(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309286
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】ディスプレイ用イルミネータ
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20180402BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20180402BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20180402BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20180402BHJP
G09G 3/32 20160101ALI20180402BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20180402BHJP
H04N 9/30 20060101ALI20180402BHJP
【FI】
G09G3/36
G02F1/1335 505
G02F1/13357
G09G3/20 642A
G09G3/20 642J
G09G3/32 A
G09G3/34 J
H04N9/30
【請求項の数】20
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-13349(P2014-13349)
(22)【出願日】2014年1月28日
(62)【分割の表示】特願2013-179714(P2013-179714)の分割
【原出願日】2004年12月24日
(65)【公開番号】特開2014-132346(P2014-132346A)
(43)【公開日】2014年7月17日
【審査請求日】2014年1月28日
【審判番号】不服2017-8144(P2017-8144/J1)
【審判請求日】2017年6月6日
(31)【優先権主張番号】60/638,122
(32)【優先日】2004年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507236292
【氏名又は名称】ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シーツェン、ヘルゲ
【合議体】
【審判長】
小林 紀史
【審判官】
清水 稔
【審判官】
▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−142409(JP,A)
【文献】
特開平7−226536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/36, G02F 1/1335, G02F 1/13357, G09G 3/20, G09G 3/32, G09G 3/34, H04N 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ用イルミネータであって、
別個の色で独立に制御可能な2次元配置の半導体の発光器を含む光源層であって、第1の組の前記発光器は、第1の色の光を照射するように構成され、第2の組の前記発光器は、第2の色の光を照射するように構成され、第3の組の前記発光器は、第3の色の光を照射するように構成される、前記光源層と、
画像データに応じて前記発光器の光出力を制御するように構成されたコントローラとを備え、
前記第1〜第3の組のうちの1つの組の発光器の点像強度分布関数は、前記第1〜第3の組のうちの他の組の発光器の点像強度分布関数よりも広く、
前記第1〜第3の組の各々の発光器において、複数の発光器のうちの近接する複数の発光器の点像強度分布関数は重なり合い、
前記第1〜第3の組のうちの少なくとも1つの組は、他の組の発光器よりも多くの発光器を備え、
各組の発光器の数は、前記発光器のフラックスの比に反比例し、
各組において、複数の発光器は間隔が異なり、各組において、複数の発光器の各点像強度分布関数は、当該組の複数の発光器の間隔に応じて増大する幅を有する、イルミネータ。
【請求項2】
前記第1の組の発光器は、赤色の光を照射する発光ダイオードを含み、
前記第2の組の発光器は、緑色の光を照射する発光ダイオードを含み、
前記第3の組の発光器は、青色の光を照射する発光ダイオードを含む、請求項1に記載のイルミネータ。
【請求項3】
前記発光器により照射された光は、20nm〜50nmの範囲の帯域幅を有する、請求項2に記載のイルミネータ。
【請求項4】
複数の発光器に対応する複数の光の色は、画像データを形成するように組み合わされた複数の色の組である、請求項1に記載のイルミネータ。
【請求項5】
異なる色の複数の発光器は、異なる最大光出力値を有する、請求項1に記載のイルミネータ。
【請求項6】
第1の最大光出力値を有する色の複数の発光器は、該第1の最大光出力値よりも小さな第2の最大光出力値を有する色の複数の発光器よりも広く離間している、請求項5に記載のイルミネータ。
【請求項7】
前記第1〜第3の組の各々は、前記光源層により照射される光の空間的な領域にわたって強度の変化を有する輝度パターンを生成し、
前記変化は、前記画像データに応じて前記発光器の光出力を制御するように構成されたコントローラにより制御される、請求項1に記載のイルミネータ。
【請求項8】
前記複数の発光器は、複数の発光ダイオード(LED)を含む、請求項1に記載のイルミネータ。
【請求項9】
前記第1〜第3の組の各々の複数のLEDは、異なる間隔を有し、
前記第1〜第3の組の各々の複数のLEDは、点像強度分布関数を有し、
前記点像強度分布関数は、前記複数のLEDの間隔に応じて増大する幅を有する、請求項8に記載のイルミネータ。
【請求項10】
異なる色の複数のLEDは、異なる点像強度分布関数を有する、請求項8に記載のイルミネータ。
【請求項11】
異なる色の複数のLEDは、異なる最大強度を有する、請求項8に記載のイルミネータ。
【請求項12】
前記コントローラは、前記複数の発光器が所望の輝度パターンを投射するように前記複数の発光器の各々により照射させる光の強度を前記画像データから決定することにより複数の制御信号を生成するように構成される、請求項1に記載のイルミネータ。
【請求項13】
前記第1の組は、第1の幅の点像強度分布関数を有する複数の第1の発光器を含み、
前記第2の組は、前記第1の幅と異なる第2の幅の点像強度分布関数を有する複数の第2の発光器を含む、請求項1に記載のイルミネータ。
【請求項14】
前記複数の第1の発光器は、等間隔で分布され、前記複数の第2の発光器は、等間隔で分布されている、請求項13に記載のイルミネータ。
【請求項15】
前記複数の第1の発光器のうちの隣接する2つの発光器が離間する距離と、前記複数の第2の発光器のうちの隣接する2つの発光器が離間する距離との比は、前記第1の幅および前記第2の幅の比の±15%以内である、請求項14に記載のイルミネータ。
【請求項16】
前記光源層は、独立に制御可能な第4の組の発光器を含み、
前記第4の組の複数の発光器は、前記第1〜3の色のいずれかと異なる第4の色の光を照射するように構成される、請求項1に記載のイルミネータ。
【請求項17】
前記第3の色は、黄色およびシアンから選択される、請求項16に記載のイルミネータ。
【請求項18】
各組の複数のLEDは、前記光源層上に等間隔で分布される、請求項1に記載のイルミネータ。
【請求項19】
前記複数のLEDは、赤色のLED、緑色のLED、および青色のLEDを含む、請求項8に記載のイルミネータ。
【請求項20】
前記コントローラは、LEDの各色に対して画像データから制御信号をそれぞれ生成するように構成される、請求項8に記載のイルミネータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラー・ディスプレイに関する。本発明はコンピュータ・ディスプレイ、テレビ・モニタ等に応用される。
【背景技術】
【0002】
本出願は2004年12月23日に出願された「FIELD SEQUENTIAL DISPLAY OF COLOR IMAGES」と題された米国特許出願第60/638,122号明細書に関連する対象を開示しており、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0003】
典型的な液晶ディスプレイ(LCD)はバックライトと、バックライトの前面に可変透過画素で構成されたスクリーンとを有する。バックライトはLCDの背面を一様に照射する。画素は、画素の透過性が低減されることにより暗くなる。画素は、バックライトからの光を通過させるような画素の透過性が増加することにより明るくなる。画像は、適切な駆動信号を画素に印加して明領域及び暗領域の所望のパターンを生成することにより、LCDに表示される。
【0004】
典型的なカラーLCDにおいて、各画素は独立に制御可能な赤、緑及び青の要素から成る。各要素は対応する色の光を通過させるフィルタを含む。例えば、赤要素は赤フィルタを含む。画素の赤要素のみが光を透過するように設定されるとき、光は赤フィルタを通過し、画素は赤くなる。画素は、赤、緑及び青要素の異なる透過性の組み合わせを生じさせる信号を印加することにより、他色を有するようにすることができる。
【0005】
蛍光ランプがバックライトLCDに典型的に利用される。「HIGHT DYNAMIC RANGE DISPLAY DEVICES」と題された、国際公開第03/077013号パンフレットは、LEDがバックライトとして利用される高ダイナミック範囲のディスプレイを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第60/638,122号明細書
【特許文献2】国際公開第03/077013号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
有効なディスプレイへの需要が存在する。広色域で色を表現することができるようなディスプレイに対する特別な需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面は、ディスプレイである。ディスプレイは、別個の色で独立に制御可能な2次元配置の半導体の発光器を含む光源層であって、第1の組の前記発光器は、第1の色の光を照射するように構成され、第2の組の前記発光器は、第2の色の光を照射するように構成され、第3の組の前記発光器は、第3の色の光を照射するように構成される、前記光源層と、画像データに応じて前記発光器の光出力を制御するように構成されたコントローラとを備え、前記第1〜第3の組のうちの1つの組の発光器の点像強度分布関数は、前記第1〜第3の組のうちの他の組の発光器の点像強度分布関数よりも広く、前記第1〜第3の組の各々の発光器において、複数の発光器のうちの近接する複数の発光器は重なり合い、前記第1〜第3の組のうちの少なくとも1つの組は、他の組の発光器よりも多くの発光器を備える。
【0009】
本発明の更なる態様と、本発明の特定の特徴は以下に記載される。図面により、本発明の実施形態は制限されない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】3色LEDのアレイから成るイルミネータを有するディスプレイの概略図。
【
図1A】イルミネータ及びモジュレータ制御信号を生成するための方法を示すフロー図。
【
図2】色つきLEDのグループのアレイから成るイルミネータの概略図。
【
図3】ディスプレイのイルミネータにおけるLEDの点像強度分布関数を示すダイアグラム。
【
図4】
図3のLEDにより照射されるモジュレータ上の直線に沿った位置に伴う輝度の変化を示すグラフ。
【
図5】異なる色のLEDが、異なる強度と異なる点像強度分布関数とを有する、ディスプレイにおけるイルミネータにおけるLEDの点像強度分布関数を示すダイアグラム。
【
図6】
図5のLEDにより照射されるモジュレータ上の直線に沿った位置に伴う輝度の変化を示すグラフ。
【
図7】異なる色のLEDが異なる強度と異なる点像強度分布関数とを有する、ディスプレイの他のイルミネータにおけるLEDの点像強度分布関数を示すダイアグラム。
【
図8】
図7のLEDにより照射されるモジュレータ上の直線に沿った位置に伴う輝度の変化を示すグラフ。
【
図9】2色以上の光を通過する広帯域画素要素を通過する光を補正するための方法を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細を通して、本発明のより完全な理解を提供するために、特定の詳細が説明される。しかし、本発明は、これらの詳細無しに実践されてよい。別例では、本発明を無用にわかりづらくすることを避けるために、周知の要素は詳細には示されないか、又は記載されない。従って、明細書と図面とは制限というよりは説明と見なされるべきである。
【0012】
図1はディスプレイ10を示し、LCDパネルであるモジュレータ12は、例えば、発光器16のアレイ14を備えるイルミネータにより背後から照射される。図示される実施形態において、発光器16は発光ダイオード(LED)を備える。以下の記載において、発光器16はLED16として参照され、モジュレータ12はLCDパネルとして参照される。他の適切な光源がLED16の代わりに利用され得る。他の適切なモジュレータがLCDパネル12の代わりに利用され得る。
【0013】
LCD16は、カラー画像を形成するために組み合わされる異なる色の独立した発光器を含む。
図1の実施例において、LED16は赤、緑、及び青を発光する発光器を含む。他色の組み合わせは、別の実施形態において提供される。
【0014】
発光器は独立したパッケージにパッケージ化される。本発明の幾つかの実施形態において、異なる二色以上の発光器が共通のパッケ−ジにパッケージ化される。各色の各発光器は他色の発光器と独立に制御可能である。アレイ14における異なる位置における同色の発光器は、互いに独立に制御可能である。
【0015】
LED16による発光の帯域は狭い(典型的には20nm〜50nmの範囲である)。LCDパネル12は、赤、緑及び青要素13R,13G及び13Bを各々含む画素13を有する。赤、緑及び青要素のカラー・フィルタ各々は、LED16により発光する光の一つに対応する光を通過させ、且つ他色の光を遮断する、通過帯域を有する。ディスプレイ10は完全に飽和した赤色、緑色及び青色を表示することができる。本発明の幾つかの実施形態において、LCDパネル12のカラー・フィルタの通過帯域は狭い(150nm、未満)。通過帯域は、例えば30〜100nmの範囲の帯域を有する。各LED16による発光は狭いスペクトラムしか有さないため、通過帯域を広くする必要は無い。
【0016】
幾つかの実施形態において、ディスプレイ10は、各LED16の明るさが、例えば国際公開第03/077013号パンフレットに記載されるように、独立に制御されるモードで動作される。
図1は、LED16の強度を制御するイルミネータ制御信号17と、各画素13の要素を通過する光量を制御するモジュレータ制御信号18とを示す。
【0017】
幾つかの実施形態において、イルミネータ制御信号17は、適切な駆動回路に異なる色のLED16の明るさを独立に制御させ、且つ特定色では、異なる空間的位置のLED16の明るさを個別に制御する。このことにより、イルミネータ14がモジュレータ12上に、モジュレータ12上の異なる位置に色が異なって混合される光のパターンを射影させることが可能になる。
【0018】
図1は実際に、概略図である。画素13とLED16との要素は任意の適切な2次元配置をとるように構成されるが、図示されるように配置される必要は無い。
ディスプレイは、所望の画像を表示するためのイルミネータ制御信号17及びモジュレータ制御信号18を生成するコントローラ19を含む。所望の画像は画像データ11により特徴付けられ、各画素の輝度値(及びもし画像がカラー画像である場合、明度)を直接又は間接的に特定する。画像データ11は任意の適切なフォーマットを有し、任意の適切な色モデルを利用して輝度及び明度を特定する。例えば、画像データ11は、
・各画素の赤、緑及び青(RGB)明度、
・各画素が、輝度として参照される値(Y)と、クロミナンスとして参照される値の組(I,Q)とにより表さされるYIQ値、
・CMY又はCMYK値、
・YUV値、
・YCbCr値、
・HSV値、
・HSL値、
のいずれかを特定する。
【0019】
図1Aは、イルミネータ制御信号17とモジュレータ制御信号18とを生成する方法20を示す。方法20は画像データ11からイルミネータ制御信号17を生成することにより開始される。このことは、アレイ14におけるLED16の各色に対して、ブロック21−1,21−2及び21−3において独立して実行される。
図1Aの実施形態において、イルミネータ制御信号17は制御信号17−1,17−2及び17−3を含み、これら制御信号17−1,17−2及び17−3の各々はアレイ14におけるLEDの一色を制御する。
【0020】
イルミネータ制御信号17はLED16が所望の輝度パターンをLCD12上に射影するようにLED16の各々を駆動するための強度を、コントローラ19において決定することにより生成される。好適には各色に対して、各画素13における輝度パターンの輝度は、画像データ11により画素13に対して特定される輝度が画素に対して要素13R,13G及び13Bの変調の範囲内である。すなわち、輝度Lが
L×T
MIN≦L
IMAGE≦L×T
MAX (1)
であることが望ましい。但し、T
MINは画素要素の最小の透過性であり、T
MAXは画素要素の最大の透過性であり、且つL
IMAGEは画像データ11により指定される画素の輝度である。式(1)の関係は、各色のLED12の各画素に対して独立に保たれることが好ましい。
【0021】
異なる色のLED16の相対的な光出力は、LCD12の場所毎に典型的には変化し、アレイ14の発光器によりLCD12上に射影される光の色はアレイ12上で場所毎に典型的に変化する。
【0022】
コントローラ19は、LCD12の各画素13の要素の各々に対して、画像データ11により特定される所望の輝度を、イルミネータ制御信号17により駆動されるときにイルミネータ・アレイ14により提供される要素の輝度で分割することにより、モジュレータ制御信号18を生成する。イルミネータ・アレイ14により提供される輝度は、有効輝度パターンELPと命名される。各要素13R,13G又は13Bはアレイ14の色の一つの光のみを透過するので、ELPは各色に対して独立に計算され、モジュレータ制御信号18を決定するための計算は各色毎に独立して実行される。
【0023】
方法20は各色の光のELPをブロック22−1,22−2及び22−3のブロックにおいて計算する。
図1Aの実施形態において、モジュレータ制御信号18は信号18−1,18−2及び18−3を含み、信号18−1,18−2及び18−3は、モジュレータ12において第一色、第二色及び第三色の要素を各々制御する。
【0024】
アレイ14によりLCD12の任意の領域上に射影される輝度パターンが、その領域における画素13の色を近似する色を有するように形成されるため、
図1の構成はエネルギー効率がよい方法で動作する。例えば、画像の領域を特定する画像データは主に赤であるべきであり、LCD12の対応する領域をバックライト照射することは、アレイ14の赤の発光器により完全に又はほとんど提供される。その領域の青及び緑の発光器のスイッチは切られているか又は低減されたレベルである。
【0025】
図2は、離散した有色LED26の特定の配置を有するイルミネータ25を示す。イルミネータ25において、LED26はグループ21に構成される。各グループ21は赤LED26R、緑LED26G、及び青LED26B(集合的にLED26と呼ぶ)を含む。
図2は独立したイルミネータ制御信号27R,27G及び27Bを示し、各々赤、緑、青LEDに対応している。駆動信号27は駆動回路28にLED26の強度を制御させて、各色に対するLCD12の活性領域に所望の輝度パターンを提供する。
【0026】
LED26の均等な分布により、LED26の各色に対してLCDパネルの比較的一様な輝度が提供される。
図3は複数LED26の点像強度分布関数の例を示す。
図3において、
・各色において、近隣のLED26の点像強度分布関数は重なり、
・LED26の各々は最大の出力で動作し、
・各LED26は(任意の単位で1.0として示される)点像強度分布関数のピークの点で同じ強度の光を生成し、
・各色のLED26はイルミネータ25において一様に分布する。
【0027】
図4は、LEDの各色に対して、
図3の点像強度関数により表される直線に沿う位置の関数としての全強度を示す。
図4の曲線の各々は、各点において一色の発光器の全てについて点像強度関数を加算することにより得られる。各色に対して、その色の強度が、その色のLEDを適切に制御することにより、全ての点でI
MIN以上にすることができるような値I
MINが存在することが分かる。
【0028】
色毎のELPの位置に伴う強度の変化は、モジュレータ12により光の透過を調整することで保障される。
全LED26の最大強度が同じである必要は無い。異なる色のLEDは異なる効率を有する傾向がある。典型的には、赤LEDの効率(所与の電力に対して生成される光量)は緑LEDのものよりも大きい。典型的な赤及び緑LEDは青LEDのものよりも大きな効率を有する。ある点までは、費用をかけるほど任意の利用可能な色のより明るいLEDを取得することができる。ディスプレイを設計する者は、最大の光出力、必要とする電力、費用などのファクタに基づいて適切なLEDを選択する。現在では、フラックス比が3:5:1を有する赤、緑、及び青LEDを提供すると、最もコスト効率が良いということが常識として分かっている。このようなフラックス比では、赤LEDは青LEDよりも3倍明るく、且つ緑LEDは青LEDよりも5倍明るい。
【0029】
図5は、本発明の実施形態における幾つかのLEDに対する点像強度分布関数の例を示す。緑LEDは赤及び青LEDよりも強く発光し、赤及び青LEDは同じ強度で発光する。
図5において、赤LEDは青LEDよりも広い点像強度分布関数を有し、青LEDは青LEDよりも広い点像強度分布関数を有する。点像強度分布関数の幅は半値幅(FWHM)として取得される。
【0030】
図6は、LEDの各色に対して、
図5の点像強度関数により表される(LCE12のような)モジュレータ上の直線に沿う位置の関数としての全強度を示す。I
MINが緑LEDにより決定されることが分かる。青と赤LEDからの光は、
図6の曲線が測定される線上のいずれにおいてもI
MINを越える強度に達する。
【0031】
イルミネータ・アレイにおける最大強度、点像強度分布関数及び異なる色のLEDの間隔は、電力を無駄に超過しないでI
MINに対する所望の値を実現するように調整される。本発明の幾つかの実施形態において、全LED26は最大の出力状態にあり、モジュレータ12は光の各色で完全に一様に照射され、且つ各色の平均強度が、他色の各々の光の平均強度と実質的に等しい(すなわち、±10%又は±15%内である)。
【0032】
幾つかの実施形態において、アレイ14は、第一幅の点像強度分布関数を有する第一光源と、第二幅の点像強度分布関数を有する第二光源とを含む。第一及び第二光源は異なる色を発光する。第一及び第二光源は各々、アレイ14内で実質的に平等に分布する。ディスプレイにおいて、第一光源の近隣間の距離対第二光源の近隣間の距離の比は、第一及び第二幅の幅の比(例えば15%)の閾値内である。
【0033】
本発明の幾つかの実施形態において、イルミネータ25における各色のLED数は、LEDのフラックス比に、少なくとも近似的に反比例する。例えば、イルミネータが3:5:1のフラックス比を有する三色のLEDを有する場合、イルミネータにおける各三色のLED数は5:3:15である。各色のLEDは、イルミネータ上で実質的に一様に分布する。幾つかの実施形態において、LEDの点像強度分布関数はLED間の間隔に伴って増加する幅を有する。一色のLEDの点像強度分布関数は、その色のLED間の間隔に正比例する幅を有する。
【0034】
図6はLEDのセット例に対する点像強度分布関数を示す。
図6において、緑LEDは赤及び青LEDのものに比べてより激しく、より間隔が広く、且つより広い点像強度拡散関数を有する。赤LEDは、緑及び青LEDの中間となる、最大強度、間隔及び点像強度分布関数幅を有する。
図7は、LEDの各色に対して、
図6の点像強度関数により表される(LCE12のような)モジュレータ上の直線に沿う位置の関数としての全強度を示す。
【0035】
本発明の幾つかの実施形態は、三色以上の独立に制御可能な発光器を有するイルミネータを提供する。例えば、黄又はシアン発光器が赤、緑及び青発光器に加えて提供される。モジュレータ12の各画素は、イルミネータ14により発光される各色に対応する要素を有する。例えば、イルミネータが赤、緑、青及び黄発光器を含む場合、モジュレータ12の各画素は、赤光を透過する要素、緑光を透過する要素、青光を透過する要素及び黄光を透過する要素を有する。
【0036】
本発明の幾つかの実施形態において、モジュレータ12の画素は少なくとも部分的に、イルミネータ14により発光される二色以上を通過させる要素を含む。二色以上を通過させる要素は広帯域要素と呼ばれる。例えば、赤、緑、青及び白要素を含むRGBW型のLCDパネルが利用可能である。このようなパネルにおいて、白要素にはフィルタが無く、故に任意の色を通過させる。白要素は広帯域要素と呼ばれる。
【0037】
広帯域要素は画素の明るさを増加するために利用される。イルミネータ14によりモジュレータ12上に射影される光の色は画素の色を近似するように作られるので、画素の彩度を大きく損なわずに広帯域要素(好適には「白」広帯域要素)によって透過する光量を増加することにより、画素の明るさは増加される。
【0038】
幾つかの実施形態において、画素における広帯域要素は別の原色を制御するために利用される。例えば、画素における白要素は、イルミネータにより提供される色の一つの光を通過させるために利用されるが、各画素における他の要素は、イルミネータにより提供される他の一色を通過させるフィルタを有する。例えば、RGBW型のLCDパネルは、赤、緑、青のような基本色と、例えば黄色光などの別色の光を生成する発光器のアレイにより背後から照射される。赤、緑及び青光は、LCDパネルにおける対応する赤、緑及び青要素により変調される。黄光はLCDパネルの白要素により変調される。
【0039】
本発明のこのような実施形態において、イルミネータの発光器の一グループに対応する画像領域に対して、3つの基本的な画像に分類される。これらは、
・画像領域は黄色が最大値に達していない。この場合、画像は白画素以外は再生される。白画素は放置される。別例では、白画素はより多くのRGB光を適切に通過させるために解放される。イルミネータの黄LEDはオフ状態であるか又は、白領域におけるRGB色輝度をサポートする範囲のみでオン状態である。
・画像領域における画素の色が最大値に達した黄色によってほぼ占められている。この場合、この領域に対応する赤、緑及び青LEDは実質的にオフ状態か又はわずかであり、黄LEDは明るいレベルのオン状態である。白画素は黄LEDから黄光を変調するために主に利用される。
・画像領域は、幾つかは最大値に達した黄色を表示し、残りは大きな赤、緑又は青成分を有する画素の混合を含む。この場合、イルミネータは全4LED色の光で領域の画素を照射する。モジュレータの白画素要素は、黄光成分が通過することができるように解放される。白画素要素は赤、緑及び青光を通過させることも許可する。結果は、白フィルタを通過するRGB光によりわずかに飽和から減少したほぼ黄領域になる。この飽和からの減少は、黄色になる画素の赤、緑又は青要素を通過する光を低減することにより最小化される。領域の黄部は小さい(又はこれは第二の場合の例である)ために、わずかな飽和からの減少は一般には受け入れ可能である。赤、緑又は青光成分よりもいくらか明るい黄光を有するモジュレータを照射することができる黄光LEDを提供することにより、飽和からの低減がさらに低減される。
【0040】
幾つかの実施形態において、コントローラ19は基本色に対応する要素のモジュレータ制御信号を補正して、基本色の光が広帯域要素を通過するという事実を補償する。
図8は、この補償を提供するために利用される方法60を図示している。ブロック62において、方法60は複数の基本色に対してイルミネータ値63−1,63−2,63−3を決定し、別色に対してイルミネータ値63−4を決定する。イルミネータ値は任意の適切な方法で取得される。イルミネータ値はイルミネータ14における光源の明るさを特定する。
【0041】
ブロック64において、方法60は全色に対してELPを決定する。ブロック66は広帯域画素要素に対してモジュレータ値67を決定する。別の画素モジュレータ値67は各画素を通過する別色の所望の量を可能にするように選択される。
【0042】
ブロック68はモジュレータ値69−1,69−2及び69−3を各々基本色に対応する画素要素に対して決定する。これら基本色モジュレータ値は、画素毎及び基本色毎に、・画像データ11からその画素に対するモジュレータを通過するべき基本色の所望の光量を確定すること、
・広帯域画素を通過する基本色の光量(この量は基本色と別色とのモジュレータ値67に対するELPから確定される)を減算すること、
・基本色の要素のモジュレータ値を、所望の量に等しい画素において通過する基本色の全光量を得るのに必要とされる(場合)、基本色の追加光を通過させるように選択すること、により決定される。
【0043】
本発明のある実施形態は、プロセッサに本発明の方法を実行させるソフトウェア・命令を実行するコンピュータ・プロセッサを備える。例えば、コントローラ19における一つ以上のプロセッサは、プロセッサにアクセス可能なプログラム・メモリにおけるソフトウェア・命令を実行することにより、
図1A及び/又は
図8の方法を実施する。本発明は、プログラム製品の形態でも提供される。プログラム製品は、コンピュータ・プロセッサで実行されるときに、データ・プロセッサに本発明の方法を実行させる命令を備えるコンピュータ可読信号のセットを伝達する任意の媒体を備える。本発明に従うプログラム製品は、任意の広範囲な種類の形態を有する。プログラム製品は、例えばフロッピー・ディスク(登録商標)、ハード・ディスク・ドライブ、CD ROM,DVDを含む光データ記憶メディア、ROM、フラッシュRAMを含む電子データ記憶メディア又は類似物のような物理媒体、或いはデジタル又はアナログ通信リンクのような送信型媒体を備える。
【0044】
構成要素(例えば、ソフトウェア・モジュール、プロセッサ、アセンブリ、デバイス、回路等)が上のように参照される場合、別に指定されない限り、(「手段」への参照を含む)構成要素への参照は、記載された構成要素の機能を実行する任意の構成要素の均等物(すなわち、機能的均等物)を含むとして解釈されるべきである。均等物には、開示された構造とは構造的に均等ではないが、本発明の実施形態に例に図示された機能を実行する構成要素が含まれるべきである。
【0045】
前記開示を踏まえて、当業者には明らかなように、数多くの代替物及び改良物が、その技術思想及び範囲から逸脱せずに本発明の実施に際して可能である。例えば、
・本発明に従うディスプレイのイルミネータにおける光源は、LEDである必要は無く、他のタイプの光源であってもよい。
・本発明に従うディスプレイのイルミネータにおける光源は、赤、緑及び青である必要は無く、他色でもよい。
・本発明に従うディスプレイのイルミネータにおける光源は、一つ以上の発光器から作られてもよい。
・イルミネータは、(全色領域を達成したいのであれば、少なくとも三色が必要とされるが、)3より多い又は3未満の異なる色の光源を含んでもよい。
・
図1A及び
図9の方法のブロックの動作は、あるブロックからの結果が、流れの次に事項されるとして図示されるブロックの動作に必要とされない場合に、部分的に又は完全に異なる順序で実行されてもよい。例えば、基本色のELPは
図9のブロック68までは必要とされない。基本色のELPはブロック62とブロック68との間の任意のタイミングで決定され得る。
【0046】
従って、本発明の範囲は、以下の請求項により定義される内容に従って構成されるべきである。
【符号の説明】
【0047】
10:ディスプレイ、12:モジュレータ、16:発光器、19:コントローラ。