(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記情報生成手段は、前記医用器具の操作に関する前記所定のイベントの発生を検出し、前記所定のイベントの前記発生に応答して、前記ボリュームデータについて前記所定のイベントの発生時点に対応する前記医用器具の位置を計算し、計算された前記医用器具の位置を含む前記支援情報を生成する請求項1又は2の医用画像診断装置。
前記情報生成手段は、前記医用器具の操作者、前記医用器具の太さ、前記所定のイベントが発生した時刻、前記医用器具を使用した検査の結果、医師の所見、のうちの少なくとも一つをさらに含む前記支援情報を生成する請求項3記載の医用画像診断装置。
前記データ生成手段は、前記支援情報が付帯された第1のボリュームデータと、第2のボリュームデータと、の位置合わせを実行し、前記第1のボリュームデータに付帯された前記支援情報を前記第2のボリュームデータに付帯させることで、新たな支援ボリュームデータを生成する請求項1乃至7のうちいずれか一項記載の医用画像診断装置。
前記情報生成手段は、前記医用器具の移動速度及び移動方向のうちの少なくとも一方を計算し、前記計算された穿刺針の移動速度及び移動方向のうちの少なくとも一方を含む前記支援情報を生成する請求項3記載の医用画像診断装置。
前記情報生成手段は、前記医用器具の湾曲状況に基づいて前記ボリュームデータ上の前記医用器具の位置を修正し、前記修正後の前記位置に基づいて前記支援情報を生成する請求項3記載の医用画像診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0012】
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。同図に示すように、本超音波診断装置1は、超音波プローブ12、入力装置13、モニター14、超音波送信ユニット21、超音波受信ユニット22、Bモード処理ユニット23、ドプラ処理ユニット24、RAWデータメモリ25、ボリュームデータ生成ユニット26、画像処理ユニット28、表示処理ユニット30、制御プロセッサ(CPU)31、記憶ユニット33、穿刺術情報生成ユニット35、位置合わせユニット36、穿刺術情報付データ生成ユニット37、インタフェースユニット39を具備している。また、超音波診断装置1には、走査断面位置センサ41、穿刺針位置センサ42が接続されている。以下、個々の構成要素の機能について説明する。
【0013】
超音波プローブ12は、被検体に対して超音波を送信し、当該送信した超音波に基づく被検体からの反射波を受信するデバイス(探触子)であり、その先端に複数に配列された圧電振動子、整合層、バッキング材等を有している。圧電振動子は、超音波送信ユニット21からの駆動信号に基づきスキャン領域内の所望の方向に超音波を送信し、当該被検体からの反射波を電気信号に変換する。整合層は、当該圧電振動子に設けられ、超音波エネルギーを効率良く伝播させるための中間層である。バッキング材は、当該圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止する。当該超音波プローブ12から被検体Pに超音波が送信されると、当該送信超音波は、体内組織の音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、エコー信号として超音波プローブ12に受信される。このエコー信号の振幅は、反射することになった不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。また、送信された超音波パルスが、移動している血流で反射された場合のエコーは、ドプラ効果により移動体の超音波送受信方向の速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0014】
なお、本実施形態においては、超音波プローブ12は、複数の超音波振動子が所定の方向に沿って配列された一次元アレイプローブであるとする。しかしながら、当該例に拘泥されず、超音波プローブ12は、ボリュームデータを取得可能なものとして、二次元アレイプローブ(複数の超音波振動子が二次元マトリックス状に配列されたプローブ)、又はメカニカル4Dプローブ(超音波振動子列をその配列方向と直交する方向に機械的に煽りながら超音波走査を実行可能なプローブ)であってもよい。また、一次元アレイプローブに取り付けられた走査断面位置センサ41を利用して、プローブを移動させながら、若しくは煽りながらスキャンすることでもボリュームデータを取得可能である。
【0015】
入力装置13は、装置本体11に接続され、オペレータからの各種指示、条件、関心領域(ROI)の設定指示、種々の画質条件設定指示等を装置本体11にとりこむための各種スイッチ、ボタン、トラックボール、マウス、キーボード等を有している。また、入力装置13は、後述する穿刺術支援機能において、穿刺針の針先位置を含む穿刺術情報を取り込むタイミングを指示するためのボタン等を有している。
【0016】
モニター14は、表示処理ユニット30からのビデオ信号に基づいて、生体内の形態学的情報や、血流情報を画像として表示する。
【0017】
超音波送信ユニット21は、図示しないトリガ発生回路、遅延回路およびパルサ回路等を有している。トリガ発生回路では、所定のレート周波数fr Hz(周期;1/fr秒)で、送信超音波を形成するためのトリガパルスが繰り返し発生される。また、遅延回路では、チャンネル毎に超音波をビーム状に集束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間が、各トリガパルスに与えられる。パルサ回路は、このトリガパルスに基づくタイミングで、プローブ12に駆動パルスを印加する。
【0018】
超音波受信ユニット22は、図示していないアンプ回路、A/D変換器、遅延回路、加算器等を有している。アンプ回路では、プローブ12を介して取り込まれたエコー信号をチャンネル毎に増幅する。A/D変換器では、増幅されたアナログのエコー信号をデジタルエコー信号に変換する。遅延回路では、デジタル変換されたたエコー信号に対し受信指向性を決定し、受信ダイナミックフォーカスを行うのに必要な遅延時間を与え、その後加算器において加算処理を行う。この加算により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0019】
Bモード処理ユニット23は、受信ユニット22からエコー信号を受け取り、対数増幅、包絡線検波処理などを施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータを生成する。
【0020】
ドプラ処理ユニット24は、受信ユニット22から受け取ったエコー信号から血流信号を抽出し、血流データを生成する。血流の抽出は、通常CFM(Color Flow Mapping)で行われる。この場合、血流信号を解析し、血流データとして平均速度、分散、パワー等の血流情報を多点について求める。
【0021】
RAWデータメモリ25は、Bモード処理ユニット23から受け取った複数のBモードデータを用いて、三次元的な超音波走査線上のBモードデータであるBモードRAWデータを生成する。また、RAWデータメモリ25は、ドプラ処理ユニット24から受け取った複数の血流データを用いて、三次元的な超音波走査線上の血流データである血流RAWデータを生成する。なお、ノイズ低減や画像の繋がりを良くすることを目的として、RAWデータメモリ25の後に三次元的なフィルタを挿入し、空間的なスムージングを行うようにしてもよい。
【0022】
ボリュームデータ生成ユニット26は、空間的な位置情報を加味した補間処理を含むRAW−ボクセル変換を実行することにより、Bモードボリュームデータ、血流ボリュームデータを生成する。
【0023】
画像処理ユニット28は、ボリュームデータ生成ユニット26から受け取るボリュームデータに対して、ボリュームレンダリング、多断面変換表示(MPR:multi planar reconstruction)、最大値投影表示(MIP:maximum intensity projection)等の所定の画像処理を行う。なお、ノイズ低減や画像の繋がりを良くすることを目的として、画像処理ユニット28の後に二次元的なフィルタを挿入し、空間的なスムージングを行うようにしてもよい。
【0024】
表示処理ユニット30は、画像処理ユニット28において生成・処理された各種画像データに対し、ダイナミックレンジ、輝度(ブライトネス)、コントラスト、γカーブ補正、RGB変換等の各種を実行する。
【0025】
制御プロセッサ31は、情報処理装置(計算機)としての機能を持ち、本超音波診断装置本体の動作を制御する。制御プロセッサ31は、記憶ユニット313ら後述する穿刺術支援機能を実現するための専用プログラムを読み出して自身が有するメモリ上に展開し、各種処理に関する演算・制御等を実行する。
【0026】
記憶ユニット33は、後述する穿刺術支援機能を実現するための専用プログラム、他のモダリティ(例えば、X線コンピュータ断層撮像装置、磁気共鳴イメージング装置、X線診断装置等)や超音波診断装置によって過去に取得されたボリュームデータ、診断情報(患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、送受信条件、スペックル除去機能を実現するためのプログラム、ボディマーク生成プログラム、映像化に用いるカラーデータの範囲を診断部位毎に予め設定する変換テーブル、その他のデータ群が保管されている。また、必要に応じて、図示しない画像メモリ中の画像の保管などにも使用される。記憶ユニット33のデータは、インタフェースユニット39を経由して外部周辺装置へ転送することも可能となっている。
【0027】
穿刺術情報生成ユニット35は、位置検出ユニット40によって検出された穿刺針の針先位置に関する情報に基づいて、現在の超音波画像上(すなわち現在の走査断面上)における針先位置に関する情報を生成する。この情報は、例えば穿刺針の針先位置と超音波プローブとの位置関係に基づいて生成することができる。また、穿刺術情報生成ユニット35は、位置合わせユニット36によって位置合わせされたボリュームデータ上における針先位置を含む穿刺術情報を生成する。
【0028】
位置合わせユニット36は、現在の走査断面とモニタリングに利用する(他のモダリティによって取得された)ボリュームデータとの位置合わせ(キャリブレーション)を行う。
【0029】
穿刺術情報付データ生成ユニット37は、穿刺術情報生成ユニット35において生成された針先位置情報を穿刺術のモニタリングに利用したボリュームデータに付帯させることで、穿刺術情報付ボリュームデータを生成する。また、穿刺術情報付データ生成ユニット37は、ボリュームデータ同士の間の位置合わせを行い、一方のボリュームデータに付された穿刺術情報を他方のボリュームデータに新たに付帯させることで、穿刺術情報付ボリュームデータの生成、更新を実行する。
【0030】
インタフェースユニット39は、入力装置13、ネットワーク、新たな外部記憶装置(図示せず)に関するインタフェースである。また、インタフェースユニット39は、走査断面位置センサ41、穿刺針位置センサ42から送り出される走査断面位置、穿刺針の針先位置を、穿刺術情報生成ユニット35に送り出す。当該装置によって得られた超音波画像等のデータや解析結果等は、インタフェースユニット39よって、ネットワークを介して他の装置に転送可能である。
【0031】
磁場発生装置40は、超音波プローブ12に設けられる走査断面位置センサ41が操作断面の位置を計算するため、或いは穿刺針に設けられる穿刺針位置センサ42が穿刺針の針先位置を計算するための磁場を発生する。
【0032】
走査断面位置センサ41は、超音波プローブ12の所定位置に設けられ、磁場発生装置40が発生する磁場を検出し、当該検出した磁場に基づいて走査断面の位置を計算する。計算された走査断面の位置は、インタフェースユニット39を介して装置本体11内へリアルタイムに送り出される。
【0033】
穿刺針位置センサ42は、穿刺針の針先、針元、或いは穿刺針と常に一定の相対的位置関係を維持する穿刺針アダプタ等に設けられ、磁場発生装置40が発生する磁場を検出し、当該検出した磁場に基づいて穿刺針の針先位置を計算する。なお、当該穿刺針位置センサ42を針元に装着する場合には、穿刺針位置センサ42と針先位置とのキャリブレーションを事前に行う必要がある。計算された穿刺針の針先位置は、インタフェースユニット39を介して装置本体11内へリアルタイムに送り出される。穿刺針位置センサ42は穿刺針に対して複数取り付けられていても構わない。例えば穿刺針の針先と針元の2か所に取り付け、それぞれが位置情報を検出することにより、穿刺針の3次元上の向き(傾き)を検出することができる。
【0034】
(穿刺術支援機能)
次に、本超音波診断装置が具備する穿刺術支援機能について説明する。本機能は、穿刺術中の所定のタイミングにおいて、モニタリングに利用するボリュームデータ上の穿刺針の針先位置を計算し、当該針先位置を少なくとも含む穿刺術情報とモニタリングに利用したボリュームデータとを対応付けて記憶し、必要に応じて、上記所定のタイミングにおけるボリュームデータ上の穿刺針の位置を当該穿刺術中において或いは事後的に視認可能とするものである。
【0035】
図2は、本穿刺術支援機能に従う処理(穿刺術支援処理)の流れを示したフローチャートである。同図を用いて、穿刺術支援処理の各ステップにおいて実行される処理の内容について説明する。
【0036】
[患者情報等入力/穿刺術支援モード、ボリュームデータの選択:ステップS1]
入力装置13を介して患者情報、検査情報等の入力、本穿刺術支援機能が実行される穿刺術支援モードの選択、穿刺術においてモニタリングに利用する所定のボリュームデータの選択が実行される(ステップS1)。入力、選択された各種情報は、自動的に記憶装置33に記憶される。また、制御ユニット31は、穿刺術支援モードの選択操作に応答して、穿刺術支援機能を実行するためのプログラムを起動させると共に、選択されたボリュームデータを記憶装置33から読み出す。
【0037】
なお、本実施形態においては、説明を具体的にするために、操作者によって選択されたボリュームデータは、X線コンピュータ断層撮像装置によって取得されたボリュームデータであるとする。しかしながら、当該例に拘泥されず、磁気共鳴イメージング装置、X線診断装置、超音波診断装置等によって取得されたボリュームデータであってもよい。
【0038】
[超音波プローブ位置、針針先位置、ボリュームデータの位置対応付け:ステップS2]
次に、位置合わせユニット36は、操作者によって選択されたボリュームデータ、走査断面位置センサ41より受け取る走査断面位置、穿刺針位置センサ42より受け取る針先位置の間の位置対応付け(キャリブレーション。)を実行する(ステップS2)。
【0039】
[超音波画像・CT画像の同時表示:ステップS3]
次に、制御ユニット31は、走査断面位置センサ41より受け取る走査断面位置と位置合わせ処理後のボリュームデータとを用いて、現在の走査断面に対応するCT画像を生成する。また、制御ユニット31は、通常の処理によって取得される現在の走査断面に関する超音波画像と生成する。生成された現在の走査断面に対応する超音波画像及びCT画像は、所定の形態にてモニター14に同時に表示される(ステップS3)。なお、このようにして同時に表示されるCT画像と超音波画像は、走査断面位置センサ41から新たな走査断面位置を受け取る度にリアルタイムに更新される。
【0040】
図3は、本ステップの処理によってモニター14に同時表示されるCT画像及び超音波画像の一例を示している。同図に示す様に、術者は、同時に表示されたCT画像及び超音波画像の双方の画像によって現在の穿刺針の位置及び向きを簡単且つ迅速に視認しながら、穿刺針を操作することができる。
【0041】
[穿刺術情報の生成、穿刺術情報付ボリュームデータの保存:ステップS4]
次に、穿刺術情報生成ユニット37は、所定のイベントをトリガとして、穿刺針位置センサ42より受け取る針先位置を用いて、ボリュームデータ上の針先位置を少なくとも含む穿刺術情報を生成する。また、穿刺術情報付データ生成ユニット37は、上記穿刺術情報をボリュームデータに付帯させることで、穿刺術情報付ボリュームデータを生成し記憶ユニット33に保存する。同時に、制御プロセッサ31は、穿刺針位置センサ42より受け取る針先位置を用いて超音波画像上の針先位置が計算され、当該針先位置が付帯された超音波画像を、穿刺術情報付ボリュームデータと相互に関連付けて記憶ユニット33に記憶する(ステップS4)。
【0042】
なお、本ステップS4の上記トリガイベントについては、特に限定はない。典型例としては、入力装置13から所望のタイミングで入力される穿刺術情報付ボリュームデータの生成・保存指示、入力装置13から所望のタイミングで入力される超音波画像のフリーズ表示指示或いは保存指示等をトリガイベントとすることができる。また、臨床的観点から、穿刺術がRFAの場合であれば焼灼開始操作、穿刺術がバイオプシ(組織採取)の場合であれば組織採取開始操作等をトリガイベントとすることもできる。例えば、ガンタイプの穿刺針による組織採取は、針先は瞬間的に伸びて元に戻る。その針の動きに合わせて操作者がスイッチを押すことは困難である。操作者がスイッチを押した後に、針先の速度が閾値を超えた後に向きが180度反転したところで自動的に保存することで、まさに組織が採取されるタイミングにおいて、針先位置及び超音波画像データを保存することが可能となる。若しくは、操作者がスイッチを押した時点から任意の時間だけ経過した時点をトリガイベントの発生時点としてもよい。さらに、穿刺術情報付ボリュームデータ、針先位置が付帯された超音波画像については、ある時刻に対応するものだけでなく、例えば焼灼前後に亘る期間、或いは採取の前後に亘る期間について、自動的に時系列に生成され保存されるようにしても良い。またあるいは、穿刺針が組織内へ進入した後、穿刺針が一定時間だけ静止していた時点を穿刺術が行われたタイミングと見なして、一定時間経過した時点をトリガイベントの発生時点としてもよい。
【0043】
また、穿刺術情報生成ユニット37によって生成される穿刺術情報には、必要に応じて種々の情報をさらに含めることができる。典型例としては、上記トリガイベントが発生した日時、術種、術者、穿刺針の太さ、場所、術者のコメント等を挙げることができる。
【0044】
[超音波画像・CT画像の同時表示、穿刺術情報付ボリュームデータの更新等:ステップS5、S6]
走査断面位置センサ41から新たな走査断面位置を受け取る度にリアルタイムに更新される。術者は、継続して同時に表示されるCT画像及び超音波画像を観察しながら、穿刺針を引き続き操作する(ステップS5)。
【0045】
以降、穿刺術中において、穿刺術情報生成ユニット37は、ステップS4と同様に、新たなイベントをトリガとして、穿刺針位置センサ42より受け取る針先位置を用いて、ボリュームデータ上の針先位置を示すための情報を少なくとも含む穿刺術情報を生成する。また、穿刺術情報付データ生成ユニット37は、ステップS4において生成された穿刺術情報を残しつつ(ステップS4において生成された穿刺術情報とは区別して)新たに生成された穿刺術情報をボリュームデータに付帯させることで、保存された穿刺術情報付ボリュームデータを更新する。同時に、制御プロセッサ31は、穿刺針位置センサ42より受け取る針先位置を用いて超音波画像上の針先位置が計算され、当該針先位置が付帯された超音波画像を、穿刺術情報付ボリュームデータと相互に関連付けて記憶ユニット33に記憶する(ステップS6)。
【0046】
なお、ステップS5、S6の処理は、穿刺術中において必要な分だけ繰り返し実行される。
【0047】
[バイオプシ結果等の入力、穿刺術情報付ボリュームデータの更新等:ステップS7]
必要に応じて、入力装置13からバイオプシ結果等が入力される。穿刺術情報生成ユニット37は、入力されるバイオプシ結果等を含むように、当該バイオプシを行った位置に対応する穿刺術情報を更新する。また、穿刺術情報付データ生成ユニット37は、今までに生成された穿刺術情報を残しつつ、バイオプシ結果等を含むように更新された穿刺術情報をボリュームデータに付帯させることで、保存された穿刺術情報付ボリュームデータを更新する(ステップS7)。
【0048】
(応用例1)
検査終了後、任意のタイミングで保存された穿刺術情報付ボリュームデータを再生することができる。すなわち、制御プロセッサ31は、入力装置13から入力される再生指示に応答して、記憶ユニット33に記憶された穿刺術情報付ボリュームデータを読み出し、例えば、穿刺術においてモニタリングに利用されたCT画像(MPR画像等)を生成し、穿刺術情報と共にモニター14に表示する。
【0049】
図4は、事後的に生成され表示される、穿刺術情報が付加されたCT画像の一例を示した図である。同図に示す様に、所望のCT画像上の対応する位置に過去に実施された各穿刺術での針先位置と共に、日付、バイオプシ結果等が表示される。また、観察者は、必要に応じて、
図4に示す穿刺術情報が付加されたCT画像と共に、当該CT画像に関連付けされた(針先位置を含む)超音波画像(及び当該超音波画像に付帯された針先位置等)も同時に表示することも可能である。なお、日付、バイオプシ結果等は、CT画像、超音波画像上において所望の針先位置をマウス等によって選択することで、段階的に表示されるようにしても良い。
【0050】
医師等の観察者は、
図4の如く表示されたCT画像を観察しながら、入力装置13からバイオプシ結果等を入力し、所望の日付の穿刺術に対応する穿刺術情報の内容を事後的に追加、更新することも可能である。また、例えばバイオプシ結果が陽性であった場合には赤(或いは四角)、陰性であった場合には青(或いは円)といった具合に、検査結果や検査日に応じて針先位置(或いは針先位置に対応する領域)を異なる色彩にて表示したり割り当てるマーカの形状を変更するようにしてもよい。さらに、例えば
図4の例では複数の穿刺術に対応する穿刺術情報が表示されているが、必要に応じて所望の穿刺術情報のみを表示したり、不要な穿刺術情報を非表示とすることも可能である。穿刺術情報は、トリガイベント毎に保存されていてもよいし、例えば1日のうちに発生した複数のトリガイベントをひとまとめとして、トリガイベントのまとまり毎に穿刺術情報を保存してもよい。
【0051】
(応用例2)
ステップS2において、過去に生成された穿刺術情報付ボリュームデータと、現在の走査断面位置及び針先位置、との間の位置対応付け(キャリブレーション)を行うことで、過去の穿刺術における針先位置を含んだCT画像をモニタリング画像として用いることも可能である。係る構成によれば、現在の走査断面に対応するCT画像をリアルタイムに取得された超音波画像と共に表示できることに加え、過去の穿刺術における針先位置等を含む穿刺術情報をも同時に表示することができる。このとき、現在の針先位置と過去の針先位置は、異なる色彩或いは形状で表示されることが好ましい。
【0052】
本応用例に係る構成によれば、再度穿刺を行う時などに過去の穿刺結果を、詳細且つ好適にレビューすることができる。また、過去の穿刺結果を見ながら現在の穿刺術を実行でき、RFAの重ね焼き治療や前立腺ガンの系統的生検時等を好適に支援することができる。
(応用例3)
穿刺術情報付ボリュームデータが有する穿刺術情報を他のボリュームデータにコピーすることにより、新たな穿刺術情報付ボリュームデータを生成することも可能である。
【0053】
例えば、制御ユニット31は、穿刺術情報付ボリュームデータと他のボリュームデータ(穿刺術情報が付帯されていてもされていなくてもよい)との間の相対位置合わせ(キャリブレーション)を行う。穿刺術情報生成ユニット35は、穿刺術情報に含まれる位置情報を他のボリュームデータの座標系に書き換えることで、新たな穿刺術情報を生成する。穿刺術情報付データ生成ユニット37は、新たな穿刺術情報を他のボリュームデータに付帯させることで、新たな穿刺術情報付ボリュームデータを生成する。なお、他のボリュームデータに別の穿刺術情報が付帯されている場合には、新たな穿刺術情報、当該別の穿刺術情報を残した状態で(当該別の穿刺術情報とは区別して)他のボリュームデータに付帯されることになる。
【0054】
本応用例に係る構成を利用すれば、異なるモダリティによって取得されたボリューム間(例えば、CTボリュームデータと超音波ボリュームデータとの間)、異なる撮像モードによって取得されたボリューム間(例えば、造影ボリュームデータと非造影ボリュームデータとの間)、治療前後に亘るボリュームデータ間等で穿刺術情報をコピーすることができる。その結果、複数のモダリティによって取得された複数の画像を用いて針先位置等を確認したり、治療の前後、造影の前後に対応する複数の画像を用いて針先位置等を確認することができる。
【0055】
(応用例4)
穿刺針位置センサ42が検出する針先位置の経時的変化から、穿刺針の向き、移動速度を計算し、穿刺術情報、当該穿刺術情報が付されたCT画像とともに所定の形態にて表示するようにしてもよい。このとき、移動速度は、数値であってもよいが、例えば「0」、「低」、「中」、「高」等の所定形態による段階表示にしてもよい。当然ながら、計算された穿刺針の向き、移動速度を穿刺術情報に含めることも可能である。また、ステップS4のトリガイベントとして、穿刺針の移動速度が所定の閾値を上回るタイミング、移動方向が変更されたタイミング、或いはこれらの組み合わせ等を採用することも可能である。トリガイベントとして針先位置の経時的変化を保存しておく場合は、針先位置の移動をCT画像上に動画として表示しても構わない。これにより、どの方向から、どの程度の移動速度で穿刺針の操作がなされたかを再現することができる。
【0056】
本応用例の構成によれば、例えばRFA治療の場合針先を数分間固定させる必要があるが、表示される速度情報を表示することで、針先が保持できているか否かを判定するための支援情報をリアルタイムで視覚的に提供することができる。
【0057】
(応用例5)
穿刺針位置センサ42は、穿刺針の先端に装着される場合もあれば、穿刺針の根元に装着される場合もある。後者の場合、穿刺針の曲り具合(姿勢、湾曲状況)を考慮して針先位置を計算することが好ましい。本応用例は、穿刺針の曲り具合を考慮して上記穿刺術支援処理を実行するものである。
【0058】
穿刺術情報生成ユニット35は、穿刺針位置センサ42から受ける針先位置と現在の超音波画像上の穿刺針の形状、姿勢及び位置の少なくとも一つとに基づいて、現在の穿刺針の針先位置を修正し、当該修正後の針先位置を用いて、穿刺術情報を生成する。当該構成により、修正後の針先位置を反映した穿刺術情報が付加されたボリュームデータ、及び修正後の針先位置が付加された超音波画像が保存されることになる。
【0059】
(効果)
以上述べた超音波診断装置によれば、穿刺術中の所望のタイミングにおける穿刺針の針先位置を含む穿刺術情報を、当該穿刺術のモニタリングに利用しているCT画像に対応するボリュームデータに付帯させて保存すると共に、当該穿刺術のモニタリングに利用している超音波画像に針先位置を付帯させて保存することができる。また、穿刺針位置等を含む穿刺術情報は、同一のボリュームデータに対して、同一の穿刺術の異なる時刻毎に個別に付帯させることができる。さらに、穿刺針位置等を含む穿刺術情報は、同一のボリュームデータに対して、異なる穿刺術毎に個別に付帯させることも可能である。観察者は、超音波より広範囲であるボリュームデータを利用して、複数の穿刺箇所を一度に区別して視認することができる。従って、客観性の高い穿刺術のレビューを、観察者の操作負担を低減させつつ簡単かつ迅速に実現することができ、また、穿刺術に関する客観性の高いエビデンスを提供することができる。
【0060】
また、過去に作成された穿刺術情報付ボリュームデータを現在の穿刺術のモニタリングに利用することで、過去の穿刺術の結果をモニタリング画像上で視認しながら、現在の穿刺術を行うことができる。その結果、穿刺術における術者を支援することができ、穿刺処置の効率が向上、穿刺術の品質の向上に寄与することができる。
【0061】
以上述べた構成によっても、第1の実施形態と同様の効果を実現することができる。
【0062】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0063】
(1)本実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することも可能である。
【0064】
(2)上記実施形態においては、穿刺術情報をボリュームデータに付帯させて保存する構成とした。しかしながら、穿刺術情報の保存形式は、当該例に拘泥されず、例えば穿刺術情報とボリュームデータとは相互に関連付けられた別々のファイルとして管理するようにしてもよい。
【0065】
(3)上記実施形態においては、磁気を利用して穿刺針位置を検出する場合を例とした。しかしながら、当該例に拘泥されず、例えば光学方式によって針先位置を検出するようにしてもよい。さらに、位置センサを使う場合に拘泥されず、画像認識技術を利用して針先位置を検出するようにしてもよい。
【0066】
(4)上記実施形態においては、超音波診断装置を用いて穿刺術支援機能を実現する場合を例とした。しかしながら、当該例に拘泥されず、他のモダリティ(X線コンピュータ断層撮像装置、磁気共鳴イメージング装置、X線診断装置等)において実現するようにしてもよい。また、穿刺情報の生成、穿刺情報付ボリュームデータの生成、穿刺情報付ボリュームデータの再生、穿刺術情報のボリュームデータ間のコピー等については、ワークステーションに代表される医用画像処理装置によって実現するようにしてもよい。
【0067】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。