特許第6309213号(P6309213)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許6309213-心電図信号に基づく焼灼の実時間評価 図000002
  • 特許6309213-心電図信号に基づく焼灼の実時間評価 図000003
  • 特許6309213-心電図信号に基づく焼灼の実時間評価 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309213
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】心電図信号に基づく焼灼の実時間評価
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20180402BHJP
【FI】
   A61B18/12
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-137847(P2013-137847)
(22)【出願日】2013年7月1日
(65)【公開番号】特開2014-8413(P2014-8413A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2016年6月15日
(31)【優先権主張番号】13/539,628
(32)【優先日】2012年7月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】アタナシオス・パパイオアンヌ
【審査官】 槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特表平08−505547(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0062547(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01543865(EP,A1)
【文献】 特表2008−539901(JP,A)
【文献】 特表2010−522623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12−18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓内の組織と接触するように構成された電極を備える体内プローブと、
前記電極から電気信号を受信し、前記電気信号中の、前記電極と接触している前記組織に起因する局所的成分を、前記電気信号への遠方界の寄与と区別するように、そして、前記区別された局所的成分に応答して、前記組織に適用される治療処置を制御するように構成されたプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記受信した前記電気信号が焼灼に応答して変化する、1つ又は2つ以上の時間間隔を心周期内に定めることによって、前記局所的成分を識別するように構成されている、機器。
【請求項2】
前記治療処置は心臓焼灼療法を含む、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記体内プローブは、前記心臓内の前記組織に焼灼信号を印加するように構成された付加的な電極を備える、請求項1に記載の機器。
【請求項4】
前記電極は、前記心臓内の前記組織に焼灼信号を印加する、請求項1に記載の機器。
【請求項5】
前記電気信号は、受信した心電図(ECG)信号を含む、請求項1に記載の機器
【請求項6】
前記局所的成分は、前記心臓内で標的焼灼領域内で生成された心臓電気活動に応答するものであり、前記遠方界の寄与は、前記心臓内で前記標的焼灼領域の外側で生成された心臓電気活動に応答するものである、請求項1に記載の機器。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記1つ又は2つ以上の時間間隔の外側にあり、前記受信した前記電気信号が焼灼に応答して変化しない、1つ又は2つ以上の付加的な時間間隔を前記心周期内に定めることによって、前記遠方界の寄与を区別するように構成されている、請求項1に記載の機器。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記1つ又は2つ以上の時間間隔における前記電気信号にさらなる変化がないことを確認することによって、焼灼処置の終了を開始するように構成されている、請求項1に記載の機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には心臓の治療法に関し、具体的には焼灼療法の間に心臓信号を監視するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
心臓の焼灼療法に関する様々な技術が知られている。参照によってその開示内容が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2010/0331658号には、開放灌注式のカテーテルシステムについて記載されており、このカテーテルシステムは、先端区間と、遠位インサートと、マッピング電極とを備えるものである。先端区間は、開放した内部領域を先端区間内に画定する外部壁を有する。外部壁は、マッピング電極開口部と、灌注ポートとを有する。外部壁は、高周波(RF)エネルギーを高周波焼灼処置のために送出する導電性を持つ。灌注ポートは、開放内部領域から灌注ポートを通じて流体を流れさせるために開放内部領域と流体連通する。遠位インサートは、開放領域を遠位流体リザーバと近位流体リザーバとに分離するように先端区間内に定置される。マッピング電極は、先端区間内のマッピング電極開口部に定置される。
【0003】
その開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許公開第2007/0006254号には、インピーダンスが所定値を超える部位にユーザー入力によって医療装置が案内されるときに遠隔案内システムの動作を中断させることを含めて、ユーザー入力に応答して医療装置の遠位端部を方向付ける遠隔案内システムを制御する方法が記載されている。不整脈の原因となる誤った信号を遮断するために心臓組織の焼灼を制御するある方法が、誤った信号の振幅に所定の低減が生じるまで、あるいは局所インピーダンスに所定の低減が生じるまで、組織を焼灼することを含む。
【0004】
その開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第7,959,630号には、組織、例えば、血管の小孔の中又はその周りの組織に、環状の破壊部を形成するための組立体、プローブ、及び方法が記載されている。焼灼用の構造を備えた焼灼プローブが、血管の小孔の中又はその周りに接触させて置かれ得る。診断プローブが、焼灼プローブ内のルーメンを通じて導入され、血管の中に挿入され得る。血管の小孔の中又はその周りに環状の破壊部を形成するために、焼灼用の構造にエネルギーを供給することができ、また、その環状の破壊部が適切に形成され得るか否かを判断するために、診断用の構造を使用して組織を診断することができる。
【0005】
その開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許公開第2006/0253115号には、肺静脈などの解剖学的な管の小孔の近くで組織焼灼などの医療処置を実施するために提供されるカテーテル、システム、及び方法が記載されている。あるカテーテルが、近位シャフト部分と遠位シャフト部分とを有する細長可撓性カテーテルを備え、その遠位シャフト部分は、肺静脈などの解剖学的な管の中に挿入されるべく寸法を定められた頂端を有する曲線を形成するように予備成形された近位区間と、曲線の頂端が管の小孔の中に挿入されるときに管の小孔と接触するように構成された遠位区間とを有する。そのカテーテルは更に、曲線の曲率半径を低減するように構成された舵取り機構を備える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある実施形態は、体内プローブとプロセッサとを有する機器を提供する。体内プローブは、心臓内の組織と接触するように構成された電極を有する。プロセッサは、電極から電気信号を受信するように、電気信号中の、電極と接触している組織に起因する局所的成分を、信号への遠方界の寄与と区別するように、そして、区別された局所的成分に応答して、組織に適用される治療処置を制御するように構成される。
【0007】
いくつかの実施形態において、治療処置は心臓焼灼療法を含む。他の実施形態において、体内プローブは、心臓組織に焼灼信号を印加するように構成された付加的な電極を有する。他の実施形態において、電極は心臓内の組織に焼灼信号を印加する。更に他の実施形態において、その信号は、受信した心電図(ECG)信号を含む。いくつかの実施形態において、局所的成分は、心臓内で標的焼灼領域内に発生した心臓電気活動に応答するものであり、遠方界の寄与は、心臓内で標的焼灼領域の外側に発生した心臓電気活動に応答するものである。
【0008】
いくつかの実施形態において、プロセッサは、受信信号の変化に応答して受信信号内の1つ又は2つ以上の時間間隔を識別することによって、局所的成分を区別するように構成されている。他の実施形態において、プロセッサは、1つ又は2つ以上の識別済みの時間間隔の外側にある、1つ又は2つ以上の付加的な時間間隔に、受信信号の変化がないことを検知することによって、遠方界の寄与を区別するように構成されている。更に他の実施形態において、プロセッサは、1つ又は2つ以上の識別済みの時間間隔における信号が、連続的な焼灼周期に応答しなくなったことを検知することによって、焼灼処置の終了を開始するように構成されている。
【0009】
また、本発明の実施形態によれば、心臓内の組織と接触するように構成された電極を有する体内プローブから電気信号を受信することを含む方法が提供される。電気信号中の、電極が接触している組織に起因する局所的成分が、信号への遠方界の寄与と区別される。区別された局所的成分に応答して、組織に適用される治療処置が制御される。
【0010】
本発明は、添付の図面と共になされる、本発明の実施形態の以下の詳細な説明によって、更に十分に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態による心電図焼灼監視システムを示す概略図。
図2】本発明の実施形態による、連続焼灼サイクルに伴うECG波形の変化を示す概略図。
図3】本発明の実施形態による、連続焼灼サイクル後に心電図信号を監視するための方法を概略的に示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
概論
焼灼は、様々な心臓の状態を治療するための既知の技術である。焼灼処置において、体内プローブ、典型的にはカテーテルが、患者の心血管系の中に経皮的に挿入され、焼灼される組織の領域に向かって心臓の中に案内される。心臓焼灼は、カテーテルの遠位先端部がそれぞれ組織を局所的に凍結又は加熱するために使用され得る凍結焼灼法及び高周波(RF)焼灼療法など、様々なモダリティを用いて実施され得る。いずれの場合も、低電導度の破壊部が形成される。この破壊部は通常、頻脈性不整脈及び心房細動などの心機能不全を引き起こす、心臓の電気信号の欠陥経路を遮断するものである。
【0013】
焼灼療法を実施する間の心電図(ECG)信号の実時間監視は、例えば、その処置によって心機能が改善したか否か、又は更なる焼灼を患者に施す必要があるか否かを確認するために、破壊部を評価するのに有益である。そのような実時間監視により、処置が尚早に終了することが防止され得る。しかしながら、過剰な焼灼が心臓組織に施された場合、結果として、回復不能な損傷が心臓に生じ得る。
【0014】
本明細書で説明する本発明の実施形態は、信号を監視することに応答して処置を制御するために、心臓焼灼などの治療処置の間に心臓組織に接触する体内プローブによって受信される電気信号の実時間評価のための方法及びシステムを提供するものである。体内プローブは、通常は電極を備えるカテーテルであるが、標的焼灼領域まで心腔の中に案内され、標的焼灼領域に接触する電極から心臓の電気信号を受信する。
【0015】
監視システムは、受信した電気信号において、遠方界の寄与を信号の局所的成分と区別するように構成される。この信号は通常、心電図(ECG)信号である。局所的成分は、標的焼灼領域における電気活動に起因しているが、遠方界の寄与は、標的領域の外側における電気活動に起因している。システムは次いで、焼灼システムに焼灼処置を自動的に終了させること、又は、焼灼処置の状況をシステムの操作者にモニター上で通知することなどによって、処理を呼び出すことで、区別した局所的成分に応答して治療処置を制御する。そのような通知により、過焼灼によって心臓に与えられる損傷を回避することができる。
【0016】
システムの説明
図1は、本発明の実施形態による心電図焼灼監視システム10を示す概略図である。システム10は、ECGシステム15と、操作者22がECG信号状態を観察するためのディスプレイモニター20と、受信したECGデータを監視するためのプロセッサ25とを備えている。いくつかの実施形態において、システムはまたECG体電極30を備えてもよく、そのECG体電極30は、患者33の身体に沿った種々の位置に置かれてもよく、またECG信号を監視する上で利用されてもよい。
【0017】
心臓焼灼処置の間、体内プローブが、典型的には、遠位先端部に形成された電極40を備えるカテーテル35が、患者33に挿入される。カテーテル35は、患者の心血管系を通じて心臓50の中へと案内されて、心臓組織内の標的焼灼領域55に接触する。カテーテル35の電極40は、ECG信号を測定するためにECGシステム15によって利用される。
【0018】
いくつかの実施形態において、焼灼又は任意の他の適切な治療処置が別のカテーテルを通じて領域55に施され、ECG信号がカテーテル35を通じて監視されてもよい。高周波(RF)焼灼療法を利用する他の実施形態において、領域55においてECG信号を受信すると共に、図1の差込みのブロック図に示すように、RF焼灼用発電機60からRF焼灼信号を領域55に印加するために、カテーテル35の遠位先端部の電極が使用されてもよい。更に他の実施形態において、カテーテル35は、遠位先端部にあるRF焼灼電極と、カテーテル35の本体上の典型的には遠位先端部の近くに形成された別の電極とを備えてもよい。
【0019】
焼灼領域55と接触するように電極40を位置決めすることで、電極はその領域からECG信号を受信することが可能になる。以下で更に詳細に説明するように、ECG信号は、標的焼灼領域55内で発生した心臓電気活動に起因する局所的成分と、心臓50内で標的焼灼領域55の外側の位置にて発生した遠方界の心臓電位とを重ね合わせたものを含む。例えば、血液は、心臓の任意の領域内で標的焼灼領域55の外側に生じる心臓電気活動に対する導電経路を形成し、領域55内で心臓組織と接触するカテーテル電極40にその動作を中継し、結果として、受信したECG波形の遠方界の寄与を生じ得る。
【0020】
通常、先に議論したように心不全を引き起こす、心臓の領域55内の欠陥電気経路は、連続的な焼灼周期と共に漸進的に除去される。結果として、ECG波形が振幅を低減させるかあるいは形状を変化させる1つ又は2つ以上の時間間隔が、領域55から検出される心臓電気動作の局所的成分として識別することができ、その局所的成分は、治療上の心臓焼灼療法に応答するものである。プロセッサ25は、連続的な焼灼周期を患者に適用してECG波形の変化を識別及び追跡するように構成されている。図1に示す本発明の実施形態は、概念を明確にするためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0021】
プロセッサ25は、通常、ECGシステム15からのECG波形データを、カテーテル電極40及び患者33に接触する体電極30から受信するための好適なフロントエンドとインターフェース回路とを伴って、汎用コンピュータを構成する。プロセッサはまた、受信したECG波形データを記憶するための、磁気的な、光学的な、電子的な、又は任意の好適なデータ記憶装置を備えてもよい。プロセッサは、本明細書で説明する機能を実行するようにソフトウェアでプログラムされてもよい。そのソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子形式でシステム10にダウンロードされてもよく、あるいは、光学的、磁気的又は電子的記憶メディアなどの非一時的な有形のメディア上に提供されてもよい。それに代わって、プロセッサ25の機能の一部又は全てが、専用の又はプログラム可能なデジタルハードウェア構成要素によって実行されてもよい。カテーテル電極及び体電極から受信した信号に基づいて、プロセッサ25はディスプレイモニター20を駆動して、連続的な焼灼周期に伴う、規定の時間間隔におけるECG信号の変化の視覚的表示を、操作者22に提示する。ディスプレイモニター20はまた、進行中の処置に関する状況情報及び案内を提示してもよい。
【0022】
図2は、本発明の実施形態による、連続的な焼灼サイクルに伴うECG波形の変化を示す概略図である。焼灼療法を適用する前に、初期のECG波形100がECGシステム15によって検出される。焼灼周期が適用された後、最初の後続ECG波形110が、初期波形100に対して、焼灼に応答して変化する。プロセッサ25は、図2に示すような領域B及びDなど、ECG波形のうちの、ECG信号が低減する1つ又は2つ以上の時間間隔を識別する。プロセッサ25は、領域A、C、及びEなど、ECG波形のうちの、ECG信号が依然として不変である1つ又は2つ以上の更なる時間間隔を識別する。領域B及びDは、受信したECG信号の局所的成分に関連すると推定され、領域A、C、及びEは、標的焼灼領域55の外側の電気的な心臓事象からのECG信号への遠方界の寄与に関連すると推定される。
【0023】
2番目の後続波形120に示すような別の焼灼周期に伴い、領域B及びDにおけるECG波形の信号は、焼灼された心臓組織の局所的電導性が焼灼によって低減するにつれて、引き続き低減する。留意されたいこととして、焼灼に先立つ初期のECG波形100が、単に参考のため、そして概念を明確にするために、波形110、120上に破線115として示されている。最後のECG波形130として示すように、連続する焼灼周期に伴う更なる変化がECG波形に(例えば、領域B及びD内に)ないことをシステムが確認するまで、焼灼療法が継続される。この段階で、心臓組織に損傷を与えないようにするため、システム10は、焼灼療法を終了するように、あるいは、前述したようにECG波形が焼灼に応答しなくなったことを操作者22に通知するように構成されている。
【0024】
図3は、本発明の実施形態による、連続的な焼灼周期の後に心電図信号を監視するための方法を概略的に示す流れ図である。最初の受信工程200において、最初のECG信号がECGカテーテル電極40から受信される。このデータは、最初のECG信号データセットとして、プロセッサ内の記憶媒体に記憶される。適用工程210において、焼灼が領域55内で心臓50に適用される。後続の受信工程220において、後続のECG信号がECGカテーテル電極40から受信される。識別工程230において、通常は、工程210で実施された焼灼が終えられた後に、プロセッサ25が、焼灼に応答して、後続のECG信号と既に取得されたECG信号との間の変化を識別する。プロセッサは、後続のECG信号データセットを、既に取得されたECGデータセットと比較して、焼灼周期に起因するECG信号の変化を識別する。この比較により、プロセッサは、焼灼が原因でECG信号が変化している、ECG波形の中の1つ又は2つ以上の時間間隔を識別することができる。判断工程240において、プロセッサ25は、工程230で後続のデータセットと以前のデータセットとの間にECG信号レベルの変化が存在するか否かを評価する。その評価が肯定である、すなわちECG信号が変化している場合、流れ図は焼灼工程210に戻り、その結果、工程210と工程220が反復過程で繰り返される。工程240において変化がない場合、通常は過焼灼を原因とする心臓の損傷を防止するために、焼灼処置は終了工程250で終了される。
【0025】
ECG信号に生じる変化は、通常、時間間隔B及びD(図2)で例示される特定の時間間隔に生じる。図2の波形及び図3の流れ図の考察から説明されることとして、波形130はECG信号への遠方界の寄与に対応しており、波形130と波形100、110、又は120との相違は信号の局所的成分に対応している。
【0026】
図2及び図3に示す実施形態は、ECG信号が焼灼に応答する、1つ又は2つ以上の識別済みの時間間隔を指しているが、図2及び図3は単に、概念を明確にするためのものであり、本発明の実施形態を限定するものではない。連続的な焼灼周期の後の1つ又は2つ以上の識別済みの時間間隔にある、ECG波形の形状のいかなる変化も、前述のように焼灼に応答する、受信したECG信号の局所的成分に関連づけられ得る。
【0027】
本明細書で説明した実施形態は通常、心臓焼灼療法中におけるECG信号の実時間監視に対処するものであるが、本明細書で説明した方法及びシステムはまた、脳腫瘍のRF焼灼療法中に神経電気信号を監視する際など、他の用途にも利用され得る。
【0028】
したがって、上述した実施形態は一例として記載されたものであり、本発明は、本明細書において上に具体的に図示及び説明した内容に限定されないことが明らかとなろう。むしろ、本発明の範囲には、上で説明した様々な特徴の組合わせと部分的組合わせの両方、並びにそれらの変形形態及び修正形態が含まれ、これらの変形形態及び修正形態は、上記の説明を読めば当業者には思いつくものであり、また従来技術では開示されていないものである。参照によって本特許出願に組み込まれる文献は、本明細書において明示的にあるいは黙示的になされた定義と対立する形で、これらの組み込まれる文献に用語が定義されている限りにおいて、本明細書での定義が考慮されるべきであることを除き、本願の不可欠な部分と見なされるべきである。
【0029】
〔実施の態様〕
(1) 心臓内の組織と接触するように構成された電極を備える体内プローブと、
前記電極から電気信号を受信し、前記電気信号中の、前記電極と接触している前記組織に起因する局所的成分を、前記信号への遠方界の寄与(remote-field contribution)と区別するように、そして、前記区別された局所的成分に応答して、前記組織に適用される治療処置を制御するように構成されたプロセッサと、を備える、機器。
(2) 前記治療処置は心臓焼灼療法を含む、実施態様1に記載の機器。
(3) 前記体内プローブは、前記心臓組織に焼灼信号を印加するように構成された付加的な電極を備える、実施態様1に記載の機器。
(4) 前記電極は、前記心臓内の前記組織に焼灼信号を印加する、実施態様1に記載の機器。
(5) 前記信号は、受信した心電図(ECG)信号を含む、実施態様1に記載の装置。
【0030】
(6) 前記局所的成分は、前記心臓内で標的焼灼領域内で生成された心臓電気活動に応答するものであり、前記遠方界の寄与は、前記心臓内で前記標的焼灼領域の外側で生成された心臓電気活動に応答するものである、実施態様1に記載の機器。
(7) 前記プロセッサは、前記受信信号の変化に応答して前記受信信号内の1つ又は2つ以上の時間間隔を識別することによって、前記局所的成分を区別するように構成されている、実施態様1に記載の機器。
(8) 前記プロセッサは、前記1つ又は2つ以上の識別済みの時間間隔の外側にある、1つ又は2つ以上の付加的な時間間隔に、前記受信信号の変化がないことを検知することによって、前記遠方界の寄与を区別するように構成されている、実施態様7に記載の機器。
(9) 前記プロセッサは、前記1つ又は2つ以上の識別済みの時間間隔における前記信号が、連続的な焼灼周期に応答しなくなったことを検知することによって、焼灼処置の終了を開始するように構成されている、実施態様7に記載の機器。
(10) 心臓内の組織と接触するように構成された電極を備える体内プローブから電気信号を受信することと、
前記電気信号中の、前記電極が接触している前記組織に起因する局所的成分を、前記信号への遠方界の寄与と区別することと、
前記区別された局所的成分に応答して、前記組織に適用される治療処置を制御することと、を含む、方法。
【0031】
(11) 前記治療処置を制御することは、前記組織に適用される心臓焼灼療法を制御することを含む、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記組織に適用される前記治療処置を制御することは、カテーテルを使用して、付加的な電極で前記組織に焼灼信号を印加することを含む、実施態様10に記載の方法。
(13) 前記組織に適用される前記治療処置を制御することは、前記電極で、前記心臓内の前記組織に焼灼信号を印加することを含む、実施態様10に記載の方法。
(14) 前記電気信号を受信することは、心電図(ECG)信号を受信することを含む、実施態様10に記載の方法。
(15) 前記局所的成分は、標的焼灼領域内の心臓電気活動に応答するものであり、前記遠方界の寄与は、前記心臓のうちの前記標的焼灼領域の外側にある領域で生成された心臓電気活動に応答するものである、実施態様10に記載の方法。
【0032】
(16) 前記局所的成分を区別することは、前記受信信号の変化に応答して前記受信信号内の1つ又は2つ以上の時間間隔を識別することを含む、実施態様11に記載の方法。
(17) 前記遠方界の寄与を区別することは、前記1つ又は2つ以上の識別済みの時間間隔の外側にある、1つ又は2つ以上の付加的な時間間隔に、前記受信信号の変化がないことを検知することを含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記治療処置を制御することは、前記識別済みの時間間隔内の前記信号が連続的な焼灼周期に応答しなくなったことを検知したことに応答して、心臓焼灼処置の終了を開始することを含む、実施態様17に記載の方法。
図1
図2
図3