(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309265
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】電気用ゴム手袋およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A41D 19/00 20060101AFI20180402BHJP
A41D 19/015 20060101ALI20180402BHJP
A41D 19/04 20060101ALI20180402BHJP
【FI】
A41D19/00 N
A41D19/015 140
A41D19/04 B
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-266483(P2013-266483)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-120996(P2015-120996A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2016年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098752
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 吏規夫
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 輝美
(72)【発明者】
【氏名】高橋 義隆
(72)【発明者】
【氏名】矢代 雅也
【審査官】
北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/172063(WO,A1)
【文献】
特開昭53−024484(JP,A)
【文献】
実開昭47−007020(JP,U)
【文献】
特開2002−201517(JP,A)
【文献】
特開2003−342814(JP,A)
【文献】
米国特許第05173966(US,A)
【文献】
特開2000−328329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 19/00 − 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴムラテックスに加硫剤と感熱凝固剤を添加した凝固用ゴムラテックスから形成された電気用ゴム手袋において、
前記凝固用ゴムラテックスに水性有機系顔料を含有し、
前記ゴム手袋は前記凝固用ゴムラテックスから形成された単層のゴムからなり、
前記単層のゴムは、前記凝固用ゴムラテックスに含有した前記水性有機系顔料で着色された着色部分を前記ゴム手袋の外側表面に有し、前記外側表面の着色部分と該着色部分に隣接する内側部分に含有される前記水性有機系顔料が、前記内側部分よりも前記外側表面の着色部分に密に集まって前記外側表面の着色部分が着色されていることにより、前記外側表面の着色部分に隣接する内側部分と前記外側表面の着色部分とでゴムの色が異なる二色からなることを特徴とする電気用ゴム手袋。
【請求項2】
ゴムラテックスに加硫剤と感熱凝固剤と水性有機系顔料を添加した凝固用ゴムラテックス中に、予熱した手袋の型を浸漬して前記手袋の型の表面に付着した前記凝固用ゴムラテックスを凝固させて手袋形状の単層のゴム被膜を形成し、
前記手袋の型から前記手袋形状の単層のゴム被膜を外し、手袋の形状をした加硫乾燥用型に装着して加硫及び乾燥することにより、
前記凝固用ゴムラテックスから形成された手袋形状の単層のゴムからなり、外側表面には前記水性有機系顔料で着色された着色部分を有し、前記外側表面の着色部分に隣接する内側部分と前記外側表面の着色部分とでゴムの色が異なる二色のゴム手袋を製造することを特徴とする電気用ゴム手袋の製造方法。
【請求項3】
前記加硫及び乾燥は、前記手袋形状の単層のゴム被膜の内面を前記加硫乾燥用型の表面に密着させて行うことを特徴とする請求項2に記載の電気用ゴム手袋の製造方法。
【請求項4】
前記加硫及び乾燥は、50〜160℃で60分〜165時間行うことを特徴とする請求項2または3に記載の電気用ゴム手袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気絶縁用手袋として好適な電気用ゴム手袋およびその製造方法に関し、特には、高圧用に適し、外側表面部分と内側部分とで色の異なる断面二色からなる電気用ゴム手袋およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気工事の際に手から感電するのを防止するため、電気絶縁用手袋として電気用ゴム手袋が使用されている。
【0003】
電気用ゴム手袋は、ゴムラテックスから形成されたものであり、使用中の摩耗などにより厚みが薄くなることがある。また、電気用ゴム手袋は、ゴムの厚みが薄くなると電気絶縁性が低下するようになる。
しかしながら、使用によるゴムの厚み減少は徐々に進行するため、作業者が気付きにくく、安全性を損なうまで電気絶縁性が低下しても気付かないおそれがある。特に、交流電圧が600V、または直流電圧が750Vを超え7,000V以下の電路に用いられる高圧用のゴム手袋においては、ゴムの厚み減少による電気絶縁性低下は重要な問題で有り、ゴムの厚みについて細心の注意を払う必要がある。
【0004】
電気用ゴム手袋の製造方法の一つとして感熱法がある。感熱法では、ゴムラテックスに加硫剤と感熱凝固剤を添加した凝固用ゴムラテックス中に、予熱した手袋の型を浸漬して前記手袋の型の表面に付着した前記凝固用ゴムラテックスを凝固させて手袋形状のゴム被膜を形成し、前記手袋の型から前記ゴム被膜を外し、手袋の形状をした加硫乾燥用型に装着して加硫及び乾燥することにより電気用ゴム手袋を製造する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−201517号公報
【特許文献2】特開平10−331012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、ゴムの厚みが薄くなった(厚みが減少した)ことを使用者が視覚によって容易に認識でき、しかも品質が良好で高圧用に適した電気用ゴム手袋およびその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、ゴムラテックスに加硫剤と感熱凝固剤を添加した凝固用ゴムラテックスから形成された電気用ゴム手袋において、前記凝固用ゴムラテックスに水性有機系顔料を含有し、前記ゴム手袋は前記凝固用ゴムラテックスから形成された単層のゴムからなり、前記単層のゴムは、前記凝固用ゴムラテックスに含有した前記水性有機系顔料で着色された着色部分を前記ゴム手袋の外側表面に有し、
前記外側表面の着色部分と該着色部分に隣接する内側部分に含有される前記水性有機系顔料が、前記内側部分よりも前記外側表面の着色部分に密に集まって前記外側表面の着色部分が着色されていることにより、前記外側表面の着色部分に隣接する内側部分と前記外側表面の着色部分とでゴムの色が異なる二色からなることを特徴とする。
【0009】
請求項
2の発明は、ゴムラテックスに加硫剤と感熱凝固剤と水性有機系顔料を添加した凝固用ゴムラテックス中に、予熱した手袋の型を浸漬して前記手袋の型の表面に付着した前記凝固用ゴムラテックスを凝固させて手袋形状の単層のゴム被膜を形成し、前記手袋の型から前記手袋形状の単層のゴム被膜を外し、手袋の形状をした加硫乾燥用型に装着して加硫及び乾燥することにより、前記凝固用ゴムラテックスから形成された手袋形状の単層のゴムからなり、外側表面には前記水性有機系顔料で着色された着色部分を有し、前記外側表面の着色部分に隣接する内側部分と前記外側表面の着色部分とでゴムの色が異なる二色の電気用ゴム手袋を製造することを特徴とする。
【0010】
請求項
3の発明は、請求項
2において、前記加硫及び乾燥は、前記手袋形状の単層のゴム被膜の内面を前記加硫乾燥用型の表面に密着させて行うことを特徴とする。
請求項
4の発明は、請求項
2または
3において、前記加硫及び乾燥は、50〜160℃で60分〜165時間行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電気用ゴム手袋によれば、外側表面の着色部分と内側部分とでゴムの色が異なるため、使用により外側表面の着色部分が摩耗して内側部分が露出すると、露出した内側部分の色でゴムの厚み減少を視覚的に認識することができ、新しい電気用ゴム手袋に交換する時期を把握することができる。また、本発明の電気用ゴム手袋は、着色部分のゴムと内側部分のゴムを積層した二層構造のものとは異なり、単層のゴムからなるため、着色部分と内側部分間に不純物が混入して絶縁性が低下したり、着色部分と内側部分の結合強度が不足して剥離し易くなったり、強度が低下したりするおそれがない。
【0012】
本発明の電気用ゴム手袋の製造方法によれば、凝固用ゴムラテックス中に、予熱した手袋の型を浸漬して前記手袋の型の表面に付着した前記凝固用ゴムラテックスを凝固させて手袋形状の単層のゴム被膜を形成し、前記手袋の型から前記手袋形状の単層のゴム被膜を外し、手袋の形状をした加硫乾燥用型に装着して加硫及び乾燥によって、ゴム被膜の表面から水分が蒸発する際に、ゴム被膜内の水性有機系顔料が、水分と共にゴム被膜の表面に移動して内側部分よりも外側表面に密に集まる。それによって、水性有機系顔料で着色された着色部分が外側表面に形成され、外側表面の着色部分と内側部分とでゴムの色が異なる二色の電気用ゴム手袋が得られる。
【0013】
このように、本発明の電気用ゴム手袋の製造方法によれば、着色部分の形成の際と内側部分の形成の際にその都度の合計2回も凝固用ゴムラテックスに手袋の型を浸漬する必要がなく、凝固用ゴムラテックスに手袋の型を1回浸漬するだけでよいため、二色のゴムからなる電気用ゴム手袋を簡略な作業で製造することができる。さらに、凝固用ゴムラテックスへの手袋の型の浸漬が1回だけでよいため、外側表面の着色部分と内側部分間に不純物が混入してゴム手袋の絶縁性が低下したり、ゴム手袋の着色部分と内側部分で結合強度が不足して剥離し易くなったり、強度が低下したりするおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態に係る電気用ゴム手袋の右手袋の正面図と側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1および
図2に示す実施形態の電気用ゴム手袋10は、高圧用であり、指の先から手首の上まで挿入可能に形成されている。なお、
図1および2には一方の手用を示しているが、他方の手用も同様の構成である。
【0016】
前記電気用ゴム手袋10は、凝固用ゴムラテックスから形成された単層のゴム11で形成されている。前記単層のゴム11は、手袋の外側表面の着色部分11aと、該着色部分11aに隣接する内側部分11bが互いに色の異なる二色の断面構造になっている。例えば、前記着色部分11aが赤色、前記内側部分11bが白色である。
【0017】
前記着色部分11aは、凝固用ゴムラテックスに添加された水性有機系顔料が前記内側部分11bよりも表面に密に集まって着色された部分であり、使用する水性有機系顔料に応じた色に着色されている。前記表面の着色部分11aの厚みは、全体(着色部分+内側部分)の厚みの3〜15%程度が好ましい。なお、例として全体厚みが1.2〜3mm、前記着色部分11aの厚みが0.04〜0.16mmを挙げる。
【0018】
凝固用ゴムラテックスは、ゴムラテックスに加硫剤、感熱凝固剤、水性有機系顔料、その他適宜の添加剤を添加したもので構成される。
前記ゴムラテックスとしては、感熱法に使用されている公知のものを1種または複数混合して用いることができる。例えば、天然ゴム(NR)ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)ラテックス、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)ラテックス、メタクリル酸エチルグラフト(MG)ラテックス等を挙げる。なお、前記ゴムラテックスは、適宜ホルマリンの添加によりpHの調整が行われて使用される。
【0019】
加硫剤としては、ゴムの加硫に使用されている公知のものを用いることができる。例えば、硫黄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ジチオカルバミン酸塩、チラニウムポリサルファイド等を挙げる。加硫剤の添加量は、ゴムラテックスの固形分100重量部に対して1〜20重量部が好ましい。
【0020】
感熱凝固剤は、感熱化剤とも称されるものであり、感熱法に使用されている公知のものを用いることができる。例えば、ポリビニルメチルエーテル、ポリアルキレングリコール、感応性ポリシロキサンなどを挙げる。感熱凝固剤の添加量は、ゴムラテックスの固形分100重量部に対して1〜30重量部が好ましい。
【0021】
水性有機系顔料としては、水とラテックスに対する相性がよく、ラテックス溶液中に分散または希釈し易く、沈降等を生じないものが好ましい。例えば、有機アゾ系、フタロシアニン顔料系、捺染系を挙げることができる。なお、ベンガラなどの無機系顔料は、本発明においてゴムが二色にならず、好ましくないものである。水性有機系顔料の添加量は、ゴムラテックスの固形分100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましい。
【0022】
その他の添加剤として加硫促進剤を添加してもよい。加硫促進剤としては、公知のものを用いることができ、例えば、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(PZ)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(EZ)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(BZ)、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩(MZ)、テトラメチルチラウムジスルフィド(TT)、テトラエチルチラウムジスルフィド(TET)等を挙げる。加硫促進剤の添加量は、ゴムラテックスの固形分100重量部に対して0.5〜30重量部が好ましい。
さらに他の添加剤として、充填剤として酸化チタン等を添加したり、加硫促進助剤等を添加したりしてもよい。
【0023】
次に前記電気用ゴム手袋10の製造方法について説明する。前記電気用ゴム手袋10の製造方法は、浸漬凝固工程、加硫乾燥工程とからなる。
浸漬凝固工程では、前記ゴムラテックスに加硫剤、感熱凝固剤、水性有機系顔料、その他適宜の添加剤を添加した前記凝固用ゴムラテックス中に、予熱した手袋の型を浸漬して前記手袋の型の表面に付着した前記凝固用ゴムラテックスを凝固させて手袋形状の単層のゴム被膜を形成する。
【0024】
前記手袋の型の温度は40〜100℃が好ましく、また、浸漬時間は2〜20秒が好ましい。前記手袋の型の温度及び浸漬時間は、低圧用(低電圧用)のゴム手袋に比べて大きくなっている。前記浸漬は、前記手袋の型の温度および浸漬時間で1回のみ行われる。なお、前記手袋の型は、アルミニウム等の金属製のものが加熱のし易さなどから好ましい。また、前記手袋の型の加熱は、ヒーター、温水等によって行うことができる。
【0025】
加硫乾燥工程では、前記手袋の型から前記手袋形状の単層のゴム被膜を外し、手袋の形状をした加硫乾燥用型に装着して加硫及び乾燥する。
前記加硫乾燥用型は、前記手袋形状の単層のゴム被膜を装着した際に単層のゴム被膜の内面が型の表面に密着するサイズからなり、前記浸漬凝固工程で用いた手袋の型とほぼ等しい表面形状からなる。前記加硫乾燥用型の材質は、陶器、軽金属等を挙げることができ、特に熱膨張のために陶器が好ましい。
【0026】
前記加硫および乾燥は、前記加硫乾燥用型に前記手袋形状の単層のゴム被膜を装着した状態で50〜160℃、60分〜165時間加熱することにより行う。加熱は、前記単層のゴム被膜を装着した加硫乾燥用型を加熱炉に収容したりして行う。この加熱により、前記ゴム被膜中の水分がゴム被膜の表面から蒸発する際に、ゴム被膜内の水性有機系顔料が水分と共にゴム被膜の表面に移動し、内側部分よりも外側の表面側に水性有機系顔料が密に集まる。それによって、水性有機系顔料で着色された着色部分が、前記加硫乾燥用型とは反対側のゴム被膜の外側表面に形成され、一方、前記ゴム被膜の着色部分に隣接する内側部分は、水性有機系顔料が少なくなって、前記外側表面の着色部分と内側部分とで色が異なる二色のゴムが形成される。
【0027】
さらに、前記加硫乾燥工程において、単層のゴム被膜の内面が加硫乾燥用型の表面に密着した状態でゴム被膜が加熱されることにより、ゴム被膜内の水分は、加硫乾燥用型の表面と密着していない外側の表面側で蒸発することになるため、ゴム被膜の外側表面側にのみ水性有機系顔料が集まり、前記水性有機系顔料で着色された着色部分を外側表面に効率よく形成することができる。また、前記加硫および乾燥の温度は、水性有機系顔料がゴム被膜の表面側へ効率よく移動できるように、通常のゴムの加硫温度よりも低温であり、かつ長い加熱時間となっている。加熱時間終了後、前記加硫乾燥用型からゴム被膜を外すことにより、断面が二色の前記電気用ゴム手袋10を得る。
【実施例】
【0028】
<実施例1>
天然ゴムラテックスを混合撹拌し、ホルマリンを加えて中性〜弱アルカリ性に調整した後、50℃に加温して5時間保持することにより、原料ゴムラテックス(固形分濃度50重量%)を作成した。
【0029】
前記原料ラテックス(固形分濃度50重量%)100重量部に対して、加硫剤5重量部、感熱凝固剤10重量部、水性有機系顔料1重量部、加硫促進剤1重量部を添加し、撹拌して凝固用ゴムラテックスを作成した。以下に、使用した加硫剤、感熱凝固剤、水性有機系顔料、加硫促進剤を示す。
加硫剤:亜鉛華(酸化亜鉛)
感熱凝固剤:ポリビニルメチルエーテル
水性有機系顔料:溶性アゾ系顔料(レッド)
加硫促進剤:ジブチルカルバミン酸亜鉛(BZ)
【0030】
アルミニウム製の手袋の型をオーブンで65℃に予熱し、前記凝固用ゴムラテックス中に10秒間浸漬し、手袋の型の表面で凝固用ゴムラテックスを凝固させて手袋形状の単層のゴム被膜を形成した。手袋の型は、指の先から手首の上までの部分を有する。
次に前記手袋形状の単層のゴム被膜を手袋の型から外し(剥がし)、前記手袋形状の単層のゴム被膜を手袋の形状をした陶器製の加硫乾燥用型に装着した。前記陶器製の加硫乾燥用型は、前記手袋の型とほぼ等しい形状からなり、前記単層のゴム被膜の内面が前記陶器製の加硫乾燥用型の表面に密着する。前記手袋形状の単層のゴム被膜を装着した陶器製の加硫乾燥用型を、蒸気釜に収容して160℃で70分間加熱し、加硫および乾燥を行った。その後、陶器製の加硫乾燥用型からゴム被膜を外し、実施例1の電気用ゴム手袋を得た。
【0031】
実施例1の電気用ゴム手袋を、JIS T 8112「電気用ゴム手袋」B種(使用電圧3,500V、試験電圧12,000V)にしたがって、高圧用電気絶縁試験を行った結果、10mA以下であった。
また、実施例1の電気用ゴム手袋は、カットしたところ、外側表面に赤色の着色部分を有し、着色部分に隣接する内側部分が白に近い淡色からなり、断面が二色に分かれたゴムの一層からなっていた。
さらに実施例1の電気用ゴム手袋を、指、甲、手首、手首の上方箇所における合計9カ所の部位でカットし、各部位でゴムの全体厚み(mm)、赤い表面の着色部分の厚み(mm)をそれぞれ測定し、さらに各部位で全体の厚みに対する表面の着色部分の厚みの割合(%)を計算し、平均値を求めた。平均値は、ゴムの全体厚みが1.304mm、表面の着色部分の厚みが0.111mm、表面の着色部分の割合が9%であった。
【0032】
<比較例1>
実施例1における水性有機系顔料に代えてベンガラ(酸化鉄、無機系顔料)を、混合ゴムラテックス(固形分濃度50重量%)100重量部に対して0.2重量部添加して凝固用ゴムラテックスを作成した。その他は実施例1と同様にして比較例1の電気用ゴム手袋を製造した。比較例1の電気用ゴム手袋は、カットしたところ、全体が赤褐色をした一色の一層からなり、断面が二色でなかった。
【0033】
<比較例2>
実施例1における水性有機系顔料を添加していない第1凝固用ゴムラテックスを、その他は第1実施例と同様の構成で作成した。アルミニウム製の手袋の型をオーブンで65℃に予熱し、前記第1凝固用ゴムラテックス中に10秒間浸漬し、手袋の型の表面で第1凝固用ゴムラテックスを凝固させて手袋形状の第1のゴム被膜を形成した。次に、実施例1の凝固用ゴムラテックスを第2凝固用ゴムラテックスとして使用し、第1のゴム被膜が表面に形成された前記手袋の型を第2凝固用ゴムラテックス中に浸漬し、前記第1ゴム被膜上に第2ゴム被膜を積層した。次に、160℃の蒸気釜で70分間、加硫および乾燥させた後、二層のゴム皮膜を手袋の型から外し、比較例2の電気用ゴム手袋を得た。比較例2の電気用ゴム手袋は、カットしたところ、第2のゴム被膜からなる外側部分が濃い赤色、第1のゴム被膜からなる内側部分が白色からなり、断面が二色の二層になっていた。比較例2の電気用ゴム手袋は、第1のゴム被膜と第2のゴム被膜の間に不純物が混入して耐電圧が低下するおそれや、第1のゴム被膜と第2のゴム被膜の接着力が低下し、強度が不足するおそれがある。
【0034】
このように、本発明の電気用ゴム手袋によれば、外側表面の着色部分と内側部分とでゴムの色が異なるため、使用により外側表面の着色部分が摩耗して内側部分が露出すると、露出した内側部分の色でゴムの厚み減少を視覚的に認識することができ、新しい電気用ゴム手袋に交換する時期を把握することができる。また、本発明の電気用ゴム手袋は、着色部分のゴムと内側部分のゴムを積層した二層構造のものとは異なり、単層のゴムからなるため、着色部分と内側部分間に不純物が混入して絶縁性が低下したり、着色部分と内側部分の結合強度が不足して剥離し易くなったり、強度が低下したりするおそれがない。
【0035】
また、本発明の電気用ゴム手袋の製造方法によれば、二色のゴムを形成するために凝固用ゴムラテックスに手袋の型を2回浸漬する必要がなく、1回だけでよいために簡略な作業で二色の高圧用の電気用ゴム手袋を製造することができる。さらに、凝固用ゴムラテックスへの手袋の型の浸漬が1回だけでよいため、外側表面の着色部分と内側部分間に不純物が混入してゴム手袋の絶縁性が低下したり、ゴム手袋の着色部分と内側部分で結合強度が不足して剥離し易くなったり、強度が低下したりするおそれがない。
【符号の説明】
【0036】
10 電気用ゴム委手袋
11 単層のゴム
11a 着色部分
11b 内側部分