特許第6309203号(P6309203)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309203
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】眼科用変倍レンズの方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 3/14 20060101AFI20180402BHJP
   G02C 7/04 20060101ALI20180402BHJP
【FI】
   G02B3/14
   G02C7/04
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-73010(P2013-73010)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-214069(P2013-214069A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2015年11月6日
(31)【優先権主張番号】61/618,031
(32)【優先日】2012年3月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ピュー・ランドール・ビー
(72)【発明者】
【氏名】オッツ・ダニエル・ビー
(72)【発明者】
【氏名】リオール・ジェームズ・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ウーリィ・シー・ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】カーニック・エドワード・アール
(72)【発明者】
【氏名】フリッチュ・フレデリック・エイ
(72)【発明者】
【氏名】アルブラ・アンドレス・エフ
【審査官】 小西 隆
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/033795(WO,A1)
【文献】 特表2013−543597(JP,A)
【文献】 特表2008−546032(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/143554(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0075710(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00 − 13/00
G02B 3/00 − 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学レンズであって、
前方湾曲レンズ及び後方湾曲レンズであって、前記前方湾曲レンズ及び後方湾曲レンズの両方が弓形形状を含み、相互に隣接して位置し、前記前方湾曲レンズと前記後方湾曲レンズとの間に空洞を形成する、前方湾曲レンズ及び後方湾曲レンズと、
前記空洞内の油及び生理食塩水溶液と、
前記空洞に連続した前記前方湾曲レンズ又は前記後方湾曲レンズのうちの一方又は両方の少なくとも一部に施された導電性コーティングと、を含み、
前記油及び前記生理食塩水の特性を変更するために前記導電性コーティングに印加される電荷に基づいて、前記油及び前記生理食塩水が、一連の液体メニスカス境界を提供し、前記一連の液体メニスカス境界が各々、可変光学構造体で同心環状リングを画定する、光学レンズ。
【請求項2】
前記電荷を印加して、エレクトロウェッティング法又は電気泳動法を用いて前記可変光学構造体を変化させるように構成されたコントローラを備える、請求項1に記載の光学レンズ。
【請求項3】
前記電荷が印加されると、前記可変光学構造体が、前記電荷が印加されていない時とは異なる屈折力を提供する、請求項1又は2に記載の光学レンズ。
【請求項4】
前記導電性コーティングの少なくとも一部が、前記空洞の内部区域から前記空洞の外部区域まで延在し、前記空洞の外側の導電性コーティング区域が、前記導電性コーティングに前記電荷を提供する電気端子を形成する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学レンズ。
【請求項5】
前記光学レンズが、前記環状リングの形状を変化させるために前記導電性コーティングに前記電荷を印加するように構成される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学レンズ。
【請求項6】
前記前方湾曲レンズ及び前記後方湾曲レンズのうちの一方又は両方が0以外の屈折力を備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学レンズ。
【請求項7】
前記前方湾曲レンズ及び前記後方湾曲レンズのうちの一方又は両方を通るチャネルと、前記チャネルを充填する導電材料と、を更に備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学レンズ。
【請求項8】
前記チャネル内の前記導電材料と電気的に導通している端子を更に備える、請求項7に記載の光学レンズ。
【請求項9】
前記端子に前記電荷を印加して、前記可変光学構造体の形状を変化させるように構成されたコントローラを備える、請求項8に記載の光学レンズ。
【請求項10】
前記前方湾曲レンズの少なくとも一部に沿って絶縁体コーティングを更に備え、前記絶縁体コーティングが電気絶縁体を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の光学レンズ。
【請求項11】
前記絶縁体がパリレン(登録商標)C(Parylene C)及びテフロン(登録商標)AF(Teflon AF)のうちの1つ又は2つ以上を含む、請求項10に記載の光学レンズ。
【請求項12】
前記絶縁体が、前記導電性コーティングと前記生理食塩水溶液との間の分離を維持するための境界区域を備える、請求項10又は11に記載の光学レンズ。
【請求項13】
透明ではない機能構成要素が最内側同心環状部分に定置される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の光学レンズ。
【請求項14】
前記機能構成要素が前記油を収容するためのリザーバを含む、請求項13に記載の光学レンズ。
【請求項15】
前記後方湾曲レンズが、成形部分を含み、前記成形部分が、前記液体メニスカス境界が接触して移動するメニスカス壁として機能する一連の回折構造体を含む、請求項1に記載の光学レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、一連の同心環状部分を含むことができる弓形眼科用レンズに関する。該同心環状部分は、前方湾曲弓形光学部品画定面と後方湾曲弓形画定面(back curve Arcuate defining surface)との間に可変液体メニスカスを備えて、より薄い眼科用変倍レンズを提供してよい。
【背景技術】
【0002】
液体メニスカスレンズは、様々な産業において周知である。図1A及び1Bを参照しながら以下により詳細に説明されるように、既知の液体メニスカスレンズは、直線である軸線から一定距離にある点により形成される周囲表面によって円柱形状に設計されていた。液体メニスカスレンズの使用の既知の例としては、電子カメラ及び携帯電話装置等の装置が挙げられる。
【0003】
伝統的に、コンタクトレンズ及び眼内レンズ等眼科用装置は、矯正機能、美容機能、又は治療機能を備える1つ以上の生体適合性装置を含む。例えば、コンタクトレンズは、視力矯正機能、美容効果、及び治療効果のうちの1つ又は2つ以上を提供することができる。それぞれの機能は、レンズの物理的特性によって提供される。例えば、レンズに屈折能を組み込む設計は視力矯正機能を提供でき、レンズに組み込まれた色素は美容効果を提供でき、レンズに組み込まれた活性剤は治療機能を提供できる。
【0004】
コンタクトレンズの一例には、単一のメニスカス壁と、レンズ内に収容される液体の引力及び斥力のうちの一方又は両方をもたらし、別の液体とのメニスカス壁を形成する物理的特色と、を備える、弓形液体メニスカスレンズが挙げられる。かかるレンズは、第2の光学部品に隣接する第1の光学部品と、それらの間に形成される空洞と、を含む。生理食塩水溶液及び油は、空洞内に維持される。第1の光学部品及び第2の光学部品のうちの一方又は両方の周囲区域に一般に位置するメニスカス壁に電荷を印加することにより、空洞内に維持された生理食塩水溶液と油との間に形成されるメニスカスの物理的形状が変化し、それによってレンズの出力が変化する。しかし、これらの設計の幾つかは、一部の用途において制約を受けることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、視力矯正のために回折可変光学構造体及び屈折可変光学構造体の両方の利点を活用できる、更なる眼科用レンズの設計が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によると、
前方湾曲レンズ及び後方湾曲レンズであって、その両方が弓形形状を含み、相互に隣接して位置し、それらの間に空洞を形成する、前方湾曲レンズ及び後方湾曲レンズと、
空洞内のある容積の油及びある容積の生理食塩水溶液と、
空洞に連続した該前方湾曲レンズ又は該後方湾曲レンズのうちの一方又は両方の少なくとも一部に施された導電性コーティングと、を含み、
油及び生理食塩水の特性を変更するために導電性コーティングに印加される電荷に基づいて、油及び生理食塩水溶液中の同心環状部分から可変光学構造体を形成するように構成されている、光学レンズが提供される。
【0007】
したがって、眼科用レンズ、例えばコンタクトレンズ又は眼内レンズへの包含を促進する物理的特色及び化学的特色を備える眼科用変倍レンズが提供される。より具体的には、眼科用レンズは、回折可変光学構造体及び屈折可変光学構造体の両方の特性を活用できる。
【0008】
第1の弓形光学部品画定面及び第2の弓形光学部品画定面のうちの一方又は両方の少なくとも1つの所定の領域に電荷を印加すると、別個の工程において、一連の光学同心環状部分の物理的形状を形成又は変更できる。該光学同心環状部分は、例えば、エレクトロウェッティング法又は電気泳動法等の技術によって電流を用いて形成又は変更して、空洞内に維持される生理食塩水溶液と油との間に液体メニスカスを画成できる。
【0009】
液体メニスカスの物理的変化は、予め定められ得るように光学構造体を形成又は変化させて、それによって焦点距離を変化させることができ、より薄い弓形眼科用レンズを実現できる、可変光学特性を提供してよい。様々な状態において回折可変光学構造体及び屈折可変光学構造体の一方又は両方を提供するように反応する該弓形眼科用レンズ。
【0010】
光学レンズが、電荷を印加して、エレクトロウェッティング法又は電気泳動法を用いて可変光学構造体を変化させるように構成されたコントローラを備える場合がある。
【0011】
可変光学構造体が、別個の工程において可変屈折力を提供することができる。
【0012】
油の容積は、生理食塩水溶液の量と比較すると、空洞の容積の65%〜90%を構成してよい。油は、生理食塩水溶液の密度の約5%以内の密度を構成してよい。
【0013】
導電性コーティングの少なくとも一部が、空洞の内側区域から空洞の外側区域まで延在してよい。空洞の外側の導電性コーティング区域が、導電性コーティングに電荷を提供する電気端子を形成してよい。
【0014】
レンズは、生理食塩水溶液及び油を同心環状リングの一連のメニスカスに形成し、環状リングの形状を変化させるために導電性コーティングに電荷を印加するように構成されてよい。
【0015】
電荷は、直流を構成することができる。電荷は、3.5〜22ボルトを含んでよい。
【0016】
前方湾曲レンズ及び後方湾曲レンズのうちの一方又は両方が0以外の屈折力を備えてよい。
【0017】
光学レンズが、前方湾曲レンズ及び前記後方湾曲レンズのうちの一方又は両方を通るチャネルと、このチャネルを充填する導電材料と、を更に備えてよい。光学レンズが、チャネル内の導電材料と電気的に導通する端子を更に備えてよい。
【0018】
光学レンズが、この端子に電荷を印加して、液体メニスカスの回折構造体の形状を変化させるように構成されたコントローラを備えてよい。
【0019】
光学レンズが、前方湾曲レンズの少なくとも一部に沿って絶縁体コーティングを更に備えてよく、この絶縁体コーティングは電気絶縁体を含む。絶縁体は、Parylene C及びTeflon AFのうちの1つ以上を含んでよい。絶縁体が、導電性コーティングと、前方湾曲レンズと後方湾曲レンズとの間の空洞に収容される生理食塩水溶液との間の分離を維持するための境界区域を備えてよい。
【0020】
透明ではない機能構成要素が最内側同心環状部分内に定置される。機能構成要素が液体用リザーバを含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A】第1の状態の円柱形液体メニスカスレンズの一例を示す。
図1B】第2の状態の図1Aの円柱形液体メニスカスレンズを示す。
図2A】エネルギー印加状態の例示の眼科用レンズの断面図を示す。
図2B】エネルギー切断状態の図2Aの眼科用レンズの断面図を示す。
図3A】エネルギー印加状態の別の例示の眼科用レンズの断面図を示す。
図3B】エネルギー切断状態の図3Aの眼科用レンズの断面図を示す。
図4】2A〜3Bに示したレンズの例示の平面図を示す。
図5】実施され得る方法の工程を示す。
図6】コントローラを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示は、コンタクトレンズ又は眼内レンズへの包含を促進する物理的特色及び化学的特色を備える眼科用レンズに関する。以下の各項では、本発明の実施形態のより詳細な説明を与える。好ましい実施形態及び代替の実施形態の両方の説明は、例示的実施形態に過ぎず、変形、修正、及び代替が当業者にとって明白であり得ることが理解される。したがって、例示的な実施形態は、特許請求の範囲によって定義される、基礎となる発明の態様の幅を限定しないことが理解される。
【0023】
用語
本発明を対象とする本説明文及び特許請求の範囲においては様々な用語が使用され得るが、これらには以下の定義が適用される。
【0024】
本明細書で使用するとき、「弓形」は、弓形状のような曲線又は屈曲を指す。
【0025】
本明細書で使用するとき、「同心環状部分」は、共通の中心を有する、1つ以上の形成されたリング状又はらせん状の光学構造体を指す。例えば、眼科用レンズの出力及び収差を変化させる回折レンズをもたらし得る、眼科用レンズの光学領域内の一連のリング状部分である。
【0026】
本明細書で使用するとき、「接触角」は、油/生理食塩水溶液の境界面(液体メニスカス境界とも呼ばれる)がメニスカス壁と交わる角度を指す。線状のメニスカス壁の場合、接触角は、メニスカス壁と、液体メニスカス境界がメニスカス壁と接触する点で液体メニスカス境界に接する線との間の角度として測定される。湾曲メニスカス壁の場合、接触角は、メニスカス壁に接する線とそれらが接触する点で液体メニスカス境界との間の角度として測定される。
【0027】
本明細書で使用するとき、「エネルギー印加」は、電流を供給することが可能であるか、又は電気エネルギーを内部に蓄積させることが可能である状態を指す。
【0028】
本明細書で使用するとき、「エネルギー」は、物理的システムが機能する能力、例えば、機能を果たす際に電気的作用を果たす能力を指す。
【0029】
本明細書で使用するとき、「エネルギー源」は、エネルギーを供給することができるか、又は生体医学的装置をエネルギー印加状態に置くことができる装置を指す。
【0030】
本明細書で使用するとき、「レンズ」は、放射線(例として、可視光等)の波長の所定の範囲に対して光学的に透過的である、前面と後面とを備えた物品を指す。レンズは、本質的に平坦な前面及び後面の一方若しくは両方、又は弓形状の前面及び後面の一方若しくは両方を含み得る。例えば「レンズ」なる用語は、コンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼用インサート、光学インサート、又は視力を矯正若しくは調節するか、又は視力を妨げることなく目の生理機能を美容的に向上させる(例えば虹彩色)他の同様の装置のことを指し得る。
【0031】
本明細書で使用するとき、「レンズの空洞」は、油及び生理食塩水溶液が維持される、前方湾曲画定面と後方湾曲画定面との間の弓形液体メニスカスレンズの空間を指す。
【0032】
本明細書で使用するとき、「液体メニスカス境界」は、生理食塩水溶液と油との間の1つ以上の弓形境界面を指す。例えば、この表面は、片面が凹状であり、もう片面が凸状である1つ以上のレンズを形成できる。
【0033】
本明細書で使用するとき、「リチウムイオンセル」は、セル内を移動するリチウムイオンが電気的エネルギーを生成する、電気化学セルを指す。典型的には電池とよばれるこの電気化学セルが、その通常の状態に再エネルギー印加又は再充電され得る。
【0034】
本明細書で使用するとき、「媒体挿入物」は、眼科用レンズ内のエネルギー源を支持できる成形可能、又は剛性の基材を指す。媒体挿入物は、1つ以上の可変眼科用レンズを含んでもよい。
【0035】
本明細書で使用するとき、「メニスカス壁」は、メニスカス空洞内にあり、それに沿って液体メニスカス境界が移動する、前方湾曲レンズの内側の特定区域を指す。
【0036】
本明細書で使用するとき、「成形型」は、回折構造体の物理的特性の画定を支援するように形成されてよい、剛性又は半剛性の物体を指す。成形型は、レンズの前方湾曲画定面又は後方湾曲画定面のうちの一方又は両方であってもよい。
【0037】
本明細書で使用するとき、「光学ゾーン」は、レンズのユーザーがそこを通して見る、レンズの区域を指す。例えば、眼科用レンズの着用者がそこを通して見る、眼科用レンズ内の区域である。
【0038】
本明細書で使用するとき、「出力」は、単位時間当たりに行われる作業量、又は移送されるエネルギーを指す。
【0039】
本明細書で使用するとき、「再充電可能」又は「エネルギー再印加可能」は、仕事を行うためのより高い能力を有する状態へと回復するための能力を指す。多くの場合、一定の、再確定された時間において、電流を流す能力を回復するための能力に関連し得る。
【0040】
本明細書で使用するとき、「エネルギー再印加」又は「再充電」とは、仕事を行うためのより高い能力を有する状態までエネルギー源を回復するための能力を指す。多くの場合、一定の、再確定された時間において、一定の速度で電流を流す能力まで装置を回復させる能力に関連し得る。
【0041】
本明細書で使用するとき、「鋭角部」は、光学部品上の所定の2つの流体の接触線の位置を含むのに十分な、前方湾曲レンズ画定面又は後方湾曲レンズ画定面のいずれかの内側面の幾何学的特徴を指す。鋭角部は通常、内角よりむしろ外角である。流体の観点から、鋭角部は180°を超える角度であり得る。
【0042】
本明細書で使用するとき、「基材」は、他の構成要素がその上に定置される又は形成される、物理的構成要素を指す。
【0043】
本明細書で使用するとき、「可変光学部品」は、例えば、レンズの光学構造体等の光学品質を変更する能力を指す。
【0044】
眼科用装置は、レンズの空洞を提供する、前方湾曲画定面及び後方湾曲画定面のうちの少なくとも1つが備わっていてよく、一連の同心環状部分が形成、変更、又は維持されることができ、それによって物理的特性を変更可能な光学構造体をもたらす。同心環状部分の物理的特性及び眼科用レンズの全体形状は、屈折特性及び回折特性の両方を備える、改善された眼科用レンズを提供するように設計され、内部制御されてよい。
【0045】
ここで図1Aを参照すると、シリンダ110内に収容される油101及び生理食塩水溶液102を有するレンズ100の断面図が示される。シリンダ110は、2つの光学材料106のプレートを含む。それぞれのプレート106は、平坦な内面113〜114を含む。シリンダ110は、本質的に回転対称である内面を含む。1つ以上の表面は、疎水性コーティング103を含んでよい。電極105も、シリンダの周囲上又はその周りに含まれる。電気絶縁体104も、電極105に隣接して使用されてよい。
【0046】
内面113〜114のそれぞれは、本質的に平坦又は平面的である。境界面112Aは、食塩水102と油101との間に画定される。図1Aに図示するように、境界面112Aの形状は、生理食塩水溶液102及び油101の屈折率特性と相まって、第1の内面113を通る入射光108を受容し、油の屈折率が食塩水の屈折よりも大きい場合は、第2の内面114を通して発散光をもたらす。油101と食塩水溶液102との間の境界面の形状は、電極105に電流を印加することにより変化され得る。
【0047】
100Aでは、レンズ100の斜視図が示される。
【0048】
ここで図1Bを参照すると、レンズ100は、エネルギー印加状態で示される。エネルギー印加状態は、電極105に電圧V114を印加することにより達成される。油101と食塩水溶液102Bとの間の境界面112Bの形状は、電極105に電流を印加することにより変化される。図1Bに図示されるように、油101及び食塩水溶液102Bを通過する入射光108Bは、収束光パターン111に合焦される。
【0049】
概ね弓形形状の一部のレンズでは、メニスカス壁の操作、1つ以上のメニスカス壁の1つ以上の鋭角部の使用、出力制御等により、液体メニスカスの物理的特性を変更及び制御できる。本明細書は、開示される制御パラメーター及び設計の利点を活用することにより、著しくより薄い、及び/又はより強力な、今までにないレンズについて記載される。
【0050】
より薄い眼科用レンズは、放射状サイズを増減させながら放射状に繰り返す構造体に形成されて、回折光学素子又は回折レンズを形成する液体メニスカスによって形成される、内部制御された一連の同心環状部分を使用することによってもたらされる。回折レンズの特徴は、集束力が薄型構造、約λ/Δnである構造体の全高(λは光の波長(〜550nm)であり、Δnは境界面全域における屈折率の変化)によって得ることができる点である。
【0051】
ここで図2Aを参照すると、例示の眼科用レンズの断面図がエネルギー印加状態で示される。200では、前方湾曲画定面201と、後方湾曲画定面202と、を備える弓形レンズの断面図が示される。該前方湾曲画定面及び後方湾曲画定面のそれぞれは、少なくとも部分的に光に対して透過的である剛性光学材料で作製されてよい。前方湾曲レンズ201及び後方湾曲レンズ202は、相互に隣接して位置し、それらの間に空洞210を形成してよい。
【0052】
後方湾曲レンズ202は、凸状弓形内側レンズ表面203と、凹状弓形外側レンズ表面204と、を含んでよい。凸状弓形レンズ表面203は、1つ以上のコーティング(図2Aに図示せず)を有することができる。コーティングは、例えば、導電性の材料又は電気的に絶縁性の材料、疎水性材料又は親水性材料のうちの1つ以上を含むことができる。弓形レンズ表面203及びコーティングのうちの一方又は両方は、空洞210内に収容される油208と液体的及び光学的に連通していてよい。
【0053】
前方湾曲光学部品画定面201は、凹状弓形内側レンズ表面205と、凸状弓形外側レンズ表面206と、を含んでよい。凹状弓形レンズ表面205は、1つ以上のコーティング(図2に図示せず)を有することができる。コーティングは、例えば、導電性の材料又は電気的に絶縁性の材料、疎水性材料又は親水性材料のうちの1つ以上を含むことができる。凹状弓形レンズ表面205及びコーティングのうちの少なくとも1つは、空洞210内に収容される食塩水溶液207と液体的及び光学的に連通している。生理食塩水溶液207は、1つ以上の塩、又は導電性であり、したがってエレクトロウェッティング法又は電気泳動法を用いて電荷による吸引又は反発のいずれかが実行され得る他の成分を含むことができる。
【0054】
レンズはエネルギー印加されてよく、したがって、前方湾曲レンズ201及び後方湾曲レンズ202のうちの一方又は両方の周辺部の少なくとも一部に沿って配置されてよい導電性コーティング209を更に備えることができる。導電性のコーティング209は、金又は銀を含むことができ、好ましくは生体適合性である。導電性コーティング209に電荷を印加すると、予め設定され得るように、接触角の変化又は生理食塩水溶液中の導電性塩若しくは他の構成要素の吸引若しくは反発のいずれかを生じさせてよい。
【0055】
前方湾曲レンズ201及び後方湾曲レンズ202は、弓形内側レンズ表面及び弓形外側レンズ表面203〜206のいずれか又は両方を通して屈折する光に対して屈折力を有してよい。屈折力は、0ジオプターであるか、又は正若しくは負の出力であってよい。屈折力は、非限定的な例として、−8.0〜+8.0ジオプターの出力等の矯正コンタクトレンズに典型的に見られる出力であってよい。
【0056】
更に、図2Aに示すようにレンズがエネルギー印加される場合、予め設定されるように、液体メニスカスの同心環状部分が形成されて追加の物理的な回折特性が形成されてよい。これにより、レンズの光学ゾーンが、別個の工程において可変光学部品として機能できるようになってよい。
【0057】
したがって、レンズの屈折力は、各画定面の湾曲角と装置及び生理食塩水/油の画定面の屈折率、接触角とレンズの空洞中の生理食塩水及び油の化学的特性、電気コーティングを含む領域に印加される電圧、並びにレンズの所定の同心環状部分の物理的特性等の設計パラメーターによって制御されてよい。
【0058】
回折レンズは、入射光を複数のオーダーに回折する。各オーダーは、異なる出力を有する。様々なオーダーへの回折効率は、各同心環状部分内の構造体の形状によって制御され、装置がエネルギー印加(回折レンズが「オン」)状態にある場合、対象の出力に高い回折効率をもたらす。
【0059】
幾つかの回折構成では、レンズの中心である最内側同心環状部分は、瞳孔と位置合わせされてよい。この小さい中央瞳孔内のレンズの被写界深度が大きいため、最内側同心環状部分のいずれの構造体も、レンズの光学的特性に劇的な悪影響を及ぼさないであろう。したがって、油208用の一体型リザーバ211は、電子部品/電源212と共に、ユーザーの視力に著しい影響を与えないであろう、その場所及び眼科用装置の縁部に沿って定置されてよい。
【0060】
ここで図2Bを参照すると、図2Aに示す断面図がエネルギー切断状態で図示される。この状態では、液体メニスカスの回折構造体は存在せず、これによって、エネルギー印加状態とは異なる出力(すなわち、物理的な回折特性の出力)を提供する。油208は、上述のように油リザーバ211に収容されてよい。生理食塩水は画定面に合わせて屈折率を調整してよく、エネルギー切断時には、弓形形状及び光学レンズ材料の所望の屈折力をもたらす。油をリザーバ211へ流すことができる、エネルギー印加チャネル213を通って油を流してよい。したがって、エネルギー印加チャネル213は、電力並びに生理食塩水207及び/又は油208の電気化学特性に応じてポンプ装置として機能する。
【0061】
該レンズ画定面201、202のうちの一方又は両方は、導電体を備える光学品質成形領域を含み、予め設定されるように、油及び生理食塩水の特性を変更してよい。成形部品、画定面の材料、生理食塩水及び油、より具体的には、それぞれの屈折率及び接触角の様々なバリエーションは、油をリザーバに移動させる必要なく、屈折特性及び回折特性を備える可変屈折力レンズの作製が可能になり得る。
【0062】
ここで図3Aを参照すると、エネルギー印加状態の、成形光学部品画定面を用いる別の例示の眼科用レンズの断面図が示される。レンズの後方湾曲光学部品画定面305は、レンズにエネルギーを印加していない場合(図3Bに示す)、レンズの空洞内の様々な部分に相当量の油303を含んでよい成形部分302を少なくとも備える。油303は、成形部分302に合わせた屈折率を調整してよく、成形部分302の回折光学構造体307を被覆してよい。レンズの回折を生じさせる光学的性質は受動的であり、効果を有さなくてよい(成形画定面は、追加的に又は選択的に前側画定面306、又は後方画定面305及び前側画定面306の両方を含んでよい)。更に、成形部分302は、エレクトロウェッティング法又は電気泳動法を実施するための電流導体を支持できるメニスカス壁として更に機能してよい、一連の回折構造体307を含むことができる。
【0063】
この壁にエネルギーを印加して、油303の容積に回折構造体307(例えば図3Aの成形部302に示す頂点)を被覆させてよい。更に、当業者に明白であるように、レンズに沿った回折構造体の間隔を互いに近くして、より効率性の高いレンズ、すなわち、より高い出力及び収差補正を設計してよい。生理食塩水溶液304及び成形部分302は異なる屈折率を持つことができるため、エネルギー切断状態の図3Bに示すように、回折特性が生理食塩水溶液304に曝される場合、光は、予め設定されたように回折されるであろう。このエネルギー切断状態(de-energized estate)では、回折構造体307は被覆されていない。被覆されていない場合、これらの部分において屈折率が変化することによって、屈折特性及び回折特性の両方をもたらすことができるレンズが提供される。
【0064】
図3A及び図3Bに示すように、エネルギー印加時又はエネルギー切断時に、用いられる生理食塩水溶液304は油303によって移動させられてよい。ユーザーの視力が著しい影響を受けないであろうレンズの外径(縁部)301には、集積回路、センサー、バッテリ、及び他の非光学構成要素が含まれてよい。
【0065】
ここで図4を参照すると、図2A図3Bに示したレンズの例示の平面図が示される。401では、レンズの縁部を示す。402では、電子装置、ポンプ、リザーバ、及び任意のレンズの非光学的構成要素が、ユーザーの視力に著しい影響を与えることなく定置されてよい、レンズの外縁部を示す。403〜405では、エネルギーを印加する回折構造体に用いられる導電材料の例示の同心パターンを示す。
【0066】
このパターンは、各レンズ又指定領域の電圧を所望され得るように制御するために重要となり得る。例えば、所定の領域へのエネルギー印加により形成される液体メニスカスを回折構造体が備える場合、フレネルレンズに似せて、その屈折特性を得るために、全ての回折構造体を位置合わせしてよい。これを達成する1つの方法は、ピン留め効果及び各所定の領域に向けられる電流量を考慮することである。したがって、一部の所定の領域は、特定の収差を矯正する/最適な屈折力を提供するように設計され得るように油の追加容積を提供して、回折構造体を形成するために、より多くの電力を必要としてよい。その結果、電荷が同心円内を中心へと移動して次第に減少し、油のメニスカスの高さを揃えるように、電荷が印加されてよい。
【0067】
図2A及び2Bに示すようなレンズでは、レンズの中心部分405はリザーバとして用いられてよい。バリエーションは可能であり、レンズの所望の設計に依拠する。しかし、本開示を読んだ当業者には、フレネルレンズに似た回折光学構造体を形成及び/又は制御することにより、可変光学構造体を備える機能レンズを設計できることが明白である。更に、可変屈折力レンズは、その設計にコントローラと電源とを組み込んで、プロセスにおいて独立するようにしてよい。
【0068】
任意の既知のレンズ材料、又はそのようなレンズの製造に好適な材料から製造されるハード又はソフトコンタクトレンズを提供し得るが、好ましくは、本発明のレンズは、約0〜約90パーセントの含水量を有する、ソフトコンタクトレンズである。更に好ましくは、レンズは、モノマー含有ヒドロキシ基、カルボキシル基、又はこれらの両方から製造される、若しくは、シロキサン、ヒドロゲル、シリコーンヒドロゲル、及びこれらの組み合わせ等のシリコーン含有ポリマーから製造される。レンズを形成するのに有用な材料は、重合開始剤等の添加剤に加えて、マクロマー、モノマー、及びこれらの組み合わせの混合物を反応させることによって製造し得る。好適な材料は、シリコーンマクロマー及び親水性モノマーから製造されるシリコーンヒドロゲルを含むが、これらに限定されない。
【0069】
ここで図5を参照すると、実施され得る方法の工程が図示される。これらの方法の工程は、本説明における論理的順序で記載されている。しかし、この順序は、具体的に記載しない限り、決してこれらが実施され得る順序を制限するものではない。
【0070】
501では、上述のように可変視覚部分は眼科用レンズ内に定置される。502では、可変視覚部分は、エネルギー源と電気的に導通するように定置される。電気的導通は、例えば、可変視覚部分に組み込まれた回路により、又はレンズ材料に直接インクジェット、又は他の方法で形成された通路により、達成され得る。
【0071】
503では、電気エネルギーがレンズの可変視覚部分の所定の区分を通過するように向けられる。エネルギーは、例えば、電荷を伝導することができる電気回路によって向けることができる。504では、可変光学部品がレンズの少なくとも1つの光学品質構造体を前述のように変更して、別個の工程において異なる屈折力を提供できる。
【0072】
ここで図6を参照すると、コントローラ600が示される。コントローラ600はプロセッサ610を含むが、このプロセッサは、通信装置620に結合した1つ以上のプロセッサ構成要素を含み得る。コントローラ600を用いて、眼科用レンズ内に定置されたエネルギー源にエネルギーを伝送することができる。
【0073】
コントローラは、通信チャネルを介してエネルギーを通信するように構成された通信装置に結合した1つ以上のプロセッサを含むことができる。通信装置は、可変部品挿入物の眼科用レンズ内への定置、及び可変光学装置を操作するための命令の伝送の1つ以上を電子的に制御するために使用され得る。
【0074】
通信装置620を使用することによってまた、例えば、1つ以上のコントローラ装置又は製造機器構成要素と通信してもよい。
【0075】
プロセッサ610は、記憶装置630とも通信する。記憶装置630は、磁気記憶装置、光学式記憶装置、並びに/又はランダムアクセスメモリ(RAM)装置及びリードオンリーメモリ(ROM)装置等の半導体記憶装置を含む、任意の適切な情報記憶装置を備え得る。
【0076】
記憶装置630は、プロセッサ610を制御するためのプログラム640を格納することができる。プロセッサ610は、プログラム640の命令を実行する。例えば、プロセッサ610は、可変視覚挿入物の配置、処理装置の配置などのようなものを記述する情報を受信し得る。記憶装置630はまた、1つ以上のデータベース650、660内の眼科関連データを記憶することもできる。データベース650、660は、可変眼科用レンズへのエネルギー、又は可変眼科用レンズからのエネルギーを制御するための特定の制御論理を含み得る。
【0077】
結論
本発明は、請求項に記載の光学レンズを提供する。可変光学構造体は様々であり、予め定められ得るように回折特性及び/又は屈折特性を提供してよい。
【0078】
次の非包括的なリストは、本発明の態様である。
【0079】
態様1.光学レンズであって、
前方湾曲光学部品画定表面と、
後方湾曲レンズ内面と、後方湾曲レンズ外面と、を備える後方湾曲光学部品画定表面であって、両方の該光学部品画定表面が弓形形状を備え、相互に隣接して位置し、それらの間に空洞を形成する、後方湾曲光学部品画定表面と、
空洞に連続した該前方湾曲画定面又は該後方湾曲画定面のうちの一方又は両方の少なくとも一部に施された導電性コーティングと、ある容積の油と、ある容積の生理食塩水溶液と、を含む空洞と、を備え、
油及び生理食塩水が、油、生理食塩水及び印加電荷の特性を変更するために用いられる印加電荷に基づいて、可変光学構造体を備える内部制御された同心環状部分を形成できる、光学レンズ。
【0080】
態様2.エレクトロウェッティング法を用いてレンズの光学構造体を変更するために電荷が印加される、態様1に記載の光学レンズ。
【0081】
態様3.電気泳動法を用いてレンズの光学構造体を変更するために電荷が印加される、態様1に記載の光学レンズ。
【0082】
態様4.可変光学構造体が、個別の工程において可変屈折力を備えるレンズを提供できる、態様1に記載の光学レンズ。
【0083】
態様5.油の容積が、生理食塩水溶液の量と比較して、容積の65%〜90%を構成する、態様1に記載の光学レンズ。
【0084】
態様6.油の容積が、生理食塩水溶液の密度の約5%以内の密度を構成する、態様1に記載の光学レンズ。
【0085】
態様7.導電性コーティングの少なくとも一部が、空洞の内側区域から空洞の外側区域まで延在する、態様1に記載の光学レンズ。
【0086】
態様8.空洞の外側の導電性コーティング区域が、液体メニスカスレンズ回折構造体に電荷を提供するための電気端子を形成する、態様7に記載の光学レンズ。
【0087】
態様9.生理食塩水溶液及び油が同心環状リング内に一連のメニスカスを形成し、空洞の外側の導電性コーティング区域への電荷の印加が、環状リングの形状を変化させる、態様8に記載の光学レンズ。
【0088】
態様10.電荷が直流を構成する、態様1に記載の光学レンズ。
【0089】
態様11.電荷が3.5〜22ボルトを含む、態様8に記載の光学レンズ。
【0090】
態様12.前方湾曲画定面が0以外の屈折力を備える、態様1に記載の光学レンズ。
【0091】
態様13.後方湾曲画定面が0以外の屈折力を備える、態様1に記載の光学レンズ。
【0092】
態様14.前方湾曲レンズ及び後方湾曲画定表面のうちの一方又は両方を通るチャネルと、チャネルを充填する導電材料と、を更に備える、態様1に記載の光学レンズ。
【0093】
態様15.チャネル内の導電材料を更に備える、態様14に記載の光学レンズ。
【0094】
態様16.チャネル内の導電材料と電気的に導通している端子を更に備える、態様15に記載の光学レンズ。
【0095】
態様17.端子に電荷を印加して、液体メニスカスの回折構造体の形状を変化させる、態様16に記載の光学レンズ。
【0096】
態様18.前方湾曲画定面の少なくとも一部に沿って絶縁体コーティングを更に備え、絶縁体コーティングが電気絶縁体を含む、態様1に記載の光学レンズ。
【0097】
態様19.絶縁体がParylene Cの1つを含む、態様18に記載の光学画定面。
【0098】
態様20.絶縁体がTeflon AFを含む、態様19に記載の光学画定面。
【0099】
態様21.絶縁体が、導電性コーティングと、前方湾曲レンズと後方湾曲レンズとの間の空洞に収容される食塩水溶液との間の分離を維持するための境界区域を備える、態様18に記載の光学レンズ。
【0100】
態様22.最内同心環状部分が、透明ではない機能構成要素を定置するために用いることができる、態様1に記載の眼科用レンズ。
【0101】
態様23.機能構成要素が液体用リザーバを含む、態様22に記載の眼科用レンズ。
【0102】
〔実施の態様〕
(1) 光学レンズであって、
前方湾曲レンズ及び後方湾曲レンズであって、その両方が弓形形状を含み、相互に隣接して位置し、それらの間に空洞を形成する、前方湾曲レンズ及び後方湾曲レンズと、
前記空洞内のある容積の油及びある容積の生理食塩水溶液と、
前記空洞に連続した前記前方湾曲レンズ又は前記後方湾曲レンズのうちの一方又は両方の少なくとも一部に施された導電性コーティングと、を含み、
前記油及び前記生理食塩水の特性を変更するために前記導電性コーティングに印加される電荷に基づいて、前記油及び前記生理食塩水溶液中の同心環状部分から可変光学構造体を形成するように構成されている、光学レンズ。
(2) 前記電荷を印加して、エレクトロウェッティング法又は電気泳動法を用いて前記可変光学構造体を変化させるように構成されたコントローラを備える、実施態様1に記載の光学レンズ。
(3) 前記可変光学構造体が、別個の工程において可変屈折力を提供する、実施態様1又は2に記載の光学レンズ。
(4) 前記導電性コーティングの少なくとも一部が、前記空洞の内部区域から前記空洞の外部区域まで延在し、前記空洞の外側の導電性コーティング区域が、前記導電性コーティングに前記電荷を提供する電気端子を形成する、実施態様1〜3のいずれかに記載の光学レンズ。
(5) 前記レンズが、前記生理食塩水溶液及び前記油を同心環状リングの一連のメニスカスに形成し、前記環状リングの形状を変化させるために前記導電性コーティングに前記電荷を印加するように構成される、実施態様1〜4のいずれかに記載の光学レンズ。
【0103】
(6) 前記前方湾曲レンズ及び前記後方湾曲レンズのうちの一方又は両方が0以外の屈折力を備える、実施態様1〜5のいずれかに記載の光学レンズ。
(7) 前記前方湾曲レンズ及び前記後方湾曲レンズのうちの一方又は両方を通るチャネルと、前記チャネルを充填する導電材料と、を更に備える、実施態様1〜6のいずれかに記載の光学レンズ。
(8) 前記チャネル内の前記導電材料と電気的に導通している端子を更に備える、実施態様7に記載の光学レンズ。
(9) 前記端子に前記電荷を印加して、前記液体メニスカスの回折構造体の形状を変化させるように構成されたコントローラを備える、実施態様8に記載の光学レンズ。
(10) 前記前方湾曲レンズの少なくとも一部に沿って絶縁体コーティングを更に備え、前記絶縁体コーティングが電気絶縁体を含む、実施態様1〜9のいずれかに記載の光学レンズ。
【0104】
(11) 前記絶縁体がパリレン(登録商標)C(Parylene C)及びテフロン(登録商標)AF(Teflon AF)のうちの1つ又は2つ以上を含む、実施態様10に記載の光学画定面。
(12) 前記絶縁体が、前記導電性コーティングと、前記前方湾曲レンズと前記後方湾曲レンズとの間の前記空洞に収容される前記生理食塩水溶液との間の分離を維持するための境界区域を備える、実施態様10又は11に記載の光学レンズ。
(13) 透明ではない機能構成要素が最内側同心環状部分に定置される、実施態様1〜12のいずれかに記載の眼科用レンズ。
(14) 前記機能構成要素が液体用リザーバを含む、実施態様13に記載の眼科用レンズ。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6