特許第6309224号(P6309224)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6309224吊り下げ構造体及び吊り下げ構造体の使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309224
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】吊り下げ構造体及び吊り下げ構造体の使用方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/08 20060101AFI20180402BHJP
   B66C 1/12 20060101ALI20180402BHJP
   B25J 19/00 20060101ALN20180402BHJP
【FI】
   B66C13/08 R
   B66C1/12 J
   !B25J19/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-174496(P2013-174496)
(22)【出願日】2013年8月26日
(65)【公開番号】特開2015-42579(P2015-42579A)
(43)【公開日】2015年3月5日
【審査請求日】2016年7月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中桐 浩
(72)【発明者】
【氏名】小山 潤悟
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−070370(JP,A)
【文献】 実公昭55−051755(JP,Y2)
【文献】 特公昭55−011595(JP,B2)
【文献】 特許第2940575(JP,B2)
【文献】 実開平01−140399(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 1/00− 1/68
B66C 13/00−15/06
B25J 1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用ロボットと、
前記産業用ロボットの両側面に対して取り付けられた一対のブラケットと、
回転端と自由端を有する一対の回転バーであって、前記一対のブラケットに対して前記回転端がそれぞれ回動自在に設けられており、前記自由端に第1索状部材を掛け止め可能な第1掛止部を備えた回転バーと、
前記一対のブラケットそれぞれに対して前記回転バーの回転中心から離間して設けられるとともに、第2索状部材が着脱自在に掛け止め可能な第2掛止部と、
前記一対のブラケットそれぞれに対して設けられるとともに、第2索状部材が着脱自在に取付可能な第3掛止部であって、該ブラケットが前記回転バーの回転中心で一方向に回転して前記第2掛止部が前記回転中心直下に位置した際、前記第2掛止部の回転位置よりも、上方に位置する第3掛止部を備え
前記一対のブラケットに対してそれぞれ回動自在に設けられた前記回転バーの回転中心は、同軸であり、
前記産業用ロボットの重心は、前記回転バーの回転中心と前記第2掛止部との間に位置しているとともに、前記回転バーの第1掛止部を前記回転中心の鉛直上方向に位置させた際に前記第1掛止部よりも低位置になっている吊り下げ構造体
【請求項2】
前記一対のブラケットは、フォークリフトのフォークが差し入れ可能な差し込み部をそれぞれ有し、
前記差し込み部は、前記第3掛止部を前記回転中心よりも鉛直上側に位置させた際に前記産業用ロボットの重心よりも上側に位置している請求項1に記載の吊り下げ構造体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の吊り下げ構造体の使用方法において、
前記一対のブラケットを前記産業用ロボットの両側面にそれぞれ取り付ける段階と、
前記一対のブラケットの回転バーの第1掛止部に第1索状部材を掛け止めた状態で、かつ、少なくともいずれか一方の前記第2掛止部に前記第2索状部材を掛け止めた状態で前記第1索状部材と第2索状部材とにより前記ブラケットを介して前記産業用ロボットを吊り上げる段階と、
前記第2索状部材の前記ブラケットに対する支持を緩めることにより、前記回転バーの回転中心の周りで前記産業用ロボットをその姿勢が安定するまで自重に任せて回転させる段階と、
前記第2索状部材を前記第2掛止部から前記第3掛止部に掛け直す段階と、
前記第3掛止部に掛け直した第2索状部材の吊り上げにより、前記産業用ロボットを前記回転バーの回転中心の周りで回転させて前記産業用ロボットを所定の姿勢になるまで姿勢変更させる段階を含む吊り下げ構造体の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用ロボットの姿勢を変更して取付けするための吊り下げ構造体及び吊り下げ構造体の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
床置き姿勢、或いは天井取付け、或いは壁取付けのように物体の姿勢を変更して取付けする場合が多くある。以下では、代表的に産業用ロボットの場合について説明する。
産業用ロボットの設置は、床置き、天吊り、壁掛け等のタイプがある。天吊り、壁掛けでロボットを設置する場合は、重量が数百キロのロボットを設置可能な姿勢に変更する必要がある。例えば、天吊りの場合、ロボット本体を床に設置する姿勢から180度反転する必要がある。
【0003】
従来は、このように天吊り、或いは壁掛けの設置の場合、ロープまたはワイヤを使用して、それらを掛け替えながら作業を行っていたが、決まった手順もなく、安全性にも乏しく、場合によっては落下によるロボット本体の損傷の可能性もあった。
【0004】
例えば、従来提案されているロボット取付装置では特許文献1が公知である。このロボット取付装置では、回転軸を備えた支持プレートがロボットのベース部の両側面に取り付けられ、前記回転軸がロボットの前方に位置するように配置されている。また、前記ロボットを天吊りで設置する設置架台には、前記回転軸を上方から掛けるための支持フックが設けられている。
【0005】
特許文献1では、床置きと同じ姿勢にしたロボット全体をクレーンでつり上げて、前記支持フックに前記回転軸を上方から掛けた状態にし、次にクレーンを下げることによってロボットを前記回転軸を中心に重力を利用して下方に回転させる。前記回転軸の真下にロボットの重心位置が来る所までロボットを回転させると、ロボットはそれ以上回転しない。
【0006】
さらに、ロボットを回転させるために、前記クレーンと前記ロボットとの連係を解除して、ロボットを別のロープ(またはワイヤ)や滑車を用いて引き上げて最初の状態から180度回転させるようにしている。
【0007】
ところで、特許文献1では、最初の状態から90度姿勢が変わるまでは、クレーンでロボットを吊り下げすることはできるが、その後の回転操作は、ロボットのほぼ真上でクレーンにて吊って作業を行うことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平2−3390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来は、ロボットを吊っているロープまたはワイヤの取り回しが複雑になり、ロボット本体に張力が掛かったロープまたはワイヤが接触する可能性がある。その結果、ロボットを傷つける可能性がある。また、完全にロボットを所定角度まで回転させるためには補助的なロープまたはワイヤを用いて、ロボットを引っ張り上げる必要があり、ロボットを完全に設置架台に固定するまでの間、前記ワイヤを引っ張り続ける必要がある。
【0010】
特許文献1では、ロボットを天吊りする場合について説明したが、ロボット以外の物体を反転または所定角度に回転して取付けする場合も同様の問題がある。また、側壁に物体を取付けする場合も、姿勢が変化する回転角度によっては、同様の問題がある。
【0011】
本発明の目的は、産業用ロボットの姿勢変更及び姿勢変更後の取付けを容易にすることである
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記問題点を解決するために、本発明の吊り下げ構造体は、産業用ロボットと、前記産業用ロボットの両側面に対して取り付けられた一対のブラケットと、回転端と自由端を有する一対の回転バーであって、前記一対のブラケットに対して前記回転端がそれぞれ回動自在に設けられており、前記自由端に第1索状部材を掛け止め可能な第1掛止部を備えた回転バーと、前記一対のブラケットそれぞれに対して前記回転バーの回転中心から離間して設けられるとともに、第2索状部材が着脱自在に掛け止め可能な第2掛止部と、前記一対のブラケットそれぞれに対して設けられるとともに、第2索状部材が着脱自在に取付可能な第3掛止部であって、該ブラケットが前記回転バーの回転中心で一方向に回転して前記第2掛止部が前記回転中心直下に位置した際、前記第2掛止部の回転位置よりも、上方に位置する第3掛止部を備え、前記一対のブラケットに対してそれぞれ回動自在に設けられた前記回転バーの回転中心は、同軸であり、前記産業用ロボットの重心は、前記回転バーの回転中心と前記第2掛止部との間に位置しているとともに、前記回転バーの第1掛止部を前記回転中心の鉛直上方向に位置させた際に前記第1掛止部よりも低位置になっているものである。
【0016】
また、前記一対のブラケット、フォークリフトのフォークが差し入れ可能な差し込み部をそれぞれ有し、前記差し込み部は、前記第3掛止部を前記回転中心よりも鉛直上側に位置させた際に前記産業用ロボットの重心よりも上側に位置していることが好ましい。
【0017】
また、本発明の吊り下げ構造体の使用方法は、前記一対のブラケットを前記産業用ロボットの両側面にそれぞれ取り付ける段階と、前記一対のブラケットの回転バーの第1掛止部に第1索状部材を掛け止めた状態で、かつ、少なくともいずれか一方の前記第2掛止部に前記第2索状部材を掛け止めた状態で前記第1索状部材と第2索状部材とにより前記ブラケットを介して前記産業用ロボットを吊り上げる段階と、前記第2索状部材の前記ブラケットに対する支持を緩めることにより、前記回転バーの回転中心の周りで前記産業用ロボットをその姿勢が安定するまで自重に任せて回転させる段階と、前記第2索状部材を前記第2掛止部から前記第3掛止部に掛け直す段階と、前記第3掛止部に掛け直した第2索状部材の吊り上げにより、前記産業用ロボットを前記回転バーの回転中心の周りで回転させて前記産業用ロボットを所定の姿勢になるまで姿勢変更させる段階を含むものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、産業用ロボットの姿勢変更及び姿勢変更後の取付けを容易にできる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態の姿勢変更装置を姿勢変更対象物に取り付けて姿勢変更前の状態の正面図。
図2】第1実施形態の姿勢変更装置の左側面図。
図3】第1実施形態の姿勢変更装置の右側面図。
図4】第1実施形態の姿勢変更装置の平面図。
図5】(a)は図1のA−A線断面図、(b)は図1のB−B線断面図。
図6】(a)は第1実施形態において、姿勢変更対象物を床に載置した状態の正面図、(b)は同じく、姿勢変更対象物を床に載置した状態の左側面図。
図7】(a)は第1実施形態において、姿勢変更対象物を吊り上げた状態の左側面図、(b)は姿勢変更対象物を回転させている状態の左側面図。
図8】(a)は第1実施形態において、姿勢変更対象物を回転させている状態の左側面図、(b)は姿勢変更対象物を自重により回転させた後の安定状態の左側面図。
図9】(a)、(b)は第2索状部材を第3掛止部にかけ直して吊り上げている状態の左側面図。
図10】(a)は姿勢変更がされた姿勢変更対象物を支持台に天吊りで取付けする場合の側面図、(b)は姿勢変更がされた姿勢変更対象物を支持台に天吊りで取付けする場合の正面図。
図11】第1実施形態において、姿勢変更がされた姿勢変更対象物をフォークリフトを使用して支持台に天吊りで取付けする場合の側面図。
図12】第2実施形態の姿勢変更装置の左側面図。
図13】第2実施形態の姿勢変更装置の右側面図。
図14】第2実施形態の姿勢変更装置で壁掛けする場合の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した姿勢変更装置及びその装置の使用方法を図1図11を参照して説明する。
【0021】
図1図5に示すように姿勢変更装置10は、一対のブラケット20、30からなる。なお、図4の平面図に示すように、姿勢変更対象物100の前後関係を基準にして右、左、前、後を定義する。本実施形態の姿勢変更対象物100は、産業用ロボットであるが、姿勢変更対象物は限定するものではない。
【0022】
図1図5(a)に示すようにブラケット20は、鉄製のブラケット本体22と、ブラケット本体22の下部に対して一体に固定された四角筒状をなす鉄製の筒部24が設けられている。
【0023】
図1に示すようにブラケット本体22は、筒部24に固定された側板25,26と、側板25の中間部と側板26上部を連結して固定された連結板27と、連結板27上面に固定されて側板25の中間部を背面から支持する支持部28とから構成されている。
【0024】
側板25、26は、平板状に形成されて相互に平行となるよう配置されている。側板26は、姿勢変更対象物100の一側面に対して沿うように配置されている。また、図5(a)に示すように側板26には、一対の長孔26aが透設されている。ブラケット20は、取付ボルト80が長孔26aを貫通して、姿勢変更対象物100に対して着脱自在に締め付けられることにより取付け可能である。また、図1図5(a)に示すように側板25、26間には取付ボルト80の締め付け、また取り外し作業のための作業スペースSが設けられている。
【0025】
図2に示すように側板25の前部における下部には、回転バー40の回転端が回動自在に軸44により支持されている。回転バー40の自由端には、第1掛止部としての係合孔42が透設されている。また、図2に示すように側板25の後部の上部は、軸44から後方へオフセットした部位において上方へ突出されており、この上端に第2掛止部としての係合孔46が透設されている。
【0026】
ここで、係合孔46、係合孔42及び姿勢変更対象物100の重心Gとの相対関係について説明する。ブラケット20が姿勢変更対象物100の一側部に取り付けられて、回転バー40の係合孔42を図2に示すように鉛直上方に配置した際、姿勢変更対象物100の重心Gは、係合孔46と係合孔42との間に位置し、かつ係合孔42よりも低位置とされている。また、図2図6(a)に示すように重心Gは、軸44の軸心と係合孔46の中心を通過する線L1に対して近位または線上に、軸44の軸心と係合孔48の中心を通過する線L2に対しては遠位にあることが好ましい。
【0027】
重心Gが、軸44の軸心と係合孔46の中心を通過する線L1に対して近位または線上にある場合、軸44を中心に姿勢変更対象物100が自重により回転した際に、重心Gが軸44の直下に位置するため、係合孔46も、軸44の直下または直下近傍に位置することになる。
【0028】
図2に示すように、筒部24の後端下部には、突片47が係合孔46及び軸44よりも下方に位置し、かつ下方へ突出するように固定されている。突片47の先端には第3掛止部としての係合孔48が透設されている。係合孔48は、係合孔46が、回転バー40の回転中心である軸44よりも直下の回転位置に位置した際、係合孔46の回転位置よりも、上方に位置するように設定されている。
【0029】
なお、図1図2に示すように突片47は、姿勢変更対象物100の下部から突出しないように配置されていることが好ましい。これは、床に置いた状態の姿勢変更対象物100に対してブラケット20を取り付ける際に、突片47を前記床面に干渉させないためである。
【0030】
また、図1図5(a)に示すように筒部24には、フォークリフトのフォークが差し込み可能に、前後方向に延びる差し込み部としての差し込み孔24aを有する。
図1図5(b)に示すようにブラケット30は、鉄製のブラケット本体32と、ブラケット本体32の下部に対して一体に固定された四角筒状をなす鉄製の筒部34が設けられている。
【0031】
図5(b)に示すようにブラケット本体32は、筒部34上面に対して段付き箱状の部材が固定されることにより構成されている。ブラケット本体32において、姿勢変更対象物100と反対側の側部には、平板状の側板35が固定されている。側板35の下部は筒部34に固定されている。
【0032】
図5(b)に示すようにブラケット本体32の上部には、姿勢変更対象物100側に取付面が向いた取付片33が設けられている。図5(b)に示すように取付片33には、一対の長孔33aが透設されている。ブラケット30は、取付ボルト90が長孔33aを貫通して、姿勢変更対象物100に対して着脱自在に締め付けられることにより取付け可能である。
【0033】
図3に示すように側板35の前部の下部には、回転バー50の回転端が回動自在に軸54により支持されている。なお、ブラケット20、30が姿勢変更対象物100の互いに反対側の側部に取り付けられた際、軸54は、軸44と同軸に配置されるように設定されている。回転バー50の自由端には、第1掛止部としての係合孔52が透設されている。また、図3に示すように側板35の後部の上部は、軸54から後方へオフセットした部位において上方へ突出されており、この上端に第2掛止部としての係合孔56が透設されている。
【0034】
ここで、係合孔56、係合孔52及び姿勢変更対象物100の重心Gとの相対関係について説明する。ブラケット30が姿勢変更対象物100の側部に取り付けられて、回転バー50の係合孔52を図3に示すように鉛直上方に配置した際、姿勢変更対象物100の重心Gは、係合孔56と係合孔52との間に位置し、かつ係合孔52よりも低位置とされている。
【0035】
また、図3に示すように重心Gは、軸54の軸心と係合孔56の中心を通過する線L3に対して近位または線上に、軸54の軸心と係合孔58の中心を通過する線L4に対しては遠位にあることが好ましい。
【0036】
重心Gが、軸54の軸心と係合孔56の中心を通過する線L3に対して近位または線上にある場合、軸54を中心に重心G(姿勢変更対象物100)が自重により回転した際に、重心Gが軸54の直下に位置するため、係合孔56も、軸54の直下または直下近傍に位置することになる。
【0037】
図3に示すように、筒部34の下部には、突片57が係合孔56の下方に位置し、かつ、下方へ突出するように固定されている。突片57の先端には第3掛止部としての係合孔58が透設されている。係合孔58は、係合孔56が、回転バー50の回転中心である軸54よりも直下の回転位置に位置した際、係合孔56の回転位置よりも、上方に位置するように設定されている。
【0038】
なお、図1図3に示すように突片57は、姿勢変更対象物100の下部から突出しないように配置されていることが好ましい。これは、床に置いた状態の姿勢変更対象物100に対してブラケット20を取り付ける際に、突片57を前記床面に干渉させないためである。
【0039】
また、図1図5(b)に示すように筒部34には、フォークリフトのフォークが差し込み可能に、前後方向に延びる差し込み部としての差し込み孔34aを有する。
(第1実施形態の作用)
上記のように構成された姿勢変更対象物100を反転する場合の使用方法を図1図5(a)、図5(b)、図6図11を参照して説明する。
【0040】
図1図5(a)、図5(b)、図6(a)、図6(b)に示すように床Fに載置した姿勢変更対象物100の相互に反対側の側部に対して、作業者は姿勢変更装置10のブラケット20,30を、取付ボルト80,90により取付け固定する。このブラケット20,30の取付けにより、筒部24,34は平行に並んで前後方向に向く。また、回転バー40,50の軸44,54は同軸に配置される。
【0041】
この状態で、図示しないクレーンにより、姿勢変更装置10を介して姿勢変更対象物100を吊り上げする準備にかかる。
具体的には、図6(a)、図6(b)に示すように、図示しないクレーンから降ろされたロープ91にフックを介して吊り下げたリング93には、一対の第1索状部材110、120が掛けられている。第1索状部材110、120は、同じ長さに設定されている。また、リング93には、第2索状部材130が、第2索状部材130を上げ下げする索状部材昇降装置134を介して掛けられている。索状部材昇降装置134は、例えば、手動式または電動式のチェーンブロックである。第1索状部材110、120、及び第2索状部材130は、本実施形態ではロープとしているが、ワイヤまたはチェーンであってもよい。図6(a)、図6(b)に示すように第1索状部材110,120の下端はフック112、122を介して回転バー40,50の係合孔42,52に掛け止めする。また、第2索状部材130の下端は、フック132を介してブラケット20の係合孔46に対して掛け止めされる。
【0042】
作業者は、第2索状部材130を、第1索状部材110、120と協働して姿勢変更対象物100が水平状態、すなわち、姿勢変更対象物100の最下面となるベース面と床Fの面とが水平となるように索状部材昇降装置134により、その長さを調整しておく。なお、この水平状態とは、回転バー40,50の係合孔42,52が軸44,54よりも鉛直上方に配置した状態で吊り上げることを前提としている。図6(b)では、回転バー40の係合孔42が軸44よりも鉛直上方に配置した状態が図示されている。
【0043】
そして、図7(a)に示すように、クレーンにより、姿勢変更装置10を介して姿勢変更対象物100を、姿勢変更対象物100が180度回転しても床Fに干渉しない高さまで水平状態で吊り上げする。
【0044】
このとき、回転バー40,50は回転中心(軸44,54)の周りで回転して係合孔42,52(第1掛止部)が鉛直上方向に位置する。またこのとき、姿勢変更対象物100は、吊り上げられた瞬間、重心Gが係合孔42,52よりも下方に位置して回転方向が定まるため、定まった回転方向に回転しようとする。すなわち、姿勢変更対象物100の吊り上げ時の回転方向を安定させる。また、姿勢変更対象物100の回転方向が定まるため、その回転方向の回転を係合孔56(第2掛止部)に掛け止めされた第2索状部材130により、姿勢変更対象物100の回転が阻止される。
【0045】
この状態で、作業者が図7(b)に示すように、索状部材昇降装置134により、第2索状部材130の長さを長くするように調整すると、姿勢変更装置10の回転バー40,50の軸44,54の周りで姿勢変更対象物100はその自重により回転する。本実施形態では、姿勢変更対象物100は後部側から下方へ回転する。
【0046】
作業者は、索状部材昇降装置134による第2索状部材130の長さをさらに長くして、第2索状部材130の吊り下げによる張力がなくなるまで調整すると、図8(a)から図8(b)に示すように、姿勢変更対象物100が回転する。
【0047】
図8(b)の段階では、姿勢変更対象物100の重心Gは、回転バー40,50の軸44,54の直下に位置することになる。すなわち、一対の第1索状部材110のみで、姿勢変更対象物100が吊り下げ支持されるとともに第1索状部材110の真下に重心Gが位置することになる。
【0048】
この状態では、突片47の係合孔48は、図8(b)に示すように、係合孔46の回転位置よりも上方に位置する。また、図示はしないが、突片57の係合孔58も係合孔56の回転位置よりも上方に位置する。
【0049】
次に、作業者は、図9(a)に示すように、第2索状部材130のフック132を係合孔46から突片47の係合孔48に掛け替えする。なお、第2索状部材130のフック132を突片57の係合孔58に掛け替えてもよい。
【0050】
この後、作業者は索状部材昇降装置134を操作して、第2索状部材130の長さを短くして図9(a)に示す矢印方向に回転させる。そして、図9(b)に示すように、作業者は、第2索状部材130の長さを短かく調整して、姿勢変更対象物100を図7(a)の状態から180度反転する位置まで回転させる。本実施形態では、所定の姿勢とは、この180度反転した姿勢のことである。
【0051】
次に、クレーンにより天吊り用の取付架台200まで横方向に移動して、図10(a)、(b)に示すように、姿勢変更対象物100のベース102を取付架台200の天井面210に対して取付け固定して天吊り状態にする。この後、作業者はクレーンを下方に降ろして第1索状部材110、120、及び第2索状部材130の張力を緩めることによりそれぞれのフック112,122,132を各係合孔42,48(58),52から取り外す。この後、作業者は姿勢変更対象物100から取付ボルト80,90を取り外すことにより、姿勢変更装置10のブラケット20,30をそれぞれ姿勢変更対象物100から外す。
【0052】
なお、クレーンでは、取付架台200の天井面210の下方に姿勢変更対象物100を移動できない場合がある。この場合は、図9(b)に示すように、反転状態の姿勢変更装置10の筒部24,34に対して、図11に示すようにフォークリフト300の一対のフォーク310を差し込みする。そして、図11に示すようにフォークリフト300により、取付架台200の天井面210の下方まで、反転状態の姿勢変更対象物100を運搬し、この状態で、姿勢変更対象物100のベース102を取付架台200の天井面210に対して取付け固定して天吊り状態にする。この状態にした後、作業者は姿勢変更対象物100から取付ボルト80,90を取り外すことにより、姿勢変更装置10のブラケット20,30をそれぞれ姿勢変更対象物100から外す。
【0053】
本実施形態の姿勢変更装置10及び使用方法によれば、下記の特徴がある。
(1) 本実施形態の姿勢変更装置10は、姿勢変更対象物100の両側面に対して着脱自在に取付けられる一対のブラケット20,30を備える。また、前記ブラケット20,30には回転バー40,50の回転端がそれぞれ回動自在に設けられており、回転バー40,50の自由端には第1索状部材110,120を掛け止め可能な係合孔42,52(第1掛止部)を備える。また、一対のブラケット20,30は、回転バー40,50の軸44,54(回転中心)から離間して設けられるとともに、第2索状部材130が着脱自在に掛け止め可能な係合孔46,56(第2掛止部)を有する。また、一対のブラケット20,30は、第2索状部材130が着脱自在に取付可能な係合孔48,58(第3掛止部)を備えている。この係合孔48,58はブラケット20,30が回転バー40,50の軸44,54(回転中心)で一方向に回転して係合孔46,56(第2掛止部)が軸44,54(回転中心)よりも直下に位置した際、係合孔46,56の回転位置よりも、上方に位置する。
【0054】
この結果、本実施形態の姿勢変更装置10によれば、姿勢変更対象物の姿勢変更及び姿勢変更後の取付けを容易にできる。
なお、特許文献1では、設置架台に取り付けなければならない支持フックの位置と前記ロボットの据え付け面との位置関係は、正確に保たれないと、ロボットのベース裏面と設置架台の取付面が密着しない。これに対して、本実施形態では、前記支持フックは存在しないため、このような問題は生じない。
【0055】
また、姿勢変更対象物100が例えば重量物である産業用ロボットの場合、ロボット本体を傷付けることなく、安全に所望の姿勢にすることが可能となる。
(2) 本姿勢変更装置10では、回転バー40,50の軸44,54(回転中心)を同軸としている。この結果、第1索状部材110,120により吊り下げられた回転バー40,50は、第2索状部材130の長さを調節した場合、ブラケット20,30を軸44,54の周りで安定して回転させることができる。
【0056】
(3) 本姿勢変更装置10のブラケット20,30は、回転バー40,50の軸44,54と係合孔46,56(第2掛止部)の間に、姿勢変更対象物の重心が位置するように姿勢変更対象物100に対して取り付けられる。
【0057】
第2索状部材130を、係合孔46から係合孔48にかけ直しする前までは、姿勢変更対象物100の重心Gが係合孔46よりも近位となる。このため、第2索状部材130の長さを長くするように調節している場合には、てこの原理から、第2索状部材130に掛かる荷重を小さくでき、前記調節を容易に行うことができる。
【0058】
(4) 本姿勢変更装置10のブラケット20,30は、回転バー40,50の係合孔42,52(第1掛止部)を軸44,54(回転中心)から鉛直上方向に位置させた際、姿勢変更対象物100に対してその重心Gが係合孔42,52(第1掛止部)よりも低位置となるように取り付けられる。
【0059】
上記の構成によりブラケット20,30を介して第1索状部材110,120及び第2索状部材130で姿勢変更対象物100を吊り上げると、回転バー40は軸44,54(回転中心)の周りで回転して係合孔42,52(第1掛止部)が鉛直上方向に位置する。このとき、姿勢変更対象物100は、吊り上げられた瞬間、重心Gが係合孔42,52(第1掛止部)よりも下方に位置して回転方向が定まるため、定まった回転方向に回転しようとする。すなわち、姿勢変更対象物100の吊り上げ時の回転方向を定まった方向にすることができる。また、定まった回転方向への姿勢変更対象物100の回転を係合孔46,56(第2掛止部)に掛け止めされた第2索状部材130により、姿勢変更対象物100の回転を阻止できる。従って、安定した状態で、ブラケット20,30を介して第1索状部材110,120及び第2索状部材130で姿勢変更対象物100を吊り上げることができる。
【0060】
(5) 本姿勢変更装置10は、姿勢変更対象物100が産業用ロボットとしている。この結果、産業用ロボットの姿勢変更及び姿勢変更後の取付けを容易にできる。
(6) 本姿勢変更装置10のブラケット20,30には、フォークリフトのフォークが差し入れ可能な差し込み孔24a,34a(差し込み部)をそれぞれ有する。この結果、姿勢変更対象物100を反転した際に、ブラケット20,30の差し込み孔24a,34a(差し込み部)に対してフォークリフトのフォークを差し込みした状態で、反転状態の姿勢変更対象物100を運搬することができる。
【0061】
(7) 本姿勢変更装置の使用方法は、姿勢変更装置10のブラケット20,30を姿勢変更対象物100の両側面にそれぞれ取り付ける。また、ブラケット20,30の回転バー40,50の係合孔42,52(第1掛止部)に第1索状部材110,120を掛け止めた状態で、かつ、一方の係合孔46(第2掛止部)に第2索状部材130を掛け止める。この状態で第1索状部材110,120と第2索状部材130とによりブラケット20,30を介して姿勢変更対象物100を吊り上げる。
【0062】
そして、第2索状部材130のブラケット20に対する支持を緩めることにより、回転バー40,50の軸44,54(回転中心)の周りで姿勢変更対象物100をその姿勢が安定するまで自重に任せて回転させる。また、第2索状部材130を一方の係合孔46(第2掛止部)から係合孔48(第3掛止部)に掛け直す。そして、係合孔48(第3掛止部)に掛け直した第2索状部材130の吊り上げにより、姿勢変更対象物100を回転バー40,50の軸44,54(回転中心)の周りで回転させて姿勢変更対象物100を所定の姿勢になるまで姿勢変更させる。この方法によれば、姿勢変更対象物の姿勢変更及び姿勢変更後の取付けを容易にできる。
【0063】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図12図14を参照して説明する。第2実施形態の姿勢変更装置10において、第1実施形態の構成と同一構成または相当する構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略し、異なる構成について説明する。
【0064】
第1実施形態では、図7(b)に示すように、姿勢変更装置10により吊り上げした状態から姿勢変更対象物100の後部を下方へ回転させて姿勢変更するようにした。
本実施形態では、姿勢変更対象物100の姿勢を変更する場合、吊り下げした状態で第1実施形態と同じ姿勢変更対象物100の前部を下方へ回転可能にしているところが異なっている。
【0065】
具体的には、姿勢変更装置10を一対のブラケット20A,30Aにて構成されている。ブラケット20Aは、第1実施形態のブラケット20の構成中、側板25の形状、回転バー40、係合孔46,係合孔48の前後の位置関係が、第1実施形態と反対となっているところが異なっている。
【0066】
すなわち、本実施形態では、図12に示すように側板25の後部における下部には、回転バー40の回転端が回動自在に軸44により支持されている。回転バー40の自由端には、第1掛止部としての係合孔42が透設されている。また、図12に示すように側板25の前部の上部は、軸44から前方へオフセットした部位において上方へ突出されており、この上端に第2掛止部としての係合孔46が透設されている。
【0067】
また、図12に示すように、係合孔46の下方に位置するように、筒部24の前端下部には、突片47が下方へ突出するように固定されている。突片47の先端には第3掛止部としての係合孔48が透設されている。係合孔48は、係合孔46が、回転バー40の回転中心である軸44よりも直下の回転位置に位置した際、係合孔46の回転位置よりも、上方に位置するように設定されている。また、重心Gの係合孔42、46との位置関係は、第1実施形態と同様である。また、ブラケット20Aの他の構成は第1実施形態と同様であり、姿勢変更対象物100に対する取付構成も第1実施形態と同様である。
【0068】
次に、図13を参照して本実施形態のブラケット30Aの構成について説明する。
本実施形態では、図13に示すように側板35の後部の下部には、回転バー50の回転端が回動自在に軸54により支持されている。なお、ブラケット20、30が姿勢変更対象物100の互いに反対側の側部に取り付けられた際、軸54は、軸44と同軸に配置されるように設定されている。回転バー50の自由端には、第1掛止部としての係合孔52が透設されている。また、図13に示すように側板35の前部の上部は、軸54から前方へオフセットした部位において上方へ突出されており、この上端に第2掛止部としての係合孔56が透設されている。
【0069】
また、図13に示すように、係合孔56の下方に位置するように、筒部34の前端下部には、突片57が下方へ突出するように固定されている。突片57の先端には第3掛止部としての係合孔58が透設されている。係合孔58は、係合孔56が、回転バー50の回転中心である軸54よりも直下の回転位置に位置した際、係合孔56の回転位置よりも、上方に位置するように設定されている。また、重心Gの係合孔52、56との位置関係は、第1実施形態と同様である。また、ブラケット30Aの他の構成は第1実施形態と同様であり、姿勢変更対象物100に対する取付構成も第1実施形態と同様である。
【0070】
(第2実施形態の作用)
上記のように構成された姿勢変更対象物100を反転する場合の使用方法は、第1実施形態と同様である。すなわち、回転バー40,50の係合孔42,52に第1索状部材110,120を、係合孔46または係合孔56の少なくともいすれか一方に第2索状部材130を掛け止めた後、第1実施形態と同様の手順で行えばよいため、説明を省略する。
【0071】
次に、第2実施形態において、姿勢変更対象物100の姿勢を反転して天吊りするのではなく、壁吊りする場合を図14を参照して説明する。図14は、壁400が床面Faに対してθ=90°の場合を示している。
【0072】
このような壁400に対して、壁吊りを行いたい場合、図12に示すように床から姿勢変更対象物100が回転できる高さまで図示しないクレーンで吊り上げする。この状態から、作業者が、索状部材昇降装置134により、第2索状部材130の長さを長くするように調整して、回転バー40,50の軸44,54の周りで姿勢変更対象物100をその自重により回転させる。本実施形態では、姿勢変更対象物100は前部側から下方へ回転する。そして、図14に示すように、作業者は、壁400の壁面に対してベース102が平行となる姿勢まで、姿勢変更対象物100を回転させる。
【0073】
この状態で、クレーンを移動させて、姿勢変更対象物100のベース102を壁400まで移動させた後、姿勢変更対象物100のベース102を壁400に設けた図示しない取付架台に対して取付け固定して壁吊り状態にする。
【0074】
この後、作業者はクレーンを下方に降ろして第1索状部材110、120、及び第2索状部材130の張力を緩めることによりそれぞれのフックを各係合孔42,48(58),52から取り外す。この後、作業者は姿勢変更対象物100から、姿勢変更装置10のブラケット20,30をそれぞれ外す。
【0075】
上記第2実施形態は、第1実施形態と同様の効果を奏する。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、下記のように構成してもよい。
【0076】
・ 第1実施形態では、図6(a)、図6(b)に示すように第2索状部材130の下端は、フック132を介して一方のブラケット20の係合孔46(第2掛止部)に対して掛け止めした。これに変えて、第2索状部材130の下端を、フック132を介してブラケット30の係合孔56(第2掛止部)に対して掛け止めしてもよい。
【0077】
・ 第1実施形態では、第2索状部材130を1つとしたが、2つ用意して、各第2索状部材130の下端を、フック132を介してブラケット20、ブラケット30の係合孔46,56(第2掛止部)のそれぞれに対して掛け止めしてもよい。
【0078】
・ 第1実施形態の索状部材昇降装置134としてチェーンブロックに変えて、ホイストであってもよい。また、チェーンブロック及びホイストは手動若しくは電動であってもよい。
【0079】
・ 前記実施形態の第1掛止部、第2掛止部及び第3掛止部を係合孔にしたが、フックに変更してもよい。この場合、例えばフック112、フック132の代わりに例えば、リングに変更して相互に掛け止め可能にする。
【0080】
・ 第1実施形態では、回転バー40,50の軸44,54と係合孔46,56(第2掛止部)の間に、姿勢変更対象物の重心が位置するように姿勢変更対象物100に対してブラケット20,30が取り付けられていた。この構成に代えて、姿勢変更対象物100の重心Gが、回転バー40,50の回転中心から係合孔46,56(第2掛止部)よりもさらに遠位となるように、ブラケット20,30が、姿勢変更対象物100に対して取り付けられていてもよい。
【0081】
この場合、第2索状部材130を、係合孔46から係合孔48にかけ直しする前までは、姿勢変更対象物100の重心Gが係合孔46よりも遠位となる。このため、第2索状部材130の長さを長くするように調節している場合には、てこの原理から、第2索状部材130に掛かる荷重は、第1実施形態よりも大きくなるが、これでもよい。
【0082】
・ 第1実施形態では、所定の姿勢を、180度反転した姿勢としたが、姿勢変更対象物100の使用する状態はユーザの希望に応じて様々であるため、180度反転した姿勢に限定するものではない。例えば、図7(b)の状態の姿勢を所定の姿勢としてもよい。
【0083】
・ なお、第1実施形態及び第2実施形態では、図4の平面図を基準にして、姿勢変更対象物100の使用するときの基準の位置で前後の関係を設定した。なお、この前後関係は、姿勢変更対象物100の仕様が異なる場合は、前後関係が反対になるものもあるため、その場合は、「前」、「後」、「左」、「右」の読みを逆の語で読替えるものとされたい。
【0084】
・ 第1実施形態、及び第2実施形態では、床面に姿勢変更対象物100を載置した状態の姿勢を基準して、姿勢変更対象物100を姿勢変更装置10により180度反転することができるようにしたものである。このため、突片47,57及び係合孔48,58が設けられている。しかしながら、図14において、壁400の角度が180°<θ<90°のように鈍角となる壁に対して姿勢変更対象物100を壁掛けする場合には、突片47,57及び係合孔48,58を使用することがないため、これらを省略してもよい。
【符号の説明】
【0085】
10…姿勢変更装置、
20…ブラケット、22…ブラケット本体、
24a…差し込み孔(差し込み部)、25…側板、
30…ブラケット、32…ブラケット本体、
34a…差し込み孔(差し込み部)、35…側板、
40…回転バー、42…係合孔(第1掛止部)、44…軸(回転中心)、
46…係合孔(第2掛止部)、48…係合孔(第3掛止部)、
50…回転バー、52…係合孔(第1掛止部)、54…軸(回転中心)、
56…係合孔(第2掛止部)、58…係合孔(第3掛止部)、
100…姿勢変更対象物、110,120…第1索状部材、
130…第2索状部材、300…フォークリフト、400…壁、
G…重心。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14