(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の粘着剤組成物及び粘着シートについて詳細に説明する。
【0014】
本明細書中の「〜」の表記は、これを含めて示される数値範囲が、その下限値及び上限値の双方を含む範囲を表すものである。
また、本明細書において、「(メタ)アクリル」なる表現は、「アクリル」及び「メタクリル」の双方を包含する意味で用いるものである。また、「(メタ)アクリレート」なる表現は、「アクリレート」及び「メタクリレート」の双方を包含する意味で用いるものである。
また、本明細書において、「(メタ)アクリル系共重合体」とは、共重合体を構成する全構成単位の50質量%以上、好ましくは90質量%以上が(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位である共重合体を意味する。
また、「(メタ)アクリル系オリゴマー」とは、重量平均分子量が4000〜100000の単独重合体、又は共重合体であって、重合体を構成する全構成単位の50質量%以上、好ましくは90質量%以上が(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位である重合体を意味する。
【0015】
<粘着剤組成物>
本発明の粘着剤組成物は、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を有する(メタ)アクリル系共重合体の少なくとも1種と、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を有する(メタ)アクリル系オリゴマーの少なくとも1種と、架橋剤の少なくとも1種と、を含む。
(メタ)アクリル系オリゴマーは、重量平均分子量(Mw)が4000〜100000であり、水酸基を有する構成単位に由来する構成単位を30質量%〜50質量%含み、ガラス転移温度(Tg)が−50℃以上である。
また、本発明の粘着剤組成物は、必要に応じて、他の成分を含んでもよい。
【0016】
本発明の粘着剤組成物の用途は、例えば、光学部材の貼合に用いる粘着シートである。光学部材とは、例えば、偏光板、位相差板、反射防止フィルム、視野角拡大フィルム、輝度上昇フィルム、透明導電性フィルム(ITO(Indium Tin Oxide)フィルムなど)、液晶セル、ガラス基板、保護フィルムである。
【0017】
本発明者らは、本発明の粘着剤組成物を上記の構成とすることで、強い粘着力とリワーク性を両立する粘着剤層を形成することができた。
本発明の効果が得られる理由は明確ではないが、本発明者らは、以下のように推定している。
本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系共重合体と(メタ)アクリル系オリゴマーとの双方を含む。(メタ)アクリル系共重合体は、粘着剤層に被着体に対する濡れ性と強い粘着力を付与することができ、(メタ)アクリル系オリゴマーは、粘着剤層にリワーク性を付与すると考えられる。
本発明の粘着剤組成物は、例えば、塗布により塗布層が形成された場合、塗布層形成直後は、塗布層中の(メタ)アクリル系共重合体と(メタ)アクリル系オリゴマーは均質に存在するが、(メタ)アクリル系オリゴマーは分子量が小さいため、塗布層の表面付近に移動し偏在する。そのため、塗布層の内部は(メタ)アクリル系共重合体の割合が増加し、一方、塗布層の表面は(メタ)アクリル系オリゴマーの割合が増加する。
そして、塗布層の表面に(メタ)アクリル系オリゴマーが偏在した状態で、(メタ)アクリル系共重合体及び(メタ)アクリル系オリゴマーと架橋剤とが反応し、架橋構造を形成することによって、粘着剤層が形成される。
このため、粘着剤層の内部は、表面に比べ(メタ)アクリル系共重合体の割合が多く、架橋されても固くなりすぎず、粘着剤層に必要な弾性を付与すると考えられる。
また、粘着剤層の表面では、(メタ)アクリル系共重合体部位の中に(メタ)アクリル系オリゴマー部位が点在する。点在した(メタ)アクリル系オリゴマー部位は、水酸基を多く含むため架橋密度が高く、凝集力に優れるため、粘着剤層にリワーク性を付与すると考えられる。
【0018】
上記に加え更に、(メタ)アクリル系共重合体が水酸基を有する単量体に由来する構成単位を所定量含むことで、粘着剤層は、高温高湿環境下であっても白化しない性質(耐湿熱白化性)に優れるという利点もある。
【0019】
≪(メタ)アクリル系共重合体≫
本発明の粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系共重合体は、水酸基を有する構成単位の少なくとも1種を含む。
(メタ)アクリル系共重合体は、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含むことで、後述の架橋剤によって(メタ)アクリル系オリゴマーと架橋される。これにより、粘着剤層の表面は部分的に凝集力が向上し、リワーク時に粘着剤層が被着体に残りにくくなる。
【0020】
(メタ)アクリル系共重合体における水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率は、(メタ)アクリル系共重合体中の構成単位の総質量に対して、10質量%〜40質量%が好ましく、15質量%〜30質量%がより好ましく、18質量%〜25質量%が更に好ましい。
水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が上記範囲内であると、粘着剤層の粘着力及び耐湿熱白化性が優れる。
【0021】
(メタ)アクリル系共重合体を製造する際に用いることができる水酸基を有する単量体は、1分子中に少なくとも1つの水酸基を有する単量体から選択される。水酸基を有する単量体の1分子中における水酸基の数は特に制限されないが、1〜2であることが好ましい。
【0022】
水酸基を有する単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,3−ジメチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2,4−トリメチル−3−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−3−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートや、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートや、N−メチロールアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドや、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテルや、アリルアルコール、メタリルアルコール等のエチレン性二重結合を有するアルコール誘導体等が挙げられる。これらの中でも、水酸基を有する単量体は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、ヒドロキシアルキルアクリレートがより好ましく、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートがさらに好ましい。
【0023】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。アルキル基の炭素数は、2〜8が好ましく、2〜6がより好ましく、2〜4が更に好ましい。またヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートにおける水酸基の位置は特に制限されない。
【0024】
本発明の粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系共重合体は、粘着剤層の粘着力及び耐湿熱白化性を向上させる観点から、以下に示す態様で水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含むことが好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体は、アルキル基の炭素数が2〜6のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を、(メタ)アクリル系共重合体中の構成単位の総質量に対して10質量%〜40質量%含む。
また、より好ましい態様では、(メタ)アクリル系共重合体は、アルキル基の炭素数が2〜6のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を、(メタ)アクリル系共重合体中の構成単位の総質量に対して10質量%〜40質量%含む。
また、更に好ましい態様では、(メタ)アクリル系共重合体は、アルキル基の炭素数が2〜4のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を、(メタ)アクリル系共重合体中の構成単位の総質量に対して10質量%〜40質量%含む。
また、特に好ましい態様では、(メタ)アクリル系共重合体は、アルキル基の炭素数が2〜4のヒドロキシアルキルアクリレートに由来する構成単位を、(メタ)アクリル系共重合体中の構成単位の総質量に対して15質量%〜30質量%含む。
また、最も好ましい態様では、(メタ)アクリル系共重合体は、アルキル基の炭素数が2〜4のヒドロキシアルキルアクリレートに由来する構成単位を、(メタ)アクリル系共重合体中の構成単位の総質量に対して18質量%〜25質量%含む。
【0025】
本発明の粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系共重合体は、水酸基を有する単量体に由来する構成単位以外に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0026】
(メタ)アクリル系共重合体における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位の含有率は、(メタ)アクリル系共重合体中の構成単位の総質量に対して、60質量%〜90質量%が好ましく、70質量%〜85質量%がより好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位の含有率が上記範囲内であると、粘着剤層の被着体に対する濡れ性が良好となり粘着力がより優れる。
【0027】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、及びイソオクチル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜8の(メタ)アクリル酸アルキルエステルや、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、及びn−ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が9〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、n−ブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートが好ましい。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルには、水酸基を有するもの及び後述の環状基、酸性基を有するものは含まれない。
【0028】
本発明の粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系共重合体は、粘着剤層の耐湿熱白化性を向上させる観点から、以下に示す態様で、水酸基を有する単量体に由来する構成単位に加え、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を含むことが好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体は、水酸基を有する単量体に由来する構成単位と、アルキル基の炭素数が1〜8の(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と、アルキル基の炭素数が9〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と、を含むことが好ましい。
また、より好ましい態様では、(メタ)アクリル系共重合体は、水酸基を有する単量体に由来する構成単位と、アルキル基の炭素数が1〜6の(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と、アルキル基の炭素数が9〜16の(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と、を含む。
また、更に好ましい態様では、(メタ)アクリル系共重合体は、水酸基を有する単量体に由来する構成単位と、アルキル基の炭素数が1〜4の(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と、アルキル基の炭素数が9〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と、を含む。
また、特に好ましい態様では、(メタ)アクリル系共重合体は、水酸基を有する構成単位と、n−ブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種に由来する構成単位と、ラウリル(メタ)アクリレートに由来する構成単位と、を含む。
【0029】
本発明の粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系共重合体は、粘着剤層の粘着力及び耐湿熱白化性を向上させる観点から、以下に示す態様で水酸基を有する単量体に由来する構成単位と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位と、を含むことが好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体は、アルキル基の炭素数が2〜6のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位と、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位と、を含むことが好ましい。
また、より好ましい態様では、(メタ)アクリル系共重合体は、アルキル基の炭素数が2〜4のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位と、アルキル基の炭素数が1〜8の(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と、アルキル基の炭素数が9〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と、を含む。
また、更に好ましい態様では、(メタ)アクリル系共重合体は、アルキル基の炭素数が2〜4のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位と、アルキル基の炭素数が1〜6の(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と、アルキル基の炭素数が9〜16の(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と、を含む。
また、特に好ましい態様では、(メタ)アクリル系共重合体は、アルキル基の炭素数が2〜4のヒドロキシアルキルアクリレートに由来する構成単位と、アルキル基の炭素数が1〜4のアクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と、アルキル基の炭素数が9〜12のアクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と、を含む。
また、最も好ましい態様では、(メタ)アクリル系共重合体は、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートから選ばれる少なくとも1種に由来する構成単位と、n−ブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種に由来する構成単位と、ラウリル(メタ)アクリレートに由来する構成単位と、を含む。
【0030】
本発明の粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系共重合体は、必要に応じて、環状基を有する単量体に由来する構成単位を含むことができる。
【0031】
環状基を有する単量体における環状基としては、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、環状の脂肪族炭化水素基等の、芳香環基や非芳香族性の環状基が挙げられる。これらの中でも環状基を有する単量体における環状基は、芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基がより好ましい。環状基を有する単量体における環状基の含有数は、1〜2が好ましく、1がより好ましい。
【0032】
環状基を有する単量体としては、環状基を有する(メタ)アクリレート、環状基を有する(メタ)アクリルアミド、スチレン誘導体等が挙げられる。
これらの中でも環状基を有する単量体は、環状基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、芳香環基を有する(メタ)アクリレートがより好ましく、芳香環基がアルキレン基、オキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基を介してエステル結合した(メタ)アクリレートが更に好ましく、芳香環基がオキシアルキレン基を介してエステル結合した(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0033】
環状基を有する単量体としては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性クレゾール(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、β−ナフチルオキシエチル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート等の芳香環基を有する(メタ)アクリレートや、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロペンテニル(メタ)アクリレート等の非芳香族性の環状基を有する(メタ)アクリレートや、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香環基を有するスチレン誘導体などが挙げられる。これらの中でも環状基を有する単量体は、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、β−ナフチルオキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環基がオキシアルキレン基を介してエステル結合した(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0034】
本発明の粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系共重合体は、必要に応じて、酸性基を有する単量体に由来する構成単位を含むことができる。
【0035】
酸性基を有する単量体に由来する構成単位の含有率は、(メタ)アクリル系共重合体中の構成単位の総質量に対して、3質量%以下が好ましい。
酸性基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が上記範囲内であると、本発明の粘着剤組成物に由来する粘着剤層がタッチパネルの透明電極などの金属を含む部材と接触する場合に、金属を含む部材の腐食を抑制することができる。このため、本発明の粘着剤組成物は、タッチパネルなどの金属を含む部材を有するものの貼合に、好適に使用することができる。
また、上記の観点から、酸性基を有する単量体に由来する構成単位の含有率は、(メタ)アクリル系共重合体中の構成単位の総質量に対して1質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましく、含まないことが特に好ましい。
【0036】
酸性基を有する単量体における酸性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられる。これらの中でも、酸性基を有する単量体における酸性基は、(メタ)アクリル系共重合体と架橋剤との反応速度を制御する観点から、カルボキシ基が好ましい。
【0037】
カルボキシ基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等の不飽和カルボン酸や、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸等の不飽和ジカルボン酸モノエステルや、2−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸、2−メタクリロイルオキシエチルピロメリット酸等の不飽和トリカルボン酸モノエステルや、カルボキシエチルアクリレート(β−カルボキシエチルアクリレートなど)、カルボキシペンチルアクリレート等のカルボキシアルキルアクリレートや、アクリル酸ダイマーや、アクリル酸トリマーや、無水イタコン酸、無水マレイン酸、無水フマル酸等の不飽和ジカルボン酸無水物等、が挙げられる。
【0038】
スルホン酸基を有する単量体としては、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等が挙げられる。
【0039】
リン酸基を有する単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェイトなどが挙げられる。
【0040】
本発明の粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系共重合体は、必要に応じて、既述の単量体以外の単量体に由来する構成単位を含むことができる。
【0041】
既述の単量体以外の単量体に由来する構成単位の含有率は、(メタ)アクリル系共重合体中の構成単位の総質量に対して、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
【0042】
その他の単量体としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、N−i−ブトキシメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド等の塩基性基を有する単量体や、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体や、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、「バーサチック酸ビニル」(商品名)等の飽和脂肪酸ビニルエステル単量体等が挙げられる。
【0043】
本発明の粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系共重合体は、重量平均分子量(Mw)が、300000〜2000000であることが好ましく、300000〜1500000であることがより好ましく、300000〜1000000であることが更に好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体のMwが、300000以上であると、(メタ)アクリル系オリゴマーが粘着剤層の表面に偏在しやすくなるため好ましい。また、(メタ)アクリル系共重合体自体の凝集力が高くなり、粘着剤層の凝集力も高くなるため、粘着剤層が被着体に残りにくくリワーク性に優れるため好ましい。(メタ)アクリル系共重合体のMwが、2000000以下であると、粘着剤層の濡れ性が良好となり粘着力が強くなるため好ましい。
また、(メタ)アクリル系共重合体の分散度(Mw/Mn)は、特に制限されず、例えば2〜20とすることができる。粘着剤層の粘着力を強くする観点から、(メタ)アクリル系共重合体の分散度(Mw/Mn)は3〜15が好ましく、4.5〜12がより好ましい。
【0044】
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、下記(1)〜(3)にしたがって測定した値である。
【0045】
(1)サンプル溶液を剥離フィルム(離型シート)上に塗工し、100℃で2分間乾燥させ、フィルム状のサンプルを得る。
(2)前記(1)で得られたフィルム状のサンプルを、テトラヒドロフラン(THF)にて固形分0.2質量%になるように溶解させる。
(3)下記条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、標準ポリスチレン換算値として、サンプルのMw及びMnを測定する。
<条件>
・GPC:HLC−8220 GPC〔東ソー(株)製〕
・カラム:TSK−GEL GMHXL(4本使用)
・移動相溶媒:テトラヒドロフラン
・標準試料 :標準ポリスチレン
・流速 :0.6ml/min
・カラム温度:40℃
【0046】
本発明の粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系共重合体は、粘着剤層のタック、凝集力、濡れ性、粘着力といった粘着剤が有する特性を向上させる観点、及び粘着力とリワーク性を両立しやすくする観点から、ガラス転移温度(Tg)が−50℃〜−15℃であることが好ましく、−45℃〜−20℃であることがより好ましい。
【0047】
本明細書において、ガラス転移温度(Tg)は、以下の計算により求められるモル平均ガラス転移温度である。下記式中のTg
1、Tg
2、・・・・・及びTg
nは、単量体1、単量体2、・・・・・及び単量体nそれぞれの単独重合体のガラス転移温度であり、絶対温度(K)に換算し算出される。m
1、m
2、・・・、及びm
nは、それぞれの単量体のモル分率である。
なお、ガラス転移温度の算出には絶対温度(K)を用いるが、本明細書においてガラス転移温度を記載する際には、セルシウス度(℃)を用いることがある。
【0048】
[ガラス転移温度(Tg)の算出式]
【数1】
【0049】
なお、ここでいう「単独重合体のガラス転移温度」は、示差走査熱量測定装置(DSC)(セイコーインスツルメンツ社製、EXSTAR6000)を用い、窒素気流中、測定試料10mg、昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られたDSCカーブの変曲点を単独重合体のガラス転移温度としたものである。
【0050】
代表的な単量体の「単独重合体のガラス転移温度」は、メチルアクリレート5℃、メチルメタアクリレート103℃、エチルアクリレート−27℃、n−ブチルアクリレート−57℃、2−エチルヘキシルアクリレート−76℃、アクリル酸163℃、メタクリル酸185℃、t−ブチルアクリレート41℃、イソブチルメタクリレート48℃、2−ヒドロキシエチルアクリレート−15℃、ラウリルアクリレート−15℃である。
【0051】
本発明の粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系共重合体は、水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体を含み、及び必要に応じてその他の単量体を含む単量体組成物を重合することで製造することができる。単量体組成物の重合方法は、特に制限されるものではなく、通常用いられる重合方法から適宜選択することができる。重合方法としては、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等が挙げられる。これらの中でも重合方法は、(メタ)アクリル系共重合体を容易に製造できることから、溶液重合が好ましい。
【0052】
溶液重合は、一般に、重合槽内に所定の有機溶媒、単量体、重合開始剤、及び必要に応じて用いられる触媒、連鎖移動剤を仕込み、窒素気流中又は有機溶媒の還流下で、攪拌しながら数時間加熱反応させることで行う。前記重合開始剤としては、特に制限されるものではなく、例えばアゾ系化合物を用いることができる。
なお、(メタ)アクリル系共重合体のMw及びMnは、反応温度、反応時間、有機溶媒量、触媒の種類や量を調整することにより、所望の分子量に調整することができる。
【0053】
≪(メタ)アクリル系オリゴマー≫
本発明の粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系オリゴマーは、重量平均分子量(Mw)が4000〜100000であり、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を30質量%〜50質量%含み、ガラス転移温度(Tg)が−50℃以上である。
また、本発明の粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系オリゴマーは、水酸基を有する単量体以外の単量体に由来する構成単位の少なくとも1種を含む。
【0054】
(メタ)アクリル系オリゴマー中の水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が30質量%未満であると、(メタ)アクリル系オリゴマーが後述する架橋剤と十分に反応することができず、粘着剤層のリワーク性が劣る。水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が50質量%を超えると、(メタ)アクリル系オリゴマーの調製時に一部がゲル化し、粘着剤層のリワーク性と粘着力が劣る。
また、上記の観点から、(メタ)アクリル系オリゴマー中の水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率は、35質量%〜45質量%が好ましく、37質量%〜43質量%がより好ましい。
【0055】
(メタ)アクリル系オリゴマーを製造する際に用いることができる水酸基を有する単量体は、(メタ)アクリル系共重合体を製造する際に用いることができる水酸基を有する単量体と同様のものを挙げることができる。また、(メタ)アクリル系オリゴマーを製造する際に用いることができる水酸基を有する単量体として好ましい単量体も、(メタ)アクリル系共重合体を製造する際に用いることができる水酸基を有する単量体として好ましい単量体と同様のものを挙げることができる。
【0056】
本発明の粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系オリゴマーは、粘着剤層の粘着力とリワーク性の観点から、以下に示す態様で水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含むことが好ましい。
(メタ)アクリル系オリゴマーは、水酸基を有する単量体に由来する構成単位としては、アルキル基の炭素数が2〜6のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を、(メタ)アクリル系オリゴマーの構成単位の総質量に対して、30質量%〜50質量%含むことが好ましい。
また、より好ましい態様としては、(メタ)アクリル系オリゴマーは、水酸基を有する単量体に由来する構成単位として、アルキル基の炭素数が2〜4のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を、(メタ)アクリル系オリゴマーの構成単位の総質量に対して、30質量%〜50質量%含む。
また、更に好ましい態様としては、(メタ)アクリル系オリゴマーは、水酸基を有する単量体に由来する構成単位として、アルキル基の炭素数が2〜4のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を、(メタ)アクリル系オリゴマーの構成単位の総質量に対して、35質量%〜45質量%含む。
また、特に好ましい態様としては、(メタ)アクリル系オリゴマーは、水酸基を有する単量体に由来する構成単位として、アルキル基の炭素数が2〜4のヒドロキシアルキルアクリレートに由来する構成単位を、(メタ)アクリル系オリゴマーの構成単位の総質量に対して、37質量%〜43質量%含む。
【0057】
また、(メタ)アクリル系オリゴマーは、水酸基を有する単量体以外の単量体に由来する構成単位として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0058】
(メタ)アクリル系オリゴマーにおける(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有率は、(メタ)アクリル系オリゴマーの構成単位の総質量に対して、50質量%〜70質量%が好ましく、55質量%〜65質量%がより好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有率が上記範囲内であると、粘着剤層の粘着力とリワーク性のバランスに優れる。
【0059】
(メタ)アクリル系オリゴマーを製造する際に用いることができる(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、(メタ)アクリル系共重合体を製造する際に用いることができる(メタ)アクリル酸アルキルエステルと同様のものを挙げることができる。
(メタ)アクリル系オリゴマーを製造する際に用いることができる(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、n−ブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0060】
本発明の粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系オリゴマーは、必要に応じて、環状基を有する単量体に由来する構成単位を含むことができる。
【0061】
(メタ)アクリル系オリゴマーを製造する際に用いることができる環状基を有する単量体は、(メタ)アクリル系共重合体を製造する際に用いることができる環状基を有する単量体と同様のものを挙げることができる。
また、好ましい環状基、及び環状基を有する単量体として好ましい単量体も、(メタ)アクリル系共重合体において好ましいものと同様のものを挙げることができる。
【0062】
本発明の粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系オリゴマーは、必要に応じて、酸性基を有する単量体に由来する構成単位を含むことができる。
【0063】
酸性基を有する単量体に由来する構成単位の含有率は、(メタ)アクリル系オリゴマー中の構成単位の総質量に対して、4質量%以下が好ましい。
酸性基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が上記範囲内であると、本発明の粘着剤組成物で形成される粘着剤層がタッチパネルの透明電極などの金属を含む部材と接触する場合に、金属を含む部材の腐食を抑制することができる。このため、本発明の粘着剤組成物は、タッチパネルなどの金属を含む部材を有するものの貼合に、好適に使用することができる。
また、上記の観点から、酸性基を有する単量体に由来する構成単位の含有率は、(メタ)アクリル系オリゴマー中の構成単位の総質量に対して1質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましく、含まないことが特に好ましい。
【0064】
(メタ)アクリル系オリゴマーを製造する際に用いることができる酸性基を有する単量体は、(メタ)アクリル系共重合体を製造する際に用いることができる酸性基を有する単量体と同様のものを挙げることができる。
また、好ましい酸性基、及び酸性基を有する単量体として好ましい単量体も、(メタ)アクリル系共重合体において好ましいものと同様のものを挙げることができる。
【0065】
本発明の粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系オリゴマーは、必要に応じて、既述の単量体以外の単量体に由来する構成単位を含むことができる。
【0066】
既述の単量体以外の単量体に由来する構成単位の含有率は、(メタ)アクリル系オリゴマー中の構成単位の総質量に対して、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
【0067】
また、(メタ)アクリル系オリゴマーを製造する際に用いることができるその他の単量体は、(メタ)アクリル系共重合体を製造する際に用いることができるその他の単量体と同様のものを挙げることができる。
【0068】
本発明の粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系オリゴマーのMwは、4000〜100000であり、6000〜50000が好ましく、6000〜10000がより好ましい。
(メタ)アクリル系オリゴマーのMwが、下限値未満であると、粘着剤層のリワーク性が劣る。また、上限値を超えると、(メタ)アクリル系共重合体と(メタ)アクリル系オリゴマーとの相溶性が悪いため、(メタ)アクリル系共重合体と(メタ)アクリル系オリゴマーとが架橋されにくく、粘着剤層のリワーク性が劣る。
【0069】
また、(メタ)アクリル系オリゴマーの分散度(Mw/Mn)は特に制限されず、例えば1.1〜10とすることができる。粘着剤層のリワーク性を向上させる観点から、(メタ)アクリル系オリゴマーの分散度(Mw/Mn)は1.3〜5であることが好ましく、1.5〜3であることがより好ましい。
なお、Mw及びMnは既述の方法で測定した値である。
【0070】
本発明の粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系オリゴマーのガラス転移温度(Tg)は、−50℃以上である。(メタ)アクリル系オリゴマーのTgが、−50℃未満であると、粘着剤層の粘着力とリワーク性が劣る。
また、上記の観点から、(メタ)アクリル系オリゴマーのガラス転移温度は、−40℃以上が好ましく、−30℃以上がより好ましい。
なお、Tgは既述の方法で求めた値である。
【0071】
本発明の粘着剤組成物における(メタ)アクリル系オリゴマーの含有量は、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部であることが好ましい。
(メタ)アクリル系オリゴマーの含有量が0.1質量部〜10質量部であると、粘着剤層の粘着力、リワーク性、耐久性がより向上する。
また、上記の観点から、(メタ)アクリル系オリゴマーの含有量は、0.8質量部〜5質量部がより好ましい。
【0072】
(メタ)アクリル系オリゴマーは、水酸基を有する単量体及びその他の単量体を含む単量体組成物を重合することで製造することができる。単量体組成物の重合方法は、特に制限されるものではなく、通常用いられる重合方法から適宜選択することができる。重合方法としては、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等が挙げられる。これらの中でも重合方法は、(メタ)アクリル系オリゴマーを容易に製造できることから、溶液重合が好ましい。
【0073】
溶液重合は、一般に、重合槽内に所定の有機溶媒、単量体、重合開始剤、及び必要に応じて用いられる連鎖移動剤、触媒を仕込み、窒素気流中又は有機溶媒の還流下で、攪拌しながら数時間加熱反応させることで行う。前記重合開始剤としては、特に制限されるものではなく、例えばアゾ系化合物を用いることができる。
なお、(メタ)アクリル系オリゴマーのMw及びMnは、反応温度、反応時間、有機溶媒量、触媒の種類や量を調整することにより、所望の分子量に調整することができる。
【0074】
≪架橋剤≫
本発明の粘着剤組成物に含まれる架橋剤は、(メタ)アクリル系オリゴマー及び(メタ)アクリル系共重合体と反応して架橋構造を形成するものである限り、特に限定されない。例えば、架橋剤としては、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物、メラミンホルムアルデヒド縮合物、金属塩、金属キレート化合物などが挙げられる。
粘着剤層の強い粘着力とリワーク性とを両立させる観点、並びに架橋剤と(メタ)アクリル系オリゴマー及び(メタ)アクリル系共重合体とを混合した後の粘着剤組成物の安定性などの観点から、架橋剤は、イソシアネート系化合物及びエポキシ系化合物から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、イソシアネート系化合物を用いることがより好ましい。
【0075】
本発明の粘着剤組成物における架橋剤の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、0.001質量部〜1.0質量部が好ましい。
架橋剤としてイソシアネート系化合物を用いるときの含有量は、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、0.01質量部〜0.5質量部以下がより好ましく、0.05質量部〜0.3質量部が更に好ましい。
架橋剤としてエポキシ系化合物を用いるときの含有量は、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、0.001質量部〜1.0質量部がより好ましく、0.01質量部〜0.5質量部が更に好ましい。
本発明の粘着剤組成物における架橋剤の含有量が上記範囲内であると、粘着剤層の粘着力とリワーク性のバランスに優れる。
【0076】
また、架橋剤は、2種以上を組み合わせて用いることができ、例えば、イソシアネート系化合物とエポキシ系化合物を組み合わせてもよい。その場合、イソシアネート系化合物、及びエポキシ系化合物の含有量は、それぞれ前記含有量の範囲において、適宜選択することができる。イソシアネート系化合物とエポキシ系化合物を組み合わせて用いる場合の含有量の比率は、いずれも有効成分質量比で、イソシアネート系化合物:エポキシ系化合物=1:1〜300:1が好ましく、10:1〜100:1がより好ましい。
【0077】
イソシアネート系化合物としては、例えば、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、該芳香族ポリイソシアネート化合物の水素添加物等の脂肪族又は脂環族ポリイソシアネートが挙げられる。
また、上記イソシアネート系化合物の2量体又は3量体や、上記イソシアネート系化合物と、トリメチロールプロパンなどのポリオール化合物とのアダクト体や、上記イソシアネート系化合物のビウレット体も、イソシアネート系化合物として用いることができる。これらのイソシアネート系化合物の中でも、ヘキサメチレンジイソシアネートの2量体又は3量体、もしくは、ヘキサメチレンジイソシアネート又はキシリレンジイソシアネートのアダクト体など、ヘキサメチレンジイソシアネート又はキシリレンジイソシアネートに由来するものが好ましい。
【0078】
イソシアネート系化合物としては、上市されている市販品を用いてもよく、例えば「コロネートL」、「コロネートHX」、「コロネートHL−S」、「コロネート2234」〔以上日本ポリウレタン工業(株)製〕、「デスモジュールN3400」〔住友バイエルウレタン(株)製〕、「デュラネートE−405−80T」、「デュラネートTSE−100」〔旭化成工業(株)製〕、「タケネートD−110N」、「タケネートD−120N」、「タケネートM−631N」「MT−オレスタ−NP1200」〔以上三井化学(株)製〕などの商品名で市販されているものを好適に用いることができる。
【0079】
エポキシ系化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、トリス(グリシジル)イソシアヌレート、トリス(グリシドキシエチル)イソシアヌレート、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンなどが挙げられる。
【0080】
エポキシ系化合物のうち、3つ以上のエポキシ基を含有するポリエポキシ化合物が好ましく、中でも、トリス(グリシジル)イソシアヌラト、トリス(グリシドキシエチル)イソシアヌラト、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンなどのポリエポキシ化合物がより好ましく、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンが更に好ましい。
また、ポリエポキシ化合物として上市されている市販品を用いてもよく、例えば、三菱瓦斯化学(株)製の「TETRAD−C」、「TETRAD−X」等を好適に用いることができる。
【0081】
≪他の成分≫
本発明の粘着剤組成物が含んでもよい他の成分としては、各種添加剤、溶剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、タッキファイヤ−、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、無機充填剤等が挙げられる。
他の成分は、本発明の効果を損なわない範囲内の量で、粘着剤組成物に配合される。
シランカップリング剤の配合量は、粘着剤層の粘着力が経時的に変化することを抑制する観点から、0.2質量部以下が好ましく、0.1質量部以下がより好ましく、含まないことが更に好ましい。
【0082】
<粘着シート>
本発明の粘着シートは、既述の本発明の粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する。該粘着剤層は、既述の本発明の粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系共重合体及び(メタ)アクリル系オリゴマーと、架橋剤との間で形成された架橋構造を含む。該粘着剤層は、粘着力及びリワーク性に優れる。
【0083】
本発明の粘着シートは、基材を有しないタイプ(無基材タイプ)でも、基材を有するタイプ(有基材タイプ)でもよい。
基材としては、樹脂フィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルフィルム)が挙げられる。基材は透明であることが好ましい。基材の厚さは、特に限定されないが、耐久性の観点から5μm〜100μmが好ましい。
本発明の粘着シートとしては、透明性の観点から無基材タイプが好ましい。
【0084】
本発明の粘着シートの粘着剤層は、露出した面を剥離フィルムによって保護されていてもよい。
剥離フィルムとしては、粘着剤層からの剥離が容易に行なえるものであれば特に制限はなく、例えば、剥離処理剤を用いて少なくとも片面に易剥離処理が施された樹脂フィルム(例えば、PETなどのポリエステルフィルム)が挙げられる。剥離処理剤としては、フッ素化合物、シリコーン化合物、長鎖アルキル化合物などが挙げられる。
剥離フィルムは、粘着シートを実用に供するまでの間、粘着剤層の表面を保護し、使用時に剥離される。
【0085】
本発明の粘着シートの粘着剤層の厚さは、被着体の段差に追従しやすくする観点、及び粘着シートの生産性の観点から、20μm〜300μmが好ましく25μm〜250μmがより好ましく、50μm〜250μmが更に好ましい。
【0086】
本発明の粘着シートの粘着剤層のゲル分率は、35質量%〜90質量%が好ましく、35質量%〜80質量%がより好ましく、35質量%〜75質量%が更に好ましい。粘着剤層のゲル分率が上記範囲内であると、粘着剤層の粘着力及びリワーク性のバランスに優れる。
なお、粘着剤層のゲル分率は、酢酸エチルを抽出溶媒に用いて測定される、溶媒不溶分の割合である。測定方法の詳細は、以下のとおりである。
【0087】
−ゲル分率測定方法−
1.精密天秤にて質量を正確に測定した250メッシュの金網(100mm×100mm)にフィルム状粘着剤層を約0.25g貼付し、ゲル分が漏れないように包む。その後、精密天秤にて質量を正確に測定して試料を作製する。
2.得られた試料を酢酸エチル80mlに3日間浸漬する。
3.試料を取り出して少量の酢酸エチルにて洗浄し、120℃で24時間乾燥させる。その後、精密天秤にて質量を正確に測定する。
4.下式によりゲル分率を計算する。
ゲル分率(質量%)=(Z−X)/(Y−X)×100
但し、Xは金網の質量(g)、Yは粘着剤層を貼付した金網の浸漬前の質量(g)、Zは粘着剤層を貼付した金網の浸漬、乾燥後の質量(g)である。
【0088】
本発明の粘着シートの粘着剤層は、透明性が高いことが好ましく、具体的には、例えば、可視光波長領域における全光線透過率(JIS K 7361(1997年))が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
粘着剤層のヘイズ(JIS K 7136(2000年))は、2.0%未満が好ましく、1.0%未満がより好ましく、0.5%以下が更に好ましい。
【0089】
本発明の粘着シートは、例えば、架橋剤を含有する本発明の粘着剤組成物を剥離フィルムなどに塗布し、乾燥させ、架橋反応を起こすことによって粘着剤層を形成する方法により作製することができる。
【0090】
有基材タイプの粘着シートは、例えば、基材の両面に粘着剤組成物を塗布し、この両塗布層上にそれぞれ剥離フィルムを剥離処理面が接するように重ね、架橋反応を起こすことによって作製することができる。ほかに、剥離フィルムの剥離処理面に粘着剤層を形成し、この剥離フィルム付きの粘着剤層を基材の両面に接着させる方法により作製することができる。
【0091】
無基材タイプの粘着シートは、例えば、剥離フィルムの剥離処理面に粘着剤組成物を塗布し、この塗布層上に別の剥離フィルムを剥離処理面が接するように重ね、架橋反応を起こすことによって粘着剤層を形成する方法により作製することができる。
【0092】
剥離フィルムや基材に粘着剤組成物を塗布する方法としては、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター等を用いた公知の方法が挙げられる。
【0093】
本発明の粘着シートは、タッチパネルやディスプレイパネル等における光学部材の貼合に好適に用いることができる。すなわち、本発明の粘着シートは、例えば、偏光板、位相差板、反射防止フィルム、視野角拡大フィルム、輝度上昇フィルム、透明導電性フィルム(ITO(Indium Tin Oxide)フィルムなど)、液晶セル、ガラス基板、保護フィルム等の光学部材の貼合に好適に用いることができる。
【0094】
<タッチパネル>
本発明の粘着剤又は粘着シートを用いたタッチパネルは、粘着剤層を有し、該粘着剤層は、既述の本発明の粘着剤が架橋反応して形成された架橋構造を含む。
そのため、粘着剤層の粘着力が優れるため、落下などの衝撃を受けても剥がれにくい。
【0095】
本発明の粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有するタッチパネルは、例えば、ガラス板と、該ガラス板上にスパッタリングされたITO層などの透明導電性膜と、本発明の粘着剤組成物から形成された粘着剤層と、保護材となるカバーフィルムと、を重層した構成とすることができる。
【0096】
本発明の粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有するタッチパネルにおける粘着剤層のゲル分率、全光線透過率及びヘイズの好ましい範囲は、既述の本発明の粘着シートと同様である。
【実施例】
【0097】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその趣旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例6及び実施例7は、本発明の参考例である。
【0098】
<(メタ)アクリル系オリゴマーの製造>
(製造例1)
攪拌機、還流冷却器、逐次滴下装置、温度計を備えた反応装置に酢酸エチル28質量部、酢酸ブチル21質量部を加えて加熱し、還流温度で10分間維持した。次いで還流温度条件下でn−ブチルアクリレート(BA)70質量部(アクリル系オリゴマー中の構成単位の総質量に対して70質量%)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)30質量部(同じく30質量%)、酢酸エチル10質量部、酢酸ブチル10質量部及びジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔商品名:V−601、和光純薬工業(株)製〕10質量部の単量体混合物を180分間にわたって逐次滴下し、滴下終了後更に230分間重合反応を行った。反応終了後、固形分が61質量%、重量平均分子量(Mw)が7000、分散度(Mw/Mn)が2.0、ガラス転移温度(Tg)が−45℃の(メタ)アクリル系オリゴマー1の溶液を得た。
なお、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及びガラス転移温度(Tg)は、既述の方法により測定又は算出した。
【0099】
(製造例2〜製造例8)
前記製造例1において、BA、2HEAを、下記表1に示す単量体及びその量に変更したこと以外は、製造例1と同様にして、(メタ)アクリル系オリゴマー2〜(メタ)アクリル系オリゴマー8の溶液を製造した。いずれの溶液も、固形分は61質量%である。なお、表1中、MAはメチルアクリレートを、2EHAは2−エチルヘキシルアクリレートを表す。
【0100】
【表1】
【0101】
<(メタ)アクリル系共重合体の製造>
(製造例A)
攪拌機、還流冷却器、逐次滴下装置、及び温度計を備えた反応装置に、酢酸エチル350質量部を仕込んだ。次いで、別の容器に、ラウリルアクリレート(LA)225質量部(アクリル系共重合体中の構成単位の総質量に対して15質量%)、n−ブチルアクリレート(BA)570質量部(同じく38質量%)、メチルアクリレート(MA)405質量部(同じく27質量%)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)300質量部(同じく20質量%)からなる単量体混合物1500質量部を用意し、このうち300質量部(単量体混合物の20質量%)を反応装置に仕込み、加熱し、還流温度で10分間還流を行った。
次いで、還流温度条件下で、上記単量体混合物の残り1200質量部(単量体混合物の80質量%)と酢酸エチル32質量部と2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.12質量部とを、120分間にわたって逐次滴下し、更に30分間重合反応を行った。
その後、酢酸エチル15質量部とt−ブチルパーオキシピバレート0.13質量部の混合液を、40分間にわたって逐次滴下し、更に150分間重合反応を行った。
反応終了後、酢酸エチルにて固形分42質量%に希釈し、重量平均分子量(Mw)が500000、分散度(Mw/Mn)が5.8、ガラス転移温度(Tg)が−25℃の(メタ)アクリル系共重合体Aの溶液を得た。
なお、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及びガラス転移温度(Tg)は、既述の方法により測定又は算出した。
【0102】
(製造例B〜製造例G)
前記製造例Aにおいて、LA、BA、MA、2HEAを、下記表2に示す単量体及びその量に変更したこと以外は、製造例Aと同様にして、(メタ)アクリル系共重合体B〜(メタ)アクリル系共重合体Gの溶液を製造した。いずれの溶液も、固形分は42質量%である。なお、表2中、2EHAは2−エチルヘキシルアクリレートを表す。
【0103】
【表2】
【0104】
(実施例1)
−粘着剤溶液の調製−
以下の手順にしたがって、粘着剤溶液を調製した。
上記(メタ)アクリル系共重合体Aの溶液を固形分として100質量部と、上記(メタ)アクリル系オリゴマー1の溶液を固形分として1質量部と、架橋剤(商品名:タケネートD−110N、三井化学(株)社製;イソシアネート系化合物)を固形分として0.2質量部とを混合し、粘着剤溶液1を調製した。
【0105】
−試験用サンプルの作製−
試験用サンプルの作製は、以下の手順で行った。
シリコーン系離型剤で表面処理された剥離フィルム(商品名:フィルムバイナ100E、藤森工業(株)社製)の剥離処理面上に、乾燥後の塗工量が50g/cm
2となるように、粘着剤溶液1を塗布し塗布層を積層した。
次に、得られた積層体を、100℃で120秒間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した。
続いて、塗布層が露出した面を、別途用意した剥離フィルム(商品名:フィルムバイナ100E、藤森工業(株)社製)と貼り合せた。
貼り合せた後、23℃、50%RHで4日間養生させて試験用サンプル(無基材タイプの両面粘着シート)を得た。得られた試験用サンプルの粘着剤層のゲル分率は、59.0質量%であった。なお、ゲル分率は既述の方法により測定した。
得られた試験用サンプルを用いて、以下に示す各種測定を行った。その結果を表3に示す。
【0106】
(1)リワーク性
作製した試験用サンプルの一方の剥離フィルムを剥離し、粘着剤層が露出した面を光学ガラス(松浪硝子工業社製、光学ソーダガラス)に貼り合せた。これを80℃、0%RH(ドライ)の条件で1時間放置した後、常温(23℃)で剥離を行い、光学ガラスへの粘着剤層の残留を目視で観察し、以下の基準でリワーク性を評価した。なお、被着体への粘着剤層の残留は少ないほど良く、下記評価基準のA及びBは、実用上問題のないレベルであり、Cは実用上問題のあるレベルである。
【0107】
<評価基準>
A:粘着剤層の残留が認められない。
B:剥離した面積のうち、0.1%以上5%未満に粘着剤層の残留が認められる。
C:剥離した面積のうち、5%以上に粘着剤層の残留が認められる。
【0108】
(2)粘着力
作製した試験用サンプルの一方の剥離フィルムを剥離し、粘着剤層が露出した面を、易接着処理された100μmPETフィルムの易接着処理面に貼り合せた。このPETフィルムと貼り合せた試験用サンプルを25mm×150mmのサイズにカット後、もう一方の剥離フィルムを剥離し、ガラス板表面に重さ2kgのゴムローラーを用いて粘着剤層がガラス板に接するように圧着して粘着力試験用サンプルとした。この粘着力試験用サンプルを23℃、50%RHの条件下で24時間放置した後、180゜剥離における粘着力(N/25mm)を、剥離速度300mm/minで測定した。下記評価基準にしたがって粘着力を評価した。なお、粘着力は強いほど良く、下記評価基準のA及びBは、実用上問題のないレベルであり、Cは実用上問題のあるレベルである。
【0109】
<評価基準>
A:粘着力が20N/25mm以上である。
B:粘着力が15N/25mm以上20N/25mm未満である。
C:粘着力が15N/25mm未満である。
【0110】
(3)耐湿熱白化性
作製した試験用サンプルを80mm×60mmのサイズにカットし、剥離フィルムを剥離し、露出した粘着剤層を、厚さ1.8mmのガラス板(松浪硝子工業社製、光学ソーダガラス)に重ね、卓上ラミネート機を用いて圧着し、耐湿熱白化性試験用サンプルとした。
この耐湿熱白化性試験用サンプルのヘイズ(%)を、分光測色計(コニカミノルタ社製CM−3500d)にて、光学ガラス側から光を照射して測定した。
次いで、耐湿熱白化性試験用サンプルを温度85℃、90%RHの環境下に250時間置き、この環境から取り出した直後、同様にしてヘイズ(%)を測定した。
試験環境への投入前後のヘイズ(%)の差(ΔH)を算出し、下記の評価基準にしたがって耐湿熱白化性を評価した。なお、ΔHが小さいほど、耐湿熱白化性が優れている。
<評価基準>
A:ΔHが1.0未満である。
B:ΔHが1.0以上2.0未満である。
C:ΔHが2.0以上である。
【0111】
(4)耐久性(高温湿度環境に対する耐久性の評価)
作製した試験用サンプルを80mm×60mmのサイズにカットし、剥離フィルムを剥離し、露出した粘着剤層を、厚さ1.8mmのガラス板(松浪硝子工業社製、光学ソーダガラス)に重ね、卓上ラミネート機を用いて圧着し、耐久性試験用サンプルとした。
その後、耐久性試験用サンプルを高温高湿(85℃、90%RH)環境下に250時間放置した。
放置後、耐久性試験用サンプルにおける気泡の発生数を目視で観察し、下記評価基準に従って評価した。なお、気泡の発生した個数が少ない程、耐久性が優れている。
【0112】
<評価基準>
A:気泡の発生が全く認められなかった。
B:気泡の発生が1個以上5個未満であった。
C:気泡の発生が5個以上11個未満であった。
D:気泡の発生が11個以上であった。
【0113】
<実施例2〜実施例15及び比較例1〜比較例4>
実施例1において、粘着剤溶液1の組成を下記表3、下記表4に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤溶液を作製し、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表3、及び表4に示す。
なお、比較例1は粘着剤溶液に(メタ)アクリル系オリゴマーを含んでいない。
【0114】
【表3】
【0115】
【表4】
【0116】
表3及び表4に示すように、実施例では、粘着剤層の粘着力及びリワーク性が優れる。
比較例1のように、(メタ)アクリル系オリゴマーを含まない系では、粘着剤層のリワーク性が劣る。
比較例2のように、(メタ)アクリル系オリゴマーに含まれる水酸基を有する単量体に由来する構成単位の量が30質量%未満であると、粘着剤層のリワーク性が劣る。
比較例3のように、(メタ)アクリル系オリゴマーに含まれる水酸基を有する単量体に由来する構成単位の量が50質量%を超えると、粘着剤層のリワーク性及び粘着力が劣る。
比較例4のように、(メタ)アクリル系オリゴマーのTgが−50℃未満であると、粘着剤層のリワーク性及び粘着力のいずれもが劣る。