特許第6309199号(P6309199)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309199
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】コンタクトレンズ中の動的流体ゾーン
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/04 20060101AFI20180402BHJP
   A61F 9/00 20060101ALI20180402BHJP
   A61F 9/007 20060101ALI20180402BHJP
   A61L 27/00 20060101ALI20180402BHJP
【FI】
   G02C7/04
   A61F9/00
   A61F9/007
   A61L27/00
【請求項の数】22
【外国語出願】
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2013-48858(P2013-48858)
(22)【出願日】2013年3月12日
(65)【公開番号】特開2013-190789(P2013-190789A)
(43)【公開日】2013年9月26日
【審査請求日】2015年12月24日
(31)【優先権主張番号】13/418,661
(32)【優先日】2012年3月13日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591175675
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(72)【発明者】
【氏名】サルバトーレ・ジー・カルダライズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・エイチ・ロフマン
(72)【発明者】
【氏名】レノラ・エル・コパー
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・ホーク
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ビー・オッツ
【審査官】 藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0290882(US,A1)
【文献】 特表2010−522352(JP,A)
【文献】 特表2003−535651(JP,A)
【文献】 特表2011−519431(JP,A)
【文献】 特表2004−514921(JP,A)
【文献】 特表2005−528185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 7/04
A61F 9/00
A61F 9/007
A61L 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科装置であって、
視覚領域と、前記視覚領域を包囲する周縁領域と、前面と、後面と、を有する、矯正レンズと、
前記周縁領域内の前記前面と前記後面との間で前記矯正レンズに組み込まれる少なくとも1つの動的流体ゾーンであって、変形可能な材料から形成され、かつ1つ又は2つ以上の開口部を通じて患者の目へ送達するための治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つを含み、瞬きが、前記治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つの移動を引き起こすように、眼瞼と相互作用するように構成される、少なくとも1つの動的流体ゾーンと、
を備え、
前記周縁領域内の前記前面と前記後面との間で前記矯正レンズに組み込まれる少なくとも1つの第2の動的流体ゾーンを更に備え、前記少なくとも1つの第2の動的流体ゾーンが前記少なくとも1つの動的流体ゾーンを実質的に包囲し、かつ変形可能な材料を含み、
前記少なくとも1つの第2の動的流体ゾーンが、瞬き中の眼瞼圧下で、前記少なくとも1つの動的流体ゾーンを圧迫し、それによって、前記治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つを前記少なくとも1つの動的流体ゾーンから前記目の上に押し進めるように構成され、
前記少なくとも1つの動的流体ゾーンから前記患者の目に供給される前記治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つについての流量が、1分間当たりの健常者の瞬き速度に基づき制御される、
眼科装置。
【請求項2】
前記矯正レンズが、コンタクトレンズである、請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
前記コンタクトレンズが、ソフトコンタクトレンズを含む、請求項2に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記コンタクトレンズが、円環状コンタクトレンズを含む、請求項2に記載の眼科装置。
【請求項5】
前記1つ又は2つ以上の開口部が、一方向の流体流動を可能にするように構成される弁を備える、請求項1に記載の眼科装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの動的流体ゾーンが、一方向弁を介して相互に連結され、かつ流体連通する、1つ又は2つ以上の周縁貯留層及び中心貯留層を備える、請求項1に記載の眼科装置。
【請求項7】
前記1つ又は2つ以上の周縁貯留層が、瞬き中の眼瞼圧下で圧迫され、それによって、前記治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つを1つの周縁貯留層から別の周縁貯留層へ、そして前記中心貯留層へと押し進めるように構成される、請求項6に記載の眼科装置。
【請求項8】
前記中心貯留層が、瞬き中に眼瞼圧下で圧迫され、それによって、前記1つ又は2つ以上の周縁貯留層から供給される前記治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つを前記目に押し進めるように構成される、請求項7に記載の眼科装置。
【請求項9】
前記1つ又は2つ以上の開口部が、前記中心貯留層内に位置付けられ、かつ一方向の流体流動を可能にするように構成される弁を備える、請求項8に記載の眼科装置。
【請求項10】
眼科装置であって、
視覚領域と、前記視覚領域を包囲する周縁領域と、前面と、後面と、を有し、かつ目の上での回転安定性を必要とする、矯正レンズと、
前記矯正レンズに組み込まれる少なくとも1つの動的安定化ゾーンであって、回転を介して、最適な視力のための回転角で前記目の上の前記矯正レンズの位置合わせを促進するように構成され、かつ目の温度で変形可能な材料を含み、眼瞼が前記少なくとも1つの動的安定化ゾーンにわたって動くときに変化する、前記少なくとも1つの動的安定化ゾーンとの接触角を眼瞼が作成する、少なくとも1つの動的安定化ゾーンと、
前記周縁領域内の前記前面と前記後面との間で前記矯正レンズに組み込まれる少なくとも1つの動的流体ゾーンであって、変形可能な材料から形成され、かつ1つ又は2つ以上の開口部を通じて患者の目へ送達するための治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つを含み、瞬きが、前記治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つの移動を引き起こすように、眼瞼と相互作用するように構成される、少なくとも1つの動的流体ゾーンと、
を備え、前記周縁領域内の前記前面と前記後面との間で前記矯正レンズに組み込まれる少なくとも1つの第2の動的流体ゾーンを更に備え、前記少なくとも1つの第2の動的流体ゾーンが前記少なくとも1つの動的流体ゾーンを実質的に包囲し、かつ変形可能な材料を含み、
前記少なくとも1つの第2の動的流体ゾーンが、瞬き中の眼瞼圧下で、前記少なくとも1つの動的流体ゾーンを圧迫し、それによって、前記治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つを前記少なくとも1つの動的流体ゾーンから前記目の上に押し進めるように構成され、
前記少なくとも1つの動的流体ゾーンから前記患者の目に供給される前記治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つについての流量が、1分間当たりの健常者の瞬き速度に基づき制御される
眼科装置。
【請求項11】
前記矯正レンズが、コンタクトレンズである、請求項10に記載の眼科装置。
【請求項12】
前記コンタクトレンズが、ソフトコンタクトレンズを含む、請求項11に記載の眼科装置。
【請求項13】
前記コンタクトレンズが、円環状コンタクトレンズを含む、請求項11に記載の眼科装置。
【請求項14】
眼瞼と前記少なくとも1つの動的安定化ゾーンとの間の前記接触角が瞬き中に増加し、それによって、両眼瞼が相互に実質的に接触するまで前記矯正レンズに作用する回転力を増加させ、それによって、前記少なくとも1つの動的安定化ゾーン内の前記変形可能な材料を平らにする、請求項10に記載の眼科装置。
【請求項15】
前記変形可能な材料が、目の温度で生体適合性の液体を含む、請求項10に記載の眼科装置。
【請求項16】
前記変形可能な材料が、目の温度で生体適合性のゲルを含む、請求項10に記載の眼科装置。
【請求項17】
前記変形可能な材料が、目の温度で生体適合性の気体を含む、請求項10に記載の眼科装置。
【請求項18】
前記1つ又は2つ以上の開口部が、一方向の流体流動を可能にするように構成される弁を備える、請求項10に記載の眼科装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの動的流体ゾーンが、一方向弁を介して相互に連結され、かつ流体連通する、1つ又は2つ以上の周縁貯留層及び中心貯留層を備える、請求項10に記載の眼科装置。
【請求項20】
前記1つ又は2つ以上の周縁貯留層が、瞬き中に眼瞼圧下で圧迫され、それによって、前記治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つを1つの周縁貯留層から別の周縁貯留層へ、そして前記中心貯留層へと押し進めるように構成される、請求項19に記載の眼科装置。
【請求項21】
前記中心貯留層が、瞬き中に眼瞼圧下で圧迫され、それによって、前記1つ又は2つ以上の周縁貯留層から供給される前記治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つを前記目に押し進めるように構成される、請求項20に記載の眼科装置。
【請求項22】
前記1つ又は2つ以上の開口部が、前記中心貯留層内に位置付けられ、かつ一方向の流体流動を可能にするように構成される弁を備える、請求項21に記載の眼科装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトレンズの動的流体/ゲルゾーンに関し、より具体的には、1つ又は2つ以上の治療薬、栄養剤、又は薬理剤の送達、及び動的かつ美容的な目の改善のうちのどちらか又はそれら両方のために利用することができる1つ又は2つ以上の動的流体/ゲルゾーンを組み込むコンタクトレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
近視(myopia)又は近視(nearsightedness)は、目の視覚欠陥又は屈折欠陥であり、画像からの光線は、それらが網膜に到達する前に一点に集中する。近視は、概して、眼球(eyeball)若しくは眼球(globe)が長すぎるため、又は角膜の傾斜が急すぎるために生じる。マイナスパワーの球面レンズを利用して、近視を矯正することができる。遠視(hyperopia)又は遠視(farsightedness)は、目の視覚欠陥又は屈折欠陥であり、画像からの光線は、それらが網膜に到達するか、又は網膜の後ろに入った後に一点に集中する。遠視は、概して、眼球(eyeball)若しくは眼球(globe)が短すぎるか、又は角膜が平らすぎるために生じる。プラスパワーの球面レンズを利用して、遠視を矯正することができる。乱視は、視覚欠陥又は屈折欠陥であり、目が点物体に焦点を合わせて、網膜上で焦点が合った画像にすることができないため、個人の視覚はぼやけている。近視及び/又は遠視とは異なり、乱視は、眼球の大きさ又は角膜の傾斜とは無関係であるが、むしろ、角膜の異常な湾曲によって引き起こされる。完璧な角膜は球面であるが、乱視を有する個人において、角膜は球面ではない。言い換えると、角膜は、実際には、別の方向よりも1つの方向で湾曲しているか、又は傾斜が急であり、それによって、画像を一点に集中させずに広がらせる。球面レンズではなく円柱レンズを利用して、乱視を解決することができる。
【0003】
円環状レンズは、相互に垂直な2つの配向で、2つの異なるパワーを有する光学素子である。本質的には、円環状レンズは、1つには、近視又は遠視を矯正するための球面パワー、もう1つには、単一のレンズに組み込まれる乱視を矯正するための円柱パワーを有する。これらのパワーは、好ましくは、目に対して維持される異なる角度で湾曲に生成される。円環状レンズを、眼鏡、眼内レンズ、及びコンタクトレンズにおいて利用してもよい。眼鏡及び眼内レンズにおいて使用される円環状レンズは、目に対して固定保持され、それによって、最適な視覚矯正を常に提供する。しかしながら、円環状コンタクトレンズは、目の上で回転する傾向がある場合もあり、それによって、準最適な視覚矯正を一時的に提供する。結果的に、円環状コンタクトレンズは、着用者が瞬きするか、又はきょろきょろするときに、コンタクトレンズを目の上で比較的安定的に保つ機構も含む。
【0004】
感染、炎症、緑内障、及び他の眼疾患を治療するために、多くの場合、薬物を目に投与することが必要とされる。従来の薬物送達方法は、目の表面への局所適用である。適切に構成された薬物が、角膜に浸透し、目の中で治療濃度レベルに達し、かつそれらの薬効を発揮することができるため、目のみがこの薬物投与の表面経路に適している。実際には、点眼薬は、現在、薬物を目に送達する方法の95パーセントを超える割合を占めている。目治療薬は、所望の薬理効果を有するには低すぎる濃度で目に届くため、又はそれらの使用が著しい全身的な副作用によって複雑化されるためのいずれかの理由から、経口投与又は注入投与されることはほとんどない。
【0005】
点眼薬は、効果的であるが、洗練されておらず、効率が悪い。点眼薬が目に滴下注入されるとき、それは、典型的には、目と眼瞼との間のポケットである結膜嚢を過剰に充填し、眼瞼辺縁から頬に流れ出て、かなりの量の点眼薬を失う原因となる。加えて、眼表面上に残存するかなりの量の点眼薬は、涙によって流失されて排涙系に入り、それによって、薬物の濃度を希釈する。この薬物投与量の割合が、角膜を横断することができる前に失われるだけでなく、この過剰な薬物が、全身循環中に吸収される鼻及び喉に運び込まれる場合もあり、深刻な全身的な副作用に至ることもある。角膜に浸透する点眼薬中の少量の薬物が、初期の薬理効果に必要なレベルよりも高いレベルの初期のピーク組織濃度をもたらす。その後、この組織濃度は徐々に低下し、したがって、次の点眼を行うときまでには、組織濃度及び目的とする薬理効果が低すぎる場合がある。
【0006】
上述の課題に加えて、患者は、多くの場合、処方された点眼薬を使用しない。多くの場合、このコンプライアンスの悪さは、点眼薬によって引き起こされる初期の刺すような又は焼けるような感覚に起因する。確かに、自分の目に点眼薬を滴下注入することは、1つには、目を保護しようとする正常反射のため、困難であり得る。高齢の患者は、関節炎、不安定さ、及び視力低下のため、点眼薬の滴下注入が更に難しい場合もあり、小児患者及び精神病患者集団も同様に困難を示す。したがって、コンタクトレンズは、薬物を目に確実かつ効率的に送達する課題を解決するための実行可能な手段を提供し得る。
【0007】
虹彩の天然色を変更又は改善するために、カラーコンタクトレンズ(tinted contact lens)若しくはカラーコンタクトレンズ(colored contact lens)を使用することは、周知である。従来のカラーコンタクトレンズを製造する際に、自然に見える色付きの虹彩をもたらす目的で、1つの色層で半透明色及び不透明色のいずれか又はそれら両方を使用することは既知である。典型的には、色層はぞれぞれ、単一の厚さで適用される。これは、複数の色を使用することによってのみ色の変化をもたらすか、又はどの半透明色が別の色層に重なるかを指し示す。しかしながら、天然の虹彩は、色の変化をもたらすように混合される多数の異なる色及び色の組み合わせから成っている。カラーコンタクトレンズを生産するために利用することができる比較的少数の色及び色層は、自然に見えるレンズを作製する設計者の能力を制限する。したがって、単に虹彩の色を変化させるよりもむしろ、動的な目の色の改善の形態をもたらすことが有益であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
結果的に、コンタクトレンズを素早く自動位置付けし、かつ最適な視力のために、目の動き、瞬き、及び涙液にかかわらず、所望の位置を保持及び/又は維持する動的安定化ゾーンを有するコンタクトレンズの設計は有益であろう。1つ又は2つ以上の治療薬、栄養剤、又は薬理剤を目に送達するようにコンタクトレンズを設計することも有益であろう。コンタクトレンズ利用して、動的かつ美容的な目の改善を提供することも有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のコンタクトレンズ中の動的流体ゾーンは、上で簡潔に記載される先行技術のコンタクトレンズに関連したいくつかの不利点を打開する。
【0010】
一態様に従って、本発明は、眼科装置を対象とする。本装置は、視覚領域と、視覚領域を包囲する周縁領域と、前面と、後面と、を有する、矯正レンズと、周縁領域内の前面と後面との間でコンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの動的流体ゾーンであって、変形可能な材料から形成され、かつ1つ又は2つ以上の開口部を通じて患者の目へ送達するための治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つを含み、瞬きが、治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つの移動を引き起こすように、眼瞼と相互作用するように構成される、少なくとも1つの動的流体ゾーンと、を備える。
【0011】
別の態様によれば、本発明は、眼科装置を対象とする。本装置は、視覚領域と、視覚領域を包囲する周縁領域と、前面と、後面と、を有する、矯正レンズと、周縁領域内の前面と後面との間でコンタクトレンズに組み込まれる、少なくとも1つの動的流体ゾーンであって、変形可能な材料から形成され、かつ美容的に目を改善する材料を含み、瞬きが、美容的に目を改善する材料を移動させ、それによって、動的様式で光を反射するように、眼瞼と相互作用するように構成される、少なくとも1つの動的流体ゾーンと、を備える。
【0012】
更に別の態様によれば、本発明は、眼科装置を対象とする。本装置は、視覚領域と、視覚領域を包囲する周縁領域と、前面と、後面と、を有し、かつ目の上での回転安定性を必要とする、コンタクトレンズと、コンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの動的安定化ゾーンであって、回転を介して、最適な視力のための回転角で目の上のコンタクトレンズの位置合わせを促進するように構成され、かつ目の温度で変形可能な材料を含み、眼瞼が少なくとも1つの動的安定化ゾーンにわたって動くときに変化する、少なくとも1つの動的安定化ゾーンとの接触角を眼瞼が作成する、少なくとも1つの動的安定化ゾーンと、周縁領域内の前面と後面との間でコンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの動的流体ゾーンであって、変形可能な材料から形成され、かつ1つ又は2つ以上の開口部を通じて患者の目へ送達するための治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つを含み、瞬きが、治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つの移動を引き起こすように、眼瞼と相互作用するように構成される、少なくとも1つの動的流体ゾーンと、を備える。
【0013】
更に別の態様によれば、本発明は、眼科装置を対象とする。本装置は、視覚領域と、視覚領域を包囲する周縁領域と、前面と、後面と、を有し、かつ目の上での回転安定性を必要とする、コンタクトレンズと、該コンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの動的安定化ゾーンであって、回転を介して、最適な視力のための回転角で目の上のコンタクトレンズの位置合わせを促進するように構成され、かつ変形可能な材料を含み、眼瞼が少なくとも1つの動的安定化ゾーンにわたって動くときに変化する、少なくとも1つの動的安定化ゾーンとの接触角を眼瞼が作成する、少なくとも1つの動的安定化ゾーンと、美容的に目を改善する材料も含んだ少なくとも1つの動的安定化ゾーンであって、瞬きが、美容的に目を改善する材料を移動させ、それによって、動的様式で光を反射するように、眼瞼と相互作用するように構成される、少なくとも1つの動的安定化ゾーンと、を備える。
【0014】
更に更なる別の態様によれば、本発明は、眼科装置を対象とする。本装置は、視覚領域と、前記視覚領域を包囲する周縁領域と、前面と、後面と、を有し、かつ目の上での回転安定性を必要とする、コンタクトレンズと、コンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの動的安定化ゾーンであって、回転を介して、最適な視力のための回転角で目の上のコンタクトレンズの位置合わせを促進するように構成され、かつ目の温度で変形可能な材料を含み、眼瞼が少なくとも1つの動的安定化ゾーンにわたって動くときに変化する、少なくとも1つの動的安定化ゾーンとの接触角を眼瞼が作成する、少なくとも1つの動的安定化ゾーンと、周縁領域内の前面と後面との間でコンタクトレンズに組み込まれる、少なくとも1つの動的流体ゾーンであって、変形可能な材料から形成され、かつ美容的に目を改善する材料を含み、瞬きが、美容的に目を改善する材料を移動させ、それによって、動的様式で光を反射するように、眼瞼と相互作用するように構成される、少なくとも1つの動的流体ゾーンと、を備える。
【0015】
更に別の態様によれば、本発明は、眼科装置を対象とする。本装置は、視覚領域と、視覚領域を包囲する周縁領域と、前面と、後面と、を有し、かつ目の上での回転安定性を必要とする、コンタクトレンズと、周縁領域内の前面と後面との間でコンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの動的流体ゾーンであって、変形可能な材料から形成され、かつ1つ又は2つ以上の開口部を通じて患者の目へ送達するための治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つを含み、瞬きが、治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つの移動を引き起こすように、眼瞼と相互作用するように構成される、少なくとも1つの動的流体ゾーンと、コンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの動的安定化ゾーンであって、回転を介して、最適な視力のための回転角で目の上のコンタクトレンズの位置合わせを促進するように構成され、かつ変形可能な材料を含み、眼瞼が少なくとも1つの動的安定化ゾーンにわたって動くときに変化する、少なくとも1つの動的安定化ゾーンとの接触角を眼瞼が作成し、美容的に目を改善する材料も含み、瞬きが、美容的に目を改善する材料を移動させ、それによって、動的様式で光を反射するように、眼瞼と相互作用するように構成される、少なくとも1つの動的安定化ゾーンと、を備える。
【0016】
更に別の態様によれば、本発明は、眼科装置を対象とする。本装置は、視覚領域と、視覚領域を包囲する周縁領域と、前面と、後面と、を有し、かつ目の上での回転安定性を必要とする、コンタクトレンズと、周縁領域内の前面と後面との間でコンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの第1の動的流体ゾーンであって、変形可能な材料から形成され、かつ1つ又は2つ以上の開口部を通じて患者の目へ送達するための治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つを含み、瞬きが、治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つの移動を引き起こすように、眼瞼と相互作用するように構成される、少なくとも1つの第1の動的流体ゾーンと、周縁領域内の前面と後面との間でコンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの第2の動的流体ゾーンであって、変形可能な材料から形成され、かつ美容的に目を改善する材料を含み、瞬きが、美容的に目を改善する材料を移動させ、それによって、動的様式で光を反射するように、眼瞼と相互作用するように構成される、少なくとも1つの第2の動的流体ゾーンと、コンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの動的安定化ゾーンであって、回転を介して、最適な視力のための回転角で目の上の前記コンタクトレンズの位置合わせを促進するように構成され、かつ目の温度で変形可能な材料を含み、眼瞼が少なくとも1つの動的安定化ゾーンにわたって動くときに変化する少なくとも1つの動的安定化ゾーンとの接触角を眼瞼が作成する、少なくとも1つの動的安定化ゾーンと、を備える。
【0017】
更に更なる別の態様によれば、本発明は、眼科装置を対象とする。本装置は、視覚領域、視覚領域を包囲する周縁領域、前面、及び後面を有する、矯正レンズと、変形可能な材料から形成され、かつ美容的に目を改善する材料を含む、周縁領域内の前面と後面との間でコンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの動的流体ゾーンであって、瞬きが、美容的に目を改善する材料を、少なくとも1つの動的流体ゾーンを通って、波状様式で移動させるように、上眼瞼と相互作用するように構成される、突出部を含む、少なくとも1つの動的流体ゾーンと、を備える。
【0018】
更に別の態様によれば、本発明は、眼科装置を対象とする。本装置は、視覚領域と、視覚領域を包囲する周縁領域と、前面と、後面と、を有する、矯正レンズと、周縁領域内の前面と後面との間でコンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの動的流体ゾーンであって、内部で生成された刺激に基づいて光を反射する美容的に目を改善する材料を含む、少なくとも1つの動的流体ゾーンと、を備える。
【0019】
更に別の態様によれば、本発明は、眼科装置を対象とする。本装置は、視覚領域と、視覚領域を包囲する周縁領域と、前面と、後面と、を有し、かつ目の上での回転安定性を必要とする、コンタクトレンズと、コンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの動的安定化ゾーンであって、回転を介して、回転非対称の角膜縁輪パターンの最適な設置のための回転角で目の上のコンタクトレンズの位置合わせを促進するように構成され、かつ変形可能な材料を含み、眼瞼が少なくとも1つの動的安定化ゾーンにわたって動くときに変化する少なくとも1つの動的安定化ゾーンとの接触角を眼瞼が作成し、美容的に目を改善する材料も含み、瞬きが、美容的に目を改善する材料を移動させ、それによって、動的様式で光を反射するように、眼瞼と相互作用するように構成される、少なくとも1つの動的安定化ゾーンと、を備える。
【0020】
コンタクトレンズ(contact lens)又はコンタクトレンズ(contacts)は、単に、目の上に設置されるレンズである。コンタクトレンズを医療装置と見なし、視力を矯正するために、及び/又は美容上若しくは他の治療上の理由から装着してもよい。コンタクトレンズは、視力を向上させるために、1950年以降商業的に利用されている。初期のコンタクトレンズは、硬質材料から作製又は製造され、比較的高価で脆弱であった。加えて、これらの初期のコンタクトレンズは、コンタクトレンズを通して結膜及び角膜に十分な酸素を透過しない材料から作製され、このことは、いくつかの臨床的副作用を引き起こす可能性があった。これらのコンタクトレンズが依然として利用されているが、それらは、初期快適性が低いため、全ての患者に適していない。当分野における最近の開発は、ヒドロゲルに基づいて、現在非常に好評であり、広く利用されているソフトコンタクトレンズを生み出した。具体的には、現在利用可能なシリコーンヒドロゲルのコンタクトレンズは、非常に高い酸素透過率を有するシリコーンの利点を、ヒドロゲルの実証された快適性及び臨床成績と組み合わせている。本質的には、これらのシリコーンヒドロゲルベースのコンタクトレンズは、以前の硬質材料で作製されたコンタクトレンズよりも高い酸素透過率を有し、概して、着け心地がよい。
【0021】
現在利用可能なコンタクトレンズは、依然として、視力矯正の費用効果的な手段である。薄いプラスチックレンズは、近視(myopia)又は近眼(nearsightedness)、遠視(hyperopia)又は遠視(farsightedness)、乱視、すなわち、角膜における非球面性、及び老眼、すなわち、遠近調節をする水晶体の能力の喪失を含む、視力欠陥を矯正するために、目の角膜に適合する。コンタクトレンズには、様々な形態のものがあり、様々な材料で作製されて、異なる機能性を提供する。終日装用ソフトコンタクトレンズは、典型的には、酸素透過性を目的として水と合わせられた軟質ポリマー材料から作製される。終日装用ソフトコンタクトレンズは、1日使い捨て又は長期装用使い捨てであってもよい。終日装用使い捨てコンタクトレンズが、通常、1日間装着されて捨てられる一方で、長期装用使い捨てコンタクトレンズは、通常、最大30日間装着される。カラーソフトコンタクトレンズは、異なる材料を使用して、異なる機能性を提供する。例えば、識別用着色(visibility tint)コンタクトレンズは、光の色合いを使用して、落としたコンタクトレンズを探し出す際に着用者の助けとなり、強調着色(enhancement tint)コンタクトレンズは、天然の目の色を改善するように意図される半透明の色合いを有し、淡彩着色(color tint)コンタクトレンズは、目の色を変化させるように意図されるより暗い不透明な色合いを含み、光フィルタリング着色(light filtering tint)コンタクトレンズは、他の色を弱めながら、ある特定の色を改善する働きをする。硬質ガス透過性ハードコンタクトレンズは、シロキサン含有ポリマーから作製されるが、ソフトコンタクトレンズよりも硬く、したがって、それらの形状を保持し、より耐久性がある。二重焦点コンタクトレンズは、老眼を有する患者用に設計され、ソフトとハードの両方がある。円環状コンタクトレンズは、乱視を有する患者用に設計され、同様に、ソフトとハードの両方がある。上の異なる態様を合わせたコンビネーションレンズもあり、例えば、ハイブリッドコンタクトレンズが挙げられる。
【0022】
本発明は、コンタクトレンズ、又は眼内レンズ、角膜インレー若しくはアンレーの前面と後面との間に位置付けられる動的流体又はゲルゾーンを利用する。上眼瞼及び下眼瞼と相互作用するとき、これらの流体ゾーンは、結果として生じる変形を活用して、回転安定性を提供するか、貯留層から目に流体/材料を輸送/ポンプ汲み上げするか、貯留層中に含有される流体/材料を撹拌するか、又は本明細書に記載の異なる機能のうちのいずれかの様々な組み合わせ及び/若しくは順列を行うことができるように、変形し得る。第1の実施形態において、ゾーン内の材料が変形すると、コンタクトレンズに作用する回転力が変化するように、眼瞼とゾーンとの間の接触角が変化する。第2の実施形態において、1つ又は2つ以上の流体ゾーンは、目に送達される作用物質を含んでもよい。本実施形態の1つの物理的実現において、相互に連結されないが、眼瞼圧下で貯留層中に含有される作用物質の移動を達成するために相互と相互作用する能力を有する2つの流体ゾーンは、作用物質を貯留層から出して目に移動させ得る。本実施形態の第2の実現において、複数の流体ゾーンのうちのいくつかは、眼瞼圧下で中心貯留層から出口若しくは第2の貯留層へ、又はそれらに向かい、最終的には目の表面上へ流体を輸送するために、相互と流体連通する。第3の実施形態において、単一の流体ゾーンは、反射及び/又はカラー粒子を含んでもよい。この単一の流体ゾーンの形状は、瞬きするときに、流体ゾーンの動的応答が、その中に含有される流体及び任意の粒子を撹拌させて移動させる、すなわち、キラキラ光らせるように構成されてもよい。それぞれが反射粒子を含有する複数の流体ゾーンを利用して、眼瞼と相互作用するときに異なる動的美容効果を得ることもできる。
【0023】
動的流体ゾーンを組み込むコンタクトレンズは、設計及び製造が比較的簡単である。動的流体ゾーンを組み込むコンタクトレンズはまた、現在製造されているコンタクトレンズと比較して、比較的安価で製造できる。言い換えると、動的流体ゾーンの組み込みは、製造費用の著しい増加を必要としない。
【0024】
目における用途、具体的にはコンタクトレンズに焦点が当てられているが、本発明を身体の他の部位で利用してもよいことが認識されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の前述の及び他の特徴及び利点は、以下の付随する図面に示される本発明の好ましい実施態様のより詳細な説明から明らかとなるであろう。
図1】平面及び断面図における、眼瞼安定化設計特性を有する先行技術のコンタクトレンズの図表示。
図2】上眼瞼と図1のコンタクトレンズとの間の相互作用ゾーンの詳細な図表示。
図3A】本発明に従って、眼瞼の動きに応じた、動的安定化ゾーンの形状の漸進的な変化の図表示。
図3B】本発明に従って、眼瞼の動きに応じた、動的安定化ゾーンの形状の漸進的な変化の図表示。
図3C】本発明に従って、眼瞼の動きに応じた、動的安定化ゾーンの形状の漸進的な変化の図表示。
図4】本発明に従って、上眼瞼及び下眼瞼が完全に瞬きした位置にある、動的安定化ゾーンの図表示。
図5】本発明に従う第1の例示的なコンタクトレンズの図表示。
図6】本発明に従う第2の例示的なコンタクトレンズの図表示。
図7】本発明に従う第3の例示的なコンタクトレンズの図表示。
図8】本発明に従うコンタクトレンズの例示的な動的ゾーンカプセルの図表示。
図9】本発明に従う1つ又は2つ以上の動的安定化ゾーンを組み込むコンタクトレンズを作製するための例示的なプロセスの図表示。
図10A】本発明に従う目に作用物質を送達するための動的流体ゾーンの第1の例示的な実施形態の図表示。
図10B】本発明に従う目に作用物質を送達するための動的流体ゾーンの第1の例示的な実施形態の図表示。
図10C】本発明に従う目に作用物質を送達するための動的流体ゾーンの第2の例示的な実施形態の図表示。
図11】本発明に従う目に作用物質を送達するための動的流体ゾーンの第3の例示的な実施形態の図表示。
図12A】本発明に従う美容改善貯留層として構成される動的流体ゾーンの第1の例示的な実施形態の図表示。
図12B】本発明に従う美容改善貯留層として構成される動的流体ゾーンの第1の例示的な実施形態の図表示。
図13】本発明に従う美容改善貯留層として構成される動的流体ゾーンの第2の例示的な実施形態の図表示。
【発明を実施するための形態】
【0026】
現在、最適な視力を維持するために回転安定化を必要とするコンタクトレンズ、例えば、円環状コンタクトレンズは、配向されたコンタクトレンズを目の上で維持するために、重量圧又は眼瞼圧のいずれかに依存する。図1を参照して、平面図及び断面図の両方で、眼瞼圧安定化設計が図示され、コンタクトレンズ120は、安定化ゾーン又は領域122内でより厚い。コンタクトレンズ120は、瞳孔102、虹彩104、及び強膜106の一部分を被覆し、かつそれぞれ、上眼瞼108及び下眼瞼110の両方の下に位置するように、目100の上に位置付けられる。本設計におけるより厚い安定化ゾーン122は、角膜112上に位置付けられる。いったん安定化されると、安定化ゾーン122は、上眼瞼108と下眼瞼110との間に維持される。
【0027】
図2は、より厚い安定化ゾーン222がどのように上眼瞼208と相互作用して、コンタクトレンズ220を回転させる傾向のある力を誘発するかをより詳細に説明する。この回転力を駆動する臨界パラメーターは、上眼瞼208とコンタクトレンズ220の安定化ゾーン222との間の接触域の角度である。図示されるように、上眼瞼208とより厚い安定化ゾーン222の周辺部との間の接触点のベクトル230で表される垂直力を、ベクトル232で表される回転力に分解することができる。安定化ゾーン222の角度が急であるほど、コンタクトレンズ220に作用する垂直力の回転分力が大きい。逆に、安定化ゾーン222の角度が小さいか、又は平らであるほど、コンタクトレンズ220に作用する垂直力の回転分力が小さい。
【0028】
上述の本発明の動的流体ゾーンを、いくつかの機能のために利用することができる。安定化機能において、動的流体ゾーンが動的安定化ゾーンと称される一方で、他の機能において、それらは単に動的流体又はゲルゾーンと称される。
【0029】
本発明に従って、動的安定化ゾーン又は複数のゾーンを、好ましくは、圧力が適用されるときに再分配することができる物質で充填することができる。本質的には、本発明は、異なる物理的特性を有する1つ又は2つ以上の動的安定化ゾーンを生成する材料を含む1つ又は2つ以上の動的安定化ゾーンを組み込むコンタクトレンズを対象とする。1つの例示的な実施形態において、後により詳細に記載されるように、コンタクトレンズは、動的安定化ゾーンを形成する1つ又は2つ以上の流体又はゲルで充填した空洞を含む。眼瞼からの力又は圧力が、1つ又は2つ以上の動的安定化ゾーンの縁を圧迫するとき、流体又はゲルは、好ましくは、1つの空洞又は複数の空洞とともに再分配され、それによって、1つ又は2つ以上の動的安定化ゾーンの形状を変化させる。より具体的には、眼瞼からの増加した圧力は、眼瞼の接触点での1つ又は2つ以上の安定化ゾーンの局所的形状を増大させ、それによって、固定された形状安定化ゾーン又は複数のゾーンを用いるよりも大きい回転力を引き起こす。眼瞼の動きが続くとき、例えば、瞬きをする間、この形状の変化は、接触角の急勾配をもたらし、それによって、より大きい回転力をコンタクトレンズに供給する。言い換えると、眼瞼が1つ又は2つ以上の動的安定化ゾーンの上を通り続けるとき、流体又はゲルは再分配され続け、表面勾配は変化し続ける。高度のモデリング技法を用いて、挿入時の回転速度(自動位置付け)の改善と、それが適所にあるときのコンタクトレンズの安定性の増加の両方を提供する動的安定化ゾーン(複数を含む)を設計することが可能であり得る。
【0030】
図3A、3B、及び3Cを参照して、コンタクトレンズ上での眼瞼の動きに応じた、単一の動的安定化ゾーンの形状の変化が図示される。1つ又は2つ以上の動的安定化ゾーンを単一のコンタクトレンズにおいて利用することができるが、説明の簡略化のみを目的として、単一の動的安定化ゾーンが説明される。図3Aは、瞬きするか又は眼瞼が動く前のコンタクトレンズ320の動的安定化ゾーン322の位置を説明する。図示されるように、眼瞼308及び310は、コンタクトレンズ320上に位置付けられるが、動的安定化ゾーン322と接触せず、したがって、動的安定化ゾーン322を画定する空洞内で、流体又はゲル324のいかなる再分配も引き起こしていない。図3Bは、瞬き中に、変化した動的安定化ゾーン322の位置(より急な角度)を説明する。眼瞼308及び310が一点に集中すると、そこからの圧力は、動的安定化ゾーン322を画定する空洞内の流体又はゲル324を再分配させ、それによって、動的安定化ゾーン322の角度を増加させる。図3Cは、瞬き中に、眼瞼308及び310が一点に集中し続けるときに更に変化した動的安定化ゾーン322の位置を図示する。図3Cから容易に認識できるように、動的安定化ゾーン322の角度が急であるほど、ベクトル332で表される回転力がベクトル330で表される垂直力に近づき、次いで、垂直力のより大きな割合が、コンタクトレンズ320に作用する回転力に変換又は分解されることを示す。
【0031】
眼瞼によって付与された増加した回転力に起因したコンタクトレンズのより良好な回転安定性に加えて、本発明の動的安定化ゾーンの設計は、好ましくは、着用者の快適性を増加させる。図4を参照して、完全な瞬きが達成され、かつ眼瞼408及び410が実質的に全ての動的安定化ゾーン422の上を通ると、動的安定化ゾーン422を画定する空洞内の流体又はゲル424は、再び、眼瞼408及び410によって加えられる圧力によって再分配され、より平らな構成になる。このより平らな構成は、最大の厚さが再分配によって縮小されたため、目にかかる下向きに指向される力が小さくなり、眼瞼408及び410がコンタクトレンズ420の上を通ることを可能にする。固定された安定化ゾーンは薄くならず、したがって、コンタクトレンズの上を通る眼瞼との相互作用が増加するため、快適性がより低くなる場合もある。
【0032】
本明細書に示されるように、本発明のコンタクトレンズは、1つ又は2つ以上の動的安定化ゾーンを含んでもよい。これらの1つ又は2つ以上の動的安定化ゾーンは、任意の好適な構成を含んでもよく、任意の数の設計要件を満たすために、コンタクトレンズ上の任意の好適な位置に位置付けられてもよい。しかしながら、任意の設計を構成するとき、上眼瞼及び下眼瞼が、瞬き中に上下に動作しても、厳密には垂直方向に動かないことに留意しなければならない。上眼瞼は、瞬きする間、小さい鼻成分を用いて実質的に垂直に動き、下眼瞼は、実質的に水平に動き、瞬きする間、わずか又は小さな垂直運動のみを伴って鼻方向に動く。更に、上眼瞼及び下眼瞼は、垂直子午線を通る平面切断に対して対称的ではない。言い換えると、個人は、開いた上眼瞼と下眼瞼との間に引かれた水平軸に対して対称的に瞬きしない。また、ビューワーが見下ろすとき、目が一点に集中することは既知である。
【0033】
図5は、2つの動的安定化ゾーン502及び504を含むコンタクトレンズ500の例示的な実施形態を説明する。この例示的な実施形態において、動的安定化ゾーン502及び504を形成する流体又はゲルで充填された空洞は、コンタクトレンズ500の水平軸周囲で、相互から約180度離れて対称的に位置付けられる。図6は、同様に2つの動的安定化ゾーン602及び604を含むコンタクトレンズ600の別の例示的な実施形態を図示する。この例示的な実施形態において、動的安定化ゾーン602及び604を形成する流体又はゲルで充填された空洞は、水平軸の下方で測定されるように、コンタクトレンズ600の水平軸から下向きに、相互から180度未満離れて移動する。この構成は、眼瞼圧と組み合わせた重力を利用して、目の上のコンタクトレンズ600を配向し、その配向を維持する。図7は、単一の動的安定化ゾーン702を含むコンタクトレンズ700の更に別の例示的な実施形態を説明する。この例示的な実施形態において、単一の動的安定化ゾーン702を形成する流体又はゲルで充填された空洞は、重力、並びに眼瞼圧及び/又は眼瞼の動きが、プリズムバラスト型コンタクトレンズと同様にコンタクトレンズ700上で作用するように、コンタクトレンズ700の下方領域内に形成される。
【0034】
これらの例示的な実施形態のそれぞれを、本発明に従って利用することができる一方で、動的安定化ゾーンが、眼瞼が動的安定化ゾーンの上を通るときに形状が変化する移動可能若しくは流動可能な材料を含有するか、又はそれから作製される限り、任意の数の動的安定化ゾーン構成を利用することができ、それらの形状及び配置が、上で簡潔に説明されるように、眼瞼の動きを考慮することによって決定されることに留意しなければならない。非対称設計、左目及び右目用の異なる設計、又は所定の目用の特注の安定化設計は、本発明の動的安定化ゾーンを用いて可能である。加えて、特注のコンタクトレンズ、例えば、目の測定結果から直接作製されるコンタクトレンズは、本発明に従う動的安定化ゾーンを組み込むことができる。本構成から独立して、コンタクトレンズ上の動的安定化ゾーンの形状及び配置は、これらを形成するか、又はこれらの動的安定化ゾーン内にある材料が、本発明を機能させる眼瞼圧の動きを受けて自ら再分配させる能力である。
【0035】
動的安定化ゾーンを形成するために利用される材料又は複数の材料は、所望の機械的特性を提供する任意の好適な生体適合性材料又は複数の材料を含んでもよい。その材料又は複数の材料は、好ましくは、コンタクトレンズ上の1つ又は2つ以上の動的安定化ゾーンが、実質的には、目が必要とする酸素の受容を妨害しないように、眼瞼の動きを受けて容易に変形可能であり、かつ酸素透過性であるべきである。1つ又は2つ以上の動的安定化ゾーンを形成する材料又は複数の材料が、コンタクトレンズを形成する材料又は複数の材料と化学的及び物理的の両方で適合性がある限り、本発明に従う1つ又は2つ以上の動的安定化ゾーンを、シリコーンヒドロゲルから形成されるコンタクトレンズを含む任意の数のコンタクトレンズに組み込むことができる。物理的適合性に関して、コンタクトレンズを形成する材料又は複数の材料は、好ましくは、動的安定化ゾーンを形成する材料又は複数の材料、例えば、流体又はゲルが、コンタクトレンズ内に形成された空洞に浸透し、かつ/又はさもなければそこから拡散若しくは漏出して、動的安定化ゾーンを固定することを許容しない。化学的適合性に関して、動的安定化ゾーンを形成する材料又は複数の材料は、好ましくは、いかなる方法によっても、コンタクトレンズを形成する材料若しくは複数の材料及び/又は目と反応しない。動的安定化ゾーンを形成する材料又は複数の材料を、後により詳細に議論されるように、任意の好適な方法で、コンタクトレンズの正しい領域内に形成される空洞及び/又は空隙内に位置付けるか、又は固定することができる。
【0036】
動的安定化ゾーンを形成する材料又は複数の材料は、摂氏約34度未満のガラス転移温度を有する任意の好適な生体適合性材料及び変形可能な材料を含んでもよい。
【0037】
1つ又は2つ以上の動的安定化ゾーンを形成するためのシリコーン系材料は、シリコーン油を含むシリコーン系材料が、本発明を可能にするために、所望の機械的特性を有するか、又は所望の機械的特性を有するように容易に適合される得る際に好ましくあり得る。シリコーン油を含むシリコーン系材料はまた、高度に酸素浸透性である。加えて、多くのソフトコンタクトレンズは、シリコーン系材料から形成され、そのようなコンタクトレンズは適合性がある。フルオロシリコーン系材料を利用することもできる。
【0038】
代替の例示的な実施形態において、1つ又は2つ以上の動的安定化ゾーンを形成するための材料又は複数の材料は、コンタクトレンズを形成する同一の材料又は複数の材料を含んでもよい。別の代替の例示的な実施形態では、1つ又は2つ以上の動的安定化ゾーンを形成するための材料又は複数の材料は、固体、液体、又は気体状態であってもよい。更に別の代替の例示的な実施形態では、1つ又は2つ以上の動的安定化ゾーンを形成するための材料又は複数の材料は、製造プロセス中にある形態又は状態であってもよく、目に配置されるときに別の形態又は状態であってもよい。例えば、1つ又は2つ以上の動的安定化ゾーンを形成するための材料又は複数の材料は、製造プロセス中に固体であるか、又は凍結していてもよく、その後、液体形態であってもよい。更に別の代替の例示的な実施形態では、1つ又は2つ以上の動的安定化ゾーンを形成する材料又は複数の材料は、コンタクトレンズの空洞に直接組み込むことができる自己充足型材料又は複数の材料の組み合わせであってもよく、あるいは好ましくは、コンタクトレンズの空洞に組み込まれる前にカプセル化されるか、又はさもなければ保護されなければならない材料又は複数の材料の組み合わせであってもよい。
【0039】
上に示されるように、本発明の1つ又は2つ以上の動的安定化ゾーンを含むコンタクトレンズを、任意の数のプロセスを利用して製造することができる。1つの例示的な実施形態において、1つ又は2つ以上の動的安定化ゾーンを、可撓性の外側材料を用いてカプセルに形成し、コンタクトレンズ内に位置付けられる前に流体又はゲルで予充填してもよい。カプセルを製造するいくつかの可能な方法には、上部及び下部を形成するための、例えば、熱又は超音波による、膜の2つの部分の溶接、及び縁周囲の密閉の完了前の流体又はゲルの注入が含まれる。膜は、上述の材料を含む任意の好適な材料を含んでもよい。図8は、流体又はゲル802がその中に含有された、カプセル800の例示的な実施形態を説明する。例示的なカプセル800の形状は、恣意的であり、1つの可能な設計のみを表す。上に示される同様のプロセスは、凍結中にコンタクトレンズ内に位置付けることができるが、目の温度では液体になる、1つ又は2つ以上の安定化ゾーンのための材料を使用することである。これらの事前に作製された流体領域は、好ましくは、コンタクトレンズの原材料を有するコンタクトレンズの鋳型に配置され、コンタクトレンズが硬化すると、コンタクトレンズ内に結合又はカプセル化される。
【0040】
動的安定化ゾーンの形成のために、空隙及び/又は空洞がコンタクトレンズ内に生成される例示的な実施形態において、空隙及び/又は空洞を、ハイブリッドコンタクトレンズの製造方法と同様の方法で生成してもよい。例えば、この例示的なプロセスにおいて、液体反応性モノマー混合物プレドーズが表側の曲面に適用され、次に、所望の形態の変形可能な材料がそれに適用される。変形可能な材料が所望の位置に正確に位置付けられると、モノマーは、規定の量に予硬化され、位置精度を維持しながら、機械的固定デバイスの開放を促進する。最終的に、モノマーの残りが添加され、裏側の曲面が位置付けられ、全体のアセンブリが硬化される。
【0041】
別の例示的な実施形態に従って、コンタクトレンズを、既知のプロセスを利用して作製し、次いで、針又は同様のデバイスを利用して、流体又はゲルを直接注入することができる。本質的には、1つ又は2つ以上の動的安定化ゾーンの空洞は、所望の位置(複数を含む)で材料をコンタクトレンズに直接注入することによって形成される。図9は、動的安定化ゾーン922を生成するために、コンタクトレンズ920に挿入される針950を図示しており、流体又はゲル924は、針950を介して注入される。材料が注入されて、針が除去されると、挿入部位の穴を密閉してもよい。1つの例示的な実施形態において、硬化プロセスの一環として、注入穴を密閉してもよい。例えば、コンタクトレンズが完全に硬化される前に、材料の注入を行ってもよく、針の除去後に最終的な硬化が起こり、硬化されていない材料が穴を閉鎖することを可能にし、その後、穴を閉鎖して硬化する。
【0042】
更に別の例示的な実施形態に従って、コンタクトレンズ材料を外側から内側に硬化し、かつ両側上での硬化を制御することができるプロセスを利用して、硬化されていないか、又は硬化不足の材料の厚い領域を作成することができ、すなわち、異なる架橋密度をこのように捕捉し、それによって、1つ又は2つ以上の動的安定化ゾーンを形成することができる。
【0043】
更に別の例示的な実施形態に従って、硬化時に水を吸収する能力、弾性係数、及びモノマー組成物の点で異なる複数の硬化性製剤を利用する一方で、回転対称コンタクトレンズの鋳型を利用して、球体製品を製造するかのようにコンタクトレンズを製造することができる。例えば、より高度の水親和性を有するより高濃度のモノマー、例えば、メタクリル酸の組み込みを介して、硬化性コンタクトレンズ製剤の親水性を増加させることができることは、当業者には周知である。更に、架橋剤、例えば、ジメタクリル酸エチレングリコールの量及び/又は種類を変化させることによって、硬化性コンタクトレンズ製剤を調整して、所望の水和係数を得ることができる。
【0044】
更に別の例示的な実施形態に従って、1つ又は2つ以上の動的安定化ゾーンを、コンタクトレンズ作製プロセス中に表側の曲面上にある特定のパターンをパッド印刷することによって実現することができる。1つの例示的な実施形態において、印刷可能な動的安定化ゾーン組成物を製剤化して、例えば、65パーセントを超える比較的高い平衡含水率、及び/又は例えば、482.6kPa(70psi)未満の比較的低い弾性率を得ることができる。液体硬化性モノマー混合物の膨張率(そのように硬化したレンズ体積で割ったそのようにプロセスされたレンズ体積によって本明細書で定義される)を、非反応性希釈剤を添加するか、又は非反応性希釈剤を差し引くことによって調整することができることも、当業者には既知である。具体的には、希釈剤のレベルを低減させると、膨張率が増加する。希釈剤のレベルを増加させると、膨張率が低減する。動的安定化ゾーンを印刷するのに有用な硬化性組成物は、比較的低い希釈剤レベルを有する硬化性モノマー混合物を利用することができ、それによって、より多くの水を吸収し、かつコンタクトレンズの前面から隆起する局部的ゾーンをもたらす。比較的高い平衡含水率を得るために、希釈剤含有量の少ない液体硬化性モノマー混合物の適切な製剤を用いて、比較的低い弾性係数、並びに好適なパッド印刷粘度及び揮発度、動的安定化ゾーンパターンを、本発明に従う有用性を有するコンタクトレンズの鋳型の前面に印刷することができる。完全に加工されると、そのような特徴を有するコンタクトレンズは、少なくとも2つのはっきりと異なる硬化性モノマー製剤から成る。更に、結果として生じるコンタクトレンズは、コンタクトレンズの大半とは、組成物、例えば、水含有量、モノマー含有量、及び/又は架橋密度の点で異なるヒドロゲル材料を含む、誇るに足る動的安定化ゾーンを有する。結果的に、そのような例示的な実施形態において、1つ又は2つ以上の動的安定化ゾーンは、流体を充填した液嚢ではなく、むしろ、化学的及び物理的特性を適合させた分離した粘弾性ゾーンである。
【0045】
適合させた硬化性液体モノマー混合物を用いて、安定化ゾーンが表側の曲面にパッド印刷される場合、その混合物の組成物は、コンタクトレンズの大半において使用される材料と共重合するはずである。このように、印刷された動的安定化ゾーンは、コンタクトレンズの大半に化学的に結合され、そのようなゾーンは、同様の方法でコンタクトレンズのバルク材に加工可能である。
【0046】
コンタクトレンズ、眼内レンズ、並びに任意の数の医療装置を、治療薬/治療薬の組み合わせの局所送達のために利用して、多種多様の状態を治療するか、又は医療装置自体の機能及び/若しくは寿命を改善することができる。多くの場合、医療装置の中、上、及び周囲での組織内成長又はタンパク性物質の蓄積のために故障する、水頭症用のシャント、透析グラフト、結腸瘻バッグ取付け装置、耳漏管、ペースメーカのリード線、及び植込み可能な除細動器等の他の医療装置も、医療装置−治療薬の組み合わせ手法から利益を得ることができる。組織又は臓器の構造及び機能を改善する働きをする装置は、適切な治療薬又は複数の治療薬と合わせられるときにも利益を示し得る。例えば、埋め込まれた装置の安定化を改善する、改善された矯正装置のオッセオインテグレーションを、それを骨形態形成タンパク質等の作用物質と合わせることによって達成することができる可能性が高い。同様に、他の外科装置、縫合、ステープル、吻合装置、椎骨ディスク、骨ピン、縫合糸アンカー、止血用バリヤ、クランプ、スクリュー、プレート、クリップ、血管インプラント、組織接着剤及び封止剤、組織スキャフォールド、様々な種類の包帯、代用骨、腔内装置、及び血管支持体も、この治療薬−装置の組み合わせ手法を用いて、患者の利益を増大させることができる。本質的には、任意の種類の医療装置は、何らかの方法で、医療装置若しくは医薬品を特異的に使用して治療を改善する治療薬又は治療薬の組み合わせでコーティングされるか、又はその中にそれを含有し得る。
【0047】
上述の様々な医療装置又は一般的な任意の医療装置は、局所送達のために、1つ又は2つ以上の治療薬でコーティングされるか、又はその中にそれを含有し、かつ特定の目的、例えば、状態の予防、状態の治療、状態の緩和、及び/若しくは医療装置の機能の改善のために調整され得る。これらの治療薬には、ビンカアルカロイド(すなわち、ビンブラスチン、ビンクリスチン、及びビノレルビン)、パクリタキセル、エピポドフィロトキシン(すなわち、エトポシド、テニポシド)、抗生物質(ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)ダウノルビシン、ドキソルビシン、及びイダルビシン)、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)及びマイトマイシン、酵素(L−アスパラギンを全身的に代謝させ、かつ自らのアスパラギンを合成する能力を有しない細胞を取り除くL−アスパラギナーゼ)等の天然産物を含む抗増殖/抗分裂剤;G(GP)II/III阻害剤及びビトロネクチン受容体拮抗薬等の抗血小板薬;ナイトロジェンマスタード(メクロレタミン、シクロホスファミド及び類似体、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミン及びメチルメラミン(ヘキサメチルメラミン及びチオテパ)、スルホン酸アルキルブスルファン、ニトロソウレア(カルムスチン(BCNU)及び類似体、ストレプトゾトシン)、ダカルバジン(DTIC)等の抗増殖/抗分裂アルキル化剤;葉酸類似体(メトトレキサート)、ピリミジン類似体(フルオロウラシル、フロクスウリジン、及びシタラビン)、プリン類似体、及び関連阻害剤(メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン及び2−クロロデオキシアデノシン{クラドリビン})等の抗増殖/抗分裂代謝拮抗物質;白金配位複合体(シスプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、ミトタン、アミノグルテチミド;ホルモン(すなわち、エストロゲン);抗凝固剤(ヘパリン、合成ヘパリン塩、及びトロンビンの他の阻害剤);線維素溶解薬(組織プラスミノーゲン活性剤、ストレプトキナーゼ、及びウロキナーゼ等)、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキマブ;抗転移剤;抗分泌剤;副腎皮質ステロイド(コルチゾール、コルチゾン、フルドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、6α−メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベータメタゾン、及びデキサメタゾン)等の抗炎症剤;非ステロイド剤(サリチル酸誘導体、すなわち、アスピリン;パラアミノフェノール誘導体、すなわち、アセトアミノフェン;インドール及びインデン酢酸(インドメタシン、スリンダク、及びエトドラク)、ヘテロアリール酢酸(トルメチン、ジクロフェナク、及びケトロラク)、アリールプロピオン酸(イブプロフェン及び誘導体)、アントラニル酸(メフェナム酸及びメクロフェナム酸)、エノール酸(ピロキシカム、テノキシカム、及びフェニルブタゾン)、ナブメトン、金化合物(オーラノフィン、オーロチオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウム);免疫抑制剤、シクロスポリン、タクロリムス(FK−506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル;血管形成剤;血管内皮増殖因子(VEGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF);アンジオテンシン受容体遮断剤;酸化窒素供与体;アンチセンスオリゴヌクレオチド及びその組み合わせ;細胞周期阻害剤、mTOR阻害剤、及び成長因子受容体シグナル変換キナーゼ阻害剤;レチノイド;サイクリン/CDK阻害剤;HMG補酵素還元酵素阻害剤(スタチン);並びにプロテアーゼ阻害剤が含まれる。
【0048】
本発明は、コンタクトレンズ、眼内レンズ、角膜インレー、及び/又はアンレー等の眼球装置に組み込まれる動的流体又はゲルゾーンを利用する。上眼瞼及び下眼瞼と相互作用するとき、これらの流体ゾーンは、結果として生じる変形を活用して、貯留層中に含有される流体/材料を撹拌するか、又は製剤化された流体を貯留層から目の中又は目の上に輸送/ポンプ汲み上げするかのいずれかを行うことができるように変形し得る。
【0049】
別の例示的な実施形態に従って、本明細書に記載の安定化ゾーンを、動的流体ゾーンとして再構成してもよい。むしろ言い換えると、又はそれに加えて、動的流体ゾーンを、上述の回転安定性を必要とするコンタクトレンズの安定化ゾーンとして、並びに治療薬を目に送達し、かつ/又は目の動的改善を介して美容効果をもたらすために利用することができる。それぞれの使用を合わせるか、又は上で説明されるように個別に利用することができる。
【0050】
1つの例示的な実施形態において、動的流体ゾーンを利用して、治療薬、栄養剤、又は薬理剤を送達することができる。用途に応じて、動的流体ゾーンは、単一の医薬品有効成分又は複数の医薬品有効成分を含んでもよい。コンタクトレンズを利用して作用物質の送達を達成することができる治療法の例として、目の栄養物の供給、緑内障の治療、アレルギーの治療、近視進行の軽減、ドライアイの治療、及び抗生物質、鎮痛剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗感染薬、散瞳薬及び毛様筋調節薬、並びに抗炎症剤の送達が挙げられる。目の栄養物に関して、コンタクトレンズの動的流体ゾーンを利用して、ビタミンA、D、及びE、ルテイン、タウリン、グルタチオン、ゼアキサンチン、脂肪酸、並びに他の類似の作用物質を含むビタミン、抗酸化物質、及び栄養補助物を送達することができる。緑内障の治療に関して、コンタクトレンズの動的流体ゾーンを利用して、治療、阻害、及び予防のうちの1つ又は2つ以上のために、ジピベフリン等のエピネフリン;アプロクロニジン及びブリモニジン等のアルファ−2アドレナリン受容体;ベタキソロール、カルテオロール、レボブノロール、メチプラノロール、及びチモロール等のベータ遮断剤;カルバコール及びピロカルピン等の直接縮瞳薬;フィゾスチグミン及びエコチオフェート等のコリンエステラーゼ阻害剤;アセタゾールアミド、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、及びメタゾラミド等の炭酸脱水酵素阻害剤;ラタノプロスト、ビマトプロスト、ウラボプロスト、トラボプロスト、及びウノプロストンシドフォビル等のプロスタグランジン及びプロスタミドを含む作用物質を送達することができる。アレルギーの治療に関して、コンタクトレンズの動的流体ゾーンを利用して、アレルギーの治療、阻害、及び予防のうちの1つ又は2つ以上のために、アゼラスチンHCl、フマル酸エメダスチン、エピナスチンHCl、フマル酸ケトチフェン、レボカバスチンHCl、オロパタジンHCl、マレイン酸フェニラミン、及びリン酸アンタゾリンを含むいくつかの作用物質を送達することができる。抗生物質及び抗感染薬の送達に関して、コンタクトレンズの動的流体ゾーンを利用して、トブラマイシン、モキシフロキサシン、オフロキサシン、ガチフロキサシン、シプロフロキサシン、ゲンタマイシン、スルフイソキサゾールジオラミン、スルファセタミドナトリウム、バンコマイシン、ポリミキシンB、アミカシン、ノルフロキサシン、レポフロキサシン、スルフイソキサゾールジオラミン、スルファセタミドナトリウムテトラサイクリン、ドキシサイクリン、ジクロキサシリン、セファレキシン、アモキシシリン/クラブラン酸、セフトリアキソン、セフィキシム、エリスロマイシン、オフロキサシン、アジスロマイシン、ゲンタマイシン、スルファジアジン、及びピリメタミンを含む作用物質を送達することができる。抗ウイルス剤の送達に関して、コンタクトレンズの動的流体ゾーンを利用して、ホミビルセンナトリウム、ホスカルネットナトリウム、ガンシクロビルナトリウムバルガンシクロビルHCl、トリフルリジン、アシクロビル、及びファムシクロビルを含む作用物質を送達することができる。抗真菌剤の送達に関して、コンタクトレンズの動的流体ゾーンを利用して、フルコナゾール、フルシトシン、アンフォテリシンB、イトラコナゾール、及びケトコナゾールを含む作用物質を送達することができる。鎮痛剤の送達に関して、コンタクトレンズの動的流体ゾーンを利用して、アセトアミノフェン及びコデイン、アセトアミノフェン及びヒドロコドン、アセトアミノフェン、ケトロラク、イブプロフェン、並びにトラマドールを含む作用物質を送達することができる。散瞳薬及び毛様筋調節薬の送達に関して、コンタクトレンズの動的流体ゾーンを利用して、硫酸アトロピン、ホマトロピン、スコポラミンHBr、シクロペントレートHCl、トロピカミド、及びフェニレフリンHClを含む作用物質を送達することができる。抗炎症剤の送達に関して、コンタクトレンズの動的流体ゾーンを利用して、デキサメタゾンリン酸ナトリウム、デキサメタゾン、フルオロメタロン、酢酸フルオロメタロン、エタボン酸ロテプレドノール、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、メドリゾン、リメキソロン及びフルオシノロンアセトニドを含むコルチコステロイド、並びにフルルビプロフェンナトリウム、スプロフェン、ジクロフェナクナトリウム、ケトロラク、トロメタミン、シクロスポリン、ラパマイシン、メトトレキサート、アザチオプリン、及びブロモクリプチンを含む非ステロイド性抗炎症剤を送達することができる。近視進行の軽減に関して、コンタクトレンズの動的流体ゾーンを利用して、定量のピレンゼピン又はアトロピンを送達することができる。これを、近視進行の治療手段として単独で利用することができるか、又は近視軽減用のコンタクトレンズの目のゾーン設計と組み合わせて利用することができる。
【0051】
コンタクトレンズによって送達される活性剤を、担体又は賦形剤を含むように製剤化してもよい。合成及び天然ポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ヒドロキシメチルセルロース、グリセリン、ヒプロメロース、ポリビニルピロリドン、カーボポール、プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルグアー、グルカム−20、ヒドロキシプロピルセルロース、ソルビトール、デキストロース、ポリソルベート、マンニトール、デキストラン、変性ポリサッカライド及びガム、リン脂質、並びにスルホベタインを含む、任意の数の賦形剤を利用することができる。
【0052】
1つ又は2つ以上の治療薬を、いくつかの方法で、コンタクトレンズから送達することができる。上述の例示的な実施形態において、動的安定化ゾーン又は複数のゾーンを、眼瞼によって圧力が印加されるときに再分配される物質で充填してもよい。これらの動的安定化ゾーンは、目のゾーンの外側のコンタクトレンズに組み込まれる。本発明に従って、動的流体ゾーンは、目のゾーンの外側のコンタクトレンズに組み込まれ、動的安定化、薬物送達、及び/又は目の美容的かつ動的改善を含むいくつかの非排他的な機能を実行し得る。1つの例示的な実施形態において、第1の流体ゾーンは、第1の流体ゾーンの変形が第2のゾーンに圧力をもたらし、次いで、内容物、すなわち、1つ又は2つ以上の治療薬をそれから放出するように第2の流体ゾーンを包囲してもよい。1つ又は2つ以上の治療薬を、第2の流体ゾーンを形成する材料の細孔、例えば、浸出設計を通して、又は弁機構を通して放出することができる。代替の例示的な実施形態において、複数の第1の流体ゾーンに加えて、相互に連通する複数の第2の流体ゾーンが存在し得る。それらのゾーンのそれぞれの設置は、上述の任意の好適な位置に対応し得る。加えて、第1の流体ゾーンは、上に記載され、かつ本明細書で図示される動的安定化ゾーンと同一又は同様の構造を含んでもよい。
【0053】
好ましい例示的な実施形態において、以下、作用物質又は複数の作用物質と称される、1つ又は2つ以上の治療薬、栄養剤、又は薬理剤を含む中心貯留層を、コンタクトレンズの周縁ゾーン又は安定化ゾーン内の好適な位置に位置付けることができる。瞬きをするとき、この中心貯留層内に含有される作用物質は、好ましくは、一連の流体を充填した液嚢及び/又は貯留層を通って少しずつポンプ汲み上げされ、それによって、目の上への1つ又は2つ以上の作用物質の流量を測定する。利用する貯留層及び弁機構の数及び種類に応じて、1つ又は2つ以上の作用物質の流量/送達を調整し、誘導治療効果、すなわち、1つ又は2つ以上の作用物質の急激な送達、1つ又は2つ以上の作用物質の持続的な送達、及び/又は急激な送達と持続的な送達の中間の送達を達成することができる。この流体が充填した液嚢及び/又は貯留層の一連の構成は、1分間当たり約4〜8回瞬きする健常者の瞬き速度を考慮する作用物質の調節された流量を提供する。
【0054】
ここで図10A及び10Bを参照して、第1の流体ゾーンが第2の流体ゾーンを包囲する例示的な実施形態の断面図が図示される。図10Aは、角膜1006の上に位置付けられ、かつ眼瞼1008及び1010の下に部分的に位置する少なくとも1つの組の流体ゾーン1002、1004を有するコンタクトレンズ1000を図示し、図10Bは、眼瞼1008及び1010が完全に瞬きしてコンタクトレンズ1010上で閉じた状態の同一のコンタクトレンズ1000を図示する。説明されるように、コンタクトレンズ1000に組み込まれる流体を充填した液嚢1002は、1つ又は2つ以上の作用物質を含む液嚢又は貯留層1004を実質的に包囲する。流体を充填した液嚢1002は、任意の好適な流体を含んでもよく、動的安定化ゾーンに関して本明細書に記載されるように形成されてもよい。作用物質貯留層1004に圧力をかけることに加えて、これは、安定化ゾーンとして働き得る。作用物質貯留層1004は、流体を充填した液嚢1002に類似した様式で形成されてもよいが、目の中又は目の上に放出される少なくとも1つの作用物質を含む。少なくとも1つの作用物質は、上で詳述される状態を治療するために、上述の任意の好適な材料及び任意の他の材料を含んでもよい。作用物質貯留層1004が1つ又は2つ以上の作用物質を放出するように設計されるため、これは、好ましくは、放出機構1012を含む。放出機構1012は、眼瞼1008及び1010が流体を充填した液嚢1002に圧力をかけるときに1つ又は2つ以上の作用物質を貯留層1004から移行させ、次に、矢印1014で示されるように、作用物質貯留層1004に圧力を生じさせるための任意の好適な手段を含んでもよい。1つの例示的な実施形態において、放出機構1012は、液嚢1002及び1004と同一の材料から形成される単一の一方向逆止弁を備えてもよいが、任意の好適な材料を利用してもよい。代替の例示的な実施形態において、放出機構1012は、単に、流体を充填した液嚢1002が眼瞼1008及び1010によって変形されるときに1つ又は2つ以上の作用物質を通過させるが、目からの流体が貯留層1004に進入するのを阻止する細孔を、貯留層1004の中に備えてもよい。
【0055】
代替の例示的な実施形態において、貯留層のみを有する本発明を実現することができる。図10Cは、作用物質を含有する貯留層1004及び放出機構1012を備えるコンタクトレンズ1000を説明する。上述の例示的な実施形態にあるように、瞬きは、作用物質を目の上に押し進めるが、それは、図10A及び10Bに説明される流体を充填した液嚢1002を介してというよりはむしろ直接的である。着用者が瞬きするたびに、作用物質が目の中又は目の上に放出される。先の例示的な実施形態とは異なり、貯留層1004が空である場合、コンタクトレンズ1000は、もはや任意の流体を充填した液嚢を含まない。
【0056】
図11は、中心貯留層がより小さい複数の連結した貯留層を含む例示的な実施形態の断面図を説明する。説明されるように、目1102の上に位置し、かつ眼瞼1104及び1106の下に部分的に位置するコンタクトレンズ1100は、弁機構1110を介して流動的に結合される一連の作用物質を充填した貯留層1108を備える。人が瞬きすると、眼瞼1104及び1106が一体となり、貯留層1108内の少なくとも1つの作用物質を、放出機構1114を備える中心貯留層1112に向かって押し進める。それぞれの連続的な瞬きは、少なくとも1つの作用物質を、放出機構1114を通して放出させるように、次の瞬きがある特定の時点に到達するまで、貯留層1108中に含有される少なくとも1つの作用物質を、弁1110を通して中心貯留層1112に向かって移動させる。人が1分間当たり約4〜8回瞬きする速度で瞬きするとき、少なくとも1つの態様の線量率を、貯留層1108/1112の寸法及び作用物質の粘度を含むいくつかの要素によって制御することができる。
【0057】
弁1110及び放出機構1114は、上述の逆止弁を含む一方向の流体流動を可能にする任意の好適な手段を備えてもよい。しかしながら、任意の好適な手段を利用してもよい。
【0058】
別の例示的な実施形態に従って、1つ又は2つ以上の動的流体ゾーンを、眼瞼によってこれらの1つ又は2つ以上の動的流体ゾーンにかけられる圧力が、流体及び/又は粒子がその中に含有された状態で、動的応答を引き起こすように、コンタクトレンズに組み込んでもよい。言い換えると、1つ又は2つ以上の流体ゾーンの形状及びその中に含有される材料は、瞬きするときに、その中に含有される流体/粒子を撹拌させて移動させる、すなわち、キラキラ光らせる1つ又は2つ以上の流体ゾーンの動的応答をもたらすことができる。閉鎖系又は貯留層、例えば、動的流体ゾーンの流体内で浮遊し得る反射性又は光輝性小粒子、例えば、ヘリコーンは、それらの上を通る眼瞼の動作によって撹拌される。これは、流体及び粒子を周辺に移動させ、目の上に光彩を放つ外観、光り輝く外観、又はキラキラ光る外観を作成する。これは、反射材料の断片を流体ゾーン内に設置し、かつ流体の粘度を調節して、効果の程度/期間を調整することによって可能となる。粒子に好適な材料は、雲母チップ断片、ヘリコーン液晶の断片等を含む任意の好適な材料を含んでもよい。流体は、シリコーン油又は同様の流体等のシロキサン含有油を含む任意の好適な材料を含んでもよい。シリコーン油は、有機官能基を担持する環化シロキサン、オリゴマー化シロキサン、又は重合シロキサンのうちのいずれかである。この例示的な実施形態において、複数の動的流体ゾーンが単一のレンズにおいて利用される場合、それら各々が閉鎖系であり、かつ相互に連通しないことが好ましい。これらの動的流体ゾーンを、所望の効果に応じて、優先的に設置してもよい。例えば、動的流体ゾーンを、角膜縁輪に対応するように位置付けてもよい。最近の調査研究では、個人の見栄えが判断されるときに、角膜縁輪が個人に影響を与えることを示唆している。したがって、動的流体ゾーンを利用して、角膜縁輪を改善することができる。あるいは、物体又は材料を虹様又はマルチスペクトル効果を呈する貯留層内の流体に混入することによって、興味深い美容効果を得ることができる。これは、石鹸の泡又は油膜等の薄膜において見られる干渉効果と同様の効果をもたらし得る。したがって、界面活性剤、油、又は薄膜含有物の混合物を、貯留層内の流体に添加するか、又は組み込んでもよく、効果は、移動する虹又はキラキラ光る虹と同様である。例えば、貯留層を、その上に少なくとも1つの薄膜層を有する液体で充填してもよい。
【0059】
代替の例示的な実施形態において、様々な他の材料を利用して、異なる効果を得ることができる。例えば、発光材料、リン光材料、及び/又は蛍光材料を添加して、所望の効果をもたらすことができる。干渉色素を利用してもよい。干渉色素は、高屈折率材料の薄膜でコーティングされた様々な基材、例えば、二酸化チタンコーティング雲母を含んでもよい。干渉色素は、化粧品を含む広範囲の用途において利用される。これらの材料のうちのいずれかを、単独で、又は本明細書に記載の材料のうちのいずれかと組み合わせて利用することができる。利用する材料にかかわらず、流体特性、例えば、粘度を変化させることによって、更なる効果を得ることができる。
【0060】
ここで図12A及び12Bを参照して、コンタクトレンズ1200の目のゾーンの外側に輪として構成される単一の動的流体ゾーン1202を備えるコンタクトレンズ1200の平面図及び断面図が図示される。動的流体ゾーン1202は、上述の粒子1204を含有する流体を充填した貯留層を備える。眼瞼が動的流体ゾーン1202の上を通ると、粒子1204が変形し、移動する。この移動は、上で詳述されるように、目の外観を美容的に改善し得る。単一の連続する輪が図示されているが、任意の数の分離したセグメントを利用して、本発明の動的流体ゾーンを実装してもよいことに留意すべきである。加えて、動的流体ゾーンは、任意の好適な形状及び構成を含んでもよい。
【0061】
図13は、それぞれ略三日月形を有する2つの動的流体ゾーン1302を備えるコンタクトレンズ1300の平面図を説明する。この例示的な実施形態において、動的流体ゾーン1302は、瞬き中に上眼瞼1306と相互作用する流体ゾーン1302の上縁に設計特性1304を含む。この相互作用は、それぞれの流体ゾーン1302内に波面をもたらし、埋め込まれた粒子又は浮遊した粒子1308を撹拌させ、それによって、動的様式で光を反射する。この例示的な実施形態は、任意の数の動的流体ゾーンを備えてもよい。組み込まれる設計特性の有無にかかわらず、単に瞬きすることによって、かつ適切な流体の選択によって、波面が開始し得ることに留意するべきである。
【0062】
上述の例示的な実施形態のそれぞれにおいて、動的流体ゾーンは、それらが眼瞼と相互作用するように、コンタクトレンズ上で隆起した表面である。目の改善の場合において、眼瞼とほとんど又は全く相互作用しないように、その中に含有される流体及び粒子又は材料を、隆起した表面を有しないコンタクトレンズの領域に組み込んでもよい。この構成では、材料又は粒子の原動力又は移動は、眼瞼との相互作用によって引き起こされないが、目の動き、頭の動き、体温、及び動きを引き起こし得る任意の他の機能を含む他の要素によって引き起こされる。言い換えると、美容的に目を改善する材料は、内部で生成された刺激又は着用者によって生成された刺激に基づいて光を反射する。
【0063】
上述のように、様々な例示的な実施形態を、任意の数の順列で組み合わせることができる。例えば、1つ又は2つ以上の流体ゾーンを、単に作用物質の送達又は目の改善のために利用してもよい。他の例示的な実施形態では、1つ又は2つ以上の流体ゾーンを、回転安定性及び薬物送達の提供、回転安定性及び目の改善の提供、並びに回転安定性、薬物送達、及び目の改善の提供のために利用してもよい。本明細書に説明される順列に加えて、更なる組み合わせが実行可能であり得る。現在の角膜縁輪設計は、概して、回転対称であり、したがって、回転位置付けは問題ではない。しかしながら、回転非対称設計、例えば、卵形若しくは楕円形、又は固定され、かつ非回転的に位置合わせした位置での様々な効果の設置の可能性を考慮するとき、目の上でのコンタクトレンズの回転位置合わせが要因となる。要因として、これは、好ましくは制御されるが、さもなければ、目的とするパターン又は効果をそれから得ることができない場合もある。
【0064】
ここで図示及び説明した実施形態は、最も実用的で好適な実施形態と考えられるが、当業者であれば、ここに図示及び開示した特定の設計及び方法からの変更は、それ自体当業者にとって自明であり、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく使用できることは明らかであろう。本発明は、記載され、例示された特定の構造に限定されないが、添付した特許請求の範囲内に入り得る全ての変更例と一致するように構成されるべきである。
【0065】
〔実施の態様〕
(1) 眼科装置であって、
視覚領域と、前記視覚領域を包囲する周縁領域と、前面と、後面と、を有する、矯正レンズと、
前記周縁領域内の前記前面と前記後面との間で前記コンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの動的流体ゾーンであって、変形可能な材料から形成され、かつ1つ又は2つ以上の開口部を通じて患者の目へ送達するための治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つを含み、瞬きが、前記治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つの移動を引き起こすように、眼瞼と相互作用するように構成される、少なくとも1つの動的流体ゾーンと、
を備える、眼科装置。
(2) 前記矯正レンズが、コンタクトレンズである、実施態様1に記載の眼科装置。
(3) 前記コンタクトレンズが、ソフトコンタクトレンズを含む、実施態様2に記載の眼科装置。
(4) 前記コンタクトレンズが、円環状コンタクトレンズを含む、実施態様2に記載の眼科装置。
(5) 前記周縁領域内の前記前面と前記後面との間で前記コンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの第2の動的流体ゾーンを更に備え、前記少なくとも1つの第2の流体動的ゾーンが前記少なくとも1つの動的流体ゾーンを実質的に包囲し、かつ変形可能な材料を含む、実施態様1に記載の眼科装置。
【0066】
(6) 前記少なくとも1つの第2の動的流体ゾーンが、瞬き中の眼瞼圧下で、前記少なくとも1つの動的流体ゾーンを圧迫し、それによって、前記治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つを前記少なくとも1つの動的流体ゾーンから前記目の上に押し進めるように構成される、実施態様5に記載の眼科装置。
(7) 前記1つ又は2つ以上の開口部が、一方向の流体流動を可能にするように構成される弁を備える、実施態様6に記載の眼科装置。
(8) 前記少なくとも1つの動的流体ゾーンが、一方向弁を介して相互に連結され、かつ流体連通する、1つ又は2つ以上の周縁貯留層及び中心貯留層を備える、実施態様1に記載の眼科装置。
(9) 前記1つ又は2つ以上の周縁貯留層が、瞬き中の眼瞼圧下で圧迫され、それによって、前記治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つを1つの周縁貯留層から別の周縁貯留層へ、そして前記中心貯留層へと押し進めるように構成される、実施態様1に記載の眼科装置。
(10) 前記中心貯留層が、瞬き中に眼瞼圧下で圧迫され、それによって、前記1つ又は2つ以上の周縁貯留層から供給される前記治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つを前記目に押し進めるように構成される、実施態様9に記載の眼科装置。
【0067】
(11) 前記1つ又は2つ以上の開口部が、前記中心貯留層内に位置付けられ、かつ一方向の流体流動を可能にするように構成される弁を備える、実施態様10に記載の眼科装置。
(12) 眼科装置であって、
視覚領域と、前記視覚領域を包囲する周縁領域と、前面と、後面と、を有する、矯正レンズと、
前記周縁領域内の前記前面と前記後面との間で前記コンタクトレンズに組み込まれる、少なくとも1つの動的流体ゾーンであって、変形可能な材料から形成され、かつ美容的に目を改善する材料を含み、瞬きが、前記美容的に目を改善する材料を移動させ、それによって、動的様式で光を反射するように、眼瞼と相互作用するように構成される、少なくとも1つの動的流体ゾーンと、
を備える、眼科装置。
(13) 前記矯正レンズが、コンタクトレンズである、実施態様12に記載の眼科装置。
(14) 前記コンタクトレンズが、ソフトコンタクトレンズを含む、実施態様13に記載の眼科装置。
(15) 前記コンタクトレンズが、円環状コンタクトレンズを含む、実施態様13に記載の眼科装置。
【0068】
(16) 前記少なくとも1つの動的流体ゾーンが、前記美容的に目を改善する材料用の貯留層を備える、実施態様12に記載の眼科装置。
(17) 前記美容的に目を改善する材料が、流体と、粒子と、を含む、実施態様16に記載の眼科装置。
(18) 前記流体が、シリコーン油を含む、実施態様17に記載の眼科装置。
(19) 前記粒子が、雲母チップ断片を含む、実施態様17に記載の眼科装置。
(20) 前記粒子が、ヘリコーン液晶を含む、実施態様17に記載の眼科装置。
【0069】
(21) 前記流体が、界面活性剤を更に含む、実施態様17に記載の眼科装置。
(22) 前記流体が、油を更に含む、実施態様17に記載の眼科装置。
(23) 前記流体が、上部に少なくとも1つの薄膜層を有する液体を更に含む、実施態様17に記載の眼科装置。
(24) 眼科装置であって、
視覚領域と、前記視覚領域を包囲する周縁領域と、前面と、後面と、を有し、かつ目の上での回転安定性を必要とする、コンタクトレンズと、
前記コンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの動的安定化ゾーンであって、回転を介して、最適な視力のための回転角で前記目の上の前記コンタクトレンズの位置合わせを促進するように構成され、かつ目の温度で変形可能な材料を含み、眼瞼が前記少なくとも1つの動的安定化ゾーンにわたって動くときに変化する、前記少なくとも1つの動的安定化ゾーンとの接触角を眼瞼が作成する、少なくとも1つの動的安定化ゾーンと、
前記周縁領域内の前記前面と前記後面との間で前記コンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの動的流体ゾーンであって、変形可能な材料から形成され、かつ1つ又は2つ以上の開口部を通じて患者の目へ送達するための治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つを含み、瞬きが、前記治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つの移動を引き起こすように、眼瞼と相互作用するように構成される、少なくとも1つの動的流体ゾーンと、
を備える、眼科装置。
(25) 前記矯正レンズが、コンタクトレンズである、実施態様24に記載の眼科装置。
【0070】
(26) 前記コンタクトレンズが、ソフトコンタクトレンズを含む、実施態様25に記載の眼科装置。
(27) 前記コンタクトレンズが、円環状コンタクトレンズを含む、実施態様25に記載の眼科装置。
(28) 眼瞼と前記少なくとも1つの動的安定化ゾーンとの間の前記接触角が瞬き中に増加し、それによって、両眼瞼が相互に実質的に接触するまで前記コンタクトレンズに作用する回転力を増加させ、それによって、前記少なくとも1つの動的安定化ゾーン内の前記変形可能な材料を平らにする、実施態様24に記載の眼科装置。
(29) 前記変形可能な材料が、目の温度で生体適合性の液体を含む、実施態様24に記載の眼科装置。
(30) 前記変形可能な材料が、目の温度で生体適合性のゲルを含む、実施態様24に記載の眼科装置。
【0071】
(31) 前記変形可能な材料が、目の温度で生体適合性の気体を含む、実施態様24に記載の眼科装置。
(32) 前記周縁領域内の前記前面と前記後面との間で前記コンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの第2の動的流体ゾーンを更に備え、前記少なくとも1つの第2の流体動的ゾーンが、前記少なくとも1つの動的流体ゾーンを実質的に包囲し、かつ変形可能な材料を含む、実施態様24に記載の眼科装置。
(33) 前記少なくとも1つの第2の動的流体ゾーンが、瞬き中に眼瞼圧下で、前記少なくとも1つの動的流体ゾーンを圧迫し、それによって、前記治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つを前記少なくとも1つの動的流体ゾーンから前記目の上に押し進めるように構成される、実施態様32に記載の眼科装置。
(34) 前記1つ又は2つ以上の開口部が、一方向の流体流動を可能にするように構成される弁を備える、実施態様33に記載の眼科装置。
(35) 前記少なくとも1つの動的流体ゾーンが、一方向弁を介して相互に連結され、かつ流体連通する、1つ又は2つ以上の周縁貯留層及び中心貯留層を備える、実施態様24に記載の眼科装置。
【0072】
(36) 前記1つ又は2つ以上の周縁貯留層が、瞬き中に眼瞼圧下で圧迫され、それによって、前記治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つを1つの周縁貯留層から別の周縁貯留層へ、そして前記中心貯留層へと押し進めるように構成される、実施態様24に記載の眼科装置。
(37) 前記中心貯留層が、瞬き中に眼瞼圧下で圧迫され、それによって、前記1つ又は2つ以上の周縁貯留層から供給される前記治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つを前記目に押し進めるように構成される、実施態様36に記載の眼科装置。
(38) 前記1つ又は2つ以上の開口部が、前記中心貯留層内に位置付けられ、かつ一方向の流体流動を可能にするように構成される弁を備える、実施態様37に記載の眼科装置。
(39) 眼科装置であって、
視覚領域と、前記視覚領域を包囲する周縁領域と、前面と、後面と、を有し、かつ目の上での回転安定性を必要とする、コンタクトレンズと、
前記コンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの動的安定化ゾーンであって、回転を介して、最適な視力のための回転角で前記目の上の前記コンタクトレンズの位置合わせを促進するように構成され、かつ変形可能な材料を含み、眼瞼が前記少なくとも1つの動的安定化ゾーンにわたって動くときに変化する、前記少なくとも1つの動的安定化ゾーンとの接触角を眼瞼が作成し、美容的に目を改善する材料も含み、瞬きが、前記美容的に目を改善する材料を移動させ、それによって、動的様式で光を反射するように、眼瞼と相互作用するように構成される、少なくとも1つの動的安定化ゾーンと、
を備える、眼科装置。
(40) 前記矯正レンズが、コンタクトレンズである、実施態様39に記載の眼科装置。
【0073】
(41) 前記コンタクトレンズが、ソフトコンタクトレンズを含む、実施態様40に記載の眼科装置。
(42) 前記コンタクトレンズが、円環状コンタクトレンズを含む、実施態様40に記載の眼科装置。
(43) 眼瞼と前記少なくとも1つの動的安定化ゾーンとの間の前記接触角が瞬き中に増加し、それによって、両眼瞼が相互に実質的に接触するまで前記コンタクトレンズに作用する回転力を増加させ、それによって、前記少なくとも1つの動的安定化ゾーン内で前記変形可能な材料を平らにする、実施態様39に記載の眼科装置。
(44) 前記変形可能な材料が、目の温度で生体適合性の液体を含む、実施態様39に記載の眼科装置。
(45) 前記変形可能な材料が、目の温度で生体適合性のゲルを含む、実施態様39に記載の眼科装置。
【0074】
(46) 前記変形可能な材料が、目の温度で生体適合性の気体を含む、実施態様39に記載の眼科装置。
(47) 前記美容的に目を改善する材料が、流体及び粒子を含む、実施態様39に記載の眼科装置。
(48) 前記流体が、シリコーン油を含む、実施態様47に記載の眼科装置。
(49) 前記粒子が、雲母チップ断片を含む、実施態様47に記載の眼科装置。
(50) 前記粒子が、ヘリコーン液晶を含む、実施態様47に記載の眼科装置。
【0075】
(51) 前記流体が、界面活性剤を更に含む、実施態様47に記載の眼科装置。
(52) 前記流体が、油を更に含む、実施態様47に記載の眼科装置。
(53) 前記流体が、上部に少なくとも1つの薄膜層を有する液体を更に含む、実施態様47に記載の眼科装置。
(54) 眼科装置であって、
視覚領域と、前記視覚領域を包囲する周縁領域と、前面と、後面と、を有し、かつ目の上での回転安定性を必要とする、コンタクトレンズと、
前記コンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの動的安定化ゾーンであって、回転を介して、最適な視力のための回転角で前記目の上の前記コンタクトレンズの位置合わせを促進するように構成され、かつ目の温度で変形可能な材料を含み、眼瞼が前記少なくとも1つの動的安定化ゾーンにわたって動くときに変化する、前記少なくとも1つの動的安定化ゾーンとの接触角を眼瞼が作成する、少なくとも1つの動的安定化ゾーンと、
前記周縁領域内の前記前面と前記後面との間で前記コンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの動的流体ゾーンであって、変形可能な材料から形成され、かつ美容的に目を改善する材料を含み、瞬きが、前記美容的に目を改善する材料を移動させ、それによって、動的様式で光を反射するように、眼瞼と相互作用するように構成される、少なくとも1つの動的流体ゾーンと、
を備える、眼科装置。
(55) 前記矯正レンズが、コンタクトレンズである、実施態様54に記載の眼科装置。
【0076】
(56) 前記コンタクトレンズが、ソフトコンタクトレンズを含む、実施態様55に記載の眼科装置。
(57) 前記コンタクトレンズが、円環状コンタクトレンズを含む、実施態様55に記載の眼科装置。
(58) 眼瞼と前記少なくとも1つの動的安定化ゾーンとの間の前記接触角が瞬き中に増加し、それによって、両眼瞼が相互に実質的に接触するまで前記コンタクトレンズに作用する回転力を増加させ、それによって、前記少なくとも1つの動的安定化ゾーン内で前記変形可能な材料を平らにする、実施態様54に記載の眼科装置。
(59) 前記変形可能な材料が、目の温度で生体適合性の液体を含む、実施態様54に記載の眼科装置。
(60) 前記変形可能な材料が、目の温度で生体適合性のゲルを含む、実施態様54に記載の眼科装置。
【0077】
(61) 前記変形可能な材料が、目の温度で生体適合性の気体を含む、実施態様54に記載の眼科装置。
(62) 前記少なくとも1つの動的流体ゾーンが、前記美容的に目を改善する材料用の貯留層を備える、実施態様54に記載の眼科装置。
(63) 前記美容的に目を改善する材料が、流体と、粒子と、を含む、実施態様62に記載の眼科装置。
(64) 前記流体が、シリコーン油を含む、実施態様63に記載の眼科装置。
(65) 前記粒子が、雲母チップ断片を含む、実施態様63に記載の眼科装置。
【0078】
(66) 前記粒子が、ヘリコーン液晶を含む、実施態様63に記載の眼科装置。
(67) 前記流体が、界面活性剤を更に含む、実施態様63に記載の眼科装置。
(68) 前記流体が、油を更に含む、実施態様63に記載の眼科装置。
(69) 前記流体が、上部に少なくとも1つの薄膜層を有する液体を更に含む、実施態様63に記載の眼科装置。
(70) 眼科装置であって、
視覚領域と、前記視覚領域を包囲する周縁領域と、前面と、後面と、を有し、かつ目の上での回転安定性を必要とする、コンタクトレンズと、
前記周縁領域内の前記前面と前記後面との間で前記コンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの動的流体ゾーンであって、変形可能な材料から形成され、かつ1つ又は2つ以上の開口部を通じて患者の目へ送達するための治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つを含み、瞬きが、前記治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つの移動を引き起こすように、眼瞼と相互作用するように構成される、少なくとも1つの動的流体ゾーンと、
前記コンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの動的安定化ゾーンであって、回転を介して、最適な視力のための回転角で前記目の上の前記コンタクトレンズの位置合わせを促進するように構成され、かつ変形可能な材料を含み、眼瞼が前記少なくとも1つの動的安定化ゾーンにわたって動くときに変化する、前記少なくとも1つの動的安定化ゾーンとの接触角を眼瞼が作成し、美容的に目を改善する材料も含み、瞬きが、前記美容的に目を改善する材料を移動させ、それによって、動的様式で光を反射するように、眼瞼と相互作用するように構成される、少なくとも1つの動的安定化ゾーンと、
を備える、眼科装置。
【0079】
(71) 眼科装置であって、
視覚領域と、前記視覚領域を包囲する周縁領域と、前面と、後面と、を有し、かつ目の上での回転安定性を必要とする、コンタクトレンズと、
前記周縁領域内の前記前面と前記後面との間で前記コンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの第1の動的流体ゾーンであって、変形可能な材料から形成され、かつ1つ又は2つ以上の開口部を通じて患者の目へ送達するための治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つを含み、瞬きが、前記治療薬、栄養剤、及び薬理剤のうちの少なくとも1つの移動を引き起こすように、眼瞼と相互作用するように構成される、少なくとも1つの第1の動的流体ゾーンと、
前記周縁領域内の前記前面と前記後面との間で前記コンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの第2の動的流体ゾーンであって、変形可能な材料から形成され、かつ美容的に目を改善する材料を含み、瞬きが、前記美容的に目を改善する材料を移動させ、それによって、動的様式で光を反射するように、眼瞼と相互作用するように構成される、少なくとも1つの第2の動的流体ゾーンと、
前記コンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの動的安定化ゾーンであって、回転を介して、最適な視力のための回転角で前記目の上の前記コンタクトレンズの位置合わせを促進するように構成され、かつ目の温度で変形可能な材料を含み、眼瞼が前記少なくとも1つの動的安定化ゾーンにわたって動くときに変化する前記少なくとも1つの動的安定化ゾーンとの接触角を眼瞼が作成する、少なくとも1つの動的安定化ゾーンと、
を備える、眼科装置。
(72) 眼科装置であって、
視覚領域と、前記視覚領域を包囲する周縁領域と、前面と、後面と、を有する、矯正レンズと、
前記周縁領域内の前記前面と前記後面との間で前記コンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの動的流体ゾーンであって、変形可能な材料から形成され、かつ美容的に目を改善する材料を含み、瞬きが、前記美容的に目を改善する材料を、前記少なくとも1つの動的流体ゾーンを通って、波状様式で移動させるように、上眼瞼と相互作用するように構成される設計特性を含む、少なくとも1つの動的流体ゾーンと、
を備える、眼科装置。
(73) 眼科装置であって、
視覚領域と、前記視覚領域を包囲する周縁領域と、前面と、後面と、を有する、矯正レンズと、
前記周縁領域内の前記前面と前記後面との間で前記コンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの動的流体ゾーンであって、内部で生成された刺激に基づいて光を反射する美容的に目を改善する材料を含む、少なくとも1つの動的流体ゾーンと、
を備える、眼科装置。
(74) 眼科装置であって、
視覚領域と、前記視覚領域を包囲する周縁領域と、前面と、後面と、を有し、かつ目の上での回転安定性を必要とする、コンタクトレンズと、
前記コンタクトレンズに組み込まれる少なくとも1つの動的安定化ゾーンであって、回転を介して、回転非対称の角膜縁輪パターンの最適な設置のための回転角で前記目の上の前記コンタクトレンズの位置合わせを促進するように構成され、かつ変形可能な材料を含み、眼瞼が前記少なくとも1つの動的安定化ゾーンにわたって動くときに変化する前記少なくとも1つの動的安定化ゾーンとの接触角を眼瞼が作成し、美容的に目を改善する材料も含み、瞬きが、前記美容的に目を改善する材料を移動させ、それによって、動的様式で光を反射するように、眼瞼と相互作用するように構成される、少なくとも1つの動的安定化ゾーンと、
を備える、眼科装置。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12A
図12B
図13