特許第6309255号(P6309255)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309255
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】医用データ管理装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20180402BHJP
【FI】
   G06Q50/24
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-253579(P2013-253579)
(22)【出願日】2013年12月6日
(65)【公開番号】特開2015-111383(P2015-111383A)
(43)【公開日】2015年6月18日
【審査請求日】2016年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】数野 宗泰
(72)【発明者】
【氏名】蛯名 照彦
【審査官】 大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−128725(JP,A)
【文献】 特開2012−247879(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0111387(US,A1)
【文献】 特開2007−233841(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0054755(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00−80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者情報を少なくとも含む医用データを記憶した複数のデータベースからデータを取得可能に構成された医用データ管理装置であって、
俯瞰データを生成する際に用いられる前記各医用データの重要度を示す重み係数を規定した重み係数情報を記憶する重み係数情報記憶手段と、
前記医用データの取得先、データ種別、モダリティの種類の少なくとも1つと、前記重み係数に対応するようにして設定された前記俯瞰データでの前記各医用データの展開方法とを規定したデータ生成基準情報を記憶するデータ生成基準情報記憶手段と、
所望の患者の俯瞰データの生成を依頼する旨の俯瞰データ生成依頼を受けた時に、当該患者情報の医用データを、前記データベースから取得するデータ取得手段と、
前記取得された各医用データと、前記記憶された重み係数情報と、前記記憶されたデータ生成基準情報とに基づいて、前記所望の患者の診療経過を表した前記俯瞰データを生成する俯瞰データ生成手段
具備することを特徴とする医用データ管理装置。
【請求項2】
前記生成された俯瞰データをユーザに対して提示する提示手段をさらに具備する請求項1記載の医用データ管理装置。
【請求項3】
記俯瞰データ生成手段は、
前記記憶された重み係数情報に従って、前記取得された各医用データに重みづけをおこなう手段と、
前記記憶されたデータ生成基準情報により示される展開方法に従って、前記重みづけされた各医用データを展開した前記俯瞰データを生成する手段と
を具備する請求項1又は2に記載の医用データ管理装置。
【請求項4】
記俯瞰データでの前記各医用データのレイアウトを規定したレイアウト定義情報を記憶するレイアウト定義情報記憶手段を更に具備し、
前記俯瞰データ生成手段は、
前記重みづけされた各医用データを前記展開方法に従って展開する際に、前記記憶されたレイアウト定義情報により示されるレイアウトに従った上で展開し、前記俯瞰データを生成する手段を具備する請求項3に記載の医用データ管理装置。
【請求項5】
記データ取得手段は、
前記所望の患者の来院時に、外部装置から送信された前記俯瞰データ生成依頼を、当該患者を特定するための患者情報と共に受けると、当該患者情報を含む医用データを所定の取得先から取得する請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の医用データ管理装置。
【請求項6】
記各医用データは、医用画像データ、診断レポート及び文書データのうちの少なくとも1つを含むデータであり、
前記展開方法は、前記各医用データに含まれる前記医用画像データ、前記診断レポート及び前記文書データのうちの何を、前記俯瞰データとして展開するかを示した方法である請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の医用データ管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用データ管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、一般診療所(例、診療所、クリニック等)や病院では、医師は1日に多数の患者を診療する必要がある。
【0003】
診察するにあたり、医師は、電子カルテ、過去の検査により得られた医用画像データ、他院からの紹介状といった種々様々なデータをその都度参照する必要がある。
【0004】
現在、前述した各種情報の参照作業を支援し得るアプリケーションとして、所望の患者の特定の情報を表示装置に時系列に表示させ、必要に応じて特定の情報の詳細を展開するアプリケーションがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−233841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述のアプリケーションでは、1種類のデータ、即ち、特定の情報が電子カルテであれば電子カルテを、また、特定の情報が医用画像データであれば医用画像データを時系列に表示させるため、全体の診療経過の俯瞰性を十分に担保することができないという不都合がある。
【0007】
目的は、全体の診療経過の俯瞰性を十分に担保し得る医用データ管理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の医用データ管理装置は、患者情報を少なくとも含む医用データを複数のデータベースを用いて管理し、前記各医用データを用いて俯瞰データを生成可能な装置である。
【0009】
前記医用データ管理装置は、重み係数情報記憶手段、データ生成基準情報記憶手段、データ取得手段、俯瞰データ生成手段及び提示手段を備えている。
【0010】
前記重み係数情報記憶手段は、前記俯瞰データを生成する際に用いられる前記各医用データの重要度を示す重み係数を規定した重み係数情報を記憶する。
【0011】
前記データ生成基準情報記憶手段は、前記医用データの取得先、データ種別、モダリティの種類の少なくとも1つと、前記重み係数に対応するようにして設定された前記俯瞰データでの前記各医用データの表示方法(元の展開方法に相当)とを規定したデータ生成基準情報を記憶する。
【0012】
前記データ取得手段は、所望の患者の俯瞰データを生成したい旨の俯瞰データ生成依頼を、当該患者を特定するための患者情報と共に受けると、当該患者情報を含む医用データを、前記記憶されたデータ生成基準情報により示される取得先から取得する。
【0013】
前記俯瞰データ生成手段は、前記取得された各医用データと、前記記憶された重み係数情報と、前記記憶されたデータ生成基準情報とに基づいて、前記所望の患者の診療経過を表した前記俯瞰データを生成する前記取得された各医用データと、前記記憶された重み係数情報と、前記記憶されたデータ生成基準情報とに基づいて、前記所望の患者の診療経過をユーザに対して提示可能な前記俯瞰データを生成する。
【0014】
前記提示手段は、前記生成された俯瞰データをユーザに対して提示する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態に係る医用データ管理システムの概略構成例を示す模式図である。
図2】同実施形態に係る情報管理記憶部に記憶される情報のデータ構造の一例を示す模式図である。
図3】同実施形態に係るデータ生成基準記憶部に記憶される情報のデータ構造の一例を示す模式図である。
図4】同実施形態に係る診療行為重み管理記憶部に記憶される情報のデータ構造の一例を示す模式図である。
図5】同実施形態に係る他システムから取得される情報のデータ構造の一例を示す模式図である。
図6】同実施形態に係る医用データ管理装置の動作の一例を示すシーケンス図である。
図7】同実施形態に係る重みづけ処理を説明するための模式図である。
図8】同実施形態に係る俯瞰データの一例を示す模式図である。
図9】同実施形態に係る俯瞰データにハイパーリンクを埋め込んだ場合に用いられる情報の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。
【0017】
図1は、一実施形態に係る医用データ管理システムの概略構成例を示す模式図であり、図2図4は、同実施形態に係る各種記憶部に記憶される各種情報のデータ構造の一例を示す模式図であって、図5は、同実施形態に係る他システムから取得される情報のデータ構造の一例を示す模式図である。医用データ管理システムは、図1に示すように、ユーザインタフェース1、他システム2及び医用データ管理装置3を備えており、ユーザインタフェース1、他システム2及び医用データ管理装置3は、図示しないネットワーク(例、ローカルエリアネットワーク(LAN: Local Area Network)等)を介して、相互に接続される。
【0018】
ユーザインタフェース1は、図1に示すように、登録部11及び俯瞰データ表示部12を備えている。
【0019】
登録部11は、ユーザ(例えば、医師や看護師、医療事務員といったユーザインタフェースの操作者)の操作に応じて、医用データ管理装置3に少なくとも患者情報を含む医用データを送出し、当該医用データを医用データ管理装置3に登録させる機能を有する。前述の医用データとしては、例えば、図示しない医用画像診断装置(例、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置等)により撮影された医用画像データや、医師による診断の結果を示す診断レポート(REPort)、保険証を特定の機器でスキャンすることで得られる保険証の電子ファイル(文書データ(DOCument))等がある。また、登録部11は、前述の医用データとは別に、患者の来院に伴い発生し、当該患者を特定するための患者特定情報(本実施形態では、患者識別情報と仮定する)を、医用データ管理装置3に送出する。
【0020】
俯瞰データ表示部12は、医用データ管理装置3により生成される俯瞰データ(サマリデータとも呼称)を取得したい旨の俯瞰データ取得要求を、患者特定情報(本実施形態では、患者識別情報と仮定する)と共に、医用データ管理装置3に送出する。また、俯瞰データ表示部12は、俯瞰データ取得要求に応じて医用データ管理装置3から送出される俯瞰データの入力を受け付けると、当該入力を受け付けた俯瞰データを図示しない表示装置(ディスプレイ)に表示させる。
【0021】
他システム2は、例えば、電子カルテシステム、地域連携システム及び外部保存システムといった各種システムを含む。なお、電子カルテシステム、地域連携システム及び外部保存システムは、他システム2に含まれる各種システムの一例であり、他システム2には、前述のシステム以外のシステムが、適宜含まれるとしても構わない。
【0022】
医用データ管理装置3は、図1に示すように、情報管理記憶部31、データ生成基準記憶部32、診療行為重み管理記憶部33、データ受付部34、データ生成部35及びインタフェース部36を備えている。なお、医用データ管理装置3は、図示しない本記憶部(なお、この本記憶部は複数の記憶領域からなるものとする)をさらに備えており、この本記憶部には、ユーザインタフェース1内の登録部11から送出された医用データが適宜登録(記憶)される。
【0023】
以下に、医用データ管理装置3に含まれる各部31〜36の機能の詳細について説明する。
【0024】
情報管理記憶部31は、本記憶部に登録されている医用データの属性や保存先(登録先)を示す管理情報を記憶する記憶装置である。具体的には、管理情報は、図2に示すように、患者識別情報(患者ID(Identifier))、患者名、性別、日付、種別、詳細及び保存先を示す各種情報が関連付けられた情報である。
【0025】
なお、以下の説明中では、患者名、性別、日付、種別、詳細及び保存先を示す各種情報には、例えば患者名情報等、末尾に「情報」という用語を付して表記するが、末尾の「情報」という用語は適宜省略されても構わない。これは、後述する第1の生成基準情報、第2の生成基準情報及び診療行為重みづけ情報についても同様であるものとする。
【0026】
ここで、管理情報に含まれる各種情報の詳細について説明する。
【0027】
患者識別情報は、患者を識別するための情報である。患者名情報は、患者識別情報により識別される患者の名前を示す情報である。性別情報は、患者識別情報により識別される患者の性別を示す情報である。日付情報は、後述する保存先情報により示される保存先に、後述する種別情報及び詳細情報により示される医用データを登録した日付を示す情報である。種別情報は、保存先情報により示される保存先に登録された医用データの種別を示す情報である。詳細情報は、保存先情報により示される保存先に登録された医用データの詳細を示す情報である。保存先情報は、種別情報及び詳細情報により示される医用データの保存先を示す情報である。
【0028】
例えば、図2に示す管理情報a1は「男性である患者A(患者識別情報“1”)に関し、超音波検査(US: UltraSonography)により得られた医用画像データと診断レポートとを、2010年4月1日付けで、保存先“\\Storage1\1\20100401”に登録した」旨を示す情報である。ここでは、管理情報a1を一例として説明したが、図2に示すその他の管理情報a2〜a14に関しても同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0029】
データ生成基準記憶部32は、俯瞰データを生成する際に必要となる医用データの種別や詳細、さらには、これら医用データの取得先や展開方法を規定した第1の生成基準情報(データ生成基準情報)と、俯瞰データのレイアウトを規定した第2の生成基準情報(レイアウト定義情報)とを記憶する記憶装置である。具体的には、第1の生成基準情報は、図3(a)に示すように、種別、詳細、取得先、展開方法及び基準を示す各種情報が関連付けられた情報である。また、第2の生成基準情報は、図3(b)に示すように、レイアウト種別及び設定を示す各種情報が関連付けられた情報である。
【0030】
ここで、第1の生成基準情報に含まれる各種情報の詳細について説明する。但し、種別情報及び詳細情報は、前述の管理情報に含まれる種別情報及び詳細情報と各々同一であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0031】
取得先情報は、種別情報及び詳細情報により示される医用データの取得先を示す情報である。展開方法情報は、後述する基準情報により示される重み係数に対応するようにして設定され、俯瞰データに関し、種別情報及び詳細情報により示される医用データを展開する方法を示す情報である。基準情報は、展開方法情報により示される展開方法を決定するにあたり基準となる重み係数を示す情報である。
【0032】
例えば、図3(a)に示す第1の生成基準情報b1は「重み係数が“10”であり、自装置又は他装置から取得される医用画像データは、代表画像として俯瞰データに展開される」旨を示す情報である。ここでは、第1の生成基準情報b1を一例として説明したが、図3(a)に示すその他の第1の生成基準情報b2〜b10に関しても同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0033】
次に、第2の生成基準情報に含まれる各種情報の詳細について説明する。
【0034】
レイアウト種別情報は、俯瞰データのレイアウトの種別を示す情報である。設定情報は、レイアウト種別情報により示されるレイアウトの種別に関し、具体的な設定(値)を示す情報である。
【0035】
例えば、図3(b)に示す第2の生成基準情報c1は「俯瞰データにおける各種情報の並びを降順とする」旨を示す情報である。ここでは、第2の生成基準情報c1を一例として説明したが、図3(b)に示すその他の第2の生成基準情報c2〜c5に関しても同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0036】
診療行為重み管理記憶部33は、俯瞰データを生成する際に用いられる医用データの重要度を示す重み係数を規定した診療行為重みづけ情報(重み係数情報)を記憶する記憶装置である。具体的には、診療行為重みづけ情報は、図4に示すように、種別、詳細、部位、通常重み、レポート有重み、経過及び変化なし重み及びその他を示す各種情報が関連付けられた情報である。
【0037】
ここで、診療行為重みづけ情報に含まれる各種情報の詳細について説明する。但し、種別情報及び詳細情報は、前述の管理情報や前述の第1の生成基準情報に含まれる種別情報及び詳細情報と各々同一であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0038】
部位情報は、種別情報及び詳細情報により示される医用データがどの部位に関する医用データであるかを示す情報である。通常重み情報は、種別情報により示される医用データの種別に診断レポートが含まれていないときの重み係数を示す情報である。レポート有重み情報は、種別情報により示される医用データの種別に診断レポートが含まれているときの重み係数を示す情報である。経過及び変化なし重み情報は、経過観察時の重み係数を示す情報である。なお、経過及び変化なし重み情報は、主に、他システム2から取得した医用データにより“症状の所見が特にない”旨が示されたときの重み係数を決定する際に用いられる。また、その他を示す情報は、ユーザにより設定された重みづけの条件とその値(重み係数)を示す情報である。
【0039】
例えば、図4に示す診療行為重みづけ情報d1は「医用データが紹介状に関する文書データであるとき、この医用データの重み係数が“3”に設定される」旨を示す情報である。ここでは、診療行為重みづけ情報d1を一例として説明したが、図4に示すその他の診療行為重みづけ情報d2〜d11に関しても同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0040】
データ受付部34は、ユーザインタフェース1内の登録部11から送出され、少なくとも患者情報(本実施形態では、患者識別情報、患者名情報及び性別情報であるものと仮定する)を含む医用データの入力を受け付けると、当該入力を受け付けた医用データを本記憶部に登録する。また、データ受付部34は、患者の来院に伴いユーザインタフェース1内の登録部11から送出された患者特定情報(患者識別情報)の入力を受け付けると、当該患者特定情報により特定(識別)される患者の俯瞰データの生成をデータ生成部35に依頼する。
【0041】
データ生成部35は、データ受付部34からの俯瞰データ生成依頼を受けると、前述の患者特定情報(以下、患者識別情報として説明する)を含む医用データを取得する機能を有する。具体的には、まずデータ生成部35は、俯瞰データ生成依頼に付された患者識別情報を含む管理情報を情報管理記憶部31から抽出する。次に、データ生成部35は、抽出した管理情報に含まれる保存先情報により示される(本記憶部内の一記憶領域である)保存先から、前述の患者識別情報を含む医用データを取得する。さらに、データ生成部35は、インタフェース部36を経由して、俯瞰データ生成依頼に付された患者識別情報を含む医用データを取得する。なお、他システム2から取得される医用データとしては、例えば図5に示すような医用データe1〜e4が一例として挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。
【0042】
データ生成部35は、前述のようにして取得した医用データと、データ生成基準記憶部32に記憶された第1の生成基準情報及び第2の生成基準情報と、診療行為重み管理記憶部33に記憶された診療行為重みづけ情報とに基づいて、俯瞰データ生成依頼に付された患者識別情報により示される患者の診療経過を、ユーザ(例えば、医師や看護師、医療事務員等)に対して提示可能な俯瞰データを生成する俯瞰データ生成処理を実行する。なお、俯瞰データ生成処理の詳細は、図6に示すシーケンス図の説明と共に後述するため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0043】
インタフェース部36は、他システム2と医用データ管理装置3との通信を可能にするための通信インタフェースである。
【0044】
なお、前述の医用データ管理装置3は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を備えており、各部はこのCPUによって制御されているものとする。
【0045】
次に、以上のように構成された医用データ管理装置3の動作の一例について、図2図5図7図9の模式図と、図6のシーケンス図とを参照しながら説明する。ここでは、ユーザインタフェース1内の登録部11が、ユーザ(ここでは、医療事務員と仮定する)の操作に応じて、患者の来院に伴い発生した患者特定情報(以下、患者識別情報として説明する)を医用データ管理装置3に送出したものと仮定する。なお、本実施形態では、患者の来院に伴い発生した患者特定情報が患者識別情報であるとしたが、これに限定されず、患者特定情報は患者の来院に伴い発生するデータであれば、特に種類を問うものではない。また、本実施形態では、この患者特定情報は、患者が来院した際に、特定の機器で保険証をスキャンすることで得られたものと仮定する。
【0046】
さらに、医用データ管理装置3の本記憶部には複数の医用データが予め登録され、医用データ管理装置3内の情報管理記憶部31、データ生成基準記憶部32及び医療行為重み管理記憶部33には、図2図4に示す各種情報が予め記憶されているものと仮定する。
【0047】
なお、以下に示す各種処理は、図示しないCPUが予め記憶されたプログラムに従って各部を制御することで実行されるものである。
【0048】
始めに、データ受付部34は、ユーザインタフェース1内の登録部11から送出された患者特定情報(患者識別情報)の入力を受け付けると、当該入力を受け付けた患者特定情報により特定(識別)される患者の俯瞰データの生成をデータ生成部35に依頼する、すなわち、患者特定情報を付した俯瞰データ生成依頼をデータ生成部35に送出する(ステップS1)。
【0049】
続いて、データ生成部35は、データ受付部34から送出された俯瞰データ生成依頼を受けると、当該俯瞰データ生成依頼に付された患者識別情報を含む管理情報を、情報管理記憶部31から抽出する(ステップS2)。ここでは、俯瞰データ生成依頼に付された患者識別情報が“1”であると仮定する。このため、データ生成部35は、図2に示すように、患者識別情報“1”を含む管理情報a1〜a10を情報管理記憶部31から抽出する。
【0050】
次に、データ生成部35は、抽出した管理情報a1〜a10に含まれる保存先情報により示される保存先から医用データを取得する(ステップS3)。
【0051】
続いて、データ生成部35は、インタフェース部36を経由して、俯瞰データ生成依頼に付された患者識別情報“1”を含む医用データを、連携している他システム2から取得する(ステップS4)。ここでは、データ生成部35は、図5に示す医用データを他システム2から取得したものと仮定する。なお、データ生成部35が、他システム2から医用データを取得する手法は、任意の手法で構わないものとする。
【0052】
次に、データ生成部35は、前述のステップS3,S4の処理により取得した医用データに対して、診療行為重み管理記憶部33に記憶された診療行為重みづけ情報に従って、重みづけ処理を実行する(ステップS5)。ここでは、データ生成部35は、取得した医用データに対して、図7に示すようにして重みづけを行う。例えば、前述のステップS3の処理により取得した管理情報a1は、種別情報及び詳細情報により“超音波診断検査(US)により撮影した医用画像データとその診断レポート(画像/REP)が有る”旨を明示しているため、データ生成部35は、図4に示す診療行為重み情報d7を参照して、重み係数を“3”に設定する。データ生成部35は、この重みづけ処理を管理情報a1だけでなく、取得した全ての情報に対して繰り返し実行する。
【0053】
続いて、データ生成部35は、前述のステップS5の処理の結果と、データ生成基準記憶部32に記憶された第1のデータ生成基準情報とに基づいて、俯瞰データでの、取得した医用データの展開方法を決定する(ステップS6)。ここでは、データ生成部35は、図7に示す重みづけ処理の結果と、図3(a)に示す第1のデータ生成基準情報とに基づいて、俯瞰データでの、取得した医用データの展開方法を決定する。例えば、管理情報a1に含まれる種別情報及び詳細情報は“画像/REP”及び“US”を示し、管理情報a1には前述のステップS5の処理により重み係数“3”が設定されているため、データ生成部35は、第1のデータ生成基準情報b5に基づいて、俯瞰データでの、管理情報a1に含まれる種別情報及び詳細情報により示される医用データの展開方法を“所見、診断結果(すなわち、所見と診断結果を展開する)”に決定する。データ生成部35は、この展開方法を決定する処理を管理情報a1だけでなく、取得した全ての医用データに対して繰り返し実行する。
【0054】
次に、データ生成部35は、データ生成基準記憶部32に記憶された第2のデータ生成基準情報により示されるレイアウトに従った上で、取得した医用データを、前述のステップS6の処理により決定された展開方法で展開して俯瞰データを生成する(ステップS7)。ここでは、データ生成部35は、図8に示す俯瞰データf1を生成する。例えば、管理情報a3の展開方法は、前述のステップS6の処理の結果、第1のデータ生成基準情報b6により示される“所見、診断結果、キー画像”に決定されたため、種別情報“画像/REP”及び詳細情報“US/ES”により示される医用データがキー画像も含めて表示されるようにして、俯瞰データが生成される。
【0055】
なお、図8に示す俯瞰データ内で、事実のみが展開されている箇所(例、診療、紹介状発行等)には、例えば、Webページにみられるハイパーリンクを埋め込むことにより、より詳細な情報へのアクセスを可能にするとしても良い。この場合、図9に示すように、詳細な情報にアクセスするためのURL(Uniform Resource Locator)を含む情報g1〜g4を図示しない記憶部を用いて管理する必要がある。
【0056】
しかる後、データ生成部35は、前述のステップS7の処理により生成した俯瞰データをユーザインタフェース1内の俯瞰データ表示部12に送出し(ステップS8)、医用データ管理装置3での動作を終了させる。なお、ここでは、データ生成部35は、生成した俯瞰データを返送する形でユーザインタフェース1内の俯瞰データ表示部12に送出するとしたが、これに限定されず、例えば、データ生成部35は、ユーザインタフェース1内の俯瞰データ表示部12から送出された俯瞰データ取得要求に従って、生成した俯瞰データを俯瞰データ表示部12に送出するとしても良い。
【0057】
なお、ユーザインタフェース1内の俯瞰データ表示部12は、データ生成部35から送出された俯瞰データの入力を受け付けると、当該入力を受け付けた俯瞰データを図示しない表示装置に表示させ、ユーザに対して俯瞰データを提示する。
【0058】
以上説明した一実施形態によれば、全体の診療経過の俯瞰性を十分に担保し得る俯瞰データを提供することが可能となり、ひいては、診断精度の向上に寄与することができる。
【0059】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1…ユーザインタフェース、2…他システム、3…医用データ管理装置、11…登録部、12…俯瞰データ表示部、31…情報管理記憶部、32…データ生成基準記憶部、33…診療行為重み管理記憶部、34…データ受付部、35…データ生成部、36…インタフェース部。
図1
図2
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図6
図7
図8
図9