特許第6309208号(P6309208)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6309208積層セラミック電子部品及びこの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309208
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】積層セラミック電子部品及びこの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/232 20060101AFI20180402BHJP
   H01G 4/12 20060101ALI20180402BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20180402BHJP
【FI】
   H01G4/12 361
   H01G4/12 352
   H01G4/12 364
   H01G4/30 301C
   H01G4/30 311D
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-110616(P2013-110616)
(22)【出願日】2013年5月27日
(65)【公開番号】特開2014-183305(P2014-183305A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2015年12月14日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0029355
(32)【優先日】2013年3月19日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ビュン・クォン
(72)【発明者】
【氏名】イ・ミン・ゴン
【審査官】 小池 秀介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−135065(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/072448(WO,A1)
【文献】 特開平11−026285(JP,A)
【文献】 特開平10−189383(JP,A)
【文献】 特開平11−054364(JP,A)
【文献】 特開2009−224503(JP,A)
【文献】 特開平04−170016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G4/00−4/015
4/02−4/224
4/232
4/255−4/40
13/00−17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層を含むセラミック本体と、
前記セラミック本体内において前記誘電体層を介して対向するように配置される第1及び第2内部電極と、
前記セラミック本体の外側に形成され、第1及び第2内部電極と電気的に連結された第1及び第2外部電極と、を含み、
前記第1内部電極及び第2内部電極はセラミック本体の両端面に露出し、前記第1内部電極は、前記セラミック本体の一側端面から長さ方向内部に向かって形成された第1酸化層及び前記第1酸化層に隣接形成され、第1内部電極に含まれる金属よりイオン化傾向が大きい金属をさらに含むか、前記第1内部電極に含まれる金属より容易に酸化する固溶体状の金属をさらに含む第1中間層を含み、前記第2内部電極は、前記セラミック本体の他側端面から長さ方向内部に向かって形成された第2酸化層及び前記第2酸化層に隣接形成され、第2内部電極に含まれる金属よりイオン化傾向が大きい金属をさらに含むか、前記第2内部電極に含まれる金属より容易に酸化する固溶体状の金属をさらに含む第2中間層を含み、前記第1及び第2内部電極は、ニッケル(Ni)を含み、前記第1中間層及び第2中間層は、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マグネシウム(Mg)、及びマンガン(Mn)からなる群より選択された一つ以上を含む、積層セラミック電子部品。
【請求項2】
前記第1酸化層及び第2酸化層のうち少なくとも一つの長さLaは、前記セラミック本体の両端面のうち少なくとも一面から長さ方向内部に向かって5〜30μmを満たす、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項3】
前記セラミック本体の両端面のうち少なくとも一面から第1中間層及び第2中間層のうち少なくとも一つまでの長さLbは、前記第1酸化層及び第2酸化層のうち少なくとも一つの長さLaより大きいか同一で、5μm以上を満たす、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項4】
前記セラミック本体の長さLと第1中間層及び第2中間層のうち少なくとも一つまでの長さLbとの差(Lc=L−Lb)は、5μm以上を満たす、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項5】
セラミック粉末を含むスラリーを用いてセラミックグリーンシートを用意する段階と、
第1導電性金属ペーストを用いて前記セラミックグリーンシート上に第1及び第2内部電極パターンを形成する段階と、
前記第1導電性金属ペーストの導電性金属よりイオン化傾向が大きい金属をさらに含むか、前記第1導電性金属ペーストに含まれる金属より容易に酸化する固溶体状の金属をさらに含む第2導電性金属ペーストを用いることで、前記第1及び第2内部電極パターンに隣接するようにそれぞれ第3及び第4内部電極パターンを形成する段階と、
前記セラミックグリーンシートを積層及び切断して誘電体層、前記誘電体層を介して対向するように配置され、前記第3内部電極パターンが一側端面に露出するように形成された第1内部電極及び前記第4内部電極パターンが他側端面に露出するように形成された第2内部電極を含むセラミック本体を形成する段階と、
前記セラミック本体を焼成して前記第3及び第4内部電極パターンの一部領域を酸化させる段階と、
前記セラミック本体の外側に第1及び第2内部電極と電気的に連結されるように第1及び第2外部電極を形成する段階と、を含み、
前記第1内部電極及び第2内部電極はセラミック本体の両端面に露出し、前記第1内部電極は、前記セラミック本体の一側端面から長さ方向内部に向かって形成された第1酸化層及び前記第1酸化層に隣接形成され、第1内部電極に含まれる金属よりイオン化傾向が大きい金属をさらに含むか、前記第1内部電極に含まれる金属より容易に酸化する固溶体状の金属をさらに含む第1中間層を含み、前記第2内部電極は、前記セラミック本体の他側端面から長さ方向内部に向かって形成された第2酸化層及び前記第2酸化層に隣接形成され、第2内部電極に含まれる金属よりイオン化傾向が大きい金属をさらに含むか、前記第2内部電極に含まれる金属より容易に酸化する固溶体状の金属をさらに含む第2中間層を含み、前記第1及び第2内部電極は、ニッケル(Ni)を含み、前記第1中間層及び第2中間層は、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マグネシウム(Mg)、及びマンガン(Mn)からなる群より選択された一つ以上を含む、積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記第1内部電極及び第2内部電極がセラミック本体の両側面に露出し、前記セラミック本体の両側面にセラミックスラリーが含まれる第1及び第2サイドマージン部を形成する段階をさらに含む、請求項5に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項7】
前記第1及び第2内部電極と前記セラミック本体の両側面との幅は、18μm以下である、請求項6に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項8】
前記第1酸化層及び第2酸化層のうち少なくとも一つの長さLaは、前記セラミック本体の両端面のうち少なくとも一面から長さ方向内部に向かって5〜30μmを満たす、請求項5に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項9】
前記セラミック本体の両端面のうち少なくとも一面から第1中間層及び第2中間層のうち少なくとも一つまでの長さLbは、前記第1酸化層及び第2酸化層のうち少なくとも一つの長さLaより大きいか同一で、5μm以上を満たす、請求項5に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項10】
前記セラミック本体の長さLと第1中間層及び第2中間層のうち少なくとも一つまでの長さLbとの差(Lc=L−Lb)は、5μm以上を満たす、請求項5に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段差によるクラック発生を抑制し、重畳領域を広げることで、信頼性に優れた大容量の積層セラミック電子部品を提供する。
【背景技術】
【0002】
最近は、電子製品の小型化の傾向に伴い、積層セラミック電子部品にも小型化及び大容量化が求められている。
【0003】
これにより、誘電体及び内部電極の薄膜化、多層化が多様な方法によって試されており、近来は、誘電体層の厚さが薄くなって積層数が増加する積層セラミック電子部品が製造されている。
【0004】
一方、積層セラミックキャパシタの内部電極には、ショートを防止するために、重畳されない領域である長さ方向マージン部が形成され、上記内部電極の各層は上記長さ方向マージン部が重畳されないように反対方向に積層形成される。
【0005】
この場合、上記積層セラミックキャパシタが静電容量を形成する部分は、上記内部電極が重畳される領域であり、上記長さ方向マージン部は静電容量の形成に寄与しない部分と言える。
【0006】
このような長さ方向マージン部は、静電容量の形成に寄与しないのみならず、段差を形成させてクラック発生をもたらす可能性があり、これは、積層セラミックキャパシタの信頼性を悪化させる主な原因として作用するおそれがある。
【0007】
上記の通り、積層セラミックキャパシタも小型化及び大容量化されることにより、積層数は増加するようになるが、この場合、上記段差はさらに大きくなる可能性があるため、積層セラミックキャパシタの信頼性がさらに問題になるおそれがある。
【0008】
これにより、段差によるクラック発生が抑制された信頼性に優れた大容量の積層セラミック電子部品に対する研究は相変わらず必要な実情にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国公開特許第2011−0047481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、段差によるクラック発生を抑制し、重畳領域を広げることで、信頼性に優れた大容量の積層セラミック電子部品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態は、誘電体層を含むセラミック本体と、上記セラミック本体内において上記誘電体層を介して対向するように配置される第1及び第2内部電極と、上記セラミック本体の外側に形成され、第1及び第2内部電極と電気的に連結された第1及び第2外部電極と、を含み、上記第1内部電極及び第2内部電極はセラミック本体の両端面に露出し、上記第1内部電極は、上記セラミック本体の一側端面から長さ方向内部に向かって形成された第1酸化層及び上記第1酸化層に隣接形成され、第1内部電極に含まれる金属よりイオン化傾向が大きい金属をさらに含むか、上記第1内部電極に含まれる金属より容易に酸化する固溶体状の金属をさらに含む第1中間層を含み、上記第2内部電極は、上記セラミック本体の他側端面から長さ方向内部に向かって形成された第2酸化層及び上記第2酸化層に隣接形成され、第2内部電極に含まれる金属よりイオン化傾向が大きい金属をさらに含むか、上記第2内部電極に含まれる金属より容易に酸化する固溶体状の金属をさらに含む第2中間層を含む積層セラミック電子部品を提供する。
【0012】
上記第1酸化層及び第2酸化層のうち少なくとも一つの長さLaは、上記セラミック本体の両端面のうち少なくとも一面から長さ方向内部に向かって5〜30μmを満たすことができる。
【0013】
上記セラミック本体の両端面のうち少なくとも一面から第1中間層及び第2中間層のうち少なくとも一つまでの長さLbは、上記第1酸化層及び第2酸化層のうち少なくとも一つの長さLaより大きいかまたは同一で、5μm以上を満たすことができる。
【0014】
上記セラミック本体の長さLと第1中間層及び第2中間層のうち少なくとも一つまでの長さLbとの差(Lc=L−Lb)は、5μm以上を満たすことができる。
【0015】
上記第1中間層及び第2中間層は、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、銅(Cu)及びニッケル(Ni)からなる群より選択された一つ以上を含むことができる。
【0016】
上記第1及び第2内部電極は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)及びパラジウム−銀(Pd−Ag)の合金からなる群より選択された一つ以上を含むことができる。
【0017】
本発明の他の実施形態は、セラミック粉末を含むスラリーを用いてセラミックグリーンシートを用意する段階と、第1導電性金属ペーストを用いて上記セラミックグリーンシート上に第1及び第2内部電極パターンを形成する段階と、上記第1導電性金属ペーストの導電性金属よりイオン化傾向が大きい金属をさらに含むか、上記第1導電性金属ペーストに含まれる金属より容易に酸化する固溶体状の金属をさらに含む第2導電性金属ペーストを用いることで、上記第1及び第2内部電極パターンに隣接するようにそれぞれ第3及び第4内部電極パターンを形成する段階と、上記セラミックグリーンシートを積層及び切断して誘電体層、上記誘電体層を介して対向するように配置され、上記第3内部電極パターンが一側端面に露出するように形成された第1内部電極及び上記第4内部電極パターンが他側端面に露出するように形成された第2内部電極を含むセラミック本体を形成する段階と、上記セラミック本体を焼成して上記第3及び第4内部電極パターンの一部領域を酸化させる段階と、上記セラミック本体の外側に第1及び第2内部電極と電気的に連結されるように第1及び第2外部電極を形成する段階と、を含み、上記第1内部電極及び第2内部電極はセラミック本体の両端面に露出し、上記第1内部電極は、上記セラミック本体の一側端面から長さ方向内部に向かって形成された第1酸化層及び上記第1酸化層に隣接形成され、第1内部電極に含まれる金属よりイオン化傾向が大きい金属をさらに含むか、上記第1内部電極に含まれる金属より容易に酸化する固溶体状の金属をさらに含む第1中間層を含み、上記第2内部電極は、上記セラミック本体の他側端面から長さ方向内部に向かって形成された第2酸化層及び上記第2酸化層に隣接形成され、第2内部電極に含まれる金属よりイオン化傾向が大きい金属をさらに含むか、上記第2内部電極に含まれる金属より容易に酸化する固溶体状の金属をさらに含む第2中間層を含む積層セラミック電子部品の製造方法を提供する。
【0018】
上記第1内部電極及び第2内部電極がセラミック本体の両側面に露出し、上記セラミック本体の両側面にセラミックスラリーが含まれる第1及び第2サイドマージン部を形成する段階をさらに含むことができる。
【0019】
上記第1及び第2内部電極と上記セラミック本体の両側面との幅は、18μm以下であることができる。
【0020】
上記第1酸化層及び第2酸化層のうち少なくとも一つの長さLaは、上記セラミック本体の両端面のうち少なくとも一面から長さ方向内部に向かって5〜30μmを満たすことができる。
【0021】
上記セラミック本体の両端面のうち少なくとも一面から第1中間層及び第2中間層のうち少なくとも一つまでの長さLbは、上記第1酸化層及び第2酸化層のうち少なくとも一つの長さLaより大きいかまたは同一で、5μm以上を満たすことができる。
【0022】
上記セラミック本体の長さLと第1中間層及び第2中間層のうち少なくとも一つまでの長さLbとの差(Lc=L−Lb)は、5μm以上を満たすことができる。
【0023】
上記第1導電性金属ペーストの導電性金属よりイオン化傾向が大きい金属は、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、銅(Cu)及びニッケル(Ni)からなる群より選択された一つ以上であることができる。
【0024】
上記第1導電性金属ペーストは、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)及びパラジウム−銀(Pd−Ag)の合金からなる群より選択された一つ以上を含むことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、段差形成を抑制してクラック発生を減少させ、重畳領域を拡張させて最大容量を確保することで、信頼性に優れた高容量の積層セラミックキャパシタを具現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを概略的に示した斜視図である。
図2図1のA−A’線に沿った断面図である。
図3図1のB−B’線に沿った断面図である。
図4図3の誘電体層及び第2内部電極を示した斜視図である。
図5図3の誘電体層及び第1内部電極を示した斜視図である。
図6図1の積層セラミックキャパシタにおける誘電体層、第1内部電極及び第2内部電極を示した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。なお、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0028】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0029】
図1は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを概略的に示した斜視図であり、図2図1のA−A’線に沿った断面図であり、図3図1のB−B’線に沿った断面図であり、図4図3の誘電体層及び第2内部電極を示した斜視図であり、図5図3の誘電体層及び第1内部電極を示した斜視図であり、図6図1の積層セラミックキャパシタにおける誘電体層、第1内部電極及び第2内部電極を示した分解斜視図である。
【0030】
図1から図6を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品は、誘電体層1を含むセラミック本体10と、上記セラミック本体10内において上記誘電体層1を介して対向するように配置される第1及び第2内部電極21、22と、上記セラミック本体10の外側に形成され、第1及び第2内部電極21、22と電気的に連結された第1及び第2外部電極31、32と、を含み、上記第1内部電極21及び第2内部電極22はセラミック本体10の両端面に露出し、上記第1内部電極21は、上記セラミック本体の一側端面から長さ方向内部に向かって形成された第1酸化層21a及び上記第1酸化層21aに隣接形成され、第1内部電極21に含まれる金属よりイオン化傾向が大きい金属をさらに含むか、上記第1内部電極21に含まれる金属より容易に酸化する固溶体状の金属をさらに含む第1中間層21bを含み、上記第2内部電極22は、上記セラミック本体10の他側端面から長さ方向内部に向かって形成された第2酸化層22a及び上記第2酸化層22aに隣接形成され、第2内部電極22に含まれる金属よりイオン化傾向が大きい金属をさらに含むか、上記第2内部電極22に含まれる金属より容易に酸化する固溶体状の金属をさらに含む第2中間層22bを含むことができる。
【0031】
以下では、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品、特に、積層セラミックキャパシタを例に挙げて説明するが、これに制限されない。
【0032】
上記セラミック本体10は、その形状に制限されないが、例えば、六面体状を有することができる。
【0033】
また、上記セラミック本体10は、対向する第1及び第2主面と、上記第1主面及び第2主面を連結する第1側面、第2側面、第1端面及び第2端面と、を有することができる。
【0034】
なお、本実施形態の積層セラミックキャパシタにおいて、「長さ方向」は図1の「L」方向、「幅方向」は「W」方向、「厚さ方向」は「T」方向と定義する。ここで、「厚さ方向」は誘電体層を積み重ねる方向、即ち、「積層方向」と同一概念で用いることができる。
【0035】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタは、誘電体層1を含むセラミック本体10と、上記セラミック本体10内において上記誘電体層1を介して対向するように配置される第1及び第2内部電極21、22と、上記セラミック本体10の外側に形成され、第1及び第2内部電極21、22と電気的に連結された第1及び第2外部電極31、32と、を含むことができる。
【0036】
上記第1及び第2内部電極21、22は、特に制限されず、例えば、パラジウム(Pd)、パラジウム−銀(Pd−Ag)の合金などの貴金属材料及びニッケル(Ni)、銅(Cu)のうち一つ以上の物質からなる導電性ペーストを用いて形成されることができる。
【0037】
静電容量を形成するためには、第1及び第2外部電極31、32が上記セラミック本体10の外側に形成されることができ、上記第1及び第2内部電極21、22と電気的に連結されることができる。
【0038】
上記第1及び第2外部電極31、32は、内部電極と同一材質の導電性物質で形成されることができるが、これに制限されず、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)などで形成されることができる。
【0039】
上記第1及び第2外部電極31、32は、上記金属粉末にガラスフリットを添加して用意された導電性ペーストを塗布してから焼成することで形成されることができる。
【0040】
本発明の一実施形態によると、上記第1内部電極21及び第2内部電極22はセラミック本体10の両端面に露出し、上記第1内部電極21は、上記セラミック本体10の一側端面から長さ方向内部に向かって形成された第1酸化層21a及び上記第1酸化層21aに隣接形成され、第1内部電極21に含まれる金属よりイオン化傾向が大きい金属をさらに含むか、上記第1内部電極21に含まれる金属より容易に酸化する固溶体状の金属をさらに含む第1中間層21bを含み、上記第2内部電極22は、上記セラミック本体10の他側端面から長さ方向内部に向かって形成された第2酸化層22a及び上記第2酸化層22aに隣接形成され、第2内部電極22に含まれる金属よりイオン化傾向が大きい金属をさらに含むか、上記第2内部電極22に含まれる金属より容易に酸化する固溶体状の金属をさらに含む第2中間層22bを含むことができる。
【0041】
一般に、積層セラミックキャパシタの高容量化に伴い、積層数が増加している。
【0042】
一方、積層セラミックキャパシタの内部電極には、ショートを防止するために、重畳されない領域である長さ方向マージン部が形成され、上記内部電極の各層は上記長さ方向マージン部が重畳されないように反対方向に積層形成される。
【0043】
この場合、上記積層セラミックキャパシタが静電容量を形成する部分は、上記内部電極が重畳される領域であり、上記長さ方向マージン部は静電容量の形成に寄与しない部分と言える。
【0044】
このような長さ方向マージン部は、静電容量の形成に寄与しないのみならず、段差を形成させてクラック発生をもたらす可能性があるため、積層セラミックキャパシタの信頼性を悪化させる主な原因として作用するおそれがある。
【0045】
本発明の一実施形態によると、上記問題を解決するために、上記第1内部電極21及び第2内部電極22をセラミック本体10の両端面に露出させることができるため、上記のような第1及び第2内部電極が重畳されない領域である長さ方向マージン部を形成する必要がない。
【0046】
上記のように長さ方向マージン部が形成されないことから、段差形成を抑制することができるため、これによるクラック発生が減少して信頼性に優れた積層セラミックキャパシタを具現することができる。
【0047】
また、上記のように第1内部電極21及び第2内部電極22がセラミック本体10の両端面に露出しても、上記第1内部電極21は、上記セラミック本体10の一側端面から長さ方向内部に向かって形成された第1酸化層21aを含み、上記第2内部電極22は、上記セラミック本体10の他側端面から長さ方向内部に向かって形成された第2酸化層22aを含むため、ショート不良の問題がない。
【0048】
一方、上記第1内部電極21は、上記第1酸化層21aに隣接形成され、第1内部電極21に含まれる金属よりイオン化傾向が大きい金属をさらに含むか、上記第1内部電極21に含まれる金属より容易に酸化する固溶体状の金属をさらに含む第1中間層21bを含み、上記第2内部電極22は、上記第2酸化層22aに隣接形成され、第2内部電極22に含まれる金属よりイオン化傾向が大きい金属をさらに含むか、上記第2内部電極22に含まれる金属より容易に酸化する固溶体状の金属をさらに含む第2中間層22bを含むため、高容量の積層セラミックキャパシタを具現することができる。
【0049】
具体的には、上記第1中間層21b及び第2中間層22bは、それぞれ第1及び第2内部電極21、22に含まれる金属のみならず、上記金属よりイオン化傾向が大きい金属をさらに含むか、上記内部電極に含まれる金属より容易に酸化する固溶体状の金属をさらに含んで、重畳される領域を形成するため、積層セラミックキャパシタの静電容量を形成することができる。
【0050】
即ち、上記第1中間層21b及び第2中間層22bにより、一般の積層セラミックキャパシタにおける静電容量を形成する内部電極の重畳領域に比べてさらに広い面積の重畳領域を有することができるため、高容量の積層セラミックキャパシタを具現することができるようになる。
【0051】
以下では、上記第1酸化層21a、第2酸化層22a、第1中間層21b及び第2中間層22bについてより詳細に説明する。
【0052】
上記第1酸化層21a及び第2酸化層22aは、上記第1中間層21b及び第2中間層22bがそれぞれ酸化されて形成される層で、上記セラミック本体10の焼成工程または再酸化工程において上記第1中間層21b及び第2中間層22bの一部を酸化させて形成することができる。
【0053】
上記第1中間層21b及び第2中間層22bは、それぞれ第1及び第2内部電極21、22に含まれる金属のみならず、上記金属よりイオン化傾向が大きい金属をさらに含むか、上記内部電極に含まれる金属より容易に酸化する固溶体状の金属をさらに含むため、上記焼成工程または再酸化工程において容易に酸化されることができる。
【0054】
また、上記セラミック本体の長さ−厚さ方向の断面において、上記第1酸化層21a及び第2酸化層22aの長さLaは、上記焼成工程または再酸化工程における雰囲気または温度を用いて適切に調節することができる。
【0055】
上記特徴は、後述する本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法においてより詳細に説明する。
【0056】
上記第1酸化層21a及び第2酸化層22aのうち少なくとも一つの長さLaは、上記セラミック本体10の両端面のうち少なくとも一面から長さ方向内部に向かって5〜30μmを満たすことができるが、本発明はこれに制限されない。
【0057】
具体的な一例として、上記第1酸化層21aは、上記セラミック本体10において上記第2外部電極32が形成された一側端面から長さ方向内部に向かって5〜30μmを満たすことができ、上記第2酸化層22aは、上記セラミック本体10において上記第1外部電極31が形成された他側端面から長さ方向内部に向かって5〜30μmを満たすことができる。
【0058】
上記第1酸化層21a及び第2酸化層22aにより、上記の通り、ショート不良の問題がなく、段差によるクラック不良を減少させることで、信頼性に優れた積層セラミックキャパシタを具現することができる。
【0059】
しかし、上記第1酸化層21a及び第2酸化層22aのうち少なくとも一つの長さLaが5μm未満の場合は、ショートが発生して信頼性に問題が発生する可能性がある。
【0060】
また、上記第1酸化層21a及び第2酸化層22aのうち少なくとも一つの長さLaが30μmを超過する場合は、内部電極の酸化による体積膨張が激しくてクラック発生率及びショート発生率が増加するおそれがある。
【0061】
本発明の一実施形態によると、上記セラミック本体10の両端面のうち少なくとも一面から第1中間層21b及び第2中間層22bのうち少なくとも一つまでの長さLbは、上記第1酸化層21a及び第2酸化層22aのうち少なくとも一つの長さLaより大きいかまたは同一で、5μm以上を満たすことができる。
【0062】
上記セラミック本体10の両端面のうち少なくとも一面から第1中間層21b及び第2中間層22bのうち少なくとも一つまでの長さLbは、クラックまたはショート不良発生を防ぐために、上記第1酸化層21a及び第2酸化層22aのうち少なくとも一つの長さLaより大きいかまたは同一で、5μm以上を満たすように調節することができる。
【0063】
即ち、第1中間層21b及び第2中間層22bのうち少なくとも一つまでの長さLbが上記第1酸化層21a及び第2酸化層22aのうち少なくとも一つの長さLaより小さいか、5μm未満の場合は、クラックまたはショート不良が発生する可能性がある。
【0064】
また、上記セラミック本体10の長さLと第1中間層21b及び第2中間層22bのうち少なくとも一つまでの長さLbとの差(Lc=L−Lb)は、5μm以上を満たすことができるが、本発明はこれに制限されない。
【0065】
上記セラミック本体10の長さLと第1中間層21b及び第2中間層22bのうち少なくとも一つまでの長さLbとの差(Lc=L−Lb)は、第1酸化層21a及び第2酸化層22aと第1中間層21b及び第2中間層22bを除外した第1及び第2内部電極21、22領域の長さを意味することができる。
【0066】
上記の通り、上記セラミック本体10の長さLと第1中間層21b及び第2中間層22bのうち少なくとも一つまでの長さLbとの差(Lc=L−Lb)が5μm以上を満たすように調節することで、目標とする静電容量に近い静電容量を得ることができる。
【0067】
即ち、上記セラミック本体10の長さLと第1中間層21b及び第2中間層22bのうち少なくとも一つまでの長さLbとの差(Lc=L−Lb)が5μm未満の場合は、目標とする静電容量を得ることができない。
【0068】
上記第1中間層21b及び第2中間層22bは、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、銅(Cu)及びニッケル(Ni)からなる群より選択された一つ以上を含むことができるが、本発明はこれに制限されない。
【0069】
即ち、上記の通り、第1中間層21b及び第2中間層22bは、それぞれ第1及び第2内部電極21、22に含まれる金属のみならず、上記金属よりイオン化傾向が大きい金属をさらに含むか、上記内部電極に含まれる金属より容易に酸化する固溶体状の金属をさらに含むことができる。
【0070】
一例として、上記第1及び第2内部電極21、22に含まれる金属は、ニッケル(Ni)であることができ、第1中間層21b及び第2中間層22bは上記ニッケル(Ni)よりイオン化傾向が大きい金属を特に制限なくさらに含むことができる。
【0071】
本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法は、セラミック粉末を含むスラリーを用いてセラミックグリーンシートを用意する段階と、第1導電性金属ペーストを用いて上記セラミックグリーンシート上に第1及び第2内部電極パターンを形成する段階と、上記第1導電性金属ペーストの導電性金属よりイオン化傾向が大きい金属をさらに含むか、上記第1導電性金属ペーストに含まれる金属より容易に酸化する固溶体状の金属をさらに含む第2導電性金属ペーストを用いることで、上記第1及び第2内部電極パターンに隣接するようにそれぞれ第3及び第4内部電極パターンを形成する段階と、上記セラミックグリーンシートを積層及び切断して誘電体層、上記誘電体層を介して対向するように配置され、上記第3内部電極パターンが一側端面に露出するように形成された第1内部電極及び上記第4内部電極パターンが他側端面に露出するように形成された第2内部電極を含むセラミック本体を形成する段階と、上記セラミック本体を焼成して上記第3及び第4内部電極パターンの一部領域を酸化させる段階と、上記セラミック本体の外側に第1及び第2内部電極と電気的に連結されるように第1及び第2外部電極を形成する段階と、を含み、上記第1内部電極及び第2内部電極はセラミック本体の両端面に露出し、上記第1内部電極は、上記セラミック本体の一側端面から長さ方向内部に向かって形成された第1酸化層及び上記第1酸化層に隣接形成され、第1内部電極に含まれる金属よりイオン化傾向が大きい金属をさらに含むか、上記第1内部電極に含まれる金属より容易に酸化する固溶体状の金属をさらに含む第1中間層を含み、上記第2内部電極は、上記セラミック本体の他側端面から長さ方向内部に向かって形成された第2酸化層及び上記第2酸化層に隣接形成され、第2内部電極に含まれる金属よりイオン化傾向が大きい金属をさらに含むか、上記第2内部電極に含まれる金属より容易に酸化する固溶体状の金属をさらに含む第2中間層を含むことができる。
【0072】
また、本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法は、上記第1内部電極及び第2内部電極がセラミック本体の両側面に露出し、上記セラミック本体の両側面にセラミックスラリーが含まれる第1及び第2サイドマージン部を形成する段階をさらに含むことができる。
【0073】
上記の場合、上記第1及び第2内部電極と上記セラミック本体の両側面との幅は、18μm以下であることができる。
【0074】
以下では、本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法を具体的に説明するが、上述した本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の特徴と同一の部分は重複を避けるために省略する。
【0075】
まず、セラミック粉末を含むスラリーを用いてセラミックグリーンシートを用意することができる。
【0076】
上記セラミックグリーンシートを用意する段階は、特に制限されず、一般的な製作方法によって行われることができる。
【0077】
次に、第1導電性金属ペーストを用いて上記セラミックグリーンシート上に第1及び第2内部電極パターンを形成することができる。
【0078】
上記第1導電性金属ペーストは、一般的に内部電極パターンを形成する場合に用いられるものを使用することができ、特に制限されない。
【0079】
これにより、上記第1導電性金属ペーストは、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)及びパラジウム−銀(Pd−Ag)の合金からなる群より選択された一つ以上を含むことができる。
【0080】
上記セラミックグリーンシート上に第1及び第2内部電極パターンを形成する方法は、特に制限されず、例えば、グリーンシート上に第1導電性金属ペーストをディスペンシング(dispensing)し、スキージー(squeegee)を一側方向に進行させながら行うことができる。
【0081】
本発明の他の実施形態によると、上記第1導電性金属ペーストの導電性金属よりイオン化傾向が大きい金属をさらに含むか、上記第1導電性金属ペーストに含まれる金属より容易に酸化する固溶体状の金属をさらに含む第2導電性金属ペーストを用いることで、上記第1及び第2内部電極パターンに隣接するようにそれぞれ第3及び第4内部電極パターンを形成することができる。
【0082】
上記第1導電性金属ペーストの導電性金属よりイオン化傾向が大きい金属は、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、銅(Cu)及びニッケル(Ni)からなる群より選択された一つ以上であることができるが、本発明はこれに制限されない。
【0083】
その後、上記セラミックグリーンシートを積層及び切断して誘電体層、上記誘電体層を介して対向するように配置され、上記第3内部電極パターンが一側端面に露出するように形成された第1内部電極及び上記第4内部電極パターンが他側端面に露出するように形成された第2内部電極を含むセラミック本体を形成することができる。
【0084】
本発明の他の実施形態によると、上記第3内部電極パターンが一側端面に露出し、上記第4内部電極パターンが他側端面に露出するように形成させることで、上記第1内部電極及び第2内部電極は、セラミック本体の両端面に露出することができるようになる。
【0085】
一般に、第1内部電極及び第2内部電極は、ショートを防止するために、セラミック本体の一側端面に交互に露出するように形成される。
【0086】
上記のように第1内部電極が一側端面のみに露出し、第2内部電極が他側端面のみに露出すると、ショート不良を防止することはできるが、積層数が増加するにつれ、段差が形成されてクラック不良がもたらされるという問題があった。
【0087】
しかし、本発明の他の実施形態によると、上記第1内部電極及び第2内部電極がセラミック本体の両端面に露出することができるため、段差形成を抑制してクラック不良を減少させることができるようになる。
【0088】
但し、上記第1内部電極及び第2内部電極がセラミック本体の両端面に露出することが原因で起こりうるショート不良の問題は、後述の通り、上記セラミック本体を焼成して上記第3及び第4内部電極パターンの一部領域を酸化及び絶縁させることで、第1内部電極は一側端面のみに露出し、第2内部電極は他側端面のみに露出するという効果が得られ、解決できるようになる。
【0089】
続いて、上記セラミック本体を焼成して上記第3及び第4内部電極パターンの一部領域を酸化させることで、第1酸化層及び第2酸化層を形成することができる。
【0090】
上記第1酸化層は、第1内部電極に含まれる第3内部電極パターンの一部が酸化されて形成され、上記第2酸化層は、第2内部電極に含まれる第4内部電極パターンの一部が酸化されて形成される。
【0091】
上記第1酸化層及び第2酸化層のうち少なくとも一つの長さLaは、上記セラミック本体の両端面のうち少なくとも一面から長さ方向内部に向かって5〜30μmを満たすことができる。これにより、第1及び第2内部電極が一側端面に交互に露出するように一部の内部電極を絶縁させることができる。
【0092】
上記第1酸化層及び第2酸化層の長さLaを調節する方法は、特に制限されず、上記焼成工程または別途の再酸化工程における雰囲気または温度を用いて適切に調節することができる。
【0093】
次いで、上記セラミック本体の外側に第1及び第2内部電極と電気的に連結されるように第1及び第2外部電極を形成し、上記第1及び第2外部電極上にめっき層を形成して積層セラミックキャパシタを製作することができる。
【0094】
上記のような製造方法によると、第1導電性金属ペーストを用いて形成された第1及び第2内部電極パターンの焼成によって形成された電極部分と、上記第1導電性金属ペーストの導電性金属よりイオン化傾向が大きい金属をさらに含む第2導電性金属ペーストを用いて形成された第3及び第4内部電極パターンの焼成によって形成された第1及び第2中間層と、上記第3及び第4内部電極パターンの一部領域が酸化されて形成された第1及び第2酸化層と、が上記セラミック本体の長さ方向にそれぞれ隣接して形成されるようになる。
【0095】
これにより、内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートの積層による段差形成を抑制することができることから、クラック発生が減少して信頼性に優れるとともに、容量を形成する第1内部電極と第2内部電極との重畳領域が増加するため、高容量の積層セラミックキャパシタを具現することができる。
【0096】
以下では、実施例を挙げて本発明についてより詳細に説明するが、本発明はこれに制限されない。
【0097】
本実施例は、0.6μm以下の平均厚さを有する誘電体層1が適用された積層セラミックキャパシタに対し、上記酸化層の長さ及びセラミック本体の長さとセラミック本体の端部から中間層までの長さとの差異によるクラック、ショート発生及び容量具現の有無を試験するために行われた。
【0098】
本実施例による積層セラミックキャパシタは、下記のような段階で製作された。
【0099】
まず、平均粒径が0.1μmであるチタン酸バリウム(BaTiO)などのパウダーを含んで形成されたスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥し、1.05μm及び0.95μmの厚さを有するように製造された複数個のセラミックグリーンシートを用意した。
【0100】
次に、ニッケル粉末50wt%、有機バインダ、分散剤及び有機溶剤などで第1導電性金属ペーストを用意した。
【0101】
上記セラミックグリーンシート上に上記第1導電性金属ペーストをスクリーン印刷工法によって塗布した後、上記第1導電性金属ペーストにニッケルよりイオン化傾向が大きい金属であるクロム(Cr)をさらに添加した第2導電性金属ペーストをスクリーン印刷工法によって隣接した領域に塗布することで、内部電極を形成した。
【0102】
上記セラミックグリーンシートを400〜500層積層して積層体を製作した。
【0103】
その後、圧着及び切断して1005規格サイズ(Size)のチップを製作し、上記チップをH 0.1%以下の還元雰囲気において温度1050〜1200℃で焼成した。
【0104】
続いて、外部電極を形成し、メッキなどの工程を経て積層セラミックキャパシタを製作した。
【0105】
比較例は、上記酸化層の長さ及びセラミック本体の長さとセラミック本体の端部から中間層までの長さとの差が本発明の数値範囲を外れるように制作した点を除いては、上記実施例と同一の方法で製作した。
【0106】
下記表1は、酸化層の長さLaによるクラック及びショート発生の有無を比較したものである。
【0107】
上記クラック発生率は、5%以上発生した場合を不良(×)、5%未満の場合を良好(○)と判定し、上記ショート発生率は、20%以上発生した場合を不良(×)、20%未満の場合を良好(○)と判定した。
【0108】
【表1】
* 比較例
【0109】
上記の表1を参照すると、サンプル1及び2は、酸化層の長さが5μm未満の場合で、ショート不良が発生して信頼性に問題があることが分かる。また、サンプル8及び9は、酸化層の長さが30μmを超過する場合で、クラック不良及びショート不良が発生して信頼性に問題があることが分かる。
【0110】
これに対し、上記サンプル3から7は、本発明の数値範囲を満たす実施例で、クラック不良及びショート不良が減少して信頼性に優れることが分かる。
【0111】
下記表2は、セラミック本体の長さとセラミック本体の端部から中間層までの長さとの差(Lc=L−Lb)による容量具現の有無を比較したものである。
【0112】
下記表2において、目標容量に対する実際容量の比率が90%未満の場合を不良(×)、90%以上の場合を良好(○)と判定し、容量の標準偏差値が0.2を超過する場合を不良(×)、0.2以下の場合を良好(○)と判定した。
【0113】
【表2】
* 比較例
【0114】
上記の表2を参照すると、サンプル18は、セラミック本体の長さとセラミック本体の端部から中間層までの長さとの差(Lc=L−Lb)が5μm未満の場合で、目標容量に対する実際容量の比率が90%未満で、容量の標準偏差も0.2を超過するため、高容量の積層セラミックキャパシタの具現に問題があることが分かる。
【0115】
これに対し、上記サンプル10から17は、本発明の数値範囲を満たす実施例で、目標容量に対する実際容量の比率が90%以上で、容量の標準偏差も0.2以下を示すため、高容量の積層セラミックキャパシタを具現できることが分かる。
【0116】
従って、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタは、高容量を具現するとともに、クラック及びショート不良が減少して信頼性に優れることが確認できる。
【0117】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。
【符号の説明】
【0118】
1 誘電体層
10 セラミック本体
21、22 第1及び第2内部電極
21a、22a 第1及び第2酸化層
21b、22b 第1及び第2中間層
21c、22c 酸化層及び中間層を除外した第1及び第2内部電極領域
31、32 第1及び第2外部電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6