(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6309075
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】床用目地装置
(51)【国際特許分類】
E04B 1/68 20060101AFI20180402BHJP
【FI】
E04B1/68 100A
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-242856(P2016-242856)
(22)【出願日】2016年12月15日
【審査請求日】2016年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110365
【氏名又は名称】ドーエイ外装有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英夫
【審査官】
富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−025198(JP,A)
【文献】
特開2015−030986(JP,A)
【文献】
特開2014−240557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の躯体間の目地部を塞ぐ床用目地装置であって、前記躯体の一方の躯体に設けられた第1の目地プレート支持部と、前記躯体の他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部と、該第2の目地プレート支持部に一端部が枢支状態で取り付けられた複数のレール部材と、前記第1の目地プレート支持部に一端部側が支持され、前記複数のレール部材に他端部側が支持された目地プレートと、前記第2の目地プレート支持部を覆うとともに、前記目地プレートの上方に位置するように前記他方の躯体に設けられたカバープレートと、前記レール部材に設けられ、前記カバープレートを支持するカバープレート支持機構とで構成され、
前記レール部材は、目地プレートの他端部側を支持するガイド溝及びカバープレート支持機構を取付ける凹所状のカバープレート支持機構取付部を備え、前記目地プレートは、一端部側が前記第1の目地プレート支持部に枢支され、他端部側が前記複数のレール部材のガイド溝に支持部材を介して支持される複数のバー部材と、該複数のバー部材を前後方向に接続するように、前記バー部材に枢支状態で取り付けられた複数の目地プレート本体とを有し、前記カバープレート支持機構は、前記カバープレート支持機構取付部に所定間隔を有して複数個回動可能に設けられ、直立状態では前記カバープレートを支持することができるとともに、目地プレート本体に側方から押圧された場合には回転することができる支持具と、該複数個の支持具を直立状態となるようにそれぞれ付勢する付勢具とから成る床用目地装置。
【請求項2】
通常時において第2の目地プレート支持部上に位置する目地プレート本体は、目地部上に位置する目地プレート本体よりも幅狭に形成されていることを特徴とする請求項1記載の床用目地装置。
【請求項3】
第2の目地プレート支持部には、滑り部材が敷設され、該滑り部材は、前記レール部材が枢支ピンを支点に回転する際に、スムーズに回転できるように取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の床用目地装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して設けられた躯体の間の目地部を塞ぐ床用目地装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目地部を塞ぐ床用目地装置としては、「目地部を介して建てられた左右の躯体の目地部側の床面に、該目地部に開口するように形成された一対の凹部と、この一対の凹部のほぼ中央部に両端部が位置して前記目地部を覆う、該一対の凹部内をスライド移動可能な目地プレートと、この目地プレートの両端部の前記一対の凹部に位置している部位を覆うように前記左右の躯体の躯体に固定された一対のカバープレートと、この一対のカバープレート内の凹部に、該一対のカバープレートに加わる荷重を支持することができる支持体に所定間隔で支持された、前記凹部に支持される複数の下部支持ローラー、前記支持体に所定間隔で支持される前記一対のカバープレートを支持する複数個の上部支持ローラーとからなる一対のカバープレート荷重支持具と、この一対のカバープレート荷重支持具を前記一対のカバープレート内の凹部のほぼ中央部に常時位置させる一対の中央維持具とで構成される床用目地装置」が知られている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、地震によって目地部が狭くなった際に、目地プレートがカバープレート荷重支持具と衝突して、破損するおそれがある。
【0004】
そこで、目地プレートが設けられる前記一対の凹部の寸法を大きく設定しなければならず、コストが高くなるとともに、凹部を形成するためのスペースが大きくなってしまい、目地部が広くなった際には、1つのカバープレート荷重支持具だけでは、カバープレートに荷重がかかった場合、カバープレート荷重支持具がある位置以外では、この荷重を支えきれず、カバープレートが撓んでしまうという欠点があった。
【0005】
また、このような床用目地装置では、左右の躯体が異なる前後方向に揺れ動いた際に、目地プレートが前後方向に動くことができないため、躯体の壁面や目地プレートが破損してしまうという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3445208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、目地プレート支持部(躯体の壁面から該躯体の内部方向の支持部)の寸法を大きくすることなく、カバープレートを常時支持でき、これによりカバープレートが加わる荷重によって曲面状に撓んだりするのを効率よく阻止できるとともに、地震によって左右の躯体が前後方向揺れ動いた場合でも安全に使用することができる床用目地装置を提供することを目的としている。
【0008】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の床用目地装置は、左右の躯体間の目地部を塞ぐ床用目地装置であって、前記躯体の一方の躯体に設けられた第1の目地プレート支持部と、前記躯体の他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部と、該第2の目地プレート支持部に一端部が枢支状態で取り付けられた複数のレール部材と、前記第1の目地プレート支持部に一端部側が支持され、前記複数のレール部材に他端部側が支持された目地プレートと、前記第2の目地プレート支持部を覆うとともに、前記目地プレートの上方に位置するように前記他方の躯体に設けられたカバープレートと、前記レール部材に設けられ、前記カバープレートを支持するカバープレート支持機構とで構成され、
前記レール部材は、目地プレートの他端部側を支持するガイド溝及びカバープレート支持機構を取付ける凹所状のカバープレート支持機構取付部を備え、前記目地プレートは、一端部側が前記第1の目地プレート支持部に枢支され、他端部側が前記複数のレール部材のガイド溝に支持部材を介して支持される複数のバー部材と、該複数のバー部材を前後方向に接続するように枢支状態で取り付けられた複数の目地プレート本体とを有し、前記カバープレート支持機構は、前記カバープレート支持機構取付部に所定間隔を有して複数個回動可能に設けられ、直立状態では前記カバープレートを支持することができるとともに、目地プレート本体に側方から押圧された場合には回転することができる支持具と、該複数個の支持具を直立状態となるようにそれぞれ付勢する付勢具とから成る。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1に記載の発明においては、目地プレート本体により押圧された場合には回転することができる支持具を有するカバープレート支持機構によってカバープレートを支持しているので、地震によって目地部が狭くなり目地プレート本体に側方から押圧された場合には、ローラー及び該支持具が目地プレートの下側に潜りこむので、目地プレートとカバープレート支持機構の衝突による破損防止のために目地プレート支持部の寸法を大きくしなくてもよい。
(2)また、支持具は所定間隔を有してレール部材に複数個設けられているので、目地部が広くなっても狭くなっても所定間隔でカバープレートを支持することができ、カバープレートが撓むことを効率よく防止できる。
(3)レール部材及び複数のバー部材は一端部が枢支状態で取り付けられているとともに、前記目地プレート本体は複数のバー部材を前後方向に接続するように枢支状態で取り付けられているので、地震によって左右の躯体が異なる前後方向に揺れ動いても、破損することなくその揺れ動きを吸収することができる。
(4)レール部材はガイド溝及び上面が開口した凹所状のカバープレート支持機構を備えているので、レール部材の断面は略E字状とり、レール部材の剛性を高めることができる。
(5)請求項2に記載の発明においても、前記(1)〜(4)と同様な効果が得られるとともに、異なる前後方向に揺れ動いても壁面に目地プレート等が衝突することを確実に防止でき、その揺れ動きを吸収することができる。
(6)請求項3に記載の発明においても、前記(1)〜(5)と同様な効果が得られるとともに、地震によって左右の躯体が異なる前後方向に揺れ動いた場合に、前記レール部材をよりスムーズに枢支ピンを回転軸として回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1乃至
図10は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図11乃至
図14は本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
【
図1】第1の実施形態を示す床用目地装置の平面図(通常時)。
【
図8】地震で目地部が狭くなった正面視側からの動作説明図。
【
図9】地震で目地部が広くなった正面視側からの動作説明図。
【
図10】地震で躯体が異なる前後方向に揺れ動いた状態の平面視側からの動作説明図。
【
図11】第2の実施形態を示す床用目地装置の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
図1乃至
図10に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は目地部2を介して設けられた一方の躯体3及び他方の躯体4間に設置された床用目地装置である。
なお、左右方向とは
図1(平面視)における左右方向であり、前後方向とは
図1における上下方向をいう。
【0013】
また、本発明において躯体とは、建物、道路、スラブ、エレベーターシャフト等の目地プレートを設置可能な建造物をいい、出入口とはドアや扉の設けられた出入口だけではなく、人や車両等が通行できる通路も含むものである。
【0014】
本実施形態の床用目地装置1は、例えば
図3を参照すると、第2の目地プレート支持部6の内側底面に略等間隔を有して並列状態に配設された複数のレール部材8(
図5参照)と、各レール部材8の一方の垂直側壁にそれぞれ沿って形成されたガイド溝7に案内され、かつ、滑動及び支持機能を有する複数個の支持部材15を下方に有する複数のバー部材16を備えている目地プレート9と、この目地プレート6の上面に載置されるとともに、前記ガイド溝7と同様に各レール部材8の隔壁及び他方の垂直側壁にそれぞれ沿って形成された凹所状のカバープレート支持機構取付部24にそれぞれ設けられた複数のカバープレート支持機構11に支持されるカバープレート10とを組み合わせた構造体である。
【0015】
すなわち、この床用目地装置1は、
図1乃至
図3に示すように、前記左右の躯体の一方の躯体3に設けられた第1の目地プレート支持部5と、前記左右の躯体の他方4の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部6と、該第2の目地プレート支持部6に一端部が枢支状態で取り付けられ、かつ複数のバー部材16用のガイド溝7を有する複数のレール部材8と、前記第1の目地プレート支持部5に一端部が支持され、前記複数のレール部材8に他端部が支持された目地プレート9と、前記第2の目地プレート支持部6を覆うとともに、前記目地プレート9の上方に位置するように前記他方の躯体4に設けられたカバープレート10と、前記レール部材8に設けられ、前記カバープレート10を支持するカバープレート支持機構11と、前記第2の目地プレート支持部6上に敷設された滑り部材12で構成されている。
【0016】
なお、前記第2の目地プレート支持部6は、前記他方の躯体4の床面に凹所状に形成されており、本実施の形態においては、目地部の約2倍の寸法に形成されている。
【0017】
前記目地プレート9は、
図4に示すように、一端部が前記第1の目地プレート支持部5に枢支ピン14により枢支され、他端部が前記複数のレール部材8のガイド溝7に支持部材15としてのローラーを介して支持される直方体状の複数のバー部材16と、該複数のバー部材16を前後方向に接続するように枢支状態で取り付けられた複数の目地プレート本体17とで構成されている。なお、支持部材15としてローラーではなく、バー部材16の先端部をレール部材8のガイド溝7内に位置するように下方に折り曲げても良い。この場合、ガイド溝7にベアリング等を備え、支持部材15がガイド溝7内をスムーズにスライド移動できるようにすることが望ましい。
【0018】
前記目地プレート本体17は、
図2等に示すように正面視クランク状に形成されており、他の目地プレート本体17と一部が重なりあうように、設けられている。また、一枚の目地プレート本体17は
図1等に示すように複数のバー部材16にわたって枢支状態で設けられており、複数のバー部材16を前後方向に接続するように枢支されている。このように目地プレート本体17を設けることにより、地震によって左右の躯体3、4が異なる前後方向に揺れ動いた場合に、
図9に示すように目地プレート本体17自体が傾くことなく(躯体と略平行状態を維持した状態)、揺れ動きを吸収することができる。
【0019】
なお、本実施の形態では通常時において第2の目地プレート支持部6上に位置する目地プレート本体17は、目地部上に位置する目地プレート本体17よりも幅狭(前後方向の寸法が短い)に形成されている。このように目地プレート本体17を形成することにより、地震によって左右の躯体3、4が異なる前後方向に揺れ動いた場合であっても、目地プレート本体17が第2の目地プレート支持部の両側部に衝突することを防止できる。
【0020】
前記レール部材8は、
図5に示すように、長手方向の寸法が前記第2の目地プレート支持部6よりも短い寸法に形成されており、断面形状は本実施形態においては上向き略コ字状の凹所を有するレールを2つを一体的に形成した形状、すなわち略E字状(Eの長辺を底辺とした形)となっている。この略E字状の凹所の一方の凹所がガイド溝7となっており、他方の凹所がカバープレート支持機構取付部24となり、この部位にはカバープレート支持機構11が設けられる。
【0021】
なお、本実施形態においては、ガイド溝7とカバープレート支持機構取付部24を一体的に設けた略E字状のレール部材8としているが、上面開口した略コ字状の部材2つを螺合、溶接等により固定してレール部材8を形成してもよい。
【0022】
このレール部材8は、一端部(他方の躯体側の端部)が枢支ピン13によって回動可能な状態で前記第2の目地プレート支持部6の前後方向に複数個設けられている。なお、枢支ピン13が設けられている端部以外は、前記滑り部材12に支持されており、枢支ピン13は前記ガイド溝7の幅方向の略中央部位に設けられており、前記枢支ピン14と対向する位置にそれぞれ設けられている。すなわち、枢支ピン13と枢支ピン14を結ぶ線とレール部材8やバー部材16の軸心とは略平行状態となっている。
【0023】
前記カバープレート10は、平面視方形状の金属製の板材で、一端部が前記他方の躯体4の床面に固定され、他端部(目地部側の端部)は前記目地プレート9の上面に支持されている。また、この他端部は、
図2等に示すように前記他方の躯体4の目地部側の壁面と略同一面となるような寸法に形成されている。
【0024】
前記カバープレート支持機構11は、
図6に示すように前記レール部材8のカバープレート支持機構取付部24に所定間隔を有して回動可能に設けられ、直立状態では前記カバープレート10を支持することができるとともに、目地プレート本体17に押圧された場合には回転することができる略L字状で金属製の複数の支持具18と、該複数の支持具18の上端部に設けられたローラー21と、該複数の支持具18を直立状態となるようにそれぞれ付勢する付勢具19とで構成されている。
【0025】
前記支持具18のローラー21付近には、前記付勢具19を取付ける付勢具取付部20が形成され、前記付勢具19(本実施の形態においてはコイルスプリング)の一端部がカバープレート支持機構取付部24に固定され、他端部が前記付勢具取付部20に固定される。
【0026】
また、この支持具18は、直立状態において前記ローラー21によって前記カバープレート10の底面を支持しており、地震によって目地部2が狭くなる方向に躯体が揺れ動き、前記目地プレート本体17がローラー21を押圧し、前記支持具本体20が押圧された方向に傾倒した際には、前記ローラー21が目地プレート本体17の底面に当接するので、目地プレート本体17の底面との間に大きな摩擦力が発生せずスムーズにスライド移動できる。
【0027】
前記滑り部材12は、
図7に示すように、平面視長方形状の板材で、
左右方向の端部に、第2の目地プレート支持部6の長手方向に向かってコロ部材取付部22が形成されており、このコロ部材取付部22には、円柱状のコロ部材23が取り付けられる。このコロ部材23は、前記レール部材8が枢支ピン13を支点に回転する際に、
スムーズに回転できるように取り付けられている。
【0028】
地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が狭くなると、
図8に示すように、目地プレート9の支持部材としてのローラー15がレール部材8のガイド溝7に沿って左右方向にスライド移動するとともに、目地プレート本体17に押圧されたカバープレート支持機構11の支持具18が押圧された方向に傾き、揺れ動きを吸収する。このときカバープレート支持機構11の支持具18が傾き、カバープレート10を直接支持できなくても、その部位には目地プレート9が位置するため、カバープレート10を目地プレート9が支持することになり、カバープレート10が撓むことを防止できる。また、目地プレートが位置しない部位については、通常時と同様にカバープレート支持機構11の支持具18がカバープレート10を支持する。
【0029】
地震による揺れ動きが終了し、目地部2の寸法が通常時と同様に復帰した場合には、目地プレート本体17によって押圧され傾倒していたカバープレート支持機構11の支持具18は、付勢具19の付勢力により直立状態となってカバープレート10を支持する。
【0030】
地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が広くなると、
図9に示すように、目地プレート9の支持部材としてのローラー15がレール部材8のガイド溝7に沿って左右方向にスライド移動し揺れ動きを吸収する。このとき、通常時は目地プレート9によってカバープレート10を支持していた部位に設けられているカバープレート支持機構11の支持具18は、付勢具19の付勢力により直立状態となってカバープレート10を支持する。これにより、目地部2が広くなってもカバープレート10が撓むことを防止できる。
地震で躯体3、4が異なる前後方向に揺れ動くと、
図10に示すように、目地プレート9のバー部材16が前記枢支ピン14を回転軸に前後方向に回転するとともに、レール部材8も前記枢支ピン13を回転軸に前後方向に回転し、その揺れ動きを吸収する。この時、本実施の形態では通常時において第2の目地プレート支持部6上に位置する目地プレート本体17は、目地部上に位置する目地プレート本体17よりも幅狭(前後方向の寸法が短い)に形成されているため、他方の躯体4の壁面等に衝突することなく揺れ動きを吸収できる。
【0031】
なお、前後方向に揺れ動いた場合に、第2の目地プレート支持部6に目地プレート本体17が逃げられるスペースがある場合には、通常時において第2の目地プレート支持部6上に位置する目地プレート本体17を幅狭にしなくてもよい。
【0032】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、
図11乃至
図14に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0033】
図11乃至
図14に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、2枚の板材を互い違いに結合して略クランク状の目地プレート本体17Aを用いた目地プレート9Aにするとともに、上向きコ字状の断面形状を有するレール2本を溶接、螺合等で結合し、と、レール部材8Aを形成した点で、このような目地装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0034】
なお、本実施の形態においては、左右の躯体の壁面間に外壁用目地装置等を図示していないが、必要に応じて外壁用目地装置を用いるとよい。
また、カバープレート支持機構の付勢具としてコイルスプリングを用いるものについて説明したが、支持具の回転軸にゼンマイバネを設けて付勢具としてもよく、支持具の先端(ローラーを設けていない先端)に重り等を用いて自重で直立するように付勢してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は目地装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0036】
1、1A:床用目地装置、 2:目地部、
3:一方の躯体、 4:他方の躯体、
5:第1の目地プレート支持部、 6:第2の目地プレート支持部、
7:ガイド溝、 8、8A:レール部材、
9、9A:目地プレート、 10:カバープレート、
11:カバープレート支持機構、 12:滑り部材、
13:枢支ピン、 14:枢支ピン、
15:支持部材、 16:バー部材、
17、17A:目地プレート本体、 18:支持具、
19:付勢具、 20:付勢具取付部、
21:ローラー、 22:コロ部材取付部、
23:コロ部材、 24:カバープレート支持機構取付部。
【要約】 (修正有)
【課題】カバープレートを常時所定間隔で支持し、カバープレートが加わる荷重によって撓んだりするのを効率よく阻止できるとともに、地震によって左右の躯体が前後方向揺れ動いた場合でも安全に使用することができる床用目地装置を提供する。
【解決手段】躯体の一方の躯体に設けられた第1の目地プレート支持部5と、躯体の他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部6と、第2の目地プレート支持部6に一端部が枢支状態で取り付けられた複数のレール部材8と、第1の目地プレート支持部5に一端部側が支持され、複数のレール部材8に他端部側が支持された目地プレート9と、第2の目地プレート支持部6を覆うとともに、目地プレート9の上方に位置するように他方の躯体に設けられたカバープレート10と、レール部材8に設けられ、カバープレート10を支持するカバープレート支持機構11とで構成される。
【選択図】
図1