(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309247
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】ギア付きターボ機械
(51)【国際特許分類】
F01K 23/12 20060101AFI20180402BHJP
F16H 1/22 20060101ALI20180402BHJP
F02C 6/00 20060101ALI20180402BHJP
F02C 7/36 20060101ALI20180402BHJP
F01D 15/12 20060101ALI20180402BHJP
【FI】
F01K23/12
F16H1/22
F02C6/00 B
F02C6/00 D
F02C7/36
F01D15/12
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-233797(P2013-233797)
(22)【出願日】2013年11月12日
(65)【公開番号】特開2014-98390(P2014-98390A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2016年6月22日
(31)【優先権主張番号】10 2012 022 131.2
(32)【優先日】2012年11月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510153962
【氏名又は名称】マン・ディーゼル・アンド・ターボ・エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(73)【特許権者】
【識別番号】508204618
【氏名又は名称】フォイト・パテント・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トビアス・ヴィーデマン
(72)【発明者】
【氏名】ハイコ・ノイベルガー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン−ニクラス・ブレイル
【審査官】
山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−200531(JP,A)
【文献】
特開2009−287555(JP,A)
【文献】
特開平05−018394(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第00555948(EP,A1)
【文献】
国際公開第01/004477(WO,A1)
【文献】
米国特許第03592078(US,A)
【文献】
特開2012−092653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 23/12
F01D 15/12
F02C 6/00
F02C 7/36
F16H 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体化されたトランスミッション(2)を介してマシントレイン内に駆動ユニットおよび/または出力ユニット(A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9)を統合したギア付きターボ機械(1)であって、
前記一体化されたトランスミッション(2)はブルギアシャフト(13)を備えた中央ブルギア(9)と、ピニオンシャフト(11、16)を備えた少なくとも2つのピニオン(10、14)と、駆動シャフト(6)を備えた駆動ピニオン(8)と、を具備し、
前記ブルギア(9)と第1ピニオン(10)との間には、前記ブルギア(9)と前記第1ピニオンとの両方と係合した前記駆動ピニオン(8)が配置され、
前記ブルギア(9)は運転可能に第2ピニオン(14)に接続されており、
前記ブルギアシャフト(13)は少なくとも1つの駆動ユニットおよび/または出力ユニット(A7、A9)に回転可能に固定された態様において接続されており、
前記駆動ピニオン(8)の駆動シャフト(6)は少なくとも1つの駆動ユニット(A8)に回転可能に固定された態様において接続されており、
前記ピニオンシャフト(11、16)の端部は、各々が少なくとも1つの駆動ユニットおよび/または出力ユニット(A1、A2、A3、A6)に回転可能に固定された態様において接続されたギア付きターボ機械(1)において、
前記ブルギア(9)は運転可能に前記第2ピニオン(14)に接続されており、前記ブルギア(9)と前記第2ピニオン(14)との間には中間ホイールシャフト(19)を備えた中間ホイール(18)が配置され、該中間ホイールは前記ブルギア(9)と前記第2ピニオン(14)との両方と係合しており、
前記中間ホイールシャフト(19)の端部は、駆動ユニットおよび/または出力ユニット(A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9)に接続されていないことを特徴とするギア付きターボ機械(1)。
【請求項2】
前記駆動シャフト(6)、第1ピニオンシャフト(11)、前記中間ホイールシャフト(19)、第2ピニオンシャフト(16)、および前記ブルギア(9)のシャフト(13)は、同一水平面上に位置していることを特徴とする請求項1に記載のギア付きターボ機械(1)。
【請求項3】
前記ブルギア(9)はピニオンシャフト(17)を備えた少なくとも1つのさらなる駆動ピニオン(15)と係合しており、少なくとも1つの前記ピニオンシャフト(17)の端部は少なくとも1つの駆動ユニットおよび/または出力ユニット(A4、A5)に回転可能に固定された態様において接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載のギア付きターボ機械(1)。
【請求項4】
前記ピニオンシャフト(11、16、17)に取り付けられた少なくとも1つの前記駆動ユニットおよび/または出力ユニット(A1、A2、A3、A4、A5、A6)はコンプレッサステージ(I、II、III、IV、V、VI)のインペラであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のギア付きターボ機械(1)。
【請求項5】
前記ピニオンシャフト(11、16、17)に取り付けられた少なくとも1つの前記駆動ユニットおよび/または出力ユニット(A1、A2、A3、A4、A5、A6)は膨張器ステージ(I、II、III、IV、V、VI)のインペラであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のギア付きターボ機械(1)。
【請求項6】
前記駆動ピニオン(8)と回転可能に固定された態様において係合した前記駆動ユニット(A8)はターボパワー機械、電気駆動機械、または内燃エンジンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のギア付きターボ機械(1)。
【請求項7】
前記ブルギアシャフト(13)と回転可能に固定された態様において係合した少なくとも1つの前記駆動ユニットおよび/または出力ユニット(A7)は、モータ接続において駆動ユニットとして形成されたおよびジェネレータ接続において出力ユニットとして形成されたモータおよび/またはジェネレータであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のギア付きターボ機械(1)。
【請求項8】
前記ブルギアシャフト(13)と回転可能に固定された態様において係合した少なくとも1つの前記駆動ユニットおよび/または出力ユニット(A9)は、膨張器(A9)であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のギア付きターボ機械(1)。
【請求項9】
前記ブルギアシャフト(13)と回転可能に固定された態様において係合した前記駆動ユニットおよび/または出力ユニット(A7、A9)は直列に配列されており、前記ギア付きターボ機械(1)の始動のために、モータ接続された前記モータ/ジェネレータ(A7)は初期的に駆動ユニットとして作用し、始動後においては、動作において前記膨張器(A9)は駆動ユニットとして作用し、且つジェネレータ接続された前記モータ/ジェネレータ(A7)は出力ユニットとして作用することを特徴とする請求項7に従属した請求項8に記載のギア付きターボ機械(1)。
【請求項10】
前記一体化されたトランスミッション(2)およびハウジング(20)を介した少なくとも1つの前記駆動ユニットおよび/または出力ユニット(A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9)は、共通の機械基礎(4)に固定されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のギア付きターボ機械(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一体化されたトランスミッションを介してマシントレイン(machine train)内に駆動ユニットおよび/または出力ユニットを統合したギア付きターボ機械に関し、請求項1の前段の特徴を備えている。
【背景技術】
【0002】
ギア付きターボ機械は、テレフタル酸を製造するためのいわゆるPTAプラント(PTA=精製されたテレフタル酸)において、例えば空気の分離のために使用され、この目的のために、一式のギア付きターボ機械はトレイン(train)として、且つ特に互いに相互作用するコンプレッサ、膨張器、蒸気タービン、モータおよびジェネレータ工程を介して形成される。
【0003】
コンプレッサの場合、流体の圧力増加は、コンプレッサの入り口からその出口までの流体の回転衝撃が、径方向に延び且つブレードを具備したコンプレッサの回転インペラを通じて増加することによって生じる。流体の圧力および温度はコンプレッサのそのようなステージにおいて増加し、一方でインペラに流れる流体の相対速度は低下する。流体の可能な限り高い圧力増加を達成するために、複数のそのようなコンプレッサステージは直列に接続されることが可能である。コンプレッサは大まかにラジアルコンプレッサと軸流コンプレッサとに分けられ、軸流コンプレッサの場合、圧縮される流体は軸方向にコンプレッサを通じて流れ、ラジアルコンプレッサの場合、圧縮される流体は最初コンプレッサステージのインペラに軸方向に流れ、次いで径方向外向きに向けられる。したがって、多段ラジアルコンプレッサの場合、流れ方向はステージごとに後ろに向ける必要がある。軸流コンプレッサとラジアルコンプレッサとの組み合わせのデザインは、それらの軸流ステージに多くの流量の流れを引き込み、後続のラジアルステージにおいて高圧に圧縮される。1つ以上のコンプレッサが多段ギア付きターボ機械において使用される場合、これらは運転可能にピニオンシャフトを介してブルギアに、および随意的に追加の駆動ピニオンにコンプレッサステージとして接続される。
【0004】
コンプレッサに類似して、提供される工程の作用に応じて滞在するギア付きターボ機械のユニットも、運転可能にブルギアに接続されている。例えば、モータまたはジェネレータは運転可能にブルギアに直接接続されることが可能であり、モータ(モータ接続におけるモータ/ジェネレータ)はギア付きターボ機械の駆動を初期的に担うことが可能である。発生する工程の結果として、蒸気が始動後に最初に発生し、駆動ユニットとしての蒸気エンジンはブルギアに係合した追加の駆動ピニオンを介してさらにギア付きターボ機械を駆動し、モータは動力発生のためにモータ接続からジェネレータ接続に変化する。ギア付きターボ機械が運転可能にブルギアに接続された膨張器を追加的に具備している場合、膨張器は(過度の)既存の処理ガスを通じた工程の動作状態となることに続いて駆動され、同様にエネルギ発生に寄与することが可能である。膨張器が無く、ジェネレータ(ジェネレータ接続におけるモータ/ジェネレータ)のみが組み込まれている場合、蒸気タービンは多大な動力を出力し、トランスミッションターボ機械は動作され、追加の出力はジェネレータから電気エネルギとしてグリッドに供給されることが可能である。
【0005】
特許文献1は、上述の一体化されたトランスミッションならびに駆動ユニットおよび/または出力ユニットを備えた多段のギア付きターボ機械を開示しており、駆動ユニットおよび出力ユニットはコンプレッサ、蒸気タービン、ガスタービン、モータ、ジェネレータ、および膨張器とすることが可能である。この場合特に有利なことは、一方では同一平面内にこれらのユニットが配列され、他方では採用され得る駆動および出力ユニットの可能性の多様性の統合が駆動ピニオンおよび追加のピニオンを備えたブルギアの存在を通じて可能とされていることである。ブルギアからピニオンシャフトへの駆動、したがって動力伝達は、互いに噛合ったブルギアとピニオンシャフトとの歯を介して実行されている。ギアの歯の異なった歯数または異なったピッチ円直径を利用して、個別の変速ステージにおける所望の変速または変速比(動力ステージ)が実現されている。したがって、個別のピニオンシャフトは、一方では互いに歯の幾何形状に関して連結されており、他方ではブルギアに対するピニオンシャフトの中心位置に関して連結されている。
【0006】
ブルギアの周りに追加の駆動シャフトを介して直接的にまたは間接的に1つ以上のピニオンシャフトを配列した場合、理想的且つ実現可能な変速比の妥協点は見出せず、一方で得られるおよび/または実現可能な組み込みスペースは確固たる決定および/または限定された量である。特に、ピニオンシャフトを介して接続された駆動または出力ユニットのハウジング取付部(例えば蒸気タービンもしくはモータ/ジェネレータのコンプレッサの渦巻ケーシングまたは膨張器のハウジングのような流れガイド部品)に関するギア付きターボ機械のハウジングの外側に必要とされる組み込み空間は、顧客によって要求されたこれまで以上に効率の良いギア付きターボ機械のデザインをしばしば制限し、且つ確定的に範囲を定める。
【0007】
したがって、歯の幾何形状およびピニオンシャフトの位置を介したピニオンシャフトのブルギアとの運転可能な接続を確立することは、ギア付きターボ機械の開発、形成、デザイン、および構成の中心的な重要事項である。
【0008】
以前は、限定された範囲においてより効率的なギア付きターボ機械が、ブルギアの大型化を通じて多くの場合において達成可能であり、トランスミッションに隣接した駆動ユニットまたは出力ユニットのハウジングの組み付けスペースが生じ得ていた。より効率的なギア付きターボ機械の構成のための所定の利点は、特許文献1に開示された追加の駆動ホイールによっても提言されるが、しかしながら、駆動ホイールとしてのその機能は可能なピッチ円直径に関して当然限定される。駆動のために使用されるブルギアと同様に、その駆動機能のための追加の駆動ホイールは最小回転速度も必要とされ、駆動ホイールとブルギアとの間のサイズ比がこれによって決定される。したがって、最大許容周速に関して制限が存在し、大径化に関しても2番目に制限が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第1 691 081号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明は一体化されたトランスミッションを備えた一般的なギア付きターボ機械を構成する目的に基づいており、前述の欠点を排除することを主題としたより効率的なギア付きターボ機械が形成可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一体化されたトランスミッションを備えた一般的なギア付きターボ機械とともに、本発明による目的は請求項1の特徴を通じて解決されている。本発明の有利な形態は、従属請求項に示されている。
【0012】
本発明によるギア付きターボ機械の補助とともに、マシントレイン(machine train)が構成され、将来においてこれまでよりも効率的な要求(優先的により大きい流量)を満足し、それはこれまで可能であるまたは必要であるとは考えられなかったものである。
【0013】
ブルギアおよび追加の駆動ピニオンに運転可能に接続された既知のピニオンシャフトに加えて、本発明によるギア付きターボ機械は、ここでは新規の中間ホイールを具備しており、この中間ホイールはブルギアとピニオンシャフトとの間に配置され、運転可能にブルギアに直接接続されて、且つ同一平面上に配置されている。
【0014】
本発明はある意味においてはギア付きターボ機械の分野における従来技術に基づいており、従来の配置に関しては、トランスミッション内で互いに相互に噛合ったすべての構成部品(ブルギア、ピニオンシャフト、追加の駆動ホイール)は、駆動および出力のための機能、ならびに必要とされた工程を提供するためのさらに隣接した機械との接続を常に担わなければならないという原理を含んでいる。したがって、従来の考えは、可能な限り少数の構成部品が必要とされた性能特性を満足するために使用されるべきであり、これらはそれらの幾何形状の形態に関してのみ概略変化するべきであるということに基づいている。これまでより効率的なギア付きのターボ機械を実現するための開発活動の範囲内で、中間ホイールのトランスミッション内への追加の統合が、構成部品の数の増加にもかかわらず、実現される効率の明確な向上に寄与し、上述のおよびこれ以降に記載された技術的欠点はさらに回避されることが可能であり、さらなる技術的利点さえも追加的にもたらすことは、多様な計算およびコストの考慮を通じて驚くほどに生じている。
【0015】
先行技術からギア付きターボ機械の配列を説明するために、中間ホイールを伴った配列のすべての利点は、以下において中間ホイールを伴っていない配列と比較した要約において述べられ且つ説明されている。
【0016】
現在の取り付け部品(大部分は駆動ユニットおよび出力ユニット)のサイズを通じて事前に決定された、互いのピニオンシャフトの最小占有空間を考慮して、ブルギアおよびピニオンのピッチ円直径が追加の中間ホイールおよび空間の獲得を通じて柔軟に選択されることが可能である。これまでは、ピッチ円直径は事前に決定された最小占有空間および(ピニオンに対するブルギアの)固定された変速比を通じて事前に決定される。
【0017】
不変のピッチ円直径を有するブルギアの場合、中間ホイールおよび追加の中間ホイールが無い配列と比較して、駆動ユニットまたは出力ユニットをハウジングまたはトランスミッションのピニオンに取り付けるために得られる組み付け空間は増大される。
【0018】
ブルギアのより小さいピッチ円直径は、より小さいおよび現在すでに存在している製造プラントでの製造を可能にし、より効率的なギア付きターボ機械にもかかわらず、新しくない且つコストがかからない製造プラントおよび製造技術が創造される必要がない。
【0019】
比較的小さいブルギアおよび追加の中間ホイールを使用した全コストは大きいブルギア1つのみの場合よりもコストがかからず、一方においてはトランスミッションに使用される全材料が時々より少なくなり、他方においてはトランスミッションのハウジングまたは基礎への荷重がより小さくなりおよび良好に分散もされ、したがって、個別の構成部品の組み付けがより効果的に且つより平均化された規則において形成もされ得る。
【0020】
これまでの、より大きいブルギアの使用は、ギア付きターボ機械の全体的な構造的高さ、特に輸送に関するこれまでに知られていなかった問題も生じており、中間ホイールを備えた新規の配列のアセンブリは明確な取り扱いの利点を提供している。ギア付きターボ機械の追加の長さは問題が少なく、これは一方においては概略それらの高さに関する制限のみに対する組み付け位置、および他方においてはギア付きターボ機械の重心の低下が輸送および組み立てを改善し、したがって安全性も改良するためである。
【0021】
以前の考えは、機械的トランスミッションは大きいブルギアの替わりの追加の中間ホイールのための損失が顕著に増大し、したがって、トレインに統合されたギア付きターボ機械の全体の効率は明確に低下するとされていた。しかしながら、本発明の創造の範囲内の検討は驚くほど利益を生み、中間ホイールを備えた配列の場合におけるトランスミッションの損失はほぼ増大せず、新規なギア付きターボ機械のすべての利点を考えると、その利得は明確に増大されている。
【0022】
ブルギアのジェネレータへの可能な接続を通じて、ブルギアの回転速度は概略固定され、したがって、大きすぎるブルギアはより速い且つ部分的に許容できないピッチ円速度をもたらす。潤滑油供給および確実な遠心力の荷重の問題は、追加の中間ホイールおよびより小さいブルギアを備えた配列とは対照的に、大きすぎるブルギアの場合には確実に保証され得ない。
【0023】
本発明の例示的な実施形態が図示されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】トランスミッションならびに駆動ユニットおよび出力ユニットを備えたギア付きターボ機械の概略を示した図である。
【
図2】ギア付きターボ機械のトランスミッションを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に示されたギア付きターボ機械は、ガスの処理およびさらなる工程のための化学プラントの一部である。そのようなギア付きターボ機械(1)はトランスミッション(2)を介してマシントレイン内に駆動機械および出力機械(A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9)を統合しており、一方においては蒸気タービン、ガスタービン、膨張器およびモータは駆動ユニット、ならびに出力ユニットとしてのコンプレッサおよびジェネレータとすることが可能である。
【0026】
個別のユニットは互いに連結されており、1つまたは複数の基礎フレームに組み付けられ、機械基礎(4)は
図2に例示的に示されている。機械基礎(4)の下には
図1および
図2には示されていない冷却器および凝縮器、ならびに本発明には関係ないがマシントレインの動作のために必要なさらなる機材が配置されている。
【0027】
供給される工程の要求プロファイルに応じて、モータ(A7)、蒸気タービン(A8)、および膨張器(A9)が駆動ユニット(A7、A8、A9)として一体にまたは単独で形成されることが可能である。蒸気タービン(A8)は駆動シャフト(6)を介して随意的にトランスミッション(2)に、ギア付きターボ機械(1)のブルギア(9)のシャフト(13)を介してモータ(A7)および膨張器(A9)に接続される。
【0028】
図2によるギア付きターボ機械(1)のトランスミッション(2)はハウジング(7)を具備し、その内部には駆動ピニオン(8)、ブルギア(9)、中間ホイール(18)、およびさらなるピニオン(10、14、15)が配置されている。駆動ピニオン(8)はギア付きターボ機械(1)のハウジング(7)内に組み付けられた駆動シャフト(6)に固定されている。駆動ピニオン(8)は、回転可能に固定された態様において第1ピニオンシャフト(11)に固定された第1ピニオン(10)と係合している。第1ピニオンシャフト(11)は、その端部において回転可能に固定された態様で、優先的に駆動ユニットおよび/または出力ユニット(A1、A6)のコンプレッサステージIおよびVIのインペラに接続されている。
【0029】
駆動ピニオン(8)は第1ピニオン(10)から離れた側においてブルギア(9)と係合しており、ブルギア(9)はハウジング(7)内に組み付けられたシャフト(13)に回転可能に固定された態様において固定されている。駆動ピニオン(8)を介して導入された駆動ユニット(A8)の動力は、コンプレッサステージIおよびVIに属したブルギア(9)およびピニオン(10)へと同時に出力される。
【0030】
ブルギア(9)は、一方においてはハウジング(7)内に組み付けられた第3ピニオンシャフト(17)に回転可能に固定された態様において固定された第3ピニオン(15)と係合しており、他方においては中間ホイール(18)と係合している。中間ホイール(18)はブルギア(9)から離れた側において第2ピニオン(14)と係合している。第2および第3ピニオン(14、15)は各々がハウジング(7)内に組み付けられた第2および第3ピニオンシャフト(16、17)に回転可能に固定された態様において固定されている。
【0031】
第2ピニオンシャフト(16)は、その端部において第2および第3コンプレッサステージ(II、III)のインペラを担持しており、第3ピニオンシャフト(17)は、その端部においてコンプレッサステージ(IV、V)のインペラを担持している。例示的な実施形態におけるすべてのコンプレッサステージは、対応したピニオンシャフトに浮動的に組み付けられている。
【0032】
駆動シャフト(6)、第1ピニオンシャフト(11)、中間ホイール(18)、第2ピニオンシャフト(16)、およびブルギア(9)のシャフト(13)は同一の水平面(3)内に位置している。第3ピニオンシャフト(17)はこの面(3)の上に位置している。
【0033】
図2の描写において、ブルギア(9)に対して駆動ピニオン(8)は優先的に9時の位置に配置されており、第2ピニオン(14)は優先的に3時の位置に配置されており、第3ピニオン(15)は優先的に12時の位置に配置されている。駆動ピニオン(8)に対して、第1ピニオン(10)は優先的に9時の位置に配置されており、ブルギア(9)は優先的に3時の位置に3時の位置に配置されている。ブルギア(9)に対して、中間ホイール(18)は優先的に9時の位置に配置されている。ブルギア(9)に対して、随意的に、ピニオン(15)が優先的に12時の位置に設けられるだけでなく、既存のピニオンが好適に11時30分の位置に設けられ、追加のピニオンが優先的に13時30分の位置に設けられる(図示略)。
【0034】
上述の
図2によるトランスミッション(2)はギア付きターボ機械(1)全体の基礎を形成しており、ここでは、トランスミッション(2)はマシントレインの核であり、概略駆動ユニットおよび/または出力ユニット(A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9)から構成されている。
【0035】
例示的な実施形態においては、マシントレインに統合されたトランスミッション(2)は、ブルギアシャフト(13)を備えた中央ブルギア(9)と、ピニオンシャフト(11、16、17)を備えた1つ以上のピニオン(10、14、15)と、駆動シャフト(6)を備えた駆動ピニオン(8)と、中間ホイールシャフト(19)を備えた中間ホイール(18)と、を概略具備している。ブルギア(9)はピニオン(15)と係合しており、ピニオンシャフト(17)の端部は回転可能に固定された態様において駆動ユニット(A4、A5)に接続されており、優先的に、これらはコンプレッサステージIVおよびVのコンプレッサ(A4、A5)である。ブルギア(9)は、一方においては同様に中間ホイール(18)と係合しており、他方においては駆動シャフト(6)の端部を介して回転可能に固定された態様において駆動ユニット(A8)に接続された駆動ピニオン(8)と係合している。例示的な実施形態の大きいシャフト(9)のブルギアシャフト(13)はモータまたはジェネレータ(A7)に接続されている。順に、駆動ピニオン(8)はピニオン(10)と係合しており、ピニオンシャフト(11)の端部は出力ユニットとして寄与するコンプレッサ(A1)と回転可能に固定された態様において接続されている。残りの駆動ユニットおよび/もしくは出力ユニットの存在または配置によって、さらに追加のコンプレッサ(A6)がピニオンシャフト(11)の他の端部に配置されることが可能である。中間ホイールはピニオン(14)と係合しており、ピニオンシャフト(16)の端部は駆動ユニット(A2、A3)と回転可能に固定された態様において接続されており、優先的に、これらはコンプレッサステージIIおよびIIIのコンプレッサ(A2、A3)である。
【0036】
ギア付きターボ機械(1)のの効率を増大する新規な潜在力を最適に利用するために、所謂アイドラである中間ホイール(18)が初期的に設けられ、予定の駆動ユニットまたは出力ユニットに直接接続されていない。ギア付きターボ機械の形態によって可能であるならば、および最初に述べた欠点が受け入れられないならば、駆動または出力は、随意的におよび技術的に、中間ホイールに二番目に提供されることが可能である。
【0037】
本発明によるマシントレインの機能性に関して、ピニオンシャフト(16、17)に取り付けられた駆動ユニット(A2、A3、A4、A5)はコンプレッサステージ(II、III、IV、V)として、駆動ユニット(A8)として形成されており、蒸気またはガスタービン(A8)は回転可能に固定された態様において駆動ピニオン(8)に随意的に接続されている。回転可能に固定された接続は、ここでは例えばスピンドルシャフトおよび/もしくはスクリューを含み得る離脱可能な接続、および特に溶接接続または例えば一部品として鋳造および/もしくは成型された部品のような一体成型のような恒久接続、の両方を意味している。しかしながら、他のターボ機械および電気駆動機械または内燃エンジンも駆動ユニットとして考えられる。
【0038】
駆動ユニットとしてのモータ/ジェネレータ(A7)および膨張器(A9)は優先的に図示されていないギアカップリングを介してブルギアシャフト(13)に随意的に接続されており、供給される工程のタイプによって、マシントレインの全行程において統合されることが可能である。
【0039】
ギア付きターボ機械(1)は例えば蒸気もしくはガスタービン(A8)、電気駆動機械、または特別な場合においては駆動ユニットとしての内燃エンジンのようなターボパワー機械と共に始動されることが可能である。次いで、モータ接続におけるモータ(A7)(モータ/ジェネレータ)(A7)は、モータ(A7)の回転速度との同期からマシントレインの駆動を引き継ぐ。マシントレインおよび関連した工程が動作状態となったときに、膨張器(A9)は動力を出力することのみを行い、全行程からの排出ガス、排出蒸気、または別の工程媒体は膨張器(A9)を駆動する。膨張器(A9)も、ギア付きターボ機械(1)のコンプレッサ(A1、A2、A3、A4、A5、A6)の1つによって圧縮された空気と共に動作することが可能であり、エネルギの一部は再生されることが可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 ・・・ギア付きターボ機械
2 ・・・トランスミッション
3 ・・・水平面
4 ・・・機械基礎
6 ・・・駆動シャフト
7 ・・・トランスミッションのハウジング
8 ・・・駆動ピニオン
9 ・・・ブルギア
10 ・・・第1ピニオン
11 ・・・第1ピニオンシャフト
13 ・・・ブルギアシャフト
14 ・・・第2ピニオン
15 ・・・第3ピニオン
16 ・・・第2ピニオンシャフト
17 ・・・第3ピニオンシャフト
18 ・・・中間ホイール
19 ・・・中間ホイールシャフト
21 ・・・流入領域
22 ・・・遷移領域
23 ・・・冷却用チャネル
24 ・・・中間壁
I〜VI ・・・コンプレッサステージ
A1〜A9 ・・・駆動ユニットまたは出力ユニット
A1 ・・・コンプレッサステージI
A2 ・・・コンプレッサステージII
A3 ・・・コンプレッサステージIII
A4 ・・・コンプレッサステージIV
A5 ・・・コンプレッサステージV
A6 ・・・コンプレッサステージVI
A7 ・・・モータ/ジェネレータ
A8 ・・・ターボパワー機械、モータ、ガスタービン、蒸気タービン
A9 ・・・膨張器