(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の大判シートが積み重ねられた大判シートブロックを断裁手段で断裁し、小ブロックに分割する断裁装置において、該大判シートを上方から見た時の各辺をそれぞれ上辺、右辺、下辺、左辺とし、
該大判シートブロックの左辺を左辺に平行な方向を紙の目と一致させて断裁する第1断裁手段と、
断裁された該大判シートブロックの左辺を右辺方向に向かって押し搬送する第1プッシャーと、
該第1プッシャーによって押し搬送された該大判シートブロックの右辺を断裁すると共に、該第1プッシャーの押し搬送と相互動作しながら該大判シートブロックの右端を順次断裁して上下方向に長尺な列単位ブロックに分割する第2断裁手段と、
該第2断裁手段による右辺断裁後の余り部分を排除する右辺排除手段と、
該列単位ブロックを所定の間隔を保ちながら右辺方向に搬送する列単位ブロック搬送手段と、
該列単位ブロックの各上辺を断裁する第3断裁手段と、
断裁された該列単位ブロックの上辺を下辺方向に向かって押し搬送する第2プッシャーと、
該第2プッシャーによって押し搬送された該列単位ブロックの下辺を断裁すると共に、該第2プッシャーの押し搬送と相互動作しながら該列単位ブロックの下端を順次断裁して小ブロックに分割する第4断裁手段と、
該第4断裁手段による下辺断裁後の余り部分を排除する下辺排除手段と
を備えたことを特徴とする断裁装置。
前記第2断裁手段が、前記大判シートブロックから順次断裁された最後の前記列単位ブロックの左辺を断裁する構成であって、左辺断裁後の余り部分を排除する左辺排除手段を備えた
請求項1に記載の断裁装置。
前記第4断裁手段が、前記列単位ブロックから順次断裁された最後の前記小ブロックの上辺を断裁する構成であって、上辺断裁後の余り部分を排除する上辺排除手段を備えた
請求項1又は2に記載の断裁装置。
前記右辺排除手段が、前記第2断裁手段の搬送方向直後方において、右辺断裁後の余り部分を下に落とす際だけ上向き又は下向きに開放し、通常は水平に閉じた状態であるバタフライ機構を備え、前記第1プッシャーの押し搬送に合わせて開閉制御する
請求項1ないし7のいずれかに記載の断裁装置。
前記下辺排除手段が、前記第4断裁手段の搬送方向直後方において、下辺断裁後の余り部分を下に落とす際だけ上向き又は下向きに開放し、通常は水平に閉じた状態であるバタフライ機構を備え、前記第2プッシャーの押し搬送に合わせて開閉制御する
請求項1ないし8のいずれかに記載の断裁装置。
複数の大判シートが積み重ねられた大判シートブロックを断裁手段で断裁し、小ブロックに分割する断裁方法において、該大判シートを上方から見た時の各辺をそれぞれ上辺、右辺、下辺、左辺とし、
第1断裁手段が、該大判シートブロックの左辺を左辺に平行な方向を紙の目と一致させて断裁する第1断裁工程、
第1プッシャーが、断裁された該大判シートブロックの左辺を右辺方向に向かって押し搬送する第1プッシュ工程、
第2断裁手段が、第1プッシュ工程の後で該大判シートブロックの右辺を断裁する右辺断裁工程、
右辺排除手段が、右辺断裁後の余り部分を排除する右辺排除工程、
該第2断裁手段が、該第1プッシャーの押し搬送と相互動作しながら該大判シートブロックの右端を順次断裁して上下方向に長尺な列単位ブロックに分割する列単位分割工程、
列単位ブロック搬送手段が、該列単位ブロックを所定の間隔を保ちながら右辺方向に搬送する列単位ブロック搬送工程、
第3断裁手段が、該列単位ブロックの各上辺を断裁する第3断裁工程、
第2プッシャーが、断裁された該列単位ブロックの上辺を下辺方向に向かって押し搬送する第2プッシュ工程、
第4断裁手段が、第2プッシュ工程の後で該列単位ブロックの下辺を断裁する下辺断裁工程、
下辺排除手段が、下辺断裁後の余り部分を排除する下辺排除工程、
該第4断裁手段が、該第2プッシャーの押し搬送と相互動作しながら該列単位ブロックの下端を順次断裁して小ブロックに分割する小ブロック分割工程
の各工程を有することを特徴とする断裁方法。
【背景技術】
【0002】
特許文献1においては、多数の紙幣を整列して印刷したシートを積載し、この積載シートを小ブロックに断裁しつつ帯掛けする工程を開示している。この発明を実用化した装置においては一個のプッシャーで積載シートを断裁手段へ間欠的に送り込んで小ブロックに分割する方法、即ち積載シートの分割が完了するまで上記一個のプッシャーで上記積載シートを断裁手段へ送り込む方法が採られている。
【0003】
本文献によれば、積載シートを先ず列単位で分割する一次分割工程と、更にこの列単位に分割された積載シートを印刷単位で再分割する二次分割する工程とを含んでいる。上記従来例においては上記列単位で分割する工程と、印刷単位で分割する工程の何れにおいても一つの積載シートの分割が完了するまで、一個のプッシャーを用いて断裁手段へのシート送り込みを行なっている。
【0004】
しかし、このような従来技術では、プッシャーが積載シートの断裁手段への送り込みを完了した後、直ちに後続する積載シートの送り込みに着手することができない。すなわち、少なくとも上記プッシャーが一つの積載シートの送り込みを完了した位置(断裁完了位置)から送り込み開始位置へ復帰する間、後続する積載シートの送り込みは休止され、送り込みに大きなロスを生ずる。この送り込みロスは各積載シート毎に累積され、この累積されたロスによって断裁装置の稼動能率を著しく低下し、断裁装置を含むライン全体の処理能力を大巾に低下する。問題がある。
【0005】
特許文献2は本件出願人による発明であり、上記従来技術の問題を解決するものである。すなわち、この発明は積載シートを高能率で小ブロックに分割できるようにした断裁装置を提供する。
具体的には、積載シートの下面を支持して搬送を案内する搬送レールと、該搬送レールに支持されて供給される積載シートを複数の小ブロックに分割する断裁手段とを備えた断裁装置において、上記積載シートを途中まで上記断裁手段へ間欠的に送り込みし一次分割に供する第1プッシャーと、該第1プッシャーと交代して上記一次分割された残りの積載シートを上記断裁手段へ間欠的に送り込み二次分割に供する第2プッシャーとを備え、上記第1プッシャーと第2プッシャーとは夫々が上記間欠送りを行なっている間夫々の上記送り開始位置に復帰し次の間欠送りに備えるように配置している。
【0006】
特許文献2の発明によれば、第1プッシャーが第2プッシャーによるシート送り込み完了以前に後続する積載シートの送り込みに直ちに着手でき、従来例におけるプッシャーが先行する積載シートの送り完了位置から後続する積載シートの送り開始位置まで復帰する間の稼動ロスを確実に解消できる。又、上記第1、第2プッシャーによる交互送り動作を各積載シート毎に繰り返すことによって前記累積ロスを有効に解消して断裁装置の稼動効率を大巾に向上し、ひいては断裁装置を含むライン全体の処理能力を著しく向上することができる。
【0007】
また、特許文献3の発明は、重ねシートを回転させながら無印刷ストリップを切断する方法を提案している。すなわち、重ねシートの第1の無印刷ストリップを切断するために重ねシートが刃物の下方に運ばれ、その第1のストリップが切断され、その重ねシートが引き続いて運ばれ、そこで第1の回転を行い、そして第2の無印刷ストリップを切断するためにその刃物の下方に再び案内され、その第2のストリップが切断され、重ね体が引き続いて運ばれて、そこでそれが第2の回転を行い、そして第3の無印刷ストリップを切断するためにその刃物の下方に再び案内され、該第3のストリップと有価証券の連続した重ねストリップが切断され、そして有価証券の連続した重ねストリップが個別の有価証券に切断される各工程を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献3の技術では、重ねられた有価証券シートを個別の有価証券の積み重ね体へ処理するために必要とされる操作の数を削減することを目的としているが、重ねシートを3回回転させながら3回の切断を伴う作業が必要であり、作業自体の煩雑さは改善されていない。また、切断と回転を繰り返すと重ねられたシートに擦れが生じ、高精度な裁断が行えない問題がある。
【0010】
一方、従来からの断裁装置や断裁方法では、断裁の精度を向上させるためには処理能力が低下する問題があり、上記の従来技術においても従来よりも稼働効率を向上させる技術は提供されてない。
【0011】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みて創出されたものであり、大判シートから紙幣や葉書のような小ブロックに断裁するための断裁装置及び方法において、製造される小ブロックの断裁精度を高めることができ、かつ工程の簡略化及び裁断設備の小規模化を同時に実現する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するために次のような断裁装置及び断裁方法を提供する。
第1の実施態様に係る発明は、複数の大判シートが積み重ねられた大判シートブロックを断裁手段で断裁し、小ブロックに分割する断裁装置を提供する。
大判シートを上方から見た時の各辺をそれぞれ上辺、右辺、下辺、左辺とし、突き揃えられた隣接する2つの基準辺を上辺及び左辺として断裁装置に載置し、断裁された大判シートブロックの左辺を右辺方向に向かって押し搬送する第1プッシャーと、第1プッシャーによって押し搬送された大判シートブロックの右辺を断裁すると共に、第1プッシャーの押し搬送と相互動作しながら大判シートブロックの右端を順次断裁して上下方向に長尺な列単位ブロックに分割する第2断裁手段と、第2断裁手段による右辺断裁後の余り部分を排除する右辺排除手段を備える。
【0013】
さらに、断裁によって形成された列単位ブロックを所定の間隔を保ちながら右辺方向に搬送する列単位ブロック搬送手段と、断裁された列単位ブロックの上辺を下辺方向に向かって押し搬送する第2プッシャーと、第2プッシャーによって押し搬送された列単位ブロックの下辺を断裁すると共に、第2プッシャーの押し搬送と相互動作しながら列単位ブロックの下端を順次断裁して小ブロックに分割する第4断裁手段と、第4断裁手段による下辺断裁後の余り部分を排除する下辺排除手段とを備えたことを特徴とする断裁装置を提供する。
【0014】
第2の実施態様に係る発明では、第2断裁手段が、大判シートブロックから順次断裁された最後の列単位ブロックの左辺を断裁する構成であって、左辺断裁後の余り部分を排除する左辺排除手段を備える構成でもよい。
【0015】
第3の実施態様に係る発明では、第4断裁手段が、列単位ブロックから順次断裁された最後の小ブロックの上辺を断裁する構成であって、上辺断裁後の余り部分を排除する上辺排除手段を備える構成でもよい。
【0016】
第4の実施態様に係る発明では、複数の大判シートが積み重ねられた大判シートブロックを断裁手段で断裁し、小ブロックに分割する断裁装置において、大判シートを上方から見た時の各辺をそれぞれ上辺、右辺、下辺、左辺とし、大判シートブロックの左辺を断裁する第1断裁手段と、断裁された大判シートブロックの左辺を右辺方向に向かって押し搬送する第1プッシャーと、第1プッシャーによって押し搬送された大判シートブロックの右辺を断裁すると共に、第1プッシャーの押し搬送と相互動作しながら大判シートブロックの右端を順次断裁して上下方向に長尺な列単位ブロックに分割する第2断裁手段と、第2断裁手段による右辺断裁後の余り部分を排除する右辺排除手段を備える。
【0017】
そして、断裁によって形成された列単位ブロックを所定の間隔を保ちながら右辺方向に搬送する列単位ブロック搬送手段と、列単位ブロックの各上辺を断裁する第3断裁手段と、断裁された列単位ブロックの上辺を下辺方向に向かって押し搬送する第2プッシャーと、第2プッシャーによって押し搬送された列単位ブロックの下辺を断裁すると共に、第2プッシャーの押し搬送と相互動作しながら列単位ブロックの下端を順次断裁して小ブロックに分割する第4断裁手段と、第4断裁手段による下辺断裁後の余り部分を排除する下辺排除手段とを備えたことを特徴とする。
【0018】
第5の実施態様に係る発明では、第1断裁手段及び第2断裁手段において、片側が略垂直、片側にシノギの傾斜を有する片刃形状の刃先を用い、第1断裁手段では断裁後の大判シートブロックの左辺となる側が略垂直な側となる向き、第2断裁手段では断裁後の列単位ブロックの左辺となる側がシノギの側となる向き、に刃先を配置することができる。
【0019】
第6の実施態様に係る発明では、第3断裁手段において、片側が略垂直、片側にシノギの傾斜を有する片刃形状の刃先を用い、第3断裁手段では断裁後の列単位ブロックの上辺となる側が略垂直な側となる向きに刃先を配置することができる。
【0020】
第7の実施態様に係る発明では、第1プッシャー又は第2プッシャーの少なくともいずれかにおいて、送り開始位置から中途位置までの押し搬送を行う主プッシャーと、中途位置で主プッシャーから引き継いで同じ辺を押し搬送する従プッシャーとを備え、一方が間欠送りを行っている間、他方が送り開始位置に復帰し次の間欠送りに備えるように配置される。
【0021】
第8の実施態様に係る発明では、断裁装置において、第4断裁手段によって分割された小ブロックを所定の間隔を保ちながら右辺方向に搬送する小ブロック搬送手段と、各小ブロックに帯掛けする帯掛け手段とを備えることもできる。
【0022】
第9の実施態様に係る発明では、大判シートブロックにおいて、右辺及び左辺に平行な方向を紙の目と一致させて断裁を行う構成でもよい。
【0023】
第10の実施態様に係る発明では、右辺排除手段が、第2断裁手段の搬送方向直後方において、右辺断裁後の余り部分を下に落とす際だけ上向き又は下向きに開放し、通常は水平に閉じた状態であるバタフライ機構を備え、第1プッシャーの押し搬送に合わせて開閉制御する構成を提供する。
【0024】
第11の実施態様に係る発明では、下辺排除手段が、第4断裁手段の搬送方向直後方において、下辺断裁後の余り部分を下に落とす際だけ上向き又は下向きに開放し、通常は水平に閉じた状態であるバタフライ機構を備え、第2プッシャーの押し搬送に合わせて開閉制御する構成を提供する。
【0025】
第12の実施態様に係る発明では、上記の断裁装置において、上記の記載における右辺及び右端と、左辺及び左端とを相互に置き換えて対称的に構成することもできる。
【0026】
第13の実施態様に係る発明では、複数の大判シートが積み重ねられた大判シートブロックを断裁手段で断裁し、小ブロックに分割する断裁方法を提供することができる。
大判シートを上方から見た時の各辺をそれぞれ上辺、右辺、下辺、左辺とし、突き揃えられた隣接する2つの基準辺を上辺及び左辺として断裁装置に載置した後、次の各工程を有する。すなわち、
(a)第1プッシャーが、断裁された大判シートブロックの左辺を右辺方向に向かって押し搬送する第1プッシュ工程、
(b)第2断裁手段が、第1プッシュ工程の後で大判シートブロックの右辺を断裁する右辺断裁工程、
(c)右辺排除手段が、右辺断裁後の余り部分を排除する右辺排除工程、
(d)第2断裁手段が、第1プッシャーの押し搬送と相互動作しながら大判シートブロックの右端を順次断裁して上下方向に長尺な列単位ブロックに分割する列単位分割工程、
(e)列単位ブロック搬送手段が、列単位ブロックを所定の間隔を保ちながら右辺方向に搬送する列単位ブロック搬送工程、
(f)第2プッシャーが、列単位ブロックの上辺を下辺方向に向かって押し搬送する第2プッシュ工程、
(g)第4断裁手段が、第2プッシュ工程の後で列単位ブロックの下辺を断裁する下辺断裁工程、
(h)下辺排除手段が、下辺断裁後の余り部分を排除する下辺排除工程、
(i)第4断裁手段が、第2プッシャーの押し搬送と相互動作しながら列単ブロックの下端を順次断裁して小ブロックに分割する小ブロック分割工程
の各工程を有することを特徴とする。
【0027】
第14の実施態様に係る発明では、第2断裁手段が、大判シートブロックから順次断裁された最後の列単位ブロックの左辺を断裁する構成であって、
(e)列単位分割工程の後に、左辺排除手段が、左辺断裁後の余り部分を排除する(e− 2)左辺排除工程をさらに有する。
【0028】
第15の実施態様に係る発明では、第4断裁手段が、列単位ブロックから順次断裁された最後の小ブロックの上辺を断裁する構成であって、(i)小ブロック分割工程の後に、上辺排除手段が、上辺断裁後の余り部分を排除する(i− 2)上辺排除工程をさらに有する。
【0029】
第16の実施態様に係る発明では、複数の大判シートが積み重ねられた大判シートブロックを断裁手段で断裁し、小ブロックに分割する断裁方法において、大判シートを上方から見た時の各辺をそれぞれ上辺、右辺、下辺、左辺とし、次の各工程を有する。すなわち、
(A)第1断裁手段が、大判シートブロックの左辺を断裁する第1断裁工程、
(B)第1プッシャーが、断裁された大判シートブロックの左辺を右辺方向に向かって押し搬送する第1プッシュ工程、
(C)第2断裁手段が、第1プッシュ工程の後で大判シートブロックの右辺を断裁する右辺断裁工程、
(D)右辺排除手段が、右辺断裁後の余り部分を排除する右辺排除工程、
(E)第2断裁手段が、第1プッシャーの押し搬送と相互動作しながら大判シートブロックの右端を順次断裁して上下方向に長尺な列単位ブロックに分割する列単位分割工程、
(F)列単位ブロック搬送手段が、列単位ブロックを所定の間隔を保ちながら右辺方向に搬送する列単位ブロック搬送工程、
(G)第3断裁手段が、列単位ブロックの各上辺を断裁する第3断裁工程、
(H)第2プッシャーが、断裁された列単位ブロックの上辺を下辺方向に向かって押し搬送する第2プッシュ工程、
(I)第4断裁手段が、第2プッシュ工程の後で列単位ブロックの下辺を断裁する下辺断裁工程、
(J)下辺排除手段が、下辺断裁後の余り部分を排除する下辺排除工程、
(K)第4断裁手段が、第2プッシャーの押し搬送と相互動作しながら列単位ブロックの下端を順次断裁して小ブロックに分割する小ブロック分割工程の各工程を有することを特徴とする。
【0030】
第17の実施態様に係る発明では、上記の断裁方法において、断裁手段として片側が略垂直、片側にシノギの傾斜を有する片刃形状の刃先を用い、各プッシュ工程におけるプッシャーが押し搬送する辺を略垂直な側の刃先によって断裁することができる。
【0031】
第18の実施態様に係る発明では、上記の断裁方法において、小ブロック分割工程の後で、小ブロックを所定の間隔を保ちながら右辺方向に搬送する小ブロック搬送工程、各小ブロックに帯掛けする帯掛け工程をさらに有することができる。
【0032】
第19の実施態様に係る発明では、大判シートブロックにおいて、右辺及び左辺に平行な方向を紙の目と一致させて断裁を行うことができる。
【0033】
第20の実施態様に係る発明では、上記請求項13ないし19のいずれかに記載の断裁方法において、上記の記載における右辺及び右端と、左辺及び左端とを相互に置き換えて対称的に構成することもできる。
【発明の効果】
【0034】
大判シートから紙幣や葉書のような小ブロックに断裁する際に、製造される小ブロックの断裁精度を高めることができ、かつ工程の簡略化及び裁断設備の小規模化を同時に実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を、図面に示す実施例を基に説明する。なお、実施形態は下記に限定されるものではない。
(第1実施例)
図1は、本発明の第1実施例に係る断裁装置10の全体説明図である。本発明は例えば100枚単位の大判シートブロックから紙幣、宝くじ、葉書、有価証券のような比較的小さな用紙サイズの小ブロックに断裁するための装置である。本発明の対象としてはこれらに限定されないが、断裁後の用紙サイズに高い精度が要求される断裁装置に適する。
【0037】
断裁装置10において、工程順に大判シート100の突き揃え機11、計数機12、第1搬送機13、第2断裁機14、第2搬送機15、第4断裁機16、搬出機17を備えている。
本実施例では、まず突き揃え機11において大判シート100の基準辺を揃える。突き揃え機11の構成は公知であるので図示を省略するが、例えば特許文献4に記載されるように、グリッパーが積載ブロックを所要量引き出して積載ブロックの前端面を前当てに突き当て、積載ブロックのクランプを開放する。この状態で、尻たたきが下方から流体圧シリンダーによって積載ブロックの後端面に対向する位置まで上昇する。そして、尻たたきは、シリンダーによって、積載ブロックの後端面を前当てに向かって繰り返したたくことにより、積載ブロックの前端面を前当てに突き揃える。
【0038】
図2は、大判シート100における基準辺の説明図である。大判シート100を上方から見て各辺をそれぞれ上辺101、右辺102、下辺103、左辺104とする。
図2(a)に示すように突き揃え機11では上辺101と左辺104を基準辺として突き揃える。本発明では突き揃えられた辺を基準辺と呼び、2つの基準辺に挟まれた角を基準角105と呼ぶ。大判シートは製造時や印刷時の歪みにより長さに誤差が生じるため、基準辺の対辺は不揃いである。
【0039】
一方、本発明では突き揃え機11を備えることは必須の要件ではない。すなわち大判シートが予め突き揃えられたブロックを用いることも可能であり、その場合には突き揃えられた隣接する2つの基準辺を上辺及び左辺となるように断裁装置10にセットすればよい。
【0040】
ところで、突き揃え機11を備えずに予め突き揃えられた大判シートブロック100を用いる場合、
図2(b)に示すように印刷面を上にして大判シートブロックを見た時に基準辺が上辺と右辺になることがある。その場合には、大判シートブロック100の表裏を反転させて基準辺を上辺及び左辺とした上で、断裁装置10にセットすることができる。
【0041】
突き揃え機11において突き揃えられた大判シートブロック100はグリッパーで把持され、計数機12で正確に計数する。計数機12にはカウンター120を備える。カウンター120は、特許文献5に開示されるような回転形シートカウンターディスクを用いることができる。
【0042】
以上の準備工程を経て、本発明の断裁処理に進む。
図3は本発明に係るプッシュ手段の説明図、
図4は第1実施例に係る断裁方法のフローチャートである。
図4において突き揃え工程S1は上記の通りであり、次に第1搬送機13に大判シートをセットS2する。
【0043】
(a)第1プッシュ工程S3
第1搬送機13において、断裁された大判シートブロックの左辺を右辺方向に向かって押し搬送する。第1搬送機13には例えば4つの第1プッシャー130が備えられており、該第1プッシャー130は
図3(a)のように大判シートブロックの左辺104を押し搬送する。
図3(b)に示すように突き揃えられた左辺104を第1プッシャー130で押すと大判シート100にはズレがほとんど生じない。一方、
図3(c)に示すように突き揃えられていない辺、例えば右辺102を第1プッシャー130が押すと、不揃いな端部に合わせて各シートにズレが生じてしまう。
【0044】
従来の断裁機では各辺を断裁してからシートを回転させたり(特許文献3)、プッシャーで押す辺について考慮されていなかった(特許文献2)ため、断裁精度が劣化する問題があったが、本発明では基準辺を押すことによって正確な断裁処理に寄与するものである。
【0045】
第1搬送機13の具体的な構成を説明すると、
図5に斜視図を示すように搬送レール131に沿って第1プッシャー130を構成する主プッシャー132と従プッシャー133が往復動可に設けられる。例えば主プッシャー132は搬送レール131の下面側に配置して送り開始位置から中途位置までを往復動するように設け、又従プッシャー133は搬送レール131の上面側に配置し、中途位置で主プッシャー132から引き継いで同じ辺を押し搬送する。
【0046】
主プッシャー132、従プッシャー133の直線移動を適正に行なうため、換言すると大判シート100の送り込みを適正に行なうため、搬送レール131に主プッシャー132、従プッシャー133の直線移動を案内する案内溝134、135を設け、該案内溝134、135に主プッシャー132、従プッシャー133の押圧端を嵌合し、該案内溝134、135にて押圧端を規制しつつ直線移動させるようにする。
【0047】
図示するように計数機12から第1搬送機13への搬送においても、搬入プッシャー137を備えて主プッシャー132に引き継ぐようにしてもよい。
主プッシャー132は上下作動機構により送り開始位置において上方回動して大判シート100の左辺と対向し、一次送りが完了するまでこの状態を保持し、更に主プッシャー132は中途位置において下方回動し、大判シート100の左辺から離れて送り開始位置に向かい復帰する。
【0048】
他方一対の従プッシャー133の基端を軸136により互いに連結し、上下作動機構により上記中途位置において下方回動し、大判シート100の左辺104と対向し二次送りが完了するまでこの状態を保持し、更に従プッシャー133は二次送り終了位置において上方回動し、中途位置に向かって復帰する。
【0049】
なお、第1プッシャー130の構成は任意に変更可能であって、上記のように搬入プッシャー137、主プッシャー132,従プッシャー133を備えなくてもよい。すべて1つのプッシャー手段で構成してもよいし、組み合わせを変化させてもよい。いずれの場合においても、基準辺を押し搬送することが重要である。
【0050】
(b)右辺断裁工程S4
次に、第2断裁機14が、第1プッシュ工程S3の後で大判シートブロック100の右辺102を断裁する。
図6は右辺断裁工程S4及び列単位分割工程S6の説明図である。
右辺102は上述した通り端部が不揃いであるが、
図6の丸数字1の線で余り部分106を断裁する。第2断裁機14は断裁刃140が上下運動しながら第1プッシャー130で前進する大判シートブロック100を断裁する。
【0051】
(c)右辺排除工程S5
右辺排除手段が、右辺断裁後の余り部分106を排除する。余り部分106は大判シート100の全幅の長さの細長い紙束であるので、右辺排除手段は断裁刃140の直後方でこれを取り除く構造を有する。例えば、搬送レール131の一部に細長の開口部を設けておき、バタフライ機構にとってこの開口部を開閉する。
すなわち、余り部分を下に落とす際だけ上向き又は下向きに開放し、通常は水平に閉じた状態のバタフライ機構を設け、第1プッシャー130の押し搬送に合わせて開閉制御する。
【0052】
(d)列単位分割工程S6
第2断裁機14が、第1プッシャー130の押し搬送と相互動作しながら大判シートブロック100の右端を順次断裁して上下方向に長尺な列単位ブロック107に分割する。上記の通り本実施例では主プッシャー132と従プッシャー133が交互に第2断裁機14に大判シート100を送り込んで断裁を行う。
図6では丸数字2〜5の断裁を行い、4つの列単位ブロック107に分割した様子を示している。
各列単位ブロック107は、基準辺104から等距離な平行線で断裁されるため、左右方向において高精度に等幅な短冊状とすることができる。
【0053】
(e)列単位ブロック搬送工程S8
列単位ブロック搬送手段が、列単位ブロックを所定の間隔を保ちながら右辺方向に搬送する。
列単位ブロック107は第2断裁機14の出口側に設けられたグリッパー141により取り出され、列単位ブロック搬送レール143上を所定の間隔で往復運動する列単位ブロック搬送プッシャー142によって次工程に搬送される。
列単位ブロック搬送プッシャー142は、列単位ブロックの断裁が完了しており、左右方向の精度は断裁前よりも要求されないため、必ずしも左辺を押し搬送する構成に限定されない。またプッシャーを用いる場合にも、上記従プッシャー133のように下方回動して押し搬送する構成でもよい。
さらに、列単位ブロック搬送プッシャーは上記第1プッシャー130の一部又は全部と機構を共通にしてもよい。
【0054】
(e−2)左辺排除工程S7
上記の列単位分割工程S6では
図6の丸数字5のように最後の断裁を行った後で左辺の余り部分108が生じる。そこで左辺排除手段が、最終断裁後の余り部分108を排除する工程を有してもよい。
左辺の余り部分108も大判シート100の全幅の長さの細長い紙束であるので、上記右辺排除手段と共通として、断裁刃140の直後方でこれを取り除けばよい。余り部分108を下に落とす際だけ上向き又は下向きに開放し、通常は水平に閉じた状態のバタフライ機構を設け、第1プッシャー130の押し搬送に合わせて開閉制御する。
【0055】
(f)第2プッシュ工程S9
列単位ブロック107が列単位ブロック搬送プッシャー142によって搬送された後、第2プッシャー150が、列単位ブロック107の上辺101aを下辺方向に向かって押し搬送する。第2プッシャー150は搬送方向を90度変じて、列単位ブロック107の基準辺である上辺101aを押す。基準辺を押すことによってシートのズレが生じにくくなる効果については上述した通りである。
第2プッシャー150の構造については第1プッシャー130と同様であり、第4断裁機16に到るまで同一のプッシャーで、あるいは中途位置で引き継ぎながら搬送する。
【0056】
(g)下辺断裁工程S10
次に、第4断裁機16が、第2プッシュ工程S9の後で列単位ブロック107の下辺103aを断裁する。
図7は下辺断裁工程S10及び小ブロック分割工程S12の説明図である。
下辺103aは下辺103の一部であるため上述した通り端部が不揃いであるが、
図7の丸数字6の線で余り部分109を断裁する。第4断裁機16は断裁刃が上下運動しながら第2プッシャー150で前進する列単位ブロック107を断裁する。
【0057】
(h)下辺排除工程S11
下辺排除手段が、下辺断裁後の余り部分109を排除する。右辺排除手段と同様に、第4断裁機16の断裁刃の直後方でこれを取り除く構造を有する。余り部分109を下に落とす際だけ上向き又は下向きに開放し、通常は水平に閉じた状態のバタフライ機構を設け、第2プッシャー150の押し搬送に合わせて開閉制御する。
【0058】
(i)小ブロック分割工程S12
第4断裁機16が、第2プッシャー150の押し搬送と相互動作しながら列単位ブロック107の下端を順次断裁して小ブロック110に分割する。
図7では丸数字7〜13の断裁を行い、7つの小ブロック110に分割した様子を示している。
各小ブロック110は、基準辺101aから等距離な平行線で断裁されるため、上下方向において高精度に等幅な最終製品とすることができる。
【0059】
(i−2)上辺排除工程S13
上記の小ブロック分割工程S12では
図7の丸数字13のように最後の断裁を行った後で上辺の余り部分111が生じる。そこで上辺排除手段が、最終断裁後の余り部分111を排除する工程を有してもよい。
上辺の余り部分111も上記下辺排除手段と共通として、断裁刃の直後方でこれを取り除けばよい。余り部分111を下に落とす際だけ上向き又は下向きに開放し、通常は水平に閉じた状態のバタフライ機構を設け、第2プッシャー150の押し搬送に合わせて開閉制御する。
【0060】
本発明は上記小ブロック分割工程S12まで行い、その後の処理については任意であるが、本実施例ではさらに次の工程を行っている。
(j)小ブロック搬送工程S14
搬出機17において分割された小ブロックを所定の間隔を保ちながら下辺方向に搬送して断裁装置10から搬出する。図示は省略するが、小ブロック110を第4断裁機16の出口側に設けられたグリッパーにより取り出し、所定の間隔で往復運動する小ブロック搬送プッシャーによって次工程に搬送する。
【0061】
(k)帯掛け工程S15
搬出された小ブロック110は図示しない帯掛け機によりブロック毎に帯掛けを行う。帯掛け機は公知の機械を適宜選択することができる。
従来、列単位ブロック107において小ブロックの中央位置に先に帯掛けを行う例があったが、撓みが生じやすく断裁精度を低下させる問題があった。本発明では小ブロックへの分割後に帯掛けを行うことで、全ての断裁工程において誤差の生じにくい断裁方法を実現している。
【0062】
本実施例において、大判シートブロック100の表裏を反転させて基準辺を上辺及び左辺とした上で、断裁装置10にセットした場合、帯掛け後の小ブロックは図示しない反転装置で再度反転させて元の向きに戻すことが好ましい。この再反転工程は、複数の小ブロックを例えば番号順に整列する際に重要である。
【0063】
(第2実施例)
図8は、本発明の第2実施例に係る断裁装置20の全体説明図である。
断裁装置20において、工程順に大判シート100の突き揃え機21、計数機22、第1断裁機23、第1搬送機24、第2断裁機25、第3断裁機26、第2搬送機27、第4断裁機28、搬出機29を有する。
搬出機29から搬出された小ブロックはさらに、帯掛け装置30、整列装置31において処理される。
【0064】
第2実施例の説明は上記第1実施例と同様である工程については説明を省略し、主として異なる点について以下に述べる。
本実施例ではまず突き揃え機21において基本的な基準辺を決定する。このとき大判シートブロック100の紙の目に応じて、紙の目が右辺及び左辺と平行な方向になるようにシートの向きを定める。
【0065】
そして、
図2のように大判シート100を上方から見て各辺をそれぞれ上辺101、右辺102、下辺103、左辺104とする。
図2(a)に示すように突き揃え機21では上辺101と左辺104を基準辺として突き揃える。本実施例では上辺101と右辺102を基準辺とすることもできる。
【0066】
突き揃え機21において突き揃えられた大判シートブロック100はグリッパーで把持され、計数機22で正確に計数する。計数機22にはカウンター220を備える。この後で本発明の断裁処理に進む。
図9は第2実施例に係る断裁方法のフローチャートである。
【0067】
(A)第1断裁工程S20
第1断裁機23において、大判シートブロック100の左辺104を断裁する。
図10は第1断裁工程S20の説明図である。まずグリッパー230、231で上辺及び右辺を掴みながら断裁刃232により左辺104を断裁する。
左辺104は断裁により非常に高い精度で各シートが揃っているので、この断裁面を基準辺として用いる。
断裁された左辺の余り部分はそのまま落下させることで排除できる。
【0068】
(B)第1プッシュ工程S3
第1搬送機24において、断裁された大判シートブロックの左辺104を右辺方向に向かって押し搬送する。第1搬送機24には例えば4つの第1プッシャー130が備えられており、左辺104を押し搬送する。
【0069】
(C)右辺断裁工程S4
第2断裁機25が、第1プッシュ工程S3の後で大判シートブロック100の右辺102を断裁する。
図11は右辺断裁工程S4の説明図である。右辺102は上述した通り端部が不揃いであるが、第2断裁機25の断裁刃250で右辺102の余り部分を断裁する。
(D)右辺排除工程S5
右辺排除手段が、右辺断裁後の余り部分を排除する。
(E)列単位分割工程S6
第2断裁機25が、第1プッシャー130の押し搬送と相互動作しながら大判シートブロック100の右端を順次断裁して上下方向に長尺な列単位ブロック107に分割する。
(F)列単位ブロック搬送工程S8
列単位ブロック搬送手段が、列単位ブロックを所定の間隔を保ちながら右辺方向に搬送する。
【0070】
(G)第3断裁工程S21
第3断裁機26において、列単位ブロック107の各上辺101aを断裁する。列単位ブロック搬送手段の例えば上記列単位ブロック搬送プッシャー142と同様のプッシャーで搬送しながら、第3断裁機26の断裁刃260で上辺101aを順次断裁し、高い精度で揃った基準辺を作出する。
断裁された上辺の余り部分はそのまま落下させることで排除できる。
【0071】
(H)第2プッシュ工程S9
列単位ブロック107が例えば列単位ブロック搬送プッシャー142によって搬送された後、第2プッシャー150が、列単位ブロック107の上辺101aを下辺方向に向かって押し搬送する。第2プッシャー150は搬送方向を90度変じて、列単位ブロック107の基準辺である上辺101aを押す。第3断裁工程S21で作出された基準辺を押すことによってシートのズレは最小限に抑制される。
【0072】
(I)下辺断裁工程S10
次に、第4断裁機28が、第2プッシュ工程S9の後で列単位ブロック107の下辺103aを断裁する。
図12は下辺断裁工程S10及び小ブロック分割工程S12の説明図である。
下辺103aは下辺103の一部であるため上述した通り端部が不揃いであるが、余り部分を断裁する。第4断裁機28は断裁刃280が上下運動しながら第2プッシャー150で前進する列単位ブロック107を断裁する。
【0073】
(J)下辺排除工程S11
下辺排除手段が、下辺断裁後の余り部分を排除する。
(K)小ブロック分割工程S12
第4断裁機28が、第2プッシャー150の押し搬送と相互動作しながら列単位ブロック107の下端を順次断裁して小ブロック110に分割する。各小ブロック110は、基準辺101aから等距離な平行線で断裁されるため、上下方向において高精度に等幅な最終製品とすることができる。
【0074】
本発明は上記小ブロック分割工程S12まで行い、その後の処理については任意であるが、本実施例ではさらに次の工程を行っている。
(L)小ブロック搬送工程S14
搬出機29において分割された小ブロックを所定の間隔を保ちながら下辺方向に搬送して断裁装置20から搬出する。図示は省略するが、小ブロック110を第4断裁機28の出口側に設けられたグリッパーにより取り出し、所定の間隔で往復運動する小ブロック搬送プッシャーによって次工程に搬送する。
【0075】
(M)帯掛け工程S15
搬出された小ブロック110は帯掛け装置30によりブロック毎に帯掛けを行う。帯掛け機は公知の機械を適宜選択することができる。
【0076】
さらに、帯掛け処理された小ブロック110は整列装置31によって整列することもできる。整列装置31の構成については公知であり、小ブロックを所望の順序で摘出して整列させることができる。
【0077】
本発明の構成は以上の通りであるが、本発明の作用について図を用いて説明する。
図13は紙の目とプッシュ方向の関係を示す説明図である。紙は周知のように製紙工程における抄紙機のパルプの流れ方向に起因する紙の目(紙の流れ目)がある。プッシャーによって押し搬送をする場合、紙の目112と平行な向き(Y方向)では曲げに強く、誤差がでにくい特徴がある。一方、紙の目112と直交する向き(X方向)では曲げに弱く誤差が出やすい。
【0078】
そこで本発明では、大判シート100の断裁前、第1プッシャー130でシートの全幅を使って押し搬送ができる時にはX方向に搬送する一方、第2プッシャー150で列単位ブロック107の狭小な辺を押し搬送する場合にはY方向に搬送するように構成している。
このために、右辺及び左辺に平行な方向を紙の目と一致させること、及び第1プッシュ工程で左辺を右辺方向(逆方向でも同様)に押し搬送することが重要である。
【0079】
同時に、従来のように大判シート100を回転させることは誤差の原因となるので、列単位ブロックに分割した後で、向きを変えずに列単位ブロックの上辺を下辺方向に向かって押し搬送する点も重要である。
従って、これらを適切に組み合わせることによって本発明では高精度な断裁処理を実現している。
【0080】
図14は断裁刃の刃先の向きを説明する図である。第1断裁機23の断裁刃232において、断裁刃232は片側が略垂直(232a)、片側にシノギ(232b)の傾斜を有する片刃形状の刃先を用い、第1プッシャー130が押し搬送する辺、即ち左辺104を略垂直な側の刃先によって断裁する。
図示からも明らかな通り、シノギ(232b)側で断裁すると、断裁面がわずかに傾斜するため、本発明では基準辺を正確な端面とするように上記の通りに断裁刃を設置している。
【0081】
この点、第3断裁機26においても同様であり、断裁刃260は垂直な刃側を列単位ブロック107の上辺101a側に向け、第2プッシャー150で正確に押し搬送ができるようにしている。
【0082】
図15は本発明における断裁方法の効果を説明する図である。
図15(a)は従来技術において大判シート100や列単位ブロック107の両側を同時に断裁した場合のシート断面の状態を示している。表面に印刷が行われた後のシートは、時間の経過や、インクや印刷時の搬送によって紙に大きな歪みが生じ、シートの長さに誤差がある。この誤差を考慮せずに両辺を同時に断裁してから、列単位ブロック107や小ブロック110に順次分割すると、最後に残るブロックは規定のサイズから乖離する可能性が高い。
【0083】
本発明では、
図15(b)に示すように、基準辺104を第1プッシャー130で押し搬送しながら、余り部分106、列単位ブロック107、余り部分108をその場で断裁していくため、各ブロックには誤差が生じにくい上、最後に残るブロックも他のブロックと同じ精度で断裁することができる。
【0084】
本発明は、上辺及び左辺を基準辺とする構成として上記実施例を説明したが、請求項及び上記実施例において、左右が対称な構成でも全く同様の効果を奏することは明らかである。従って、全ての左辺を右辺に、左端を右端に読み替えた上で、実施例の各図についても対称図面として実施することができる。