BHJP
   H04N 9/07 20060101ALI20180402BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20180402BHJP
【FI】
   H04N5/369
   G02B7/28 N
   G02B7/34
   G03B13/36
   G03B11/00
   H04N9/07 A
   H04N9/07 D
   H04N5/232 120
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-98831(P2016-98831)
(22)【出願日】2016年5月17日
(65)【公開番号】特開2017-118477(P2017-118477A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2016年5月17日
(31)【優先権主張番号】14/757,475
(32)【優先日】2015年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507296388
【氏名又は名称】采▲ぎょく▼科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】VisEra Technologies Company Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】王 唯科
【審査官】 鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−514733(JP,A)
【文献】 特開2015−162562(JP,A)
【文献】 特開2011−103335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30−5/378
H04N 5/222−5/257
H04N 9/04−9/11
G02B 7/28
G02B 7/34
G03B 11/00
G03B 13/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通常センサユニットと一対のオートフォーカスセンサユニットを含むセンサアレイ層
前記センサアレイ層上に配置され、前記複数の通常センサユニットをカバーする複数のカラーフィルターユニット
前記センサアレイ層上に配置され、前記一対のオートフォーカスセンサユニットをそれぞれカバーすIRパスフィルターユニット
前記カラーフィルターユニットと前記IRパスフィルターユニット上に配置された複数のマイクロレンズを含むマイクロレンズ層と、を含み、
位相差オートフォーカス機能を実行するために、前記一対のオートフォーカスセンサユニットの一方が第1側から来た赤外光を検出し、前記一対のオートフォーカスセンサユニットの他方が前記第1側と反対側の第2側から来た赤外光を検出
前記一対のオートフォーカスセンサユニットの一方は、前記一対のオートフォーカスセンサユニットの他方に隣接し、
前記複数のマイクロレンズは、いずれかが前記複数のカラーフィルターユニットの1つの上に配置された複数の第1のマイクロレンズと、前記一対のオートフォーカスセンサユニットをカバーするために前記IRパスフィルターユニット上に配置された第2のマイクロレンズと、を含み、
前記通常センサユニットおよび前記フォーカスセンサユニットは、同じユニット領域を有する、イメージセンサ。
【請求項2】
前記2つの隣接するオートフォーカスセンサユニット、前記IRパスフィルターユニット、および前記第2のマイクロレンズは、第1の位相差オートフォーカスセットを構成し
前記第1の位相差オートフォーカスセットの前記2つの隣接するオートフォーカスセンサユニットは、行方向に沿って配置され、および、
前記イメージセンサは、前記第1の位相差オートフォーカスセットと同じ構成要素を有する第2の位相差オートフォーカスセットをさらに含むが、前記第2の位相差オートフォーカスセットの2つの隣接するオートフォーカスセンサユニットは、列方向に沿って配置される請求項に記載のイメージセンサ。
【請求項3】
前記IRパスフィルターユニットは、800nmまたは900nmより長い波長の光を通過させる請求項に記載のイメージセンサ。
【請求項4】
撮像装置であって、
複数の通常センサユニットと一対のオートフォーカスセンサユニットを含むセンサアレイ層と、
前記センサアレイ層上に配置され、前記複数の通常センサユニットをカバーする複数のカラーフィルターユニットと、
前記センサアレイ層上に配置され、前記一対のオートフォーカスセンサユニットをそれぞれカバーすIRパスフィルターユニットと、
前記カラーフィルターユニットと前記IRパスフィルターユニット上に配置された複数のマイクロレンズを含むマイクロレンズ層と、を含むイメージセンサを含み、
位相差オートフォーカス機能を実行するために、前記一対のオートフォーカスセンサユニットの一方が第1側から来た赤外光を検出し、前記一対のオートフォーカスセンサユニットの他方が前記第1側と反対側の第2側から来た赤外光を検出
前記一対のオートフォーカスセンサユニットの一方は、前記一対のオートフォーカスセンサユニットの他方に隣接し、
前記複数のマイクロレンズは、いずれかが前記複数のカラーフィルターユニットの1つの上に配置された複数の第1のマイクロレンズと、前記一対のオートフォーカスセンサユニットをカバーするために前記IRパスフィルターユニット上に配置された第2のマイクロレンズと、を含み、
前記通常センサユニットおよび前記フォーカスセンサユニットは、同じユニット領域を有し、
前記撮像装置は、
前記イメージセンサの上方に配置されたレンズ群、および
前記レンズ群の上方、または前記レンズ群と前記イメージセンサとの間に配置されたデュアルバンドパスフィルターをさらに含み
前記デュアルバンドパスフィルターは、可視光と所定の主波長内の赤外光を通過させる撮像装置。
【請求項5】
前記複数のカラーフィルターユニットと前記複数のマイクロレンズとの間、または前記複数のカラーフィルターユニットと前記複数の通常センサユニットとの間に挿入されたノッチ赤外線フィルターパターンをさらに含み、
前記ノッチ赤外線フィルターパターンは、前記主波長の前記赤外光が前記複数の通常センサユニットに入射するのをブロックする請求項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記主波長の前記赤外光を照射する補助赤外線光源をさらに含み、
前記所定の主波長が850nm、且つ前記赤外線の通過帯域が840nm〜860nmであるか、または
前記所定の主波長が940nm、且つ前記赤外光の前記通過帯域が930nm〜950nmである請求項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージセンサに関し、特に、低照度環境において位相差オートフォーカスを実行できる撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、位相差オートフォーカス(PDAF)技術は、DSLRカメラおよび携帯用カメラなどの映像機器に導入されてきている。位相検出は、入射光を一対の画像に分割し、それらを比較することによって実現される。具体的には、1つの従来の方法は、不透明な材料の2つの緑色画素を有してその開口の領域の半分をカバーする方法である。2つの画素の差動信号は、計算されて、その物体がフロントフォーカスまたはバックフォーカスの位置にあるかを判定する。これは、フォーカス機構の移動方向と必要な移動量を推定する。しかしながら、この構造は、位相検出用に収集される信号が弱過ぎるため、低照度の条件下においてPDAF機能を実行することができない。
【0003】
一方、監視に関しては、近赤外線検出用の赤外線画素は、イメージセンサアレイで配置され、1つの緑色画素をベイヤー配列に置き換える。環境が暗過ぎるとき、監視カメラは補助赤外光光源を用いて、近赤外光を監視カメラの正面に照射し、赤外線画素は、監視カメラの正面にある物体によって反射された近赤外光を検出する。このように、映像機器は、低照度環境において撮像を行うことができる。しかしながら、赤外線画素で埋め込まれた既存の映像機器は、今なおPDAF機能を実行する方法がない。従って、本開示の目的は、低照度環境においてPDAF機能を実行できるイメージセンサおよびそれを用いた撮像装置を提供することである。
【発明の概要】
【0004】
詳細な説明は、添付の図面と併せて以下の実施形態に説明される。
【0005】
本開示は、複数の正常センサユニットと一対のオートフォーカスセンサユニットを含むセンサアレイ層、センサアレイ層上に配置され、複数の正常センサユニットをカバーする複数のカラーフィルターユニット、センサアレイ層上に配置され、一対のオートフォーカスセンサユニットをそれぞれカバーする一対のIRパスフィルターユニット、カラーフィルターユニットとIRパスフィルターユニット上に配置された複数のマイクロレンズを含むマイクロレンズ層を含み、一対のオートフォーカスセンサユニットの一方が第1側から来た赤外光を検出し、一対のオートフォーカスセンサユニットの他方が第1側と反対側の第2側から来た赤外光を検出して、位相差オートフォーカス機能を実行するイメージセンサを提供する。
【0006】
実施形態では、各一対のIRパスフィルターユニットは、二等分に分けられ、半分の一方は、不透明材料で充填され、半分の他方は、IR透過材料で充填される。
【0007】
実施例では、一対のIRパスフィルターユニットの一方において、不透明材料は、第2側に配置され、IR透過材料は、第1側に配置され、且つ一対のIRパスフィルターユニットの他方において、不透明材料は、第1側に配置され、IR透過材料は、第2側に配置される。
【0008】
実施形態では、一対のオートフォーカスセンサユニットの一方は、一対のオートフォーカスセンサユニットの他方に隣接し、且つ複数のマイクロレンズは、各複数のカラーフィルターユニット上にそれぞれ配置された複数の第1のマイクロレンズ、および一対のIRパスフィルターユニット上に配置され、一対のオートフォーカスセンサユニットをカバーする第2のマイクロレンズを含む。
【0009】
実施形態では、2つの隣接するオートフォーカスセンサユニット、IRパスフィルターユニット、および第2のマイクロレンズは、第1の位相差オートフォーカスセットを含み、第1の位相差オートフォーカスセットの2つの隣接するオートフォーカスセンサユニットは、行方向に沿って配置され、且つイメージセンサは、第1の位相差オートフォーカスセットと同じ構成要素を有する第2の位相差オートフォーカスセットを更に含むが、第2の位相差オートフォーカスセットの2つの隣接するオートフォーカスセンサユニットは、列方向に沿って配置される。
【0010】
実施形態では、IRパスフィルターユニットは、800nmまたは900nmより長い波長の光を通過させる。
【0011】
本開示は、上述のイメージセンサ、イメージセンサの上方に配置されたレンズ群、およびレンズ群の上方、またはレンズ群とイメージセンサとの間に配置されたデュアルバンドパスフィルターを含み、デュアルバンドパスフィルターは、可視光と所定の主波長内の赤外光を通過させる撮像装置も提供する。
【0012】
実施形態では、撮像装置は、複数のカラーフィルターユニットと複数のマイクロレンズとの間、または複数のカラーフィルターユニットと複数の正常センサユニットとの間に挿入されたノッチ赤外線フィルターパターンを更に含み、前記ノッチ赤外線フィルターパターンは、主波長の赤外光が複数の正常センサユニットに入射するのをブロックする。
【0013】
実施形態では、撮像装置は、主波長の赤外光を照射する補助赤外線光源を更に含む。
【0014】
実施形態では、所定の主波長は850nmであり、赤外線の通過帯域は、840nm〜860nmである。他の実施形態では、所定の主波長は940nmであり、赤外光の通過帯域は、930nm〜950nmである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
添付の図面とともに以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明を検討することで、本発明はより完全に理解できる。
図1】本開示の実施形態に係る、撮像装置を示す概略図である。
図2】本開示のデュアルバンドパスフィルターの分光透過率を示す図である。
図3A】本開示の実施形態に係る、イメージセンサの一部の上面図である。
図3B図3AのラインI−I’に沿った断面図である。
図3C図3Aに示された一対の赤外線画素を示す断面図である。
図3D】実施形態に係る、赤外線パスフィルターの2つの分光透過率曲線を示す図である。
図4A】本開示の他の実施形態に係る、正常画素および赤外線画素の断面図である。
図4B】本開示の他の実施形態に係る、正常画素および赤外線画素の断面図である。
図4C】本開示のノッチ赤外線フィルターの分光透過率を示す図である。
図5A】本開示の実施形態に係るイメージセンサの一部の上面図である。
図5B図5AのラインII−II’に沿った断面図である。
図6A】本開示の他の実施形態に係る、正常画素および赤外線画素の断面図である。
図6B】本開示の他の実施形態に係る、正常画素および赤外線画素の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明は、本発明を実施するベストモードが開示されている。この説明は、本発明の一般原理を例示する目的のためのもので本発明を限定するものではない。本発明の範囲は、添付の請求の範囲を参考にして決定される。
【0017】
図1は、本開示の実施形態に係る、撮像装置を示す概略図である。図1に示されるように、撮像装置10は、イメージセンサ110、レンズ群120、デュアルバンドパスフィルター130、補助赤外線光源140を含む。イメージセンサ110は、赤色、緑色と、青色画素を含む画素アレイ、および赤外線画素を有する。赤色、緑色と、青色画素は、画像光を受光するのに用いられ、それを画像を構成する情報に変換する。赤外線画素は、位相差オートフォーカス(PDAF)用の信号を検出するのに用いられる。イメージセンサ110の特定の構造は、後述する。レンズ群120は、イメージセンサ110の上方に配置され、物体の画像をイメージセンサ110上に投影させる。デュアルバンドパスフィルター130は、レンズ群120の上方、またはレンズ群120とイメージセンサ110との間に配置され、可視帯域の光と所定の赤外波長の光を通過させる。参照符号RGB+IRλは、デュアルバンドパスフィルター130を通過する光ビームを示している。図2は、デュアルバンドパスフィルター130の分光透過率を示す図である。図2に示されるように、2つの通過帯域がある。一方の通過帯域は、400nm〜700nmであり、ほとんどの可視光を通過させる。他方の通過帯域は、主に、±10nmの許容を有する所定の赤外波長λにある。本開示では、所定の赤外波長λは、850nmまたは940nmに設計されている。即ち、デュアルバンドパスフィルター130の赤外線の通過帯域は、840〜860nmまたは930nm〜950nmに設計されている。補助赤外線光源140は、撮像装置10の本体の外側に配置され、主波長λの近赤外光を照射する。参照符号IRλは、補助赤外線光源140から照射された光ビームを示している。
【0018】
図1に示されたこの構成によれば、撮像装置10は、補助赤外線光源140を用いて、近赤外光を撮像装置10の正面に照射し、赤外線画素が撮像装置10の正面にある物体によって反射された場合、近赤外光を検出する。イメージセンサ110の赤外線画素によって検出された近赤外光は、PDAF計算に用いられる。このように本開示の撮像装置は、低照度環境においてもPDAF機能を実行することができる。
【0019】
以下、図1に示されたイメージセンサの特定の構造が述べられる。図3Aは、本開示の実施形態に係る、イメージセンサの一部の上面図である。図3Bは、図3AのラインI−I’に沿った断面図である。図3Cは、図3Aに示された一対の赤外線画素を示す断面図である。図3Aに示されるように、イメージセンサは、カラーフィルターユニット1101と一対のIRパスフィルターユニット1102が配置された画素アレイを有する。
【0020】
図3Bでは、イメージセンサの垂直構造がみられる。カラーフィルターユニット1101と一対のIRパスフィルターユニット1102は、マトリクス上に配置された複数のセンサユニットPDからなる。注意すべきは、センサユニットPD間に違いはないが、わかり易くするために、赤色、緑色と、青色を検出するカラーフィルターユニット1101によってカバーされたセンサユニットは、時に、通常センサユニットと呼ばれ、補助赤外光を検出するIRパスフィルターユニット1102によってカバーされたセンサユニットは、時に、赤外線センサユニットまたはオートフォーカスセンサユニットと呼ばれる。カラーフィルターユニット1101とIRパスフィルターユニット1102のいずれも、1つのセンサユニットPDをカバーする。また、各カラーフィルターユニット1101とIRパスフィルターユニット1102にそれぞれ配置された複数のマイクロレンズ1104がある。
【0021】
カラーフィルターユニット1101は、赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)フィルターである。IRパスフィルターユニット1102は、二等分に分けられる。半分の一方は、金属などの不透明材料MLで充填されている。半分の他方は、近赤外波長の光を通過させる赤外線パスフィルターIRで充填されている。図3Cに示されるように、一対の赤外線画素では、2つのIRパスフィルターユニット1102の不透明材料MLは、反対側に配置されなければならない。例えば、一方の赤外線画素の不透明材料MLがIRパスフィルターユニット1102の左側(行方向の側)に配置された場合、他方の赤外線画素の不透明材料MLは、右側(行方向の反対側)に配置されなければならない。また、一方の赤外線画素の不透明材料MLがIRパスフィルターユニット1102の上側(列方向の側)に配置された場合、他方の赤外線画素の不透明材料MLは、下側(行方向の反対側)に配置されなければならない。このようにして2つの赤外線画素は、2つの両側から来た赤外光を検出し、PDAF機能を実行する。
【0022】
図3Dは、赤外線パスフィルターIRの2つの適切な分光透過率曲線AおよびBを示している。分光透過率曲線Aは、短い波長帯域では最小値(約0〜10%)でほぼ維持され、波長が800nmより長くなったとき、最大値(約90〜100%)に急速に上昇する。一方、分光透過率曲線Bは、短い波長帯域では最小値(約0〜10%)でほぼ維持され、波長が900nmより長くなったとき、最大値(約90〜100%)に急速に上昇する。2つの分光透過率曲線AおよびBは、図2に示されたデュアルバンドパスフィルター130の赤外線の通過帯域に従って選ばれる。デュアルバンドパスフィルター130の赤外線の通過帯域の主波長λが850nmである場合、分光透過率曲線Aの赤外線パスフィルターIRが選ばれる。デュアルバンドパスフィルター130の赤外線の通過帯域の主波長λが940nmである場合、分光透過率曲線Bの赤外線パスフィルターIRが選ばれる。
【0023】
図4A図4Bは、本開示の2つの実施形態に係る、正常画素および赤外線画素の断面図を示している。デュアルバンドパスフィルター130(図1図2を参照)は、2つの通過帯域を有するため、デュアルバンドパスフィルター130を通過する赤外光ビームは、赤外線画素に入射するだけでなく、正常画素にも入射する。これは、正常画素が赤色、緑色、および青色光の強度を検出するのに問題となる可能性がある。正常画素によって検出された入射光の強度は増加する。これを踏まえて、本開示の実施形態は、ノッチ赤外線フィルターパターンをイメージセンサに提供する。図4Aに示された実施形態では、ノッチ赤外線フィルターパターン1105がマイクロレンズ1104とカラーフィルターユニット1101との間に挿入され、正常センサユニットPD(赤色、緑色、および青色光を検出する)をカバーする。図4Bに示された他の実施形態では、ノッチ赤外線フィルターパターン1105がカラーフィルターユニット1101とセンサアレイ層1103の間に挿入され、正常センサユニットPDをカバーする。
【0024】
図4Cは、本開示のノッチ赤外線フィルターの分光透過率を示す図である。図4Cに示されるように、ノッチ赤外線フィルターパターン1105の透過率は、所定の赤外波長λ以外の全ての波長において最大値でほぼ維持される。ノッチ赤外線フィルターパターン1105の透過率は、所定の赤外波長λで最大値を有する。従って、主波長λの赤外光は、ノッチ赤外線フィルターパターン1105によってブロックされ、正常センサユニットPDに入射しない。この所定の赤外波長λは、図2に示された所定の赤外波長λと同等である。即ち、デュアルバンドパスフィルター130の赤外線の通過帯域の主波長λが850nmの場合、ノッチ赤外線フィルターパターン1105によってブロックされた赤外光の主波長λも850nmとなり、デュアルバンドパスフィルター130の赤外線の通過帯域の主波長λが940nmの場合、ノッチ赤外線フィルターパターン1105によってブロックされた赤外光の主波長λも940nmとなる。
【0025】
図4Aまたは図4Bに示された構成によれば、ノッチ赤外線フィルターパターン1105は、正常センサユニットPD(赤色、緑色、および青色光を検出する)がデュアルバンドパスフィルター130を通過する補助近赤外光を検出しない助けをする。正常センサユニットPDは、赤色、緑色、および青色光の強度を正確に検出することができる。
【0026】
図5Aは、本開示の実施形態に係るイメージセンサの一部の上面図である。図5Bは、図5AのラインII−II’に沿った断面図である。図5Aに示されるように、イメージセンサは、カラーフィルターユニット1101と少なくともIRパスフィルターユニット1106が配置された画素アレイを有する。図3Aに示された構成と比較すると、IRパスフィルターユニット1106は、2つの隣接する画素の領域を占有する。
【0027】
図5Bでは、イメージセンサの垂直構造がみられる。カラーフィルターユニット1101とIRパスフィルターユニット1106は、マトリクス上に配置された複数のセンサユニットPDからなる。注意すべきは、センサユニットPD間に違いはないが、わかり易くするために、赤色、緑色と、青色を検出するカラーフィルターユニット1101によってカバーされたセンサユニットは、時に、通常センサユニットと呼ばれ、補助赤外光を検出するIRパスフィルターユニット1106によってカバーされたセンサユニットは、時に、赤外線センサユニットまたはオートフォーカスセンサユニットと呼ばれる。カラーフィルターユニット1101のいずれも1つのセンサユニットPDをカバーするが、IRパスフィルターユニット1106は、2つの隣接するセンサユニットPDをカバーする。また、各カラーフィルターユニット1101上にそれぞれ配置された複数のマイクロレンズ1104と、IRパスフィルターユニット1106上に配置された特定のマイクロレンズ1107がある。
【0028】
この実施形態では、2つの隣接する赤外線センサユニットPD(PDAF機能の補助赤外光を検出する)は、1つのIRパスフィルターユニット1106と1つの特定のマイクロレンズ1107をシェアする。このように、右側から来た特定のマイクロレンズ1107に入射した赤外光の半分の一方は、左センサユニットPDによって検出され、左側から来た特定のマイクロレンズ1107に入射した赤外光の半分の他方は、右センサユニットPDによって検出される。2つの隣接する赤外線画素も2つの両側から来た赤外光を検出し、PDAF機能を実行することができる。注意すべきことは、図5Aに示されるように、IRパスフィルターユニット1106と特定のマイクロレンズは、行方向に配置された2つの隣接するセンサユニットPD上に配置されることができるだけでなく、列方向に配置された2つの隣接するセンサユニットPD上に配置されることもできる。このように、上側から来た特定のマイクロレンズ1107に入射した赤外光の半分の一方は、下センサユニットPDによって検出され、下側から来た特定のマイクロレンズ1107に入射した赤外光の半分の他方は、上センサユニットPDによって検出される。
【0029】
また、IRパスフィルターユニット1106は、図3Dに示された同じ分光透過率を有する。2つの分光透過率曲線AとBは、図2に示されたデュアルバンドパスフィルター130の赤外線の通過帯域に従って選ばれる。デュアルバンドパスフィルター130の赤外線の通過帯域の主波長λが850nmである場合、分光透過率曲線Aの赤外線パスフィルターIRが選ばれる。デュアルバンドパスフィルター130の赤外線の通過帯域の主波長λが940nmである場合、分光透過率曲線Bの赤外線パスフィルターIRが選ばれる。
【0030】
図6A図6Bは、本開示の2つの実施形態に係る、正常画素および赤外線画素の断面図を示している。デュアルバンドパスフィルター130を通過する赤外光ビームが正常画素で検出されるのを防ぐために、ノッチ赤外線フィルターパターンがイメージセンサに提供される。図6Aに示された実施形態では、ノッチ赤外線フィルターパターン1105がマイクロレンズ1104とカラーフィルターユニット1101との間に挿入され、正常センサユニットPD(赤色、緑色、および青色光を検出する)をカバーする。図4Bに示された他のの実施形態では、ノッチ赤外線フィルターパターン1105がカラーフィルターユニット1101とセンサアレイ層1103の間に挿入され、正常センサユニットPDをカバーする。
【0031】
図3B図4A図4B図5B図6A、および図6Bに示された実施形態に従って、PDAF機能に用いられる赤外線画素用に各種の配置がある。これらの実施形態は、単にいくつかの実施例を示しているだけである。本開示は、これらの実施形態の各種の変更と組み合わせをカバーすることを意図している。新しく設計されたイメージセンサの全ての実施形態は、低照度環境におけるPDAF機能を実行することができる。また、いくつかの特定の構成によれば、デュアルバンドパスフィルターを通過する補助近赤外光は、正常センサユニット(赤色、緑色、および青色光を検出する)に入射しないため、正常センサユニットは、赤色、緑色、および青色光の強度をより正確に検出することができる。
【0032】
本発明は、実施例の方法及び望ましい実施の形態によって記述されているが、本発明は開示された実施形態に限定されるものではない。逆に、当業者には自明の種々の変更及び同様の配置をカバーするものである。よって、添付の請求の範囲は、最も広義な解釈が与えられ、全てのこのような変更及び同様の配置を含むべきである。
【符号の説明】
【0033】
10 撮像装置
110 イメージセンサ
120 レンズ群
130 デュアルバンドパスフィルター
140 補助赤外線光源
IRλ 参照符号
R、G、B 赤色、緑色、青色画素
RGB+IRλ 参照符号
λ所定の赤外波長
1101 カラーフィルターユニット
1102 一対のIRパスフィルターユニット
I−I’ ライン
ML 不透明材料
IR 赤外線パスフィルター
1103 センサアレイ層
1104 マイクロレンズ
A、B 分光透過率曲線
1105 ノッチ赤外線フィルターパターン
1106 IRパスフィルターユニット
1107 特定のマイクロレンズ
II−II’ ライン

図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B