特許第6309214号(P6309214)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サントリーホールディングス株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309214
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】焙煎茶飲料
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/38 20060101AFI20180402BHJP
   A23F 3/16 20060101ALI20180402BHJP
   A23F 3/40 20060101ALI20180402BHJP
【FI】
   A23L2/38 K
   A23L2/38 L
   A23L2/38 D
   A23F3/16
   A23F3/40
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-138416(P2013-138416)
(22)【出願日】2013年7月1日
(65)【公開番号】特開2015-8703(P2015-8703A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100126985
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 充利
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 優智
(72)【発明者】
【氏名】小池 理菜
【審査官】 小金井 悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−296391(JP,A)
【文献】 特開2006−025660(JP,A)
【文献】 特開2003−102450(JP,A)
【文献】 金色キャップの『GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶』,<http://pbccr.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/green-dakara-90.html>,2013年 6月30日,p.1-5
【文献】 「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」新発売,<http://www.suntory.co.jp/news/2013/11795.html>,2013年 5月28日,p.1-2
【文献】 コカコーラ 爽健美茶 五穀,<https://www.amazon.co.jp/dp/B0029LHMPE>,2009年 5月12日,p.1-3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00− 2/40
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焙煎処理された植物原料の抽出液を含む、容器詰め焙煎茶飲料であって、
グアー豆、大豆または大麦を起源とする水溶性食物繊維を飲料に対して0.001〜0.1重量%の濃度で含有する、上記飲料。
【請求項2】
麦茶入り飲料である、請求項1に記載の焙煎茶飲料。
【請求項3】
ほうじ茶を含む飲料である、請求項1に記載の焙煎茶飲料。
【請求項4】
水溶性食物繊維が、グアー豆を起源とする水溶性食物繊維である、請求項1〜3のいずれかに記載の焙煎茶飲料。
【請求項5】
水溶性食物繊維が、化学修飾または化学合成された水溶性食物繊維ではない、請求項1〜4のいずれかに記載の焙煎茶飲料。
【請求項6】
カフェイン濃度が10mg/100ml以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の焙煎茶飲料。
【請求項7】
Naイオン濃度が5.5mg/100ml以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の焙煎茶飲料。
【請求項8】
酸化防止剤が無添加である、請求項1〜7のいずれかに記載の焙煎茶飲料。
【請求項9】
飲料指定添加物が無添加である、請求項1〜8のいずれかに記載の焙煎茶飲料。
【請求項10】
焙煎処理された植物原料の抽出液に対して、グアー豆、大豆または大麦を起源とする水溶性食物繊維を添加して、飲料全体に対して0.001〜0.1重量%の濃度で該水溶性食物繊維を含有する飲料を得る工程と、得られた飲料を容器に充填する工程と、を備える、容器詰め焙煎茶飲料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焙煎茶飲料に関する。特に本発明は、焙煎処理された植物原料の抽出液を含み、長期間保存された場合でも好ましい香味が維持される焙煎茶飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲料業界においても、健康志向・高付加価値志向が高まりつつある。しかし、自然素材(本明細書中、「植物原料」ともいう)をそのまま抽出処理して抽出液を得ると、苦み、刺激臭又は渋味があり、容器詰めで販売される飲料については長期保存時の沈殿抑制が困難という問題等が生じることがある。そこで、生薬にみられるように、植物原料を焙煎処理してから抽出液を得ることにより、飲み易さや保存安定性を改善することが知られている。
【0003】
例えば、イネ科に属する大麦(Hordeum vulgare)やハトムギ(Coix lacryma-jobi var. ma-yuen)の各子実の焙煎物の水抽出物が、麦茶、ハトムギ茶として、またこれらの混合物がブレンド茶として飲用されている(本明細書中、これらを総称して「麦茶入り飲料」と表記することもある)。これらの麦茶入り飲料(主に、麦茶)は、焙煎由来の香ばしい香りを有する飲料であり、カフェイン含量が少なく胃等への刺激が少ないこと、体温を下げる、血流を改善する等の生理効果を有することなどの理由から、日常的に、特に夏場において冷たくして飲用されている。
【0004】
そして、容器詰めの形態で販売されるこれら麦茶入り飲料について、香味を改善する工夫が種々提案されている。例えば、焙煎された大麦及び/又はハト麦の水抽出物に、ハーブの水抽出物の粉末体を配合して、後味が改善された麦茶入り飲料(特許文献1)、褐藻類由来のフコイダンを含有することにより、えぐ味を低減した麦茶飲料(特許文献2)、でんぷん量とβグルカン量を合わせた多糖類量と、マルトース量、マルトース量に対するカテキン量の比率、麦由来可溶性固形分を一定条件に調整した、収斂味があり、いずれの温度で飲用しても香味のバランスに優れる、容器詰麦茶飲料(特許文献3)、グルコース及びフラクトースを一定量含有させることにより、甘味、旨味が増強され、麦本来の香ばしさがバランス良く調和された麦茶飲料(特許文献4)などがある。また、容器詰ほうじ茶飲料について、単糖と二糖を合わせた濃度と、単糖濃度に対する二糖の濃度の比率、没食子酸の濃度に対する糖類濃度の比率を一定条件に調整することで、該ほうじ茶飲料の後味をあっさりさせつつも、焙煎香が強く、すっきりした後味を有する容器詰飲料が得られることが報告されている(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−268774号公報
【特許文献2】特開2003−102450号公報
【特許文献3】特許第5180361号公報
【特許文献4】特開2004−49145号公報
【特許文献5】再公表2010−98391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
焙煎処理された植物原料の抽出液を配合して得られる焙煎茶飲料は、焙煎由来の香ばしい香り(焙煎香)が特徴である。しかし、長期間保存される容器詰め飲料の形態(特に、酸素透過性の透明容器の形態)では、加熱殺菌や冷蔵状態での保存などの熱履歴や光照射等の影響から、焙煎香が減少したり変化したりし易く、焙煎香と甘味やコク味の調和のとれた風味が崩れやすいという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、焙煎香と甘味やコク味の調和のとれた焙煎茶飲料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、植物ガム及び粘質多糖類からなる群から選択される1以上の水溶性食物繊維を焙煎茶飲料に配合することにより、焙煎茶特有の角のある味を柔らかくすることができ、また特徴的な焙煎香の保存安定性が高くなることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、これに限定されるものではないが、本発明は以下を包含する。
(1) 焙煎処理された植物原料の抽出液を含み、植物ガム及び粘質多糖類からなる群から選択される1以上の水溶性食物繊維を飲料に対して1.2重量%以下の濃度で添加して得られる容器詰め焙煎茶飲料。
(2) 水溶性食物繊維が、豆類及び/又は穀類から得られるものである、(1)に記載の焙煎茶飲料。
(3) 麦茶入り飲料である、(1)又は(2)に記載の焙煎茶飲料。
(4) Naイオン濃度が5.5mg/100ml以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載の焙煎茶飲料。
(5) 酸化防止剤が無添加である、(1)〜(4)のいずれかに記載の焙煎茶飲料。
(6) 飲料指定添加物が無添加である、(1)〜(5)のいずれかに記載の焙煎茶飲料。
(7) 焙煎処理された植物原料の抽出液に対して、植物ガム及び粘質多糖類からなる群から選択される1以上の水溶性食物繊維を添加して、飲料全体に対して1.2重量%以下の濃度で該水溶性食物繊維を含有する飲料を得る工程と、得られた飲料を容器に充填する工程と、を備える、容器詰め焙煎茶飲料の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の特定の食物繊維を含有する焙煎茶飲料は、保存安定性が向上した焙煎茶飲料であり、従来の容器詰め茶飲料のように、酸化防止剤(例えばアスコルビン酸)を使用する必要がなく、酸化防止剤フリー(無添加)の容器詰めの焙煎茶飲料を提供することができる。酸化防止剤フリーにより、酸化防止剤自体の好ましくない風味(経時的に生じる酸味やビタミンの劣化臭等)の発生を抑えることができるばかりか、pH調整剤(例えば重曹)の添加量を最小限に抑えることができ、pH調整剤に起因するぬめりや塩味等の好ましくない風味を抑えることができる。冷たくして(例えば、10℃以下の冷蔵状態で)飲用する場合でも、クセや飲みにくさを感じることがなく、性別や年齢を問わず誰もが優しい味わいを知覚できる焙煎茶飲料となる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(焙煎茶飲料)
本明細書で言う焙煎茶飲料とは、焙煎処理された植物原料の抽出液を含有する飲料をいう。焙煎処理された植物原料は、一般に飲食品の製造に用いられる茶葉及び/又は穀類の種子であればよく、例えば、ほうじ茶、ハトムギ、大麦、小麦、玄米、白米、黒ごま、白ごま、大豆、とうもろこし、黒豆、そば、ケツメイシ(ハブ茶)、麦芽等が例示できる。中でも、ハトムギ、大麦、小麦からなる群より選択される1種以上を含む麦茶入り飲料の態様が、本発明の効果を顕著に知覚できる。最も好ましい態様は、ハトムギ、大麦、小麦からなる群より選択される1種以上と、玄米、白米、黒ごま、大豆からなる群から選択される1種以上を混合して得られる混合茶の態様である。
【0012】
これら各原料の焙煎に関し、焙煎機、焙煎方法は特に限定されない。一般的な焙煎機として、連続流動式焙煎機や回転ドラム方式の焙煎機等があり、焙煎方法は、加熱方法により分類すれば、直火、熱風、遠赤外線、マイクロウェーブなどの方法がある。焙煎処理においては、原料の焙煎度が高くなるにつれ、香ばしい香味が付与される反面、苦味も出てくる傾向があるため、香味を考慮した焙煎度の設定が必要である。本発明の特定の食物繊維による効果を損なわない焙煎度とは、ほうじ茶であればL値で40〜52程度、穀類の種子(例えば玄米)であれば25〜65程度となるような焙煎である。
【0013】
上記の焙煎処理された植物原料に抽出処理を施して抽出液を得る。焙煎処理された植物原料が穀類の種子である場合、ほうじ茶と比較して固く抽出し難い性質があることから、焙煎後の植物原料をロールクラッシャー等で粉砕してから抽出に用いるのがよい。粉砕の程度は、当業者であれば適宜設定できるが、通常、目開き2mmメッシュの通過率が約50%になる程度に原料を粉砕することが好ましい。また、殻つきのものについては脱穀等の処理を必要に応じて行う。
【0014】
焙煎処理された植物原料の抽出方法は、浸漬抽出又はドリップ抽出のいずれの方法を用いてもよい。抽出溶媒は、飲用可能で抽出に適する溶媒であれば特に限定されないが、好ましくは水性溶媒であり、最も簡便には水を用いることができる。水は、食品の処理に使用可能な水質であればよく、例えば、蒸留水、脱塩水、アルカリイオン水、海洋深層水、イオン交換水、脱酸素水或いは水溶性の有機化合物(例えば、アルコール類)や無機塩類を含む水などを用いることができるが、好ましくは純水を用いる。
【0015】
焙煎処理された植物原料と抽出溶媒との割合は、抽出溶媒に対して1〜20質量%が好ましく、2〜10質量%程度がより好ましい。抽出時間は、所望の抽出液を得られる時間であればよく、例えば1〜60分、好ましくは3〜30分、さらに好ましくは5〜20分程度である。一般に、抽出時間が短すぎると香味成分の抽出が不十分となり、長すぎると抽出液の苦渋味が強くなるため好ましくない。抽出溶媒の温度は、苦渋味を抑えた抽出液を得るために穏やかな抽出を行うという観点から、30〜100℃が好ましく、50〜95℃がより好ましく、70〜95℃がさらに好ましい。
【0016】
抽出処理後、抽出液の濾過を行うことにより、焙煎処理された植物原料の抽出液を得る。濾過手段は、当業者に公知の手法を用いることができ、例えば、遠心分離、濾布、珪藻土濾過やフィルター濾過等が挙げられる。
【0017】
(水溶性食物繊維)
本発明の焙煎茶飲料は、上記の焙煎処理された植物原料の抽出液に、特定の水溶性食物繊維を配合することを特徴とする。
【0018】
通常、食物繊維は水に溶けない「不溶性食物繊維」と、水に溶ける「水溶性食物繊」に大別され、現在は、食品から抽出したものやこれに加工処理を施したもの、化学合成したものがある(表1参照)。
【0019】
【表1】
【0020】
本発明では、上記の水溶性食物繊維のうち、植物ガム及び粘質多糖類からなる群から選択される1以上の食物繊維を使用する。中でも、グアーガム、大豆、大麦、オーツ麦などの豆類又は穀類を起源とする水溶性食物繊維から選択される1以上を使用することが好ましい。
【0021】
本発明では、化学修飾又は合成等の化学的処理を施して得られる水溶性食物繊維(化学修飾多糖類)ではなく、植物から分離して得られる水溶性食物繊維を用いることが特に好ましい。好ましい態様において、植物(好ましく豆類及び/又は穀類)に抽出処理して得られる抽出物に対して水溶性食物繊維含量が50%以上、好ましくは55〜100%となるように水溶性食物繊維含量が高められたもの(本明細書中、「抽出及び精製処理して得られる水溶性食物繊維」と表記する)を用いる。化学修飾または化学合成を施した水溶性食物繊維を用いると、本発明の効果が得られないばかりか、化学修飾多糖類特有のぬめり感等が飲料の風味を損なうことがあるため、好ましくない。
【0022】
本発明で使用可能な抽出及び精製処理して得られる水溶性食物繊維として、グァー豆を起源とする「サンファイバー」(太陽化学)、大麦を起源とする「大麦ベータグルカン」(ADEKA)、大豆(おから)を起源とする「大豆食物繊維」(不二製油)等が市販されている。また、これら市販品だけでなく、植物に抽出及び精製処理を施して得られる水溶性食物繊維で、植物ガム及び粘質多糖類からなる群から選択される1以上の水溶性食物繊維を高含有するものであれば、どのようなものでも用いることができる。例えば、コーンを起源とするコーン繊維ガム(例えばFoods Food Ingredients J. Jpn., Vol. 211, No.3, 2006)が挙げられる。
【0023】
このような植物ガム及び粘質多糖類からなる群から選択される1以上の水溶性食物繊維の配合量は、1.2重量%以下であり、焙煎茶飲料全量に対して0.001〜1重量%が好ましく、0.001〜0.1重量%がより好ましく、0.001〜0.05程度がさらに好ましい。1.2重量%を超えて配合すると、飲料の粘性が増加して、かえって焙煎香の香り立ちを悪化させることがある。一方、水溶性食物繊維の配合量が少なすぎると、角のある味を丸くしたり、焙煎香の保存安定性を高めたりするという本発明の効果が乏しい場合があるため、水溶性食物繊維の配合量は0.0005重量%以上とすることが好ましい。
【0024】
(その他成分)
本発明の焙煎茶飲料には、上記成分の他、通常飲料で用いる各種成分を添加してもよいが、本発明の効果である優しい味わいと保存安定性の観点からは、Naイオン濃度及びカフェイン濃度を特定の範囲内となるように調整するのが好ましい。本発明の焙煎茶飲料のNaイオン濃度は、5.5mg/100ml以下であることが好ましく、0.5〜5.0mg/100mlであることがより好ましい。また、カフェイン濃度は、10mg/100ml(100ppm)以下であることが好ましく、1mg/100ml(10ppm)以下であることがより好ましい。Naイオン濃度が5.5mg/100mlを超える場合やカフェイン濃度が10mg/100mlを超える場合には、焙煎茶の苦渋味とNaイオンの塩角味やカフェインの苦味が相俟って、本発明の効果を阻害することがある。
【0025】
また、本発明の焙煎茶飲料は、天然物由来の特定の食物繊維を添加することにより保存安定性が向上されることを特徴とするものであり、酸化防止剤を無添加の態様とすることができる。この観点から、天然素材のみを用い、素材を天然のままに近い形で利用し、素材本来の美味しさを愉しむ態様は、本発明の好適な態様の一つである。具体的には、飲料指定添加物が添加されていない態様とすることが好ましい。ここで、飲料指定添加物とは、食品衛生法第10条に基づき、厚生労働大臣が定めたもので、食品衛生法施行規則別表1に収載されている「指定添加物」をいう。飲料指定添加物を配合しないことにより、本発明の焙煎茶飲料のすっきり感や優しい味わいを、より一層知覚できる。
【0026】
さらに、好ましい態様において、pHが5.0〜7.5(より好ましくは5.5〜6.7)、飲料の糖度(Brix)が、0.10〜0.40(より好ましくは0.20〜0.35)となるように調整すると、本発明の効果を顕著に知覚できる。
【0027】
(容器詰め飲料)
本発明の焙煎茶飲料は、加熱殺菌処理して製造される。具体的には、焙煎処理された原料植物の抽出液に、植物ガム及び粘質多糖類からなる群から選択される1以上の水溶性食物繊維を混合した後、容器に充填されて容器詰め飲料とされる。例えば、金属容器等に充填してからレトルト殺菌するか、或いはUHT殺菌してからPET容器等に充填することによって、容器詰め飲料を製造できる。
【0028】
本発明の焙煎茶飲料は、酸素透過性の透明容器の形態であっても、色調や香味の保存安定性に優れる。酸素透過性の透明容器に充填された容器詰めの焙煎茶飲料は、本発明の効果を顕著に発現される好ましい態様の一つである。ここで、容器の酸素透過係数(室温)は0〜0.1mL/350mL・day・atm、好ましくは、0.0001〜0.09mL/350mL・day・atm、より好ましくは0.0001〜0.07mL/350mL・day・atm、更に好ましくは、0.0001〜0.05mL/350mL・day・atmである。
【実施例】
【0029】
以下、実施例を示して本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書において、特に記載しない限り、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
【0030】
実験例1(麦茶入りブレンド茶)
焙煎処理された植物原料として、焙煎処理済みの麦類(大麦、はと麦)約170g、及び焙煎処理済みの玄米約30gを用いた。50メッシュの金網を備えた円筒状カラム抽出機に、これら麦類と玄米を仕込み、高さが均一になるように原料上面を平らにした。次に90℃に加熱したイオン交換水400mLをカラム上部のシャワーノズルから供給した。供給終了から10秒後にカラム上部のシャワーノズルから90℃に加熱したイオン交換水を200mL/minの速度で供給すると同時に、同じ速度で抽出液をカラム下部から抜き出し、抽出液を得た。
【0031】
これを分離、濾過した抽出液に、表2に示す大豆食物繊維を混合し、炭酸水素ナトリウムを添加してpHを6.3に調整した上で加水して全量を1000mLとした。次いで、UHT殺菌を行った後、無菌条件下で500mL容器のペットボトルに充填した[本発明品1]。
【0032】
同様にして、大豆食物繊維を配合しない以外は同様に調製した麦茶入り飲料[対照]、大豆食物繊維をアカシマガムに変える以外は同様に調製した麦茶入り飲料[本発明品2]、大豆食物繊維をグァー豆食物繊維に変える以外は同様に調製した麦茶入り飲料[本発明品3]、大豆食物繊維をポリデキストロースに変える以外は同様に調製した麦茶入り飲料[比較例1]、大豆食物繊維をフコイダンに変える以外は同様に調製した麦茶入り飲料[比較例2]を調製した。
【0033】
いずれの茶飲料も、Naイオン濃度は1.5mg/100ml、カフェイン濃度は0mg/100mlであった。
【0034】
【表2】
【0035】
各種麦茶入り飲料について、香り立ちのよさ、雑味、後味、味のやわらかさ、常温で1ヶ月保存した場合の香味バランスを、専門パネラー3名で官能評価した。評価は、飲料を10℃以下に冷たくして飲用して実施した。評価基準は、それぞれ6段階(5点;著しく強く感じる、4点;かなり感じる、3点;感じる、2点;やや感じる、1点;わずかに感じる、0点;全く感じない)とし、その平均点を算出した。
【0036】
結果を表3に示す。対照品が焙煎茶特有の角のある味であるのに対して、植物ガム及び粘質多糖類からなる群から選択される1以上の食物繊維を配合した麦茶入り飲料(本発明品1〜3)は、丸みがつき柔らかい味となることがわかった。特に、大豆食物繊維を配合した麦茶入り飲料(本発明品1)は雑味が低減され爽やかな柔らかい味となった。また、保存後の味のバランスの点でも、本発明品は、対照と比較して格段に焙煎香と甘味やコク味の調和のとれた風味が維持された。
【0037】
【表3】
【0038】
実験例2(麦茶入りブレンド茶)
大豆食物繊維の配合量を変える以外は実験例1と同様にして、各種濃度の大豆食物繊維(SM−1255、三栄源社製)を含有する麦茶入り飲料を製造した。得られた水溶性食物繊維含有麦茶入り飲料について、実験例1と同様に官能評価を行った。
【0039】
結果を表4に示す。対照品が角のある味であるのに対し、大豆食物繊維を配合した本発明品は、角のある味に丸みがつき柔らかい味となり、飲料の風味にまとまりができた。また、本発明品は、焙煎香が保存後も良好に維持されており、焙煎香と甘味やコク味の調和のとれた香味バランスの良い麦茶入り飲料であった。
【0040】
特に、大豆植物繊維の配合量が0.001〜1.0重量%の範囲であると、味のやわらかさや後味の点で極めて優れた茶飲料が得られた。
【0041】
【表4】
【0042】
実験例3(ほうじ茶飲料)
焙煎処理された植物原料として、ほうじ茶葉を用いた。ほうじ茶葉5gを300mLの水(約80℃)で5分間抽出したものを、分離、濾過して、ほうじ茶抽出液を得た。その後、実験例1と同じ大豆食物繊維を飲料全体に対して0.01重量%となるように混合し、炭酸水素ナトリウムを添加してpHを6.1に調整した上で加水して全量を1000mLとした。次いで、UHT殺菌を行った後、無菌条件下で500mL容器のペットボトルに充填した。また、実験例1と同様に、食物繊維無添加品[対照]と、大豆食物繊維をアカシアガム、グァー豆食物繊維、ポリデキストロース、フコイダンに変えた各種食物繊維入り焙じ茶飲料を調製した。
【0043】
各種食物繊維入り焙じ茶飲料を専門パネラーで官能評価した。対照品が焙煎茶特有の角のある味であるのに対して、植物ガム及び粘質多糖類からなる群から選択される1以上の食物繊維を配合した焙じ茶飲料は、丸みがつき柔らかい味となった。また、保存後の味のバランスの点でも、大豆食物繊維を配合した焙じ茶飲料は、対照と比較して格段に焙煎香と甘味やコク味の調和のとれた風味が維持されていた。