(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記のようなモニタ装置を遊技機筺体の内部に設けるには、以下のような問題がある。
【0006】
すなわち、役比や連役比は、数字によって表されるところ、この種の数字を表示可能な装置としては、7セグメント表示器が最も一般的に使用されている。しかし、7セグメント表示器は、発光ダイオードを発光させることによって、数字を表示するものとなっているところ、この7セグメント表示器を遊技機筺体の内部に収容すると、7セグメント表示器から出射した光が、遊技機筺体の前扉に存在する隙間等から遊技者側に漏れ出てしまい、遊技者に視認されてしまう虞があった。
【0007】
特に、一般的な回胴式遊技機の筺体内部には、複数本のリールを有するリールユニットが配されており、前扉には、それらのリールの外周部に表わされた図柄を遊技者に視認させるためのリール窓が設けられているところ、リールユニットにおけるリールとリール窓との隙間から、7セグメント表示器の光が漏れ出てしまうことがあると、遊技者がリールの図柄を視認しにくくなる等、遊技者が遊技に集中できなくなってしまう。このことは、上記のモニタ装置として、7セグメント表示器を用いる場合に限られず、発光体を遊技機筺体の内部に収容した場合全てに当て嵌まる。
【0008】
この点、上記のモニタ装置等、遊技機筺体の内部に収容する発光体を、遊技中には点灯しないようにして、前扉を開けて遊技機筺体の内部を確認するときのみに点灯するようにすれば、上記の不具合(発光体からの出射光がリール窓の隙間等から漏れ出る不具合)が生じないようにすることができる。しかし、この場合には、発光体の点灯制御を行う機構(発光体の点灯と消灯を切り替える切り替え回路や、前扉が開かれたことを検出するセンサや、当該切り替え回路と当該センサとを連結するケーブル等)を設ける必要が生じる。
【0009】
また、これまでには、リールの内周部に配されるリール照明用の光源からの光が、各リールの隙間から前方へ漏れ出ないようにするために、リールの外周面の地の色と同色系の目隠し板を各リールの隙間に配置した回胴式遊技機(例えば、上記の特許文献1の請求項1及び同文献の
図4における「目隠し板30」を参照。)も提案されている。
【0010】
しかし、このような目隠し板を各リールの隙間に配置しただけでは、遊技機筺体の内部に設けられた発光体からの光の漏出を防ぐことができない。というのも、各リールの隙間を目隠し板で塞いだとしても、リール窓の淵に沿った部分(リール窓とリールとの隙間)から漏れ出る光を防ぐことはできないし、リール窓の淵の部分に目隠し板を設けて、その目隠し板とリールとの間から光が漏れ出ないように目隠し板をリールに近接させると、リールの回転が阻害される虞や、リールの図柄を目視しにくくなる虞があるからである。また、引用文献1のように不透明な目隠し板をリール窓の周辺に設けると、その目隠し板が不自然に目立ってしまい、遊技機の外観品質が低下する虞もある。
【0011】
これに対し、引用文献1のように不透明な目隠し板を、遊技機筺体の内部に設けられた発光体の近傍に配すると、リール窓の淵に沿った部分等に隙間が存在していても、その発光体の光がその隙間から漏れ出ないようにすることが可能である。
【0012】
しかし、このような不透明な目隠し板を筺体内部に設けることは、前扉を開けて遊技機筺体の内部を目視によって点検する際に、点検者の目の届きにくい死角を遊技機筺体の内部に生むことになり、その死角が不正アクセスの手掛かりとされる虞もあるため、好ましくない。とりわけ、この種の発光体は、通常、制御基板に搭載されることに加えて、遊技機の制御基板は、それに対する不正アクセスを行いにくくするため、基板ケースに封止された状態とされるとともに、基板ケースの外部からでも制御基板の状態を目視できるように、その基板ケースは透明材料によって形成されるところ、不透明な目隠し板を基板ケースの近くに配すると、基板ケースの内部に死角が生じてしまい、基板ケースの内部の制御基板に不正アクセスを許す危険性が高まる。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、遊技機筺体の内部に配された発光体からの光が、遊技機筺体の前扉に存在する隙間等(光透過部)から遊技者側へ漏れ出ないようにし、外観品質を高めることのできる遊技機を提供するものである。また、この遊技機を簡素な構造で提供することも本発明の目的である。さらに、この遊技機を、制御基板を封止する基板ケースの近傍に死角を生じさせるような不透明な部分を形成することなく提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題は、
遊技機筺体の内部から外部へと光が漏出可能な光透過部が、遊技機筺体の前面を形成する前扉に存在する遊技機であって、
前扉が閉じている状態であっても発光し得る表示用発光体が、遊技機筺体の内部に設けられるとともに、
表示用発光体と光透過部とを結ぶ光軸上(遊技機筺体の内部空間だけでなく、遊技機筺体の外部空間(例えばリール窓の前面側等)をも含む。また、表示用発光体と光透過部とを直線状に結ぶ経路(直線経路)だけでなく、表示用発光体からの出射光が他の部材に反射して光透過部から出射する経路(反射経路)をも含む。)に、表示用発光体による発光色を吸収する有色透明部材を配したことを特徴とする遊技機
を提供することによって解決される。
【0015】
かかる構成によって、発光体(表示用発光体)の点灯と消灯とを切り替える機構を要さない簡素な構造で、遊技機筺体の内部に配された表示用発光体から出射光が、前扉に存在する光透過部を通じて遊技者に視認されないようにすることができ、遊技機の外観品質を高めることが可能になる。また、表示用発光体からの光を、不透明部材ではなく、透明部材(有色透明部材)を用いたことによって、後述する「有色透明部材奥側配置型の遊技機」のように、有色透明部材を透明基板ケースの近くに配する場合には、透明基板ケースに死角となるような部分が形成されにくくするとともに、後述する「有色透明部材手前側配置型の遊技機」のように、有色透明部材を前扉のリール窓周辺に配する場合には、遊技者から見える場所に不自然な不透明部分が形成されないようにすることが可能になる。
【0016】
本発明の遊技機においては、
複数本のリールを有するリールユニットを、遊技機筺体の内部に配して、
リールの外周部に表わされた図柄を遊技者に視認させるためのリール窓を、前扉に設け、
リールユニットにおけるリールとリール窓との隙間を、光透過部とする
ことも好ましい。
【0017】
既に述べたように、リールユニットを有する遊技機(主に回胴式遊技機)においては、リール窓とリールとの隙間からの光の漏出が問題となりやすく、この隙間からの光の漏出を、リールの図柄の視認性を低下させたり、リールの回転に干渉させたりすることなく防止することは容易ではない。この点、本発明の遊技機に係る構成を採用することによって、リールの図柄の視認性を低下させたり、リールの回転に干渉させたりしない状態で、上記の隙間からの光の漏出を防止することが可能になり、本発明の遊技機に係る構成を採用する意義が高まるからである。
【0018】
本発明の遊技機においては、
表示用発光体を、遊技機筺体の内部に配された一の遊技機用ユニットの状態を表示するための発光式モニタとする
ことも好ましい。
【0019】
発光式モニタの機能としては、遊技機の役比(ゲーム数に対するレギュラーボーナス数の比)や連役比(ゲーム数に対するビッグボーナス数の比)等、遊技に係る遊技関連パラメータの稼働実績値を表示するもの等が例示される。これにより、遊技機に不正改造が為された場合であっても、そのことを早期に発見することが可能になる。また、発光式モニタの表示方式は、上記の7セグメント表示器に限定されない。発光式モニタは、7セグメント表示器や、LED表示装置等、多数の光源(発光ダイオード等)を配列したものに限定されず、1つ又は少数の光源(発光ダイオード等)で構成されるもの(例えば、異常が発生していないときには消灯しており、異常が認められたときに点灯する1つの光源等)であってもよい。さらに、液晶表示装置等、バックライトを備えた表示装置であってもよい。
【0020】
本発明の遊技機においては、
前記発光式モニタを、前記一の遊技機用ユニットにおける制御基板を封止する透明基板ケースの内部に収容し、
有色透明部材を、前記透明基板ケースの近傍に配することも好ましい。
以下においては、この種の遊技機を「有色透明部材奥側配置型の遊技機」と呼ぶことがある。
【0021】
有色透明部材を配する箇所を、発光式モニタ(表示用発光体)が収容される透明基板ケースから離せば離すほど、有色透明部材の面積(前記光軸に垂直な断面の面積。以下同じ。)を広く確保する必要が生じ、遊技機筺体の内部のレイアウト等が制限されやすくなる傾向があるところ、上記の有色透明部材奥側配置型の遊技機のように、有色透明部材を、透明基板ケースの近くに配することによって、有色透明部材の面積を小さくしても、光透過部からの光の漏出を防止することが可能になる。このため、遊技機筺体の内部のレイアウトの自由度を高く維持することが可能になる。また、有色透明部材は、透明であるとはいっても有色であることには変わらず、透明基板ケースにおける広い範囲を有色透明部材で覆うことは、透明基板ケースの内部の視認性を良好に保つ上では好ましくないところ、有色透明部材を小型化して、透明基板ケースにおける有色透明部材で覆われる部分を小さく抑え、透明基板ケースの内部の視認性を良好に保つことも可能になる。
【0022】
本発明の遊技機を有色透明部材奥側配置型のものとする場合には、
有色透明部材を、前記一の遊技機用ユニットに接続されるケーブルのコネクタ部分に設けることも好ましい。
【0023】
有色透明部材を、透明基板ケースに組み込む場合には、透明基板ケースの設計を変更する必要が生じるところ、かかる構成を採用することによって、透明基板ケースの設計を変更することなく、透明基板ケースの近傍に有色透明部材を配置することが可能になる。
【0024】
本発明の遊技機においては、
複数本のリールを有するリールユニットを、遊技機筺体の内部に配して、
リールの外周部に表わされた図柄を遊技者に視認させるためのリール窓を、前扉に設け、
リールユニットにおけるリールとリール窓との隙間を、光透過部とするとともに、
有色透明部材を、リールユニット又はリール窓に設ける
ことも好ましい。
以下においては、この種の遊技機を「有色透明部材手前側配置型の遊技機」と呼ぶことがある。
【0025】
上記の有色透明部材奥側配置型の遊技機のように、有色透明部材を透明基板ケースの近くに配すると、少なくともある一定の角度から透明基板ケースを視認する場合において、一部の箇所で透明基板ケースの内部が視認しにくくなるところ、上記の有色透明部材手前側配置型の遊技機のように、有色透明部材を透明基板ケースから離れた箇所に配することによって、有色透明部材が透明基板ケースの視認性に全く或いは殆ど影響を及ぼさないようにすることが可能になる。
【0026】
本発明の遊技機においては、表示用発光体と光透過部とを結ぶ一の光軸上に、複数の有色透明部材を配することも好ましい。
【0027】
かかる構成によって、表示用発光体からの出射光が、複数の有色透明部材で段階的に吸収されるようにし、それぞれの有色透明部材の透明度を高くしても、表示用発光体からの出射光が光透過部から漏れ出ないようにすることが可能になる。すなわち、遊技機筺体の内部の目視による点検を行いやすくして、不正アクセスの防止効果を高めながらも、表示用発光体からの出射光が光透過部から漏れ出ないようにすることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の遊技機の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。以下においては、説明の便宜上、回胴式遊技機を例に挙げて、本発明に係る構成を説明する。しかし、本発明に係る構成は、遊技機筺体の内部から外部へと光が漏出可能な光透過部が前扉に存在する遊技機において広く採用することができる。すなわち、本発明の技術的範囲は、回胴式遊技機に限定されず、パチンコ遊技機等の他の遊技機をも含んでいる。
【0030】
また、図面の各図においては、説明の便宜を考慮し、x軸、y軸及びz軸を示している。x軸、y軸及びz軸の向きは、異なる図であっても、互いに一致している。以下においては、x軸方向正側を「右」側、x軸方向負側を「左」側、y軸方向正側を「後」側、y軸方向負側を「前」側、z軸方向正側を「上」側、z軸方向負側を「下」側と呼ぶことがあるが、これは、各部の相対的な位置関係を表すためのものに過ぎず、各部の絶対的な位置関係を限定するものではない。
【0031】
1. 回胴式遊技機の概要
図1は、回胴式遊技機10を前方から見た図である。
図1においては、回胴式遊技機10における基本的な部材のみを単純な形状に置き換えて示している。
【0032】
回胴式遊技機10は、
図1に示すように、その前面側に、メダルを投入するためのメダル投入口11と、メダルを払い出すためのメダル払出口12と、その外周面に図柄が描かれた3本のリール13,14,15と、映像演出を行うための液晶ディスプレイ16と、照明演出を行うための発光ランプ(図示省略)と、音声演出を行うためのスピ−カー17等を備えたものとなっており、操作部として、1遊技当たりの最大枚数(通常3枚)のメダルをベットするためのマックスベットボタン18と、ベットするメダルを1枚ずつ増加するためのシングルベットボタン19と、リール13,14,15の回転を開始するためのスタートレバー20と、リール13,14,15の回転をそれぞれ停止するための3個のストップボタン21,22,23と、演出を切り替えるためのチャンスボタン24と、クレジットされたメダルを払い戻すための払戻しボタン25等を有するものとなっている。
【0033】
この回胴式遊技機10は、メダルのクレジット枚数が所定枚数以上となった状態でスタートレバー20が操作されると、役抽選が実行されるとともにリール13,14,15が回転を開始し、ストップボタン21,22,23がそれぞれ操作されると、操作されたストップボタン21,22,23に対応するリール13,14,15の回転が停止していき、全てのリール13,14,15が停止したときにリール窓10b
1の有効ライン上に表示される図柄の組み合わせが役抽選で当選した役に対応したものとなっていた場合(入賞した場合)に、その役に応じた枚数のメダルが払い出され、メダルのクレジット枚数が上限値に達しているときには、ホッパーユニット36(
図2を参照)から送出されたメダルがメダル払出口12を通じて払い出されるようになっている。メダルのクレジット枚数は、メダルのクレジット枚数が上限値に達していないときに、メダル投入口11にメダルが投入される、又は、入賞によってメダルが払い出されると増加するようになっている。
【0034】
図2は、前扉10bが開かれた回胴式遊技機10を前方斜め右上から見た図である。
図2においても、回胴式遊技機10における基本的な部材のみを単純な形状に置き換えて示している。
【0035】
回胴式遊技機10は、
図2に示すように、前方が開放された箱状を為す筺体本体10aと、筺体本体10aの前面側に開閉可能な状態で取り付けられた前扉10bとで構成された遊技機筺体の内部に各種の機器が収容されたものとなっている。以下においては、筺体本体10aと前扉10bとを合わせて「筺体10a,10b」と表記することがある。
【0036】
本実施態様において、筺体10a,10bの内部には、メイン制御基板ユニット30、サブ制御基板ユニット31、液晶ユニット32、電源ユニット33、コネクタユニット34、リールユニット35及びホッパーユニット36等が納められている。これらのユニット30〜36のうち、液晶ユニット32とコネクタユニット34は、前扉10bの内面側(裏面側)に取り付けられている。一方、メイン制御基板ユニット30とサブ制御基板ユニット31と電源ユニット33とリールユニット35とホッパーユニット36は、筺体本体10aの内面側に取り付けられている。上記のリール窓10b
1は、前扉10bの中段部やや上寄りの部分に略矩形状に設けられている。
【0037】
メイン制御基板ユニット30は、役抽選や入賞判定等、遊技における基本的な制御を行う制御基板(メイン制御基板)を備えている。サブ制御基板ユニット31は、発光ランプや音声による演出等、遊技における演出に関する制御を行う制御基板(サブ制御基板)を備えている。液晶ユニット32は、液晶ディスプレイ16(
図1を参照)に表示される映像による演出に関する制御を行う制御基板(映像基板)を備えている。電源ユニット33は、回胴式遊技機10における各機器に電力を供給する制御基板(電源基板)を備えている。コネクタユニット34は、特定の機器に接続されたケーブルを仲介する制御基板(仲介基板)を備えている。リールユニット35は、リール13,14,15の回転をそれぞれ独立して制御する制御基板(リール制御基板)を備えている。ホッパーユニット36は、メダル投入口11(
図1を参照)に投入されたメダルを回収するとともに、メイン制御基板ユニット30からの信号に基づいてメダル払出口12(
図1を参照)へメダルを送出する制御を行う制御基板(ホッパー制御基板)を備えている。
【0038】
これらのユニットに備えられた各種制御基板は、いずれも、不正アクセスの対象となり得る。例えば、メイン制御基板ユニット30に備えられた制御基板(メイン制御基板)には、回胴式遊技機10における基本的な制御を行うためのプログラムが記録された記憶装置(ROM)が搭載されているところ、この記憶装置を偽造したものに交換することによって、遊技中に特定の操作を行うと必ず大当たりになるようにする等、回胴式遊技機10に不正な改造を試みる者がいる。このため、回胴式遊技機10等の遊技機においては、この種の制御基板を、基板ケースの内部に収容して封止することが行われている。本実施態様においても、これらの制御基板を透明な基板ケース(透明基板ケース)の内部に収容することによって、当該制御基板を封止する構造を採用している。
【0039】
2. 表示用発光体(発光式モニタ)
ところで、本発明の遊技機においては、
図2に示すように、筺体10a,10bの内部に、表示用発光体40(同図において網掛けハッチングで示した部分)が設けられる。この表示用発光体40は、発光ダイオード等の光源(発光体)により構成されたものとなっており、その点灯状態によって、それを確認する確認者(通常、遊技機を設置しているホールの従業員等)に所定の情報を表示するものとなっている。点検者は、前扉10bを開けることによって、表示用発光体40の点灯状態を確認することができる。このため、表示用発光体40は、前扉10bが開かれているときにのみ表示を行えば(発光すれば)よいのであるが、この場合には、既に述べたように、表示用発光体40の点灯制御を行うための機構を設ける必要が生じてしまう。したがって、本発明の遊技機においては、表示用発光体40を、遊技機の電源が入っているときにおいては、前扉10bの開閉に関係なく発光し得るものとしている。
【0040】
表示用発光体40で表示する情報は、特に限定されない。本実施態様において、表示用発光体40は、遊技に関連する遊技関連パラメータを表示する発光式モニタとなっている。発光式モニタ(表示用発光体40)で表示する遊技関連パラメータとしては、遊技機の設定(例えば、ボーナスやビッグボーナスや小役等の当選比率の設定(いわゆる設定値))や、遊技機の稼働実績(例えば、遊技数や、レギュラーボーナス数や、ビッグボーナス数や、各小役数の稼働実績値や、遊技機の役比(ゲーム数に対するレギュラーボーナス数の比)や連役比(ゲーム数に対するビッグボーナス数の比)の稼働実績値)等が例示される。
【0041】
本実施態様においては、遊技機の役比及び連役比の稼働実績を発光式モニタ(表示用発光体40)で表示するようにしている。このため、遊技機を設置しているホール等は、発光式モニタ40を確認することによって、役比や連役比の稼働実績が不自然な遊技機を早期に発見することができるようになっており、万が一、メイン制御基板に不正改造が施された場合であっても、それによる被害を最小限に抑えることが可能となっている。
【0042】
発光式モニタ(表示用発光体40)は、その点灯又は消灯により所定の情報を表示できるのであれば、その種類を限定されない。発光式モニタ40は、1個の光源(発光体)で構成されたものであってもよい。例えば、遊技機の状態に異常が発生していないときには消灯しており、遊技機の状態に異常が発生したときに点灯するようにすれば、発光式モニタ40を1個の発光体で構成しても、一定の情報(遊技機に異常が生じているか否か)を表示することが可能である。また、例えば、3回点滅したときには、数字の「3」を意味する等、点滅回数で数字を表わすようにすることによっても、一定の情報(遊技機の設定値等)を表示することが可能である。
【0043】
しかし、より高度な情報を、点検者に分かりやすく表示できるようにするためには、発光式モニタ(表示用発光体40)は、数字やアルファベット等の文字を表示できるものとすると好ましい。このような発光式モニタ40としては、7セグメント表示器やLED表示装置等、所定の配置で配された多数の発光体の点灯をそれぞれ制御することにより、所定の文字や図柄等を表わすものや、液晶表示装置や有機EL表示装置等が例示される。ただし、液晶表示装置や有機EL表示装置は、発光式モニタ40としてはオーバースペックである。このため、本実施態様においては、1列に配した複数個の7セグメント表示器41(後掲する
図3の例では4個の7セグメント表示器41)によって、発光式モニタ40を構成している。7セグメント表示器41における各セグメントを構成する発光体の種類は、特に限定されないが、通常、消費電力や寿命等を考慮して、発光ダイオードとされる。
【0044】
発光式モニタ(表示用発光体40)を構成するそれぞれの7セグメント表示器41は、7個の発光セグメントが、デジタル数字の「8」の字状に配されたものとなっており、点灯するセグメントを切り替えることによって、「0」〜「9」迄のデジタル数字のほか、「A」や「C」や「E」等のアルファベット大文字(デジタル文字)や、「a」や「b」や「c」等のアルファベット小文字(デジタル文字)を表示することができる。この7セグメント表示器41を4個使用することによって、上記の遊技関連パラメータ等を最大4桁の数字で表示することができる。発光式モニタ40を構成する複数個の7セグメント表示器41のうち、一の7セグメント表示器41は、アルファベットを表示するために使用し、当該一の7セグメント表示器41に表示されたアルファベットの種類から、他の7セグメント表示器41で表示される数字が、役比や連役比等のいずれの遊技関連パラメータを表示しているのかを判別できるようにすることもできる。
【0045】
発光式モニタ(表示用発光体40)の発光色(本実施態様においては、7セグメント表示器41の各セグメントの発光色)は、特に限定されない。発光式モニタ40の発光色としては、赤系色(例えば、マンセルシステムの色相環における「10RP」〜「10R」〜「10YR」に属する色)や、黄系色(例えば、マンセルシステムの色相環における「10YR」〜「10Y」〜「10GY」に属する色)や、緑系色(例えば、マンセルシステムの色相環における「10GY」〜「10G」〜「10BG」に属する色)や、青系色(例えば、マンセルシステムの色相環における「10BG」〜「10B」〜「10PB」に属する色)や、紫系色(例えば、マンセルシステムの色相環における「10PB」〜「10P」〜「10RP」に属する色)等が例示される。なかでも、発光色が赤色系や黄系色や緑系色の7セグメント表示器41は、安価で入手できることに加えて、薄暗い筺体10a,10bの内部においても目立ちやすく視認しやすいため、好適に採用することができる。本実施態様において、発光式モニタ40の発光色は、赤系色となっている。
【0046】
発光式モニタ(表示用発光体40)の配置箇所は、筺体10a,10bの内部における、前扉10bを開いたときに視認できる箇所であれば、特に限定されない。本実施態様において、発光式モニタ40は、上記のように、役比や連役比等の遊技関連パラメータの稼働実績値を表示するものとなっているところ、これらの遊技関連パラメータの稼働実績値を容易に把握できるのは、メイン制御基板ユニット30である。このため、本実施態様においては、
図2に示すように、メイン制御基板ユニット30の制御基板(メイン制御基板)に発光式モニタ40を設けている。発光式モニタ40は、前扉10bを開けたときに筺体本体10aの手前側に位置する点検者が確認しやすいように、その発光面が前方を向く状態で設けている。
【0047】
ここで、メイン制御基板等の制御基板は、既に述べた理由により、透明基板ケースに封止されるところ、発光式モニタ40も、当該透明基板ケースの内側に収容すると好ましい。というのも、発光式モニタ40を透明基板ケースの外側に配置していると、発光式モニタ40を透明基板ケースの内側に収容している場合と比較して、発光式モニタ40を偽造品に交換することが容易になり、点検者が制御基板の不正改造に気づきにくくなる虞があるからである。例えば、本実施態様において、発光式モニタ40は、役比や連役比等の稼働実績値を表示するものとなっているところ、この発光式モニタ40が、それらの稼働実績値を正確に表示する正規品から、偽装した稼働実績値を表示する偽造品に交換されてしまうと、点検者は、制御基板の不正改造に気づきにくくなる。
【0048】
また、メイン制御基板等の制御基板と発光式モニタ40は、通常、電気ケーブルを介して有線接続されるところ、発光式モニタ40を透明基板ケースの外側に配置すると、発光式モニタ40には、その電気ケーブルを通すための開口部を余分に設ける必要が生じ、透明基板ケースによる封止力が低下する(当該開口部を通じて透明基板ケースの内側の制御基板に不正にアクセスされる虞が生じる)虞もある。本実施態様においても、発光式モニタ40は、制御基板(メイン制御基板)とともに透明基板ケースの内側に収容した状態としている。
【0049】
以下においては、説明の便宜上、メイン制御基板ユニット30の制御基板(メイン制御基板)の前面側に発光式モニタ40を取り付けた場合を例に挙げて、本発明の遊技機に係る構成を説明する。しかし、発光式モニタ40を設ける箇所は、これに限定されない。例えば、サブ制御基板ユニット31や、液晶ユニット32や、電源ユニット33や、コネクタユニット34や、リールユニット35や、ホッパーユニット36等の他のユニットに発光式モニタ40を設けることも可能である。
【0050】
3.本発明の概要
図3は、筺体本体10aにメイン制御基板ユニット30とリールユニット35とを取り付けた状態の回胴式遊技機10を前方斜め右上から見た図である。図示の便宜上、
図3においては、メイン制御基板ユニット30とリールユニット35以外のユニットの図示を省略するとともに、前扉10b(
図2)の図示も省略している。また、
図3では、筺体本体10aについては、背板10a
1、底板10a
2及び左側板10a
4のみを図示しており、右側板10a
5(
図2)及び天板10a
3(
図2)の図示を省略している。さらに、
図3では、メイン制御基板ユニット30の透明基板ケース10bの前面側の一部を破断して示している。そして、有色透明部材50を網掛けハッチングで強調表示している。
図4は、筺体本体10aにメイン制御基板ユニット30とリールユニット35とを取り付けた状態の回胴式遊技機10を前方から見た図である。
図3と同様、
図4においても、メイン制御基板ユニット30とリールユニット35以外のユニットの図示を省略するとともに、前扉10b(
図2)の図示も省略するとともに、有色透明部材50を網掛けハッチングで強調表示している。
図5は、
図4の回胴式遊技機10を、左右方向(x軸方向)に垂直で、且つ、有色透明部材50を通る平面で切断した断面図である。図示の便宜上、
図5では、各部材の断面を示すハッチングは、有色透明部材50についてのみ図示しており、他の部材の断面を示すハッチングは図示を省略している。また、
図5では、メイン制御基板ユニット30とリールユニット35と液晶ユニット32以外のユニットの図示を省略している。さらに、
図5では、前扉10bを図示しているものの、前扉10bの前面側を形成する化粧板については、図示を省略している。
【0051】
図2を用いて説明したように、本発明の遊技機では、筺体10a,10bの内部に、発光式モニタ(表示用発光体40)が設けられるところ、この発光式モニタ40は、前扉10bが閉じられた状態のときでも発光し得るものとなっている。加えて、前扉10bには、リール窓10b
1が設けられている。このリール窓10b
1の奥側(後側)には、リールユニット35のリール13,14,15が配されるものの、リール13,14,15とリール窓との間には、光が透過可能な隙間(
図5における光透過部10b
3)が必然的に生ずる。このため、上記の発光式モニタ40から出射された光がこの光透過部10b
3から遊技機の前面側に漏れ出ることがあると、その光が遊技者に視認され、遊技機の外観品質が低下する虞がある。また、リール13,14,15の外周部に表わされた図柄が視認しにくくなる虞もある。
【0052】
特に、本実施態様において発光式モニタ(表示用発光体40)を設けたメイン制御基板ユニット30は、筺体本体10aの背板10a
1の上部に取り付けられることが多く、リール窓10b
1は、前扉10bの中段部に設けられることが多いところ、
図5に示すように、発光式モニタ40から出射してリール13,14,15(同図においてはリール15のみを図示)の外周面に上方から当たり、手前側に反射して光透過部10b
3から手前側に出てくる光Aは、遊技者に視認されやすい。この場合には、リール13,14,15の外周面における光が反射する部分αは、発光式モニタ40の発光色(後述するように、本実施態様においては赤系色)で光るため、非常に目立ちやすくなる。この点、本発明では、発光式モニタ40と光透過部10b
3とを結ぶ光軸上に、発光式モニタ40の発光色を吸収する有色透明部材50を配することにより、発光式モニタ40から出射して光透過部10b
3から漏れ出てくる光を目立ちにくくしている。
【0053】
有色透明部材50を配置する箇所は、発光式モニタ(表示用発光体40)と光透過部10b
3とを結ぶ光軸上(筺体10a,10bの内部空間だけでなく、筺体10a,10bの外部空間(例えばリール窓10b
1の前面側等)をも含む。また、発光式モニタ40と光透過部10b
3とを直線状に結ぶ直線経路だけでなく、反射経路をも含む。)であれば、特に限定されない。また、有色透明部材50は、1つの光軸上に1箇所のみ設けてもよいし、複数箇所設けてもよい。後者の場合には、それぞれの有色透明部材50の透明度を高くしても、光透過部10b
3から漏れ出る光を防ぐことが可能になる。換言すると、それぞれの有色透明部材50を、その前方から後方が見えやすいものとして、筺体10a,10bの内部の目視による点検を行いやすくし、不正アクセスの防止効果を高めながらも、光透過部10b
3から漏れ出る光を防ぐことが可能になる。
【0054】
本実施態様においては、
図5に示すように、発光式モニタ(表示用発光体40)と光透過部10b
3とを結ぶ光軸上に、有色透明部材50として、3つの有色透明部材51,52,53を配している。このうち、有色透明部材51,52は、前扉10bのリール窓10b
1(光透過部10b
3)に近い箇所に設けられた「手前側配置型の有色透明部材」となっており、有色透明部材53は、メイン制御基板ユニット30の透明基板ケース10bに近い箇所に設けられた「奥側配置型の有色透明部材」となっている。すなわち、本実施態様の遊技機は、上記の「有色透明部材手前側配置型の遊技機」と「有色透明部材奥側配置型の遊技機」の双方に該当するものとなっている。
【0055】
4.有色透明部材
以上のように、本発明の遊技機では、発光式モニタ40(表示用発光体40)の出射光を、発光式モニタ40と光透過部10b
3とを結ぶ光軸上に配した有色透明部材50によって吸収し、光透過部10b
3から漏れ出てこないようにすることが可能となっている。有色透明部材50は、表示用発光体40による発光色を吸収する色で着色された有色透明体となっている。有色透明部材50の色は、表示用発光体40の発光色を吸収できるのであれば、特に限定されない。例えば、有色透明部材50の色を、表示用発光体40による発光色と補色関係にある色とすると、表示用発光体40の発光色を有色透明部材50で好適に吸収することができる。
【0056】
ここで、「有色透明部材50の色が、表示用発光体40による発光色と補色関係にある」とは、有色透明部材50の色が、表示用発光体40の発光色の補色(マンセルシステムの色相環において、表示用発光体40の発光色が位置する箇所の正反対に位置する色。以下、「表示用発光体40の発光色の正補色」と呼ぶことがある。)になっている場合に限定されない。本明細書における「補色関係」には、有色透明部材50の色が、マンセルシステムの色相環において、表示用発光体40の発光色の正補色が位置する箇所から両側に90°以内の範囲(同色相環の中心から見て、表示用発光体40の発光色の正補色が位置する箇所から反時計方向に90°戻った箇所から時計方向に90°進んだ箇所までの範囲)に位置する色となっている場合も含まれるものとする。例えば、表示用発光体40の発光色がマンセルシステムの色相環における「5R」である場合には、有色透明部材50の色が同色相環の「10Y」〜「5BG」(正補色)〜「10PB」の180°の範囲にあれば、「有色透明部材50の色が、表示用発光体40による発光色と補色関係にある」ものとする。本明細書では、マンセルシステムの色相環における、表示用発光体40の発光色の正補色が位置する箇所から有色透明部材50の色が位置する箇所までの角度(同色相環の中心から見た角度の絶対値)を「表示用発光体40の発光色の正補色から有色透明部材50の色までのズレ角度」と呼ぶことがある。
【0057】
上記のように、表示用発光体40の発光色の正補色から有色透明部材50の色までのズレ角度は、90°以下であれば、特に限定されない。しかし、このズレ角度が大きすぎると、表示用発光体40の明るさ又は発光色や、有色透明部材50の成形材料や厚さ等によっては、表示用発光体40からの出射光を、有色透明部材50で吸収しきれず、その出射光が前扉10bの光透過部10b
3を通じて遊技者に視認される虞がある。このため、表示用発光体40の発光色の正補色から有色透明部材50の色までのズレ角度は、54°以下にする(例えば、表示用発光体40の発光色がマンセルシステムの色相環における「5R」である場合には、有色透明部材50の色を同色相環の「10GY」〜「5BG」(正補色)〜「10B」の範囲の色にする)と好ましい。表示用発光体40の発光色の正補色から有色透明部材50の色までのズレ角度は、36°以下にする(例えば、表示用発光体40の発光色がマンセルシステムの色相環における「5R」である場合には、有色透明部材50の色を同色相環の「5G」〜「5BG」(正補色)〜「5B」の範囲の色にする)とより好ましく、18°以下にする(例えば、表示用発光体40の発光色がマンセルシステムの色相環における「5R」である場合には、有色透明部材50の色を同色相環の「10G」〜「5BG」(正補色)〜「10BG」の範囲の色にする)とさらに好ましい。
【0058】
また、有色透明部材50の透明度は、有色透明部材50の片面側から他面側を視認できる程度であれば、特に限定されない。しかし、有色透明部材50の透明度を低くしすぎると、有色透明部材50を透明基板ケース10bの近くに配する場合には、透明基板ケース10bに死角となる部分が形成されやすくなって、透明基板ケース10bの内部に収容されている制御基板30aに対して不正アクセスを行いやすくなる一方、有色透明部材50を前扉10bの光透過部10b
3(リール窓10b
1)の周辺に配する場合には、遊技者から見え得る場所に不自然な不透明部分が形成され、遊技機の外観品質が低下する虞がある。このため、有色透明部材50の透明度は、その奥側から少なくとも5cm程度離れた箇所に位置する部材の状態を、その手前側から視認できる程度に高くすると好ましい。一方、有色透明部材50の透明度を高くしすぎると、有色透明部材50の光透過率が高くなり、表示用発光体40の出射光を有色透明部材50で吸収しにくくなる虞がある。このため、有色透明部材50の透明度は、その奥側に位置する点灯状態の表示用発光体40が、その手前側から見たときには消灯状態に見える程度に低く抑えると好ましい。
【0059】
このように、有色透明部材50は、発光式モニタ(表示用発光体40)による発光色と補色関係にある色に着色されたものとなっている。有色透明部材50への着色方法としては、有色透明部材50の成形材料(透明材料)に顔料等の色材を添加して有色透明部材50を成形する方法のほか、無色透明な部材の表面に対してシールや印刷を行うことにより当該表面に有色透明層を形成する方法等が例示される。有色透明部材50の成形材料(透明材料)は、ガラス等であってもよいが、成形のしやすさや安全性等を考慮すると、樹脂であると好ましい。有色透明部材50の成形材料として採用し得る樹脂としては、ポリエチレン(PE)や、ポリプロピレン(PP)や、ポリスチレン(PS)や、ポリエチレンテレフタレート(PET)や、ポリカーボネート(PC)や、メタクリル樹脂(PMMA)等の透明樹脂が例示される。
【0060】
ところで、本実施態様においては、既に述べたように、有色透明部材50として、手前側配置型の有色透明部材51,52と、奥側配置型の有色透明部材53とを設けている。以下、これらの有色透明部材51,52,53についてより具体的に説明する。
【0061】
4.1 手前側配置型の有色透明部材
手前側配置型の有色透明部材51,52は、発光式モニタ(表示用発光体40)と光透過部10b
3とを結ぶ光軸上における光透過部10b
3(前扉10b)に近い箇所に設けられる。換言すると、手前側配置型の有色透明部材51,52は、発光式モニタ40が設けられるメイン制御基板ユニット30の透明基板ケース10bから遠い箇所に設けられる。手前側配置型の有色透明部材51,52を取り付ける部材は、特に限定されない。本実施態様において、手前側配置型の有色透明部材51,52は、リール保護板設置用のものと、リールユニット設置用のものとの2種類を用いている。
【0062】
4.1.1 リール保護板設置用の有色透明部材
リール保護板設置用の有色透明部材51は、リール保護板10b
2(リール窓10bを覆って遊技者がリール13,14,15に触れないようにするための透明板)に設けられる。この有色透明部材51は、リール保護板10b
2における、光透過部10b
3と重なる箇所に配される。本実施態様においては、
図1の破線部βで示すように、リール窓10bの上縁に沿った帯状領域に有色透明部材51を設けている。リール保護板設置用の有色透明部材51は、リール保護板10b
2の前面側に設けてもよいが、リール保護板10b
2の後面側に設けると、遊技者等が有色透明部材51に触れることができないようにするとともに、有色透明部材51の剥がれ落ちを防止することもできる。リール保護板設置用の有色透明部材51は、リール保護板に有色透明なフィルムや板を貼り付けることによって設けることもできるし、リール保護板10b
2に有色透明なインクを印刷することによって設けることもできる。
【0063】
4.1.2 リールユニット設置用の有色透明部材
リールユニット設置用の有色透明部材52は、リールユニット35に設けられる。本実施態様においては、
図3に示すように、リールユニット35における上側フレーム35aの上面から上方に突出する状態で、リールユニット設置用の有色透明部材52を設けている。リールユニット設置用の有色透明部材52は、発光式モニタ(表示用発光体40)と光透過部10b
3とを結ぶ光軸を遮ることができる形態であれば、その形態を特に限定されない。本実施態様において、リールユニット設置用の有色透明部材52は、
図6及び
図7に示す形態を有している。
図6は、リールユニット設置用の有色透明部材52を、(a)前方斜め右上から見た図と、(b)後方斜め左上から見た図である。
図7は、リールユニット設置用の有色透明部材52の六面図である。
【0064】
図6及び
図7に示すように、リールユニット設置用の有色透明部材52は、遮光板部52aと、遮光板部52aの下部に設けられた取り付け部52bとで構成されている。遮光板部52aは、上記の光軸を遮って発光式モニタ(表示用発光体40)からの出射光を吸収するための部分となっている。遮光板部52aの上縁における左側(遮光板部52aを手前側から見たときの左側。以下同じ。)部分は、左端に近づくにつれて低くなるように傾斜させており、光透過部10b
3から出射光が漏れ出る虞のない範囲には、遮光板部52aが存在しないようにしている。これにより、手前側配置型の有色透明部材52であっても、ある程度コンパクト化することが可能となっている。遮光板部52aの後面側には、補強のためのリブを上下方向と左右方向とにそれぞれ複数本ずつ形成している。
【0065】
一方、取り付け部52bは、リールユニット35の上側フレーム35aに対して有色透明部材52を固定するための部分となっている。本実施態様においては、取り付け部52bに形成された貫通孔にネジを挿通し、そのネジをリールユニット35側に螺合することによって固定するようにしている。このため、既存のリールユニット35(本発明に係る構成を採用する前に用いていたリールユニット35)の所定箇所にネジ孔を設けるだけで、リールユニット35に対して有色透明部材52を固定することができるようになっている。本実施態様において、取り付け部52bは、遮光板部52aの下縁における左寄り部分と右寄り部分との計2箇所に設けている。
【0066】
4.1.3 小括
以上で述べた手前側配置型の有色透明部材51,52は、以下のような利点を有している。すなわち、後述する奥側配置型の有色透明部材53のように、有色透明部材50を透明基板ケース10bの近くに配すると、
図4の有色透明部材53のように、透明基板ケース10bを手前側から見たときに、有色透明部材50が透明基板ケース10bに重なった状態となりやすく、透明基板ケース10bにおける少なくとも一部の視認性が阻害される配置となりやすいところ、手前側配置型の有色透明部材51,52(
図4においては有色透明部材52のみを図示)は、透明基板ケース10bに重ならないように配置しやすく、透明基板ケース10bの内部の視認性を低下させにくいという利点を有している。
【0067】
また、発光式モニタ(表示用発光体40)の出射光は、上下左右あらゆる方向に出射し、そのいずれかの方向に光を反射する部材があった場合には、当該部材で反射されるようになる。このため、発光式モニタ40の出射光を透明基板ケース10bの近くで吸収しようとしても、予期せぬ経路(反射経路)を経て、光透過部10b
3から光が漏れ出てしまう虞がある。したがって、奥側配置型の有色透明部材53は、筺体10a,10bの内部に全ての部品を収容してテストを行った後でなければ、光透過部10b
3から漏れ出てくる光の有無を正確に評価しにくいという欠点を有している。また、筺体10a,10b内の部品のレイアウトを一旦決定した後には、そのレイアウトを変更しにくいという欠点も有している。配置を変更した部品で反射してその反射光が光透過部10b
3から漏れ出る虞があるからである。これに対し、手前側配置型の有色透明部材51,52は、発光式モニタ40の出射光が筺体10a,10bの内部でどのように反射したとしても、その出口である光透過部10b
3の近くで反射光を吸収することができるため、設計が容易であるという利点を有している。
【0068】
4.2 奥側配置型の有色透明部材
奥側配置型の有色透明部材53は、発光式モニタ40が設けられるメイン制御基板ユニット30に近い箇所(筺体10a,10bの奥側)に設けられる。奥側配置型の有色透明部材53を取り付ける部材は、特に限定されず、メイン制御基板ユニット30の透明基板ケース10bに直接取り付けるようにしてもよい。しかし、透明基板ケース10bには、有色透明部材53の取り付けに適した凹凸や開口部等が設けられていないことが多いため、有色透明部材53を透明基板ケース10bに取り付けようとすると、透明基板ケース10bの設計を変更しなければならなくなる虞がある。また、透明基板ケース10bに対して有色透明部材53を取り付けようとした際に、透明基板ケース10bが白化等してしまい、透明基板ケース10bが不正に開封されていないにもかかわらず、透明基板ケース10bが不正に開封されたと誤認される虞もある。このため、奥側配置型の有色透明部材53は、透明基板ケース10bの近くに配される、透明基板ケース10bとは別の部材に取り付けると好ましい。
【0069】
この点、本実施態様においては、
図4に示すように、メイン制御基板ユニット30の制御基板30a(メイン制御基板)に接続されるケーブル(図示省略)のコネクタ部分60の外周部に、奥側配置型の有色透明部材53を取り付けるようにしている。この種のコネクタ部分60の外周部には、凹凸等が設けられていることが多いため、その凹凸等に係止等できる構造を有色透明部材53側に設けさえすれば、特にコネクタ部分60に設計変更を施さなくても、コネクタ部分60に対して有色透明部材53を取り付けることが可能である。以下においては、本実施態様における有色透明部材53を「コネクタ設置用の有色透明部材」と呼ぶことがある。
【0070】
コネクタ設置用の有色透明部材53は、発光式モニタ(表示用発光体40)の出射光を所定範囲で吸収することができ、且つ、コネクタ部分60に対して取り付け可能であれば、その形態を特に限定されない。本実施態様において、コネクタ設置用の有色透明部材53は、
図8及び
図9に示す形態を有している。
図8は、コネクタ設置用の有色透明部材53を、(a)前方斜め右上から見た図と、(b)後方斜め左上から見た図である。
図9は、コネクタ設置用の有色透明部材53の六面図である。
【0071】
図8及び
図9に示すように、コネクタ設置用の有色透明部材53は、その上面側を覆う上側遮光板部53aと、その右側面を覆う右側遮光板部53bと、上側遮光板部53a及び右側遮光板部53bの後端に設けられた取り付け部53cとで構成されている。
【0072】
上側遮光板部53aは、主に、発光式モニタ(表示用発光体40)から前方斜め下向きに出射して透明基板ケース10bの面S
1(
図4)から前方斜め下向きに透過してくる光を吸収するための部分となっている。これに対し、右側遮光板部53bは、主に、発光式モニタ40から出射した後、透明基板ケース10bの内面で反射して透明基板ケース10bの面S
2(
図4)から左前斜め下向きに透過してくる光を吸収するための部分となっている。本実施態様においては、発光式モニタ40を透明基板ケース10bの下部右寄りの部分に配するとともに、有色透明部材53を取り付けるコネクタ部分60を発光式モニタ40の下側近くに接続するようにしたため、有色透明部材53を上記の形態とすれば、発光式モニタ40を出射して光透過部10b
3に到達する光の略全てを、有色透明部材53で遮ることができるようになっている。有色透明部材53における遮光板部の枚数や配置は、発光式モニタ40と有色透明部材53と光透過部10b
3との位置関係等に応じて適宜変更することができる。
【0073】
一方、取り付け部53cは、有色透明部材53をコネクタ部分60に対して取り付けるための部分となっている。取り付け部53は、コネクタ部分60に対して取り付け可能な形態であれば、その形態を特に限定されない。本実施態様において、取り付け部53cには、
図8及び
図9に示すように、コネクタ部分60(
図4)を嵌め込むための嵌込穴53c
1と、嵌込穴53cから前方内向きに設けられた複数本の係止爪53c
2(
図9の例では4本の係止爪53c
2)とを設けている。このため、有色透明部材53は、嵌込穴53c
1にコネクタ部分60を嵌め込んで、係止爪53c
2をコネクタ部分60の外周部に係止させることによって、コネクタ部分60の外周部に係止させることができる構造となっている。
【0074】
以上で述べた奥側配置型(コネクタ設置用)の有色透明部材53は、以下のような利点を有している。すなわち、上述した手前側配置型の有色透明部材51,52は、発光式モニタ(表示用発光体40)から離れた箇所に配されるため、その遮光部分の面積を広く確保する(遮光部分の面積を光透過部10b
3の面積と同程度にする)必要がある。このため、手前側配置型の有色透明部材51,52は、小型化しにくいという欠点を有している。これに対して、奥側配置型の有色透明部材53は、発光式モニタ40の近くに配されるため、その遮光部分の面積を小さく抑える(遮光部分の面積を発光式モニタ40の発光面の面積に近づける)ことができ、小型化しやすいという利点を有している。このため、
図4に示すように、透明基板ケース10bを手前側から見たときに、奥側配置型の有色透明部材53が透明基板ケース10bに重なる状態となっていても、有色透明部材53によって視認性が低下する範囲を最小限に抑えることができる。したがって、透明基板ケース10bの内部に収容された制御基板への不正アクセスの困難性を維持することができる。
【0075】
5.その他
以上では、発光式モニタ(表示用発光体40)の出射光が漏出し得る前扉10bの光透過部10b
3が、リール窓10b
1とリール13,14,15との隙間である場合を例に挙げて、本発明の遊技機を説明した。しかし、遊技機の前扉10bには、この隙間以外にも光透過部10b
3となりうる部分が存在し得る。例えば、前扉10bには、液晶ユニット32の表示面を前扉10bの前面側に出すための開口部や、スピーカーや発光ランプや各種ボタンを取り付けるための開口部等、様々な開口部が設けられるところ、遊技機の設計によっては、それらの開口部の隙間が光透過部10b
3となり得る。この場合には、その光透過部10b
3と発光式モニタ40とを結ぶ光軸上にも、上記のような有色透明部材50を配置することができる。
が、遊技機筺体10a,10bの前面を形成する前扉10bに存在する遊技機において、前扉10bが閉じている状態であっても発光し得る表示用発光体40を、遊技機筺体10a,10bの内部に設けるとともに、表示用発光体40と光透過部10b