(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2のk空間データに対する前記フィルタリングを実行するためのウィンドウ関数を、前記高周波側の領域におけるゲインが前記低周波側の領域におけるゲインの2倍以下となるように設定されたウィンドウ関数とする請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
前記第2のk空間データに対する前記フィルタリングを実行するためのウィンドウ関数を、前記高周波側の領域におけるゲインが前記低周波側の領域におけるゲインの2倍以上4倍以下となるように設定され、かつ前記非サンプリング領域におけるゲインがゼロに設定されたウィンドウ関数とする請求項3記載の磁気共鳴イメージング装置。
前記画像生成手段は、前記非対称なサンプリング領域のうち対称なサンプリング部分で構成される低周波側の領域における前記磁気共鳴データを変換して得られる実空間データに基づいて求められる前記低周波側の領域における位相分布を用いて前記位相を位相の補正方向と逆方向にシフトさせる処理を実行する一方、前記非対称なサンプリング領域における前記磁気共鳴データを変換して得られる実空間データに基づいて求められる前記サンプリング領域に対応する位相分布を用いて前記位相を位相の補正方向にシフトさせる処理を実行するように構成される請求項8又は9記載の磁気共鳴イメージング装置。
【背景技術】
【0002】
MRIは、静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンをラーモア周波数の高周波(RF: radio frequency)信号で磁気的に励起し、この励起に伴って発生する核磁気共鳴(NMR: nuclear magnetic resonance)信号から画像を再構成する撮像法である。
【0003】
MRIにおけるイメージング法の1つとしてAFI (Asymmetric Fourier Imaging)法が知られている。AFI法は、k空間(k-space)において波数方向に非対称となるようにデータをサンプンリングし、サンプンリングした自己データに基づいて推定した位相分布を用いて位相補正を行った後に画像データを再構成する手法である。AFI法によれば、k空間において対称にサンプリングされたデータから生成される画像データと同等な画像データを生成することができる。
【0004】
AFI法には、Margosian法、FIR (finite impulse response)法、MoFIR (Modified FIR)法、POCS (projection on to convex sets)法或いはhybrid法等の様々な方法が提案されている。また、AFI法ではないが、k空間において非対称となるようにデータをサンプンリングし、データがない部分に0詰め(0-filling)してからフーリエ変換(FT: Fourier transform)する非対称データサンプリング法が知られている。0-fillingでは、k空間データの非対称度が大きい程、画像に顕著なボケが生じることが知られている。
【0005】
Margosian法では、非対称にサンプリングされたk空間データに対して窓(window)関数であるhomodyne filterが掛けられた後、FTによって非対称k空間データに対応する実空間(r-space)データが生成される。一方、非対称にサンプリングされたk空間データのうち、対称にサンプリングされたk空間の中心付近の低周波領域におけるk空間データに基づいて位相分布が推定される。そして、推定された位相分布を用いて非対称k空間データに対応する実空間データの位相補正が行われる。
【0006】
POCS法は、Margosian法の改良法であり、Margosian法の後にPOCSループ処理を行う手法である。POCSループ処理は、位相補正後の実空間データの実部のみを残し虚部をゼロにするREAL化処理、REAL化された実空間データの位相を元に戻した後に逆フーリエ変換(IFT: inverse Fourier transform)によって得られるk空間データの非サンプリング部と原データのサンプリング部とを合成する合成処理及び合成処理後のk空間データのFTによって得られる実空間データに対する位相補正処理を繰り返すことによって虚部の変化が閾知以下となるように収束させる処理である。POCS法は、位相補正が完全であれば、実空間データの虚部がゼロになるという原理に基づいている。POCS法によれば、POCSループ処理を数回繰り返すことによって、Margosian法においてhomodyne filter処理に起因して生じる位相補正のエラーを低減させることができる。
【0007】
一方、FIR法では、非対称にサンプリングされたk空間データに対してhomodyne filterが掛けられる前に位相補正が行われる。すなわち、FIR法では、非対称k空間データのFTによって生成される実空間データの位相補正後において、IFTにより位相補正後の実空間データがk空間データに変換される。そして、位相補正後のk空間データに対してhomodyne filterが掛けられる。このFIR法では、Margosian法よりもデータ処理時間が2回のFT分だけ長くなるもののhomodyne filter処理前に位相補正が行われるため、homodyne filter処理に起因する位相補正のエラーを低減させることができる。
【0008】
MoFIR法は、位相補正用に用いる位相分布を、k空間データが対称にサンプリングされた低周波領域のみならず非対称にサンプリングされた部分を含む全てのk空間データに基づいて推定するようにしたFIR法の改良法である。すなわち、FIR法では、k空間の中心付近における低周波領域のみのk空間データから位相補正用に低周波領域の位相分布が推定されるのに対して、MoFIR法では、非対称にサンプリングされた全てのk空間データに基づいて位相補正用に用いる位相分布が推定される。このため、MoFIR法では、FIR法と比較して、本来の位相分布とは異なるものの、より高周波領域の位相分布を推定することができる。従って、MoFIR法では、Margosian法やFIR法におけるhomodyne filter処理に起因する位相補正のエラーを低減させることができる。
【0009】
一方、最も単純な非対称サンプリングデータに対する再構成法である0-fillingでは、画像にボケが生じる。ただし、対称にサンプリングされるデータの70%以上がサンプリングされるような非対称度が比較的小さい非対称サンプリングの場合には、画像のボケが許容範囲となる。また、0-fillingを行う場合には、特別な処理が不要である上にAFIにおける位相の過補正に起因するアーチファクトも出現しない。このため、0-fillingは非対称度が比較的小さい場合において依然として多用されている。
【0010】
hybrid法は、0-filling及びAFI法を組み合わせた手法である。すなわち、hybrid法は、0-fillingによって得られる0-fill画像とAFIによって得られるAFI画像とを重み付け加算合成する手法である。より具体的には、0-fill画像とAFI画像との間において位相差又は振幅差が大きい部分が0-fill画像となり、小さい部分がAFI画像となるように重みが調整される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置について添付図面を参照して説明する。
【0017】
図1は本発明の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の構成図である。
【0018】
磁気共鳴イメージング装置20は、静磁場を形成する筒状の静磁場用磁石21、この静磁場用磁石21の内部に設けられたシムコイル22、傾斜磁場コイル23及びRFコイル24を備えている。
【0019】
また、磁気共鳴イメージング装置20には、制御系25が備えられる。制御系25は、静磁場電源26、傾斜磁場電源27、シムコイル電源28、送信器29、受信器30、シーケンスコントローラ31及びコンピュータ32を具備している。制御系25の傾斜磁場電源27は、X軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27y及びZ軸傾斜磁場電源27zで構成される。また、コンピュータ32には、入力装置33、表示装置34、演算装置35及び記憶装置36が備えられる。
【0020】
静磁場用磁石21は静磁場電源26と接続され、静磁場電源26から供給された電流により撮像領域に静磁場を形成させる機能を有する。尚、静磁場用磁石21は超伝導コイルで構成される場合が多く、励磁の際に静磁場電源26と接続されて電流が供給されるが、一旦励磁された後は非接続状態とされるのが一般的である。また、静磁場用磁石21を永久磁石で構成し、静磁場電源26が設けられない場合もある。
【0021】
また、静磁場用磁石21の内側には、同軸上に筒状のシムコイル22が設けられる。シムコイル22はシムコイル電源28と接続され、シムコイル電源28からシムコイル22に電流が供給されて静磁場が均一化されるように構成される。
【0022】
傾斜磁場コイル23は、X軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23y及びZ軸傾斜磁場コイル23zで構成され、静磁場用磁石21の内部において筒状に形成される。傾斜磁場コイル23の内側には寝台37が設けられて撮像領域とされ、寝台37には被検体Pがセットされる。RFコイル24にはガントリに内蔵されたRF信号の送受信用の全身用コイル(WBC: whole body coil)や寝台37や被検体P近傍に設けられるRF信号の受信用の局所コイルなどがある。
【0023】
また、傾斜磁場コイル23は、傾斜磁場電源27と接続される。傾斜磁場コイル23のX軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23y及びZ軸傾斜磁場コイル23zはそれぞれ、傾斜磁場電源27のX軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27y及びZ軸傾斜磁場電源27zと接続される。
【0024】
そして、X軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27y及びZ軸傾斜磁場電源27zからそれぞれX軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23y及びZ軸傾斜磁場コイル23zに供給された電流により、撮像領域にそれぞれX軸方向の傾斜磁場Gx、Y軸方向の傾斜磁場Gy、Z軸方向の傾斜磁場Gzを形成することができるように構成される。
【0025】
RFコイル24は、送信器29及び受信器30の少なくとも一方と接続される。送信用のRFコイル24は、送信器29からRF信号を受けて被検体Pに送信する機能を有し、受信用のRFコイル24は、被検体P内部の原子核スピンのRF信号による励起に伴って発生したNMR信号を受信して受信器30に与える機能を有する。
【0026】
一方、制御系25のシーケンスコントローラ31は、傾斜磁場電源27、送信器29及び受信器30と接続される。シーケンスコントローラ31は傾斜磁場電源27、送信器29及び受信器30を駆動させるために必要な制御情報、例えば傾斜磁場電源27に印加すべきパルス電流の強度や印加時間、印加タイミング等の動作制御情報を記述したシーケンス情報を記憶する機能と、記憶した所定のシーケンスに従って傾斜磁場電源27、送信器29及び受信器30を駆動させることによりX軸傾斜磁場Gx、Y軸傾斜磁場Gy,Z軸傾斜磁場Gz及びRF信号を発生させる機能を有する。
【0027】
また、シーケンスコントローラ31は、受信器30におけるNMR信号の検波及びA/D (analog to digital)変換により得られた複素データである生データ(raw data)を受けてコンピュータ32に与えるように構成される。
【0028】
このため、送信器29には、シーケンスコントローラ31から受けた制御情報に基づいてRF信号をRFコイル24に与える機能が備えられる一方、受信器30には、RFコイル24から受けたNMR信号を検波して所要の信号処理を実行するとともにA/D変換することにより、デジタル化された複素データである生データを生成する機能と生成した生データをシーケンスコントローラ31に与える機能とが備えられる。
【0029】
さらに、磁気共鳴イメージング装置20には、被検体PのECG (electro cardiogram)信号を取得するECGユニット38が備えられる。ECGユニット38により取得されたECG信号はシーケンスコントローラ31を介してコンピュータ32に出力されるように構成される。尚、拍動を心拍情報として表すECG信号の代わりに拍動を脈波情報として表す脈波同期(PPG: peripheral pulse gating)信号を取得することもできる。
【0030】
また、コンピュータ32の記憶装置36に保存されたプログラムを演算装置35で実行することにより、コンピュータ32には各種機能が備えられる。ただし、プログラムの少なくとも一部に代えて、各種機能を有する特定の回路を磁気共鳴イメージング装置20に設けてもよい。
【0031】
図2は、
図1に示すコンピュータ32の機能ブロック図である。
【0032】
コンピュータ32の演算装置35は、記憶装置36に保存されたプログラムを実行することにより撮像条件設定部40、データ処理部41及びAFI処理条件設定部42として機能する。また、記憶装置36は、k空間データベース43及び画像データベース44として機能する。データ処理部41は、AFI処理部41Aを有する。
【0033】
撮像条件設定部40は、入力装置33からの指示情報に基づいてパルスシーケンスを含む撮像条件を設定し、設定した撮像条件をシーケンスコントローラ31に出力することによってシーケンスコントローラ31を駆動制御させる機能を有する。
【0034】
特に、撮像条件設定部40は、k空間において波数方向に非対称なサンプリング領域に対応するMRデータを被検体Pから収集するAFIの撮像条件を設定できるように構成されている。AFI法は、2次元(2D: two dimensional)又は3次元(3D: three dimensional)のk空間の少なくとも1軸方向における波数方向に非対称にサンプンリングしたMRデータに基づいて、対称にサンプンリングしたMRデータに基づく画像データに近い画像データを近似的に生成する画像再構成手法である。AFIは、磁気共鳴血管撮影法(MRA: magnetic resonance angiography)や拡散強調イメージング(DWI: diffusion weighted imaging)を含む様々なイメージングに適用することができる。
【0035】
AFIを行うための撮像条件としては、2Dのサンプリングであれば、k空間データの読み出し(readout)方向及び位相エンコード(phase encode)方向のうち一方向kの波数方向におけるサンプリング領域(-K
c≦k≦K
max)がある。サンプリング領域の境界K
cは、例えば、AFI処理条件設定部42からの設定情報に従って可変設定することができる。非サンプリング領域は、k方向の正側及び負側のいずれでもよい。また、3Dの領域としてサンプリング領域と非サンプリング領域を設定することもできる。ここでは2D領域としてサンプリング領域と非サンプリング領域を設定し、かつ負側を非サンプリング領域とする場合を例に説明する。
【0036】
データ処理部41は、シーケンスコントローラ31からAFI用の条件によって収集された生データを受けてk空間データベース43に形成されたk空間にk空間データとして配置する機能と、k空間データに対するFTを含む画像再構成処理によって画像データを生成する機能とを有する。診断用の画像データは、表示装置34に表示させることができる。また、診断用の画像データや中間的な画像データ等の実空間データを必要に応じて画像データベース44に保存することもできる。
【0037】
従って、k空間データベース43には、k空間データが保存される一方、画像データベース44には実空間データが保存される。
【0038】
データ処理部41のAFI処理部41Aは、k空間において波数方向に非対称にサンプンリングされたk空間データに基づいて、位相補正処理を伴わずに対称にサンプリングされたk空間データから生成される画像データと略同等な画像データを生成するAFI処理を実行する機能を備えている。すなわち、AFI処理部41Aは、従来の位相補正処理を伴うAFI処理とは異なり、位相補正処理を伴わないAFI処理を実行するように構成される。
【0039】
AFI処理は、非対称サンプリング領域から収集されたMRデータの非サンプリング領域への0-fillingによる第1のk空間データの生成、第1のk空間データのFTによる振幅画像データの生成、振幅画像データのIFTによる第2のk空間データへの変換、第2のk空間データのフィルタリング及びフィルタリング後の第2のk空間データのFTによる画像データの生成の順で実行することができる。従って、AFI処理部41Aは、MRデータの非サンプリング領域への0-filling後の第1のk空間データに基づいて実空間における振幅画像データを生成し、振幅画像データを第2のk空間データに変換してフィルタリングを行った後に実空間データに変換するデータ処理によってMR画像データを生成すように構成される。
【0040】
図3は、
図2に示すAFI処理部41Aにおいて実行されるk空間におけるフィルタリングを含むAFI処理の方法を説明する図である。
【0041】
2Dのk空間の負側を非サンプリング領域とするAFI法の撮像条件に従ってMRデータが収集されると、k空間において波数方向に非対称なMRデータS
orig(k)が収集される。
図3に示すように非対称となる方向がk空間のkx方向である場合には、MRデータS
orig(k)は、-K
c≦k≦K
maxを満たす周波数kをパラメータとするデータ群となる。但し、K
cは正の値をとる非サンプリング領域のカットオフ周波数であり、K
maxはサンプリング領域の最大周波数である。従って、0<K
c<K
maxの関係が成り立つ。
【0042】
次に、非対称なMRデータS
orig(k)の非サンプリング領域への0-fillingが実行される。0-fillingは、非対称なMRデータS
orig(k)に式(1)で定義されるウィンドウ関数H
whole(k)を掛けることによって実行することができる。
H
whole(k)=H
low(k) : -K
max≦k≦0
=1 : 0<k≦K
max
(1)
【0043】
式(1)における関数H
low(k)は、非対称なMRデータS
orig(k)から低周波領域における対称部分を抽出するウィンドウ関数である。低周波領域を抽出するウィンドウ関数を、Gaussianを用いて定義する場合には、式(2)のように表すことができる。
H
low(k)=1 : |k|≦K
c-K
1
=exp[(-ln2){(k-(Kc-K
1))/K
2}
2] : K
c-K
1<|k|≦K
max
(2)
【0044】
式(2)におけるK
1及びK
2は、抽出対象となる低周波領域を滑らかに変化させるための定数である。
【0045】
図4は、式(2)に示すウィンドウ関数H
low(k)における定数K
1及びK
2の定義を示す図である。
【0046】
図4において横軸はk空間の周波数kを示し、縦軸はウィンドウ関数H
low(k)のゲインを示す。
図4に示すように、ウィンドウ関数H
low(k)のゲインを最大値1からゼロまで滑らかに変化させる周波数の幅を定数K
1とする一方、ウィンドウ関数H
low(k)のゲインを最大値1から1/2まで滑らかに変化させる周波数の幅を定数K
2として、それぞれ定義することができる。
【0047】
図5は、式(2)に示す低周波領域の抽出用のウィンドウ関数H
low(k)の一例を示す図であり、
図6は、式(1)に示す0-filling用のウィンドウ関数H
whole(k)の一例を示す図である。
【0048】
図5及び
図6の各横軸は、k空間の周波数kを示し、各縦軸はウィンドウ関数H
low(k)、H
whole(k)のゲインを示す。
図5及び
図6に例示されるような低周波領域の抽出用のウィンドウ関数H
low(k)及び0-filling用のウィンドウ関数H
whole(k)を用いて非対称なMRデータS
orig(k)の0-fillingを実行することができる。
【0049】
非対称なMRデータS
orig(k)の0-fillingが完了すると第1のk空間データS
orig(k)* H
whole(k)が生成される。次に0-filling後の第1のk空間データS
orig(k)* H
whole(k)に対してFTが実行される。これにより、実空間データとして振幅画像データS
0-filled(r)が生成される。次に、0-filling後の振幅画像データS
0-filled(r)に対してIFTが実行されることにより第2のk空間データS'(k)が生成される。
【0050】
0-filling後の振幅画像データS
0-filled(r)は位相成分がゼロになっている。すなわち、振幅画像データS
0-filled(r)は実部のみのデータであり虚部はゼロとなっている。一方、従来のAFI法の一手法であるMoFIR法では、全ての位相のデータを用いて実空間データの位相補正が実行される。このため、位相補正後における実空間データの位相成分もゼロとなる。
【0051】
従って、0-filling後の振幅画像データS
0-filled(r)に対応する第2のk空間データS'(k)の分布は、MoFIR法における位相補正後のk空間データの分布と同等になると考えられる。そこで、0-filling後の振幅画像データS
0-filled(r)に対応する第2のk空間データS'(k)をMoFIR法における位相補正後のk空間データとして扱うことができる。
【0052】
但し、MoFIR法では、位相補正後に、高周波成分の劣化を補正するために、Homodyne-high-pass filterがかけられる。Homodyne-high-pass filterは、ゲインが非対称なAFI処理用のウィンドウ関数である。具体的には、Homodyne high-pass filterは、非サンプリング領域のゲインがゼロ、サンプリング領域のうち対称部分におけるゲインが1倍、非サンプリング領域と符号が逆のサンプリング部分におけるゲインが2倍のフィルタである。通常、Homodyne-high-pass filterのゲインは、滑らかに変化するように決定される。
【0053】
従って、0-filling後の振幅画像データS
0-filled(r)に対応する第2のk空間データS'(k)に、Homodyne high-pass filterと等価なフィルタ処理を施すことによって高周波成分の劣化、つまりボケの低減を図ることができる。これにより、MoFIR法により生成されるMR画像データと同等な画質を有するMR画像データの生成が可能となる。
【0054】
第2のk空間データS'(k)のフィルタ処理は、第2のk空間データS'(k)にウィンドウ関数H
homoを掛けることによって実行することができる。ウィンドウ関数H
homoとしては、非対象な関数と対称な関数が考えられる。
【0055】
振幅画像データS
0-filled(r)のIFTによって得られる第2のk空間データS'(k)の特性は、複素共役となっている。すなわち、第2のk空間データS'(k)の実部は偶関数であり、虚部は奇関数となっている。従って、ウィンドウ関数H
homoとして非対象な関数を用いても対称な関数を用いても同じ結果が得られる。
【0056】
第2のk空間データS'(k)の非サンプリング領域にもフルサンプリングを行った場合の1/2の強度を有するデータが存在する。一方、非サンプリング領域と符号が逆のサンプリング部分におけるデータの強度もフルサンプリングを行った場合の1/2の強度となる。
【0057】
従って、第2のk空間データS'(k)のフィルタ処理に用いられるボケの補正用のウィンドウ関数H
homoは、第2のk空間データS'(k)の信号強度をフルサンプリングを行った場合の強度となるように補正する関数にすることが適切である。これにより、位相補正に起因するエラーに相当するエラーによるアーチファクトを抑制しつつ0-fillingに起因するボケを低減することが可能となる。
【0058】
図7は、対称なウィンドウ関数H
homoの例を示す図である。
【0059】
図7において横軸はk空間の周波数kを示し、縦軸はウィンドウ関数H
homo(k)のゲインを示す。
図7に示すように、非対称なサンプリング領域のうち対称なサンプリング部分で構成される低周波側の領域よりも非対称なサンプリング領域のうち非対称なサンプリング部分と非サンプリング領域とで構成される高周波側の領域の方がゲインが大きくなるように設定されたウィンドウ関数H
homo(k)を用いて第2のk空間データS'(k)に対するフィルタリングを実行することができる。つまり、k空間の中心に対して対称なウィンドウ関数H
homo(k)を第2のk空間データS'(k)に掛けることによって第2のk空間データS'(k)における高周波成分の劣化を補正することができる。
【0060】
k空間の中心に線対称なウィンドウ関数H
homo(k)を用いる場合、高周波側の領域におけるゲインを低周波側の領域におけるゲインの2倍以下となるように設定することが上述の理由から適切である。
図7に示す例では、高周波側の領域に対応するウィンドウ関数H
homo(k)のゲインの最大値H
maxが理論上の理想値である2に設定されており、低周波側の領域に対応するゲインが1に設定されている。
【0061】
線対称なウィンドウ関数H
homo(k)をH
high.sym(k)とすると、線対称なウィンドウ関数H
high.sym(k)は、式(3)により求めることができる。
H
high.sym(k)=H
low(k) : |k|≦K
c
=H
max-(H
max-1)*H
low(k) : K
c<|k|≦K
max
(3)
但し、1<H
max≦2である。また、式(3)中の関数H
low(k)は、式(2)で定義される低周波領域の抽出用のウィンドウ関数H
low(k)である。従って、線対称なウィンドウ関数H
high.sym(k)は、Gauss関数によってk=±K
c前後におけるゲインの遷移部分が滑らかに変化する関数となる。このように滑らかに変化する関数を対称又は非対称なウィンドウ関数H
homo(k)とすることによって第2のk空間データS'(k)を連続的なk空間データに補正することができる。
【0062】
図8は、非対称なウィンドウ関数H
homoの例を示す図である。
【0063】
図8において横軸はk空間の周波数kを示し、縦軸はウィンドウ関数H
homo(k)のゲインを示す。
図8に示すように、非対称なサンプリング領域のうち対称なサンプリング部分で構成される低周波側の領域よりも非対称なサンプリング領域のうち非対称なサンプリング部分で構成される高周波側の領域の方がゲインが大きくなるように設定されたウィンドウ関数H
homo(k)を用いて第2のk空間データS'(k)に対するフィルタリングを実行することができる。つまり、k空間の中心に対して非対称なウィンドウ関数H
homo(k)を第2のk空間データS'(k)に掛けることによって第2のk空間データS'(k)における高周波成分の劣化を補正することができる。
【0064】
k空間の中心に関して非対称なウィンドウ関数H
homo(k)を用いる場合、高周波側のサンプリング部分におけるゲインが低周波側のサンプリング部分におけるゲインの2倍以上4倍以下となるように設定し、かつ非サンプリング領域におけるゲインをゼロに設定することが上述の理由から適切である。
図8に示す例では、高周波側のサンプリング部分におけるゲインの最大値H
maxが理論上の理想値である4に、低周波側のサンプリング部分におけるゲインが1に、非サンプリング領域におけるゲインがゼロに、それぞれ設定されている。
【0065】
非対称なウィンドウ関数H
homo(k)をH
high.asym(k)とすると、非対称なウィンドウ関数H
high. asym(k)は、式(4)により求めることができる。
H
high.asym(k)=H
low(k) : -K
max≦k≦0
=H
max-(H
max-1)*H
low(k) : 0<k≦K
max
(4)
但し、2≦H
max≦4である。また、式(4)においても式(2)で定義される低周波領域の抽出用のウィンドウ関数H
low(k)が用いられる。このため、非対称なウィンドウ関数H
high. asym(k)もGauss関数によって滑らかに変化する関数となる。尚、
図8及び式(4)に示す非対称なウィンドウ関数H
high. asym(k)は、k空間の負側に非サンプリング領域を設ける場合の図及び式である。従って、k空間の正側に非サンプリング領域を設ける場合には、極性が反転することになる。
【0066】
対称又は非対称なウィンドウ関数H
homo(k)を用いた第2のk空間データS'(k)における高周波成分の補正が完了すると、FTによって実空間データとしてMR画像データS
cor(r)を生成することができる。ここで生成されるMR画像データS
cor(r)は、従来のMoFIR法において位相補正及び高周波成分の補正がなされたMR画像データと同等な画質を有する画像データとなる。MR画像データS
cor(r)は、式(5-1)又は式(5-2)のように表すことができる。
S
cor(r)=FT{S(k)*H
high.sym(k)} (5-1)
S
cor(r)=FT{S(k)*H
high.asym(k)} (5-2)
【0067】
尚、振幅画像データS
0-filled(r)を第2のk空間データS'(k)に変換してフィルタリングを行った後に実空間データに変換するデータ処理と等価な実空間におけるコンボルーション処理を振幅画像データS
0-filled(r)に対する実行することによっても位相補正を伴わないAFI処理を実現することができる。すなわち、k空間ではなく、実空間においてAFI処理を実行することもできる。
【0068】
図9は、
図2に示すAFI処理部41Aにおいて実行される実空間におけるコンボルーション処理を含むAFI処理の方法を説明する図である。尚、
図9において、
図3に示す処理と同等な処理については説明を省略する。
【0069】
実空間においてコンボルーション処理を実行する場合には、
図9に示される通り、k空間におけるフィルタリング用の対称又は非対称なウィンドウ関数H
homo(k)をFTして得られる実空間の関数を用いて振幅画像データS
0-filled(r)のコンボルーション処理を実行すればよい。すなわち、k空間用のウィンドウ関数H
homo(k)と等価な実空間における関数を用いてコンボルーション処理を実行することができる。
【0070】
尚、実空間におけるフィルタ関数FT(H
homo)は解析的な式となる。そこで、実空間におけるフィルタ関数FT(H
homo)を、事前にk空間用のウィンドウ関数H
homo(k)を離散化してFTすることによってテーブル化することができる。これにより、実空間におけるフィルタ関数FT(H
homo)の計算を不要にすることができる。すなわち、テーブルを参照することによってフィルタ関数FT(H
homo)を求めることができる。
【0071】
実空間におけるフィルタ関数FT(H
homo)を用いたコンボルーション処理によるMR画像データS
cor(r)の計算は、式(6-1)又は式(6-2)により実行することができる。
S
cor(r)=Convolve{S'(r), H
high.sym(r)}=Convolve[S'(r), FT{H
high.sym(k)}] (6-1)
S
cor(r)=Convolve{S'(r), H
high.asym(r)}=Convolve[S'(r), FT{H
high.asym(k)}] (6-2)
但し、式(6-1)及び式(6-2)においてConvolveは{}内における関数間のコンボルーション処理のオペレータを表す。
【0072】
更に、
図3又は
図9に示す処理によって生成されたMR画像データS
cor(r)に残留する位相誤差を低減させるループ処理を付加的な後処理として実行することもできる。
【0073】
図10は、
図3に示すデータ処理に続いて位相誤差を低減させるループ処理を実行する場合におけるAFI処理の方法を説明する図である。
【0074】
ループ処理は、MR画像データS
cor(r)に対して実空間データの実部をとるREAL化処理、REAL化処理後の実部の位相を位相の補正方向と逆方向にシフトさせる処理、位相を位相の補正方向と逆方向にシフトさせる処理後の実空間データをIFTして得られるk空間データのうちサンプリング領域(-K
c≦k≦K
max)に対応するデータをサンプリング領域におけるMRデータS
orig(k)に置換する処理及び置換後のk空間データを実空間データにFTして位相を位相の補正方向にシフトさせることによって更新後のMR画像データを取得する処理で構成することができる。このループ処理は、1回又は複数回実行することができる。ループ処理を複数回実行する場合には、MR画像データS
cor(r)の虚部をゼロに近づける収束計算となる。
【0075】
尚、
図10に例示されるように、実部の位相を位相の補正方向と逆方向にシフトさせる逆位相補正処理を、サンプリング領域のうち対称なサンプリング部分で構成される低周波側の領域における位相分布Φ
lowを用いて実行する一方、位相を位相の補正方向にシフトさせる位相補正処理を、サンプリング領域に対応する位相分布Φ
wholeを用いて実行することが画質改善に繋がることが確認された。従って、逆位相補正処理は、実空間データにexp(jΦ
low)を乗じる処理となり、位相補正処理は、実空間データにexp(jΦ
whole)を乗じる処理となる。
【0076】
低周波領域における位相分布Φ
lowは、低周波側の領域におけるMRデータS
orig(k)を変換して得られる実空間データS
low(r)に基づいて求めることができる。具体的には、MRデータS
orig(k)にウィンドウ関数H
low(k)を掛けて低周波領域における対称部分を抽出し、抽出された対称部分をFTすることによって対称部分に対応する実空間データS
low(r)を生成することができる。そうすると、式(7)により、低周波領域における位相分布Φ
lowを求めることができる。
exp{-jΦ
low(x)} = S
low*(r)/|S
low(r)| (7)
但し、式(7)において*は複素共役を示す。
【0077】
同様に、サンプリング領域に対応する位相分布Φ
wholeも、サンプリング領域におけるMRデータS
orig(k)を変換して得られる実空間データに基づいて求めることができる。具体的には、MRデータS
orig(k)に0-filling用のウィンドウ関数H
whole(k)を掛けてサンプリング領域におけるデータを抽出し、抽出されたデータをFTすることによって振幅画像データS
0-filled(r)を生成することができる。そうすると、式(8)により、サンプリング領域における位相分布Φ
wholeを求めることができる。
exp{-jΦ
whole(x)} = S
0-filled*(r)/|S
0-filled(r)| (8)
但し、式(8)において*は複素共役を示す。
【0078】
逆位相補正処理後の実空間データをIFTして得られるk空間データのうちサンプリング領域に対応するデータをサンプリング領域におけるMRデータS
orig(k)に置換する処理は、サンプリング領域におけるデータを切出すデータ切出し関数H
merge(k)を用いた演算によって行うことができる。具体的には、MRデータS
orig(k)にデータ切出し関数H
merge(k)を乗じることによって切出されたk空間データと、逆位相補正処理後の実空間データをIFTして得られるk空間データに関数{1-H
merge(k)}を乗じることによって切出されたk空間データとを加算する処理によって置換処理を実行することができる。
【0079】
次に磁気共鳴イメージング装置20の動作及び作用について説明する。
【0080】
まず、予め寝台37に被検体Pがセットされ、静磁場電源26により励磁された静磁場用磁石21の撮像領域に静磁場が形成される。また、シミング用のプレスキャンによって収集されたデータに基づいて、シムコイル電源28からシムコイル22に所定の電流が供給されて撮像領域に形成された静磁場が均一化される。
【0081】
そして、シーケンスコントローラ31は、撮像条件設定部40において設定されたAFI用のパルスシーケンスに従って傾斜磁場電源27、送信器29及び受信器30を駆動させることにより被検体Pがセットされた撮像領域に傾斜磁場を形成させるとともに、RFコイル24からRF信号を発生させる。
【0082】
このため、被検体Pの内部における磁気共鳴により生じたMR信号が、RFコイル24により受信されて受信器30に与えられる。受信器30は、RFコイル24からMR信号を受けて、デジタルデータのMR信号である生データを生成する。受信器30は、生成した生データをシーケンスコントローラ31に与える。シーケンスコントローラ31は、生データをデータ処理部41に与え、データ処理部41は、k空間データベース43に形成されたk空間に生データを配置する。
【0083】
尚、k空間に配置される生データは、AFI用の撮像条件によって収集されるため、非対称なサンプリング領域-K
c≦k≦K
maxのMRデータS
orig(k)となる。
【0084】
次に、データ処理部41は、k空間から取得したk空間データに対するFTを含む画像再構成処理によってMR画像データを生成する。具体的には、AFI処理部41Aが、
図3又は
図9に示すような位相補正処理を伴わないAFI処理を実行する。或いは、
図10に示す位相補正処理を含むループ処理を後処理とするAFI処理がAFI処理部41Aにおいて実行される。これにより、短いデータ処理時間で、対称にサンプリングされたk空間データから生成されるMR画像データと略同等なMR画像データS
cor(r)を生成することができる。
【0085】
そして、データ処理部41において、MR画像データS
cor(r)に対する必要な画像処理を実行した後、表示装置34に表示或いは画像データベース44に保存することができる。
【0086】
つまり以上のような磁気共鳴イメージング装置20は、AFI用の撮像条件に従って収集された非対称なMRデータに0-fillingを実行して得られる振幅画像データS
0-filled(r)を、従来のMoFIR法における位相補正後のデータとして扱うようにしたものである。
【0087】
このため、磁気共鳴イメージング装置20によれば、AFI処理において従来必須であった位相補正処理が不要となる。また、位相補正処理が不要となることから、位相補正用の生データや複素画像データを収集しなくても、MoFIR法における画質と同等な画質を有するMR画像データを生成することが可能である。加えて、従来、位相補正のために要していた計算時間分だけ画像再構成処理時間を短縮することができる。つまり、磁気共鳴イメージング装置20では、MoFIR法と同等な精度を維持しつつ高速に画像データを再構成することが可能である。
【0088】
図11は、
図3に示すAFI処理によって生成した1Dシミュレーションデータを従来のAFI処理によって生成した1Dシミュレーションデータと比較した図である。
【0089】
図11において各横軸は1軸方向における位置xを示し、各縦軸は位置xにおける画像の相対信号強度Sを示す。また、
図11(A)は非対称のk空間データに0-fillingのみを実行して得られたシミュレーションデータ、
図11(B)は従来のMoFIRによって非対称のk空間データから再構成されたシミュレーションデータ、
図11(C)は対称なウィンドウ関数H
high.sym(k)を用いて
図3に示す手順で非対称のk空間データから再構成されたシミュレーションデータ、
図11(D)は非対称なウィンドウ関数H
high.asym(k)を用いて
図3に示す手順で非対称のk空間データから再構成されたシミュレーションデータである。
【0090】
図11によれば、本発明のAFI処理方法で再構成された(C)及び(D)に示すシミュレーションデータのボケが0-fillingのみを実行して得られた(A)に示すシミュレーションデータよりも改善されていることが確認できる。また、
図11の(B)、(C)及び(D)を参照すると、対称なウィンドウ関数H
high.sym(k)を用いたか非対称なウィンドウ関数H
high.asym(k)を用いたかに関わらず本発明のAFI処理方法を用いれば、MoFIRによって再構成されたシミュレーションデータと比べて特段劣らないデータが得られることが確認できる。
【0091】
更に、
図10に示すような位相誤差を低減させるループ処理を実行することによって、2乗平均平方根誤差(RMSE: root mean square error)がループ処理を実行しない場合に比べて小さくなることが1Dシミュレーションにより確認された。
【0092】
以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。
【0093】
例えば、上述した実施形態では、主としてkx軸及びky軸を有する2Dのk空間(kx, ky)のkx方向のみに非対称なk空間データのサンプリングを行う例について述べたが、kx方向及びky方向のうちの1方向又は2方向に非対称なk空間データのサンプリングを行う場合においても同様な手法で位相補正処理を伴わないAFI処理を行うことができる。更に、kx軸、ky軸及びkz軸を有する3Dのk空間(kx, ky, kz)において、1方向、2方向又は3方向に非対称なk空間データのサンプリングを行う場合においても同様な手法で位相補正処理を伴わないAFI処理を行うことができる。
【0094】
2方向以上の方向について非対称なサンプリングを行う場合には、非対称な複数のサンプリング方向についてそれぞれ1Dのウィンドウ関数を方向別に直積で生成し、生成した複数の1Dのウィンドウ関数を互いに掛け合わせることによって2D以上のウィンドウ関数を生成することができる。より具体的には、式(9-1)及び式(9-2)に示すように1Dの0-filling用のウィンドウ関数H
whole(k)及び高周波成分の劣化を補正するためのウィンドウ関数H
homo(k)をそれぞれkx軸方向、ky軸方向及びkz軸方向について生成し、互いに掛け合わせればよい。
H
whole(kx, ky, kz)=H
whole(kx)*H
whole(kx)*H
whole(kx) (9-1)
H
homo(kx, ky, kz)=H
homo(kx)*H
homo(ky)*H
homo(kz) (9-2)
【0095】
また、AFI処理において最初に実行されるFT及びIFTは、非対称なサンプリング方向に応じて1D、2D又は3Dで行えばよい。一方、最後のFTは、全ての方向について実行することにより、AFI処理後の画像データを得ることができる。