【実施例】
【0021】
上記形態のより具体的な実施例について
図1〜
図4を用いて説明する。図において、1は、地下で工事中のトンネル抗内から排出された土砂を立坑(垂直部分)を経て、地上へ排出するものであって、この立坑において地下から地上へ垂直方向へ土砂を搬送する際にこぼれる土砂を回収して立坑下部に堆積しないようにする本発明の垂直コンベヤであり、例えば次のように構成している。
【0022】
2は、下部位置、例えばシールド掘削工法における立坑の地下側に水平に設けた下部水平枠である。3は、上部位置、例えば地上側に水平に設けた上部水平枠である。4は、これら下部水平枠2と上部水平枠3との間に設ける垂直枠である。
【0023】
これら、下部水平枠2、上部水平枠3、垂直枠4は、各々が連結されて垂直コンベヤ1の全体構造におけるフレームとなる。なお、下部水平枠2、上部水平枠3、垂直枠4は、実際には、工事規模によって適宜調整するため、図示においては、後述する内コンベヤベルト5と外コンベヤベルト6の架設状況が把握できる程度に簡略化して示している。
【0024】
5は、下部水平枠2、垂直枠4、上部水平枠3とに亘って架設され、この順を往路とし、上部水平枠3、垂直枠4、下部水平枠2を復路とする内コンベヤベルトである。なお、内コンベヤベルト5において、下部水平枠2の経路を内コンベヤベルト5の下部水平部、上部水平枠3の経路を内コンベヤベルト5の上部水平部、垂直枠4の経路を内コンベヤベルト5の垂直部、と言う。
【0025】
この内コンベヤベルト5の上部水平部には往路から復路へ反転させるドライブプーリであるヘッドプーリ51が不図示の動力と共に設けられ、一方内コンベヤベルト5の下部水平部には復路から往路へ反転させるアイドラプーリであるテールプーリ52が設けられている。さらに、内コンベヤベルト5の下部水平部、垂直部、上部水平部の各部間の移行位置にはベンドプーリ(参照番号無)が設けられている。なお、スナッププーリ、テンションプーリ、リターンローラ、など、ベルトコンベヤの構成部材は図示を省略すると共に参照番号を付さず、説明も割愛する。
【0026】
さらに、内コンベヤベルト5は、復路における下部水平部で、復路から往路への反転位置の手前、すなわちエンドプーリ52の手前には、該復路を下方へ曲折した垂直搬送部5Aが形成されている。
【0027】
6は、垂直枠4を中心とした下部水平枠2と上部水平枠3の一部の端部位置で内コンベヤベルト5に沿って架設された外コンベヤベルトである。なお、外コンベヤベルト6も、内コンベヤベルト5と同じく、下部水平枠2の一部にかかる経路を外コンベヤベルト6の下部水平部と、上部水平枠3の一部にかかる経路を外コンベヤベルト6の上部水平部と、垂直枠4の経路を外コンベヤベルト6の垂直部、と言う。
【0028】
この外コンベヤベルト6の上部水平部には往路から復路へ反転させるドライブプーリであるヘッドプーリ61が不図示の動力と共に設けられ、一方、外コンベヤベルト6の下部水平部6aには復路から往路へ反転させるアイドラプーリであるテールプーリ62が設けられている。さらに、下部水平部、垂直部、上部水平部の各部間の移行位置にはベンドプーリ(参照番号無)が設けられている。なお、スナッププーリ、テンションプーリ、リターンローラ、など、ベルトコンベヤの構成部材は図示を省略すると共に参照番号を付さず、説明も割愛する。
【0029】
内コンベヤベルト5と外コンベヤベルト6は、垂直部において密着するように設けられており、詳細には内コンベヤベルト5の下部水平部において垂直部の直前で外コンベヤベルト6の下部水平部が接触し、垂直部を経て、垂直部の直後に、内コンベヤベルト5の上部水平部から外コンベヤベルト6の上部水平部が離間するように構成されている。
【0030】
7は、内コンベヤベルト5及び外コンベヤベルト6の垂直部を架設する垂直枠4の下方位置かつ下部水平部を架設する下部水平枠2の下方位置に設けられた対をなす回収板であり、本例では垂直枠4の下方位置から内コンベヤベルトの垂直搬送部5Aの直前まで設けられている。この対をなす回収板7は、本例では例えば下部水平枠2の長手方向と直交した幅方向の両端から各々の上端がはみ出すように離間すると共に下端が内コンベヤベルト5の幅寸法内に収まるように該幅中央方向に接近した傾斜状に配置されている。
【0031】
8は、対をなす回収板7の下端同士の下方位置から内コンベヤベルト5の垂直搬送部5Aの手前まで搬送する回収水平部8Aと、該垂直搬送部5Aに沿って内コンベヤベルト5の下部水平部における往路まで搬送する回収垂直部8Bとを連続した経路とした回収コンベヤベルトである。
【0032】
回収コンベヤベルト8の回収垂直部8Aは、内コンベヤベルト5における垂直搬送部5Aを形成するベンドプーリ及びテールプール62により、該垂直搬送部5Aと密着するようにして構成されている。また、回収コンベヤベルト8は、内コンベヤベルト5(及び外コンベヤベルト6)と同期して稼働する。
【0033】
9は、トンネル抗内で排出された土砂を該坑内から運搬する排出コンベヤである。坑内から土砂等を運搬するには各種フィーダを用いる場合もあるが、本例ではコンベヤとして説明する。また、本例では、図示紙面奥方向に工事中トンネルの抗内から排出された土砂が排出コンベヤ9に搬送されて内コンベヤベルト5の下部水平部5aに運搬される例にて説明する。
【0034】
上記構成の垂直コンベヤ1における、内コンベヤベルト5、外コンベヤベルト6、及び回収コンベヤベルト8の動作について説明する。排出コンベヤ9から運搬された土砂は内コンベヤベルト5の下部水平部に排出される。垂直コンベヤ1は、内コンベヤベルト5の下部水平部の搬送方向途中から、垂直部を経て、垂直部の直後の上部水平部の搬送方向途中で分離するに至るまで外コンベヤベルト6が内コンベヤベルト5に密着した状態で、駆動される。
【0035】
内コンベヤベルト5及び外コンベヤベルト6の垂直部で挟まれた土砂は、所定の割合でこぼれるが、こぼれた土砂は、垂直枠4下方に位置する回収板7で受けられて、回収コンベヤベルト8の回収水平部8Aに集められる。回収コンベヤベルト8の回収水平部8Aで搬送された土砂は、(内コンベヤベルト5の)垂直搬送部5Aと(回収コンベヤベルト8の)回収垂直部8Bに挟まれて内コンベヤベルト5の下部水平部の搬送面に戻される。
【0036】
本発明の垂直コンベヤ1は、上記のとおり、垂直部及び下部水平部からこぼれた土砂を、立坑で堆積させることなく、かつ人力を介さず、連続的に回収することができるが、その他に、下部水平部のテールプーリ52側端部にある垂直搬送部5Aにおいて土砂を挟み込んで回収するので、回収コンベヤベルト8の架設長さが比較的短くてよく、垂直搬送部5A及び回収垂直部8Bの揚程も比較的小さくてよく、よって、回収板7を含めた回収コンベヤベルト8を設置するためのスペースを別途に設ける必要がないという利点もある。
【0037】
さらに、本発明の垂直コンベヤ1は、回収コンベヤベルト8の架設長さが比較的短いこと、垂直搬送部5A及び回収垂直部8Bの揚程も比較的小さいことから、回収コンベヤベルト8の動力を、出力の比較的小さいものとすることができ、また、回収コンベヤベルト8は通常の平ベルトを採用することができると共に全体構成がシンプルであるため、クリーニングやメンテナンスが容易で、そのうえ、前記維持や保守コストを含めた全体のコストを抑えることができるといった利点もある。
【0038】
また、本発明の垂直コンベヤ1は、上記構成において、回収板7を省略することも可能である。回収板7を省略する場合、
図5に示すように、回収コンベヤベルト8を、内コンベヤベルト5の幅より幅を広くし、かつ回収水平部8Aでは幅両端から各々幅中央に向かって下方に傾斜させればよい。
【0039】
こうすることで、回収板7を支持する枠体や治具が不要となると共に、該回収板7を傾斜状に配置するための高さ方向のスペースが不要となる点で、
図1〜
図4までで説明した実施例構成に較べて、より一層のコンパクト化を図ることができると共に、低コスト化が可能となる。
【0040】
このように、本発明の垂直コンベヤ1は、内コンベヤベルト5上に堆積した土砂を垂直部において外コンベヤベルト6と共働して上方へ垂直に搬送する機能が主体とされる該内コンベヤベルト5に、さらに垂直部及び下部水平部からこぼれた土砂を回収する機能を付加した構成としている。この構成によれば、垂直コンベヤ1全体の機能が向上し、別途装備しなければならないコンベヤ等を不要とし、合理的な機構となることから、結果としてこぼれた土砂の回収に要する動力を小さくすることができると共に、垂直コンベヤ1を設置するために要するスペースも非常に小さくなるため、設置する場合の制約条件も緩和することができる。