(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリマーおよびブルー相液晶を含む複合体であって、ポリマーが、架橋された非液晶ポリマーであり、ブルー相液晶が、前記ポリマー内に分散しており、ポリマーとブルー相液晶の重量比(Wp/Wl)が、以下の関係式:
20:80≦Wp/Wl≦30:70
(ここで、Wpはポリマーの重量であり、Wlはブルー相液晶の重量である)を満たすことを特徴とする、複合体。
ポリマーが、少なくとも1つの光重合可能な多官能性(メチル)アクリレートおよび少なくとも1つの光重合可能な単官能性(メチル)アクリレートを含むモノマーから導出されることを特徴とする、請求項1に記載の複合体。
多官能性(メチル)アクリレートが、ブタンジオールジアクリレート(BDDA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、4-[2-メチル-4-(4-アクリルオキシルプロポキシル)ベンゾイルオキシ]フェノキシカルボニル-フェノキシルプロピルアクリレートおよびその組合せからなる群から選択され、
単官能性(メチル)アクリレートが、(2,2,5-トリメチル)ヘキシルアクリレート(TMHA)、2-エチルヘキシルアクリレートおよびその組合せからなる群から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の複合体。
ブルー相液晶が、5.0℃を超えるブルー相の温度範囲を示し、粘度34〜45mPa・s、融点-20℃〜-15℃および透明点68〜88℃を有することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
光重合可能な官能基を有する非液晶化合物が、少なくとも1つの多官能性(メチル)アクリレートおよび少なくとも1つの単官能性(メチル)アクリレートを含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
多官能性(メチル)アクリレートが、ブタンジオールジアクリレート(BDDA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、4-[2-メチル-4-(4-アクリルオキシルプロポキシル)ベンゾイルオキシ]フェノキシカルボニル-フェノキシルプロピルアクリレートおよびその組合せからなる群から選択され、
単官能性(メチル)アクリレートが、(2,2,5-トリメチル)ヘキシルアクリレート(TMHA)、(2-エチル)ヘキシルアクリレートおよびその組合せからなる群から選択されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
光重合可能な官能基を有する非液晶化合物の中で、すべての単官能性(メチル)アクリレートと、すべての多官能性(メチル)アクリレートのモル基準の比が、1:1〜1:9であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
光重合可能な官能基を有する非液晶化合物の中で、すべての単官能性(メチル)アクリレートと、すべての多官能性(メチル)アクリレートのモル基準の比が、1:4であることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、ポリマーおよびブルー相液晶を含む複合体に関する。該ポリマーは、架橋された非液晶ポリマーであり、該ブルー相液晶は、前記ポリマー内に分散している。
【0022】
複合体において、ポリマーとブルー相液晶の重量比(W
p/W
l)は、関係式12:88<W
p/W
l≦30:70(ここで、W
pはポリマーの重量であり、W
lはブルー相液晶の重量である)を満たすことが好ましい。より好ましくは、比W
p/W
lは、15:85≦W
p/W
l≦25:75を満たし、最も好ましくは、比W
p/W
lは20:80である。
【0023】
本発明はまた、ポリマーおよびブルー相液晶を含む複合体を調製する方法に関する。該方法は、
光重合可能な官能基を有する非液晶化合物を、ブルー相液晶と比W
c/W
lでブレンドして、ブレンドを形成するステップであって、W
cは非液晶化合物の重量であり、W
lはブルー相液晶の重量であり、比W
c/W
lは、関係式12:88<W
c/W
l≦30:70を満たすステップと、
光開始剤をブレンドに添加して、反応性混合物を形成するステップと、
反応性混合物中のブルー相液晶を、ブルー相に維持すると同時に、反応性混合物に光(好ましくはUV光)を放射し、したがって光重合可能な官能基を有する非液晶化合物間の架橋反応を介してポリマーネットワークを形成し、それによって、ポリマーおよびブルー相液晶を含む複合体を形成するステップと
を含む。
【0024】
本発明では、ブルー相液晶は、5.0℃を超えるブルー相の温度範囲を示し、粘度34〜45mPa・s、融点-20℃〜-15℃および透明点68〜88℃を有するブルー相液晶であることが好ましい。
【0025】
本発明では、比W
c/W
lが、15:85≦W
c/W
l≦25:75を満たすことが好ましく、より好ましくは、比W
c/W
lは20:80である。
【0026】
本発明では、前記光重合可能な官能基を有する非液晶化合物は、本発明の複合体に含有されるポリマーを形成するためのモノマーである。このモノマーは、好ましくは、少なくとも1つの多官能性(メチル)アクリレートおよび少なくとも1つの単官能性(メチル)アクリレートを含み、これらはそれぞれ、光重合可能な化合物である。
【0027】
本発明では、すべての単官能性(メチル)アクリレートとすべての多官能性(メチル)アクリレートのモル基準の比は、1:1〜1:9であり、好ましくは1:4である。
【0028】
本発明では、用語「光重合可能な」は、重合可能なモノマーが、光の照射によって、重合および架橋反応を受けることを意味し、通常は、紫外(UV)光の照射による重合を意味する。
【0029】
本発明では、用語「(メチル)アクリレート」は、(メチル)アクリル基、好ましくは(メチル)アクリレート基を有する光重合可能な化合物を指す。本明細書で、用語「(メチル)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの両方を意味する。(メチル)アクリレートは、単官能性または多官能性(メチル)アクリレートである。本発明において有用な多官能性(メチル)アクリレートには、それに限定されるものではないが、2個または3個の(メチル)アクリレート基を有する光重合可能な化合物が含まれ、例えば、ブタンジオールジアクリレート(BDDA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、4-[2-メチル-4-(4-アクリルオキシルプロポキシル)ベンゾイルオキシ]フェノキシカルボニル-フェノキシルプロピルアクリレートおよびその組合せからなる群から選択することができる。本発明において有用な単官能性(メチル)アクリレートには、それに限定されるものではないが、1個の(メチル)アクリレート基を有する光重合可能な化合物が含まれ、例えば、(2,2,5-トリメチル)ヘキシルアクリレート(TMHA)、(2-エチル)ヘキシルアクリレートおよびその組合せからなる群から選択することができる。
【0030】
本発明の方法では、光開始剤は、重合反応を開始するのに十分な量で使用される。通常、光開始剤の量は、光重合可能な官能基を有する非液晶化合物の総量に対して、0.5重量%〜1.5重量%である。
【0031】
好ましくは、前記光開始剤はUV光開始剤である。ポリマーネットワークを形成するためにUV光を照射することにより、光重合可能な化合物(モノマー)を重合および架橋反応させ、それによって本発明の複合体を得る。
【0032】
本発明の方法では、照射は、通常2〜10mW/cm
2の線量で数分から数時間、通常0.5時間以上、例えば0.5〜5時間、0.5〜3時間または0.5〜1時間実施することができる。
【0033】
本発明はまた、一対の基材および本発明の複合体を含む液晶ディスプレイデバイスに関する。基材の少なくとも一方の上には、電極が形成されており、複合体は、その一対の基材の間に密封されている。
【0034】
本発明の複合体、複合体を調製する方法およびLCDデバイスを、以下の実施例によって詳細に例示する。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【実施例1】
【0035】
ステップ1:広い温度範囲を示すBPLCの調製
この実施例で使用したBPLCは、82.0wt%のSLC-X(YongshengHuatsing Liquid Crystal Co., Ltd.の製品である混晶、298KにおいてΔn=0.235、Δε=29.6)、10.0wt%のR811および8.0wt%のIso-(6OBA)
2からなる。BPLCは、約10.0℃のブルー相の温度範囲を示す。キラル化合物であるR811およびIso-(6OBA)
2(ドイツのMerk GmbHから市販)は、以下の構造式によって表される。
【0036】
【化1】
【0037】
BPLCは、粘度35mPa・s、融点-15℃および透明点86℃を有する。
【0038】
BPLCを以下の手順によって調製した。
【0039】
82.0wt%のSLC-X、10.0wt%のR811および8.0wt%のIso-(6OBA)
2を、一緒に混合し、次に透明点を超える温度(透明点よりも約5〜10℃高い)まで加熱し、磁気撹拌機によって十分に撹拌しながら約30分間維持した。こうして所望のBPLC材料が得られた。
【0040】
ステップ2:反応混合物の調製
TMHAおよびBDDA(それらの構造は
図1に示されている)を、ポリマー単量体(すなわち、光重合可能な官能基を有する非液晶化合物)として使用し、TMHA/BDDAのモル基準の比は1:4であった。ポリマー単量体を、BPLC材料と、重量30:70の混合比で室温においてブレンドすることによって、ブレンドを調製した。次に、光重合可能な官能基を有する非液晶化合物の総量に対して約1重量%の比で、光開始剤(その構造は
図2に示されている)をブレンドに添加した。十分に撹拌すると、均質な反応性混合物が得られた。
【0041】
ステップ3:複合体の調製
ステップ2で得られた均質な反応性混合物を、サイフォン作用を用いて液晶セルに注入して、試料を調製した。液晶セルはIPSセルであり、電極幅は5.0マイクロメータであり、電極間距離は5.0マイクロメータであり、セルギャップは、スペーサによって10.0マイクロメータに維持した。試料を加熱ステージ(Linkam LK-600PM)上に維持し、その温度を0.1℃の精度で正確に制御し、したがってBPLCをブルー相に維持した。試料に、UV光を線量5mW/cm
2で40分間照射した。光重合可能な官能基を有する非液晶化合物の架橋反応が進行してポリマーネットワークが形成され、こうして実施例1の複合体が得られた。
【0042】
ステップ4:複合体の特性の測定
複合体のBPLCのテクスチャを、加熱ステージを備えた偏光顕微鏡を用いて観察し、相転移温度を測定した。複合体の電気光学特性を、Liquid Crystal Parameters Tester(LCT-5016C、Changchun Liancheng Instrument Co.Ltd.)によって決定した。
【0043】
本発明に従って調製した複合体の電気光学特性を、下記の方法によって試験した。電気光学特性の試験を実施して、主に複合体のそれぞれの電気的に誘発された複屈折Δn
誘発を測定した。
【0044】
本発明の複合体は、外部電場(E)が印加されないときは巨視的に光学的等方性を示す。印加電場が増大すると、複合体は電場の方向に沿って異方性を示すようになる。このように電気的に誘発された複屈折現象は、Kerr効果に従い、すなわちある特定の範囲の電場強度においては、材料の、電場によって誘発された複屈折Δn
誘発、ならびに電場強度E、検出波長λおよびKerr定数Kは、以下の関係式を満たす。
Δn
誘発=λKE
2 (1)
【0045】
本発明の複合体のΔn
誘発を測定するために、ステップ2によって調製した反応性混合物を、サイフォン作用を用いて、面内電極を備えた液晶セルに注入した(IPSセル、電極幅は5.0マイクロメータであり、電極間距離は5.0マイクロメータであり、セルギャップは、スペーサによって10.0マイクロメータに維持した)。得られた試料を、入射光の方向に対して45°の角度に向けた。温度を、加熱ステージ(Linkam LK-600PM)によって正確に(0.1℃の精度で)制御した。電気的に誘発された複屈折Δn
誘発を測定するために、電力増幅器および関数発生器によって供給される周波数60Hzの矩形交流を、IPSセルの2つの電極間に印加した。試料液晶セルを、2つの交差偏光子の間に置き、液晶セルを透過した光の強度を、フォトダイオードによって検出した。出力強度I
outは、等式(2)によって表される。
I
out=I
insin
2(φ/2) (2)
ここで、I
inは入射光の強度であり、I
outは出力光の強度であり、φは光学的遅延角度である。誘発された複屈折Δn
誘発は、等式(3)によって算出することができる。
φ=2πΔn
誘発d/λ (3)
ここで、dは光路長であり、すなわち液晶セルの最上基材と最下基材の間のギャップである。
【0046】
複合体を偏光顕微鏡で観察し、この複合体がBPLCのテクスチャを有することを確認した。相転移温度も、偏光顕微鏡を用いて測定した。実施例1の複合体は、60℃を超えるブルー相の温度範囲(約10℃〜70℃)を有することが見出された。複合体の電気光学特性を、Liquid Crystal Parameters Testerで測定した。
図4は、複合体の電圧-透過率曲線を示す。図に示した透過率は、100%の空気透過率で正規化したものである。複合体試料の駆動電圧を、電圧-透過率曲線の透過率ピークに対応する電圧として測定する。応答速度を、ON状態とOFF状態の間の応答時間の合計として測定する。結果として、複合体試料は、約110Vの駆動電圧および1ms未満の応答速度を示した。
【0047】
比較例
ステップ1:広い温度範囲を示すBPLCの調製
この実施例で使用したBPLCは、82.0wt%のSLC-X(YongshengHuatsing Liquid Crystal Co., Ltd.の製品である混晶、298KにおいてΔn=0.235、Δε=29.6)、10.0wt%のR811および8.0wt%のIso-(6OBA)
2からなる。BPLCは、約10.0℃のブルー相の温度範囲を示す。キラル化合物であるR811およびIso-(6OBA)
2(ドイツのMerk GmbHから市販)は、以下の構造式によって表される。
【0048】
【化2】
【0049】
BPLCは、粘度35mPa・s、融点-15℃および透明点86℃を有する。
【0050】
BPLCを以下の手順によって調製した。
【0051】
82.0wt%のSLC-X、10.0wt%のR811および8.0wt%のIso-(6OBA)
2を、一緒に混合し、次に透明点を超える温度(透明点よりも約5〜10℃高い)まで加熱し、磁気撹拌機によって十分に撹拌しながら約30分間維持した。こうして所望のBPLC材料が得られた。
【0052】
ステップ2:反応混合物の調製
TMHAおよびBDDA(それらの構造は
図1に示されている)を、ポリマー単量体(すなわち、光重合可能な官能基を有する非液晶化合物)として使用し、TMHA/BDDAのモル基準の比は1:4であった。ポリマー単量体を、BPLC材料と、重量10:90の混合比で室温においてブレンドすることによって、ブレンドを調製した。次に、光重合可能な官能基を有する非液晶化合物の総量に対して約1重量%の比で、光開始剤(その構造は
図2に示されている)をブレンドに添加した。十分に撹拌すると、均質な反応性混合物が得られた。
【0053】
ステップ3:複合体の調製
ステップ2で得られた均質な反応性混合物を、サイフォン作用を用いて液晶セルに注入して、試料を調製した。液晶セルはIPSセルであり、電極幅は5.0マイクロメータであり、電極間距離は5.0マイクロメータであり、セルギャップは、スペーサによって10.0マイクロメータに維持した。試料を加熱ステージ(Linkam LK-600PM)上に維持し、その温度を0.1℃の精度で正確に制御し、したがってBPLCをブルー相に維持した。試料に、UV光を線量5mW/cm
2で30分間照射した。光重合可能な官能基を有する非液晶化合物の架橋反応が進行してポリマーネットワークが形成され、こうして比較例の複合体が得られた。
【0054】
ステップ4:複合体の特性の測定
得られた複合体を、実施例1に記載の方法と同じ方法に従って、加熱ステージを備えた偏光顕微鏡を用いて観察した。複合体がBPLCのテクスチャを有することが確認され、相転移温度を測定した。この比較例の複合体は、30℃を超えるブルー相の温度範囲(約20℃〜50℃)を有することが見出された。複合体の電気光学特性を、実施例1に記載の方法と同じ方法に従って、Liquid Crystal Parameters Testerによって測定した。
図3は、複合体の電圧-透過率曲線を示す。結果として、複合体試料は、約100Vの駆動電圧および1ms未満の応答速度を示した。
【実施例2】
【0055】
ステップ1:広い温度範囲を示すBPLCの調製
この実施例で使用したBPLCは、60.0wt%のSLC-1717(YongshengHuatsing Liquid Crystal Co., Ltd.の製品である混晶、298KにおいてΔn=0.22、Δε=12.2)および40.0wt%のR811からなる。BPLCは、約8.0℃のブルー相の温度範囲を示す。キラル化合物であるR811は、以下の構造式によって表される。
【0056】
【化3】
【0057】
BPLCは、粘度45mPa・s、融点-20℃および透明点68℃を有する。
【0058】
BPLCを以下の手順によって調製した。
【0059】
60.0wt%のSLC-1717および40.0wt%のR811を、一緒に混合し、次に透明点を超える温度(透明点よりも約5〜10℃高い)まで加熱し、磁気撹拌機によって十分に撹拌しながら約30分間維持した。こうして所望のBPLC材料が得られた。
【0060】
ステップ2:反応混合物の調製
TMHAおよびTMPTA(それらの構造は
図1に示されている)を、ポリマー単量体(すなわち、光重合可能な官能基を有する非液晶化合物)として使用し、TMHA/TMPTAのモル基準の比は1:4であった。ポリマー単量体を、BPLC材料と、重量30:70の混合比で室温においてブレンドすることによって、ブレンドを調製した。次に、光重合可能な官能基を有する非液晶化合物の総量に対して約1重量%の比で、光開始剤(その構造は
図2に示されている)をブレンドに添加した。十分に撹拌すると、均質な反応性混合物が得られた。
【0061】
ステップ3:複合体の調製
ステップ2で得られた均質な反応性混合物を、サイフォン作用を用いて液晶セルに注入して、試料を調製した。液晶セルはIPSセルであり、電極幅は5.0マイクロメータであり、電極間距離は5.0マイクロメータであり、セルギャップは、スペーサによって10.0マイクロメータに維持した。試料を加熱ステージ(Linkam LK-600PM)上に維持し、その温度を0.1℃の精度で正確に制御し、したがってBPLCをブルー相に維持した。試料に、UV光を線量5mW/cm
2で30分間照射した。光重合可能な官能基を有する非液晶化合物の架橋反応が進行してポリマーネットワークが形成され、こうして実施例2の複合体が得られた。
【0062】
ステップ4:複合体の特性の測定
得られた複合体を、実施例1に記載の方法と同じ方法に従って、加熱ステージを備えた偏光顕微鏡を用いて観察した。複合体がBPLCのテクスチャを有することが確認され、相転移温度を測定した。この実施例の複合体は、70℃を超えるブルー相の温度範囲(約5℃〜75℃)を有することが見出された。複合体の電気光学特性を、実施例1に記載の方法と同じ方法に従って、Liquid Crystal Parameters Testerによって測定した。
図5は、複合体の電圧-透過率曲線を示す。結果として、複合体試料は、約120Vの駆動電圧および1ms未満の応答速度を示した。
【実施例3】
【0063】
ステップ1:広い温度範囲を示すBPLCの調製
この実施例で使用したBPLCは、92.0wt%のSLC-X(YongshengHuatsing Liquid Crystal Co., Ltd.の製品である混晶、298KにおいてΔn=0.235、Δε=29.6)および8.0wt%のIso-(6OBA)
2からなる。BPLCは、約5.0℃のブルー相の温度範囲を示す。
【0064】
BPLCは、粘度34mPa・s、融点-16℃および透明点88℃を有する。
【0065】
BPLCを以下の手順によって調製した。
【0066】
92.0wt%のSLC-Xおよび8.0wt%のIso-(6OBA)
2を、一緒に混合し、次に透明点を超える温度(透明点よりも約5〜10℃高い)まで加熱し、磁気撹拌機によって十分に撹拌しながら約30分間維持した。こうして所望のBPLC材料が得られた。
【0067】
ステップ2:反応混合物の調製
TMHA、BDDAおよびTMPTA(それらの構造は
図1に示されている)を、ポリマー単量体(すなわち、光重合可能な官能基を有する非液晶化合物)として使用し、TMHA/BDDA/TMPTAのモル基準の比は1:2:3であった。ポリマー単量体を、BPLC材料と、重量20:80の混合比で室温においてブレンドすることによって、ブレンドを調製した。次に、光重合可能な官能基を有する非液晶化合物の総量に対して約1重量%の比で、光開始剤(その構造は
図2に示されている)をブレンドに添加した。十分に撹拌すると、均質な反応性混合物が得られた。
【0068】
ステップ3:複合体の調製
ステップ2で得られた均質な反応性混合物を、サイフォン作用を用いて液晶セルに注入して、試料を調製した。液晶セルはIPSセルであり、電極幅は5.0マイクロメータであり、電極間距離は5.0マイクロメータであり、セルギャップは、スペーサによって10.0マイクロメータに維持した。試料を加熱ステージ(Linkam LK-600PM)上に維持し、その温度を0.1℃の精度で正確に制御し、したがってBPLCをブルー相に維持した。試料に、UV光を線量5mW/cm
2で30分間照射した。光重合可能な官能基を有する非液晶化合物の架橋反応が進行してポリマーネットワークが形成され、こうして実施例3の複合体が得られた。
【0069】
ステップ4:複合体の特性の測定
得られた複合体を、実施例1に記載の方法と同じ方法に従って、加熱ステージを備えた偏光顕微鏡を用いて観察した。複合体がBPLCのテクスチャを有することが確認され、相転移温度を測定した。この実施例の複合体は、60℃を超えるブルー相の温度範囲(約10℃〜70℃)を有することが見出された。複合体の電気光学特性を、実施例1に記載の方法と同じ方法に従って、Liquid Crystal Parameters Testerによって測定した。
図6は、複合体の電圧-透過率曲線を示す。結果として、複合体試料は、約105Vの駆動電圧および1ms未満の応答速度を示した。
【実施例4】
【0070】
ステップ1:広い温度範囲を示すBPLCの調製
この実施例で使用したBPLCは、92.0wt%のSLC-X(YongshengHuatsing Liquid Crystal Co., Ltd.の製品である混晶、298KにおいてΔn=0.235、Δε=29.6)および8.0wt%のIso-(6OBA)
2からなる。BPLCは、約5.0℃のブルー相の温度範囲を示す。
【0071】
BPLCは、粘度34mPa.s、融点-16℃および透明点88℃を有する。
【0072】
BPLCを以下の手順によって調製した。
【0073】
92.0wt%のSLC-Xおよび8.0wt%のIso-(6OBA)
2を、一緒に混合し、次に透明点を超える温度(透明点よりも約5〜10℃高い)まで加熱し、磁気撹拌機によって十分に撹拌しながら約30分間維持した。こうして所望のBPLC材料が得られた。
【0074】
ステップ2:反応混合物の調製
TMHA、BDDAおよびTMPTA(それらの構造は
図1に示されている)を、ポリマー単量体(すなわち、光重合可能な官能基を有する非液晶化合物)として使用し、TMHA/BDDA/TMPTAのモル基準の比は2:1:1であった。ポリマー単量体を、BPLC材料と、重量20:80の混合比で室温においてブレンドすることによって、ブレンドを調製した。次に、光重合可能な官能基を有する非液晶化合物の総量に対して約1重量%の比で、光開始剤(その構造は
図2に示されている)をブレンドに添加した。十分に撹拌すると、均質な反応性混合物が得られた。
【0075】
ステップ3:複合体の調製
ステップ2で得られた均質な反応性混合物を、サイフォン作用を用いて液晶セルに注入して、試料を調製した。液晶セルはIPSセルであり、電極幅は5.0マイクロメータであり、電極間距離は5.0マイクロメータであり、セルギャップは、スペーサによって10.0マイクロメータに維持した。試料を加熱ステージ(Linkam LK-600PM)上に維持し、その温度を0.1℃の精度で正確に制御し、したがってBPLCをブルー相に維持した。試料に、UV光を線量5mW/cm
2で30分間照射した。光重合可能な官能基を有する非液晶化合物の架橋反応が進行してポリマーネットワークが形成され、こうして実施例4の複合体が得られた。
【0076】
ステップ4:複合体の特性の測定
得られた複合体を、実施例1に記載の方法と同じ方法に従って、加熱ステージを備えた偏光顕微鏡を用いて観察した。複合体がBPLCのテクスチャを有することが確認され、相転移温度を測定した。この実施例の複合体は、60℃を超えるブルー相の温度範囲(約10℃〜70℃)を有することが見出された。複合体の電気光学特性を、実施例1に記載の方法と同じ方法に従って、Liquid Crystal Parameters Testerによって測定した。
図7は、複合体の電圧-透過率曲線を示す。結果として、複合体試料は、約100Vの駆動電圧および1ms未満の応答速度を示した。
【実施例5】
【0077】
ステップ1:広い温度範囲を示すBPLCの調製
この実施例で使用したBPLCは、92.0wt%のSLC-X(YongshengHuatsing Liquid Crystal Co., Ltd.の製品である混晶、298KにおいてΔn=0.235、Δε=29.6)および8.0wt%のIso-(6OBA)
2からなる。BPLCは、約5.0℃のブルー相の温度範囲を示す。
【0078】
BPLCは、粘度34mPa.s、融点-16℃および透明点88℃を有する。
【0079】
BPLCを以下の手順によって調製した。
【0080】
92.0wt%のSLC-Xおよび8.0wt%のIso-(6OBA)
2を、一緒に混合し、次に透明点を超える温度(透明点よりも約5〜10℃高い)まで加熱し、磁気撹拌機によって十分に撹拌しながら約30分間維持した。こうして所望のBPLC材料が得られた。
【0081】
ステップ2:反応混合物の調製
TMHA、BDDAおよびTMPTA(それらの構造は
図1に示されている)を、ポリマー単量体(すなわち、光重合可能な官能基を有する非液晶化合物)として使用し、TMHA/BDDA/TMPTAのモル基準の比は1:4:5であった。ポリマー単量体を、BPLC材料と、重量20:80の混合比で室温においてブレンドすることによって、ブレンドを調製した。次に、光重合可能な官能基を有する非液晶化合物の総量に対して約1重量%の比で、光開始剤(その構造は
図2に示されている)をブレンドに添加した。十分に撹拌すると、均質な反応性混合物が得られた。
【0082】
ステップ3:複合体の調製
ステップ2で得られた均質な反応性混合物を、サイフォン作用を用いて液晶セルに注入して、試料を調製した。液晶セルはIPSセルであり、電極幅は5.0マイクロメータであり、電極間距離は5.0マイクロメータであり、セルギャップは、スペーサによって10.0マイクロメータに維持した。試料を加熱ステージ(Linkam LK-600PM)上に維持し、その温度を0.1℃の精度で正確に制御し、したがってBPLCをブルー相に維持した。試料に、UV光を線量5mW/cm
2で30分間照射した。光重合可能な官能基を有する非液晶化合物の架橋反応が進行してポリマーネットワークが形成され、こうして実施例5の複合体が得られた。
【0083】
ステップ4:複合体の特性の測定
得られた複合体を、実施例1に記載の方法と同じ方法に従って、加熱ステージを備えた偏光顕微鏡を用いて観察した。複合体がBPLCのテクスチャを有することが確認され、相転移温度を測定した。この実施例の複合体は、70℃を超えるブルー相の温度範囲(約5℃〜75℃)を有することが見出された。複合体の電気光学特性を、実施例1に記載の方法と同じ方法に従って、Liquid Crystal Parameters Testerによって測定した。
図8は、複合体の電圧-透過率曲線を示す。結果として、複合体試料は、約130Vの駆動電圧および1ms未満の応答速度を示した。
【0084】
前述の実施例は、本発明の方法が、ブルー相の非常に広い温度範囲を示し、電場に急速な速度で応答し(ミリ秒以下のレベル)、駆動電圧がより低く、広い温度範囲において良好な安定性を有する、ポリマーおよびBPLCを含む複合体を提供し得ることを明らかにしている。混晶の粘度が低いので、BPLCは、ポリマーネットワーク内に容易に分散することができる。したがって、本発明の方法に基づくと、大型で高い均質性を有する液晶製品を開発することが可能となる。さらに、本発明によって調製された複合体は、公知の高分子安定化BPLC複合体材料と比較して、より多量のポリマー含量を有することができる。したがって、電場におけるポリマーネットワークの変形を有効に防止することができ、ポリマーネットワークの微細構造は、ポリマーのモノマーを調節することによって正確に制御することができる。
【0085】
本発明はさらに、少なくとも一方の上に電極が形成された一対の基材を含み、かつその一対の基材の間に複合体が密封されている液晶ディスプレイデバイスを提供する。ディスプレイデバイスは、液晶パネル、またはディスプレイ機能を有する任意の製品もしくはその部品、例えば携帯電話、タブレット型PC、テレビ、ディスプレイ、ノート型パソコン、デジタル画像フレーム、ナビゲーター等であり得る。
【0086】
当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱せずに本発明に様々な変更および改変を加え得ることが明らかである。したがって、これらの変更および改変が、本発明の特許請求の範囲またはその等価物に含まれる場合、本発明はまた、これらの変更および改変を包含するものとする。