特許第6309045号(P6309045)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309045
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】垂直コンベヤ
(51)【国際特許分類】
   B65G 15/14 20060101AFI20180402BHJP
   B65G 21/20 20060101ALI20180402BHJP
【FI】
   B65G15/14
   B65G21/20 B
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-113608(P2016-113608)
(22)【出願日】2016年6月7日
(65)【公開番号】特開2017-218281(P2017-218281A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2017年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】594140395
【氏名又は名称】ヒロサワ機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089462
【弁理士】
【氏名又は名称】溝上 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100129827
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 進
(74)【代理人】
【識別番号】100204021
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】岡田 稔
(72)【発明者】
【氏名】田中 良昭
(72)【発明者】
【氏名】吉村 宏二
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−144340(JP,A)
【文献】 特開2009−023795(JP,A)
【文献】 実開昭53−048392(JP,U)
【文献】 実開昭59−187606(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 15/00−15/28,15/60−15/64
B65G 21/00−21/22
B65G 45/00−45/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部位置で水平に搬送する下部水平部と、上部位置で水平に搬送する上部水平部と、これら下部水平部と上部水平部との間で垂直に搬送する垂直部とを連続した経路として形成した内コンベヤベルトと、この内コンベヤベルトの前記垂直部を中心とした前記下部水平部と前記上部水平部の一部の端部位置を往復経路として該内コンベヤベルトの搬送面に沿って架設した外コンベヤベルトと、を備えた垂直コンベヤにおいて、
前記内コンベヤベルトの下部水平部の復路と往路の反転位置直前の該復路に、下方へ略垂直状に屈曲した垂直搬送部を形成し、
前記下部水平部の下方で、前記垂直部の下方位置に、前記内コンベヤベルトの幅両端から上端の各々がはみ出すように該上端同士が離間し、かつ下端の各々が前記内コンベヤベルトの幅寸法内に収まるように該下端同士が幅中央方向に接近するよう傾斜状に配置された対をなす回収板を設けると共に、
この対をなす回収板の下端同士の下方位置で、前記垂直部の下方位置から前記垂直搬送部手前まで搬送する回収水平部と、前記垂直搬送部に沿って前記水平部の往路まで搬送する回収垂直部とを連続した経路とした回収コンベヤベルトを設けた
ことを特徴とする垂直コンベヤ。
【請求項2】
回収板を設けることに代えて、回収コンベヤベルトを、内コンベヤベルトの幅より幅を広くし、かつ回収水平部では幅両端から各々幅中央に向かって下方に傾斜させていることを特徴とする請求項1記載の垂直コンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直部及び下部水平部からこぼれた搬送物(土砂等)を、立坑コンベヤの下に堆積させることなく、かつ人力を介さず、連続的に回収することができ、かつ、設置するためのスペースを別途に確保する必要がなく、全体構成がシンプルで、クリーニングやメンテナンスが容易で、そのうえ、コストを抑えることができる垂直コンベヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
土木工事、トンネル工事(シールド工法、山岳工事法等)特にシールド工事は、シールド機械を使用して効率よく地盤を掘削してトンネルを築造でき、地上に与える影響の少ない優れた工法として多く採用されている。シールド機械が掘削した土砂は鋼車やベルトコンベヤを用いてトンネルの中を通って坑内から立坑の下まで搬送される。さらに、立坑の下から地上までは鋼車やバケットとクレーンの組み合わせにより地上まで運搬する方法、スキップにより運搬する方法、バケット式のエレベータにより運搬する方法など多くの手法が使用されてきた。
【0003】
しかし、上記の手法では、土砂の運搬能力には一定の限界があるので、立坑の大深度化やシールドトンネルの大断面化が進むにつれて、必要となる土砂運搬に求められる運搬能力の大容量化には対応できなくなってきており、新たな運搬手段の開発が求められてきた。そこで近年、この要望に応えるものとして、例えば特開2012−144340号公報(特許文献1)に示されるように、2種類のベルトを用い、このベルトの間に土砂を挟み込みながら連続的に運搬することができる垂直コンベヤ等が開発され、各種土木工事に採用されるようになった。
【0004】
特許文献1のような垂直コンベヤは、シールド工事などで排出される掘削土砂を、立坑の下から地上まで安全で効率よく、連続的に運搬することができる装置であるが、現状では、2種類のベルトによって土砂を挟み込み運搬する際に、主にベルト同士の隙間から土砂がこぼれることを完全に無くすことができないという問題がある。
【0005】
なお、垂直コンベヤから土砂がこぼれる範囲は、垂直コンベヤの裾付平面の範囲内に限定される。これまでは、単位時間当たりの運搬量が50〜100m3 /hと比較的少なかったことと、こぼれる量は運搬量の数%程度とわずかな割合であったことから、こぼれた土砂を作業員がスコップ等で回収(再度コンベヤ上に載せて運搬する)処理するという簡易的な対処が採用されていた。
【0006】
ところが、人力による回収処理は、土砂が落下する位置での作業なので、作業員に(比較的大きな)石が直撃する可能性が伴う危険で劣悪な環境であり、人力で回収するとすれば垂直コンベヤを止める必要があり能率が悪く、労働人口の減少や労働者の高齢化に伴い、こぼれた土砂の回収に作業人員を割り当てることも困難であるといった問題がある。
【0007】
こぼれた土砂を回収しない場合、立坑の下から土砂が積み上がり、垂直コンベヤのベルトやローラの駆動に悪影響が生じ、機械の故障及び(電気トラブル等も含めた)トラブル等の原因となるばかりでなく、立坑内部にある他の機器へも悪影響が生じ、その結果、最悪な状況としてはシールド掘進作業の停止も余儀なくされるような重大な問題の原因となる。
【0008】
一方、例えば単位時間当たりの運搬量が上記より多い場合は、こぼれる量も上記より多く、垂直コンベヤの下方周辺に空いたスペースがあれば、こぼれた土砂をある程度堆積ささせることができるならば、所定量になるまで放置して堆積させてパワーショベル等の重機や積込機械を使用して回収していた。
【0009】
しかし、垂直コンベヤの下方周辺に重機や積込機械を入れるほどの空間があるということは、無駄な空間が存在することであり、築造する立坑の大きさとトンネルの大きさ等の施工条件がうまく整合しないと大きな空間を確保することは不可能となる。
【0010】
仮に、垂直コンベヤの下方周辺において大きな空間を設けることができない施工条件の場合には立坑の深さを深くするなどの構造を変更して、垂直コンベヤの下方に空間を設けなければならず、シールド掘進自体とは別の作業に多大な費用が生じることになる。
【0011】
また、人力、重機、積込機械のいずれにおいても、回収した土砂は垂直コンベヤに再度、積み込んで排出することになるので、土砂が多量であれば垂直コンベヤを稼働しつつ作業しなくてはならないが、そうすると安全性が確保できないということになる。
【0012】
安全性を確保するために、垂直コンベヤを土砂回収のためだけに稼働したり止めたりしようとすれば、シールド掘削作業の全体工事の休止時に行うこととなるが、シールド掘削作業が連続して行われている場合は、日曜日などに短時間で集中的に行わなければならず、労働者もそれ相応に過酷な条件を強いられることとなる。
【0013】
以上のように、垂直コンベヤからこぼれた土砂を回収する作業は、非常に多くの制約があり、適宜、適切に処理することが困難で、場合によってはシールド掘削作業を一時的に休止してでも回収作業を優先させなければならなくなり、その結果、シールド掘削作業全体の効率が低下するといった弊害をもたらしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2012−144340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
解決しようとする問題は、従来の垂直コンベヤは、垂直方向の2枚のベルト間から土砂がこぼれて堆積した土砂を、作業スペースを無駄にすることなく適切に回収するための配慮がなかった点、である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、本発明は、下部位置で水平に搬送する下部水平部と、上部位置で水平に搬送する上部水平部と、これら下部水平部と上部水平部との間で垂直に搬送する垂直部とを連続した経路として形成した内コンベヤベルトと、この内コンベヤベルトの前記垂直部を中心とした前記下部水平部と前記上部水平部の一部の端部位置を往復経路として該内コンベヤベルトの搬送面に沿って架設した外コンベヤベルトと、を備えた垂直コンベヤにおいて、前記内コンベヤベルトの下部水平部の復路と往路の反転位置直前の該復路に、下方へ略垂直状に屈曲した垂直搬送部を形成し、前記下部水平部の下方で、前記垂直部の下方位置に、前記内コンベヤベルトの幅両端から上端の各々がはみ出すように該上端同士が離間し、かつ下端の各々が前記内コンベヤベルトの幅寸法内に収まるように該下端同士が幅中央方向に接近するよう傾斜状に配置された対をなす回収板を設けると共に、この対をなす回収板の下端同士の下方位置で、前記垂直部の下方位置から前記垂直搬送部手前まで搬送する回収水平部と、前記垂直搬送部に沿って前記水平部の往路まで搬送する回収垂直部とを連続した経路とした回収コンベヤベルトを設けることとした。
【発明の効果】
【0017】
上記構成の垂直コンベヤは、内コンベヤベルトと外コンベヤベルトとに挟まれて垂直部を運搬される土砂が該内コンベヤベルトと該外コンベヤベルトの間からこぼれても、この垂直部の下方において回収板により回収コンベヤベルト上に集められ、該回収コンベヤベルトの回収水平部を介して、内コンベヤベルトの垂直搬送部と該回収コンベヤベルトの回収垂直部とに挟まれて、内コンベヤベルトの水平部の往路(搬送面)に戻されるから、人力を介さず、かつ垂直コンベヤの稼働と共にこぼれた土砂の回収を省スペースにて連続的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の垂直コンベヤの概略構成を示す図である。
図2】本発明の垂直コンベヤの図1のA−A線断面図である。
図3】本発明の垂直コンベヤの図1のB−B線断面図である。
図4】本発明の垂直コンベヤの図1の下部水平枠を省略したC部拡大図である。
図5】本発明の垂直コンベヤの他例を示す図2様の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の垂直コンベヤは、垂直方向の2枚のベルト間からこぼれて堆積する土砂を、効率よく、また、人力を介さず、そのうえ作業スペースを無駄にすることなく回収することができていなかった点を、内コンベヤベルトと外コンベヤベルトの垂直部の下方に、垂直部からこぼれた土砂を受ける対をなす回収板を設けると共に対をなす回収板で集めた土砂を内コンベヤベルトに形成した垂直搬送部へ運搬する回収水平部と、該垂直運搬部に沿って該内コンベヤベルトの往路へ運搬する回収垂直部を経路に有する回収コンベヤベルトを設けることで解消した。
【0020】
また、本発明の垂直コンベヤは、上記の回収板を設けることに代えて、回収コンベヤベルトを、内コンベヤベルトの幅より幅を広くし、かつ回収水平部では幅両端から各々幅中央に向かって下方に傾斜させていてもよい。こうすることで高さ方向の寸法を小さくすることができる他、回収板を設けるための支持の部材(枠体)等を省略することができる。
【実施例】
【0021】
上記形態のより具体的な実施例について図1図4を用いて説明する。図において、1は、地下で工事中のトンネル抗内から排出された土砂を立坑(垂直部分)を経て、地上へ排出するものであって、この立坑において地下から地上へ垂直方向へ土砂を搬送する際にこぼれる土砂を回収して立坑下部に堆積しないようにする本発明の垂直コンベヤであり、例えば次のように構成している。
【0022】
2は、下部位置、例えばシールド掘削工法における立坑の地下側に水平に設けた下部水平枠である。3は、上部位置、例えば地上側に水平に設けた上部水平枠である。4は、これら下部水平枠2と上部水平枠3との間に設ける垂直枠である。
【0023】
これら、下部水平枠2、上部水平枠3、垂直枠4は、各々が連結されて垂直コンベヤ1の全体構造におけるフレームとなる。なお、下部水平枠2、上部水平枠3、垂直枠4は、実際には、工事規模によって適宜調整するため、図示においては、後述する内コンベヤベルト5と外コンベヤベルト6の架設状況が把握できる程度に簡略化して示している。
【0024】
5は、下部水平枠2、垂直枠4、上部水平枠3とに亘って架設され、この順を往路とし、上部水平枠3、垂直枠4、下部水平枠2を復路とする内コンベヤベルトである。なお、内コンベヤベルト5において、下部水平枠2の経路を内コンベヤベルト5の下部水平部、上部水平枠3の経路を内コンベヤベルト5の上部水平部、垂直枠4の経路を内コンベヤベルト5の垂直部、と言う。
【0025】
この内コンベヤベルト5の上部水平部には往路から復路へ反転させるドライブプーリであるヘッドプーリ51が不図示の動力と共に設けられ、一方内コンベヤベルト5の下部水平部には復路から往路へ反転させるアイドラプーリであるテールプーリ52が設けられている。さらに、内コンベヤベルト5の下部水平部、垂直部、上部水平部の各部間の移行位置にはベンドプーリ(参照番号無)が設けられている。なお、スナッププーリ、テンションプーリ、リターンローラ、など、ベルトコンベヤの構成部材は図示を省略すると共に参照番号を付さず、説明も割愛する。
【0026】
さらに、内コンベヤベルト5は、復路における下部水平部で、復路から往路への反転位置の手前、すなわちエンドプーリ52の手前には、該復路を下方へ曲折した垂直搬送部5Aが形成されている。
【0027】
6は、垂直枠4を中心とした下部水平枠2と上部水平枠3の一部の端部位置で内コンベヤベルト5に沿って架設された外コンベヤベルトである。なお、外コンベヤベルト6も、内コンベヤベルト5と同じく、下部水平枠2の一部にかかる経路を外コンベヤベルト6の下部水平部と、上部水平枠3の一部にかかる経路を外コンベヤベルト6の上部水平部と、垂直枠4の経路を外コンベヤベルト6の垂直部、と言う。
【0028】
この外コンベヤベルト6の上部水平部には往路から復路へ反転させるドライブプーリであるヘッドプーリ61が不図示の動力と共に設けられ、一方、外コンベヤベルト6の下部水平部6aには復路から往路へ反転させるアイドラプーリであるテールプーリ62が設けられている。さらに、下部水平部、垂直部、上部水平部の各部間の移行位置にはベンドプーリ(参照番号無)が設けられている。なお、スナッププーリ、テンションプーリ、リターンローラ、など、ベルトコンベヤの構成部材は図示を省略すると共に参照番号を付さず、説明も割愛する。
【0029】
内コンベヤベルト5と外コンベヤベルト6は、垂直部において密着するように設けられており、詳細には内コンベヤベルト5の下部水平部において垂直部の直前で外コンベヤベルト6の下部水平部が接触し、垂直部を経て、垂直部の直後に、内コンベヤベルト5の上部水平部から外コンベヤベルト6の上部水平部が離間するように構成されている。
【0030】
7は、内コンベヤベルト5及び外コンベヤベルト6の垂直部を架設する垂直枠4の下方位置かつ下部水平部を架設する下部水平枠2の下方位置に設けられた対をなす回収板であり、本例では垂直枠4の下方位置から内コンベヤベルトの垂直搬送部5Aの直前まで設けられている。この対をなす回収板7は、本例では例えば下部水平枠2の長手方向と直交した幅方向の両端から各々の上端がはみ出すように離間すると共に下端が内コンベヤベルト5の幅寸法内に収まるように該幅中央方向に接近した傾斜状に配置されている。
【0031】
8は、対をなす回収板7の下端同士の下方位置から内コンベヤベルト5の垂直搬送部5Aの手前まで搬送する回収水平部8Aと、該垂直搬送部5Aに沿って内コンベヤベルト5の下部水平部における往路まで搬送する回収垂直部8Bとを連続した経路とした回収コンベヤベルトである。
【0032】
回収コンベヤベルト8の回収垂直部8Aは、内コンベヤベルト5における垂直搬送部5Aを形成するベンドプーリ及びテールプール62により、該垂直搬送部5Aと密着するようにして構成されている。また、回収コンベヤベルト8は、内コンベヤベルト5(及び外コンベヤベルト6)と同期して稼働する。
【0033】
9は、トンネル抗内で排出された土砂を該坑内から運搬する排出コンベヤである。坑内から土砂等を運搬するには各種フィーダを用いる場合もあるが、本例ではコンベヤとして説明する。また、本例では、図示紙面奥方向に工事中トンネルの抗内から排出された土砂が排出コンベヤ9に搬送されて内コンベヤベルト5の下部水平部5aに運搬される例にて説明する。
【0034】
上記構成の垂直コンベヤ1における、内コンベヤベルト5、外コンベヤベルト6、及び回収コンベヤベルト8の動作について説明する。排出コンベヤ9から運搬された土砂は内コンベヤベルト5の下部水平部に排出される。垂直コンベヤ1は、内コンベヤベルト5の下部水平部の搬送方向途中から、垂直部を経て、垂直部の直後の上部水平部の搬送方向途中で分離するに至るまで外コンベヤベルト6が内コンベヤベルト5に密着した状態で、駆動される。
【0035】
内コンベヤベルト5及び外コンベヤベルト6の垂直部で挟まれた土砂は、所定の割合でこぼれるが、こぼれた土砂は、垂直枠4下方に位置する回収板7で受けられて、回収コンベヤベルト8の回収水平部8Aに集められる。回収コンベヤベルト8の回収水平部8Aで搬送された土砂は、(内コンベヤベルト5の)垂直搬送部5Aと(回収コンベヤベルト8の)回収垂直部8Bに挟まれて内コンベヤベルト5の下部水平部の搬送面に戻される。
【0036】
本発明の垂直コンベヤ1は、上記のとおり、垂直部及び下部水平部からこぼれた土砂を、立坑で堆積させることなく、かつ人力を介さず、連続的に回収することができるが、その他に、下部水平部のテールプーリ52側端部にある垂直搬送部5Aにおいて土砂を挟み込んで回収するので、回収コンベヤベルト8の架設長さが比較的短くてよく、垂直搬送部5A及び回収垂直部8Bの揚程も比較的小さくてよく、よって、回収板7を含めた回収コンベヤベルト8を設置するためのスペースを別途に設ける必要がないという利点もある。
【0037】
さらに、本発明の垂直コンベヤ1は、回収コンベヤベルト8の架設長さが比較的短いこと、垂直搬送部5A及び回収垂直部8Bの揚程も比較的小さいことから、回収コンベヤベルト8の動力を、出力の比較的小さいものとすることができ、また、回収コンベヤベルト8は通常の平ベルトを採用することができると共に全体構成がシンプルであるため、クリーニングやメンテナンスが容易で、そのうえ、前記維持や保守コストを含めた全体のコストを抑えることができるといった利点もある。
【0038】
また、本発明の垂直コンベヤ1は、上記構成において、回収板7を省略することも可能である。回収板7を省略する場合、図5に示すように、回収コンベヤベルト8を、内コンベヤベルト5の幅より幅を広くし、かつ回収水平部8Aでは幅両端から各々幅中央に向かって下方に傾斜させればよい。
【0039】
こうすることで、回収板7を支持する枠体や治具が不要となると共に、該回収板7を傾斜状に配置するための高さ方向のスペースが不要となる点で、図1図4までで説明した実施例構成に較べて、より一層のコンパクト化を図ることができると共に、低コスト化が可能となる。
【0040】
このように、本発明の垂直コンベヤ1は、内コンベヤベルト5上に堆積した土砂を垂直部において外コンベヤベルト6と共働して上方へ垂直に搬送する機能が主体とされる該内コンベヤベルト5に、さらに垂直部及び下部水平部からこぼれた土砂を回収する機能を付加した構成としている。この構成によれば、垂直コンベヤ1全体の機能が向上し、別途装備しなければならないコンベヤ等を不要とし、合理的な機構となることから、結果としてこぼれた土砂の回収に要する動力を小さくすることができると共に、垂直コンベヤ1を設置するために要するスペースも非常に小さくなるため、設置する場合の制約条件も緩和することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 垂直コンベヤ
2 下部水平枠(下部水平部)
3 上部水平枠(上部水平部)
4 垂直枠(垂直部)
5 内コンベヤベルト
5A 垂直搬送部
6 外コンベヤベルト
7 回収板
8 回収コンベヤベルト
8A 回収水平部
8B 回収垂直部
図1
図2
図3
図4
図5