(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309263
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】テンプの慣性調節ねじおよびこのようなねじを備えるテンプ
(51)【国際特許分類】
G04B 17/06 20060101AFI20180402BHJP
【FI】
G04B17/06 A
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-263138(P2013-263138)
(22)【出願日】2013年12月20日
(65)【公開番号】特開2014-122902(P2014-122902A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2016年11月22日
(31)【優先権主張番号】12199213.5
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512025506
【氏名又は名称】モントル チュードル ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マフィオーリ, サシャ
(72)【発明者】
【氏名】グッフォン, エリック
【審査官】
深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第02665546(US,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02410386(EP,A1)
【文献】
特表2013−531258(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0266422(US,A1)
【文献】
特開2007−256291(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0325908(US,A1)
【文献】
特表2012−501768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計仕掛け振動子のテンプ(2)の慣性を調節するための調節ねじ(1)であって、
長手方向軸に沿って形成される、ねじ山付き部分と、ねじ山の付いていない円筒形または略円筒形の部分とを備え、
前記円筒形または略円筒形の部分は、前記調節ねじの長手方向の位置を示すために長手方向の複数の位置に形成される基準(A1、A2、A3)を備える第1のセット(A0)を備える調節ねじ。
【請求項2】
前記調節ねじの長手方向の位置を示す前記基準(A1、A2、A3)が、前記長手方向軸に直交する面(P1)内に少なくとも実質的に配置される、請求項1に記載の調節ねじ。
【請求項3】
前記ねじの長手方向の位置を示す前記複数の基準の各々が、前記調節ねじの周辺部に延びる連続または不連続の環状の目印を備える、請求項1または2に記載の調節ねじ。
【請求項4】
前記目印が、溝および/または肩部および/またはくぼみを含む、請求項3に記載の調節ねじ。
【請求項5】
前記第1のセットが、長手方向に均等にまたはほぼ均等に分散された2つ、3つ、4つ、5つまたは6つの基準を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の調節ねじ。
【請求項6】
前記調節ねじの長手方向の位置を示す2つの隣接する基準を隔てる距離が、前記ねじのピッチの倍数であり、特に前記ねじのピッチと等しい、請求項5に記載の調節ねじ。
【請求項7】
前記調節ねじが、前記長手方向軸周りの前記調節ねじの角度位置を示すために少なくとも1つの基準(B1、B2、B3)を備える第2のセット(B0)を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の調節ねじ。
【請求項8】
前記第2のセットが、前記調節ねじの角度位置を示す複数の基準、特に前記長手方向軸周りに角度を付けて均等にまたはほぼ均等に分散された、前記調節ねじの角度位置を示す2つ、3つ、4つ、5つまたは6つの基準を備える、請求項7に記載の調節ねじ。
【請求項9】
前記調節ねじの角度位置を示す前記基準が、前記長手方向軸(3)に直交する面(P2)内に少なくとも実質的に配置される、請求項7または8に記載の調節ねじ。
【請求項10】
前記調節ねじの角度位置を示す前記基準または前記複数の基準が各々、フライス加工部および/またはくぼみを含む、請求項7から9のいずれか一項に記載の調節ねじ。
【請求項11】
前記調節ねじを回すための駆動ソケット(100)と、前記調節ねじを誘導するための要素(1000)、特に孔(1000)とを備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の調節ねじ。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの調節ねじ(1)を備える時計仕掛けテンプ(2)。
【請求項13】
請求項12に記載のテンプ(2)または請求項1から11のいずれか一項に記載の調節ねじ(1)を備えるムーブメント(30)。
【請求項14】
請求項13に記載のムーブメント(30)または請求項12に記載のテンプまたは請求項1から11のいずれか一項に記載の調節ねじを備える計時器(40)、特に時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調節ねじに関し、とりわけ時計仕掛け振動子のテンプの慣性を調節するためのねじに関する。それはまた、少なくとも1つのそのような調節ねじを備えた時計仕掛けテンプに関する。最後に、本発明は、時計仕掛けムーブメントまたは計時器に関し、とりわけそのようなテンプまたはそのような調節ねじを備えた時計に関する。
【背景技術】
【0002】
周辺部に配置された調節ねじを利用して、その慣性モーメントを調節することができるテンプが知られている。このタイプのデバイスはとりわけ、その振動子の基本周波数がテンプの慣性モーメントを介して調節される機械的な振動子内でのその利用が知られている。一般に、このようなテンプは、外縁、アーム、およびテンプの外縁に固定された特定の構成のねじまたは釣り合い重りを備え、これらをそれぞれの位置を調節することによって利用することでテンプの慣性モーメントを変えることができる。このような要素が、様々な質量を有することにより、時計仕掛けムーブメントの稼働をかなり細かく調節することを可能にし得る。このようなねじまたは釣り合い重りは、それぞれの位置を調節することが可能なキーまたはねじ回しを利用して位置決めされる。このような工具は一般に、テンプの外縁に対するねじまたは釣り合い重りのねじ込み動作または後退動作の指示を与える手段を備えている。しかしながらひとたびこの操作が実行されると、釣り合い重りの位置を特定することはもはや不可能である。
【0003】
特許文献1は、テンプの外縁の外側からねじ込まれる調節ねじを備えることで、より調節し易くし、テンプの外縁に傷を付けるリスクを最小限にする可変慣性テンプに関するものである。このテンプは、外縁がねじヘッドを収容するための凹部を有するものである。よってねじヘッドを回転させやすく、ねじヘッドが外縁から突出することはない。しかしながら外縁の中に形成された凹部には、テンプの外縁に接触する可能性のある何らかのテンプ止めばねとマイナスの相互作用を有するというリスクがある。
【0004】
特許文献2は、テンプの外縁の外側からねじ込まれ、その厚みに潜り込むヘッドレス調節ねじを備えたテンプに関するものである。この実施形態は有利には、外縁の周辺部から突出する、または外縁にある凹部に収容されるヘッドを備えたねじを装備したテンプに取って変わろうとするものである。
【0005】
特許文献3は、テンプの内側に向かって半径方向に向けられた短い突起材を備え、その各々の中を、テンプの内側からねじ込まれる釣り合い重りを収容するためのねじ穴が貫通するテンプの外縁を開示している。この構成では、釣り合い重りの把持および保持がぎこちなく、そのため調節する際にテンプの外縁が傷つけられてしまう危険がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】スイス特許第196706号
【特許文献2】スイス特許第264669号
【特許文献3】欧州特許第1837719(B1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記に挙げた問題を克服し、従来技術より知られたねじを改良する調節ねじを提供することである。詳細には、本発明は、時計師が、ねじがねじ込まれるテンプの外縁に対して、このねじが占める位置を特定するまたは評価することを可能にするねじを提供する。本発明はまた、このようなねじを備えたテンプ、またはさらにはこのようなテンプを備えたムーブメント、またはさらにはこのようなムーブメントを備えた計時器に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるねじは、請求項1によって定義される。
【0009】
ねじの種々の実施形態は、請求項2から
11によって定義される。
【0010】
本発明によるテンプは、請求項
12によって定義される。
【0011】
本発明による時計仕掛けムーブメントは、請求項
13によって定義される。
【0012】
本発明による計時器は、請求項
14によって定義される。
【0013】
添付の図面は、本発明によるねじの一実施形態を一例として描いている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明による計時器の一実施形態の斜視図である。
【
図2】本発明によるねじの一実施形態の斜視図であり、ねじの第1の端部から見た図である。
【
図3】本発明によるねじの一実施形態の斜視図であり、ねじの他端から見た図である。
【
図4】本発明によるテンプおよびねじの、ねじの長手軸に沿った部分断面図であり、ねじが第1の構成で外縁の所定の場所にある図である。
【
図5】本発明によるテンプおよびねじの、ねじの長手軸に沿った部分断面図であり、ねじが第2の構成で外縁の所定の場所にある図である。
【
図6】本発明によるテンプおよびねじの、ねじの長手軸に沿った部分断面図であり、ねじが第3の構成で外縁の所定の場所にある図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
計時器40の一実施形態が、
図1を参照して以降に記載される。計時器は、例えば時計、とりわけ腕時計である。計時器は、機械的クロックムーブメント30を含む。このムーブメント自体は、テンプ2と、戻しばね、とりわけひげぜんまい(
図1には示されていない)とを含む振動子を備える。
【0016】
テンプは主として、外縁20と、穴が貫通するハブ22と、機械的に外縁をハブに接続するスポーク21とを備える。テンプは、例えば4つのスポークを有する。
【0017】
有利には、外縁は、短い突起200またはより厚みのある部分を有し、その各々をねじ穴8が貫通している。ねじ穴は好ましくは、半径方向に配向される。各々の穴は、ねじ1を収容するように意図されている。この短い突起によって、中でねじを誘導する、またはねじを正確に保持するのに十分に長い長さにわたって延在するねじ穴を設けることが可能になる。この短い突起は、外縁の外面202と、例えば軸3に直交する面である内面201との間に延在する。例えばテンプは、4つの短い突起200を有し、その各々がねじ1を受け入れる。好みにより、短い突起200およびねじ穴が、テンプのスポークの間に、あるいはスポークが外縁に接触する場所で、均等に分散される。このようにして、テンプの所与の外径に対して、外縁の所与の断面に関してねじ穴の長さを最大にすることができる。
【0018】
したがってこのテンプは、調節ねじ1によって調節することができる慣性モーメントを有するタイプであり、この調節ねじは、その周辺部に配置されている。したがって外縁にねじ込まれるねじの範囲を変えることによって、振動子の基本周波数が、テンプの慣性モーメントを介して調節される。ねじの位置を調節することによって、テンプの慣性モーメントが変えられる。時計仕掛けムーブメントの稼働はこのようにかなり細かく調節することができる。このようなねじは、その位置を調節するのに利用することができるキーまたはねじ回しを使用して位置決めされる。
【0019】
調節ねじ1の一実施形態が、
図2から
図6を参照して以下に記載される。第1の端部6と第2の端部7の間で、ねじは、ヘッド9および本体10を備える。本体は、ねじ山付きの第1の部分4と、円筒形または略円筒形のねじ山の付いていない第2の部分5とを備える。好ましくは、このような調節ねじの数は4つである。それらは、金または白金などの高密度材料で作製されることが有利である。ヘッド9は、駆動ソケット100を有し、この駆動ソケットは、特定の工具の少なくとも部分的に相補的な形状と対応し、時計師がこの工具を使用してねじを回すことを可能にするように設計されている。
図2から
図6に示される実施形態では、ヘッド9の直径は、ねじの本体10の直径とほぼ等しく、とりわけねじの本体10の円筒形部分5の直径とほぼ等しい。1つの代替形態として、ヘッド9の直径は、本体10の直径と異なる場合もある。好ましくは、円筒形部分5の直径は、ねじの本体10のねじ山付きの部分4の直径とほぼ同じである。
【0020】
ねじは、長手方向軸3を有する。ねじは、ねじがねじ込まれるテンプに対してねじの長手方向の位置を示す少なくとも1つの基準A1、A2、A3の第1のセットA0を備える。示される実施形態では、この第1のセットは、ねじの長手方向の位置を示す第1の基準A1と、ねじの長手方向の位置を示す第2の基準A2と、ねじの長手方向の位置を示す第3の基準A3とを備える。
【0021】
ねじの長手方向の位置を示す第1の基準A1は、ねじの長手方向軸に直交する面P1内に配置される、または実質的に配置される。ねじの長手方向の位置を示す第2の基準A2は、ねじの長手方向軸に直交し、面P1に平行な面内に配置される、または実質的に配置される。ねじの長手方向の位置を示す第3の基準A3は、ねじの長手方向軸に直交し、面P1に平行な面内に配置される、または実質的に配置される。
【0022】
ねじの長手方向の位置を示す第1の基準A1は、ねじの周辺部、とりわけねじの周り全体に延びる連続または不連続の第1の環状の目印を備える。ねじの長手方向の位置を示す第2の基準A2は、ねじの周辺部、とりわけねじの周り全体に延びる連続または不連続の第2の環状の目印を備える。ねじの長手方向の位置を示す第3の基準A3は、ねじの周辺部、とりわけねじの周り全体に延びる連続または不連続の第3の環状の目印を備える。
【0023】
第1の目印および/または第2の目印および/または第3の目印は、溝、くぼみまたは肩部を含むことができる。第1および第2の目印はここでは、溝を含む。第3の目印はここでは、肩部であり、とりわけねじ山の端部を示す肩部を含む。
【0024】
第1の目印および/または第2の目印および/または第3の目印は、ねじ1の本体10上に形成される。詳細には、第1の目印および/または第2の目印は、ねじ山付きの部分4に隣接する円筒形部分5に形成される。詳細には、第3の目印は、ねじ山付きの部分4に隣接する円筒形部分5の一端に形成される。
【0025】
図2から
図6に示されるねじにおいて、第1のセットA0は、ねじの長手方向の位置を示す第1の基準と、ねじの長手方向の位置を示す第2の基準と、ねじの長手方向の位置を示す第3の基準とを備える。しかしながら第1のセットは、ねじの長手方向の位置を示す2つ、4つ、5つまたは6つの基準を備える場合もある。ねじの長手方向の位置を示す基準は、長手方向に均等にまたはほぼ均等に分散される。有利には、ねじの長手方向の位置を示す2つの隣接する基準を隔てる距離は、ねじのピッチの倍数であり、とりわけねじのピッチと等しい。
【0026】
ねじは、ねじがねじ込まれるテンプに対しての長手方向軸周りのねじの角度位置を示す少なくとも1つの基準B1、B2、B3の第2のセットB0を備える。図示の実施形態では、この第2のセットは、ねじの角度位置を示す第1の基準B1と、ねじの角度位置を示す第2の基準B2と、ねじの角度位置を示す第3の基準B3とを備える。
【0027】
図2から
図6に示されるねじにおいて、第2のセットは、ねじの角度位置を示す3つの基準を備える。しかしながら第2のセットは、ねじの角度位置を示す2つ、4つ、5つまたは6つの基準を備える場合もある。ねじの角度位置を示す基準は、ねじの長手方向軸周りに均等にまたはほぼ均等に分散される。好ましくは、ねじの角度位置を示す基準は、長手方向軸3に直交する面P2内に少なくとも実質的に配置され、ねじ1の本体10上、とりわけねじ山付きの部分4に隣接する円筒形部分5に形成される。
【0028】
ねじの角度位置を示す基準はそれぞれ、フライス加工部および/またはくぼみを含む。ねじの角度位置を示す基準はそれぞれ、特定の表示、例えば数字の表示で構成される。第1、第2および第3の目印はここでは、フライス加工部を含む。
【0029】
ねじヘッドは、それを回すための駆動ソケット100に加えて、ねじを誘導するための要素1000、とりわけ孔1000を備える。この誘導要素によってねじを工具の端部に嵌合させることができ、それによってこのねじをそれを受け入れるように意図されたねじ穴に誘導することができる。ねじは好ましくは、テンプ2の外縁20の外側から回すことができる。ねじがひとたび所定の場所に収まると、そのヘッドは短い突起の中に潜り込み、本体10は部分的に、テンプの外縁の短い突起の厚みの中に潜り込む。ねじはまた、外縁の内側から嵌合させることもできる。
【0030】
第1のセットは、例えばテンプに対してねじの許容し得る長手方向の動きの大きさを示すように意図された2つの基準A2、A3を備える。ねじの長手方向の位置は好ましくは、基準を短い突起の面201と合わせて利用して読み取られる。
図4から
図6は、基準がこの面201と一致する様々な位置のねじを描いている。調節操作を行なう時計師は、このような情報から、テンプに対してねじの位置を特定することができる。さらに、時計師には、ねじのある基準が面201と一致する位置から、ねじの別の基準が面201に一致する位置に移動することによって、テンプの慣性の限定された変動または稼働における限定された変動を誘発することがわかり得る。好ましくは、基準A1は、外縁に対する、とりわけ
図4に示されるように外縁の短い突起の面201に対するねじの公称位置を示す。よって調節操作の前に、各々のねじは、この構成により理想的に位置決めすることができる。基準A2は、テンプの慣性モーメントを最大にし、これにより所与の調節の範囲において振動子の減速作用を最大にするために、外縁に対して、とりわけ
図5に示されるように外縁の短い突起の面201に対して、ねじがとることになる位置を示している。最後に基準A3は、テンプの慣性モーメントを最小にし、これにより所与の調節の範囲において振動子の促進を最大にするために、外縁に対して、とりわけ
図6に示されるように外縁の短い突起の面201に対して、ねじがとることになる位置を示している。
【0031】
ねじの角度位置は、ねじが回転する際のねじの角度位置を示す基準の見え隠れによって読み取られる。ねじと外縁との接続は、らせん形型であるため、ねじの所与の長手方向の動きは、ねじの所与の角運動に対応する。
【0032】
上記に記載した実施形態では、第1および第2のセットは、ねじの2つの別個の隣接領域に形成される。しかしながらこの構成は異なる場合もある。とりわけ、第1および第2のセットが、ねじ本体の1つの同一領域に形成される場合がある。
【0033】
1つの代替形態として、テンプの外縁の外周部の凹部に収容されるように設計されたヘッドを備えたねじに上記に挙げた表示を形成することが考えられる。また、テンプの外縁の内周部から回すことができるねじにこのような表示を形成することも可能である。
【0034】
種々の代替の形態では、ねじのソケット100は好ましくは、ねじを好適な工具を利用して把持し回すことがより簡単になるように、六角形のソケットである。このソケットは有利には、この同一工具と協働し、それによってねじをそれ専用のねじ穴に誘導するのを容易にするように設計された孔1000と組み合わされる。
【0035】
本発明は、ねじがテンプの外縁に面するように配置されることにより、かつ好適な工具を利用してそれらの調節をより容易にするように設計されたその幾何学形状により、そのねじ調節が特に簡単である可変慣性テンプを実現することを可能にする。基準は、許容し得る調節の範囲を示しており、調節する際のねじの動きの大きさに関する情報も提供している。
【0036】
本発明による調節ねじによって、調節操作がより容易になる。このような解決策は、その利用の単純さに関して特に有利である。
【0037】
好ましくは異なる態様の実装形態および実施形態において、特定の部材に対するねじの長手方向の位置および/または角度位置を示す基準は、ねじ山、ヘッド、ヘッドベースもしくは肩部、または駆動凹部を含むような、ねじの基本的および/または機能的要素とは別個の要素である。したがってこの部材におけるねじの長手方向の位置および/または角度位置を示す基準は、目印または表示としての特有の要素であり、その機能またはその唯一の機能は、ねじの位置を示すことである。このような指示は、部材上の要素と協働することも可能である。
【0038】
異なる態様の実装形態および実施形態において、テンプに形成されたねじ穴は、止まりねじ穴または貫通ねじ穴である。好ましくはねじ穴は、360度の全周にわたってテンプの材料内に完全に開口され、すなわちそれらには横方向の開口がなく、詳細には、ねじ上の基準と協働してテンプに対して相対的なねじの位置を示すように設計された横方向の開口を持たない。
【0039】
既知の従来技術では、外縁に面したねじを位置付ける簡素な手段は存在しない。さらにねじは、容易には回転せず、調節する際、テンプの外縁を傷つける可能性がある。本発明のおかげで、時計師に、調節する際に自分が行なうねじの回転の割合を知らせることができる。このような表示は、調節操作をより容易にすることに寄与する。よって本発明は、その調節ねじが情報を保持する可変慣性テンプを提案する。さらに、このようなねじは、調節操作をできる限り簡素化するような方法で構成され位置決めされる。
【符号の説明】
【0040】
1 調節ねじ
2 テンプ
3 長手方向軸
4 ねじ山付きの部分
5 円筒形部分
6 第1の端部
7 第2の端部
8 ねじ穴
9 ヘッド
10 本体
20 外縁
21 スポーク
22 ハブ
30 機械的クロックムーブメント、ムーブメント
40 計時器
100 駆動ソケット、ソケット
200 短い突起
201 内面、面
202 外面
1000 孔
A0 第1のセット
A1 第1の基準
A2 第2の基準
A3 第3の基準
B0 第2のセット
B1 第1の基準
B2 第2の基準
B3 第3の基準
P1、P2 長手方向軸に直交する面