(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309342
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】LED照明機器の調光制御方法
(51)【国際特許分類】
H05B 37/02 20060101AFI20180402BHJP
【FI】
H05B37/02 B
H05B37/02 J
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-101252(P2014-101252)
(22)【出願日】2014年5月15日
(65)【公開番号】特開2015-220008(P2015-220008A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2016年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】504005781
【氏名又は名称】株式会社日立プラントメカニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】川尻 栄作
【審査官】
山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−209052(JP,A)
【文献】
実開平05−076144(JP,U)
【文献】
特開2007−278561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02 − 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED照明機器の調光制御方法において、前記LED照明機器が、モータ駆動部にインバータ制御機構を採用したクレーンに備えられたものであって、LED用コンバータの調光信号に20mA及び0mAの電流信号を採用するとともに、操作部に2段押ボタンスイッチを採用し、1段目のON・OFF操作で点灯及び消灯を、2段目のON・OFF操作時間で定格容量の0〜100%のLEDの調光制御を行うことを特徴とするLED照明機器の調光制御方法。
【請求項2】
前記調光信号を直列接続した複数のLED用コンバータに入力することにより、複数のLEDの調光制御を行うことを特徴とする請求項1記載のLED照明機器の調光制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED照明機器の調光制御方法に関し、特に、長距離の省配線で一括して調光を可能とするLED照明機器の調光制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の省エネルギ化の機運の高まりから、各種のLED照明機器が汎用され、これに伴い、種々のLED照明機器の調光制御方法が提案されている(例えば、特許文献1−2参照。)。
【0003】
ところで、LED照明機器の調光制御方法として、近年になって、交流電源を一旦コンバータで直流に変換し、この直流電圧をLEDに供給する技術が開発されているが、LED照明機器に用いられるLEDは、商用点灯するのが一般的であるため、必要以上に明るい場合があり、これに対処するため、調光制御する必要がある。
【0004】
そして、このLEDの調光制御方式として、0〜10Vの電圧信号による調光制御方式を採用したものがあるが、例えば、モータ駆動部にインバータ制御機構が採用されているごみクレーンに備えられるLED照明機器にこの調光制御方式を採用すると、インバータ制御機構の誘導ノイズの影響を受けやすく、さらに、配線距離が長いため、電圧信号の電圧降下によって制御が不安定になったり、不能になるという問題があった。
【0005】
また、一般産業用天井クレーンの操作部に採用されている2段押ボタンスイッチによっては、ON−OFF操作が行えるのみで、無段階のLEDの調光制御を行うことができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−157986号公報
【特許文献2】特開2012−142118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来のLED照明機器の調光制御方法の有する問題点に鑑み、安定したLEDの長距離調光を可能にし、さらに、複数のLEDを省配線で一括して調光できるLED照明機器の調光制御方法を提供することを第1の目的とする。
【0008】
また、本発明は、一般産業用天井クレーンの操作部に採用されている2段押ボタンスイッチによって、無段階のLEDの調光制御を行うことを可能にするLED照明機器の調光制御方法を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記第1
及び第2の目的を達成するため、本発明のLED照明機器の調光制御方法は、
前記LED照明機器が
、モータ駆動部にインバータ制御機構を採用したクレーンに備えられたものであって、LED用コンバータの調光信号に
20mA
と0mAの電流信号を採用
するとともに、
操作部に2段押ボタンスイッチを採用し、1段目のON・OFF操作で点灯及び消灯を、2段目のON・OFF操作時間で定格容量の0〜100%のLEDの調光制御を行うことを特徴とする。
【0010】
この場合において、
前記調光信号を直列接続した複数のLED用コンバータに入力することにより、複数のLEDの調光制御を行うようにすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のLED照明機器の調光制御方法によれば、LED用コンバータの調光信号に
20mA
と0mAの電流信号を採用し、定格容量の0〜100%のLEDの調光制御を行うことにより、誘導ノイズや電圧降下の影響を受けず、安定したLEDの長距離調光を可能にすることができ、モータ駆動部にインバータ制御機構が採用されているごみクレーン等のクレーンに備えられるLED照明機器の調光制御の用途に好適に用いることができる。
【0012】
そして、2段押ボタンスイッチを操作部に採用し、定格容量の0〜100%の無段階のLEDの調光制御を行うようにすることにより、一般産業用天井クレーンの操作部に採用されている2段押ボタンスイッチによって、無段階のLEDの調光制御を行うことができる。
【0013】
また、
前記調光信号を直列接続した複数のLED用コンバータに入力することにより、複数のLEDの調光制御を行うようにすることにより、複数のLEDを省配線で一括して調光することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明のLED照明機器の調光制御方法を適用するLED照明機器の回路図の一実施例を示す説明図である。
【
図2】本発明のLED照明機器の調光制御方法によるLEDの点灯・調光のタイミングチャートである。
【
図3】本発明のLED照明機器の調光制御方法によるLEDの点灯・調光のタイミングチャートである。
【
図4】本発明のLED照明機器の調光制御方法によるLEDの点灯・調光のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のLED照明機器の調光制御方法の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0016】
図1に、本発明のLED照明機器の調光制御方法を適用するクレーンに備えられたLED照明機器の回路図の一実施例を示す。
【0017】
LED照明機器は、地上制御盤側に設けられた、操作・付属1次ブレーカ1、LED照明用漏電ブレーカ2、操作回路用ブレーカ3、シーケンサ用ブレーカ4、シーケンサ5、2段押ボタンスイッチ6、LED用補助リレー7及びLED用電磁接触器8等と、クレーン側に設けられた複数(本実施例においては、4台。)のLED用コンバータ9と、それに対応する複数(本実施例においては、4台。)のLED10等とで構成され、地上制御盤とクレーンとを、電源ケーブル11及び調光信号ケーブル12によって、接続するようにしている。
【0018】
そして、このLED照明機器においては、LED用コンバータの調光信号に
20mA
と0mAの電流信号を採用し、定格容量の0〜100%のLED10の調光制御を行うようにしている。
【0019】
また、複数のLED用コンバータ9は、地上制御盤と接続された調光信号ケーブル12に対して直列接続され、この調光信号ケーブル12から調光信号が入力されることにより、複数のLED10を省配線で一括して調光制御することができるようにしている。
【0020】
このLED照明機器の調光制御方法によれば、LED用コンバータ9の調光信号に
20mA
と0mAの電流信号を採用し、定格容量の0〜100%のLED10の調光制御を行うことにより、誘導ノイズや電圧降下の影響を受けず、安定したLED10の長距離調光を可能にすることができ、モータ駆動部にインバータ制御機構が採用されているごみクレーン等のクレーンに備えられるLED照明機器の調光制御の用途に好適に用いることができる。
【0021】
以下、このLED照明機器の動作について、複数の具体的なパターンを
図2〜
図4に示すパターン例に基づいて説明する。
ここで、
図2〜
図4に示す丸付き数字は、
図1において部材に付した丸付き数字と対応している。
【0022】
図2に示すように、1回目の2段押ボタンスイッチ6の1段目ONの立ち上りを検出することで、LED10の点灯(シーケンサ5のアナログ電流出力20mA→100%出力)する。
次に、2回目の2段押ボタンスイッチ6の1段目ONの立下りを検出することで、LED10の消灯(シーケンサ5のアナログ電流出力0mA→0%出力)するようにする。
【0023】
図3に示すように、1回目の2段押ボタンスイッチ6の1段目ONの立ち上りを検出することで、LED10の点灯(シーケンサ5のアナログ電流出力20mA→100%出力)する。
次に、2回目(複数回に亘って行うことができる。本例では、2回目及び3回目)の2段押ボタンスイッチ6の1段目ONの立ち上りを検出することで、LED10の点灯(シーケンサ5のアナログ電流出力20mA→100%出力を維持(ホールド)。3回目以降は、それまでの状態を維持(ホールド))し、この2段押ボタンスイッチ6の1段目ONを維持した状態から、2段目ONの立ち上りを検出することで、シーケンサ5のアナログ電流出力を20mAから0mAに向けて2段目ONの時間だけ調光し、2段押ボタンスイッチ6の2段目OFF及び1段目OFFの立ち下がりを検出することで、調光信号をその状態で維持(ホールド)する。
この場合、LED用コンバータ9によるLED10の調光範囲としては、定格容量の0〜100%の無段階の調光制御を行うことができるようにしている。
次に、4回目の2段押ボタンスイッチ6の1段目ONの立下りを検出することで、LED10の消灯(シーケンサ5のアナログ電流出力0mA→0%出力)するようにする。
【0024】
図4に示すように、1回目(複数回に亘って行うことができる。本例では、1回目及び2回目)の2段押ボタンスイッチ6の1段目ONの立ち上りを検出することで、LED10の点灯(シーケンサ5のアナログ電流出力20mA→100%出力を維持(ホールド)。2回目以降は、それまでの状態を維持(ホールド))し、この2段押ボタンスイッチ6の1段目ONを維持した状態から、2段目ONの立ち上りを検出することで、シーケンサ5のアナログ電流出力を20mAから0mAに向けて2段目ONの時間だけ調光し、2段押ボタンスイッチ6の2段目OFF及び1段目OFFの立ち下がりを検出することで、調光信号をその状態で維持(ホールド)する。
この場合、LED用コンバータ9によるLED10の調光範囲としては、定格容量の0〜100%の無段階の調光制御を行うことができるようにしている。
次に、3回目の2段押ボタンスイッチ6の1段目ONの立下りを検出することで、LED10の消灯(シーケンサ5のアナログ電流出力0mA→0%出力)するようにする。
【0025】
このように、一般産業用天井クレーンにおいて汎用されている2段押ボタンスイッチ6を地上制御盤側の操作部に採用し、2段押ボタンスイッチ6の1段目で点灯・消灯制御を行い、1段目ONを維持した状態から、2段目ONの立ち上りを検出することで、シーケンサ5のアナログ電流出力を20mAから0mAに向けて2段目ONの時間だけ調光し、2段押ボタンスイッチ6の2段目OFF及び1段目OFFの立ち下がりを検出することで、調光信号をその状態で維持(ホールド)することで、定格容量の0〜100%の無段階のLED10の調光制御を行うことができる。
【0026】
以上、本発明のLED照明機器の調光制御方法について、その実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明のLED照明機器の調光制御方法は、安定したLEDの長距離調光を可能にし、さらに、複数のLEDを省配線で一括して調光できるものであるとともに、一般産業用天井クレーンの操作部に採用されている2段押ボタンスイッチによって、無段階のLEDの調光制御を行うことを可能にするものであることから、クレーンに備えられるLED照明機器の調光制御の用途に好適に用いることができるほか、それ以外の各種のLED照明機器の調光制御の用途に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 操作・付属1次ブレーカ
2 LED照明用漏電ブレーカ
3 操作回路用ブレーカ
4 シーケンサ用ブレーカ
5 シーケンサ
6 2段押ボタンスイッチ
7 LED用補助リレー
8 LED用電磁接触器
9 LED用コンバータ
10 LED
11 電源ケーブル
12 調光信号ケーブル