特許第6309359号(P6309359)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立GEニュークリア・エナジー株式会社の特許一覧

特許6309359耐放射線カメラ、炉内作業装置、炉内作業方法及び炉内点検装置
<>
  • 特許6309359-耐放射線カメラ、炉内作業装置、炉内作業方法及び炉内点検装置 図000002
  • 特許6309359-耐放射線カメラ、炉内作業装置、炉内作業方法及び炉内点検装置 図000003
  • 特許6309359-耐放射線カメラ、炉内作業装置、炉内作業方法及び炉内点検装置 図000004
  • 特許6309359-耐放射線カメラ、炉内作業装置、炉内作業方法及び炉内点検装置 図000005
  • 特許6309359-耐放射線カメラ、炉内作業装置、炉内作業方法及び炉内点検装置 図000006
  • 特許6309359-耐放射線カメラ、炉内作業装置、炉内作業方法及び炉内点検装置 図000007
  • 特許6309359-耐放射線カメラ、炉内作業装置、炉内作業方法及び炉内点検装置 図000008
  • 特許6309359-耐放射線カメラ、炉内作業装置、炉内作業方法及び炉内点検装置 図000009
  • 特許6309359-耐放射線カメラ、炉内作業装置、炉内作業方法及び炉内点検装置 図000010
  • 特許6309359-耐放射線カメラ、炉内作業装置、炉内作業方法及び炉内点検装置 図000011
  • 特許6309359-耐放射線カメラ、炉内作業装置、炉内作業方法及び炉内点検装置 図000012
  • 特許6309359-耐放射線カメラ、炉内作業装置、炉内作業方法及び炉内点検装置 図000013
  • 特許6309359-耐放射線カメラ、炉内作業装置、炉内作業方法及び炉内点検装置 図000014
  • 特許6309359-耐放射線カメラ、炉内作業装置、炉内作業方法及び炉内点検装置 図000015
  • 特許6309359-耐放射線カメラ、炉内作業装置、炉内作業方法及び炉内点検装置 図000016
  • 特許6309359-耐放射線カメラ、炉内作業装置、炉内作業方法及び炉内点検装置 図000017
  • 特許6309359-耐放射線カメラ、炉内作業装置、炉内作業方法及び炉内点検装置 図000018
  • 特許6309359-耐放射線カメラ、炉内作業装置、炉内作業方法及び炉内点検装置 図000019
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6309359
(24)【登録日】2018年3月23日
(45)【発行日】2018年4月11日
(54)【発明の名称】耐放射線カメラ、炉内作業装置、炉内作業方法及び炉内点検装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 15/00 20060101AFI20180402BHJP
   G21C 17/08 20060101ALI20180402BHJP
   G21C 17/003 20060101ALI20180402BHJP
   G21F 1/02 20060101ALI20180402BHJP
   G21C 19/26 20060101ALI20180402BHJP
   G21C 19/02 20060101ALI20180402BHJP
   G21F 9/30 20060101ALI20180402BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20180402BHJP
【FI】
   G03B15/00 S
   G21C17/08
   G21C17/00 E
   G21F1/02
   G21C19/26
   G21C19/02 J
   G21F9/30 535B
   G21F9/30 535E
   G21F9/30 531F
   G21F9/30 531E
   H04N5/225
【請求項の数】15
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2014-121937(P2014-121937)
(22)【出願日】2014年6月13日
(65)【公開番号】特開2015-194665(P2015-194665A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2016年10月24日
(31)【優先権主張番号】特願2014-67329(P2014-67329)
(32)【優先日】2014年3月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 孝一
(72)【発明者】
【氏名】大森 信哉
(72)【発明者】
【氏名】守中 廉
【審査官】 登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−236589(JP,A)
【文献】 特開2012−135432(JP,A)
【文献】 特開2002−071876(JP,A)
【文献】 特開平11−125694(JP,A)
【文献】 特開昭57−082797(JP,A)
【文献】 米国特許第04447734(US,A)
【文献】 特開2005−091293(JP,A)
【文献】 特開平07−261294(JP,A)
【文献】 特開2008−046032(JP,A)
【文献】 特開平09−311193(JP,A)
【文献】 特開2013−195309(JP,A)
【文献】 特開2002−311185(JP,A)
【文献】 特開昭62−168096(JP,A)
【文献】 特開2001−333994(JP,A)
【文献】 特開平11−142590(JP,A)
【文献】 特開2014−098602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 15/00
G21C 17/003
G21C 17/08
G21C 19/02
G21C 19/26
G21F 1/02
G21F 9/30
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部のそれぞれが光を透過するガラスで封鎖された筒部材及びこの筒部材内に充填された水を含む放射線遮へい体と、前記筒部材の光を入射する端部と反対側の端部に取り付けられた前記ガラスに取り付けられたカメラとを備えたことを特徴とする耐放射線カメラ。
【請求項2】
前記カメラが、可視光カメラ及び赤外線カメラのいずれかである請求項1に記載の耐放射線カメラ。
【請求項3】
カメラ装置及び照明装置を備え、
前記カメラ装置は、両端部のそれぞれが光を透過する第1ガラスで封鎖された第1筒部材及びこの第1筒部材内に充填された水を含む第1放射線遮へい体と、前記第1筒部材の光を入射する端部と反対側の端部に取り付けられた前記第1ガラスに取り付けられたカメラを有し、
前記照明装置は、両端部のそれぞれが光を透過する第2ガラスで封鎖されて前記第1筒部材に取り付けられた第2筒部材及びこの第2筒部材内に充填された水を含む第2放射線遮へい体と、前記第2筒部材の光を放出する端部と反対側の端部に取り付けられた前記第ガラスに取り付けられた光発生装置を有することを特徴とする耐放射線カメラ。
【請求項4】
一対の前記照明装置が設けられ、前記カメラ装置が前記一対の照明装置の間に配置され、
それぞれの前記照明装置の各前記第2筒部材が前記第1筒部材に取り付けられている請求項3に記載の耐放射線カメラ。
【請求項5】
反射鏡が前記第1筒部材の中心軸に対して傾斜した状態で前記第1筒部材及び前記第2筒部材のうちの少なくとも1つに取り付けられ、前記反射鏡は、前記第1筒部材及び前記第2筒部材の外側に配置されて、前記第1筒部材の光を入射する端部に取り付けられた前記第1ガラス及び前記第2筒部材の光を放出する端部に取り付けられた前記第2ガラスのそれぞれに対向して配置される請求項3または4に記載の耐放射線カメラ。
【請求項6】
外面にリング状の第1シール部材が取り付けられた円筒部、前記円筒部の下端部に設けられた環状の第1本体部、及び前記第1本体部の周方向に配置され、前記第1本体部に取り付けられた複数のクランプ装置を有する第1支持装置と、
前記円筒部内に配置されて前記円筒部の支持部に旋回可能に取り付けられた第1旋回テーブルと、
前記第1旋回テーブルに旋回可能に取り付けられた第2旋回テーブル及び前記第2旋回テーブルに設けられた第2本体部を有する第2支持装置と、
前記第2本体部に取り付けられた、請求項3ないし5のいずれか1項に記載された前記耐放射線カメラと、
前記第2本体部に取り外し可能に取り付けられた燃料取り出し装置とを備えたことを特徴とする炉内作業装置。
【請求項7】
前記第2本体部に取り付けられた冷媒供給装置を備え、前記冷媒供給装置の冷媒噴射ノズルの噴射口が前記第2本体部の下面の下方に向かって開口している請求項6に記載の炉内作業装置。
【請求項8】
前記第2支持装置の中心軸が前記第1旋回テーブルの中心軸からずれた位置に配置された状態で、前記第2旋回テーブルが前記第1旋回テーブルに旋回可能に取り付けられ、
前記燃料取り出し装置が前記第2支持装置の中心軸からずれた位置に配置された状態で、前記燃料取り出し装置が前記第2本体部に取り外し可能に取り付けられている請求項6に記載の炉内作業装置。
【請求項9】
請求項6に記載の前記炉内作業装置を用いて原子炉圧力容器内で実施する炉内作業方法であって、
前記炉内作業装置が前記原子炉圧力容器内に配置されて前記クランプ装置により前記炉内作業装置が前記原子炉圧力容器の内面に固定され、
その後、前記炉内作業装置よりも上方で前記原子炉圧力容器内に水を張り、
前記第2本体部に取り付けられた前記照明装置の前記光発生装置で発生した光を、前記第2筒部材内の前記水を通して前記原子炉圧力容器内で前記炉内作業装置よりも下方に存在する切断対象物に当て、
前記切断対象物からの光を、前記カメラ装置の前記第1筒部材内の前記水を通して前記カメラに入射して前記切断対象物の撮影を行い、
前記燃料取り出し装置によって前記切断対象物の切断を行い、前記切断対象物を除去することを特徴とする炉内作業方法。
【請求項10】
内部に水が充填される複数の袋と、前記複数の袋が取り付けられた複数の走行台車と、少なくとも1つの袋に取り付けられて前記袋を上下方向に貫通している、請求項3ないし5のいずれか1項に記載された前記耐放射線カメラと
を備えたことを特徴とする炉内点検装置。
【請求項11】
第1カメラ装置、第2カメラ装置及び照明装置を備え、
前記第1カメラ装置は、両端部のそれぞれが光を透過する第1ガラスで封鎖され第1筒部材及びこの第1筒部材内に充填された水を含む第1放射線遮へい体と、前記第1筒部材の光を入射する端部と反対側の端部に取り付けられた前記第1ガラスに取り付けられた可視光カメラを有し、
前記第2カメラ装置は、両端部のそれぞれが光を透過する第2ガラスで封鎖された第2筒部材及びこの第2筒部材内に充填された水を含む第2放射線遮へい体と、前記第2筒部材の光を入射する端部と反対側の端部に取り付けられた前記第2ガラスに取り付けられた赤外線カメラを有し、
前記照明装置は、両端部が光を透過する第3ガラスで封鎖されて前記第1筒部材に取り付けられた第3筒部材及びこの第3筒部材内に充填された水を含む第3放射線遮へい体と、前記第3筒部材の光を放出する端部と反対側の端部に取り付けられた前記第3ガラスに取り付けられた光発生装置を有することを特徴とする耐放射線カメラ。
【請求項12】
外面にリング状の第1シール部材が取り付けられた円筒部、前記円筒部の下端部に設けられた環状の第1本体部、及び前記第1本体部の周方向に配置され、前記第1本体部に取り付けられた複数のクランプ装置を有する第1支持装置と、
前記円筒部内に配置されて前記円筒部の支持部に旋回可能に取り付けられた第1旋回テーブルと、
前記第1旋回テーブルに旋回可能に取り付けられた第2旋回テーブル、前記第2旋回テーブルに設けられた第2本体部を有する第2支持装置と、
前記第2本体部に取り付けられた、請求項11に記載された前記耐放射線カメラと、
前記第2本体部に取り外し可能に取り付けられた燃料取り出し装置とを備えたことを特徴とする炉内作業装置。
【請求項13】
放射線検出器が前記第2本体部に取り付けられた請求項12に記載された炉内作業装置。
【請求項14】
請求項12に記載の前記炉内作業装置を用いて原子炉圧力容器内で実施する炉内作業方法であって、
前記炉内作業装置が前記原子炉圧力容器内に配置されて前記クランプ装置により前記炉内作業装置が前記原子炉圧力容器の内面に固定され、
その後、前記炉内作業装置よりも上方で前記原子炉圧力容器内に水を張り、
前記第2本体部に取り付けられた前記照明装置の前記光発生装置で発生した光を、前記第3筒部材内の前記水を通して前記原子炉圧力容器内で前記炉内作業装置よりも下方に存在する撮影対象物に当て、
前記撮影対象物からの光を、前記第1カメラ装置の前記第1筒部材内の前記水を通して前記可視光カメラに入射して前記撮影対象物の撮影を行い、
前記照明装置による照明を停止し、前記撮影対象物からの光を、前記第2カメラ装置の前記第2筒部材内の前記水を通して前記赤外線カメラに入射して前記撮影対象物の撮影を行い、
前記可視光カメラから出力された第1映像情報及び前記赤外線カメラから出力された第2映像情報に基づいて合成された、温度情報を含む可視光画像情報を生成し、
前記温度情報を含む前記可視光画像情報に基づいて前記撮影対象物に含まれる切断対象物の前記原子炉圧力容器内での位置を特定した後、前記燃料取り出し装置によって前記切断対象物の切断を行い、前記切断対象物を除去することを特徴とする炉内作業方法。
【請求項15】
放射線検出器が前記炉内作業装置の前記第2本体部に取り付けられており、
前記放射線検出器が前記撮影対象物から放出される放射線を検出して放射線検出信号を出力し、
前記放射線検出信号に基づいて前記撮影対象物の線量率分布を求め、
前記温度情報を含む前記可視光画像情報に求められた前記線量率分布の情報を合成して前記線量率分布及び前記温度情報を含む可視光画像情報を生成し、
前記撮影対象物に含まれる切断対象物の前記原子炉圧力容器内での位置を、前記線量率分布及び前記温度情報を含む前記可視光画像情報に基づいて特定し、
その後、前記切断対象物の切断及び除去が行われる請求項14に記載の炉内作業方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐放射線カメラ、炉内作業装置、炉内作業方法及び炉内点検装置に係り、特に、原子力プラントに適用するのに好適な耐放射線カメラ、炉内作業装置、炉内作業方法及び炉内点検装置に関する。
【背景技術】
【0002】
沸騰水型原子力プラント及び加圧水型原子力プラント等の原子力プラントでは、核燃料物質を含む封数の燃料集合体が、原子炉圧力容器内の炉心に装荷されている。炉心に装荷された燃料集合体は、炉心に装荷された時点から所定の運転サイクル数における原子力プラントの運転を経験した後、使用済燃料集合体として原子炉圧力容器内から取り出される。使用済燃料集合体の替りに、新しい燃焼度0GWd/tの燃料集合体が原子炉圧力容器内の炉心に装荷される。
【0003】
例えば、沸騰水型原子力プラントにおいては、原子炉圧力容器内の炉心に装荷された各燃料集合体が常に冷却されるように、多重の冷却系を備えた非常用炉心冷却装置が設けられている。非常用炉心冷却装置の設置により、炉心溶融事故の発生を防いでいる。しかしながら、極めて少ない確率ではあるが、非常用炉心冷却装置の機能が消失し、炉心に装荷された燃料集合体が溶融する可能性がある。このような燃料集合体の溶融が初応じた場合における溶融核燃料物質の取り出し方法に関する検討が行われている。特開2013−19875号公報には、原子炉圧力容器内に設置された指示装置に取り付けられたボーリング装置を用いた、原子炉圧力容器の底部に落下した溶融核燃料物質の取り出し方法が記載されている。
【0004】
このように、ボーリング装置等により溶融核燃料物質を取り出す際には、堆積している核燃料物質の表面を監視しながら溶融核燃料物質を取り出す必要がある。この監視には、カメラが用いられる。溶融核燃料の取り出しだけでなく、原子炉圧力容器内を点検する場合にも、カメラが用いられる。
【0005】
カメラに用いられる撮像素子としては、主に、電荷結合素子(CCD)及び相補性金属酸化膜半導体(CMOS)が用いられている。原子炉圧力容器内での作業の監視及び原子炉圧力容器内における点検のためにカメラを原子炉圧力容器内の放射線環境で使用する場合には、カメラ、すなわち、CCD及びCMOSが放射線により損傷することを避ける必要がある。
【0006】
このため、放射線環境においてカメラを使用する場合には、カメラに光を入射する光入射口の部分を除いてカメラを放射線遮へい体にて取り囲む構造が採用されている。しかしながら、カメラの撮像素子が光入射口の延長線上に配置された場合には、撮像素子が光入射口から入射される放射線によって放射線損傷を受けてしまう。
【0007】
このような問題を解消するために、特開2009−236801号公報及び特開2013−197955号公報では、撮像素子が放射線遮へい体内に配置され、さらに、撮像素子が、放射線遮へい体に形成された光入射口の延長線上ではなく光入射口の中心軸からこの中心軸に対して垂直な方向においてずれた位置に配置された耐放射線カメラが提案されている。これらの光入射口から入射された光は、放射線遮へい体内において、反射鏡またはプリズムにより反射または屈折されて撮像素子に入射される。この結果、耐放射線カメラにおいては、光入射口から入射された放射線が撮像素子に入射されることを避けることができ、カメラ、すなわち、撮像素子の放射線損傷を低減することができる。
【0008】
特開2007−24586号公報には、アブレシブとしてアルミナを含むウォータジェットを用いて構造部材を切断するアブレシブウォータジェット切断方法が記載されている。
【0009】
特開2010−278817号公報は可視光カメラ及び赤外線カメラを用いた撮影装置を記載しており、この撮影装置では可視光カメラ(CCD撮像素子またはCMOS撮像素子を使用したカメラ)及び赤外線カメラのそれぞれで撮影した両者の映像データを合成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2013−19875号公報
【特許文献2】特開2009−236801号公報
【特許文献3】特開2013−197955号公報
【特許文献4】特開2007−24586号公報
【特許文献5】特開2010−278817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特開2009−236801号公報及び特開2013−197955号公報に記載された各耐放射線カメラでは、放射線遮へい体内に形成された、反射鏡またはプリズムの使用により光入射口から撮像素子までの光導入通路が折れ曲がっているため、上記したように、撮像素子への放射線の入射が著しく抑制され、耐放射線カメラの寿命が長くなっている。しかしながら、光入射口から撮像素子までの光導入通路が折れ曲がっている関係で、光入射口の中心軸に垂直な方向における、放射線遮へい体を含む耐放射線カメラのサイズが大きくなっている。
【0012】
本発明の目的は、放射線損傷をさらに抑制することができ、コンパクトにできる耐放射線カメラ、炉内作業装置、炉内作業方法及び炉内点検装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成する本発明の特徴は、カメラ装置及び照明装置を備え、
カメラ装置は、両端部のそれぞれが光を透過する第1ガラスで封鎖された第1筒部材及びこの第1筒部材内に充填された水を含む第1放射線遮へい体と、その第1筒部材の光を入射する端部と反対側の端部に取り付けられた第1ガラスに取り付けられたカメラを有し、
照明装置は、両端部のそれぞれが光を透過する第2ガラスで封鎖されてその第1筒部材に取り付けられた第2筒部材及びこの第2筒部材内に充填された水を含む第2放射線遮へい体と、その第2筒部材の光を放出する端部と反対側の端部に取り付けられた第ガラスに取り付けられた光発生装置を有する耐放射線カメラにある。
【0014】
第1放射線遮へい体において第1ガラスで両端が密封された第1筒部材内の水を通過した光がカメラ装置のカメラに入射され、また、入射された放射線が第1筒部材内の水で遮へいされるため、カメラの放射線損傷が抑制され、このカメラの寿命をより延ばすことができる。また、光発生装置で発生した光が第2放射線遮へい体において第2ガラスで両端が密封された第2筒部材内の水を通過して第2筒部材の外部に達し、第2放射線遮へい体において入射された放射線が第2筒部材内の水で遮へいされるため、光発生装置の放射線損傷が抑制され、この光発生装置の寿命をより延ばすことができる。このため、耐放射線カメラの寿命を延ばすことができ、耐放射線カメラをコンパクトにすることができる。
【0015】
上記の目的は、両端部のそれぞれが光を透過するガラスで封鎖された筒部材及びこの筒部材内に充填された水を含む放射線遮へい体と、この筒部材の光を入射する端部と反対側の端部に取り付けられたそのガラスに取り付けられたカメラとを備えた耐放射線カメラによっても達成することができる。好ましくは、カメラは可視光カメラ及び赤外線カメラのいずれかである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、耐放射線カメラの放射線損傷をさらに抑制することができ、耐放射線カメラをコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の好適な一実施例である実施例1の耐放射線カメラの正面図である。
図2図1のII−II断面図である。
図3図1のIII−III矢視図である。
図4】本発明の他の好適な実施例である実施例2の耐放射線カメラの正面図である。
図5図4のV−V断面図である。
図6】沸騰水型原子力プラントの原子炉建屋の縦断面図である。
図7図1に示す耐放射線カメラが適用されて図6に示す原子炉圧力容器内の底部に落下した溶融核燃料物質の取り出しに使用される本発明の他の好適な実施例である実施例3の炉内作業装置を原子炉圧力容器内に設置した状態を示す説明図である。
図8図7に示されたVIII部の拡大図である。
図9】原子炉圧力容器内に設置された炉内作業装置の冷媒供給装置から原子炉圧力容器の底部に冷媒を供給する状態を示す説明図である。
図10】原子炉圧力容器内に設置された炉内作業装置の耐放射線カメラを用いて原子炉圧力容器の底部を撮影する状態を示す説明図である。
図11】本発明の他の好適な実施例である実施例4の炉内点検装置であって図1に示された耐放射線カメラが適用された炉内点検装置を用いて原子炉圧力容器内の点検を行う状態を示す説明図である。
図12図11に示された炉内点検装置の拡大明図である。
図13図12のXIII−XIII矢視図である。
図14】本発明の他の好適な実施例である実施例5の耐放射線カメラの縦断面図である。
図15図6に示す原子炉圧力容器内の底部に落下した溶融核燃料物質の取り出しに使用される本発明の他の好適な実施例である実施例6の炉内作業装置の局部拡大縦断面図である。
図16図15のX−X断面図である。
図17図15のY−Y矢視図である。
図18図6に示す原子炉圧力容器内の底部に落下した溶融核燃料物質の取り出しに使用される本発明の他の好適な実施例である実施例7の炉内作業装置の局部拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の好適な一実施例である実施例1の耐放射線カメラを、図1図3を用いて説明する。
【0020】
本実施例の耐放射線カメラ1は、カメラ装置2及び照明装置8及び14を備えている。カメラ装置2及び照明装置8及び14は一直線に配置され(図3参照)、カメラ装置2は照明装置8と照明装置14の間に配置される。照明装置8及び14はカメラ装置2に取り付けられている。
【0021】
カメラ装置2は、カメラ(例えば、CCDスームカメラ)3及び水放射線遮へい体4を有する。カメラ3は、可視光カメラであり、CCD撮像素子の替りにCMOS撮像素子を用いてもよい。水放射線遮へい体4は、円筒(第1筒部材)4Aの一端に石英ガラス(第1ガラス)5を取り付け、円筒4Aの他端に石英ガラス(第1ガラス)6を取り付けており、円筒4A内に水7を充填して構成される。カメラ3は、水放射線遮へい体4の一端である石英ガラス5の外面に設置される。石英ガラス5の外面とは、円筒4Aの内部に面している、石英ガラス5の内面とは反対側の面である。石英ガラス6の替りに、広角レンズを円筒4Aの他端に取り付けてもよい。広角レンズもガラスの一種である。
【0022】
照明装置8は、照明9及び水放射線遮へい体10を有する。水放射線遮へい体10は、円筒(第2筒部材)13の一端に石英ガラス(第2ガラス)11を取り付け、円筒13の他端に石英ガラス(第2ガラス)12を取り付けており、円筒13内に水7を充填して構成される。照明9は、水放射線遮へい体10の一端である石英ガラス11の外面に設置される。
【0023】
照明装置14は、照明15及び水放射線遮へい体16を有する。水放射線遮へい体16は、円筒(第2筒部材)19の一端に石英ガラス(第2ガラス)17を取り付け、円筒19の他端に石英ガラス(第2ガラス)18を取り付けており、円筒19内に水7を充填して構成される。照明15は、水放射線遮へい体16の一端である石英ガラス17の外面に設置される。照明9及び15は光発生装置である。
【0024】
照明9及び15として、LED照明及びハロゲン照明等が用いられる。照明装置8の円筒13がカメラ装置2の円筒4Aに取り付けられ、照明装置14の円筒19がカメラ装置2の円筒4Aに取り付けられて、カメラ装置2及び照明装置8及び14は一体化されている。
【0025】
撮影対象物からの光(撮影対象物の映像)は、水放射線遮へい体4、具体的には、石英ガラス6、円筒4A内の水7及び石英ガラス5のそれぞれを通過した後にカメラ3に入射され、カメラ3の撮像素子(CCD)によって映像情報に変換される。この映像情報は、カメラ3に接続されたモニタである表示装置(図示せず)に伝えられ、この表示装置に表示される。照明9で発生した照明用の光は、水放射線遮へい体10、すなわち、石英ガラス11、円筒13内の水7及び石英ガラス12を通って撮影対象物に当てられる。また、照明15で発生した照明用の光は、水放射線遮へい体16、すなわち、石英ガラス17、円筒19内の水7及び石英ガラス18を通ってその撮影対象物に当てられる。照明装置8及び14によって撮影対象物(例えば、溶融核燃料物質55)を照明することができるため、撮影対象物の鮮明な映像情報をカメラ3によって得ることができる。
【0026】
本実施例の耐放射線カメラ1は、例えば、図7に示されるように、炉内作業装置53に取り付けられて原子炉圧力容器23内の底部である下鏡部25上に落下した溶融核燃料物質等を含む燃料デブリ55の取り出し作業の監視、または、図11及び図12に示されるように、炉内点検装置90に取り付けられて原子炉圧力容器23内の点検に使用される。このような用途に用いられる耐放射線カメラ1はカメラ(例えば、CCDスームカメラ)3の前面に水放射線遮へい体4を配置しているため、カメラ3の前面からの放射線を水放射線遮へい体4の水7によって遮へいすることができる。このため、耐放射線カメラ1では、カメラ3の放射線損傷を抑制することができ、カメラ3の寿命をより長くすることができる。原子炉圧力容器23内で行われる作業の監視及び原子炉圧力容器23の点検等に、耐放射線カメラ1を用いることによって、それらの監視及び点検をより長時間に亘って行うことができる。
【0027】
本実施例の耐放射線カメラ1では、照明装置8及び14においても照明9及び15の前面に水放射線遮へい体10及び16を配置しているため、照明9及び15のそれぞれの前面からの放射線を水放射線遮へい体10及び16のそれぞれによって遮へいすることができる。照明9及び15のそれぞれの前面からの放射線は水放射線遮へい体10及び16によって遮蔽することができるので、照明9及び15のそれぞれの放射線損傷を抑制することができ、照明9及び15のそれぞれの寿命を長くすることができる。このため、カメラ3の寿命と共に照明9及び15のそれぞれの寿命を長くすることができる耐放射線カメラ1は、原子炉圧力容器23内で行われる作業の監視及び原子炉圧力容器23の点検に対してより長時間に亘って使用することができる。
【0028】
耐放射線カメラ1は2つの照明装置、すなわち、照明装置8及び14を有するため、撮影対象物をより明るく照らすことができ、カメラ3により得られる映像がより鮮明になる。特に、カメラ装置2が照明装置8と照明装置14の間に配置されているため、撮影対象物の撮影箇所の光度がより一様になる。
【0029】
カメラ3の前面から入射される放射線の強度がより高い環境下で耐放射線カメラ1を使用する場合には、水放射線遮へい体4の軸方向の長さを長くする、すなわち、円筒4Aの長さを長くして円筒4A内に充填する水7の量を増やすことによってカメラ3の放射線損傷を抑制することができる。照明装置8及び14においても、照明装置8及び14のそれぞれにおいて水放射線遮へい体10及び16の軸方向長さ、すなわち、円筒13及び19のそれぞれの長さを長くして円筒13及び19のそれぞれに充填する水7の量を増やすことによって照明9及び15の放射線損傷を抑制することができる。
【0030】
本実施例の耐放射線カメラ1では、カメラ3の前面に水放射線遮へい体4が配置されているので、カメラ3、具体的には、カメラ3の撮像素子(CCD)を、光入射口である水放射線遮へい体4の中心軸からこの中心軸の垂直方向にずらして配置する必要がない。このため、水放射線遮へい体4の中心軸に垂直な方向における、耐放射線カメラ1のサイズを低減することができ、その中心軸に垂直な方向において耐放射線カメラ1をよりコンパクトにすることができる。
【0031】
また、耐放射線カメラ1では、照明装置8及び14のそれぞれにおいても、照明9及び15のそれぞれを水放射線遮へい体10及び16のそれぞれの中心軸からこれらの中心軸の垂直方向にずらして配置する必要がない。この結果、照明装置8及び14のそれぞれにおいても、水放射線遮へい体10及び16のそれぞれに対して垂直な方向における照明装置8及び14のそれぞれのサイズを小さくすることができる。これにより、水放射線遮へい体4の中心軸に垂直な方向における、耐放射線カメラ1のサイズをさらに低減することができ、その中心軸に垂直な方向において耐放射線カメラ1をよりコンパクトにすることができる。
【0032】
耐放射線カメラ1は、カメラ装置2及び1つの照明装置である照明装置8を設けてもよい。
【実施例2】
【0033】
本発明の他の好適な実施例である実施例2の耐放射線カメラを、図4及び図5を用いて説明する。本実施例の耐放射線カメラ1Aは、実施例1の耐放射線カメラ1に反射鏡104を追加した構成を有する。反射鏡104は、ステンレス鋼ミラーであり、水放射線遮へい体4,10及び16のそれぞれの前面に配置され、円筒4Aに取り付けられる。反射鏡104は、円筒4Aの中心軸に対して傾斜して配置される。耐放射線カメラ1Aの他の構成は耐放射線カメラ1と同じである。反射鏡104は、円筒4A6,13及び16の少なくとも一つに取り付けてもよい。
【0034】
円筒4Aの中心軸に対して傾斜する方向、例えば、この中心軸と直交する方向に存在する撮影対象物からの光(撮影対象物の映像)は、反射鏡104で反射されて進行する向きを変え、水放射線遮へい体4、具体的には、石英ガラス6、円筒4A内の水7及び石英ガラス5を通ってカメラ3に入射され、映像情報に変換される。この映像情報は、実施例1と同様に、表示装置(図示せず)に表示される。照明9で発生した照明用の光は、実施例1と同様に水放射線遮へい体10を通過し、その後、反射鏡104で向きを変えられて撮影対象物を照らす。また、照明15で発生した照明用の光は、実施例1と同様に水放射線遮へい体16を通過し、その後、反射鏡104で向きを変えられて撮影対象物を照らす。このため、円筒4Aの中心軸に対して傾斜する方向に存在する撮影対象物の映像をカメラ3で撮影することができる。
【0035】
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。また、本実施例は、反射鏡104を水放射線遮へい体4,10及び14の前面に配置しているため、円筒4Aの中心軸に対して傾斜する方向、例えば、その中心軸と直交する方向に存在する撮影対象物の映像をカメラ3でより鮮明に撮影することができる。
【実施例3】
【0036】
本発明の他の好適な実施例である実施例3の炉内作業装置を、図7及び図8を用いて説明する。本実施例の炉内作業装置53は実施例1の耐放射線カメラ1を備えている。耐放射線カメラ1の替りに実施例2の耐放射線カメラ1Aを用いてもよい。
【0037】
本実施例の炉内作業装置53を説明する前に、まず、炉内作業装置53を用いた作業が行われる沸騰水型原子力プラントの概略の構成を、図6を用いて説明する。
【0038】
沸騰水型原子力プラントは、原子炉22及び原子炉格納容器37を備えている。原子炉格納容器37は、原子炉建屋42内に設置されて、上端部に上蓋であるヘッド38が取り付けられて密封されている。原子炉格納容器37は、内部に形成されたドライウェル39、及び冷却水が充填された圧力抑制プールが内部に形成された圧力抑制室40を有する。ドライウェル39に連絡されるベント通路の一端が、圧力抑制室40内の圧力抑制プールの冷却水中に浸漬されている。
【0039】
ヘッド38の真上に複数に分割された放射線遮へい体であるシールドプラグ48が配置され、これらのシールドプラグ48が、原子炉ウエル44内に配置され、原子炉建屋4の運転床43に設置されている。機器仮置きプール(ドライヤセパレータプール)45及び燃料貯蔵プール46が、原子炉ウエル44に隣接して配置され、運転床43に取り囲まれている。機器仮置きプール45と原子炉ウエル44の間、及び燃料貯蔵プール46と原子炉ウエル44の間は、それぞれ、取り外し可能なゲート部材(図示せず)により仕切られている。
【0040】
原子炉22は、上蓋24が取り付けられて構成される原子炉圧力容器23、核燃料物質を含む複数の燃料集合体28が装荷された炉心27、気水分離器31及び蒸気乾燥器32等を備えている。炉心27、気水分離器31及び蒸気乾燥器32は原子炉圧力容器23内に配置される。原子炉圧力容器23内に設置された炉心シュラウド26が、炉心27を取り囲んでいる。炉心27内に装荷された各燃料集合体28は、下端部が炉心支持板29によって支持され、上端部が上部格子板30によって保持される。気水分離器31は炉心27の上端部に位置する上部格子板30よりも上方に配置され、蒸気乾燥器32が気水分離器31の上方に配置される。
【0041】
複数の制御棒案内管33が、原子炉圧力容器23内で炉心支持板29の下方に配置される。炉心27内の燃料集合体28間に出し入れされて原子炉出力を制御する制御棒(図示せず)が、各制御棒案内管33内に配置されている。複数の制御棒駆動機構ハウジング34が、原子炉圧力容器23の下鏡部25に取り付けられている。制御棒駆動機構(図示せず)が、それぞれの制御棒駆動機構ハウジング34内に設置され、制御棒案内管33内の制御棒と連結されている。
【0042】
原子炉圧力容器23内に設置された炉心シュラウド26、炉心支持板29、上部格子板30、気水分離器31、蒸気乾燥器32及び制御棒案内管33は、炉内構造物である。
【0043】
原子炉圧力容器23は、原子炉格納容器37内の底部に設けられたコンクリートマット3上に設けられた円筒状のペデスタル35上に据え付けられている。筒状のγ線遮蔽体41が、ペデスタル35の上端に設置され、原子炉圧力容器23を取り囲んでいる。
【0044】
このような沸騰水型原子力プラントにおいて、原子炉がスクラムされて原子炉出力が低下した状態において、一時的に、沸騰水型原子力プラントの電流を供給する全部の電源が消失して非常用炉心冷却系が作動しなかった状態が生じたことを想定する。全部の電源が消失して非常用炉心冷却系のポンプ等が作動しなくなり、炉心27内の各燃料集合体28に含まれる各燃料棒の冷却が損なわれた場合には、これらの燃料棒に含まれる核燃料物質が溶融し、核燃料物質の溶融によって燃料集合体28の構造部材、例えば、燃料棒の被覆管、燃料集合体28のチャンネルボックス及び上部タイプレート及び下部タイプレートも溶融する。核燃料物質、及び燃料集合体28の構造部材等の溶融物である燃料デブリ55は、原子炉圧力容器23の底部である下鏡25の内面上に落下する可能性がある。燃料デブリ55には、炉心支持板29等の炉内構造物の溶融物が含まれる場合もある。溶融した燃料デブリ55は、冷却されて固まる。
【0045】
万が一、このような燃料デブリ55の原子炉圧力容器23の底部への落下が生じた場合には、固まった燃料デブリ55の原子炉圧力容器23外への搬出が実施され、さらに燃料デブリ55の落下が生じている沸騰水型原子力プラントについては、廃炉処理が実施される。
【0046】
次に、炉内作業装置53の構成を、図7及び図8を用いて説明する。炉内作業装置53は、耐放射線カメラ1、支持装置(第1支持装置)57、旋回支持装置(第2支持装置)65、燃料取り出し装置71及び冷媒供給装置72を備えている。
【0047】
支持装置57は、リング部(第1本体部)56及び円筒部76を含むベース、主旋回テーブル63及びクランプ装置を有している。円筒部76はリング部56の上面に結合されており、支持部58が円筒部76の下端部において内側に突出して形成されている。主旋回テーブル63は、支持部58の上面に取り付けられたベアリング69Aによって旋回可能に支持される。リング状のシール部材59が円筒部76の上端部で円筒部76の外面に取り付けられている。リング状のシール部材60が円筒部76の下端部で円筒部76の外面に取り付けられている。リング状のシール部材66が主旋回テーブル63の側面と支持部58の側面の間に配置される(図8参照)。このシール部材66は、主旋回テーブル63の側面と支持部58の側面の間をシールしている。リング部56、円筒部76及び主旋回テーブル(第1旋回テーブル)63は、放射線遮へい材で構成されている。遮へい部材64が、主旋回テーブル63の下面に、主旋回テーブル63の半径方向に移動可能に取り付けられている。
【0048】
複数(例えば8個)のクランプ装置が円筒部76に取り付けられている。これらのクランプ装置は、シリンダ61、ピストンロッド62及び押し付け部を有する。各シリンダ61は、円筒部76の周方向において等間隔に配置され、円筒部76の半径方向に伸びており、円筒部76に取り付けられる。ピストンロッド62は、シリンダ61内に配置されたピストン(図示せず)に取り付けられる。押し付け部は、シリンダ61の外側でピストンロッド62の先端に取り付けられる。
【0049】
旋回支持装置65は、副旋回テーブル(第2旋回テーブル)68及び本体(第本体部)70を有する。副旋回テーブル68は本体70の上端に取り付けられ、副旋回テーブル68の直径は本体70の外径よりも大きくなっている。副旋回テーブル68は、主旋回テーブル63の中心軸からずれた位置に配置され、主旋回テーブル63の上面に取り付けられたベアリング69Bによって旋回可能に支持される。本体70の中心軸と副旋回テーブル68の中心軸は一致しており、本体70は主旋回テーブル63の中心軸からずれた位置に形成された貫通孔105内に挿入されている。リング状のシール部材67が、主旋回テーブル63の貫通孔105に面する内面に取り付けられて主旋回テーブル63の内面と本体70の外面の間をシールしている。
【0050】
燃料取り出し装置71は、本体70の中心軸からずれた位置に配置され、本体70に取り外し可能に取り付けられている。燃料取り出し装置71の外面にはリング状のシール部材(図示せず)が取り付けられ、このシール部材は燃料取り出し装置71と本体70の間をシールしている。耐放射線カメラ1が、本体70の中心軸からずれた位置で本体70に取り外し可能に取り付けられている。耐放射線カメラ1は本体70を貫通している。耐放射線カメラ1のカメラ装置2及び照明装置8及び14のそれぞれと本体70の間も、シール部材(図示せず)によってシールされている。冷媒供給装置72が本体70に取り付けられる。冷媒供給装置72は、冷媒供給管73及び冷媒を噴射するノズル74を有している。ノズル74の先端は本体70の下面に位置しており、冷媒供給管73がノズル74に接続される。冷媒供給管73はホース(図示せず)により運転床43上に配置された冷媒供給ポンプ(図示せず)に接続される。
【0051】
沸騰水型原子力プラントにおいて、上記したように、炉心27に装荷した燃料集合体28の燃料棒内の核燃料物質が溶融し、発生した燃料デブリ55が原子炉圧力容器23の下鏡部25上に落下していることを想定する。炉内作業装置53を用いた溶融核燃料物質、すなわち、燃料デブリ55の取り出し作業について説明する。
【0052】
燃料デブリ55の取り出し作業を開始する前に、作業ハウス49を、原子炉ウエル44を覆うように、原子炉建屋42の運転床43上に設置する(図6参照)。天井クレーン52が、作業ハウス49内で作業ハウス49の天井付近に設けられた走行レール上に設置される。天井クレーン52は、その走行レールに沿って移動する走行台車106及び走行台車106上に移動可能に設置された2台の横行台車54を有する。各横行台車54にはフック(図示せず)が吊り下げられる。作業ハウス49の一つの側面(例えば、機器仮置きプール45側の側面)に、開閉するシャッター50が設置されている。作業スペースを確保するために、機器仮置きプール45は鉄板(図示せず)で覆われている。
【0053】
作業ハウス49内の天井クレーン52等を用いて、原子炉ウエル44を覆っているシールドプラグ48、原子炉格納容器37のヘッド38、原子炉圧力容器23の上蓋24、及び原子炉圧力容器23内に設置された蒸気乾燥器32及び気水分離器31を、例えば、特開2013−19875号公報に記載された方法により、順次取り除き、作業ハウス49内の空間51を通して外部に搬出する。
【0054】
その後、炉内作業装置53が天井クレーン52を用いて原子炉圧力容器23内に吊り降ろされる。この炉内作業装置53の吊り降ろし作業について説明する。
【0055】
炉内作業装置53及び昇降装置78が、シャッター50を開けて作業ハウス49内の空間51に搬入され、作業ハウス49内で運転床43上に置かれる。
【0056】
昇降装置78は、ベース部79、回転ドラム80,81及びケーブル巻き取り装置84を有する。回転ドラム80,81及びケーブル巻き取り装置84はベース部79上に設置される。図7において、回転ドラムは、回転ドラム80,81の2基しか記載されていないが、実際にはベース部79に3基設けられている。回転ドラム80,81に巻き付けられたワイヤ82,83が円筒部76の上端部に取り付けられている。図示されていないもう1基の回転ドラム(図示せず)に巻き付けられたワイヤ(図示せず)も、円筒部76の上端部に取り付けられている。ワイヤ82,83等の3本のワイヤの、円筒部76への取り付け位置は、円筒部76の周方向において等間隔に配置されている。この結果、炉内作業装置53は3本のワイヤによって昇降装置78に保持される。
【0057】
炉内作業装置53が昇降装置78に設けられた回転ドラム80,81等の3基の回転ドラムに巻き付けられた各ワイヤに取り付けられた状態で、昇降装置78を作業ハウス49内の天井クレーン52で吊って、昇降装置78のベース部79が、原子炉ウエル44の内面に形成されてシールドプラグ48を支持していた段差部のうち最も低い位置に存在する段差部47の上面の位置まで下降される。昇降装置78のベース部79が段差部47によって保持される。このとき、炉内作業装置53は、ワイヤ82,83等によって昇降装置78に保持され、原子炉圧力容器23内に挿入されて昇降装置78のベース部79の下方に位置しており、上部格子板30の上方に位置している。炉内作業装置53の原子炉圧力容器23の軸方向における位置は、回転ドラム80,81等の3基の回転ドラムを回転させてワイヤ82,83等の巻き戻された3本のワイヤの長さを調節することによって調節される。支持装置57の円筒部76の外面に設けられたシール部材59,60が、原子炉圧力容器23の内面に接触し、原子炉圧力容器23の内面と円筒部76の外面の間をシールする。
【0058】
炉内作業装置53に設けられた8個のクランプ装置の各シリンダ61内に油圧を加えて各シリンダ61内のピストンを原子炉圧力容器23の内面に向かって移動させる。これにより、ピストンロッド62がシリンダ61から押し出され、ピストンロッド62の先端に取り付けられた押し付け部が原子炉圧力容器23の内面に押し付けられる。炉内作業装置53は、各クランプ装置によっても原子炉圧力容器23の内面に保持される。
【0059】
この状態で、炉内作業装置53の上方で原子炉圧力容器23内に水75を供給して原子炉圧力容器23内の水張りを行う。水75の水面は原子炉ウエル44内に達してもよい。原子炉圧力容器23内に供給された水75は、シール部材59,60,66及び67、さらには、前述した他のシール部材の作用により、原子炉圧力容器23内の炉内作業装置53よりも下方の空間77に落下することはない。このため、空間77は空気で満たされた空間になっている。
【0060】
炉内作業装置53に設けられた燃料取り出し装置71を用いて炉心27内に存在する各燃料集合体28等を切断し、燃料集合体28等の切断片を吸引してホース等を用いて作業ハウス49内の空間51で運転床43上に置かれた収納容器(図示せず)内に排出する。燃料集合体28等の切断片で満たされた収納容器は、天井クレーン52及び搬送台車(図示せず)を用いて作業ハウス49外に移送され、さらに、所定の保管場所まで移送される。主旋回テーブル63及び副旋回テーブル68をそれぞれ旋回させて、原子炉圧力容器23の周方向及び半径方向における燃料取り出し装置71の位置を変えながら、燃料取り出し装置71による燃料集合体28の切断等が行われる。
【0061】
燃料集合体28の切断及び吸引作業中においては、炉内作業装置53に取り付けられた耐放射線カメラ1を用いた燃料集合体28の切断箇所の撮影が行われる。カメラ3で得られた切断箇所の映像情報は、原子炉建屋42の外部に置かれた表示装置(図示せず)に表示される。その切断箇所には、耐放射線カメラ1の照明装置8及び14からの照明用の光が当てられる。
【0062】
原子炉圧力容器23内の炉内構造物(例えば、炉心シュラウド26及び制御棒案内管33等)を切断する場合には、燃料取り出し装置71を炉内構造物切断装置に取り替える。燃料取り出し装置71の炉内構造物切断装置への取り換えは、以下のように行われる。炉内作業装置53の上方に存在する水75が原子炉圧力容器23の外部に排出される。燃料取り出し装置71及び耐放射線カメラ1が取り付けられた旋回支持装置65を天井クレーン52で吊り上げて炉内作業装置53から取り外す。主旋回テーブル63に形成されて旋回支持装置65が挿入されていた開口は、主旋回テーブル63に取り付けられている遮へい部材64を水平方向に移動することによって塞がれる。このため、主旋回テーブル63に形成されたその開口を下方から上方に向かって通過する放射線を遮へい部材64によって遮蔽することができる。
【0063】
旋回支持装置65は、作業ハウス49内の空間51まで引き上げられ、作業ハウス49の外部に移送される。その後、燃料取り出し装置71を旋回支持装置65の本体70から取り外し、炉内構造物切断装置を燃料取り出し装置71の替りに旋回支持装置65の本体70に取り付ける。炉内構造物切断装置が取り付けられた旋回支持装置65は、作業ハウス49内に搬入され、天井クレーン52に吊り下げられて原子炉圧力容器23内の主旋回テーブル63の位置まで下降される。放射線を遮へい部材64を元の位置まで移動させ、炉内構造物切断装置が取り付けられた旋回支持装置65を主旋回テーブル63に形成されたその開口内に挿入する。このようにして、炉内構造物切断装置が取り付けられた旋回支持装置65が主旋回テーブル63に取り付けられる。その後、炉内作業装置53より上方の原子炉圧力容器23内に、再び水75が供給され、原子炉圧力容器23内の水張りが行われる。
【0064】
主旋回テーブル63より下方で原子炉圧力容器23内に存在する炉内構造物が炉内構造物切断装置により切断され、発生した炉内構造物の切断片が吸引されて作業ハウス49内の収納容器(図示せず)内に排出される。切断片で満たされた収納容器は、前述したように、所定の保管場所まで移送される。炉内構造物の切断も、主旋回テーブル63及び副旋回テーブル68をそれぞれ旋回させて、原子炉圧力容器23の周方向及び半径方向における炉内構造物切断装置の位置を変えながら行われる。
【0065】
燃料集合体28及び炉内構造物の切断作業が進行するに従って、昇降装置78の3基の回転ドラム(回転ドラム80,81等)を回転させて3本のワイヤ(ワイヤ82,83等)を巻き戻すことにより、炉内作業装置53を原子炉圧力容器23内で下降させる。炉内作業装置53を下降させるときには、各クランプ装置のシリンダ61内に上記とは逆の方向に油圧を加え、ピストンロッド62を原子炉圧力容器23の中心軸側に移動させる。これにより、ピストンロッド62に取り付けられた押し付け部材が原子炉圧力容器23の内面から離され、炉内作業装置53の下降が容易に行われる。
【0066】
原子炉圧力容器23内の炉内構造物が除去されとき、炉内作業装置53は図7に示された位置まで下降される。炉内作業装置53に取り付けられた炉内構造物切断装置が燃料取り出し装置71に取り替えられている。原子炉圧力容器23の下鏡部25の内面上に落下した燃料デブリ55が存在する。炉内作業装置53の下方の、原子炉圧力容器23内の空間77には冷却水が供給され、この冷却水によって燃料デブリ55が冷却される。空間77内には、燃料デブリ55で発生する熱によって加熱された冷却水の蒸気86が存在する。このため、炉内作業装置53に取り付けられた耐放射線カメラ1の照明装置8及び14によって照明用の光を燃料デブリ55の表面に当ててもカメラ装置2のカメラ3によって燃料デブリ55の表面を撮影することが困難である。
【0067】
このため、冷媒供給管73を通して冷媒である液体窒素をノズル74に供給し、ノズル74から液体窒素85を原子炉圧力容器23内の空間77に噴射させる(図9参照)。液体窒素85の噴射によって空間77内に存在する蒸気86が凝固して下方に落下する。このため、空間77内の蒸気の量が著しく減少し(図10参照)、耐放射線カメラ1のカメラ装置2のカメラ3によって燃料デブリ55の表面の撮影が可能になる。耐放射線カメラ1の照明装置8及び14のそれぞれの照明9及び15のそれぞれから放出された光は、水放射線遮へい体10及び16のそれぞれを通って燃料デブリ55の表面に達し、この表面を照らす。燃料デブリ55の表面からの光は、カメラ装置2の水放射線遮へい体4内に入射され、この水放射線遮へい体4内を通ってカメラ3に入射される。カメラ3の撮像素子は入射した光を映像情報に変換して表示装置に出力する。表示装置は、空間77内の蒸気の量が著しく減少した分、燃料デブリ55の鮮明な表面の映像を映し出している。
【0068】
炉内作業装置53に取り付けられた燃料取り出し装置71を用いて下鏡部25上に存在する燃料デブリ55を切断し、燃料デブリ55の切断片が吸引されてホース内を導かれ、作業ハウス49の空間51内に存在する収納容器(図示せず)内に排出される。燃料デブリ55の切断等も、主旋回テーブル63及び副旋回テーブル68をそれぞれ旋回させて、原子炉圧力容器23の周方向及び半径方向における燃料取り出し装置71の位置を変えながら行われる。燃料取り出し装置71により、原子炉圧力容器23内で下鏡部25上に落下した全ての燃料デブリ55が切断されて吸引され、除去される。
【0069】
燃料取り出し装置71は、例えば、特開2007−24586号公報に記載されたアブレシブウォータジェットを用いて燃料集合体28及び燃料デブリ55を切断する装置を含んでいる。すなわち、アブレシブであるアルミナを供給するアブレシブ供給装置(図示せず)、高圧水を供給する高圧ポンプ(図示せず)、及びアブレシブを含む高圧水を噴射する複数の噴射ノズルを有する切断装置(特開2007−24586号公報参照)が、燃料取り出し装置71に含まれる。アブレシブ供給装置、高圧水を供給する高圧ポンプは、主旋回テーブル63上に設置されている。アブレシブ供給装置から供給されるアブレシブである粒状のアルミナ、及び高圧ポンプから供給された高圧水が混合されて各噴射ノズルから切断対象物である燃料集合体28または燃料デブリ55に向かって噴射される。複数の噴射ノズルのそれぞれから噴射された粒状のアルミナを含む高圧水(アブレシブウォータジェット)が切断対象物の表面に集中して当てられる。噴射されたアブレシブウォータジェットによって燃料集合体28または燃料デブリ55の表面部が切断される。これらの切断片が燃料取り出し装置71によって前述したように吸引される。
【0070】
燃料取り出し装置71は、アブレシブウォータジェットを噴射する切断装置の替りに、特開2013−19875号公報に記載されたボーリング装置を用いてもよい。
【0071】
本実施例は、実施例1で述べた耐放射線カメラ1によって生じる各効果を得ることができる。耐放射線性が向上して寿命がより長い耐放射線カメラ1を炉内作業装置53に設置しているため、切断対象物を撮影するカメラを頻繁に交換する必要がなく、カメラの交換のたびに燃料集合体28または燃料デブリ55の切断作業を中断する回数が少なくなり、また、その切断作業の中断の合計時間が著しく短縮される。このため、燃料集合体28または燃料デブリ55の取り出しに要する時間が短縮される。
【0072】
炉内作業装置53は、加圧水型原子力プラントの原子炉圧力容器の炉心に存在する燃料集合体または原子炉圧力容器の下鏡部上に落下した燃料デブリの取り出しにも用いることができる。
【実施例4】
【0073】
本発明の他の好適な実施例である実施例4の炉内点検装置を、図11から図13を用いて説明する。
【0074】
本実施例の炉内点検装置90は、図12に示すように、複数の袋である袋91A,91B及び91C、走行台車93A,93B及び93C、連結部材95A,95B,95C及び95D及び耐放射線カメラ1を備えている。耐放射線カメラ1の替りに耐放射線カメラ1Aを用いてもよい。袋91Aが走行台車93Aに載せられて走行台車93Aに取り付けられている。袋91Bが走行台車93Bに載せられて走行台車93Bに取り付けられている。袋91Cが走行台車93Cに載せられて走行台車93Cに取り付けられている。走行台車93A,93B及び93Cのそれぞれには、一対の車輪94が取り付けられている。
【0075】
連結部材95Aの一端部が走行台車93Aに回転可能に取り付けられ、連結部材95Aの他端部が走行台車93Bに回転可能に取り付けられる。連結部材95Bの一端部が走行台車93Aに回転可能に取り付けられ、連結部材95Bの他端部が走行台車93Bに回転可能に取り付けられる。連結部材95Aと連結部材95Bは、上下方向においてずれた状態で、互いに交差するように配置される。連結部材95Cの一端部が走行台車93Bに回転可能に取り付けられ、連結部材95Cの他端部が走行台車93Cに回転可能に取り付けられる。連結部材95Dの一端部が走行台車93Bに回転可能に取り付けられ、連結部材95Dの他端部が走行台車93Cに回転可能に取り付けられる。連結部材95Cと連結部材95Dは、上下方向においてずれた状態で、互いに交差するように配置される。
【0076】
袋91A,91B及び91Cのそれぞれの内部には水が充填されている。水が充填された袋91A,91B及び91Cは、放射線遮へい体を構成する。耐放射線カメラ1が、袋91Cを貫通しており、袋91Cに取り付けられている。貫通孔96が、走行台車93Cに形成されて走行台車93Cの上下方向に伸びている。耐放射線カメラ1のカメラ装置2及び照明装置8及び14のそれぞれの下端面は、貫通孔96に対向している。
【0077】
本実施例の炉内点検装置90を用いた原子炉圧力容器23内の点検方法を、図11を用いて説明する。
【0078】
補強部材87が原子炉建屋42の運転床43の上面に設置される。原子炉ウエル44を覆う作業ハウス49が補強部材87の上面に設置される。原子炉ウエル44の真上には、補強部材87に形成された開口(図示せず)が存在する。機器仮置きプール45の真上で作業ハウス49に隣接して作業ハウス49Aが配置され、この作業ハウス49Bは補強部材87の上面に設置される。天井クレーン52Aが、作業ハウス49A内で作業ハウス49Aの天井付近に設けられた走行レール上に設置される。天井クレーン52Aは、その走行レールに沿って移動する走行台車106A及び走行台車106A上に移動可能に設置された2台の横行台車54Aを有する。各横行台車54Aにはフック(図示せず)が吊り下げられる。
【0079】
放射線遮蔽体100が、機器仮置きプール45を覆って補強部材87に取り付けられる。放射線遮蔽体100は、複数の袋101を有し、これらの袋101内に水を充填している。放射線遮へい体88が、原子炉ウエル44の真上で原子炉ウエル44を覆うように配置され、補強部材87に取り付けられる。放射線遮へい体88の下方に放射線遮へい体9A,9Bが配置され、放射線遮へい体9A,9Bは水が充填された複数の袋99A,99Bを有している。放射線遮へい体9A,9Bは、補部材87に取り付けられており、原子炉ウエル44を覆っている。放射線遮へい体9Aの一部の袋99A内の水が放出され、放射線遮へい体9Bの一部の袋99B内の水が放出されている。このため、原子炉ウエル44の真上で放射線遮へい体9Aと放射線遮へい体9Bの間に開口が形成されている。
【0080】
炉内点検装置90は、天井クレーン52から吊り下げられた吊り天秤89に吊り下げられている。実質的に天井クレーン52から吊り下げられた炉内点検装置90は、放射線遮へい体88に形成された開閉可能な開口部、及び放射線遮へい体9Aと放射線遮へい体9Bの間に形成された開口を通して下降され、放射線遮へい体9A及び9
Bよりも下方で原子炉圧力容器23の真上の位置まで下降される。
【0081】
炉内点検装置90の各台車の車輪94は、原子炉圧力容器23の上方に配置されたレール97上に設置される。レール97は、原子炉ウエルの底部を構成するウエルプラットフォーム102上に置かれた支持部材103上に設置される。
【0082】
炉内点検装置90に取り付けられた耐放射線カメラ1の照明装置8及び14によって原子炉圧力容器23内の炉内構造物を照らし、この炉内構造物の光をカメラ装置2のカメラ3に入射して映像情報を生成する。カメラ3から出力された映像情報は、原子炉建屋42が存在する表示装置(図示せず)に表示される。オペレータは、表示装置に表示された映像を見ることによって炉内構造物の状態を点検することができる。炉内点検装置90はレール97に沿って水平方向に移動される。
【0083】
本実施例は実施例1で述べた耐放射線カメラ1によって生じる各効果を得ることができる。さらに、本実施例は、炉内点検装置90の袋91C内の水によって取り囲まれているため、袋91C内の水によって放射線が遮へいされるため、カメラ3の放射線損傷がさらに抑制される。
【0084】
炉内点検装置90は、加圧水型原子力プラントの原子炉圧力容器内の点検にも用いることができる。
【実施例5】
【0085】
本発明の他の好適な実施例である実施例5の耐放射線カメラを、図14を用いて説明する。
【0086】
本実施例の耐放射線カメラ1Bはカメラ装置2Aを備えている。カメラ装置2Aは、赤外線カメラ3A及び水放射線遮へい体4Bを有する。水放射線遮へい体4Bは、円筒(第1筒部材)4Cの一端に石英ガラス(第1ガラス)5を取り付け、円筒4Cの他端に石英ガラス(第1ガラス)6を取り付けており、円筒4C内に水7を充填して構成される。赤外線カメラ3Aは、水放射線遮へい体4Bの一端である石英ガラス5の外面に設置される。石英ガラス5の外面とは、円筒4Cの内部に面している、石英ガラス5の内面とは反対側の面である。石英ガラス6の替りに、広角レンズを円筒4Cの他端に取り付けてもよい。広角レンズもガラスの一種である。
【0087】
撮影対象物から放出される赤外線は、水放射線遮へい体4B、具体的には、石英ガラス6、円筒4C内の水7及び石英ガラス5のそれぞれを通過した後に赤外線カメラ3Aに入射され、赤外線カメラ3Aで赤外線映像情報(赤外放射エネルギー情報を含む)に変換される。この赤外線映像情報は、赤外線カメラ3Aに接続されたモニタである表示装置(図示せず)に伝えられ、この表示装置に表示される。
【0088】
本実施例の、赤外線カメラ3Aを有する耐放射線カメラ1Bは、例えば、原子炉圧力容器23内の底部である下鏡部25上に落下した溶融核燃料物質等を含む燃料デブリ55の取り出し作業(例えば、図7参照)において、燃料デブリ55の位置を監視するために用いられる。水によって冷却されているとはいえ、その燃料デブリ55は、燃料デブリ55に含まれた核燃料物質の崩壊熱によって暖められ、周囲の構造部材よりも温度が上昇している。燃料デブリ55から放出される赤外線が、上記したように、水放射線遮へい体4Bを通って赤外線カメラ3Aに入射される。燃料デブリ55からは赤外線以外に放射線が放出される。この放射線は、赤外線カメラ3Aの前面に位置する水放射線遮へい体4Bの水7によって遮へいすることができる。このため、耐放射線カメラ1Bでは、赤外線カメラ3Aの放射線損傷を抑制することができ、赤外線カメラ3Aの寿命をより長くすることができる。
【0089】
本実施例は、実施例1で生じる各効果のうち照明装置8及び14で生じる効果を除いた残りの各効果を得ることができる。
【実施例6】
【0090】
本発明の他の好適な実施例である実施例6の炉内作業装置を、図15図16及び図17を用いて説明する。本実施例の炉内作業装置53Aは、実施例3の炉内作業装置53において耐放射線カメラ1を耐放射線カメラ1Cに替えた構成を有する。炉内作業装置53Aの他の構成は炉内作業装置53の構成と同じである。耐放射線カメラ1Cは、耐放射線カメラ1に、実施例5の耐放射線カメラ1Bに用いられるカメラ装置2Aを追加した構成を有する。耐放射線カメラ1Cは、実施例3における耐放射線カメラ1と同様に、旋回支持装置65の本体70に取り付けられる。
【0091】
耐放射線カメラ1Cでは、図16に示すように、カメラ装置2Aが、照明装置8と照明装置14の間に配置されたカメラ装置2に隣接して配置される。照明装置8、カメラ装置2及び照明装置14が副旋回テーブル68の周方向に配置され、カメラ装置2Aが本体70の中心軸とカメラ装置2を結ぶ副旋回テーブル68の半径方向における直線上に配置されてカメラ装置2に隣接して配置されている。カメラ装置2Aは、カメラ装置2よりも副旋回テーブル68の中心軸側に位置している。この結果、耐放射線カメラ1Cが副旋回テーブル68に取り付けられた状態では、可視光カメラであるカメラ3、赤外線カメラ3A及び照明9及び14は、図17に示すように配置される。
【0092】
カメラ装置2の水放射線遮へい体4(具体的には円筒4A)、照明装置8の水放射線遮へい体10(具体的には円筒13)、照明装置14の水放射線遮へい体16(具体的には円筒19)及びカメラ装置2Aの水放射線遮へい体4B(具体的には円筒4C)が、支持板(図示せず)に取り付けられて一体化されている。この支持板を本体70に取り付けることによって、カメラ装置2,2A及び照明装置8,14が、旋回する旋回支持装置65に設置される。カメラ装置2,2A及び照明装置8,14は、それぞれ、旋回支持装置65の軸方向において本体70を貫通している。
【0093】
可視光カメラであるカメラ3は、CCD撮像素子を有しているが、CCD撮像素子の替りにCMOS撮像素子を有する可視光カメラに替えてもよい。
【0094】
沸騰水型原子力プラントにおいて、燃料デブリ55が原子炉圧力容器23の下鏡部25上に落下していることを想定する。炉内作業装置53Aを用いた燃料デブリ55の取り出し作業について説明する。炉内作業装置53Aを用いた燃料デブリ55の取り出し作業も、炉内作業装置53を用いた、実施例3における燃料デブリ55の取り出し作業と同様に行われる。
【0095】
実施例3の炉内作業装置53を用いた燃料デブリ55の取り出し作業と同様に、作業ハウス49が原子炉ウエル44を覆って運転床43上に設置される。その後、シールドプラグ48、原子炉格納容器37のヘッド38、原子炉圧力容器23の上蓋24、及び原子炉圧力容器23内に設置された蒸気乾燥器32及び気水分離器31を、順次、取り外して搬出する。さらに、昇降装置78のベース部79が、原子炉ウエル44の内面に形成されてシールドプラグ48を支持していた段差部のうち最も低い位置に存在する段差部47の上面の位置まで下降される。昇降装置78のベース部79が原子炉ウエル44の側壁に形成された段差部47によって保持される。
【0096】
炉内作業装置53Aは、ワイヤ82,83等によって、段差部47に保持された昇降装置78から吊り下げられ、原子炉圧力容器23内に配置される。炉内作業装置53Aに設けられた燃料取り出し装置71が、実施例3で述べたように、炉内構造物切断装置に取り換えられる。原子炉圧力容器23内に存在する炉内構造物が、その炉内構造物切断装置を用いて切断され、除去される。
【0097】
燃料デブリ55が、図7に示すように、原子炉圧力容器23の底部である下鏡部25上に落下している場合には、原子炉圧力容器23内の炉内構造物が除去された後、下鏡部25上の燃料デブリ55が、前述したように、切断されて除去される。
【0098】
炉内構造物及び燃料デブリ55のそれぞれの切断時には、原子炉圧力容器23の軸方向における該当する位置で、炉内作業装置53Aが、8個のクランプ装置によって原子炉圧力容器23の内面に保持される。炉内構造物及び燃料デブリ55のそれぞれの切断は、水75が炉内作業装置53Aよりも上方で原子炉圧力容器23内に充填された状態で行われる。
【0099】
炉内作業装置53Aに設けられた耐放射線カメラ1Cの赤外線カメラ3Aには、原子炉圧力容器23内の切断対象物及び切断対象物以外の構造物から放出される赤外線が、水放射線遮へい体4Bを通して入射される。赤外線と共にカメラ装置2Aの石英ガラス6に入射される放射線は、水放射線遮へい体4B内の水7によって遮へいされ、赤外線カメラ3Aには入射されない。赤外線カメラ3Aで原子炉圧力容器23内の撮影対象物(切断対象物及び切断対象物以外の構造物)を撮影するときには、照明9,15が消灯されている。
【0100】
赤外線を入射したときに赤外線カメラ3Aから出力された赤外線映像情報は、赤外線を放出した切断対象物及び他の構造物から放出される赤外線放射エネルギーの情報を含んでいる。赤外線カメラ3Aから出力された赤外線映像情報は、原子炉建屋42の外部に置かれた情報処理装置に入力される。情報処理装置は、赤外線放射エネルギー情報に基づいた赤外線放射エネルギー量を温度に換算し、換算された温度の情報に基づいて赤外線カメラ3Aの撮影対象物(切断対象物及び切断対象物以外の構造物)の温度分布を求め、この温度分布を反映した赤外線画像情報(赤外線熱画像情報)を周期的に作成する。また、その情報処理装置は、可視光カメラであるカメラ3から出力された、撮影対象物(切断対象物及び切断対象物以外の構造物)の映像情報から、赤外線画像情報を作成する周期と同じ周期で画像情報(以下、可視光画像情報という)を抽出する。カメラ3でその撮影対象物を撮影するときには、照明9,15からの照明用の光がその撮影対象物を照らす。
【0101】
抽出された可視光画像情報と上記の赤外線画像情報が、情報処理装置において、例えば、特開2010−278817号公報に記載されたように合成される。合成された、温度分布の情報を含む可視光画像情報が、情報処理装置から原子炉建屋42の外部に置かれた表示装置(図示せず)に出力されて表示される。温度分布の情報を含む可視光画像情報が画素ごとに温度に対応した色情報(温度情報)を含むことによって、オペレータが、表示装置に表示されたその可視光画像情報を見ることによって撮影対象物の温度分布を把握することができる。
【0102】
原子炉圧力容器23内の炉内構造物の切断及び除去が進み、炉内作業装置53Aが、原子炉圧力容器23内で図7に示される炉内作業装置53の位置まで下降されたとする。このとき、炉内作業装置53Aの本体70に取り付けられたカメラ3及び赤外線カメラ3Aは、交互に、下鏡部25の上に存在する燃料デブリ55を撮影する。
【0103】
赤外線カメラ3Aから出力された、赤外線放射エネルギーの情報を含む赤外線映像情報が、情報処理装置に入力される。この赤外線映像情報は、切断対象物である燃料デブリ55、及びその他の構造物を含む撮影対象物の赤外線映像情報である。情報処理装置は、カメラ3から入力した撮影対象物の映像情報、及びその赤外線映像情報を用いて、前述したように、画素ごとに温度に対応した色情報を含む可視光画像情報を作成する。この可視光画像情報は、表示装置に表示される。赤外線映像情報が燃料デブリ55の赤外線放射エネルギー情報を含んでいるため、表示装置に表示された可視光画像情報では、高温の燃料デブリ55が存在する位置の色情報が、温度が低い他の部分の色情報と明確に識別できるようになっている。温度が高くなるほど、その色情報は青から赤に段階的に変化する。このため、原子炉圧力容器23内の下鏡部25上での燃料デブリ55の存在位置を明確に知ることができる。可視光画像情報に含まれる、温度に対応した色情報は、カメラ3から出力された映像情報に基づいた撮影対象物の可視画像の識別に悪影響を与えないように、また、撮影対象物の温度分布が分かる程度に薄い色にする。
【0104】
オペレータは、表示装置に表示された、温度に対応した色情報を含む可視光画像情報を見ることによって燃料デブリ55の存在位置を把握する。燃料取り出し装置71が燃料デブリ55の真上に位置されるように、主旋回テーブル63及び副旋回テーブル68のそれぞれが旋回される。燃料デブリ55は、燃料取り出し装置71によって表面部分から徐々に切断されて除去される。すなわち、燃料デブリ55の切断片は、前述したように、ホース等を用いて吸引されて作業ハウス49内の空間51で運転床43上に置かれた収納容器(図示せず)内に排出される。前述の炉内構造物または燃料デブリ55の切断は、主旋回テーブル63及び副旋回テーブル68をそれぞれ旋回させて原子炉圧力容器23の横断面における燃料取り出し装置71の位置を変えて行われる。
【0105】
炉内構造物または燃料デブリ55の切断箇所を耐放射線カメラ1Cで監視する場合には、赤外線カメラ3Aから情報処理装置への赤外線映像情報の入力を停止し、照明9,15からの光を撮影対象物に当てられた状態で撮影されてカメラ3から出力された映像情報を前述の表示装置に直接入力して表示させる。赤外線カメラ3Aから情報処理装置への赤外線映像情報の入力停止は、例えば、赤外線カメラ3Aへの電力の供給停止または赤外線カメラ3Aと情報処理装置を接続する開閉器をOFFすることによって行われる。炉内構造物または燃料デブリ55の切断箇所の監視時には、温度に対応した色情報が付与されず、カメラ3からの映像情報をそのまま表示装置に表示するため、炉内構造物または燃料デブリ55の切断箇所をより鮮明に表示装置に表示することができる。このため、オペレータによる炉内構造物または燃料デブリ55の切断作業の監視が容易に行うことができる。
【0106】
赤外線カメラ3Aによる燃料デブリ55の撮影は、燃料デブリ55の冷却水による冷却時に冷却水の蒸気が発生した場合でも、赤外線カメラ3Aによる燃料デブリ55の撮影は可能であるため、赤外線カメラ3Aによる燃料デブリ55の撮影時には冷媒供給管73から液体窒素の供給が行われない。ただし、カメラ3による燃料デブリ55を含む撮影対象物を撮影するときには、冷媒供給管73から液体窒素を供給して、空間77内の蒸気の量が著しく減少したときに、カメラ3によって原子炉圧力容器23内の撮影対象物を撮影する。このため、燃料デブリ55の切断箇所を含む撮影対象物の鮮明な画像が表示装置に映し出される。
【0107】
本実施例は実施例3で生じる各効果及び実施例4で生じる各効果を得ることができる。さらに、本実施例は可視光カメラであるカメラ3以外に赤外線カメラ3Aで撮影対象物を撮影するため、原子炉圧力容器23内に存在する燃料デブリ55の位置をより正確に把握することができる。また、炉心27内に燃料集合体28が残存している場合には、この燃料集合体28内の核燃料物質が崩壊熱を出すため、赤外線カメラ3Aで撮影された燃料集合体28の赤外線映像情報を上記したように処理することによって、燃料集合体28の位置をより正確に把握することができる。赤外線カメラ3Aで撮影された赤外線映像情報を利用することによって、炉心27内に燃料集合体28が残存しているか否かを簡単に確認することができる。
【0108】
原子炉圧力容器23内の炉内構造物の切断片の管理と、この切断片よりの線量が格段に大きい燃料デブリ55(核燃料物質を含む)の切断片の管理は異なっている。このため、炉内構造物の切断片を収納する収納容器(以下、第1収納容器という)と、燃料デブリ55(核燃料物質を含んでいる燃料集合体28を含む)の切断片を収納する収納容器(以下、第2収納容器という)も異なっている。炉内作業装置53Aに設けられた可視カメラであるカメラ3及び赤外線カメラ3Aによって原子炉圧力容器23内の切断対象物を撮影するため、表示装置に表示された、温度に対応した色情報を含む可視光画像情報に基づいて、崩壊熱を発生して温度の高い燃料デブリ55及び燃料集合体28のそれぞれの位置、及びこれらよりも温度の低い炉内構造物の位置を精度良く把握することができる。これに伴い、燃料取り出し装置71を、燃料デブリ55及び燃料集合体28のそれぞれの位置、及び炉内構造物の位置にそれぞれ精度良く位置決めすることができる。したがって、炉内構造物の切断片を第1収納容器に、燃料デブリ55及び燃料集合体28のそれぞれの切断片を第2収納容器に容易に収納することができ、炉内構造物の切断片、及び燃料デブリ55及び燃料集合体28のそれぞれの切断片にマッチングした各管理を適切に行うことができる。
【実施例7】
【0109】
本発明の他の好適な実施例である実施例7の炉内作業装置を、図18を用いて説明する。本実施例の炉内作業装置53Bは、実施例6の炉内作業装置53Aにおいて放射線検出器107を追加した構成を有する。複数の放射線検出器107が、本体70の横断面における異なる位置で本体70の下端部に取り付けられる。本体70の下面に取り付けられたコリメータ(図示せず)が各放射線検出器107の前面にそれぞれ配置され、各コリメータによって該当する放射線検出器107への放射線の入射方向を制限している。
【0110】
原子炉圧力容器23内における燃料デブリ55の位置を確認する場合には、実施例6と同様に、赤外線カメラ3Aから出力された、赤外線放射エネルギー情報を含む撮影対象物の赤外線映像情報、及び可視光カメラであるカメラ3から出力された、撮影対象物の映像情報を情報処理装置で処理し、温度に対応した色情報を含む可視光画像情報を作成する。各放射線検出器107は、撮影対象物からの放射線を検出し、放射線検出信号を出力する。各放射線検出器107から出力された放射線検出信号が、放射線検出器107ごとに設けられたカウンタに入力され、放射線検出器107ごとに計数率が求められる。これらの計数率は、各放射線検出器107の放射線検出位置での線量率に相当する。各放射線検出器107での放射線の検出は、主旋回テーブル63及び副旋回テーブル68のそれぞれの旋回を停止した状態で行われる。各放射線検出器107による撮影対象物の放射線の検出は、主旋回テーブル63及び副旋回テーブル68をそれぞれ単独に旋回させて原子炉圧力容器23の水平断面における放射線検出器107の位置を変えながら行われる。各放射線検出器107による各放射線検出位置での計数率が上記の情報処理装置に入力され、情報処理装置によって、原子炉圧力容器23の水平断面における線量率分布が求められる。情報処理装置は、この線量率分布の情報と、温度に対応した色情報を含む可視光画像情報を重ね合わせて、線量率分布及び温度分布を含む可視光画像情報を作成する。作成された可視光画像情報は、原子炉建屋42の外部に置かれた表示装置(図示せず)に表示される。
【0111】
オペレータは、表示装置に表示された線量率分布及び温度分布を含む可視光画像情報を見ることによって、原子炉圧力容器23内における燃料デブリ55の存在位置を、実施例6よりも、さらに精度良く知ることができる。このため、燃料取り出し装置71による燃料デブリ55及び燃料集合体28のそれぞれの切断、及び炉内構造物の切断を精度良く行うことができる。第1収納容器への燃料デブリ55及び燃料集合体28のそれぞれの切断片の収納割合、及び第2収納容器への炉内構造物の切断片の収納割合を実施例6よりも低減することができる。
【0112】
本実施例は実施例6で生じる各効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0113】
1,1A,1B,1C…耐放射線カメラ、2,2A…カメラ装置、3…カメラ、3A…赤外線カメラ、4,4B,10,14…水放射線遮へい体、4A,4C,13,19…円筒、5,6,11,12,17,18…石英ガラス、7…水、8,14…照明装置、9,15…照明、22…原子炉、23…原子炉圧力容器、26…炉心シュラウド、27…炉心、44…原子炉ウエル、37…原子炉格納容器、42…原子炉建屋、43…運転床、53,53A,53B…炉内作業装置、57…支持装置、63…主旋回テーブル、65…旋回支持装置、68…副旋回テーブル、70…本体、71…燃料取り出し装置、72…冷媒供給装置、76…円筒部、90…炉内点検装置、91A,91B,91C…袋、93A,93B,93C…走行台車、95A,95B,95C,95D…連結部材、107…放射線検出器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18